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審決分類 |
審判 全部申し立て B41J 審判 全部申し立て B41J |
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管理番号 | 1016783 |
異議申立番号 | 異議1999-72626 |
総通号数 | 12 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 実用新案決定公報 |
発行日 | 2000-12-22 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 1999-07-08 |
確定日 | 2000-03-01 |
異議申立件数 | 1 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 登録第2590576号「転写具」の請求項1?3に係る実用新案登録に対する実用新案登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 訂正を認める。 登録第2590576号の請求項1?3に係る実用新案登録を維持する。 |
理由 |
[手続の経緯] 本件実用新案登録第2590576号の実用新案登録請求の範囲の請求項1?3に係る考案は、平成5年5月12日に実用新案登録出願され、平成10年12月11日にその実用新案の設定登録がなされ、その後、その実用新案登録についてプラス工業株式会社より実用新案登録異議の申立がなされ、当審において取消理由通知がなされてその指定期間内である平成12年1月11日に訂正請求がなされたものである。 [訂正の適否] 【1】訂正の内容 〔1〕訂正事項a 実用新案登録請求の範囲の請求項1において、「前記被転写物に転写させる前の前記転写物を、この転写物の幅よりも狭い幅に切断する刃を設けた、」を、「前記被転写物に転写させる前の前記転写物を、この転写物の幅よりも狭い幅で直線状に切断する位置に刃を設け、前記突出部を弾性変形させ、所望に切断分割された前記転写物の一方の一半側全部を、前記転写物の他方の一半側を押圧することなく前記被転写物に押圧転写させる、」と訂正する。 〔2〕訂正事項b 考案の詳細な説明中、段落【0007】中の「被転写物に転写させる前の転写物を、この転写物の幅よりも狭い幅に切断する刃を設けたものである。」(実用新案登録掲載公報2頁3欄45?47行)を、「被転写物に転写させる前の転写物を、この転写物の幅よりも狭い幅で直線状に切断する位置に刃を設け、突出部を弾性変形させ、所望に切断分割された転写物の一方の一半側全部を、転写物の他方の一半側を押圧することなく被転写物に押圧転写させるものである。」と訂正する。 〔3〕訂正事項c 考案の詳細な説明中、段落【0008】中の「この考案における転写具は、転写させる前の転写テープの転写物を刃で所定の幅に切断する。そして、・・・刃を所望の幅位置に節度機構でロックする。」(実用新案登録掲載公報2頁4欄1?5行)を、「この考案における転写具は、転写させる前の転写テープの転写物を刃で所定の幅に直線状に切断する。そして、突出部を弾性変形させることにより、切断分割された転写物の一方の一半側全部を、転写物の他方の一半側を押圧することなく被転写物に押圧転写させる。なお、刃を転写物の幅方向へ移動させることにより、被転写物に転写させる転写物の幅を任意に調整できるとともに、刃を所望の幅位置に節度機構でロックできる。」と訂正する。 〔4〕訂正事項d 考案の詳細な説明中、段落【0026】中の「以上のように、この考案によれば、転写テープの転写物を被転写物に転写させる幅に切断する刃を設けたので、・・・被転写物に所期した状態で転写させることができる。」(実用新案登録掲載公報3頁6欄35?39行)を、「以上のように、この考案によれば、突出部を弾性体で構成し、転写テープの転写物を被転写物に転写させる幅に直線状に切断する刃を設け、突出部を弾性変形させ、切断分割された転写物の一方の一半側全部を、転写物の他方の一半側を押圧することなく被転写物に押圧転写させるようにしたので、転写テープの転写物を複数の一様な幅で、被転写物に所期した状態で転写させることができる。」と訂正する。 【2】訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否 〔1〕訂正事項aについて この訂正は、考案の詳細な説明中、段落【0011】,【0014】,【0015】、及び、図2に記載した事項の範囲内において、「刃」の構成に関して、「転写物の幅よりも狭い幅で直線状に切断する位置」に設けた「刃」である旨限定し、また、「突出部」の構成に関して、「所望に切断分割された転写物の一方の一半側全部を、転写物の他方の一半側を押圧することなく被転写物に押圧転写させる」ように弾性変形する「突出部」である旨限定したものであって、実用新案登録請求の範囲の減縮を目的とするものであり、新規事項の追加に該当せず、また、実質上実用新案登録請求の範囲を拡張し又は変更するものでもない。 〔2〕訂正事項b,c,dについて これらの訂正は、上記訂正事項aの訂正に伴い、それとの整合を図るために【課題を解決するための手段】,【作用】,【考案の効果】の項を訂正するものであって、明りょうでない記載の釈明に相当するものであり、新規事項の追加に該当せず、また、実質上実用新案登録請求の範囲を拡張し又は変更するものでもない。 【3】独立実用新案登録要件 〔1〕実用新案登録請求の範囲の請求項1?3に係る考案 訂正後の実用新案登録請求の範囲の請求項1?3に係る考案は、その実用新案登録請求の範囲の請求項1?3に記載された事項により特定される以下のとおりである。 「【請求項1】転写物を担持させた転写テープを繰り出す供給コア、前記転写物を転写させた後の前記転写テープを巻き取る巻取コアをカートリッジに収容し、前記転写テープを前記カートリッジの外に突出させるヘッドを前記カートリッジに設けるとともに、前記転写物を被転写物に転写させるための突出部を前記ヘッドに設けた転写具であって、前記突出部を弾性体で構成し、前記被転写物に転写させる前の前記転写物を、この転写物の幅よりも狭い幅で直線状に切断する位置に刃を設け、前記突出部を弾性変形させ、所望に切断分割された前記転写物の一方の一半側全部を、前記転写物の他方の一半側を押圧することなく前記被転写物に押圧転写させる、ことを特徴とする転写具。 【請求項2】請求項1に記載の転写具において、前記刃は、前記転写物の幅方向へ移動可能に取り付けられている、ことを特徴とする転写具。 【請求項3】請求項2に記載の転写具において、前記刃を前記転写物の幅方向の任意の位置にロックする節度機構を設けた、ことを特徴とする転写具。」 〔2〕取消理由(実用新案法第5条違反) (1)取消理由の概要 平成11年11月2日付け取消理由通知書中の取消理由は、異議申立人プラス工業株式会社の異議申立理由は妥当なものと認められるから、本件の請求項1?3に係る考案(以下「本件考案1?3」という)は、明細書の記載に不備があり、いずれも実用新案法第5条第4,5項の規定により実用新案登録を受けることができないものであって、本件考案1?3に係る実用新案登録は、実用新案法第5条に規定する要件を満たしていないものに対してなされたものであるから、取り消すべきものであるというものである。 そして、明細書の記載に不備があるとした理由の概要は、以下のとおりである。 1.理由1 請求項1において、「転写テープの転写物を複数の一様な幅で、被転写物に所期した状態で転写させることができる」という特有の効果を奏するために、「前記被転写物に転写させる前の前記転写物を、この転写物の幅よりも狭い幅に切断する刃を設け」という構成が記載されているが、「転写テープの幅が6mmの修正具を使用して4mm幅の修正部分を修正する場合、感圧転写層をヘッドの突出部で紙の修正部分に押し当てないと、感圧転写層に接着性が発生しないため、・・・切断される感圧転写層の接着部分と非接着部分との境界が判然としないので、感圧転写層の切断面は直線状とならずに波を打った状態になる」という従来の転写具が有する課題を解決するためには、「刃」の構成に関して、上記の記載のみでは前記課題を解決するための構成の表現として充分なものとはいえず、少なくとも、前記「刃」は、転写物の幅よりも狭い幅で、転写物を波打った状態ではなく直線状に切断できるような位置関係に配置されている旨の構成を有していなければならないから、請求項1の上記構成の記載は実用新案登録を受けようとする考案の構成に欠くことができない事項として不明りょうである。 2.理由2 請求項1において、「転写テープの転写物を複数の一様な幅で、被転写物に所期した状態で転写させることができる」という特有の効果を奏するために、「突出部を弾性体で構成し」という構成が記載されているが、「転写させる必要のない被転写物の部分に感圧転写層が転写したり、転写させなければならない被転写物の部分に感圧転写層が転写しなかったりする」という従来の転写具が有する課題を解決するためには、「突出部」の構成に関して、上記の記載のみでは前記課題を解決するための構成の表現として充分なものとはいえず、少なくとも、前記「突出部」は、所望に切断分割された転写物の一半側全部を他の一半側を押圧することなく弾性変形して押圧できる旨の構成を有していなければならないから、請求項1の上記構成の記載は実用新案登録を受けようとする考案の構成に欠くことができない事項として不明りょうである。 (2)取消理由についての検討・判断 上記取消理由については、前記[訂正の適否]の欄、【2】「訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否」の項(【1】「訂正の内容」の項参照)で述べたように、実用新案登録請求の範囲において、「刃」の構成に関し、「転写物の幅よりも狭い幅で直線状に切断する位置」に設けた「刃」である旨、また、「突出部」の構成に関し、「所望に切断分割された転写物の一方の一半側全部を、転写物の他方の一半側を押圧することなく被転写物に押圧転写させる」ように弾性変形する「突出部」である旨、それぞれ限定的に減縮され、当審で指摘ないし指示したとおりの内容に訂正されたことにより、解消されたものと認められる。 (3)取消理由についての結論 従って、上記訂正により、本件考案1?3において、実用新案登録を受けようとする考案の構成に欠くことができない事項についての不明りょうな部分が不存在となり、本件考案1?3は実用新案法第5条第4,5項の規定により、実用新案登録を受けることができないものとすることはできない。 〔3〕独立実用新案登録要件についてのまとめ 以上のとおりであり、また、他に本件考案1?3の実用新案登録を取り消すべき理由を発見しないから、本件考案1?3は実用新案登録出願の際独立して実用新案登録を受けることができるものである。 【4】訂正の適否のまとめ 以上のとおりであるから、上記訂正は、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第9条第2項の規定により準用され、同附則第10条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる、平成6年改正前特許法第126条第1項,第2項,第3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。 [異議申立] 【1】異議申立人の主張 〔1〕異議申立人の主張は、前記[訂正の適否]の欄、【3】「独立実用新案登録要件」(〔2〕、(1)「取消理由の概要」)の項で述べた内容と同様である。 〔2〕異議申立人の主張についての検討・判断 異議申立人の主張についての検討・判断も、前記[訂正の適否]の欄、【3】「独立実用新案登録要件」(〔2〕、(2)「取消理由についての検討・判断」)の項で述べた内容と同様である。 従って、本件考案1?3が、実用新案法第5条第4,5項の規定に違反して実用新案登録されたものであるという、異議申立人の主張は採用できない。 [むすび] 以上のとおりであるから、異議申立ての理由によっては、本件考案1?3の実用新案登録を取り消すことはできない。 また、他に本件考案1?3の実用新案登録を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(54)【考案の名称】 転写具 (57)【実用新案登録請求の範囲】 【請求項1】 転写物を担持させた転写テープを繰り出す供給コア、前記転写物を転写させた後の前記転写テープを巻き取る巻取コアをカートリッジに収容し、前記転写テープを前記カートリッジの外に突出させるヘッドを前記カートリッジに設けるとともに、前記転写物を被転写物に転写させるための突出部を前記ヘッドに設けた転写具であって、 前記突出部を弾性体で構成し、 前記被転写物に転写させる前の前記転写物を、この転写物の幅よりも狭い幅で直線状に切断する位置に刃を設け、 前記突出部を弾性変形させ、所望に切断分割された前記転写物の一方の一半側全部を、前記転写物の他方の一半側を押圧することなく前記被転写物に押圧転写させる、 ことを特徴とする転写具。 【請求項2】 請求項1に記載の転写具において、 前記刃は、前記転写物の幅方向へ移動可能に取り付けられている、 ことを特徴とする転写具。 【請求項3】 請求項2に記載の転写具において、 前記刃を前記転写物の幅方向の任意の位置にロックする節度機構を設けた、 ことを特徴とする転写具。 【考案の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】 この考案は、転写物を紙などの被転写物に転写させるための転写具に関するものである。 【0002】 【従来の技術】 従来の上記したような転写具の1つ、例えば紙の修正部分に白色の感圧転写層を転写させて修正を行うための修正具は、紙またはフィルムからなるベース基材の片面に白色の感圧転写層を担持させた転写テープを使用する。 そして、転写テープは感圧転写層側を外側にして巻き取られてカートリッジ内に収容されている。 【0003】 このように供給コアに巻き取られている転写テープは、供給コアから繰り出されてヘッドでカートリッジの外に突出させられ、ヘッドの突出部で感圧転写層を紙に転写させた後、転写テープをカートリッジに収容した巻取コアに巻き取る構成とされている。 したがって、紙の修正部分の先頭部分に転写テープを介してヘッドに設けた突出部の平坦な稜線を押し当てながらカートリッジを修正部分の末尾部分に向けて移動させることにより、修正部分に感圧転写層を転写させ、修正部分を修正することができる。 【0004】 【考案が解決しようとする課題】 従来の転写具としての修正具は、ヘッドの突出部の幅が使用する転写テープの幅、例えば6mmまたは4mmとされ、転写テープの感圧転写層の幅も、6mmまたは4mmとされている。 そして、転写テープの幅が6mmの修正具を使用して4mm幅の修正部分を修正する場合、感圧転写層をヘッドの突出部で紙の修正部分に押し当てないと、感圧転写層に接着性が発生しないため、6mm幅からほぼ4mm幅だけ感圧転写層を修正部分に転写させることができたとしても、切断される感圧転写層の接着部分と非接着部分との境界が判然としないので、感圧転写層の切断面は直線状とならずに波を打った状態になる。 【0005】 したがって、被転写物に転写した感圧転写層の幅は感圧転写層の切断状態によって4mmよりも広くなったり、4mmよりも狭くなったりするので、転写させる必要のない被転写物の部分に感圧転写層が転写したり、転写させなければならない被転写物の部分に感圧転写層が転写しなかったりする。 また、転写テープの幅が4mmの修正具を使用して6mm幅の修正部分を修正する場合、1つの修正部分に対して感圧転写層を2度転写させなければならないので、効率よく修正具を使用することができなかった。 したがって、転写テープの幅が異なる複数種類の修正具を用意しておき、修正部分の幅に応じて修正具を使い分けなければならないという不都合があった。 【0006】 この考案は、上記したような不都合を解消するためになされたもので、転写テープの転写物を複数の一様な幅で、被転写物に所期した状態で転写させることのできる転写具を提供するものである。 【0007】 【課題を解決するための手段】 この考案にかかる転写具は、突出部を弾性体で構成し、被転写物に転写させる前の転写物を、この転写物の幅よりも狭い幅で直線状に切断する位置に刃を設け、突出部を弾性変形させ、所望に切断分割された転写物の一方の一側全部を、転写物の他方の一半側を押圧することなく被転写物に押圧転写させるものである。 そして、刃を転写物の幅方向へ移動可能に取り付け、刃を転写物の幅方向の任意の位置にロックする節度機構を設ける。 【0008】 【作用】 この考案における転写具は、転写させる前の転写テープの転写物を刃で所定の幅に直線状に切断する。 そして、突出部を弾性変形させることにより、切断分割された転写物の一方の入一半側全部を 転写物の他方の一半側を押圧することなく被転写物に押圧転写させる。 なお、刃を転写物の幅方向へ移動させることにより、被転写物に転写させる転写物の幅を任意に調整できるとともに、刃を所望の幅位置に節度機構でロックできる。 【0009】 【実施例】 以下、この考案の実施例を図に基づいて説明する。 図1はこの考案の第1実施例である転写具の概略構成および使用状態を示す説明図、図2(a),(b)は使用状態におけるヘッドに設けた突出部の被転写物への押し当て方を示す説明図である。 なお、図2(a),(b)は図1の左側から見たものに相当する。 【0010】 これらの図において、1はカートリッジを示し、供給コア31および巻取コア32が回転可能に収容され、供給コア31から繰り出される転写テープ41を案内するガイド1gが設けられている。 11はカートリッジ1に取り付けられたヘッドを示し、ガイド1gの間の転写テープ41をカートリッジ1の外に突出させるものであり、左右には転写テープ41を突出部12に導くウイング13が設けられている。 そして、突出部12は転写テープ41の幅と同じ幅Waとされ、転写テープ41の転写物を被転写物Bに転写させる突出部12の稜線(突出部12の先端部分)12iは直線とされている。 なお、ヘッド11は合成樹脂で成形され、突出部12は所定の軟らかさを有している。 【0011】 21は一端をカートリッジ1に固定された弾性片、22は転写テープ41の転写物を切断する刃を示し、この刃22は弾性片21の他端に取り付けられ、弾性片21によってガイド1gに所定圧で押し付けられている。 そして、弾性片21は、供給コア31から繰り出されてヘッド11に到達する前の転写テープ41の転写物を、例えば図2(b)に示すように、ヘッド11の右端から所定長の幅Wb(Wb<Wa)の部分を刃22で切断できるように配置されている。 【0012】 41は転写テープを示し、合成樹脂のベースフィルムの外側面に転写物としての白色の感圧転写層が担持されている。 Aは転写具を示し、カートリッジ1、ヘッド11、弾性片21、刃22、供給コア31、巻取コア32および転写テープ41で構成されている。 Bは被転写物を示し、例えば紙などである。 なお、巻取コア32は、供給コア31に連動して回転するように構成されている。 【0013】 次に、感圧転写層の被転写物Bへの転写について説明する。 まず、図2(a)のようにヘッド11に設けた突出部12の稜線12iで転写テープ41の全幅を被転写物Bに押圧しつつ、図1に示すように、転写具Aを矢印方向へ移動させると、供給コア31から繰り出される転写テープ41はガイド1gで案内された後にヘッド11でカートリッジ1の外に突出させられ、再びガイド1gで案内された後に、巻取コア32に巻き取られる。 【0014】 この際、転写テープ41の感圧転写層は、図2(b)に示すように、弾性片21でガイド1gに押圧される刃22によって幅Wbに切断されるが、全幅が突出部12で被転写物Bに押圧されるので、幅Waで被転写物Bに転写される。 したがって、感圧転写層を被転写物Bに幅Waで転写させ、幅Waで被転写物Bの修正を行うことができる。 なお、感圧転写層を被転写物Bに転写させる際、転写テープ41は被転写物Bとの摩擦力によって供給コア31から自動的に繰り出される。 そして、巻取コア32は供給コア31と連動しているので、感圧転写層を転写した後の転写テープ41は、巻取コア32に自動的に巻き取られる。 【0015】 また、図2(b)のようにヘッド11の突出部12を傾斜させ、突出部12の弾性を利用して転写テープ41を幅Wbだけ被転写物Bに押圧しつつ、図1に示すように、転写具Aを矢印方向へ移動させると、転写テープ41は切断された幅Wbだけ突出部12で被転写物Bに押圧されるので、感圧転写層を被転写物Bに幅Waと異なる幅Wbで転写させ、幅Wbで被転写物Bの修正を行うことができる。 このとき、転写テープ41の感圧転写層は、幅Wbで切断されているので、被転写物に一様な幅Wbで転写される。 【0016】 以上のように、この考案の第1実施例によれば、転写テープ41の感圧転写層を被転写物Bに転写させる幅Wbに切断する刃22を設けたので、被転写物Bに当接させる突出部12の稜線12iの長さを調整することにより、転写テープ41の感圧転写層を、感圧転写層の幅Waまたは切断した幅Wbで被転写物Bに転写させることができる。 そして、転写テープ41の感圧転写層は、転写させる前に刃22で幅Wbに切断されるので、一様な幅Wa,Wbで転写されるため、所期した状態で感圧転写物を被転写物Bに転写させることができる。 【0017】 図3はこの考案の第2実施例に使用する節度機構の構成を示す説明図であり、図1および図2と同一または相当部分に同一符号を付して説明を省略する。 図3において、2はカートリッジ1に形成したガイド溝を示し、ヘッド11と供給コア31との間のガイド1gに対応させて転写テープ41の幅方向に設けられている。 3はカートリッジ1の外面に形成された凹凸面を示し、転写テープ41の長手方向と平行になるようにガイド溝2と直交させて稜線が形成されている。 【0018】 23は操作片を示し、刃22が取り付けられる台座部23bと、凹凸面3に嵌合状態で当接する凹凸面23hfが設けられ、カートリッジ1の外側に配置される操作部23hと、台座部23bと操作部23hとを連結する連結杵部23sとで構成されている。 24は連結杵部23sの周囲に装填されたコイルスプリングを示し、カートリッジ1の内面に対して刃22の先端をガイド1gに押し付けるように付勢するとともに、両凹凸面3,23hfを嵌合させて操作片23をカートリッジ1にロックする機能を有する。 【0019】 なお、操作片23は、カートリッジ1を構成する2つのハーフを組み付ける際に連結杵部23sをガイド溝2に挿入させることにより、カートリッジ1に取り付けることができる。 そして、2つの凹凸面3,23hfおよびコイルスプリング24によって節度機構およびロック機構が構成されている。 【0020】 次に、被転写物Bに転写させる感圧転写層の幅を変更する操作について説明する。 まず、例えば転写させる感圧転写層の幅を広げるために操作部24hを左方向へ押すと、コイルスプリング24の付勢力に抗して操作片23はカートリッジ1の外側へ移動しながら凹凸面23hfが凹凸面3の上を移動する。 そして、操作片23を所望の幅位置まで移動させた後に操作片23を押す力を解除すると、操作片23はコイルスプリング24の付勢力によってカートリッジ1の内側へ移動し、凹凸面3,23hf同士が嵌合する。 【0021】 以上のように、この第2実施例によれば、操作片23を移動させることにより、被転写物Bに転写させる感圧転写層の幅を任意に変更することができる。 そして、操作片23が移動するとき、両凹凸面3,23hfの嵌合状態が変化するので、節度感(クリック感)を得ることができ、幅が変化していることを感知できる。 また、操作片23は、両凹凸面3,23hfを嵌合させるようにコイルスプリング24で付勢されてカートリッジ1にロックされるので、不用意に移動して転写させる感圧転写層の幅が変動しなくなる。 【0022】 【0023】 【0024】 【0025】 【0026】 【考案の効果】 以上のように、この考案によれば、突出部を弾性体で構成し、転写テープの転写物を被転写物に転写させる幅に直線状に切断する刃を設け、突出部を弾性変形させ、切断分割された転写物の一方の一半側全部を、転写物の他方の一半側を押圧することなく被転写物に押し圧伝写させるようにしたので、転写テープの転写物を複数の一様な幅で、被転写物に所期した状態で転写させることができる。 また、刃を転写物の幅方向へ移動可能としたので、被転写物に転写させる転写物の幅を任意に変更することができる。 【0027】 そして、刃をロックできる節度機構を設けたので、刃を移動させる際に節度感(クリック感)で幅が変化していることを感知できるとともに、刃が不用意に移動して転写させる転写層物幅が変動しなくなる。 【図面の簡単な説明】 【図1】 この考案の第1実施例である転写具の概略構成および使用状態を示す説明図である。 【図2】 (a),(b)は使用状態におけるヘッドに設けた突出部の被転写物への押し当て方を図1の左側から見た説明図である。 【図3】 この考案の第2実施例に使用する節度機構の構成を示す説明図である。 【符号の説明】 A 転写具 1 カートリッジ 1g ガイド 2 ガイド溝 3 凹凸面 11 ヘッド 12 突出部 21 弾性片 22 刃 23 操作片 23hf 凹凸面 24 コイルスプリング 31 供給コア 32 巻取コア 41 転写テープ B 被転写物 |
訂正の要旨 |
訂正の要旨 〔1〕訂正事項a 実用新案登録請求の範囲の請求項1において、「前記被転写物に転写させる前の前記転写物を、この転写物の幅よりも狭い幅に切断する刃を設けた、」を、「前記被転写物に転写させる前の前記転写物を、この転写物の幅よりも狭い幅で直線状に切断する位置に刃を設け、前記突出部を弾性変形させ、所望に切断分割された前記転写物の一方の一半側全部を、前記転写物の他方の一半側を押圧することなく前記被転写物に押圧転写させる、」と訂正する。 〔2〕訂正事項b 考案の詳細な説明中、段落【0007】中の「被転写物に転写させる前の転写物を、この転写物の幅よりも狭い幅に切断する刃を設けたものである。」(実用新案登録掲載公報2頁3欄45?47行)を、「被転写物に転写させる前の転写物を、この転写物の幅よりも狭い幅で直線状に切断する位置に刃を設け、突出部を弾性変形させ、所望に切断分割された転写物の一方の一半側全部を、転写物の他方の一半側を押圧することなく被転写物に押圧転写させるものである。」と訂正する。 〔3〕訂正事項c 考案の詳細な説明中、段落【0008】中の「この考案における転写具は、転写させる前の転写テープの転写物を刃で所定の幅に切断する。そして、・・・刃を所望の幅位置に節度機構でロックする。」(実用新案登録掲載公報2頁4欄1?5行)を、「この考案における転写具は、転写させる前の転写テープの転写物を刃で所定の幅に直線状に切断する。そして、突出部を弾性変形させることにより、切断分割された転写物の一方の一半側全部を、転写物の他方の一半側を押圧することなく被転写物に押圧転写させる。なお、刃を転写物の幅方向へ移動させることにより、被転写物に転写させる転写物の幅を任意に調整できるとともに、刃を所望の幅位置に節度機構でロックできる。」と訂正する。 〔4〕訂正事項d 考案の詳細な説明中、段落【0026】中の「以上のように、この考案によれば、転写テープの転写物を被転写物に転写させる幅に切断する刃を設けたので、・・・被転写物に所期した状態で転写させることができる。」(実用新案登録掲載公報3頁6欄35?39行)を、「以上のように、この考案によれば、突出部を弾性体で構成し、転写テープの転写物を被転写物に転写させる幅に直線状に切断する刃を設け、突出部を弾性変形させ、切断分割された転写物の一方の一半側全部を、転写物の他方の一半側を押圧することなく被転写物に押圧転写させるようにしたので、転写テープの転写物を複数の一様な幅で、被転写物に所期した状態で転写させることができる。」と訂正する。 |
異議決定日 | 2000-02-04 |
出願番号 | 実願平5-29579 |
審決分類 |
U
1
651・
537-
YA
(B41J)
U 1 651・ 536- YA (B41J) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 松川 直樹 |
特許庁審判長 |
砂川 克 |
特許庁審判官 |
伊波 猛 信田 昌男 |
登録日 | 1998-12-11 |
登録番号 | 実用新案登録第2590576号(U2590576) |
権利者 |
ゼネラル株式会社 大阪府大阪市城東区中央2丁目15番20号 |
考案の名称 | 転写具 |
代理人 | 土橋 秀夫 |
代理人 | 福田 武通 |
代理人 | 福田 伸一 |
代理人 | 江藤 剛 |
代理人 | 福田 賢三 |
代理人 | 福田 武通 |