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審決分類 |
審判 全部申し立て H01L 審判 全部申し立て H01L 審判 全部申し立て H01L |
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管理番号 | 1016786 |
異議申立番号 | 異議1998-70411 |
総通号数 | 12 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 実用新案決定公報 |
発行日 | 2000-12-22 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 1998-01-23 |
確定日 | 2000-03-21 |
異議申立件数 | 1 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 登録第2541813号「縦型CVD装置の反応管」の実用新案登録に対する実用新案登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 訂正を認める。 登録第2541813号の実用新案登録を維持する。 |
理由 |
1.手続の経緯 本件実用新案登録第2541813号に係る主な手続の経緯は以下のとおりである。 実用新案登録出願日 平成1年6月9日 実用新案権設定登録 平成9年4月25日 異議申立て 平成10年1月23日 取消理由通知 平成10年7月7日 訂正請求 平成10年9月22日 2.訂正の適否についての判断 (1)訂正の内容 訂正事項a 実用新案登録請求の範囲請求項1において、「縦型CVD装置」(2ケ所)を「縦型減圧CVD装置」と、「反応室」を「減圧反応室」と実用新案登録請求の範囲の減縮を目的として訂正する。 訂正事項b 明細書第1頁第12-13行(登録公報第1欄第9行)の「縦型CVD装置」を「縦型減圧CVD装置」と明りょうでない記載の釈明を目的として訂正する。 訂正事項c 明細書第3頁第16行(登録公報第3欄第17-18行)の「縦型CVD装置」を「縦型減圧CVD装置」と明りょうでない記載の釈明を目的として訂正する。 訂正事項d 明細書第4頁第11行(登録公報第3欄30行)の「縦型CVD装置」を「縦型減圧CVD装置」と明りょうでない記載の釈明を目的として訂正する。 訂正事項e 明細書第4頁第12行(登録公報第3欄第31行)の「反応室」を「減圧反応室」と明りょうでない記載の釈明を目的として訂正する。 (2)訂正の適否及び拡張・変更の存否 訂正事項aは、「縦型CVD装置」及び「反応室」を下位概念の「縦型減圧CVD装置」及び「減圧反応室」に限定したものであるから、実用新案登録請求の範囲の減縮に該当し、かかる限定は願書に添付した明細書第1頁第15-17行の「低圧ガス雰囲気中でウェーハ表面に皮膜を生成させる」及び同じく第1頁第18-19行の「縦型減圧CVD装置」の記載に基づくものである。 したがって、上記訂正事項aは願書に添付した明細書及び図面に記載された事項の範囲内の訂正であり、実質的に実用新案登録請求の範囲を拡張又は変更するものではない。 訂正事項b、c、dは、本件考案の属する産業上の利用分野をより明確にするものであり、本件考案が「縦型減圧CVD装置」に関するものであることは、願書に添付した明細書第1頁第15-17行の「低圧ガス雰囲気中でウェーハ表面に皮膜を生成させる」及び同じく第1頁第18-19行の「縦型減圧CVD装置」の記載から明らかである。そしてこれらの訂正は、本件考案の属する産業上の利用分野をより明確にしたものであるから、明りょうでない記載の釈明に相当する。 したがって、上記訂正事項b、c、dは願書に添付した明細書及び図面に記載された事項の範囲内の訂正であり、実質的に実用新案登録請求の範囲を拡張又は変更するものではない。 訂正事項eは、反応室の状態が減圧状態であることを明確にするものであり、願書に添付された明細書第1頁第15-17行の「低圧ガス雰囲気中でウェーハ表面に皮膜を生成させる」及び同じく第1頁第18-19行の「縦型減圧CVD装置」の記載に基づくものである。この訂正は、反応室の状態をより明確にしたものであるから、明りょうでない記載の釈明に相当するものである。 したがって、上記訂正事項eは、願書に添付した明細書及び図面に記載された事項の範囲内の訂正であり、実質的に実用新案登録請求の範囲を拡張又は変更するものではない。 (3)独立特許要件の判断 訂正明細書の請求項1に係る考案(以下、本件考案という。)は、その実用新案登録請求の範囲の請求項1に記載された下記のとおりのものである。 「縦型減圧CVD装置の反応炉のヒータ内部に配設され、ヒータ内部に減圧反応室を画成する長円筒形状の反応管に於いて該反応管の円筒部に連続する上端部を偏平な半楕円球形状に形成したことを特徴とする縦型減圧CVD装置の反応管。」 これに対して、当審の取消理由通知書において引用した刊行物1:実願昭62-155299号(実開平1-60533号)のマイクロフィルムには、「第3図は従来の縦形CVD装置の一例を示す縦断面図で、10はヒータ、1,2はそれぞれこのヒータ内に設けられた反応室を構成する外部石英反応管及び内部石英反応管で、固定されたフランジ7上に立設されている。」(第1頁第19行ー第2頁第3行)と記載されている。そして第3図を参照すると、長円筒形状の外部石英反応管の上端部には上方に窪む球状の上面Aが設けられている。 したがって、刊行物1には縦型CVD装置のヒータ内部に配設され、ヒータ内部に反応室を画成する長円筒状の外部石英反応管において、該反応管の円筒部に連続する上端部を上方に窪む球状に形成したことを特徴とする縦型CVD装置の反応管が記載されている。 同じく刊行物2:実願昭62-12941号(実開昭63-121430号)のマイクロフィルムには、「第1図において2はヒータ、3はヒータ素線、7はヒータ2を支持するベースである。9はヒータ2の天井断熱材、10は同じくその側面断熱材で、この天井断熱材9及び側面断熱材10はヒータ素線3の発熱を外部に逃がさないためのものである。1は上部が上面1aで密閉されたSiC製均熱管(第2図参照)、4は石英製の反応管、5は反応管4のキャップで、石英ボート8を支持している。6はヒータ2により加熱されるウェーハーで、ボート8に積載されている。下部挿入式縦型炉に本考案均熱管1を使用すると、第1図示のようにヒータ2の内面を全て被うことになる。」(第4頁第2-14行)と記載されている。そして第1図を参照すると、反応管4の上端部は平らな形状に形成されている。 したがって、刊行物2には縦型反応炉のヒータ内部に配設され、ヒータ内部に反応室を画成する反応管において、反応管の上端部を平らな形状に形成したことを特徴とする反応管が記載されている。 本件考案と上記刊行物1又は2に記載された考案とを対比すると、両刊行物記載の考案は、本件考案の必須の構成要件である、反応管の円筒部に連続する上端部を偏平な半楕円球形状に形成する構成を備えておらず、また上記構成について、上記両刊行物には示唆もされていない。 そして、上記構成を備えることにより本件考案は、反応管の円筒部長さを長くしえ、反応管の内部の利用域が増えるという効果を発揮しうるばかりでなく、半楕円球と円筒部との接合部に着目すると、半楕円球の下端周縁は鉛直となっており、円筒部の上端の鉛直部と合致し、上端部と円筒部との接合部は曲率の変化が不連続点無しに連続し、曲げモーメントが発生せず、外圧に起因する反応管の損傷が防止できるという自明な効果を奏するものである。したがって、本件考案が上記刊行物1、2に記載された考案に基づいて当業者が極めて容易に考案をすることができたものであるとはいえない。 したがって、本件考案は、実用新案登録出願の際独立して実用新案登録を受けることができない考案であるとすることはできない。 (4)この項のむすび よって、上記訂正請求は、平成6年法律116号附則第9条第2項で準用する特許法第120条の4第2項及び同条第3項で準用する第126条第2項ないし第4項の規定に適合するので、当該訂正を認める。 3.異議の申立についての判断 (1)異議申立の概要 異議申立人安藤純男は、甲第1号証(実願昭62-155299号(実開平1-60533号)のマイクロフィルム)、甲第2号証(実願昭62-12941号(実開昭63-121430号)のマイクロフィルム)、甲第3号証(実開昭62-201927号公報)、甲第4号証(実願昭63-30756号(実開平1-135734号参照)の願書に最初に添付した明細書又は図面)を示し、本件考案は、甲第1号証に記載された考案、若しくは甲第1-3号証に基づいて当業者が極めて容易に考案をなしえたものであるから、実用新案法第3条第1項第3号若しくは同条第2項の規定により、また甲第4号証に記載の考案と同一であるから、実用新案法第3条の2の規定により、実用新案登録を受けることができないものであるから、実用新案登録を取り消すべきであると主張している。 (2)甲各号証について そこで、上記各証拠について検討する。 甲第1号証及び甲第2号証は、それぞれ当審の取消理由通知において引用した刊行物1及び刊行物2と同じものであり、前記のとおりである。 甲第3号証には、気相成長装置が開示されており、第1図、第2図には、気密室の上端部が偏平な曲面で形成したものが記載されている。 甲第4号証には、「半導体熱処理装置は、石英製垂直プロセスチューブ(10)と、プロセスチューブ(10)の周囲に配置されかつ内周面にヒータ(図示略)を有する断熱壁(11)と、多数のウェハ(12)が上下に所定間隔をおいて支持されたボート(13)をチューブ(10)内にローディングするための昇降自在のボート載置台(14)とを備えている。」(第5頁第20行ー第6頁第6行)と記載されている。そして、第1図を参照するとチューブ(10)の上端部は曲面状となっている。 (3)実用新案法第3条第1項第3号又は同条第2項違反について 本件考案と甲第1-3号証記載の考案とを対比すると、甲第1-3号証記載の考案は、本件考案の必須の構成である、反応管の円筒部に連続する上端部を偏平な半楕円球形状にする構成を備えておらず、また甲第1-3号証には、上記構成に関する示唆もされていない。 そして本件考案は、上記構成を採用することにより、反応管の円筒部を長くし得、反応管の内部利用域が増えるという効果を奏するばかりでなく、半楕円球と円筒部との接合部に曲げモーメントが発生しないという効果をも発揮し得るものである。 したがって、本件考案は、甲第1号証に記載された考案であるとも、また上記甲第1-3号証記載の考案に基づいて当業者が極めて容易に考案をすることができたものであるとはいえない。 (4)実用新案法第3条の2違反について 本件考案と甲第4号証記載の考案とを対比すると、甲第4号証記載の考案は、本件考案の必須の構成要件である、反応管の円筒部に連続する上端部を偏平な半楕円球形状に形成する構成を備えていない。 したがって、本件考案は、甲第4号証に記載された考案と同一であるとはいえない。 (5)不明瞭な記載について 異議申立人は、本件考案の「偏平な半楕円球形状」の語句がどのようなものを示すか不明瞭であると主張している。 しかしながら、「偏平な半楕円球形状」とは楕円球の長軸に沿って楕円球を切断して半楕円球形状としたものであることは、本件考案の目的からして自明のことである。 よって、上記異議申立人の主張は採用できない。 4.むすび 以上のとおりであるから、当審が通知した取消理由通知及び引用刊行物によっても、また、異議申立ての理由及び証拠によっても、本件考案の実用新案登録を取り消すことはできない。 また、他に本件考案の実用新案登録を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(54)【考案の名称】 縦型CVD装置の反応管 (57)【実用新案登録請求の範囲】 1)縦型減圧CVD装置の反応炉のヒータ内部に配設され、ヒ-タ内部に減圧反応室を画成する長円筒形状の反応管に於いて、該反応管の円筒部に連続する上端部を偏平な半楕円球形状に形成したことを特徴とする縦型減圧CVD装置の反応管。 【考案の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本考案は、半導体素子製造装置、特に縦型減圧CVD装置の反応管に関するものである。 [従来の技術] ウェーハより半導体素子を製造する工程の一つに低圧ガス雰囲気中でウェーハ表面に皮膜を生成させる化学蒸着(CVD)処理がある。 斯かるCVD処理を行うものの一つに縦型減圧CVD装置がある。 該縦型減圧CVD装置の概略を第2図に於いて説明する。 第2図は処理炉内部の要部を示すものであり、処理炉(図示せず)の内壁に沿ってヒータ1が設けられ、該ヒータ圭の内部に石英製の反応管2が配設されている。該反応管2は長円筒体で、下端が開口し、上端は半円球状部で閉塞されている。又、該反応管2は処理炉側に固定されたガスインレットフランジ3の上端に気密に固着され、該ガスインレヅトフランジ3の下端はシールキャッブ4により気密に閉塞或は開放可能となっている。 前記反応管2の内部、該反応管2と同心に石英製の仕切筒5が設けられ、反応管2の内部を中心部12aと、該中心部12aと上部に於いて連通する周辺部12bとに仕切り、反応ガス6を中心部12a下部より導入し、周辺部12b下部より排気する様にしている。 前記シールキャップ4にはポスト7を介して支持台8が設けられ、該支持台8に所要数のウェーハ9が水平姿勢で装填されるボート10が設けられる。 前記シールキャップ4は図示しない昇降装置のアーム11に載設されており、昇降装置の駆動により、ボート10が前記反応管2の内部12aに出入する構成となっている。 ウェーハ9をCVD処理する場合には、昇降装置でアーム11を降下させ、ボート10を反応室より取出した状態でウェーハ9をボート10に装填し、次に昇降装置でアーム11を上昇させボート10を反応室に装入する。 ヒータ1により反応室内を加熱均熱状態とし、反応ガス6を流通させてウェーハの表面に皮膜を生成させる。 [考案が解決しようとする課題] 斯かるウェーハの皮膜生成は反応室内の温度分布均一の領域(均熱域)で行われるが、本装置の如く縦型減圧CVD装置に於いては均熱域がヒータ1の上方部に形成され易い。ところが、第3図に示される様に従来の反応管2は上部が半円球形状である為、装入されるウェーハの最上位置は半円球状部の下方であり、ヒータの均熱域の最頂位置より略半円球状部分だけ下方となっている。 従って、均熱域の上部が有効利用されず、一度に処理できるウェーハの枚数が少なくなり、或はヒータ長が長くなり装置の全高も高くなっていた。 本考案は上記実情に鑑み、反応室内の温度分布均一領域、即ちヒータの均熱域を有効に利用できる様にしたものである。 [課題を解決するための手段] 本考案は、縦型減圧CVD装置の反応炉のヒータ内部に配設され、ヒータ内部に減圧反応室を画成する長円筒形状の反応管に於いて、該反応管の円筒部に連続する上端部を偏平な半楕円球形状に形成したことを特徴とするものである。 [作 用] 反応管の上端部を偏平な半楕円球形状で形成してあるので、利用できない空間である上端部が少なくなり、反応管のより上部位置迄ウェーハを装入することができる。 ヒータの内部に配置されている反応管内部の利用域の増大によりヒータの均熱域を有効的に利用することが可能となる。 [実 施 例] 以下、図面に基づき本考案の一実施例を説明する。 第1図は本実施例の要部を示す部分図であり、第1図中、第2図、第3図中で示したものと同一のものは局符号を付してある。 長円筒形状の反応管2の円筒部2aに連続する上端部2bを半楕円球形状とする。 反応管2の上端部2bを半楕円球形状とすることにより、反応管2の円筒部2a上端位置が反応管2の上端位置に接近する。従って、反応管2の内部に装入されるウェーハ9の最上位置が反応管2のより上位の位置となる。 而して、装入されるウェーハ9の最上位置が、ヒータ1の均熱域の最上位置に接近し、均熱域の利用範囲が拡大する。 [考案の効果] 以上述べた如く本考案によれば、長円筒形状の反応管の上端部を偏平な半楕円球形状で形成してあるので、反応管の円筒部長さを長くし得、反応管の内部の利用域が増え、従ってヒータの均熱域の利用域を増大させることが可能となり、ヒータの均熱域の有効利用が図れ、ウェーハの処理枚数を増大させることができ、或は装置の全高を低くすることができるという優れた効果を発揮し得る。 【図面の簡単な説明】 第1図は本考案の一実施例の要部を示す断面図、第2図は縦型CVD装置の概略を示す説明図、第3図は従来例を示す部分図である。 1はヒータ、2は反応管、2aは上端部、2bは円筒部、5は仕切筒、6は反応ガス、9はウェーハ、10はボートを示す。 【図面】 |
訂正の要旨 |
訂正の要旨 訂正事項a 実用新案登録請求の範囲請求項1において、「縦型CVD装置」(2ケ所)を「縦型減圧CVD装置」と、「反応室」を「減圧反応室」と実用新案登録請求の範囲の減縮を目的として訂正する。 訂正事項b 明細書第1頁第12-13行(登録公報第1欄第9行)の「縦型CVD装置」を「縦型減圧CVD装置」と明りょうでない記載の釈明を目的として訂正する。 訂正事項c 明細書第3頁第16行(登録公報第3欄第17-18行)の「縦型CVD装置」を「縦型減圧CVD装置」と明りょうでない記載の釈明を目的として訂正する。 訂正事項d 明細書第4頁第11行(登録公報第3欄30行)の「縦型CVD装置」を「縦型減圧CVD装置」と明りょうでない記載の釈明を目的として訂正する。 訂正事項e 明細書第4頁第12行(登録公報第3欄第31行)の「反応室」を「減圧反応室」と明りょうでない記載の釈明を目的として訂正する。 |
異議決定日 | 2000-02-29 |
出願番号 | 実願平1-67716 |
審決分類 |
U
1
651・
121-
YA
(H01L)
U 1 651・ 113- YA (H01L) U 1 651・ 161- YA (H01L) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 山本 一正 |
特許庁審判長 |
今野 朗 |
特許庁審判官 |
小田 裕 橋本 武 |
登録日 | 1997-04-25 |
登録番号 | 実用新案登録第2541813号(U2541813) |
権利者 |
国際電気株式会社 東京都中野区東中野三丁目14番20号 |
考案の名称 | 縦型CVD装置の反応管 |
代理人 | 三好 祥二 |
代理人 | 三好 祥二 |