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審決分類 審判 全部申し立て   B42D
管理番号 1016800
異議申立番号 異議1999-72415  
総通号数 12 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案決定公報 
発行日 2000-12-22 
種別 異議の決定 
異議申立日 1999-06-09 
確定日 2000-05-20 
異議申立件数
事件の表示 登録第2586900号「複写伝票」の実用新案登録に対する実用新案登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。   
結論 登録第2586900号の実用新案登録を維持する。
理由 1.本件考案
本件実用新案登録第2586900号(平成4年8月6日出願、平成10年10月9日設定登録)の請求項1に係る考案(以下、「本件考案」という。)は、実用新案登録明細書及び図面の記載からみて、その実用新案登録請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものである。
「【請求項1】控用荷物連絡伝票A、荷物仮貼付用伝票B、通知書Cを順次に積層して、それら各上縁がセット糊1により互いに糊付丁合されてなり、該セット糊1は、前記伝票A裏面の一側端に施す糊付の幅を前記伝票B表面の一側端に設けたミシン目3と前記上縁からの距離より少ない幅で設け、かつ該伝票A裏面に施したカーボン印刷2と対応して、前記伝票Bの剥離紙5裏面には複写必要部分にカーボン印刷2が施され、伝票B裏面には粘着剤層Nを介して剥離紙5を有し、上記積層せる各伝票、通知書の上方より筆記や印字などの加圧によって複写されることを特徴とする複写伝票。」

2.実用新案登録異議申立ての理由の概要
登録異議申立人 トッパン・フォームズ株式会社は、甲第1号証(実願平3-14727号(実開平5-26452号公報))を提出し、本件考案は、本件出願の日前の他の出願であって、本件出願後に出願公開がされた実願平3-14727号出願の願書に最初に添付した明細書又は図面(以下、「先願明細書」という。)に記載された考案と同一であり、実用新案法第3条の2第1項の規定により本件実用新案登録は取り消されるべきものである旨主張している。

3.先願明細書に記載された考案
先願明細書には、以下の事項が記載されている。
「貼着用シート1は、上位から順に、控として使用される持戻り荷物連絡票2と、裏面に粘着剤4が塗布されるとともに剥離紙5で被覆された荷物貼着用の持戻り荷物連絡票3と、配達先用の不在連絡票6とからなり、前記各票2,3,6は重ね合わされたうえ接着剤7,8により一端で綴じ合わされている。・・・・・前記持戻り荷物連絡票3の綴じ合わせ部分の内側には、前記剥離紙5に達しないようスリット9が設けられ、・・・前記持戻り荷物連絡票3のスリット9より綴じ合わせ部分側が、前記持戻り荷物連絡票2を荷物等に貼着するための貼着片3aとなる。なお、前記スリット10は、後述するカーボン複写構造の設置位置に対応しないよう設けられ、複写記入に支障がないようになっている。」(段落【0010】)
「持戻り荷物連絡票2及び剥離紙5の各裏面にはカーボン複写構造11,12,13,14が設けられ、・・・配達情報記入欄15に所定事項を記入すると、カーボン複写構造11,13によって、持戻り荷物連絡票3及び不在連絡票6の各配達情報記入欄16,17における対応部分に複写記入され、また、前記持戻り荷物連絡票2の持戻り理由記入欄18への記入事項は、カーボン複写構造12によって前記持戻り荷物連絡票3の持戻り理由記入欄19に複写記入され、」(段落【0011】)
「接着剤7は、控として使用される持戻り荷物連絡票2裏面の一側端に施す接着剤の幅を荷物貼着用の持戻り荷物連絡票3の一側端に設けたスリット9と一端縁からの距離より少ない幅で設け」た点。(図面第1、2図)
これらの記載からみて、先願明細書には、
「控として使用される持戻り荷物連絡票2、荷物貼着用の持戻り荷物連絡票3、不在連絡票6を順次に積層して、それら各一端が接着剤により綴じ合わされてなり、該接着剤は、前記控として使用される持戻り荷物連絡票2裏面の一側端に施す接着剤の幅を前記荷物貼着用の持戻り荷物連絡票3の一側端に設けたスリット9と前記一端縁からの距離より少ない幅で設け、かつ該控として使用される持戻り荷物連絡票2裏面に設けたカーボン複写構造と対応して、前記荷物貼着用の持戻り荷物連絡票3の剥離紙裏面には複写必要部分にカーボン複写構造が設けられ、荷物貼着用の持戻り荷物連絡票3裏面には粘着剤を介して剥離紙を有し、上記積層せる各持戻り荷物連絡票2、3、不在連絡票6の上方より記入によって複写される貼着用シート。」の考案が記載されていると認められる。

4.対比・判断
本件考案と先願明細書に記載された考案とを対比すると、
後者の「控として使用される持戻り荷物連絡票2」、「荷物貼着用の持戻り荷物連絡票3」、「不在連絡票6」、「一端」、「接着剤」、「綴じ合わされ」、「接着剤の幅」、「設けたカーボン複写構造」、「記入」、「貼着用シート」は、
前者の「控用荷物連絡伝票A」、「荷物仮貼付用伝票B」、「通知書C」、「上縁」、「セット糊1」、「互いに糊付丁合され」、「糊付の幅」、「施したカーボン印刷」、「筆記や印字などの加圧」、「複写伝票」に、それぞれ相当すると認められ、
両者は、「控用荷物連絡伝票A、荷物仮貼付用伝票B、通知書Cを順次に積層して、それら各上縁がセット糊1により互いに糊付丁合されてなり、かつ該伝票A裏面に施したカーボン印刷2と対応して、前記伝票Bの剥離紙5裏面には複写必要部分にカーボン印刷2が施され、伝票B裏面には粘着剤層Nを介して剥離紙5を有し、上記積層せる各伝票、通知書の上方より筆記や印字などの加圧によって複写されることを特徴とする複写伝票。」の点で一致すると認められるが、
前者が、「セット糊1は、控用荷物連絡伝票A裏面の一側端に施す糊付の幅を荷物仮貼付用伝票B表面の一側端に設けたミシン目3と上縁からの距離より少ない幅で設け」た(すなわち、控用荷物連絡伝票Aが、ミシン目3により荷物仮貼付用伝票Bに接続している)のに対して、
後者は、「セット糊1(接着剤)は、控用荷物連絡伝票A(控として使用される持戻り荷物連絡票2)裏面の一側端に施す糊付の幅(接着剤の幅)を荷物仮貼付用伝票B(荷物貼着用の持戻り荷物連絡票3)の一側端に設けたスリット9と上縁からの距離より少ない幅で設け」た(すなわち、控用荷物連絡伝票A(控として使用される持戻り荷物連絡票2)がスリット9により、荷物仮貼付用伝票B(荷物貼着用の持戻り荷物連絡票3)に接続していない)点で相違すると認められる。
上記相違点について検討すると、意見書において主張するように、スリットを設けた場合には、粘着剤だけに頼って貼着されているため、荷物貼着用の持戻り荷物連絡票において予期せぬ剥離が起こるという欠点があるが、ミシン目を設けた場合は当該問題は生ぜず、先願明細書に記載された考案において、スリットに代えてミシン目とすることが、単なる周知・慣用技術の転換とはいえないものである。
したがって、本件考案は、先願明細書に記載された考案と同一とは認められない。

5.むすび
以上のとおりであるから、実用新案登録異議申立ての理由及び証拠によっては本件考案の実用新案登録を取り消すことはできない。
また、他に本件考案の実用新案登録を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2000-04-20 
出願番号 実願平4-60994 
審決分類 U 1 651・ 161- Y (B42D)
最終処分 維持    
前審関与審査官 河本 明彦  
特許庁審判長 木原 裕
特許庁審判官 白樫 泰子
吉村 尚
登録日 1998-10-09 
登録番号 実用新案登録第2586900号(U2586900) 
権利者 共同印刷株式会社
東京都文京区小石川4丁目14番12号
考案の名称 複写伝票  
代理人 日比谷 征彦  
代理人 安達 信安  

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