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審決分類 審判 全部申し立て   G10C
審判 全部申し立て   G10C
管理番号 1016801
異議申立番号 異議1999-75008  
総通号数 12 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案決定公報 
発行日 2000-12-22 
種別 異議の決定 
異議申立日 1999-12-28 
確定日 2000-05-22 
異議申立件数
事件の表示 登録第2597041号「ピアノの棚板」の実用新案登録に対する実用新案登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。   
結論 登録第2597041号の実用新案登録を維持する。
理由 1 本件考案
本件実用新案第2597041号の請求項1に係る考案(平成5年11月30日出願、平成11年4月23日設定登録)は、実用新案登録明細書及び図面の記載からみて、その実用新案登録請求の範囲請求項1に記載された事項により特定される下記のとおりのものである。
「 複数の金属製部材を枠状に組み立てて構成されたピアノの棚板において、
上記金属製部材に駒木を固着したことを特徴とするピアノの棚板。」

2 申立ての理由の概要
実用新案異議申立人本吉広正は、証拠として甲第1号証(実願昭52-168986号(実開昭54-94222号)のマイクロフィルム)、甲第2号証(実公平1-16147号公報)を提出し、請求項1に係る考案は実用新案法第3条第2項の規定に違反してなされたものであるから、実用新案登録を取り消すべき旨主張し、さらに、請求項1に係る考案は、明確に記載されていないので実用新案法第5条第6項第2項の規定に違反してなされたものであるから、実用新案登録を取り消すべき旨主張している。

3 申立人が提出した甲各号証記載の考案
ア.甲第1号証(実願昭52-168986号(実開昭54-94222号)のマイクロフィルム)
甲第1号証は、本件登録実用新案と同一の技術分野であるピアノの棚板に関するものであり、第11頁第6?9行目に、「図中50は棚板で、縦断面略コ字状のバックレールクロス取付用杆体51と、縦断面略U字状の筬中取付用杆体52と、縦断面大略L字状の筬前取付用杆体53とからなる。」と記載され、同頁第16?18行目に、「57.57は取付部材で、縦断面略L字状の杆体によって互いに対称的に構成されていて、」と記載され、さらに第12頁第8?12行目に、「棚板50を構成する3つの杆体51.52.53及び取付部材57.57は、板金を折曲加工することによって、あるいはアルミニウムを押出成形することによって製作されている。」と記載されている。

イ.甲第2号証(実公平1-16147号公報)
甲第2号証は、本件登録実用新案と同一の技術分野であるピアノの棚板に関するものであり、第1頁左欄第13?16行目に、「第1図に示すように、従来は腕木1の内側面laに棚板取付木3を取着し、この棚板取付木3に両端部を切欠き2aした棚板2を載置取着していたものである。なお図中、T印は木ねじを示す。」と記載されている。

4 本件考案と申立人が提出した甲各号証記載の考案との対比・判断
本件考案と、申立人が提出した甲第1号証、甲第2号証に記載された考案とを対比すると、甲第1号証、甲第2号証のいずれにも、「金属製部材に駒木を固着したこと」が、記載されておらず、示唆する記載もない。
甲第1号証には、複数の金属製部材を枠状に組み立てたピアノ棚板が記載されているだけであり、甲第2号証に記載された棚板取付木3は、腕木1に取着された後、棚板2が載置されるものであり、棚板2に棚板取付木3が固着された状態の物品が開示されているわけではない。
そして、甲第1号証、甲第2号証に記載の考案をいかに組み合わせたとしても上記「金属製部材に駒木を固着したこと」の構成は得られない。
本件の考案は、上記構成を備えることにより、複数の金属製部材を枠状に組み立てて構成されたピアノの棚板において、筬等の木製部材、自動ピアノ用部品等の固着作業をきわめて簡単に行うことができるという明細書記載の顕著な効果を奏するものであるから、本件の考案が、これら甲各号証に基いて、当業者がきわめて容易に考案をすることができたものとすることはできない。

5 記載不備について
(1)申立人は、本件請求項1に、「駒木」なる用語が記載されているが、この「駒木」なるものが本件登録実用新案の属する技術分野を含め、一般に使用されるものではなく、その目的、構成が不明確である旨主張し、また、本件登録実用新案の特徴は、枠状に組み立てた棚板を構成する金属製部材に駒木を固着し、この駒木に、木ねじを使用して、筬や他の部品を容易に取り付けることにあるが、実用新案登録請求の範囲には、木ねじを使用して、駒木に筬や他の部品を取り付けることが、明示されておらず、さらに、本件実用新案登録公報の考案の詳細な説明の欄には、実用新案登録請求の範囲から直接、導き出せない作用・効果が記載されており、本件実用新案登録請求の範囲の請求項1に係る考案が、明確に記載されているとはいえない旨主張している。
(2)そこで、まず、 本件請求項1に記載の「駒木」について検討する。
請求項1の記載には「駒木」がどのようなものか明記されていないが、本件実用新案登録公報3欄27行の「木製の小さな駒木」、同4欄14行ないし15行の「駒木41?51はいずれも角材ブロックであって」の記載から「駒木」は「ブロック状の木材」であると解される。
したがって、「駒木」の記載は不明確ではない。
(3)次に、実用新案登録請求の範囲に、木ねじを使用して、駒木に筬や他の部品を取り付けることが、明示されていないことが不明確な記載か否か検討する。
本件考案は、ピアノの棚板という物品に関するものであるから、実用新案登録請求の範囲には、物品としてのピアノの棚板の構成に欠くことができない事項が記載されておれば、十分に明確である。
申立人の主張する、木ねじを使用して駒木に筬や他の部品を取り付けることは、本願考案の使用態様であって、物品としてのピアノの棚板の構成ではない。
したがって、木ねじを使用して、駒木に筬や他の部品を取り付けることが、明示されていないことにより、本件考案が不明確であるとは認められない。
よって、申立人の主張は採用できない。

6 むすび
以上のとおりであるから、実用新案登録異議申立ての理由及び証拠によっては、本件考案についての実用新案登録を取り消すことができない。
また、他に本件考案についての実用新案登録を取り消すべき理由を発見しない。
したがって、本件考案についての実用新案登録は拒絶の査定をしなければならない実用新案登録出願に対してされたものと認めない。
よって、平成6年改正法附則第9条第7項の規定に基づく、特許法等の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置を定める政令(平成7年政令第205号)第3条第2項の規定により、上記のとおり決定する。
異議決定日 2000-04-20 
出願番号 実願平5-68823 
審決分類 U 1 651・ 121- Y (G10C)
U 1 651・ 537- Y (G10C)
最終処分 維持    
前審関与審査官 菅澤 洋二  
特許庁審判長 小林 信雄
特許庁審判官 石川 伸一
小池 正彦
登録日 1999-04-23 
登録番号 実用新案登録第2597041号(U2597041) 
権利者 ヤマハ株式会社
静岡県浜松市中沢町10番1号
考案の名称 ピアノの棚板  

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