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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H01J
管理番号 1018497
審判番号 審判1999-665  
総通号数 13 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案審決公報 
発行日 2001-01-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 1999-01-07 
確定日 1999-10-01 
事件の表示 平成7年実用新案登録願第10160号「ショートアーク型水銀蒸気放電灯」拒絶査定に対する審判事件(平成8年2月20日出願公開、実開平8-376)について、次のとおり審決する。   
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1.手続の経緯・請求項1に係る考案
本願は、平成2年3月29日に出願された実願平2-31948号の実用新案登録出願の一部を実用新案法第9条第1項において準用する特許法第44条第1項の規定により分割して新たな実用新案登録出願として平成5年3月18日に出願された実願平5-17813号の実用新案登録出願の一部を実用新案法第9条第1項において準用する特許法第44条第1項の規定により分割して新たな実用新案登録出願として平成7年9月4日に出願されたものであって、その請求項1に係る考案は、平成9年6月20日付け及び平成9年10月17日付け手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、その実用新案登録請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものと認める。
「【請求項1】その内部に陰極と陽極が対向配置された発光空間膨出部と、この発光空間膨出部の両端からそれぞれ伸びる封止管部とより構成されるショートアーク型水銀蒸気放電灯であって、前記発光空間膨出部は、その最大径部分が前記陰極と前記陽極間に生じるアーク中心より前記陰極側に変位してなり、当該発光空間膨出部の外観形状が前記陰極側と前記陽極側で非対称の略たまご型であることを特徴とするショートアーク型水銀蒸気放電灯。」
2.引用例の記載事項
これに対して、原査定の理由に引用した特開昭63-105457号公報(以下、引用例という。)には、下記の事項が図面とともに記載されている。
「本発明のショートアーク放電灯は、紡錘形(回転楕円形状で加工上若干の変形もある。)に成形した石英ガラス型の気密容器の両端封止部に一対の電極を対設し、垂直点灯(傾斜した姿勢での点灯を含む。)で使用されるものであって、上記気密容器の最大内径を2a,長さ(内部上端から内部下端までの距離。)を2b,気密容器の内部上端から両電極の先端間距離dの中心までの距離を1として,
1.6≦b/a≦2.4
で,かつ,

を満足するように構成される。」(第3頁左上欄8行乃至19行)
「このような構成であれば、b/a=1?1.5の球形または紡錘形の従来ランプよりもbが大きく、つまり細長の紡錘形に形成されている本発明ランプでは、電極からの飛散物が垂直点灯の気密容器内の対流によって容器の上方内面に飛来した場合、bが大きい分だけ電極先端間距離つまり発光部に対応する容器内面部分に迄は被着しにくくなる。
・・・中略・・・
本発明の場合は・・・1はbより大つまり発光中心は垂直点灯の気密容器の中央より必ず下方に位置するから、発光中心より上方に位置する気密容器の容積は下方の容積よりも大きく、したがって上方に飛来する電極飛散物の発光部に対応する容器内面部分に被着する量は一層減少させることができ、上記該当内面部分の黒化発生を抑制することが可能となる。」(第3頁右上欄1行乃至20行)
「第3図は他の実施例である超高圧水銀ランプの概略的構成を説明する縦断面図を示し、先の実施例と同一部分には同一符号を付してその説明は省略する。
超高圧水銀ランプの場合は、封入水銀(7)の蒸気圧を左右する最冷部温度を上げる必要があり、この最冷部温度となる個所は垂直点灯時の気密容器(1)の内部下端(F)付近となるため、垂直点灯時に高温となる陽極(2)の方を下方に位置するように設定される。
・・・中略・・・
本実施例ランプの場合も、垂直点灯姿勢で上記点滅点灯方式あるいは直流パルス重畳方式で点灯した場合、先の実施例と同様の効果が得られた。」(第4頁右上欄12行乃至左下欄8行)
3.請求項1に係る考案と引用例との対比
上記引用例の記載事項及び第3図の記載からみて、引用例に記載された考案の「陰極3」、「陽極2」、「気密容器1」、「封止部」、「発光中心」及び「ショートアーク放電灯」は、各々請求項1に係る考案の「陰極」、「陽極」、「発光空間膨出部」、「封止管部」、「アーク中心」及び「ショートアーク型水銀蒸気放電灯」に相当し、また、引用例の気密容器1の最大径部分は発光中心より陰極側にあるから、請求項1に係る用語を使用して両者を対比すると、両者は、「その内部に陰極と陽極が対向配置された発光空間膨出部と、この発光空間膨出部の両端からそれぞれ伸びる封止管部とより構成されるショートアーク型水銀蒸気放電灯であって、前記発光空間膨出部は、その最大径部分が前記陰極と前記陽極間に生じるアーク中心より前記陰極側に変位してなるショートアーク型水銀放電灯。」である点で一致しており、次の点で相違している。
相違点;請求項1に係る考案では、発光空間膨出部の外観形状が陰極側と陽極側で非対称の略たまご型であるのに対して、引用例に記載された考案の気密容器1は細長の紡錘形である点。
4.上記相違点に対する当審の判断
上記相違点について検討するに、引用例に記載された考案では、気密容器1の形状は、最大内径2a、長さ2b及び気密容器の内部上端から両電極の先端間距離dの中心までの距離1との関係で規定されるとおり、従来の紡錘形よりは細長く、発光中心を気密容器1の中央より必ず下方に位置させて、発光中心より上方に位置する気密容器の容積を下方の容積よりも大きくしたものであるから、この条件を満足するものであれば適宜な容器形状を採用できることは、当業者であればきわめて容易に理解することができる技術事項である。
そして、アーク型水銀放電灯において発光空間膨出部の外観形状を非対称の略たまご型としたものは、本願出願前周知の事項(例えば、特許第128436号明細書、「オスラムランプ製品案内」(日本シーメンス社発行)の直流点灯式HBO1000W/2型オスラム超高圧水銀ランプ(第7図)参照。)にすぎないものであるから、発光空間膨出部(気密容器)の外観形状に、上記周知の形状を採用して、請求項1の考案のような発光空間膨出部の外観形状とすることは、当業者が必要に応じてきわめて容易に想到することができる程度の設計的事項と認める。
また、請求項1に係る考案の効果も、引用例に記載された考案及び本願出願前周知の技術事項から当業者であれば予測することができる程度のものであって、格別のものとはいえない。
5.むすび
したがって、請求項1に係る考案は、引用例に記載された考案及び本願出願前周知の技術事項に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるから、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 1999-06-14 
結審通知日 1999-06-25 
審決日 1999-07-07 
出願番号 実願平7-10160 
審決分類 U 1 8・ 121- Z (H01J)
最終処分 不成立    
前審関与審査官 小川 浩史中村 和夫植松 伸二小松 徹三  
特許庁審判長 村本 佳史
特許庁審判官 平井 良憲
森 雅之
考案の名称 ショートアーク型水銀蒸気放電灯  

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