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審決分類 審判 全部無効 1項2号公然実施 無効とする。(申立て全部成立) A01K
審判 全部無効 2項進歩性 無効とする。(申立て全部成立) A01K
管理番号 1018501
審判番号 審判1996-14437  
総通号数 13 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案審決公報 
発行日 2001-01-26 
種別 無効の審決 
審判請求日 1996-09-02 
確定日 2000-01-05 
事件の表示 上記当事者間の登録第2130124号実用新案「大型魚網の洗浄装置」の登録無効審判事件について、次のとおり審決する。   
結論 登録第2130124号実用新案の登録を無効とする。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 第1 手続きの経緯および本件登録に係る考案
本件実用新案登録第2130124号(以下、本件登録という。)は、平成3年7月15日に出願された実用新案登録願(実願平3-54717号)(以下本件出願という。)に係り、本件出願について平成7年12月13日に出願公告(実公平7-53484号)された後、平成8年8月1日に設定登録されたものである。そして、本件登録に係る考案(以下、本件考案という。)は、本件登録明細書及び図面の記載からみて、その請求項1に記載された以下の事項によって特定されるものである。
「機体(1)に、駆動源(2)と、該駆動源に接続されて吸水した水を加圧状態で吐出する大容量ホンプ(3)とが搭載されるとともに、該大容量ポンプに高圧水を離間位置に移送する移送ホース(5)が接続状態に配され、該移送ホースの先端に洗浄水を被洗浄魚網(X)に向けて噴出し付着物を剥離させる噴出ノズル(6)が配され、移送ホース(5)の先端と噴出ノズル(6)との途中に、操作位置に配されるスタンド台(7)と、該スタンド台に搭載されかつ移送ホースの先端に接続されて移送水の方向を上向きに誘導する垂直管部(8)と、該垂直管部に接続されて噴出ノズルを支持するスイング管部(9)と、垂直管部に配されその上部を水平回転可能に支持する水平回転ジョイント部(10)と、スイング管部の基部に配されスイング管部を上下揺動可能に支持する垂直回転ジョイント部(11)とを具備することを特徴とする大型魚網の洗浄装置」
第2 当事者の主張
当事者の主張は、以下のとおりである。
1.請求人の主張
当審の口頭審理における陳述(平成10年4月23日付けの口頭審理陳述要領書参照)によれば、請求人は、「実用新案登録第2130124号を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする」と審決を求め、その理由として、下記の証拠方法を提出し、以下の旨主張する。
(1)無効理由1
本件考案は、下記の甲第8号証及び甲第1号証に記載された考案に基づき、或いは甲第8号証ないし甲第14号証に記載された考案に基づき、当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるから、本件登録は、平成5年法律第26号附則第4条第1項の規定によりなおその効力を有するとされる、実用新案法第3条第2項の規定に違反してされたもので、同法第37条第1項第1号に該当し、無効とされるものである。
(2)無効理由2
本件考案は、下記の甲第5号証ないし甲第7号証の記載、証人嘉山道夫氏及び北条庄三氏の証言並びに検甲第1号証の検証により、検甲第1号証の考案と同一であり、かつ本件出願前に日本国内で公然と実施されたものであるから、本件登録は、平成5年法律第26号附則第4条第1項の規定によりなおその効力を有するとされる、実用新案法第3条第1項2号の規定に違反してされたもので、同法第37条第1項第1号に該当し、無効とされるものである。

甲第1号証:実公昭58-54215号公報
甲第5号証:有限会社井戸隠居丸に係わる平成2年9月期決算の税務署提出の決算書類の固定資産減価償却内訳表
甲第6号証:同じく決算書類の総勘定元帳の未払金勘定項目
甲第7号証:同じく決算書類の現金出納帳
甲第8号証:実願昭60-183396号(実開昭62-169966号)のマイクロフィルム
甲第9号証:実願昭54-46158号(実開昭55-146158号)のマイクロフィルム
甲第10号証:実公昭42-7757号公報
甲第11号証:実公昭50-36393号公報
甲第12号証:特開昭48-77406号公報
甲第13号証:実願昭58-143500号(実開昭60-51199号)のマイクロフィルム
甲第14号証:特開昭63-212154号公報
検甲第1号証:有限会社井戸隠居丸所有の魚網洗浄装置
証人 :嘉山道夫、北条庄三
2.被請求人の主張
当審の口頭審理における陳述(平成10年4月24日付けの口頭審理陳述要領書参照)によれば、被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする」との審決を求め、請求人の前記無効理由のそれぞれに対し、以下の旨主張をする。
(1)甲第1号証及び甲第8号証のそれぞれには、本件考案の一部の構成が記載されているが、これらに記載されたものに関連性はなく、これらに記載されたものを組み合わせて本件考案の構成を得ることは、当業者がきわめて容易になし得ることはできない。また、甲第9?14号証記載のものは、消防用放水銃等に関するもので、本件考案の大型魚網の洗浄に関する技術分野のものでも、この分野に関連する技術分野のものでもないので、これら甲号各証記載のものを甲第8号証記載のものに適応することは、当業者においてきわめて容易になし得るものでなく、本件考案は、甲第8?14号証記載のものから当業者がきわめて容易に考案をすることができたものではない。
(2)網洗い機に係る検証物は、検証場所での検証及び検証調書を以て本件考案の出願前に公然と実施された考案であると認められず、また証人嘉山道夫氏、北条庄三氏の証言に係る各証人調書を詳細に検討しても、検証物が本件考案の出願前に公然と実施された考案であるとは認められない。よって、本検証物を以て、本件考案がその出願前に日本国内で公然と実施されたものであるとはいえない。
(3)以上のことから、本件無効審判請求は理由のないものとして直ちに却下されるべきものである。
第3 当審の認定、判断
1.請求人の無効理由1について
(1)請求人の提出した甲第1号証及び甲第8?14号証をみてみると、これら甲号各証には、以下のようなものが記載されていると認められる。
(甲第1号証)
船舶に付着したフジツボなどの汚染物に圧力水を噴射して除去し、洗浄する作業を自動的に行う放水洗浄装置であって、基台1に水平面内で回転する回転台座3を搭載し、この回転台座3上にノズル取付金具7を介して放水ノズル6を俯仰揺動できるように取り付けた立ち上がりアーム5を固定接続し、旋回用アクチュエータ16と俯仰用アクチュエータ20の作動により放水ノズル6を水平、垂直方向に揺動させるものが記載されている。
(甲第8号証)
床面上に魚網を展開して、床面自走車をこの魚網上に配置し、高圧水ポンプを動作して高圧水ホースに高圧水を供給すると、前記自走車に設けた高圧水下向噴射ノズルが、前後に揺動しながら、該魚網に向かって高圧水を噴出して洗浄するものが記載されている。
(甲第9?11号証)
これら甲号各証は、いずれも消防、消化用のもので、放水ノズル(放水銃等)を旋回、俯仰可能なものが記載されている。
(甲第12?14号証)
甲第12号証には、スラリの再懸濁、消火活動、水撃採鉱、高電圧電力線の洗浄、及び一般の洗浄作業に、甲第13号証には、船舶の外板の洗浄、及びタンクや壁面等の洗浄に、甲第14号証には、車両及びその周辺環境の洗浄、清掃あるいは消火に、それぞれ使用される洗浄装置が記載されている。
(2)次に、本件考案と甲第8号証記載のものと比較してみると、甲第8号証記載のものは、本件考案における駆動源に接続された大容量のポンプ(高圧水ポンプ1)、洗浄水を被洗浄魚網に向けて噴出する噴出ノズル(高圧水下向噴出ノズル4)、これらポンプとノズルとを接続する移送ホース(高圧水ホース2)を有している点で、本件考案と共通するものの、甲第8号証記載のものは、本件考案のように前記ノズルを定位置に固定するスタンド台に前記ノズルを取り付けるものではなく、前記ノズルは自走車に取り付けられ、移動しながら洗浄するものである点で、両者は相違(以下、相違点1という。)すると共に、甲第8号証記載のものは、本件考案のように「スタンド台に搭載されかつ移送ホースの先端に接続されて移送水の方向を上向きに誘導する垂直管部(8)と、該垂直管部に接続されて噴出ノズルを支持するスイング管部(9)と、垂直管部に配されその上部を水平回転可能に支持する水平回転ジョイント部(10)と、スイング管部の基部に配されスイング管部を上下揺動可能に支持する垂直回転ジョイント部(11)とを具備する」ものでない点でも、両者相違(以下、相違点2という。)する。
請求人は、本件考案と甲第8号証記載のものとは、前記相違点2のみにおいて両者は相違するとして、この相違点は、甲第1号証に記載されており、これを甲第8号証記載のものに組み合わせて、本件考案の構成を得ることは、当業者にとってきわめて容易に考える程度のことと主張するので、この点について検討する。
確かに、甲第1号証のものは、本件考案の垂直管部、スイング管部にそれぞれ対応する回転台座3、ノズル取付金具7を有し、回転台座を水平回転(旋回)するよう取り付けると共に、ノズル取付金具を上下揺動(俯仰)するように取り付けている点で、本件考案と類似するものである。
しかしながら、甲第8号証記載のものは、そもそも下向きに洗浄水を噴出するもので、甲第1号証記載のもののように噴出ノズルを側方に向けて上下揺動させるものとは、洗浄方式が相違するものであり、これらを組み合わせることを考えること自体当業者において困難であると共に、両者の洗浄装置の構造も前記のように相当相違することから、甲第8号証のものの洗浄装置を甲第1号証記載の洗浄装置に置き換えるためには、設計上多大な困難を伴うものと認められる。
さらには、前記相違点1についても、甲第8号証記載のものは、床面に魚網を展開してその上を移動しながら洗浄するものであることから、他に本件考案のように定位置に洗浄装置を固定して洗浄するものがあったとしても、これに変更し、本件考案の前記相違点のごとくすることは、当業者といえどもきわめて容易に思い付くとは認められない。
以上のことから、本件考案は、甲第1,8号証記載のものから当業者がきわめて容易に考案をすることができたものとすることができない。
(3) また、甲第9?11号証、とりわけ甲第9号証には、本件考案の「スタンド台に搭載されかつ移送ホースの先端に接続されて移送水の方向を上向きに誘導する垂直管部(8)と、該垂直管部に接続されて噴出ノズルを支持するスイング管部(9)と、垂直管部に配されその上部を水平回転可能に支持する水平回転ジョイント部(10)と、スイング管部の基部に配されスイング管部を上下揺動可能に支持する垂直回転ジョイント部(11)とを具備する」という構成における実施例と同じものが記載されていると認められるが、これら甲号各証のものは、消防、消火用のもので、本件考案のような魚網洗浄とは、技術分野を異にし、しかも、洗浄のうちの特定の洗浄である魚網洗浄に、直ちにこれら甲号各証記載のものを適応することを思い付くことは、当業者において困難と認められる。
これに対して、請求人は、甲第12?14号証に記載されたことを例示して、水噴射洗浄において消防分野の水噴射装置を転用することは従来周知と主張しているが、これら甲号各証に記載されたものをみると、これらに記載されたものそれ自体は、それぞれに記載された技術分野に適用されるものであって、これらに記載されたことから、一般的に、水噴射洗浄において消防分野の水噴射装置を転用することは従来周知であるとすることはできない。
してみると、甲第9?11号証に記載されたものを、甲第12?14号証記載のことから、直ちに魚網洗浄の分野に適用することは、当業者においてきわめて容易に思い付くこととは認め難く、また、甲第8号証記載のものと甲第9?11号証記載のものを組み合わせることを思い付くことも当業者において困難であり、さらには、甲第8号証記載の洗浄装置と甲第9?14号証記載の洗浄装置とは、構造上相当相違しているため、甲第8号証のものに、甲第9?14号証のものの何れかを置き換えて、本件考案の洗浄装置とすることは、設計上多大な困難を伴うものと認められる。
(4)以上のことから明らかなように、本件考案は、甲第8号証記載のものに甲第1号証記載のものを組み合わせて、当業者がきわめて容易に考案できたものとも、甲第8?14号証記載のものから当業者がきわめて容易に考案をすることができたものともすることができない。
よって、この請求人の主張する無効理由1は採用できない。
2.請求人の無効理由2について
(1)甲第5?7号証記載の事項及び証人嘉山道夫の証言によれば、証人嘉山道夫は、木村金属という解体屋からノズル、ホース、吸い込みホースを購入し、これらを安田鉄工所に持ち込み、安田鉄工所にて網洗い機を製作し、これを購入したと認められる。また、証人嘉山道夫の証言によれば、この購入した網洗い機は、使用上問題があったため、北条鉄工所にてスタンド台にノズルを取り付けるようにし、平成2年の夏ごろに、検甲第1号証の魚網洗浄装置と同じ構造の網洗い機に改良され、この改良された網洗い機は、その夏頃(平成2年の)から、長井漁港の岸壁にて公然と使用され、腐食等により破損故障した部品が同じ部品に交換されたが、平成4年頃から使用されなくなり、検甲第1号証の魚網洗浄装置に到ったと認められる。そして、北条鉄工所にてスタンド台にノズルを取り付けるようにし、平成2年の夏ごろに、検甲第1号証の魚網洗浄装置と同じ構造の網洗い機に改良されたことは、証人北条庄三の証言からも認められる。
他方、検甲第1号証の検証および証人嘉山道夫の証言によれば、検甲第1号証の魚網洗浄装置の平成2年夏頃の構成、即ち前記改良された網洗い機の構成は、以下のものと認められる。
「機体に、デイーゼルエンジンと、該デイーゼルエンジンに接続されて吸水した水を加圧状態で吐出する大容量ホンプとが搭載されるとともに、該大容量ポンプに高圧水を離間位置に移送する移送ホースが接続状態に配され、該移送ホースの先端に洗浄水を被洗浄魚網に向けて噴出し付着物を剥離させる噴出ノズルが配され、移送ホースの先端と噴出ノズルとの途中に、操作位置に配されるスタンド台と、該スタンド台に搭載されかつ移送ホースの先端に接続されて移送水の方向を上向きに誘導する垂直管部と、該垂直管部に接続されて噴出ノズルを支持するスイング管部と、垂直管部に配されその上部を水平回転可能に支持する水平回転ジョイント部と、スイング管部の基部に配されスイング管部を上下揺動可能に支持する垂直回転ジョイント部とを具備する大型魚網の洗浄装置」
そこで、本件考案と前記改良され、公然と使用された網洗い機とを比較すると、両者同一であることは明らかである。
そうすると、本件考案は、本件出願前日本国内において公然と実施されたものと同一と認められることから、平成5年法律第26号附則第4条第1項の規定によりなおその効力を有するとされる、実用新案法第3条第1項第2号に該当し、実用新案登録を受けることができない。
第4 結語
したがって、本件登録は、平成5年法律第26号附則第4条第1項の規定によりなおその効力を有するとされる、実用新案法第3条第1項第2号の規定に違反してされたもので、同法第37条第1項第1号に該当し、無効とされるものである。
よって、結論のごとく審決する
審決日 1998-05-21 
出願番号 実願平3-54717 
審決分類 U 1 112・ 112- Z (A01K)
U 1 112・ 121- Z (A01K)
最終処分 成立  
前審関与審査官 長井 啓子  
特許庁審判長 酒井 雅英
特許庁審判官 田中 久直
木原 裕
登録日 1996-08-01 
登録番号 実用登録第2130124号(U2130124) 
考案の名称 大型魚網の洗浄装置  
代理人 内田 亘彦  
代理人 蛭川 昌信  
代理人 韮澤 弘  
代理人 成瀬 重雄  
代理人 青木 健二  
代理人 白井 博樹  
代理人 志賀 正武  
代理人 米澤 明  
代理人 阿部 龍吉  
代理人 渡邊 隆  
代理人 菅井 英雄  
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