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審決分類 審判 補正却下不服   B60N
審判 補正却下不服   B60N
管理番号 1018502
審判番号 補正審判1998-50142  
総通号数 13 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案審決公報 
発行日 2001-01-26 
種別 補正却下不服の審決 
審判請求日 1998-10-08 
確定日 1999-08-18 
事件の表示 平成4年実用新案登録願第86856号「簡易締結具」において、平成5年12月7日付けでした手続補正に対してされた補正の却下の決定に対する審判事件について、次のとおり審決する。   
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1.手続きの経緯
本願は平成4年11月25日の出願であって、その後、平成5年1月28日付手続き補正書で図1の補正がなされ、その後、平成5年10月14日付で手続補正指令がなされ、平成5年12月7日付けで明細書を補正する手続き補正がなされたものであり、そして、平成5年12月7日付け手続補正は、平成10年8月20日付けで決定をもって却下された。
2.原決定の理由
原決定における却下の理由は、「出願当初の明細書には、簡易締結具に関する記載があるのみで、自動車用リヤパワーシートに関する記載は一切無く、また補正後の明細書は、出願当初の図面から自明のこととも認められない。したがって、この補正は発明(考案の誤りと認められる。)の構成に関する技術的事項を実質的に変更するものであり、特許法第53条第1項(実用新案法第13条によって準用する特許法第53条第1項の誤りと認められる。)の規定により却下すべきものである。」というものである。
3.審判請求の理由
これに対して、請求人は請求の理由において、「決定の理由は、出願当初の明細書には、簡易締結具に関する記載があるのみで、自動車用リヤパワーシートに関する記載は一切無く、また補正後の明細書は、出願当初の図面から自明のこととも認められない。したがって、この補正は発明の構成に関する技術的事項を実質的に変更するものであり、特許法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
しかしながら、添付した特開平6-45839号公報(実開平の誤りと認められる。)に見られるように、本願考案の出願当初の明細書には簡易締結具に関する記載は全く無いものであり、審査官の補正の却下の決定は明らかに誤認と思われる。よって、請求の趣旨のとおりの審決を賜らんことを希求する。」旨主張している。
4.当審の判断
そこで上記決定について検討する。
本願の願書に添付した明細書には、【発明の名称】として「簡易締結具」が、また、【特許請求の範囲】の請求項1乃至請求項10には、「簡易締結具」に係る発明が記載されており、さらに、【発明の詳細な説明】の項の【0001】欄乃至【0049】欄、および【図面の簡単な説明】の項の【図1】乃至【図36】、【符号の説明】欄にも、一貫して簡易締結具に係る発明が記載されている。
そして、願書に添付した図面である【図面1】、【図面2】には前記明細書に記載された簡易締結具と何ら関係のないものが記載されている。
そして、平成5年10月14日付けで、
「1.明細書の【考案の名称】の欄を正確に記載した書面。・・・(注)「【発明の名称】」の欄名を「【考案の名称】」と正確に記載しその名称を記載すること。(願書のものと一致させること。)
1.明細書の【実用新案登録請求の範囲】の欄の全文を正確に記載した書面。・・・
1.明細書の【考案の詳細な説明】の欄の全文を正確に記載した書面。・・・
1.明細書の【図面の簡単な説明】の欄の【図3】?【図36】の説明を削除する旨を記載した書面。(注)【図3】?【図36】が添付されていないため。」
を内容とする手続補正指令(方式)がなされ、その指定期間内である平成5年12月7日付で手続補正書が提出された。
そして、平成6年6月21日付けで実用新案公開されたものは、願書と願書に添付した図面と上記日付で提出された補正明細書の【実用新案登録請求の範囲】、【図面の簡単な説明】および平成5年1月28日付の補正図面(図1)であるから、請求人の主張する当初明細書が公開されたものではないことは明らかである。
したがって、請求人が「願書に添付された明細書には簡易締結具に関する記載は全く無いものであり、審査官の補正の却下決定は明らかに誤認と思われる。」旨の主張は理由がなく誤りであり、願書に添付した明細書には確かに「簡易締結具」に係る発明が記載されている。
ところで、平成5年12月7日付けでした手続き補正(以下、本件補正という。)をみると、本件補正は明細書全文を補正するものであって、補正後の明細書の実用新案登録請求の範囲には、前記補正却下の決定で指摘された事項が記載されているものと認められる。
そして、本件補正によって、実用新案登録請求の範囲に記載された「車床に固着されるベースフレームと、クッションパッドが取り付けられ前記ベースフレーム上に配置される移動フレームと、前記ベースフレームと移動フレームの両フレームの前部間に連係させて設けられモータにより同時作動する一対のリンク手段と、前記移動フレームの後部両側に設けられ前記ベースフレームの対応部位に設けたガイドブラケット内を移動するローラを備えた案内手段とを具備したことを特徴とする自動車用リヤパワーシート。」という構成要件の意味するところは、本件補正により追加された「クッション機構をユニット化し、モータ、リンク手段で駆動するようにしたので、スライドレールを用いる必要が無く、モータ、ギヤボックス等を着座センタより外側に配置できるため、尻下スペースを確保でき低車高化に対応できると共に、クッション単体で簡単にボディへ組み付けられ、かつ軽量で低価格に製造できる。」(【0014】欄)というものであるから、この構成は「簡易締結具」に係る記載からは、とうてい示唆されているものとは認められない。
そして、願書に添付された図面1,2は、願書に添付された明細書中には何ら説明も示唆もないものであり、上記補正で補正された自動車用リヤパワーシートを構成する、車床、ベースフレーム、移動フレーム、モータ、1対のリンク手段ガイドブラケット、ローラおよび案内手段がどれを示すのかまたどのような配置関係となっているのか不明であり、本件出願時の技術水準、技術常識をもってしても願書に添付した図面の記載からみて自明な事項とは言えない。
したがって、本件補正は、願書に添付した明細書又は図面に記載がなく、またその記載からみて自明の事項でもないものであるから、明細書の要旨を変更するものである。
6.むすび
以上のとおりであるから、本件補正は実用新案法第13条の規定で準用する特許法第53条第1項の規定により却下すべきとした原審の決定は妥当である。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 1999-06-07 
結審通知日 1999-06-22 
審決日 1999-06-18 
出願番号 実願平4-86856 
審決分類 U 1 7・ 2- Z (B60N)
U 1 7・ 13- Z (B60N)
最終処分 不成立    
前審関与審査官 平岩 正一  
特許庁審判長 岡田 幸夫
特許庁審判官 大里 一幸
和泉 等
考案の名称 簡易締結具  
代理人 瀬谷 徹  
代理人 斎藤 栄一  

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