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審決分類 審判 全部申し立て   C09J
審判 全部申し立て   C09J
管理番号 1018552
異議申立番号 異議1997-75395  
総通号数 13 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案決定公報 
発行日 2001-01-26 
種別 異議の決定 
異議申立日 1997-11-07 
確定日 1999-07-14 
異議申立件数
事件の表示 実用新案登録第2535728号「両面接着テープ」の実用新案に対する実用新案登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。   
結論 実用新案登録第2535728号の実用新案登録を取り消す。
理由 [1]手続の経緯
本件実用新案登録第2535728号は、平成1年6月19日に実用新案登録出願され、平成9年2月21日にその実用新案登録の設定登録がなされ、その後、鐘尾宏紀より実用新案登録異議の申立てがされ、取消理由通知がなされ、その指定期間内である平成10年5月18日に訂正請求がなされ、訂正拒絶理由通知がなされ、その指定期間内である平成11年3月8日に訂正拒絶理由通知に対する意見書と共に、手続補正書(訂正請求書)が提出された。
[2]訂正請求についての判断
1.訂正明細書請求項1に係る考案
訂正明細書請求項1に係る考案は、その実用新案登録請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものである。
『不織布製基材の両面に粘着剤層を設け、該粘着剤層に剥離紙を積層してなる両面接着テープにおいて、不織布製基材がアバカ繊維を短網方式により抄紙したものであり、該粘着剤を基材に含浸させたことを特徴とする両面接着テープ。』
2.平成11年3月8日付け手続補正書(訂正請求書)により補正した訂正明細書請求項1に係る考案
補正した訂正明細書請求項1に係る考案は、その実用新案登録請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものである。
『不織布製基材の両面に粘着剤層を設け、該粘着剤層に剥離紙を積層してなる両面接着テープにおいて、不織布製基材がアバカ繊維を短網方式により抄紙したものであり、該粘着剤を基材に含浸させ、且つ、テープ層引張強度が1.86kg/cm以上、テープ層伸び率が5.4%以下であることを特徴とする両面接着テープ。』
3.補正の適否
補正は、訂正明細書請求項1に係る考案の構成に、新たに構成要件として、「テープ層引張強度が1.86kg/cm以上、テープ層伸び率が5.4%以下であること」を挿入することである。
訂正後の本件考案の「テープ層引張強度」及び「テープ層伸び率」について、訂正明細書の記載を検討すると、実施例において、「本実施例で加工した両面接着テープのテープ層(1)の引っ張り強度は縦横それぞれ、1.95kg/cmおよび1.86kg/cmであり、伸び率は縦横それぞれ3.2%及び5.4%であった。」と記載されているのみであって、「テープ層引張強度が1.86kg/cm以上、テープ層伸び率が5.4%以下である」とする考案は記載されていないというべきである。
したがって、この補正は、訂正明細書に記載された事項の範囲内のものと認められず、訂正請求の要旨を変更するものであるので、この補正は認められない。
4.引用刊行物記載事項
訂正明細書請求項1に係る考案に対して、当審が訂正拒絶理由通知において示した刊行物1?5及び7には、次のことが記載されている。
刊行物1(甲第1号証)
徳永隼男編集兼発行人「不織布・化合繊紙・衛生紙の実態」、昭和45年4月1日、(株)日本産業研究所発行、第97頁
『粘着テープ原紙 近年、レーヨン紙の粘着テープ使用が注目されてきている。 従来、100%マニラ麻製機械漉典具帖が使用され、両面テープとして使用されてきたが、片面テープ用としては加工作業適性が悪いことから殆ど使用されていない。 粘着テープ原紙としての要求特性は、接着剤の滲透性がよく、塗布面と裏側の接着性が同時であること。即ち、紙の表面で測定した合成高分子物質の滲透性が裏面から測定してもその差がなく、而も薄くて強く、密度が小さく、透明であり、表面が平滑であるなどが挙げられる。』
刊行物2(甲第2号証)
門屋卓編著「機能紙」、1988年10月1日、株式会社工業調査会発行、第98頁、第108頁
『典具帖(てんぐじょう) 特に精選したこうぞを原料とし、薄い粗目の絹紗(しゃ)をはった竹簀を用いてすいた極く薄い薄葉紙である。・・・やがて、「トサ・ステンシル・ペーパー」として海外にも宣伝され、最盛期を迎えるが戦後は、人件費の上昇により、巻取紙が要望され、間もなく昭和36年には懸垂式短網抄紙機による機械ずきが実現するに及んで、手すきの典具帖は衰微し、現在は1戸だけになってしまった。』
刊行物3(甲第3号証)
化学大辞典編集委員会編「化学大辞典8」昭和
37年2月28日、共立出版株式会社発行、第879-880頁「マニラあさ ??麻」の項
『マニラアサおよびこれより得られる葉繊維をいう。フィリピンが原産地で、アバカとよばれる。・・・機械スキ和紙原料とする。』
刊行物4(甲第4号証)
日本粘着テープ工業会編「粘着ハンドブック」、昭和60年7月10日、日本粘着テープ工業会発行、第379-380頁、第384頁

『銘板業界 家電製品例えばテレビ、ラジオ、ビデオなどには、アルミニウムあるいはポリカーボネート、塩ビなどの樹脂の銘板や装飾プレートが接着されている。以前はこの接着に接着剤、ネジなどが使用されていたが、最近ではこれらに代わって両面粘着テープが使用される様になってきた。』
刊行物5(甲第5号証)
堀洸著「小ロット生産の製紙実務」昭和58年8月20日、株式会社紙業タイムス社発行、第203-204頁
『短網抄紙機および懸垂型抄紙機での紙層の形成 円網方式のもつ簡便さを維持しつつ、その欠点である地合いの不均一や繊維配列のタテヨコ差を縮小するなどの効果を上げようとすることであって、特に濾水性の悪い長繊維紙料などについては、脱水速度をコントロールし、場合によっては網上で繊維の横方向などへの二次移動をはかるなど、手すきに近い抄紙効果を求めようとされているものである。』
刊行物7(参考文献1)
「高分子加工」別冊・8第20巻創刊号 粘着 第190頁 高分子刊行会 昭和46年6月20日発行
『両面粘着紙(不織布も含む) この両面粘着テープは、不織布、和紙、白上質紙、グラシン紙を基材としたテープであり、なかでも不織布、和紙を補強剤として粘着剤をこれに含浸したテープが両面粘着テープを代表するものである。』
5.対比・判断
訂正明細書請求項1に記載された考案(以後、訂正後の本件考案という。)と刊行物1に記載された考案とを対比する。
訂正後の本件考案を構成するアバカ繊維を短網方式により抄紙した不織布製基材は、刊行物1に記載された100%マニラ麻製機械漉典具帖と同一である(マニラ麻がアバカ繊維であることは刊行物3、機械漉典具帖が短網方式により抄紙されていることは刊行物2、短網抄紙機については刊行物5参照)。
刊行物1には、両面粘着テープの具体的な構造は記載されていないが、両面粘着テープの構造は、基材の両面に粘着剤層を設け、その粘着剤層に剥離ライナーを積層したものであることは、刊行物4に記載されているように、本件出願前に当業者によく知られたことであるので、当業者が、刊行物1に記載された両面テープを検討すれば、刊行物4に記載された両面粘着テープにおいて、支持体として、100%マニラ麻製機械漉典具帖を用いた両面粘着テープを想い到るものと認められる。
そうすると、訂正後の本件考案と刊行物1に記載された考案とを対比すると、前者が、「粘結剤を基材に含浸させたこと」を構成要件として明示しているのに対し、後者が、「粘着テープ原紙としての要求特性は、接着剤の滲透性がよく」と記載されているものの、「接着剤(粘着剤と同義)を含浸させること」を明示していない点で相違する。
この相違点を検討する。
刊行物7には、「両面粘着テープは、不織布、和紙・・・を基材としたテープであり、なかでも不織布、和紙を補強剤として粘着剤をこれに含浸したテープが両面粘着テープを代表するものである。」と記載されている。 そうすれば、刊行物1に記載された考案において、粘着剤を基材に含浸させることは、当業者がきわめて容易に想い到ることである。
したがって、訂正後の本件考案は、旧実用新案法第3条第2項の規定により、出願の際独立して実用新案登録を受けることができないものである。
よって、本件訂正請求は、平成6年法第116号附則第9条2項によって準用する特許法第120条の4第3項で準用する同第126条第4項の規定に適合しないので、当該訂正は認められない。
[3]実用新案登録異議申立についての判断
1.本件考案
上記したとおり、本件訂正請求は認められないものであるので、本件考案は、登録時の実用新案登録明細書の実用新案登録請求の範囲に記載された次のとおりのものである。
『不織布製基材の両面に粘着剤層を設け、該粘才剤層に剥離紙を積層してなる両面接着テープにおいて、不織布製基材がアバカ繊維を短網方式により抄紙したものであることを特徴とする両面接着テープ。』
2.引用刊行物
本件考案に対して、当審が通知した取消理由に引用した刊行物1-5は、上記[2]4.引用刊行物記載事項に記載した刊行物1-5と同一である。
3.対比・判断
本件考案と刊行物1に記載された考案とを対比する。
本件考案を構成するアバカ繊維を短網方式により抄紙した不織布製基材は、刊行物1に記載された100%マニラ麻製機械漉典具帖と同一であることは、上記[2]5.対比・判断に記載したとおりである。
また、刊行物1に記載された両面テープの構造を当業者が検討すれば、刊行物4に記載された両面粘着テープにおいて、基材として、100%マニラ麻製機械漉典具帖を用いたものを想い到ることも、上記[2]5.対比・判断に記載したとおりである。
そうすると、本件考案と刊行物1に記載された考案とは差異がないことになり、両者は、同一の考案と認められる。
[4]むすび
以上のとおりであるから、本件考案は、上記刊行物1に記載された考案であるので、本件実用新案登録は旧実用新案法第3条第1項第3号に違反してされたものである。
したがって、本件実用新案登録は、平成6年法第116号附則第9条2項によって準用する特許法第113条第2号に該当するので、取り消すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 1999-05-28 
出願番号 実願平1-70838 
審決分類 U 1 651・ 113- ZB (C09J)
U 1 651・ 121- ZB (C09J)
最終処分 取消  
前審関与審査官 石井 あき子  
特許庁審判長 井出 隆一
特許庁審判官 關 政立
中島 次一
登録日 1997-02-21 
登録番号 実用登録第2535728号(U2535728) 
権利者 大日本インキ化学工業株式会社
東京都板橋区坂下3丁目35番58号
考案の名称 両面接着テープ  
代理人 高橋 勝利  
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