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審決分類 審判 全部申し立て   E01C
審判 全部申し立て   E01C
管理番号 1018563
異議申立番号 異議1998-75773  
総通号数 13 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案決定公報 
発行日 2001-01-26 
種別 異議の決定 
異議申立日 1998-11-25 
確定日 2000-01-15 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 実用新案登録第2572850号「アスファルト合材製造プラント」の請求項1ないし4に係る実用新案に対する実用新案登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。   
結論 訂正を認める。 実用新案登録第2572850号の請求項1ないし4に係る実用新案登録を維持する。
理由 I.手続きの経緯
本件実用新案登録第2572850号に係る考案は、平成5年2月17日に出願され、平成10年3月13日にその実用新案の設定登録がされ、その後、平成10年11月24日に田中鉄工株式会社、平成10年11月25日に株式会社新潟鉄工所より、実用新案登録異議の申立てがあり、平成11年8月2日(起案日)に取消理由通知がなされ、その指定期間内である平成11年10月18日に実用新案登録異議意見書を提出すると共に訂正請求されたものである。
II.訂正請求について
1.請求の趣旨及び訂正事項
訂正請求の趣旨は、実用新案登録第2572850号の明細書を請求書に添付した訂正明細書のとおり訂正することを求めるものであり、そして、その訂正事項は、以下(a)?(i)のとおりのものである。
(a)実用新案登録明細書の【実用新案登録請求の範囲】の【請求項1】を、
「アスファルトプラントのプラント本体の側部に背丈の高い高架台をその長手方向にそいプラント本体の運搬車出入用通路にそって該通路に跨がせて設置して、この高架台の下位の下段フロアの下に高架台の長手方向に運搬車が進入することのできる空間を確保し、該高架台上にアスファルト舗装廃材を加熱再生する廃材再生用ドライヤを配設すると共に、該廃材再生用ドライヤの廃材排出部より排出される加熱廃材を一時貯蔵する廃材貯蔵ビンも該高架台上に配設し、更に加熱骨材を貯蔵、計量、混合するプラント本体へ前記廃材貯蔵ビンから払い出される加熱廃材を直接搬送する廃材搬送装置を配設し、ミキサーから排出する加熱廃材を混合したアスファルト合材を上記高架台の下位の高架台の長手方向に進入する運搬車に積載して搬送するようにしたことを特徴とするアスファルト合材製造プラント。」に訂正する。
(b)実用新案登録明細書の【実用新案登録請求の範囲】の【請求項4】を、
「前記高架台をプラント本体の運搬車出入用通路にそって該通路に跨がせて設置すると共に、該高架台の下位には運搬車が走行することのできる空間を確保して運搬車にアスファルト合材を積載するようにしたことを特徴とする請求項1又は請求項2又は請求項3に記載のアスファルト合材製造プラント。」に訂正する。
(c)実用新案登録明細書の段落【0006】の【課題を解決するための手段】の、「高架台を立設し、」を、
「高架台をその長手方向にそいプラント本体の運搬車出入用通路にそって該通路に跨がせて設置して、この高架台の下位の下段フロアの下に高架台の長手方向に運搬車が進入することのできる空間を確保し、」に、
「廃材搬送装置を配設した」を、
「廃材搬送装置を配設し、ミキサーから排出する加熱廃材を混合したアスファルト合材を上記高架台の下位の高架台の長手方向に進入する運搬車に積載して搬送するようにした」に訂正する。
(d)実用新案登録明細書の段落【0009】の「出入用通路…するように」を、
「出入用通路にそって該通路に跨がせて設置すると共に、該高架台の下位には運搬車が走行することのできる空間を確保して運搬車にアスファルト合材を積載するように」に訂正する。
(e)実用新案登録明細書の段落【0010】の【作用】の、「また…図れる、」を、
「そして、上記高架台をプラント本体のドライヤ軸にそいプラント本体の運搬車出入用通路にそって該通路に跨がせて設置してこの高架台の下位の下段フロアの下に高架台の長手方向に運搬車が進入することのできる空間を確保することによって、プラント本体正面の運搬車出入用通路上にリサイクルプラントを設置することが可能となって敷地の有効利用が図れ、従来リサイクルプラントが増設しにくかった狭いプラント工場であっても、リサイクルプラントの増設が可能となり、しかもリサイクルプラントを搭載した高架台の下方を車両が進入できてアスファルト合材を積載して搬送することができる。」に訂正する。
(f)実用新案登録明細書の段落【0014】の、「出入用…なる。」を、
「出入用通路にそって該通路に跨がせて設置すると共に、該高架台の下位には運搬車が走行することのできる空間を確保して運搬車にアスファルト合材を積載するようにしたので、増設がしやすくなり、リサイクルアスファルトプラントのアスファルト合材を運搬車で能率よく運搬することができる。」に訂正する。
(g)実用新案登録明細書の段落【0026】を、
「このようにして、プラント本体のミキサーに廃材を廃材搬送装置で送給自在に形成して、ミキサーから排出する加熱廃材を混合したアスファルト合材を上記高架台の下位に進入する運搬車に積載して搬送することができるものである。」に訂正する。
(h)実用新案登録明細書の段落【0027】の【考案の効果】の、「よれば、」を、
「よれば、アスファルトプラントのプラント本体の側部に背丈の高い高架台をその長手方向にそいプラント本体の運搬車出入用通路にそって該通路に跨がせて設置して、この高架台の下位の下段フロアの下に高架台の軸方向に運搬車が進入することのできる空間を確保することによって、プラント本体正面の運搬車出入用通路上にリサイクルプラントを設置することが可能となって敷地の有効利用が図れるようになり、プラント本体正面の運搬車出入用通路の空きスペースを有効利用できて、従来リサイクルプラントが増設しにくかった狭いプラント工場であってもリサイクルプランントの増設が可能となるものである。そしてまた、」に、
「更に、…図れる。」を、
「更に、ミキサーから排出する加熱廃材を混合したアスファルト合材を上記高架台の下位に走行する運搬車に積載して搬送することによって、上記リサイクルプラントを搭載した高架台の下方を車両が進入できてアスファルト合材を積載して搬送することができる。」に訂正する。
(i)実用新案登録明細書の段落【0030】の、「出入用…なる。」を、
「出入用通路にそって該通路に跨がせて設置すると共に、該高架台の下位には運搬車が走行することのできる空間を確保して運搬車にアスファルト合材を積載するようにしたので、工場敷地の狭いところの本来空きスペースとなっているプラント本体の運搬車出入用通路を有効利用できてリサイクルプラントの増設がしやすくなり、リサイクルアスファルトプラントのアスファルト合材を運搬車で能率よく運搬することができる。」に訂正する。
2.訂正の要件の適否
2-1.訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否
(1)訂正事項aは、請求項1に記載された「高架台を立設し、」を「高架台をその長手方向にそいプラント本体の運搬車出入用通路にそって該通路に跨がせて設置して、この高架台の下位の下段フロアの下に高架台の長手方向に運搬車が進入することのできる空間を確保し、」とし、「廃材搬送装置を配設した」を「廃材搬送装置を配設し、ミキサーから排出する加熱廃材を混合したアスファルト合材を上記高架台の下位の高架台の長手方向に進入する運搬車に積載して搬送するように」とするもので、それぞれ「高架台」及び「廃材搬送装置」の構成をより具体的に限定したものであるから、実用新案登録請求の範囲の請求項1の減縮を目的とするものと認められる。
さらに、上記訂正事項は、前者が出願当初の明細書の段落【0009】等に記載されていると共に図1?3に図示されているものであり、また、後者の訂正事項も願書に添付した明細書の段落【0023】及び図1?3に記載されているから、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であるということができる。
そして、訂正事項(a)は、実質上実用新案登録請求の範囲を拡張し又は変更するものでもない。
(2)訂正事項(b)は、請求項4に記載された「高架台を・・・するように」を「高架台をプラント本体の運搬車出入用通路にそって該通路に跨がせて設置すると共に、該高架台の下位には運搬車が走行することのできる空間を確保して運搬車にアスファルト合材を積載するように」と、高架台の構成をより具体的に限定したものであるから、実用新案登録請求の範囲の請求項4の減縮を目的とするものと認められる。
さらに、上記訂正事項は、前者が出願当初の明細書の段落【0025】、【0026】に記載されていると共に図1?3に図示されているものであり、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であるということができる。
そして、訂正事項(b)は、実質上実用新案登録請求の範囲を拡張し又は変更するものでもない。
(3)訂正事項(c)?(i)については、上記訂正事項(a)の実用新案登録請求の範囲の請求項1及び上記訂正事項(b)の実用新案登録請求の範囲の請求項4の訂正に伴い、実用新案登録請求の範囲の記載と考案の詳細な説明の記載との整合を図るための訂正で、明りようでない記載の釈明を目的とするものと認められ、また、上記(1)訂正事項(a)について及び(2)訂正事項(b)について検討したと同様、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、実用新案登録請求の範囲を拡張し又は変更するものでもない。
2-2.独立実用新案登録要件についての判断
前記のように、実用新案登録請求の範囲の訂正は、請求項1及び請求項4について減縮を目的として訂正されたものであるから、本件訂正明細書の請求項1、4に係る考案についての独立実用新案登録登録要件の判断をする。
(訂正明細書の請求項1、4に係る考案)
本件訂正明細書の請求項1、4に係る考案は、訂正明細書の実用新案登録請求の範囲の請求項1に記載された事項より構成される次のとおりのものである。
「【請求項1】アスファルトプラントのプラント本体の側部に背丈の高い高架台をその長手方向にそいプラント本体の運搬車出入用通路にそって該通路に跨がせて設置して、この高架台の下位の下段フロアの下に高架台の長手方向に運搬車が進入することのできる空間を確保し、該高架台上にアスファルト舗装廃材を加熱再生する廃材再生用ドライヤを配設すると共に、該廃材再生用ドライヤの廃材排出部より排出される加熱廃材を一時貯蔵する廃材貯蔵ビンも該高架台上に配設し、更に加熱骨材を貯蔵、計量、混合するプラント本体へ前記廃材貯蔵ビンから払い出される加熱廃材を直接搬送する廃材搬送装置を配設し、ミキサーから排出する加熱廃材を混合したアスファルト合材を上記高架台の下位の高架台の長手方向に進入する運搬車に積載して搬送するようにたことを特徴とするアスファルト合材製造プラント。
【請求項4】前記高架台をプラント本体の運搬車出入用通路にそって該通路に跨がせて設置すると共に、該高架台の下位には運搬車が走行することのできる空間を確保して運搬車にアスファルト合材を積載するようにしたことを特徴とする請求項1又は請求項2又は請求項3記載のアスファルト合材製造プラント。」
(引用刊行物又は甲各号証)
取消理由では、実用新案登録異議申立人株式会社新潟鉄工所が甲第2?4号証として提出した刊行物を、刊行物1?3として引用したもので、夫々以下の考案が記載されている。
刊行物1(甲第2号証)[WIBAU社“Die Asphaltstrasse 8/91”(国会図書館平成4年2月24日受入)p.6,10,12-13]には、第12?13頁の第26図よりみて、
「アスファルトプラントのプラント本体の側部に背丈の高い高架台を立設し、該高架台上にアスファルト粒を加熱再生する並流乾燥機Fを配設すると共に、該並流乾燥機Fの排出部より排出される加熱アスファルト粒廃材を一時貯蔵するバッファータンクHも前記高架台上に配設し、前記バッファータンクHから払い出される加熱アスファルト粒をプラント本体のミキサー▲14▼または直接積み込み用の積み込みサイロKのいずれかに搬送し得る加熱アスファルト粒用スクリューコンベアJを配設し、ミキサー▲14▼または積み込みサイロKの下方は運搬車が出入りできる空間とされているアスファルト合材製造プラント。」という考案が記載され、
刊行物2(甲第3号証)[社団法人日本道路協会編集・発行「アスファルト混合所便覧」(昭和54年11月1日)p.13-15]には、第14?15頁の図-4.1、図-4.2よりみて、
「骨材は、ドライヤ4、ホットエレベータ8、フルイ9、骨材計量そう12を経てミキサ19へ供給され、アスファルトと石粉は、別途アスファルトタンク17、溶解供給設備と石粉貯蔵供給設備より、夫々アスファルト計量そう14、石粉計量そう13を経てミキサ19へ供給され、ミキサ19にて骨材、アスファルト及び石粉を混合後、ミキサ19の下に出入りするダンプトラックへ積み込むバッチ式プラントの構造。」が記載され、
刊行物3(甲第4号証)[実願昭63-88244号(実開平2-11812号)のマイクロフィルム]には、第1頁第12?14行、第3頁第12?15行、第4頁第6?19行及び第1図よりみて、
「アスファルト舗装廃材再生用ドライヤにおいて、ドライヤ1の下にバーナ6及び燃焼室7を配置することにより、バーナ6及び燃焼室7がドラム2端部より張り出さないので、ドライヤ1の寸法が短くなり省スペース化が図れる構造。」が記載されている。
(対比・判断)
本件訂正明細書の請求項1に係る考案について
本件訂正明細書の請求項1に係る考案と刊行物1記載の考案とを比較すると、
刊行物1記載の考案の「アスファルト粒」、「並流乾燥機」、「排出部」、「加熱アスファルト粒」、「バッファータンク」及び「加熱アスファルト粒用スクリューコンベア」は、夫々本件請求項1に係る考案の「アスファルト舗装廃材」、「廃材再生用ドライヤ」、「廃材排出部」、「加熱廃材」、「廃材貯蔵ビン」及び「廃材搬送装置」に相当するから、
本件訂正明細書の請求項1に係る考案と刊行物1記載の考案とは、以下の点で相違するが、残余の点では一致している。
(1)本件訂正明細書の請求項1に係る考案の高架台をその長手方向にそいプラント本体の運搬車出入用通路にそって該通路に跨がせて設置して、この高架台の下位の下段フロアの下に高架台の長手方向に運搬車が進入することのできる空間を確保し、ミキサーから排出する加熱廃材を混合したアスファルト合材を上記高架台の下位の高架台の長手方向に進入する運搬車に積載して搬送するようにした点は、刊行物1に記載されていない点。
(2)本件訂正明細書の請求項1に係る考案の、廃材搬送装置は、加熱骨材を貯蔵、計量、混合するプラント本体へ直接搬送するものであるが、刊行物1記載の考案の、廃材搬送装置は、プラント本体のミキサーまたは加熱廃材直接積み込み用の積み込みサイロのいずれかに搬送し得る構造とされている点。
そこで、上記相違点について、検討すると、
相違点(1)について
刊行物2には、ミキサの下にダンプトラックを出入りさせ、ミキサーから排出する加熱廃材を混合したアスファルト合材を該ダンプトラックへ積み込むことが記載されているものと認められるものの、本件訂正明細書の請求項1に係る考案の高架台を長手方向にプラント本体の運搬車出入用通路にそって該通路に跨がせて設置して、高架台の下位の下段フロアの下に長手方向に運搬車が進入することのできる空間を設け、運搬車を高架台の下位の長手方向に進入させ、ミキサーから排出する加熱廃材を混合したアスファルト合材を該運搬車に積載して搬送することは、記載されておらず、また、刊行物3には、運搬車にて搬送すること自体が記載されていない。
そして、本件訂正明細書の請求項1に係る考案は、相違点(1)における事項を構成要件とすることにより、実用新案登録明細書の段落【0014】及び段落【0030】に記載された「工場敷地の狭いところでも本来空きスペースとなっているプラント本体3の運搬車出入用通路を有効利用できてリサイクルプラントの増設がしやすくなる。」等という特有の作用、効果を奏するものと認められる。
したがって、相違点(2)について検討する迄もなく、相違点(1)により、本件訂正明細書の請求項1に係る考案は、取消理由に引用した刊行物1?3記載の考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものとすることはできず、また、他に実用新案登録を受けることができないとする理由も発見できないから、出願の際独立して実用新案登録を受けることができるものである。
本件訂正明細書の請求項4に係る考案について
本件訂正明細書の請求項4に係る考案は、上記のように、請求項1の考案を引用するものであるから、請求項4においてした限定事項について、検討する迄もなく、上記「本件訂正明細書の請求項1に係る考案について」した判断どおり、取消理由に引用した刊行物1?3記載の考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものとすることはできず、また、他に実用新案登録を受けることができないとする理由も発見できないから、出願の際独立して実用新案登録を受けることができるものである。
3.むすび
以上のとおりであるから、上記訂正請求は、平成6年法律第116号附則第9条第2項の規定により準用され、同附則第10条第1項の規定によりなお従前の例によって適用される特許法第120条の4第2項及び同条第3項で準用する第126条第2項乃至第4項の規定に適合し、当該訂正は認められる。
III.実用新案登録異議申立てについて
1.本件請求項1?4に係る考案
本件訂正明細書の請求項1?4に係る考案は、訂正明細書の実用新案登録請求の範囲の請求項1?4に記載されたもので、本件訂正明細書の請求項1、4に係る考案(以下、「本件請求項1、4に係る考案」という。)は、前記IIの2-2.の「(訂正明細書の請求項1、4に係る考案)」に記載したとおりのものであり、その他の本件訂正明細書の請求項2、3に係る考案(以下、「本件請求項2、3に係る考案」という。)は、以下のとおりのものである。
「【請求項2】廃材再生用ドライヤに熱風を送り込むバーナ及び燃焼室を廃材再生用ドライヤの下位スペースに配設するようにしたことを特徴とする請求項1記載のアスファルト合材製造プラント。
【請求項3】廃材再生用ドライヤから導出される排ガスを処理する集塵装置や排ガスを吸引排気するファンを高架台上の廃材再生用ドライヤ下位の下段フロアに配設したことを特徴とする請求項1又は請求項2記載のアスファルト合材製造プラント。」
2.実用新案登録異議申立ての理由
2-1.実用新案登録異議申立人田中鉄工株式会社は、
甲第1?4号証を提出し、本件請求項1に係る考案は、甲第1号証または甲第2号証記載の考案と同一であり、本件請求項4に係る考案は、甲第2号証記載の考案と同一であり、実用新案法第3条第1項第3号の規定に該当し、また本件請求項1?4に係る考案は、甲第1?4号証記載の考案に基づいて、当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるから、実用新案法第3条第2項の規定により、実用新案登録を受けることができないものであり、本件請求項1?4に係る考案の実用新案登録は取り消されるべきものである旨主張している。
2-2.実用新案登録異議申立人株式会社新潟鉄工所は、
甲第1?4号証を提出し、(1)本件においてした補正は、願書に最初に添付した明細書又は図面(甲第1号証参照)に記載した事項の範囲内においてなされたものでなく、それらの要旨を変更するものと認められるから、旧実用新案法第9条で準用する旧特許法第40条の規定により、本件実用新案登録に係る出願は、手続補正書を提出した平成9年12月5日にしたものとなり、本件請求項1?4に係る考案は、本件の出願について出願公開したものである甲第1号証[実願平5-4993号(実開平6-63606号)のCD-ROM]記載の考案と同一であり、また、上記補正が許されるとしても、
(2)本件請求項1、2、4に係る考案は、甲第2?4号証記載の考案に基づいて、当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるから、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができないものであり、本件請求項1、2、4に係る考案の実用新案登録は取り消されるべきものである旨主張している。
3.実用新案登録異議申立人が提出した甲各号証に記載の考案
3-1.実用新案登録異議申立人田中鉄工株式会社が提出した、甲第1?4号証に記載の考案

巻 1989年 第31?32頁)には、第32頁左上の図よりみて、
「プラント本体の側部に背丈の高い高架台を立設し、該高架台上にアスファルト舗装廃材を加熱再生する廃材再生用ドライヤを配設すると共に、
該廃材再生用ドライヤの廃材排出部の下位に加熱廃材を一時貯蔵する廃材貯蔵ビンを配設し、更に加熱骨材を貯蔵、計量、混合するプラント本体へ前記廃材貯蔵ビンから払い出される加熱廃材を直接搬送する廃材搬送装置を配設し、ミキサーから排出する加熱廃材を混合したアスファルト合材を運搬車に積載して搬送するようにしたアスファルト合材製造プラント」が記載され、
甲第2号証(“WESTDEUTSCHEASPHALT MASCHINEN社”(ドイツ)のカタログ」)には、第4頁の図よりみて、
「プラント本体の側部に背丈の高い高架台を立設し、該高架台上にアスファルト舗装廃材を加熱再生する廃材再生用ドライヤを配設すると共に、
該廃材再生用ドライヤの廃材排出部より排出される加熱廃材を貯蔵する廃材貯蔵ビンを配設し、更にプラント本体へ前記廃材貯蔵ビンから払い出される加熱廃材を直接搬送する廃材搬送装置を配設し、高架台の下位には空間が形成されるようにしたアスファルト合材製造プラント」が記載され、
甲第3号証(“Strasse und Autobahn”第37巻1986年 第131?139頁)には、第137頁第12?47行及び図5よりみて、
「プラント本体の側部に背丈の高い高架台を立設し、該高架台上にアスファルト舗装廃材を加熱再生する廃材再生用ドライヤを配設すると共に、該廃材再生用ドライヤの廃材排出部より排出される加熱廃材を一時貯蔵する廃材貯蔵ビンも前記高架台に配設したアスファルト合材製造プラント」が記載され、
甲第4号証(特開平5-9907号公報)には、図1及び【0059】に、
「廃材再生用ドライヤに熱風を送り込むバーナ及び燃焼室をドライヤから離れた位置に配設したこと」が記載されていると認められる。
3-2.実用新案登録異議申立人株式会社新潟鉄工所が提出した、甲第2?4号証に記載の考案
甲第2?4号証は、刊行物1?3として引用されたもので、それらに記載された考案は、前記II.の2-2.の「(引用刊行物又は甲各号証)」に記載のとおりである。
4.対比・判断
4-1.実用新案登録異議申立人田中鉄工株式会社の異議申立について
本件請求項1に係る考案と甲第1号証記載の考案を比較すると、
本件請求項1に係る考案の高架台をその長手方向にそいプラント本体の運搬車出入用通路にそって該通路に跨がせて設置して、この高架台の下位の下段フロアの下に高架台の長手方向に運搬車が進入することのできる空間を確保し、ミキサーから排出する加熱廃材を混合したアスファルト合材を上記高架台の下位の高架台の長手方向に進入する運搬車に積載して搬送するようにした点が、甲第1号証に記載されていない点で相違しており、その他の点では、一致している。
そこで、上記相違点を検討すると、甲第2号証には、高架台の下位にはその長手方向にそい空間が形成されるようになされているものの、その空間を運搬車出入用通路とすることは記載されておらず、そして、甲第2号証の記載によれば、高架台のフロアより下の空間に廃材貯蔵ビンに相当するものが垂下されており、すなわち廃材貯蔵ビン等は高架台上に配設されておらず、運搬車の進入の障害になり得ること、また、ミキサーの下には、柱或いは脚に相当するものが示されておらず、運搬車の進入は、高架台の長手方向に直交する方向より運搬車が進入するものとも理解できるから、高架台をその長手方向にそいプラント本体の運搬車出入用通路にそって該通路に跨がせて設置していないということができ、結局、甲第2号証には、上記相違点における本件請求項1に係る考案の事項は、記載されていないものと認められる。
さらに、その他の甲第3号証及び甲第4号証にも、上記相違点における本件請求項1に係る考案の事項は、記載されていないものと認められる。
そして、本件請求項1に係る考案は、上記相違点の事項を構成要件とすることにより、前記II.の2-2.の「(対比・判断)」における「相違点(1)について」に記載のような特有の作用,効果を奏するものと認められる。
したがって、本件請求項1に係る考案は、甲第1号証または甲第2号証記載の考案と同一とすることができないばかりでなく、甲第1?4号証記載の考案に基づいて、当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるとすることもできない。
また、本件請求項2?4に係る考案は、それぞれ本件請求項1の考案を引用するものであるから、上記本件請求項1の考案に対してした判断と同様、甲第2号証記載の考案と同一とすることも、甲第1?4号証記載の考案に基づいて、当業者がきわめて容易に考案をすることができたものとすることもできない。
4-2.実用新案登録異議申立人株式会社新潟鉄工所の異議申立について
(1)本件の出願における補正が適用される旧特許法第41条の規定によれば、公告前(登録前)の補正は、願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内において特許請求の範囲を増加(拡張)し又は変更する補正は、明細書の要旨を変更しないものとみなすとあり、実用新案登録異議申立人が主張している構成要件の一部事項を特許請求の範囲から削除して拡張したとしても、その補正は、願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものである以上、その補正は適法なものであり、旧特許法第40条の規定に該当しないから、出願日が繰り下がらず、本件実用新案登録に係る出願は、本件の出願に添付した明細書及び図面の公開前に出願されたこととなり、実用新案登録異議申立人の主張は、採用できない。また、
(2)本件請求項1、4に係る考案と甲第2?4号証記載の考案との対比・判断は、前記II.の2-2.の「(対比・判断)」でしたとおりであり、さらに、本件請求項2に係る考案も請求項1に係る考案を引用するものであるから、前記II.の2-2.の「(対比・判断)」の「本件訂正明細書の請求項1に係る考案について」でした判断どおりであり、本件請求項1、2、4に係る考案は、甲第2?4号証記載の考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものとすることもできないものである。
5.むすび
以上のとおりであるから、実用新案異議申立ての理由及び証拠方法によっては、本件請求項1?4に係る考案の実用新案登録を取り消すことはできない。
また、他に本件請求項1?4に係る考案の実用新案登録を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
発明の名称 (54)【考案の名称】
アスファルト合材製造プラント
(57)【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 アスファルトプラントのプラント本体の側部に背丈の高い高架台をその長手方向にそいプラント本体の運搬車出入用通路にそって該通路に跨がせて設置して、この高架台の下位の下段フロアの下に高架台の長手方向に運搬車が進入することのできる空間を確保し、該高架台上にアスファルト舗装廃材を加熱再生する廃材再生用ドライヤを配設すると共に、該廃材再生用ドライヤの廃材排出部より排出される加熱廃材を一時貯蔵する廃材貯蔵ビンも該高架台上に配設し、更に加熱骨材を貯蔵、計量、混合するプラント本体へ前記廃材貯蔵ビンから払い出される加熱廃材を直接搬送する廃材搬送装置を配設し、ミキサーから排出する加熱廃材を混合したアスファルト合材を上記高架台の下位の高架台の長手方向に進入する運搬車に積載して搬送するようにしたことを特徴とするアスファルト合材製造プラント。
【請求項2】 廃材再生用ドライヤに熱風を送り込むバーナ及び燃焼室を廃材再生用ドライヤの下位スペースに配設するようにしたことを特徴とする請求項1記載のアスファルト合材製造プラント。
【請求項3】 廃材再生用ドライヤから導出される排ガスを処理する集塵装置や排ガスを吸引排気するファンを高架台上の廃材再生用ドライヤ下位の下段フロアに配設したことを特徴とする請求項1又は請求項2記載のアスファルト合材製造プラント。
【請求項4】 前記高架台をプラント本体の運搬車出入用通路にそって該通路に跨がせて設置すると共に、該高架台の下位には運搬車が走行することのできる空間を確保して運搬車にアスファルト合材を積載するようにしたことを特徴とする請求項1又は請求項2又は請求項3記載のアスファルト合材製造プラント。
【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本考案は、道路舗装材であるアスファルト合材を製造するアスファルトプラントにアスファルト舗装廃材を加熱再生することのできるリサイクルプラントを併設したアスファルト合材製造プラントに関する。
【0002】
【従来の技術】
道路工事等によって掘り起こされたアスファルト舗装廃材(以下「廃材」という)は加熱再生されてアスファルト合材として再利用されるようになり、この廃材を加熱再生するリサイクルプラントが新規アスファルト合材を製造するアスファルトプラントに併設されるようになってきた。
【0003】
この種リサイクルプラントは廃材再生用ドライヤによって廃材を加熱し、この加熱廃材をスキップエレベータによりアスファルトプラントのプラント本体側方に組み上げた廃材貯蔵ビンまで持ち上げて一時貯蔵するようにしている。そしてアスファルトプラントのミキサでアスファルト合材を混合製造する際に廃材貯蔵ビンに貯蔵する加熱廃材を適宜取り出し、新規アスファルト合材に所定の比率で混入するようにして廃材の再利用を行なっている。
【0004】
【考案が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のように廃材再生用ドライヤにより加熱再生した廃材をアスファルトプラントのプラント本体側方に組み上げた廃材貯蔵ビンにスキップエレベータで持ち上げる方式では、リサイクルプラントの各装置が敷地内に散在して設置スペースを多くとり、敷地に制約のある工場では設置がなかなか難しい面があった。またスキップエレベータを採用した方式ではウインチによるワイヤロープの巻き上げ、繰り出しを行って廃材移送用ホッパを昇降させるために装置が大掛かりとなり、メンテナンスも煩わしいものとなっている。
【0005】
本考案は上記の点に鑑み、リサイクルプラントの省スペース化、省メンテナンス化を図ったアスファルト合材製造プラントを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本考案は上記目的を達成するために、アスファルトプラントのプラント本体の側部に背丈の高い高架台をその長手方向にそいプラント本体の運搬車出入用通路にそって該通路に跨がせて設置して、この高架台の下位の下段フロアの下に高架台の長手方向に運搬車が進入することのできる空間を確保し、該高架台上にアスファルト舗装廃材を加熱再生する廃材再生用ドライヤを配設すると共に、該廃材再生用ドライヤの廃材排出部より排出される加熱廃材を一時貯蔵する廃材貯蔵ビンも該高架台上に配設し、更に加熱骨材を貯蔵、計量、混合するプラント本体へ前記廃材貯蔵ビンから払い出される加熱廃材を直接搬送する廃材搬送装置を配設し、ミキサーから排出する加熱廃材を混合したアスファルト合材を上記高架台の下位の高架台の長手方向に進入する運搬車に積載して搬送するようにしたことを特徴とする。
【0007】
また、上記構成に加えて廃材再生用ドライヤに熱風を送り込むバーナ及び燃焼室を廃材再生用ドライヤの下位スペースに配設するようにしたことを特徴とする、
【0008】
また、上記構成に加えて廃材再生用ドライヤから導出される排ガスを処理する集塵装置や排ガスを吸引排気するファンを高架台上の廃材再生用ドライヤ下位の下段フロアに配設したことを特徴とする。
【0009】
更に、上記構成に加えて前記高架台をプラント本体の運搬車出入用通路にそって該通路に跨がせて設置すると共に、該高架台の下位には運搬車が走行することのできる空間を確保して運搬車にアスファルト合材を積載するようにしたことを特徴とする。
【0010】
【作用】
本考案によれば、アスファルトプラントのプラント本体の側部に立設した背丈の高い高架台上に、リサイクルプラントの廃材再生用ドライヤと加熱廃材を一時貯蔵する廃材貯蔵ビンと搭載し、該廃材貯蔵ビンから払い出される加熱廃材を搬送装置によってプラント本体に直接搬送するようにしたので、従来のように廃材貯蔵ビンを地上に別置きすることがなくて省スペース化を図ることができる。そして、上記高架台をプラント本体のドライヤ軸にそいプラント本体の運搬車出入用通路にそって該通路に跨がせて設置してこの高架台の下位の下段フロアの下に高架台の長手方向に運搬車が進入することのできる空間を確保することによって、プラント本体正面の運搬車出入用通路上にリサイクルプラントを設置することが可能となって敷地の有効利用が図れ、従来リサイクルプラントが増設しにくかった狭いプラント工場であっても、リサイクルプラントの増設が可能となり、しかもリサイクルプラントを搭載した高架台の下方を車両が進入できてアスファルト合材を積載して搬送することができる。
【0011】
また、従来のように地上に別置きした廃材貯蔵ビンが不要となるので、この廃材貯蔵ビンヘの廃材搬送用スキップエレベータが不要となってメンテナンスもしやすくなる。
【0012】
また、廃材再生用ドライヤに熱風を送り込むバーナ及び燃焼室を廃材再生用ドライヤの下位スペースに配設すれば、バーナ及び燃焼室が廃材再生用ドライヤ端部より張り出すことがなく一層の省スペース化が図れる。
【0013】
また、廃材再生用ドライヤから導出される排ガスを処理する集塵装置や排ガスを吸引排気するファンを高架台上の廃材再生用ドライヤ下位の下段フロアに配設すれば、リサイクルプラントの全設備が高架台上に積み上げられた階層構造となって更に省スペース化が図られる。
【0014】
また、プラント本体の運搬車出入用通路にそって該通路に跨がせて設置すると共に、該高架台の下位には運搬車が走行することのできる空間を確保して運搬車にアスファルト合材を積載するようにしたので、増設がしやすくなり、リサイクルアスファルトプラントのアスファルト合材を運搬車で能率よく運搬することができる。
【0015】
【実施例】
以下本考案の実施例を図面に基づいて説明する。
【0016】
アスファルトプラントは骨材を加熱乾燥する骨材ドライヤ1、該骨材ドライヤ1から導出される粉塵を捕捉する集塵装置2、加熱骨材を貯蔵、計量、混合するプラント本体3及びその他の付帯設備等で構成されている。
【0017】
骨材ドライヤ1は円筒状のドラムを回転自在に傾斜枢支して所定速度で回転させており、供給された骨材をドラム内部に配設した多数の▲掻▼き上げ羽根によって▲掻▼き上げながら転動流下させる間にバーナ4より送り込まれる熱風と接触させて所定温度まで加熱し、ホットエレベータ5を経由してプラント本体3へと供給している。また骨材ドライヤ1から導出される排気ガスは煙道6を通過して集塵装置2へと導入され、ガス中に含まれる粉塵が捕捉されて大気中に放出される。
【0018】
一方、廃材を加熱再生するリサイクルプラントは廃材を加熱再生する廃材再生用ドライヤ7、加熱廃材を一時貯蔵する廃材貯蔵ビン8、加熱廃材を所定量計量する廃材計量槽9及びその他の付帯設備等で構成されている。
【0019】
そして、前記アスファルトプラントのプラント本体の側部に背丈の高い高架台を、プラント本体のドライヤ軸にそい、プラント本体の運搬車出入用通路にそって該通路に跨がせて設置して、この高架台の下位の下段フロアの下に高架台の軸方向に運搬車が進入することのできる空間を確保している。前記リサイクルプラントの各装置はアスファルトプラントのプラント本体3の前記高架台10上に積み上げられている。高架台10の上段フロア11にはドライヤ基台12上に回転自在に傾斜枢支した廃材再生用ドライヤ7を搭載している。また、廃材再生用ドライヤ7の下位のスペースにはバーナ13及びバーナ13の火炎を形成する長い燃焼室14を配設しており、該燃焼室14を再生用ドライヤ7のホットホッパ15側に連結してバーナ13で発生させた熱風を廃材再生用ドライヤ7内に導入するようにしている。このように廃材再生用ドライヤ7の下位のスペースにバーナ13及び燃焼室14を配設すれば廃材再生用ドライヤ7端部より張り出すことがなく省スペース化が図れるので好ましい。
【0020】
廃材再生用ドライヤ7のホットホッパ15側には廃材を地上より持ち上げてドラム内に供給するバケットエレベータ16を配設している。また廃材再生用ドライヤ7のコールドホッパ17側の排出部下位には加熱廃材を一時貯蔵する廃材貯蔵ビン8を配設し、廃材再生用ドライヤ7より排出された加熱廃材が重力により落下して貯蔵されるようになっている。この廃材貯蔵ビン8は一時貯蔵する廃材の貯蔵量に応じた適宜容量のものが採用されるが、この廃材貯蔵ビン8の容量が大きくなればなるほど高架台10の背丈を高くして廃材再生用ドライヤ7を高く持ち上げる必要がある。また廃材貯蔵ビン8は貯蔵される廃材の温度が低下しないように加熱保温構造としている。
【0021】
廃材貯蔵ビン8の下位には廃材を計量する廃材計量槽9を配設しており、廃材貯蔵ビン8より払い出した廃材を所定量計量し、計量した廃材を廃材計量槽9の下位からプラント本体3のミキサ18へと掛け渡した廃材搬送用コンベヤ19によって搬送するようになっている。なお、実施例では廃材搬送装置としてコンベヤを採用しているが、投入シュート等他の搬送装置を採用することもできる。
【0022】
また、高架台10の下段フロア20には廃材再生用ドライヤ7の排気煙道21から導出される排ガスを処理する集塵装置22や排ガスを吸引排気するファン23等のリサイクルプラントの付帯設備を配設してリサイクルプラントの省スペース化を図っている。そしてファン23を通過した排ガスの一部は熱回収のために排気煙道24を経て燃焼室14へと還元し、排ガスのその他は排気煙道24を経てアスファルトプラントの集塵装置2へと送り込むようにしている。
【0023】
上記のように本考案では、プラント本体3の側部に高架台10を立設し、高架台10の上段フロア11上に廃材再生用ドライヤ7を搭載して廃材再生用ドライヤ7をプラント本体3の最上部近くの高さまで持ち上げ、廃材再生用ドライヤ7の排出部下位に大容量の廃材貯蔵ビン8を配置できるようにしている。また廃材貯蔵ビン8の下位に設置する廃材計量槽9をアスファルトプラントのプラント本体3に搭載したミキサ18とほぼ同等程度の高さ位置とし、廃材計量槽9から払い出される廃材を廃材搬送用コンベヤ19等の簡易な搬送装置により横移動させてミキサ18に搬送できるようにすることによって従来のスキップエレベータをなくし、省メンテナンスの装置構成とすると共に、リサイクルプラントの各装置を高架台10上に集約して設置することによって省スペース化を図っている。
【0024】
また、廃材再生用ドライヤ7に熱風を送り込むバーナ13及び燃焼室14を廃材再生用ドライヤ7の下位スペースに配設することによってバーナ13及び燃焼室14が廃材再生用ドライヤ7端部より張り出すことがないようにして省スペース化を図っている。
【0025】
また、集塵装置22やファン23等のリサイクルプラントの付帯装置も高架台10の下段フロア20上に設置して一層の省スペース化を図るようにしている。更に、下段フロア20を好ましくはプラント本体18のミキサ18と同等程度の高さ位置として車両が高架台10の下を図1、図2のように長手方向にそって走行できるように設計し、プラント本体3正面の運搬車出入用通路上にリサイクルプラントを設置することが可能となって敷地の有効利用が図れるようにしている、このようにプラント本体3正面の運搬車出入用通路の空きスペースを有効利用すると、従来リサイクルプラントが増設しにくかった狭いプラント工場であってもリサイクルプランントの増設が可能となるのである。
【0026】
このようにして、プラント本体のミキサーに廃材を廃材搬送装置で送給自在に形成して、ミキサーから排出する加熱廃材を混合したアスファルト合材を上記高架台の下位に進入する運搬車に積載して搬送することができるものである。
【0027】
【考案の効果】
以上説明したように本考案によれば、アスファルトプラントのプラント本体の側部に背丈の高い高架台をその長手方向にそいプラント本体の運搬車出入用通路にそって該通路に跨がせて設置して、この高架台の下位の下段フロアの下に高架台の軸方向に運搬車が進入することのできる空間を確保することによって、プラント本体正面の運搬車出入用通路上にリサイクルプラントを設置することが可能となって敷地の有効利用が図れるようになり、プラント本体正面の運搬車出入用通路の空きスペースを有効利用できて、従来リサイクルプラントが増設しにくかった狭いプラント工場であってもリサイクルプランントの増設が可能となるものである。そしてまた、リサイクルプラントの廃材再生用ドライヤから排出される加熱廃材を一時貯蔵する廃材貯蔵ビン8も前記高架台10上に配設し、更に加熱骨材を貯蔵、計量、混合するプラント本体3へ前記廃材貯蔵ビン8から払い出される加熱廃材を直接搬送する廃材搬送装置を配設したので、リサイクルプラントの装置一式を高架台10上に集約して搭載することができて省スペース化を図ることができ、また従来使用していたスキップエレベータをなくすることができて一層の省メンテナンスを図ることができる。更に、ミキサーから排出する加熱廃材を混合したアスファルト合材を上記高架台の下位に走行する運搬車に積載して搬送することによって、上記リサイクルプラントを搭載した高架台の下方を車両が進入できてアスファルト合材を積載して搬送することができる。
【0028】
また、廃材再生用ドライヤ7に熱風を送り込むバーナ13及び燃焼室14を廃材再生用ドライヤ7の下位スペースに配設することにより、バーナ13及び燃焼室14が廃材再生用ドライヤ7端部より張り出すことがなく一層の省スペース化が図れる。
【0029】
また、廃材再生用ドライヤ7から導出される排ガスを処理する集塵装置22や排ガスを吸引排気するファン23を高架台10上の廃材再生用ドライヤ2下位の下段フロア11上に配設することにより、リサイクルプラントの全設備が高架台10上に積み上げられた階層構造となって更に省スペース化が図られる。
【0030】
また、リサイクルプラントの架台である高架台10をアスファルトプラントのプント本体3の運搬車出入用通路にそって該通路に跨がせて設置すると共に、該高架台の下位には運搬車が走行することのできる空間を確保して運搬車にアスファルト合材を積載するようにしたので、工場敷地の狭いところの本来空きスペースとなっているプラント本体の運搬車出入用通路を有効利用できてリサイクルプラントの増設がしやすくなり、リサイクルアスファルトプラントのアスファルト合材を運搬車で能率よく運搬することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本発明の一実施例を示す正面図である。
【図2】
図1の側面図である。
【図3】
図1の平面図である。
【符号の説明】
1…骨材ドライヤ 3…プラント本体
7…廃材再生用ドライヤ 8…廃材貯蔵ビン
9…廃材計量槽 10…高架台
18…ミキサ 19…廃材搬送用コンベヤ
訂正の要旨 訂正の要旨は、以下のとおりである。
(1)実用新案登録明細書の実用新案登録請求の範囲の請求項1を、実用新案登録請求の範囲の減縮を目的として、下記のように訂正する。
「【請求項1】アスファルトプラントのプラント本体の側部に背丈の高い高架台をその長手方向にそいプラント本体の運搬車出入用通路にそって該通路に跨がせて設置して、この高架台の下位の下段フロアの下に高架台の長手方向に運搬車が進入することのできる空間を確保し、該高架台上にアスファルト舗装廃材を加熱再生する廃材再生用ドライヤを配設すると共に、該廃材再生用ドライヤの廃材排出部より排出される加熱廃材を一時貯蔵する廃材貯蔵ビンも該高架台上に配設し、更に加熱骨材を貯蔵、計量、混合するプラント本体へ前記廃材貯蔵ビンから払い出される加熱廃材を直接搬送する廃材搬送装置を配設し、ミキサーから排出する加熱廃材を混合したアスファルト合材を上記高架台の下位の高架台の長手方向に進入する運搬車に積載して搬送するようにしたことを特徴とするアスファルト合材製造プラント。」
(2)実用新案登録明細書の実用新案登録請求の範囲の請求項4を、実用新案登録請求の範囲の減縮を目的として、下記のように訂正する。
「【請求項4】前記高架台をプラント本体の運搬車出入用通路にそって該通路に跨がせて設置すると共に、該高架台の下位には運搬車が走行することのできる空間を確保して運搬車にアスファルト合材を積載するようにしたことを特徴とする請求項1又は請求項2又は請求項3に記載のアスファルト合材製造プラント。」
(3)実用新案登録請求の範囲の記載と考案の詳細な説明の記載との整合を図るため、明瞭でない記載の釈明を目的として、
▲1▼実用新案登録明細書の段落【0006】の【課題を解決するための手段】の「高架台を立設し、」を、
「高架台をその長手方向にそいプラント本体の運搬車出入用通路にそって該通路に跨がせて設置して、この高架台の下位の下段フロアの下に高架台の長手方向に運搬車が進入することのできる空間を確保し、」に、また、
「廃材搬送装置を配設した」を、
「廃材搬送装置を配設し、ミキサーから排出する加熱廃材を混合したアスファルト合材を上記高架台の下位の高架台の長手方向に進入する運搬車に積載して搬送するようにした」に訂正する。
▲2▼実用新案登録明細書の段落【0009】の「出入用通路…するように」を、
「出入用通路にそって該通路に跨がせて設置すると共に、該高架台の下位には運搬車が走行することのできる空間を確保して運搬車にアスファルト合材を積載するように」に訂正する。
▲3▼実用新案登録明細書の段落【0010】の【作用】の、「また…図れる、」を、
「そして、上記高架台をプラント本体のドライヤ軸にそいプラント本体の運搬車出入用通路にそって該通路に跨がせて設置してこの高架台の下位の下段フロアの下に高架台の長手方向に運搬車が進入することのできる空間を確保することによって、プラント本体正面の運搬車出入用通路上にリサイクルプラントを設置することが可能となって敷地の有効利用が図れ、従来リサイクルプラントが増設しにくかった狭いプラント工場であっても、リサイクルプラントの増設が可能となり、しかもリサイクルプラントを搭載した高架台の下方を車両が進入できてアスファルト合材を積載して搬送することができる。」に訂正する。
▲4▼実用新案登録明細書の段落【0014】の、「出入用…なる。」を、
「出入用通路にそって該通路に跨がせて設置すると共に、該高架台の下位には運搬車が走行することのできる空間を確保して運搬車にアスファルト合材を積載するようにしたので、増設がしやすくなり、リサイクルアスファルトプラントのアスファルト合材を運搬車で能率よく運搬することができる。」に訂正する。
▲5▼実用新案登録明細書の段落【0026】を、
「このようにして、プラント本体のミキサーに廃材を廃材搬送装置で送給自在に形成して、ミキサーから排出する加熱廃材を混合したアスファルト合材を上記高架台の下位に進入する運搬車に積載して搬送することができるものである。」に訂正する。
▲6▼実用新案登録明細書の段落【0027】の【考案の効果】の、「よれば、」を、
「よれば、アスファルトプラントのプラント本体の側部に背丈の高い高架台をその長手方向にそいプラント本体の運搬車出入用通路にそって該通路に跨がせて設置して、この高架台の下位の下段フロアの下に高架台の軸方向に運搬車が進入することのできる空間を確保することによって、プラント本体正面の運搬車出入用通路上にリサイクルプラントを設置することが可能となって敷地の有効利用が図れるようになり、プラント本体正面の運搬車出入用通路の空きスペースを有効利用できて、従来リサイクルプラントが増設しにくかった狭いプラント工場であってもリサイクルプランントの増設が可能となるものである。そしてまた、」に、また、
「更に、…図れる。」を、
「更に、ミキサーから排出する加熱廃材を混合したアスファルト合材を上記高架台の下位に走行する運搬車に積載して搬送することによって、上記リサイクルプラントを搭載した高架台の下方を車両が進入できてアスファルト合材を積載して搬送することができる。」に訂正する。
▲7▼実用新案登録明細書の段落【0030】の、「出入用…なる。」を、
「出入用通路にそって該通路に跨がせて設置すると共に、該高架台の下位には運搬車が走行することのできる空間を確保して運搬車にアスファルト合材を積載するようにしたので、工場敷地の狭いところの本来空きスペースとなっているプラント本体の運搬車出入用通路を有効利用できてリサイクルプラントの増設がしやすくなり、リサイクルアスファルトプラントのアスファルト合材を運搬車で能率よく運搬することができる。」に訂正する。
異議決定日 1999-12-10 
出願番号 実願平5-4993 
審決分類 U 1 651・ 121- YA (E01C)
U 1 651・ 113- YA (E01C)
最終処分 維持    
前審関与審査官 松浦 久夫  
特許庁審判長 樋口 靖志
特許庁審判官 鈴木 憲子
小野 忠悦
登録日 1998-03-13 
登録番号 実用登録第2572850号(U2572850) 
権利者 日工株式会社
兵庫県明石市大久保町江井島1013番地の1
考案の名称 アスファルト合材製造プラント  
代理人 加藤 久  
代理人 森本 邦章  
代理人 志賀 正武  
代理人 青山 正和  
代理人 森本 邦章  
代理人 渡邊 隆  

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