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審決分類 審判 全部無効 2項進歩性 訂正を認める。無効としない E02D
審判 全部無効 1項2号公然実施 訂正を認める。無効としない E02D
審判 全部無効 1項1号公知 訂正を認める。無効としない E02D
審判 全部無効 特123条1項8号訂正、訂正請求の適否 訂正を認める。無効としない E02D
審判 全部無効 1項3号刊行物記載 訂正を認める。無効としない E02D
管理番号 1020796
審判番号 審判1998-35309  
総通号数 14 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案審決公報 
発行日 2001-02-23 
種別 無効の審決 
審判請求日 1998-07-09 
確定日 2000-07-14 
事件の表示 上記当事者間の登録第2522279号実用新案「組立式の箱形マンホ?ル」の実用新案登録無効審判事件について、次のとおり審決する。   
結論 訂正を認める。 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 理由
I.手続きの経緯
(1)出願 平成5年1月26日
(2)登録 実用新案登録第2522279号
(3)異議申立 平成9年6月27日
(4)訂正請求書 平成10年2月2日
(5)訂正を認め、実用新案登録維持の決定
平成10年4月30日
(6)無効審判の請求 平成10年7月9日
(7)答弁書 平成10年10月20日
(8)訂正請求書 平成10年10月20日
(9)弁駁書 平成11年2月1日
(10)証拠調べ 平成11年11月29日
II.求人の主張及び提出した証拠方法
請求人は、「実用新案登録第2522279号の請求項1に係る考案の実用新案登録を無効とする。審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求めている。
そして、その理由として、次の点をあげ、おおむね以下のように主張している。
1.「無効理由1」
平成9年6月27日付けの異議申立に対する答弁書提出の際の訂正請求で訂正された明細書(以下、「先の訂正明細書」という)において、以下(1)?(3)の点が登録時の明細書(以下、「登録明細書」という)の実用新案登録請求の範囲の減縮を目的とするのではなく、しかも実質上実用新案登録請求の範囲を拡張及び変更するものであり、特許法等の一部を改正する法律(平成5年法律第26号)附則第4条1項の規定によりなお効力を有するものとされる同法による改正前の実用新案法において、同法附則第4条第2項の規定により読み替えられた実用新案法第37条第1項第2号の2の規定により実用新案登録を受けることができないものである。
(1)先の訂正明細書の実用新案登録請求の範囲において「深形の接続溝は、流水管を挟持するに必要な半円形部分と、この半円形部分の両端より平行に延び、かつ前記流水管の底面と基礎ブロックの底面との距離に対応するように長さが異なることによって両接続溝の深形浅形割合を異ならせた垂直面とによって形成されている」と訂正しているが、この訂正のうち、特に「流水管の底面と基礎ブロックの底面との距離に対応するように」の訂正事項は、登録明細書中に一切記載されていなかったものであり、一見するとあたかも実用新案登録請求の範囲を限定したかのようであるが、登録明細書の実用新案登録請求の範囲を実質上変更するものに外ならない。
(2)登録明細書の実用新案登録請求の範囲には、「2個のコンクリート製角筒形ブロック」と記載されていたところ、先の訂正明細書の実用新案登録請求の範囲には、単に「2個の積み重ね可能なブロック」と記載されているに過ぎず、かかる訂正内容は、登録明細書の実用新案登録請求の範囲の減縮を目的とせずに、実質的に拡張する訂正である。
(3)登録明細書の実用新案登録請求の範囲中の「半円形部分の両端より平行して伸びる同幅構成用の垂直面」が、先の訂正明細書の実用新案登録請求の範囲では「同幅構成用」の記載が削除されている。これは、明らかに登録明細書の実用新案登録請求の範囲の拡張である。
2.「無効理由2」について
(1)先の訂正明細書の請求項1に係る考案(以下、「本件考案」という)は、出願前公然知られた甲第1号証?甲第3号証および甲第5号証に記載された技術と同一であり、実用新案法第3条第1項の規定に該当し、実用新案登録は同法第37条第1項の規定により無効である。
(2)本件考案は、出願前公然知られた甲第1号証?甲第3号証及び甲第5号証と甲第4号証に記載された考案に基づいて、当業者がきわめて容易に考案できたものであり、実用新案法第3条第2項の規定に該当し、実用新案登録は、同法第37条第1項の規定により無効である。
そして、請求人は証拠方法として甲第1号証?甲第7号証を提出するとともに、併せて下記の証人の証人尋問を申請している。
甲第1号証:組立式箱形マンホール エスホールのカタログ
(全国エスホール工業界発行、平成4年6月25日特許庁意匠課資料係受け入れ)
甲第1号証の2:甲第1号証と同じ内容のカタログ
甲第2号証:エスホール設計マニュアル平成4年4月1日(全国エスホール工業界発行)
甲第3号証:意匠登録第716658号公報(昭和62年11月2日発行)
甲第4号証:実公昭55-6841号公報
甲第5号証:組立式箱形マンホールが展示された下水道展及び展示された 当該マンホールを撮影した写真
甲第6号証:「下水道展91名古屋ガイドブック」中の出展社一覧及び会 場案内図
甲第7号証:平成9年6月9日付け千葉窯業株式会社代表取締役社長
池田忠美から財団法人名古屋コンベンションビュウロー松原武久 理事長あての写真に写った建物が名古屋国際会議場であることの 証明願い及びその回答書
証人:森田秀明(千葉県野田市山崎1623-4在住、千葉窯業株式会社 社員)
甲第1号証の2のカタログ及び甲第2号証のエスホール設計マニュア ルを本件考案の出願前に入手したこと、及び甲第5号証の写真は出願 前に名古屋国際会議場において開催された下水道展で撮影されたもの であり、その下水道展に組立式マンホールが出展されていたこと等を 証言する予定。
III.被請求人の主張
一方被請求人は、「本件審判請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求めている。
そして、その答弁書において、以下に示す反論をしている。
1.無効理由1についての反論
(1)請求人が指摘する「深形の接続溝は、流水管を挟持するに必要な半円形部分と、この半円形部分の両端より平行に延び、かつ前記流水管の底面と基礎ブロックの底面との距離に対応するように長さが異なることによって両接続溝の深形浅形割合を異ならせた垂直面とによって形成されている」なる訂正は、垂直面に関する限定事項であり、登録明細書の実用新案登録請求の範囲の「上半接続溝と下半接続溝の深形浅形割合が大小した多種のものである」との記載が明瞭でなかったために、これを明確化したものである。つまりこの垂直面の限定条件は、登録明細書に記載された「上半接続横と下半接続溝の深形浅形割合が大小した多種のものである」という条件をブロックの構造に照らして明確化したものである。登録明細書の段落【0009】に、流水管の布設深さを測定して適応するブロック1,6を選択するということは、流水管の底面と基礎ブロックの底面との距離に対応して異なる長さの垂直面を持つブロックを適宜選択するということであり、本件考案の積み重ね可能なブロックが当該距離に応じた異なる長さの垂直面を持つものであることを意味している。こうした長さの異なる垂直面があることで、積み重ね可能なブロックは両接続溝の深形浅形割合が異なることとなる。したがって、垂直面に対する上記限定は、新規な技術的事項ではなく、本考案の内容に即してこれを明瞭化したものであり、特に登録明細書の実用新案登録請求の範囲の「上半接続溝と下半接続満の深形浅形割合が大小した多種のものである」との記載を登録明細書中の段落【0009】の上記記載事項から直接的かつ一義的に導き出される範囲で具体的に限定したものである。
(2)本件考案の「2個の積み重ね可能なブロック」については、今回の訂正によって「コンクリート製角筒形」ということを明らかにしたたため、請求人の主張の根拠はなくなっている。
(3)登録明細書には、「半円形部分の両端より平行して伸(延)びる同幅構成用の垂直面」という記載がある。しかし、ここでいう「同幅構成用」という語は、平行して延びる垂直面を強調するために用いられているに過ぎない。このことは、請求人も引用している登録明細書の段落【0005】の7行?11行の記載事項から明らかである。
すなわち、「深形の下半または上半接続溝を半円形部分と該半円形部分の両端より平行する垂直面にて半円形部分の両端間の幅長がそのまま開口端まで形成されるうにしたため、流水管を上方より吊入れ且つ2個のブロックにて挟み止め固定することができる」とあるように、「同幅構成用」とは、平行する垂直面が「半円形部分の両端間の幅長をそのまま開口端まで形成される」ようにした様を表しているに過ぎないのである。平行な垂直面であれば、垂直面間の間隔はどこをとっても同じ間隔幅になるので、先の訂正明細書の実用新案登録請求の範囲の記載からこれを省いたのである。請求人は、「同幅を構成するための垂直面である必要があり」(審判請求書9頁2行から3行)とか、2つの垂直面が同幅であることは上記【0005】の作用効果を得るために必須な構成である(同請求書9頁3行から7行)とか、そして「この限定事項(同幅構成用)を削除した結果、「同幅」でないものを含む解釈がなされ得る余地が生まれる」(同請求書9頁9行から10行)とか、判然としないことを述べている。ここでいう「幅」を垂直面間の間隔幅であるとすると、平行する垂直面であればその間隔幅はどこをとっても同じ幅である(だからこそ平行である)。請求人の言うような「同幅」でないものを含む解釈などありえようがない。垂直面の幅としてこの他に「奥行き幅」が考えられるが、奥行き幅については登録明細書の記載中にその記載はなく、こうした概念を採り入れることはできない。垂直面間の間隔幅と解釈することが、上記【0005】の記載にも適合している。したがって、訂正明細書で「同幅構成用」という語句を削除しても、登録明細書の実用新案登録請求の範囲を実質上拡張することにはならない。
2.無効理由2についての反論
甲第1号証、2号証、及び5号証は、いずれも被請求人が出願前に開示した技術である。本件考案は、これらの開示技術に部分的に重なる点はあるものの、開示技術から予測し得ない視点に立って施工性を高めることに成功した考案である。本件考案を構成する2つのブロックは、長さが異なることによって接続溝の深浅割合を異ならせた垂直面を持つものであるが、垂直面の異なる長さはランダムに設定されるものではなく、本考案の目的を達成するために流水管の底面と基礎ブロックの底面との距離に対応するように設定されたものである。甲各号証には、垂直面を何らかの基準に基づいて異ならせたブロックは記載されておらず、甲第1号証?甲第3号証及び甲第5号証に記載されたものと同一ではなく、また甲第1号証?甲第3号証及び甲第5号証と甲第4号証に記載された考案に基づいて、当業者が容易に考案できたものでもない。
IV.訂正請求の内容
本件訂正請求(平成10年10月20日付け)の趣旨は、実用新案登録第2522279号の先の訂正明細書を本件訂正請求書に添付された訂正明細書のとおり、すなわち、下記のとおり訂正するものである。
(1)実用新案登録請求の範囲の欄
先の訂正明細書の実用新案登録請求の範囲の請求項1「側壁に跨って流水管の接続溝を上下に突合わせ可能に形成して前記接続溝によって流水管を挟み固定する2個の積み重ね可能なブロックを備えたコンクリート製組立式マンホールにおいて、有底箱形に形成されて下方に配置される基礎ブロックとその上方に配置されるブロックの側壁に、一方を深形、他方を浅形とするとともに上下から前記流水管を挟み固定する上半接続溝と下半接続溝を形成し、これら両接続構のうち、深形の接続溝は、流水管を挟持するに必要な半円形部分と、この半円形部分の両端より平行に延び、かつ前記流水管の底面と基礎ブロックの底面との距離に対応するように長さが異なることによって両接続溝の深形浅形割合を異ならせた垂直面とによって形成されている、ことを特徴とする組立式の箱形マンホール」を、
「側壁に跨って流水管の接続溝を上下に突合わせ可能に形成して前記接続溝によって流水管を挟み固定する2個の積み重ね可能なコンクリート製角筒形ブロックを備えたコンクリート製組立式マンホールにおいて、有底箱形に形成されて下方に配置される基礎ブロックとその上方に配置されるブロックの側壁に、一方を深形、他方を浅形とするとともに上下から前記流水管を挟み固定する上半接続溝と下半接続溝を形成し、これら両接続構のうち、深形の接続溝は、流水管を挟持するに必要な半円形部分と、この半円形部分の両端より平行に延び、かつ前記流水管の底面と基礎ブロックの底面との距離に対応するように長さが異なることによって両接続溝の深形浅形割合を異ならせた垂直面とによって形成されている、ことを特徴とする組立式の箱形マンホール」と訂正する。
(2)考案の詳細な説明の欄
明細書の段落【0004】中の「2個の積み重ね可能なブロック」を、「2個の積み重ね可能なコンクリート製角筒形ブロック」と訂正する。
V.訂正の適否について
1.訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び拡張、変更の存否について
訂正事項(1)については、「2個の積み重ね可能なブロック」を「2個の積み重ね可能なコンクリート製角形ブロック」と限定したもので、しかも先の訂正明細書の段落【1】、【4】、【7】に記載された技術的事項の範囲内であることから、実用新案登録請求の範囲の減縮に相当し、また実質上実用新案登録請求の範囲を拡張し又は変更するものではない。
また訂正事項(2)については、実用新案登録請求の範囲の訂正に関連して、考案の詳細な説明の段落【0004】の課題を達成するための手段の1部を訂正するもので、その内容は、上記訂正事項(1)と同内容であるから、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であって、明瞭でない記載の釈明に相当し、また実質上実用新案登録請求の範囲を拡張又は変更するものでないと認められる。
2.独立実用新案登録要件について
本件訂正が、本件訂正後における実用新案登録請求の範囲に記載されている事項により特定される考案が実用新案登録出願の際独立して実用新案登録を受けることができるか否かを検討する。
上記の規定に適合するか否かは、実質的に請求人の主張する本件審判事件の無効理由について、理由があるか否かでもあるので、この無効理由から検討する。
(1)訂正明細書の請求項1に係る考案(以下、「訂正考案」という)は、訂正明細書の実用新案登録請求の範囲の請求項1に記載された、下記に示すとおりのものと認める。「側壁に跨って流水管の接続溝を上下に突合わせ可能に形成して前記接続溝によって流水管を挟み固定する2個の積み重ね可能なコンクリート製角筒形ブロックを備えたコンクリート製組立式マンホールにおいて、有底箱形に形成されて下方に配置される基礎ブロックとその上方に配置されるブロックの側壁に、一方を深形、他方を浅形とするとともに上下から前記流水管を挟み固定する上半接続溝と下半接続溝を形成し、これら両接続構のうち、深形の接続溝は、流水管を挟持するに必要な半円形部分と、この半円形部分の両端より平行に延び、かつ前記流水管の底面と基礎ブロックの底面との距離に対応するように長さが異なることによって両接続溝の深形浅形割合を異ならせた垂直面とによって形成されている、ことを特徴とする組立式の箱形マンホール」
(2)無効理由1について
(i)登録明細書の実用新案登録請求の範囲の請求項1「積み重ね接合する2個のコンクリート製角筒形ブロックの側壁に跨って流水管の接続溝を突合わ可能に設けてなるコンクリート製の組立式マンホールにおいて、有底箱形の基礎ブロックを含む2個の積み重ねブロックの側壁に一方を深形、他方を浅形とし、且つ深形浅形割合を大小した多種の下半接続溝と上半接続溝を各別に相対形成し、該深形にて形成する下半または上半接続溝を半円形部分と該半円形部分の両端より平行して伸びる同幅構成用の垂直面にて形成したことを特徴とする組立式の箱形マンホール」を、
先の異議申立時の訂正請求で、
「側壁に跨って流水管の接続溝を上下に突合わせ可能に形成して前記接続溝によって流水管を挟み固定する2個の積み重ね可能なブロックを備えたコンクリート製組立式マンホールにおいて、有底箱形に形成されて下方に配置される基礎ブロックとその上方に配置されるブロックの側壁に、一方を深形、他方を浅形とするとともに上下から前記流水管を挟み固定する上半接続溝と下半接続溝を形成し、これら両接続構のうち、深形の接続溝は、流水管を挟持するに必要な半円形部分と、この半円形部分の両端より平行に延び、かつ前記流水管の底面と基礎ブロックの底面との距離に対応するように長さが異なることによって両接続溝の深形浅形割合を異ならせた垂直面とによって形成されている、ことを特徴とする組立式の箱形マンホール」と訂正した中の「深形の接続溝は、流水管を挟持するに必要な半円形部分と、この半円形部分の両端より平行に延び、かつ前記流水管の底面と基礎ブロックの底面との距離に対応するように長さが異なることによって両接続溝の深形浅形割合を異ならせた垂直面とによって形成されている」について検討すると、登録明細書の実用新案登録請求の範囲中の「深形浅形割合を大小した多種の下半接続溝と上半接続溝を格別に相対形成し」の記載や、同じく登録明細書の段落【0009】中の「流水管3の布設深さ程度を測定して適応する基礎ブロック1と中間ブロック6を選択して、基礎ブロック1を地表下に据付け」の記載や、同段落【0012】中の「基礎ブロックを含む2個の積み重ねブロックは、各種の下半および上半接続溝を有して多種となるため、流水管の布設位置が高低しても対応する上下2個のブロックを選択して下側ブロックより据付けることにより流水管を難なく接続することができる」の記載、及び図面に開示された内容に基づき、ブロックの持つ構造に照らして、登録明細書に記載された内容を、より具体的に表現したものであって、登録明細書又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、また登録明細書の実用新案登録請求の範囲を実質上変更するものではなく、無効理由1(1)の理由は、認められない。
(ii)同じく先の訂正明細書の実用新案登録請求の範囲中の「2個の積み立て可能なブロック」は、今回(平成10年10月20日付け)の訂正請求によって「2個の積み重ね可能なコンクリート製各筒形ブロック」と訂正され、本訂正は、登録明細書中に記載されていた内容に再度もどされており、無効理由1(2)の理由は、認められない。
(iii)同じく先の訂正明細書の実用新案登録請求の範囲の中から「同幅構成用の」を削除する事は、
登録明細書の段落【0005】中の「深形の下半または上半接続溝を半円形部分と該半円形部分の両端より平行する垂直面にて半円形部分の両端間の幅長がそのまま開口端まで形成されるうにしたため、流水管を上方より吊入れ且つ2個のブロックにて挟み止め固定することができる」とあるように、「同幅構成用」とは、平行する垂直面が「半円形部分の両端間の幅長をそのまま開口端まで形成される」ようにした様を表しているに過ぎない。平行な垂直面であれば、垂直面間の間隔はどこをとっても同じ間隔幅になることから「同幅構成用の」を削除したからといって、実用新案登録請求の範囲が拡張になることはない。よって無効理由1(3)の理由は、認められない。
(3)無効理由2について
次に請求人が主張する「無効理由2」について検討する。
(i)各甲号証に記載された事項
(イ)甲第1号証
この甲第1号証は、全国エスホール工業会が発行した「エスホール」と称される組立式箱形マンホールのカタログであり、平成4年6月25日付で、特許庁の意匠課資料室に受入れられたものである。同号証の第1頁左欄、第7頁、第8頁の下段の写真には、上下接続溝の深さ割合が異なるものが開示されている。また第1頁右欄下段の表には、適用範囲に応じてサイズを異ならしめた多種(1500形?3500形)のものが示されており、第4頁には、基礎ブロックMB及び基礎ブロックBの基準となる仕様表が掲載されている。
(イ')甲第1号証の2
甲第1号証の2は、特許庁の資料室に受け入れられていた甲第1号証と同一内容のカタログの写しである。
(ロ)甲第2号証
平成4年4月1日付け「エスホールの設計マニュアル」(全国エスホール工業界発行)であり、甲第1号証ないし甲第1号証の2に開示されたエスホールの各ブロックや上下半接続溝などの製造時における具体的な設計マニュアルである。甲第1号証の第1頁右欄下段には、「(注)3.地下水の影響を考慮する場合は、設計マニュアルを参照下さい。」と記載され、甲第2号証の第3頁,第4頁には、サイズの異なる1500形?3500形についての具体的な設計寸法が記載されている。
そして同号証の第3頁及び第4頁の各上段には、エスホールの基礎ブロックBとその上に載せられる基礎ブロックMB及びこの上下両ブロックの左右両側壁に形成された各上下接続溝間に流出入管が嵌入接続された状態を示す縦断面がそれぞれ記載されている。
また、第3頁に示すエスホールは、図中左側(流入管側)と右側(流出管側)の両側壁の上下半接続溝はどちらも下側が深形に形成され、上側が浅形に形成されている。
一方、第4頁に示すエスホールは、図中左側(流入管側)の接続溝は上側が深形に、下側が浅形に形成されているのに対し、図中右側(流出管側)の接続溝は下側が深形で上側が浅形に形成されている。
また同号証の第3頁に示す流入管側の上下接続溝の底面と流出管側の上下接続溝の底面との間に段差が形成され、流出管側が流入管側よりも僅かに低くなっている。一方、同第4頁に示す左右接続溝の段差はさらに顕著であって、左側の流入管側接続溝の底面と右側の流出管側接続溝の底面とは、その段差(両流出入管の管底落差Hi)が大きいものがあらわされている。
第3頁の仕様表には、種類毎の管内径、流入管と流出管のそれぞれの管底深さと土被りが記載され、また第4頁の仕様表には流入管内径,開口径などの具体的な数値が記載されている。
(ハ)第3号証(意匠登録第716658号の意匠公報)
昭和62年(1997年)11月2日に発行された意匠公報であって、この意匠に係る物品は本件考案と同一技術分野である組立式下水管接続用椀型ブロックに関し、正面図、側面図及び分解斜視図には、有底箱に形成されて下方に配置される基礎ブロックとその上方に配置されるブロックの各側壁に、下方を浅形、上方を深形とするとともに上下から流水管を挟み固定する上半接続溝と下半接続溝を形成し、深形の上半接続溝は流水管を挟持するに必要な半円形部分と、この半円形部分の両端より平行に延びた垂直面とによって形成された構成が開示されている。
(ニ)甲第4号証(実公昭55-6841号公報)
甲第4号証は、昭和55年2月15日に発行された実用新案公報であって、この考案は、本件考案と同一の技術分野である「下水道におけるマンホール底部等に使用する管路中継部用コンクリート基礎ブロックに関するものである」(甲第4号証第1欄第22行?第24行参照)と記載され、同号証の第2欄第2行?第3行には、従来技術について、「その他流入側流出側接続管との段差を形成するように施工することができない等の欠点がある」と記載され、「有底容器状主体11の側壁12にほぼU字状の13を上方開放状態に設けた」(甲第4号証第2欄第10行?12行)と記載されている。つまり、切欠部13はU字状に形成されていることによって、深形下半接続溝と同様に、流水管を支持するに必要な半円形部分と、この半円形部分の両端より平行に延びる垂直面とを備える構成になっている。
また、「流入側接続管と流出側接続管とを段差が生ずるように設置したい場合には、一方または両方を上下方向に適宜調整した位置に固定させればよい。」(甲第4号証第2欄第18行?第29行)と記載され、また、図面中の第3図には、左右両側壁に形成された各切欠部13,13のそれぞれの深さを変更して、流入側接続管Dと流出側接続管Pとに段差を形成した構成が開示されている。
(ホ)甲第5号証
第5号証に提示した写真は、名古屋の国際会議場で開催された展覧会下水道展で撮影したものである。写真のNO.1にあるように人物の左側に立設された角柱には、「下水道展 '91名古屋」と表示されている。
写真のNO.2には、「日本ゼニスパイプ株式会社」のブースと、展示された組立式箱形マンホールが写っている。この展示された組立式箱形マンホールは、表面に「エスホール2000B形」と記載され、基礎ブロック側の下半接続溝が半円形部分と、該半円形部分の両端より平行して伸びる同幅構成用の垂直面とによって形成されている.
写真のNO.3には、権利者の名称である「日本ゼニスパイプ株式会社」の表記台とエスホール1500形の基礎ブロックの下半接続溝部が写っている。
(へ)甲第6号証
甲第6号証は、社団法人日本下水道協会が作成したと推定される名古屋で開催された下水道展のガイドブックの写しの一部であって、日本ゼニスパイブ株式会社を含めた出展企業名と出展ブース場所を示している。
(ト)甲第7号証
甲第7号証は、名古屋国際会議場の所有者である財団法人名古屋コンベンションビューローの建物の証明書であって、甲第5号証の写真NO.1およびNO.2の背景の建物が下水道展が開催された名古屋国際会議場である事が説明されている。
(チ)証人森田秀明に対する証人尋問
当審において、平成11年11月29日に特許庁公開審判廷で行われた証人森田秀明に対する尋問による証言によると以下の点が認められた。
a.1991年6月頃名古屋の国際会議場で開催された下水道展に、証人である千葉窯業株式会社の社員森田秀明と、同社の社員田端、川上とで見学した。その際撮影した写真が、甲第5号証である。
b.その下水道展に、日本ゼニスパイプ株式会社のブースあり、その前に組立式マンホールが展示されていた。その写真が、甲第5号証のNO.2とNO3である。
c.その展示されていた、組立式マンホールの構成は、以下の通りである。
「展示してあったエスホール(組立式マンホール)は、組立式マンホールの横に開いている流水管が送通する溝の穴が従来のものと異なっており、下側の溝がU字形状になっていた。それと下側の溝がちょっと深く上側の溝が小さくなっており、両者の割合が異なっていた」、「これの下側の溝のU字型の両側面のところが、垂直になっており、それとその下側が半円状になっていた」
d.出展者側から、展示された組立式マンホールの技術的説明は受けなかった。
e.甲第1号証の2のカタログ及び甲第2号証のマニアルは、平成4年6月頃に横浜で開催された下水道展にて、同社の社員が入手したものである。
(ii)本件考案と各証拠方法との対比判断
【書証について】
そこで本件考案と各甲号証に記載された事項とを対比する。
(イ)甲第1号証には、第1頁左欄並びに第7頁及び第8頁の下段に、「積み重ね接合する2個のコンクリート製角筒形ブロックの側壁に跨って流入・流出管の接続溝を突合わせ可能に設けてなるコンクリート製の組立式マンホールであって、底版をー体成形した箱形の基礎ブロックを含む2個の積み重ねブロックの側壁の下方を深形、上方を浅形とした、下半接続溝と上半接続溝を各別に相対形成し、該深形にて形成する下半接続溝を半円形部分と該半円形部分の両端より平行して延びる垂直面にて形成した組立式の箱形マンホール」が記載されている。さらに、仔細に見ると、第1頁のマンホール(以下、「マンホール1」という)と第7頁及び第8頁のマンホール(以下、「マンホール2」という)とは、垂直面の長さに違いがある。ところが、マンホール1とマンホール2の基礎ブロック(下側のブロック)の下半接続溝が垂直面を持ち、両垂直面の長さが仮に異なるものであるとしても、これをもって、流水管の底面と基礎ブロックの底面との距離に対応するように長さが異なることによって両接続溝の深形浅形割合を異ならせた垂直面とによって形成されている事項が開示されているものであるとはいえない。なぜなら、マンホール1とマンホール2は、写真から見る限り明らかにマンホール深さを異にしているもので、各マンホールに用いられるブロックについて相互の関連性を有しているとは、必ずしも言えない。本件考案は、垂直面を流水管の底面と基礎ブロックの底面との距離に対応させて異なる長さにしたもので、垂直面の長さは、布設深度の異なる流水管に対応できるように、一定の条件が設定されている。マンホール1とマンホール2の垂直面の長さの違いはこうした条件を踏まえてのものとは認められず、マンホール深さが異なることからも明らかなように、単なる長さの違う垂直面を示しているに過ぎない。同号証中には、サイズを異ならしめた多種(1500型?3500型)のものが示されているがとあるが、このサイズの違う多種のブロックは、縦横の大きさの異なるブロックを示すもので、垂直面の長さの違いが上記した条件下で設定されていることをも示すものではない。
(ロ)甲第2号証には、3頁と4頁にエスホールの説明図が掲載されている。3頁の図は、1行目にもあるように「流出入管の最小土被り」をどれくらいにしたら良いかを表す説明図である。同号証に記載されたブロックは、下方に配置されるブロックの流入管側の下半接続溝は浅形に、流出管側の下半接続溝は深形に形成されている。下方に配置されるブロックの下半接続満が、浅形と深形の2態様の接続溝を持っている。また、上方に配置されるブロック(同号証では基礎ブロックMBと称されている)は、流入管側の上半接続溝は深形に、流出管側の上半接続満は浅形に形成されている。上方に配置されるブロックの上半接続溝も、同様に深形と浅形の2態様の接続溝を持っている。これにより、流水管の布設深度が上下にずれた場合に、流入側と流出側とで管の位置はずれることになるが、これは布設流水管の位置ずれに対応しようとするものではなく、表にもあるように流入側と流出側とで落差を稼ぐために設けられたものである。
(ハ)甲第3号証には、有底箱に形成されて下方に配置される基礎ブロックとその上方に配置されるブロックの各側壁に、下方を浅形、上方を深形とするとともに上下から流水管を挟み固定する上半接続溝と下半接続溝を形成し、深形の上半接続溝は流水管を挟持するに必要な半円形部分と、この半円形部分の両端より平行に延びた垂直面とによって形成された構成が開示されているが、流水管の底面と基礎ブロックの底面との距離に対応するように長さが異なることによって両接続溝の深形浅形割合を異ならせた垂直面の点についての記載はない。
(ニ)甲第4号証は、従来の基礎ブロックでは、流入側接続管と流出側接続管の間に段差を形成するような施工ができないからこれを解決しようとするもので、流入管と流出管との間に段差を形成するとは、基礎ブロックの接続孔を介して両管の軸線を意図的に上下方向にずらすということである。ここで示されたU字状切欠部については深さを変更できる旨の記載はあるが、その深さ設定は「種々変更ができる」(甲第4号証公報第2欄28行から30行)とあるだけで、流水管の底面と基礎ブロックの底面との距離に対応するようにU字状切り欠き部の垂直面の長さが異なるものではない。
(ホ)甲第5号証は、
名古屋の国際会議場で開催された下水道展の様子を写した写真である。
(ヘ)甲第6号証は、社団法人日本下水道協会が作成した名古屋で開催された下水道展の出展企業名と各ブースの案内図が示されているガイドブックである。
(ト)甲第7号証は、甲第5号証の写真に写っている建物が、名古屋国際会議場の所有者である財団法人名古屋コンベンションビューローの建物であるとの証明書である。
以上のように証拠方法として提示されたもののうち、出願前に頒布された刊行物と認められるものは請求人が提示した甲号証のうち甲第1号証?甲第4号証、甲第6号証であり甲第5号証、甲第7号証は、頒布された刊行物とは認められないため、除外して検討すると、上記したように本件考案の構成の部分が断片的に記載されているものの、出願前に頒布された上記刊行物のいずれにおいても本件請求項1に係る考案の構成の1部である「流水管の底面と基礎ブロックの底面との距離に対応するように長さが異なることによって両接続溝の深形浅形割合を異ならせた垂直面」(以下、「構成要件A」という)の点についての記載はなく、またそれを窺わせる示唆もなく、かつ当該技術分野において、上記構成要件Aが、自明な技術的事項でもない。また上記各甲号証記載のものを、相互に適用したとしても、本件考案に到達することができたと認定することができない。そして本件考案は、上記構成要件Aを具有することにより、訂正明細書の段落【0012】記載の「基礎ブロックを含む2個の積み重ねブロックは、各種の下半及び上半接続溝を有して多種となるため、流水管の布設位置が高低しても、対応する上下2個のブロックを選択して下側ブロックより据え付けることにより流水管を難なく接続できる」という特有の作用効果(以下、「効果B」という)を奏するものである。
したがって訂正明細書の請求項1に係る発明は、出願前に頒布された刊行物である甲第1号証?甲第4号証、甲第6号証に記載された考案と同一とは認められず、また出願前に頒布された刊行物である甲第1号証?甲第4号証、甲第6号証に記載された考案に基づいて、当業者がきわめて容易に考案できたものと認めるることができない。
【人証の検討】
当審においておこなった証人森田秀明に対する尋問による証言のうち、本件考案が、出願前公然知られたもの、あるいは公然実施されたものであると推認するに関連する事実は、以下の通りである。
・平成4年6月頃名古屋国際会議場で開催された下水道展に組立式マンホールが、展示されていた。
・そこで展示された組立式マンホールの構成は、甲第5号証の写真NO.2、NO3でも明らかなように、展示してあったエスホール(組立式マンホール)は、組立式マンホールの横に開いている流水管が送通する溝の穴が従来のものと異なっており、下側の溝がU字形状になっていた。それと下側の溝がちょっと深く上側の溝が小さくなっており、両者の割合が異なっていた。また下側の溝のU字型の両側面のところが、垂直になっており、その下側が半円状になっていた。
・出展者側から、展示された組立式マンホールの技術的説明は受けなかった。

これらの事実に基づいて、展示されていた組立式マンホールと本件考案とを、対比照合すると、当該組立式マンホールが、展示の状況下で、直ちに本件考案の構成の一部である前記構成要件Aの技術思想を、表出あるいは黙示しているとは、認めらないことから、本件考案と、組立式マンホールとは、同一とは認めることができない。また当該構成要件Aを具備することにより、上記特有な効果Bが奏されることから、本件考案は、当該展示された組立式マンホールから、あるいは組立式マンホールと、前記の甲第1号証?甲第4号証、甲第6号証号記載の考案から当業者が極めて容易に想到できたものとは、認められない。
よって本件考案は、出願前に公然知られたもの、あるいは公然実施されたものとは認められず、また展示されていた組立式マンホールから、当業者が極めて容易に考案できたものとも認められない。
また他に本件実用新案登録考案が、出願の際独立して実用新案登録を受けることができないとする理由を発見しない。
なお請求人は、前記II.の請求人の主張以外に、以下の点も主張している。
平成7年7月25日付の手続補正書の内容が出願当初の明細書(以下、当初明細書という。)の範囲を逸脱したものである。すなわち、前記手続補正書の補正内容である登録明細書の実用新案登録請求の範囲の記載中、特に、「且つ深形浅形割合を大小した多種の」は、当初明細書には記載されていない。
一方、当初明細書の段落番号【0011】中には、「図5は第2実施例であって、2つのブロック間に跨がって設ける接続孔の分割割合をかえて形成した例を示すもので、図面は基礎ブロック1側の下半接続孔4cの割合を大きく深くし、その分において中間ブロック6側の上半接続孔4dを小さく浅く形成したものである。」と記載されているが、この記載は、あくまで接続孔の分割割合が5対5(等分)のものに対してのみ述べているにすぎず、この5対5のものは当初明細書の【0007】第3行目の「半円形の下半接続孔4a,5aを設けて」の記載及び当初の図面第3図の記載から明らかなように、「垂直面」を有しないものである。換言すれば、当初明細書では、半円形部分や垂直面を有する上下半接続溝の深さ割合の異なるものは1種類しか記載されておらず、また図面上でもこれに対応して第5図に1種類だけ記載されているにすぎない。したがって、本件考案の成立要件として説明した2種の形態についても全く記載されていなかったのである。
したがって、前記手続補正書において、半円形部分や垂直面を備えた上下半接続溝の「深形浅形割合を大小にした多種の」の補正内容、及び半円形部分や垂直面などを加えかつ深さ割合を6:4とした図3の補正内容は当業者の自明の範囲から逸脱したものであって、当初明細書の要旨を変更したものである。
また、前述のように、当初明細書及び図面には、「垂直面」などを備えた上下半接続溝の深さ割合の異なるものは1種しかないにも拘わらず、発明の詳細な説明の欄【0007】第11行?第12行には、6対4程度、9対1程の他に「下半および上半接続溝は7対3、8対2などの深浅割合にても形成されるため、…」と、当初明細書には全く記載されていない内容が加えられている点も、明細書の要旨を変更したものといわざるを得ない。また、登録明細書の【0012】に記載された作用効果ついても、「下半および上半接続溝を有して多種となるため、」の構成から導かれるものであり、この構成自体が前述のように当初明細書に記載されていなかった内容である以上、その作用効果も自明の範囲を逸脱したものといわざるを得ない。
しかしながら、これらの主張は、登録前の明細書、図面の補正の適否の問題でり、無効審判において請求人が主張している無効理由を直接的に構成するものではない。
3.訂正請求の適否についてのまとめ
以上のとおりであるから本件訂正請求は、平成5年法律第26号附則第4条の第1項の規定によりなおその効力を有し、前記法律附則第4条2項の規定により読み替えられる実用新案法第40条第2項の規定及び同条第5項の規定により準用される同法第39条第2、3項の規定に適合し認められるものである。
VI.審判請求人が主張する無効理由の検討
1.本件考案
前記のとおり本件訂正は認められるので、本件請求項1に係る考案は、訂正明細書の実用新案登録請求の範囲に記載されたとおりのものと認める。(上記IV.(1)「訂正請求の内容」の「実用新案登録請求の範囲の欄」参照)
2.無効理由に対する判断
(1)請求人が主張する無効理由1については、上記V.2「独立特許要件について」の項の(2)に示した理由と同じ理由で当該無効理由は認められない。
(2)請求人が主張する無効理由2については、同じくV.2「独立特許要件について」の項の(3)に示した理由と同じ理由で、無効理由は認められない。
3.むすび
してみると、平成9年6月27日付けの異議申立に対する答弁書提出の際の訂正請求で訂正された明細書は、登録明細書を減縮するものであり、しかも当該実用新案登録請求の範囲を拡張あるいは変更するものと認められず、特許法等の一部を改正する法律(平成5年法律第26号)附則第4条第1項の規定によりなお効力を有するものとされる同法による改正前の実用新案法において、同法附則第4条第2項の規定により読み替えられた実用新案法第37条第1項第2号の2の規定に該当するものではない。
また、本件請求項1に係る考案は、請求人が主張する出願前に頒布された刊行物である甲第1号証?甲第3号証はもとより、甲第4号証、甲第6号証に記載された考案(請求人は甲第5号証も主張しているが前述した理由で除外した)と同一とは認められないのみならず、出願前に頒布された刊行物である甲第1号証?甲第4号証、甲第6号証(請求人は同じく甲第5号証も主張しているが、同様の理由で除外した)に記載された考案に基づいて、当業者がきわめて容易に考案できたものと認めることもできない。
また、本件請求項1に係る考案は、出願前に公然知られたもの、あるいは公然実施されたものとは認められず、また展示されていた組立式マンホールから、あるいは組立式マンホールと前記の甲第1号証?甲第4号証、甲第6号証に記載された考案から当業者が極めて容易に考案できたものとも認められない。
VII.むすび
以上のとおりであるから、請求人の主張する理由及び提出した証拠方法によっては、本件請求項1に係る考案の実用新案登録を、無効とすることはできない。
審判に関する費用の負担については、実用新案法第41条の規定により準用する特許法第169条第2項の規定により更に準用する民事訴訟法第89条の規定により、請求人が負担すべきものとする。よって結論のとおり審決する。
審理終結日 2000-04-25 
結審通知日 2000-05-09 
審決日 2000-05-22 
出願番号 実願平5-5087 
審決分類 U 1 112・ 111- YA (E02D)
U 1 112・ 112- YA (E02D)
U 1 112・ 113- YA (E02D)
U 1 112・ 831- YA (E02D)
U 1 112・ 121- YA (E02D)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 石井 良和浅香 理  
特許庁審判長 佐田 洋一郎
特許庁審判官 鈴木 憲子
鈴木 公子
登録日 1996-10-04 
登録番号 実用新案登録第2522279号(U2522279) 
考案の名称 組立式の箱形マンホ?ル  
代理人 鈴木 伸太郎  
代理人 富岡 潔  
代理人 橋本 剛  
代理人 影山 光太郎  
代理人 永島 郁二  
代理人 志賀 富士弥  
代理人 市川 裕史  
代理人 植田 茂樹  
代理人 小林 博通  
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