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審決分類 審判 全部無効 1項1号公知 無効とする。(申立て全部成立) B62D
審判 全部無効 1項2号公然実施 無効とする。(申立て全部成立) B62D
管理番号 1020815
審判番号 審判1996-17296  
総通号数 14 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案審決公報 
発行日 2001-02-23 
種別 無効の審決 
審判請求日 1996-10-11 
確定日 2000-07-03 
事件の表示 上記当事者間の登録第2061672号実用新案「大型掘削機械用のトレ-ラ台車」の登録無効審判事件について、次のとおり審決する。   
結論 登録第2061672号実用新案の登録を無効とする。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 [1]手続の経緯・本件考案の要旨
本件登録第2061672号実用新案(以下、そこに記載される考案を本件考案という)は、平成1年7月26日に実用新案登録出願され、平成7年5月23日に設定の登録がなされたものであり、本件考案の要旨は、願書に添付された明細書及び図面の記載からみて、その実用新案登録請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものと認める。
「グーズネックの基部から、後輪間を低床部、又後輪上を高床部としたトレーラ台車において、上記高床部の中央部分に前後方向に通ずる凹溝を設け、この部分にバケット背部のヒンジアームが陥入可能であるようにすると同時に、グーズネックの両側フレーム上面に低床部の道板を延設したことを特徴とする大型掘削機械用のトレーラ台車。」
[2]当事者の主張
1 請求人の主張等
請求人は、甲第1ないし23号証、ならびに証人尋問書及び証拠調申請書を提出し(甲第4、6ないし8及び10号証の証拠を撤回し、甲第11,14号証を参考資料とする証拠の整理を行う。)、「本件実用新案登録を無効とする。審判費用は、被請求人の負担とする。」との審決を求めており、その無効理由の要点は以下のとおりである。
本件登録実用新案は、その出願日前に日本国内において公然知られた考案もしくは公然実施された考案であり、又はその事実に基づいて当業者がきわめて容易にできた考案であるから、実用新案法第3条第1項第1号もしくは第2号及び第2項の規定により、実用新案登録を受けることができないものであり、実用新案法第37条第1項第1号の規定により無効とすべきものである。
証拠方法
甲第1号証:使用者が有限会社稲山興業と記されたセミトレーラの登録事項等証明書
甲第2号証:有限会社稲山興業の証明書、及び有限会社稲山興業所有のセミトレーラの写真
甲第3号証:車台番号職権打刻台帳に関しての関東運輸局陸運支局長の回答
甲第5号証:改造自動車等審査結果通知書
甲第9号証:自動車整備車両保安関係通達集
甲第12号証:自動車六法(昭和62年版)
甲第15号証の1:照会の回答書と照会請求書の同一証明書
甲第15号証の2:照会申出書
甲第15号証の3:使用者が犬飼運送株式会社と記されたセミトレーラの登録事項等通知書
甲第15号証の4:弁護士照会に対する新潟運輸局長野陸運支局松本自動車検査登録事務所長の回答
甲第15号証の5:改造自動車等届出書
甲第15号証の6:改造自動車等審査結果通知書
甲第15号証の7:東急TD2511改セミトレーラ外観四面図
甲第16号証の1:有限会社三島工業の証明願
甲第16号証の2:犬飼運送株式会社の証明願
甲第16号証の3:自動車登録番号が岐阜11く1792のセミトレーラの登録事項等証明書
甲第16号証の4:自動車登録番号が岐阜11く1792のセミトレーラの写真
甲第17号証:道路運送車両の保安基準詳解
甲第18号証:改造自動車等審査結果通知書
甲第19号証の1:書類送付の嘱託に係る書類の提出について
甲第19号証の2:改造自動車等審査結果通知書の交付について
甲第19号証の3:改造自動車等届出書
甲第19号証の4:改造自動車等審査結果通知書
甲第19号証の5:東急TD2511改セミトレーラ外観四面図
甲第20号証:トレーラ受注票
甲第21号証:トレーラ計画表
甲第22号証:受注から登録までのフロー
甲第23号証の1:セミトレーラ全体図
甲第23号証の2:グーズネック Assy
甲第23号証の3:フロアフレーム Assy
甲第23号証の4:リアフレーム Assy
甲第23号証の5:フロアプレート
検証物:車台番号TD2511-0191が打刻されたセミトレーラ
証人甲:犬飼栄二(住所 松本市横田1-11-27)
証人乙:吉川仲蔵(住所 長野市風間727-2))
証人丙:浜名行夫(横浜市西区東久保町31-17)
2 被請求人の主張
被請求人は、「本件審判の請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求めており、その主張の趣旨は、請求人提示の各証拠によっても本件登録実用新案は、その出願日前に日本国内において公然知られた考案もしくは公然実施された考案ではなく、又その事実に基づいて当業者がきわめて容易に考案できたものでもないため無効となるべきものではないであり、その理由の要点は以下のとおりである。
▲1▼ 甲第15号証の1ないし7に関して、
(イ) 新潟運輸局長野陸運支局松本自動車検査登録事務所(以下、「松本事務所」と呼ぶ)は、昭和60年4月1日以前は新潟陸運局長野県陸運事務所松本支部と呼ばれ、車両の検査、登録業務を行う部署であって、少なくとも試作車や新規登録の改良自動車等届出書(以下「改良届出書」という)の受理や、その内容を審査して改良自動車等審査結果通知書(以下「結果通知書」という)を発行する権限は無かった筈であり、甲第15号証の4?7の原本が保管されていること自体が不自然である。
(ロ) 請求人が主張する書類一式に押捺されている契印は、証明者松本事務所長の公印ではなく、同所内の者であれば自由に使用し得る所謂所印である。
(ハ) 改造に係るセミトレーラは請求人会社の型式番号TD-2511を標準車としているが、その標準車からの改造は大がかりであり、このような大がかりな改造が行われたのであれば、結果通知書の改造概要説明書などに記入されない訳がない。
(ニ) 甲第15号証の7の外観四面図は、図面に記入された各部の寸法値の内、数個所に亘って実測値との間に2.0%を越える誤差が認められる。このような杜撰な外観四面図を改造届出書の正式図面として添付するとは到底考えられない。
▲2▼ グーズネックの側面に延設された低床部の道板が、荷台部の道板とは別途に張設されたもののようで(この部分の板色が異なる)、該トレーラの製作当初から延設されていた道板とは認め難い。
▲3▼ 乙第4号証によると、昭和59年5月22日に登録された「自動車登録番号松本11ヲ135」のセミトレーラに関する請求人が提出した改造自動車等審査結果に係わる書類一式に関し、乙第5号証の1における弁護士照会の第1項「当該書類は、第三者が自由に閲覧することが可能であるか否か。」という照会事項に対しては、乙第5号証の2において「否」と回答があり、さらに第2項「当該書類につき第三者からの謄本交付請求があれば、自由に応じるのか否か。或いは、貴局において守秘義務があり何らかの法的に正当な根拠又は資格がなければ謄本交付請求には応じないのか否か。」という照会事項に対しては、「刑事訴訟法、弁護士法等法律に基づく請求のみ応じている。」と回答があった。これら照会事項から明らかなように、松本自動車検査登録事務所、あるいは松本自動車検査登録事務所長には守秘義務があり、法律に基づいた正当な根拠がなければ甲第15号証の5?7、あるいは乙第4号証の書類は秘密の状態を維持されることを意味するものである。また、秘密の状態を維持されてきたもので、公知資料ではないことも意味するものである。従って、甲第15号証の5?7を根拠とする請求人の主張はその前提とする公知資料の資格を欠くものであり、失当である。
▲4▼ 請求人は平成9年12月3日付けの口頭審理陳述要領書第3頁下から第3行?第2行目にかけて、「このセミトレーラは、「持込」で検査を受けているので、当該検査登録事務所への搬出、搬入は一般道路を使用して行われた。」と主張しているが、乙第5号証の1の照会事項第4項「ご送付頂いた書類にかかる改造自動車の審査の際、実際に改造自動車が貴局に持ち込まれて現物が審査されるのでしょうか。」に対しては、乙第5号証の2において、「審査の際、自動車の提示を求めていない。」との回答があった。また、これに関連して、第5項の回答では「自動車の外観形状は、平成10年2月9日付け長陸松検第23号で送付した改造自動車等届出書中の「外観四面図」により審査している。」とされている。これらの照会事項から明らかな点は、松本自動車検査登録事務所では改造自動車である「松本11ヲ135」のセミトレーラの現物を照合することなしに、提出書類だけを審査したことである。
従って、請求人が主張する「持込」は、請求人が独自に保管している書類である甲第15号証の3に「持込」のスタンプ印章が見受けられることからのみ推測されるものである。
▲5▼ 「松本11ヲ135」のセミトレーラは昭和59年5月22日に犬飼運送株式会社を使用者として登録されているが、このセミトレーラが甲第15号証の7の外観四面図に示されたものと同一であるとしても、本件考案の出願日である平成1年7月26日以前に公然実施されていたという事実まで立証するものではない。即ち、仮に「持込」があったとしても請求人のこの主張のみでは公知の立証責任を果たすものではない。また、甲第16号証は、当該証拠に記載されたセミトレーラが存在していたかもしれないことを証明することはできても、本件考案の出願日前に公知あるいは公然実施されていたことを証明するものでもない。
証拠方法
乙第1号証:本件考案の出願公告公報(実公平6-28388号)
乙第2号証の2:乙第1号証公報の第2図の部分拡大図
乙第2号証の3:甲第5号証の図面に重機を搭載した被請求人作図の状態図
乙第3号証:標準車TD2511の外観四面図
乙第4号証:甲第15号証の2と同じ手続きで被請求人が行った照会事項及びその回答書一式
乙第5号証の1:乙第4号証に関するさらなる照会事項
乙第5号証の2:乙第4号証に関するさらなる照会事項に対する回答書
[3]当審の判断
請求人は、甲第15号証の7の外観四面図に示されるセミトレーナが、平成1年7月26日以前に公知公用であった事実を検証物及び3人の証人によって立証する旨主張したので、当審は、平成10年10月14日に証拠調べ及び証人尋問を行った。
1 検証物は以下の構造等を有していた。
▲1▼ グーズネック部左側面に車台番号の打刻及び製造銘板があり、その車台番号及び製造銘板に記載されるSERIAL NOは、甲第16号証の3の登録事項等証明書の車台番号と一致し、その製造銘板に記載される YOKOHAMA 1984 5は、同甲第16号証の3の初度登録年月である昭和59年5月と一致している。、
▲2▼ ナンバープレートに記載される番号及び両側面部に記載される「(有)三島工業」は、同甲第16号証の3に記載されるものと一致している。
▲3▼ グーズネックの基部から、後輪間を低床部、又後輪上を高床部としたトレーラ台車である。
▲4▼ 高床部の中央部分に前後方向に通ずる長さ約2310mm、幅約420mm、最大深さ約100mmの凹溝があるとともに、その凹溝の一部には、長さ約590mm、幅約490mmの幅広の切欠がある。
▲5▼ グーズネックの両側フレーム上面に低床部の道板を延設してあり、延設部の道板は、一部変色し、且つ割れた箇所もある。更に片側に2個のステーキポケット用の穴がある。
2 証人は以下の内容を証言した。
▲1▼ 犬飼証人
(イ) 昭和59年に長野三菱ふそう自動車販売からセミトレーラを購入したこと。(犬飼証人調書陳述番号:019?024、050、096、097参照。)
(ロ) セミトレーラを購入するに際し、東急車輌製造の吉川所長に注文を出したこと。(同:016?019、024、025参照。)
(ハ) セミトレーラのグーズネックの両側に道板の延設部を設けること及び高床部の中央前後方向に落とし込み(或いは凹溝)を設けることを注文したこと。(同:027?038、041、042、094?101参照。)
(ニ) セミトレーラの高床部の中央前後方向に設けた落とし込みに、大型掘削機械のヒンジアームが陥入したところをみたこと。(同:043?046、066、067、093参照。)
(ホ) 道板は消耗品で張り替えたこと。(同:089?091参照。)
(へ) セミトレーラを公然知られる状況で使用したこと。(同:047?049参照。)
(ト) セミトレーラの高床部の中央前後方向に設けた落とし込みに一部幅広の切欠を設けたこと。(同:051?054、059、065、066参照。)
▲2▼ 吉川証人
(イ) 昭和59年頃長野三菱ふそう自販株式会社を介して犬飼運送よりセミトレーラの受注があったこと。(吉川証人調書陳述番号:004?006、008、014?020参照。)
(ロ) 注文事項に、セミトレーラのグーズネックの両側に道板の延設部を設けること及び高床部の中央前後方向に落とし込み(或いは凹溝)を設けることがあったこと。(同:007?013、021?027、034、048?053、073?076、094?096参照。)
(ハ) 犬飼運送からセミトレーラの受注を受けた後作成した外観四面図を、受注したセミトレーラの車検時に松本事務所に提出したこと及びその外観四面図は甲第15号証の7と同じものであること。(同:028?030、036、037、041、048?054、060?063参照。)
(ニ) 犬飼運送から受注を受けたセミトレーラと松本事務所で車検を受けたセミトレーラが同一であったこと。(同:035、045?047参照。)
(ホ) 松本事務所での車検時にセミトレーラを持ち込んだこと。(同:045、046、085、108?110参照。)
(へ) 犬飼運送から受注を受けたセミトレーラは、松本事務所で審査と検査の2つの異なる手続を受けたこと。(同:036?042、054?057、084?087参照。)
(ト) 犬飼運送から受注を受けたセミトレーラを松本事務所で車検を受ける際に、公然知られる状況で搬入、搬出したこと。(同:111、112参照。)
▲3▼ 浜名証人
(イ) 昭和59年頃までに、落とし込み(或いは凹溝)及び道板延設部を持ったセミトレーラを4台設計し、そのうちの1台が犬飼運送のものであったこと。(浜名証人調書陳述番号:021?024、033、066?072参照。)
(ロ) 落とし込み(或いは凹溝)は、バケット背部のヒンジアームが陥入可能な高床部の中央部分に前後方向に設けられたものであり、又道板延設部は、グーズネックの両側フレーム上面に低床部の道板を延設したものであること。(同:012?020、025?032、100?104参照。)
(ハ) 甲第15号証の7の外観四面図を設計部で作成したこと、その外観四面図には落とし込み(或いは凹溝)及び道板延設部が存すること。(同:045?054、065、090?093参照。)
(ニ) 甲第15号証の7の外観四面図のものと検証物が同一であること。(同:055参照。)
(ホ) (イ)で4台設計したというセミトレーラのうちの犬飼運送以外の1台について、落とし込み部にバケット背部のヒンジアームが入ったことを確認したことがあること。(同:097参照。)
(へ) 落とし込み部の一部に幅広の切欠を設けたことはないこと。(同:056、105、106参照。)
3 請求人が提出し、その成立を認めることができる以下の証拠には、次のことが記載されている。
▲1▼ 甲第9号証の1?5の自動車整備車両保安関係通達集(昭和60年3月27日発行)の292、293頁には、改造自動車等の製作をするときは、管轄する陸運事務所長等に届出するとともに、必要書類を提出すること。届出を受理した陸運事務所長等は、添付資料により道路運送車両の保安基準に適合するかどうかを審査するとともに、保安基準に適合すると認められるものについては、改造自動車等審査結果通知書を陸運事務所長等から届出者に交付すること。審査済車両の検査の取扱いとして、通知書が交付された改造自動車等の検査を申請する者は、検査の申請書に通知書、外観図及び改造部分詳細図等を添付することが記載されている。
▲2▼ 甲第15号証の3の登録事項等通知書には、自動車登録番号として「マツモト11ヲ135」と、初度登録年月として「59年5月」と、車体の形状として「セミトレーラ」と、車名として「トウキュウ」と、型式として「TD2511カイ」と、車台番号として「TD2511-0191」と所有者の氏名又は名称として「ナガノミツビシフソウジドウシャハンバイカブシキガイシャ」と、使用者の氏名又は名称が「イヌカイウンソウカブシキガイシャ」と記載されている。
▲3▼ 甲第16号証の3の登録事項等証明書には、自動車登録番号として「岐阜11く1792」と、初度登録年月として「59年5月」と、車体の形状として「セミトレーラ」と、車名として「東急」と、型式として「TD2511改」と、車台番号として「TD2511-0191」と所有者の氏名又は名称として「有限会社三島工業」と記載されているとともに、保存記録が添付されており、その保存記録には、登録年月日として「昭和59年5月22日」と、登録番号として「松本11を135」と、所有者氏名として「長野三菱ふそう自動車販売株式会社」と、所有者氏名として「イヌカイウンソウカブシキガイシャ」と記載され、更に移転登録日として「平成9年5月16日」と、登録番号として「岐阜11く1792」と、所有者氏名として「有限会社三島工業」と記載されている。
▲4▼ 甲第17号証の1?3の道路運送車両の保安基準詳解の57頁には、荷台に関し「低床式トレーナの荷台のうち、連結装置または後車輪の上部の荷台床面(明らかに物品積載装置と認められるものに限る。)の幅が低床式荷台の床面の幅の3分の2以上ある場合にあっては、当該床面を低床式荷台の床面と等幅とみなした場合の床面の中心」と記載されている。
▲5▼ 甲第15号証の1の「照会の回答書と照会請求書の同一証明」には、甲第15号証の2の「照会申出書」の番号と同じ「東照第71290号」と同じ番号が付されているとともに、東京弁護士会長の印が押されている。
甲第15号証の4の「弁護士法第23条の2に基づく照会について(回答)」には、契印及び松本自動車検査登録事務所長印が認められる。
甲第15号証の5?7の「改造自動車等届出書」、「改造自動車等審査結果通知書」及び「東急TD2511改セミトレーラ外観四面図」は、被請求人が請求人同様弁護士照会によって長野県陸運事務所宛の照会によって取り寄せ、乙第4号証として提出したもの、さらには大阪地方裁判所が嘱託によって松本自動車検査登録事務所に書類の提出を求め、その結果送付された書類であり、請求人が甲第19号証の1?5として提出した甲第19号証の3?5のものと同じ書類である。
4 以上の真正に成立した3人の証人による証人調書等に記載される事実を踏まえると以下の事実を推認できる。
▲1▼ 甲第15号証の3の登録事項等通知書は、犬飼運送株式会社が昭和59年に長野三菱ふそう自販株式会社を介して東急車輌製造株式会社より購入したセミトレーラ(以下、セミトレーラという。)のものであること。
▲2▼ セミトレーラは、新潟運輸局長野陸運支局松本自動車検査登録事務所で審査、検査を受けたこと。
▲3▼ セミトレーラの検査時には、現車を持ち込んだこと。
▲4▼ セミトレーラの製造メーカである東急車輌製造株式会社は、同セミトレーラの検査の申請時に、新潟運輸局長野陸運支局松本自動車検査登録事務所へ甲第15号証の5の「改造自動車等届出書」、甲第15号証の6の「改造自動車等審査結果通知書」、甲第15号証の7の「東急TD2511改セミトレーラ外観四面図」等の書類を提出したこと。
▲5▼ 審査、検査を受けたセミトレーラは、甲第15号証の7の「東急TD2511改セミトレーラ外観四面図」と同じ構造を有していたこと。
▲6▼ セミトレーラは、グーズネックの基部から、後輪間を低床部、又後輪上を高床部としたトレーラ台車であること。
▲7▼ 高床部の中央部分に前後方向に通じ、バケット背部のヒンジアームが陥入可能な凹溝が設けられ、かつグーズネックの両側フレーム上面に低床部の道板が延設されていたこと。
▲8▼ 犬飼運送株式会社は、凹溝に一部幅広の切欠を設けるとともに、道板を張り替える改変を行ったことがあること。
▲9▼ 東急車輌製造株式会社は、セミトレーナの検査時に、セミトレーラの構造が公然知られる状況又は公然知られるおそれのある状況で搬入、搬出したこと。
▲10▼ 犬飼運送株式会社は、セミトレーラを購入後で本件出願前に、セミトレーラの構造が公然知られる状況又は公然知られるおそれのある状況で使用したこと。
▲11▼ セミトレーナは、平成9年5月16日付けで有限会社三島工業に移転登録され、その自動車登録番号が「岐阜11く1792」に変更になったこと。
▲12▼ 検証物は、犬飼運送株式会社が昭和59年に長野三菱ふそう自販株式会社を介して東急車輌製造株式会社より購入したセミトレーラと同一物であること。
してみると、犬飼運送株式会社が昭和59年に長野三菱ふそう自販株式会社を介して東急車輌製造株式会社より購入したセミトレーラは、グーズネックの基部から、後輪間を低床部、又後輪上を高床部としたトレーラ台車であるとともに、その高床部の中央部分に前後方向に通ずる凹溝を設け、この部分にバケット背部のヒンジアームが陥入可能であるようにすると同時に、グーズネックの両側フレーム上面に低床部の道板を延設した構成を有していたことは明らかであり、その構成は本件考案と同一である。
また、前記セミトレーラは、本件実用新案登録出願前に公然知られたもの、または公然実施されたものであったことも明らかである。
4 被請求人の反論について
被請求人は、[2]2項で縷々述べているが、その▲1▼(イ)?(ニ)については、被請求人も弁護士照会を行い同じ書類を受け取っており、その主張は採用できない。
▲2▼については、道板は板材であり、年月と共に消耗するであろうことは明らかであり、また道板を張り替えたことがあったという犬飼証人の証言(089?091参照。)から、たとえ検証物のセミトレーナの延設部の道板が製作当初からの道板でないとしても、甲第15号証の7の外観四面図には、延設部まで道板が記載されているとともに、道板は延設部まで張ってあったという犬飼証人(094参照。)の証言等に基づけば、検証物のセミトレーラは、延設部まで道板が張ってあったものと認められるため、請求人の主張は採用できない。
▲3▼については、甲第15号証の5?7等の書類の交付がたとえ刑事訴訟法、弁護士法等法律に基づく請求時のみであるとしても、その書類が松本自動車検査登録事務所に存在し、必要な手続きを踏めば取り寄せることができるということは、それら書類は、そこに記載されるセミトレーラの審査、検査の際に、新潟運輸局長野陸運支局松本自動車検査登録事務所に提出されたものであるという事実を証明することが可能な書証になりうるものと認められ、本件無効審判事件においては、その事実が証明されるか否かが問題となっているのであり、被請求人の主張は適正ではない。
▲4▼については、甲第9号証に記載のもの及び吉川証人の証言等に基づけば、被請求人は明らかに審査と検査を混同するものであり、その主張は採用できない。
▲5▼については、犬飼証人の証言及び吉川証人の証言等に基づけば、検証物のセミトレーラが本件実用新案登録出願前に公然実施されていたことは明らかである。
被請求人は、犬飼証人の反対尋問の073?078及び浜名証人の反対尋問の080?082において、荷台について尋問しているが、その趣旨は、甲第15号証の7の外観四面図に記載される荷台長5200mmに基づけば、延設部の道板部は荷台ではなく、検証物は、本件考案のグーズネックの両側フレーム上面に低床部の道板を延設するという構成を具備しないものであると思われるところ、荷台長の5200mmがどこからどこまでかの根拠は、甲第17号証の保安基準詳解に基づいて計算された結果、該保安基準詳解が求める荷台は、グーズネック後端部から後方部にわたる部分の長さでよいことになるため、そのような長さとして表示されたものと認められるとともに、グーズネック後端部から前方部にわたる、いわゆる延設部の道板部が荷台として使用することができないという特別な事情も認められない以上、延設部の道板部分が荷台か否かは、単なる使用上の問題であるとともに、そのような主張は、実用新案登録請求の範囲の記載に基づいたものでもなく、採用できない。
被請求人は、犬飼証人の反対尋問の080?084、吉川証人の反対尋問の077?083及び浜名証人の反対尋問の124?136において、延設部の道板に設けられている片側2個のステーキポケットについて尋問しているが、その趣旨は、ステーキポケットに支柱を立てた場合には、大型掘削機のキャタピラーは、延設部の道板上に乗らないから、やはり延設部の道板部は荷台ではなく、証拠のものは、本件考案のグーズネックの両側フレーム上面に低床部の道板を延設するという構成を具備しないものであると思われるところ、検証物は、あくまでも延設部に道板を具備するものであり、前記ステーキポケットに支柱を立てるか立てないかは、単なる使用上の問題であるとともに、そのような主張は、実用新案登録請求の範囲の記載に基づかないものでもあり採用できない。
なお付言すると、本件考案の要旨の一部である「ようにすると同時に」という事項が、大型掘削機のヒンジアームが凹溝に陥入している状態と、キャタピラーの一部が延設部の道板上にある状態を同時に満たす構成を示すものでないことは願書に添付された明細書及び図面の記載に照らし明らかである。
以上を踏まえると、検証物のセミトレーラが、本件考案と同一の構成を有し、且つ本件実用新案登録出願前に製造され、使用されたものと認定することができる。
[4]むすび
即ち、本件登録実用新案の実用新案登録請求の範囲の請求項1に係る考案は、本件実用新案登録出願前に日本国内において公然知られ、または公然実施されたものと同一であるため、旧実用新案法第3条第1項第1号または第2号に該当し、同法第37条第1項第1号の規定により無効にすべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 1999-02-17 
結審通知日 1999-03-05 
審決日 1999-03-10 
出願番号 実願平1-87837 
審決分類 U 1 112・ 111- Z (B62D)
U 1 112・ 112- Z (B62D)
最終処分 成立  
前審関与審査官 水谷 万司  
特許庁審判長 玉城 信一
特許庁審判官 鈴木 法明
井口 嘉和
登録日 1995-05-23 
登録番号 実用登録第2061672号(U2061672) 
考案の名称 大型掘削機械用のトレーラ台車  
代理人 高西 金次郎  
代理人 宮崎 嘉夫  
代理人 濱田 俊明  
代理人 萼 経夫  
代理人 中村 壽夫  
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