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審決分類 審判 全部申し立て   B65D
管理番号 1020850
異議申立番号 異議1999-70210  
総通号数 14 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案決定公報 
発行日 2001-02-23 
種別 異議の決定 
異議申立日 1999-01-21 
確定日 2000-05-24 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 登録第2577134号「載物用パレット」の請求項1ないし2に係る実用新案登録に対する実用新案登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。   
結論 訂正を認める。 登録第2577134号の実用新案登録を維持する。
理由 I.手続の経緯

実用新案登録第2577134号の請求項1ないし2に係る考案についての手続の経緯は、およそ次のとおりである。
(1)実用新案登録出願 平成4年4月3日
(2)実用新案権の設定の登録 平成10年5月1日
(3)実用新案掲載公報の発行 平成10年7月23日
(4)日本プラパレット株式会社より実用新案登録異議の申立て 平成11年1月21日
(5)実用新案登録の取消理由の通知 平成11年5月28日
(6)実用新案権者より明細書の訂正請求(指定期間内) 平成11年7月27日
(7)訂正拒絶理由の通知 平成11年9月28日
(8)実用新案権者より手続補正書(訂正請求書)の提出(指定期間内) 平成11年11月29日
(9)実用新案登録の再度の取消理由の通知 平成12年2月4日
(10)実用新案権者より前記(6)の明細書の訂正請求の取下げ 平成12年4月3日
(11)実用新案権者より明細書の訂正請求(指定期間内) 平成12年4月3日

II.訂正の適否について

1.訂正事項
前記I.(11)の明細書の訂正請求は、次のア、イのとおり、明細書の記載を訂正することを求めるものである。
ア.訂正前の明細書の実用新案登録請求の範囲の記載、すなわち、
「【請求項1】物品を積載するためのデッキボードと、このデッキボードの裏側に形成された中空な桁と、前記デッキボードの裏面の桁内部分及び桁間部分に形成されたリブとを有し、前記桁間のリブは少なくとも二本が前記桁内のリブと略同一線上に連続的に形成され、この連続的に形成された桁間のリブの厚さは他の桁間のリブより厚く、かつ前記連続的に形成された桁間のリブの厚さは当該桁間のリブに連続する桁内のリブと同等かそれ以上に厚く形成されていることを特徴とする載物用パレット。
【請求項2】請求項1に記載した載物用パレットにおいて、前記相互に連続形成された桁間のリブおよび/または桁内のリブは中空構造を有していることを特徴とする載物用パレット。」
を訂正明細書の実用新案登録請求の範囲の記載、すなわち、
「【請求項1】上下割型四方差し載物用パレットであって、物品を積載するためのデッキボードと、このデッキボードの裏側に形成された中空な桁と、前記デッキボードの裏面の桁内部分及び桁間部分に形成されたリブとを有し、前記桁間のリブは少なくとも二本が前記桁内のリブと略同一線上に連続的に形成され、この連続的に形成された桁間のリブの厚さは他の桁間のリブより厚く、かつ前記連続的に形成された桁間のリブの厚さは当該桁間のリブに連続する桁内のリブと同等かそれ以上に厚く形成され、前記相互に連続形成された桁間のリブおよび/または桁内のリブは断面台形の中空構造を有し、前記連続形成された桁内のリブの断面台形の中空構造は基底部に形成されていることを特徴とする載物用パレット。」
に訂正すること。
イ.訂正前の明細書の考案の詳細な説明の段落【0013】、【0033】、【0034】の各記載を訂正明細書の考案の詳細な説明の段落【0013】、【0033】、【0034】の各記載のように訂正すること。

2.訂正の目的の適否
(1)前記アの訂正は、訂正前の請求項1の記載を削除し、請求項2を引用形式によらずに記載し直して請求項1とした上、文頭に「上下割型四方差し載物用パレットであって、」との語句を挿入して、訂正前の請求項2に記載された事項により特定される考案である「載物用パレット」について、上下割型四方差しというその形態、用法等を規定し、さらに、訂正前の請求項2に記載された事項である「前記相互に連続形成された桁間のリブおよび/または桁内のリブは中空構造を有している」を「前記相互に連続形成された桁間のリブおよび/または桁内のリブは断面台形の中空構造を有し、前記連続形成された桁内のリブの断面台形の中空構造は基底部に形成されている」と限定して、「相互に連続形成された桁間のリブおよび/または桁内のリブの有する中空構造」の形状が断面台形であり、かつ「連続形成された桁内のリブの断面台形の中空構造」が基底部に形成されていることを規定するものであるから、実用新案登録請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
なお、訂正請求では、前記アの訂正は、訂正前の請求項2の記載を削除し、訂正前の請求項1に記載された事項により特定される考案である「載物用パレット」について所要の限定を加えたものであるとしているが、この訂正は、前記のように、請求項2を請求項1に繰り上げた上、さらに所要の限定を加えたものに相当すると解するのが妥当である。
(2)前記イの訂正は、前記アの訂正に整合させて、対応する考案の詳細な説明の記載をも併せて訂正しようとするものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とするものに該当する。

3.新規事項の追加の有無
訂正前の請求項2に記載された事項により特定される考案である「載物用パレット」が、上下割型四方差しのタイプのものを包含することは、訂正前の明細書の考案の詳細な説明の段落【0003】、【0016】、【0034】の各記載及び図面の記載から明らかであり、また、前記の「中空構造」の形状が断面台形であってよいこと、連続形成された桁内のリブの断面台形の中空構造が基底部に形成されていることは、同明細書の段落【0018】、【0033】の各記載及び図面の記載から明らかであるから、当該訂正は、願書に添付された明細書又は図面に記載された事項の範囲内においてされたものである。

4.実用新案登録請求の範囲の拡張、変更の存否
当該訂正が、訂正前の請求項2に記載された事項により特定される考案の具体的な目的の範囲を逸脱してその技術的事項を変更するもの等に該当しないことは、前記2、3の各説示からも明らかであるから、当該訂正は、実用新案登録請求の範囲を実質上拡張するものでも変更するものでもない。

5.独立登録要件の判断
(1)訂正後の請求項1に係る考案(以下「本件考案」という。)は、訂正明細書の実用新案登録請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】上下割型四方差し載物用パレットであって、物品を積載するためのデッキボードと、このデッキボードの裏側に形成された中空な桁と、前記デッキボードの裏面の桁内部分及び桁間部分に形成されたリブとを有し、前記桁間のリブは少なくとも二本が前記桁内のリブと略同一線上に連続的に形成され、この連続的に形成された桁間のリブの厚さは他の桁間のリブより厚く、かつ前記連続的に形成された桁間のリブの厚さは当該桁間のリブに連続する桁内のリブと同等かそれ以上に厚く形成され、前記相互に連続形成された桁間のリブおよび/または桁内のリブは断面台形の中空構造を有し、前記連続形成された桁内のリブの断面台形の中空構造は基底部に形成されていることを特徴とする載物用パレット。」
(2)これに対して、当審で通知した前記I.(5)の実用新案登録の取消理由はおよそ次のとおりである。
「本件考案は、その出願前に国内において頒布された刊行物1(特開平2-72048号公報)及び刊行物2〔実願昭62-108240(実開昭64-14625号公報)のマイクロフィルム〕に記載された考案に基づいて、その出願前に当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであると認められるから、本件実用新案登録は、実用新案法第3条第2項の規定に違反してされたものであって、取り消すべきものである。」
(3)この取消理由について検討する。
刊行物1の記載を図面を参照しながら総合すると、同刊行物には、
「上下割型四方差し載物用パレットであって、物品を積載するためのデッキボードと、このデッキボードの裏側に形成された中空な桁と、前記デッキボードの裏面の桁内部分及び桁間部分に形成されたリブとを有し、前記桁間のリブは少なくとも二本が前記桁内のリブと略同一線上に連続的に形成され、この連続的に形成された桁間のリブ以外に他の桁間のリブを有し、かつ前記連続的に形成された桁間のリブの厚さは当該桁間のリブに連続する桁内のリブと同等かそれ以上に厚く形成されている載物用パレット。」
が記載されていると認められるものの、「連続的に形成された桁間のリブの厚さを他の桁間のリブより厚く形成すること」については記載されていない。
刊行物2の記載を図面を参照しながら総合すると、同刊行物には、
「上下割型二方差し載物用パレットにおいて、桁内のリブと連続的に形成された桁間のリブの厚さを、この桁内のリブの高さの10%程度の高さの桁内の補強リブと連続的に形成された他の桁間のリブの厚さより厚く形成すること」
が記載されていると認められる。そして、これによれば、桁間のすべてのリブの厚さを一定にする必要はなく、構造上、より重要な部分の桁間のリブの厚さを他の桁間のリブの厚さより厚く形成することが知られる。
してみると、刊行物1記載の前記載物用パレットにおいても、構造上、より重要な部分であると考えられる「連続的に形成された桁間のリブ」の厚さを他の桁間のリブより厚く形成すること自体は、刊行物2の記載から当業者がきわめて容易に想到しうることであると認められる。
しかし、両刊行物のいずれにも、本件考案を特定する「前記相互に連続形成された桁間のリブおよび/または桁内のリブは断面台形の中空構造を有し、前記連続形成された桁内のリブの断面台形の中空構造は基底部に形成されている」との事項が記載されていないし、この事項が両刊行物の記載からきわめて容易に想到されるものとも認められない。そして、本件考案は、当該事項を具備することにより、剛性を保持しつつ軽量化した上下割型四方差し載物用パレットを提供するという顕著な効果を奏するものである。
したがって、本件考案は、刊行物1及び刊行物2に記載された考案に基づいて、その出願前に当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるとは言えない。
(4)また、前記I.(9)の再度の取消理由も、前記ア、イの各訂正により解消され、他に本件考案がその出願の際独立して実用新案登録を受けることができないものであるとする理由もない。よって、本件考案は、その出願の際独立して実用新案登録を受けることができるものである。

6.以上のとおりであるから、前記ア、イの各訂正は、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第9条第2項の規定により準用され、同附則第10条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる、特許法第120条の4第2項の規定及び同条第3項において準用する同法第126条第2項ないし第4項の規定に適合するので、当該訂正を認める。

III.実用新案登録異議の申立てについて

1.本件考案
実用新案登録第2577134号の請求項1に係る考案(以下「本件考案」という。)は、訂正明細書の実用新案登録請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】上下割型四方差し載物用パレットであって、物品を積載するためのデッキボードと、このデッキボードの裏側に形成された中空な桁と、前記デッキボードの裏面の桁内部分及び桁間部分に形成されたリブとを有し、前記桁間のリブは少なくとも二本が前記桁内のリブと略同一線上に連続的に形成され、この連続的に形成された桁間の厚さは他の桁間のリブより厚く、かつ前記連続的に形成された桁間のリブの厚さは当該桁間のリブに連続する桁内のリブと同等かそれ以上に厚く形成され、前記相互に連続形成された桁間のリブおよび/または桁内のリブは断面台形の中空構造を有し、前記連続形成された桁内のリブの断面台形の中空構造は基底部に形成されていることを特徴とする載物用パレット。」

2.実用新案登録異議の申立ての理由の概要
実用新案登録異議申立人日本プラパレット株式会社は、甲第1号証(特開平2-72048号公報。すなわち前記刊行物1)及び甲第2号証〔実願昭62-108240(実開昭64-14625号公報)のマイクロフィルム。すなわち前記刊行物2〕を提出し、「本件考案は、甲第1号証及び甲第2号証に係る各刊行物に記載された考案に基づいて、その出願前に当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであって、実用新案法第3条2項の規定により実用新案登録を受けることができないものであるから、本件実用新案登録は取り消されるべきものである。」と主張している。

3.実用新案登録異議の申立ての理由についての判断
前記II.5.(3)に説示したとおり、本件考案は、甲第1号証及び甲第2号証に記載された考案に基づいて、その出願前に当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるとは認められない。
してみると、本件考案は、実用新案法第3条2項の規定により実用新案登録を受けることができない考案に該当しないから、前記実用新案異議の申立ての理由により、本件実用新案登録は取り消されるべきものであるとする実用新案登録異議申立人の主張は失当である。

IV.むすび

以上のとおりであるから、実用新案登録異議の申立ての理由及び証拠によっては、本件実用新案登録を取り消すことはできない。
また、他に本件実用新案登録を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
発明の名称 (54)【考案の名称】
載物用パレット
(57)【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 上下割型四方差し載物用パレットであって、物品を積載するためのデッキボードと、このデッキボードの裏側に形成された中空な桁と、前記デッキボードの裏面の桁内部分及び桁間部分に形成されたリブとを有し、前記桁間のリブは少なくとも二本が前記桁内のリブと略同一線上に連続的に形成され、この連続的に形成された桁間のリブの厚さは他の桁間のリブより厚く、かつ前記連続的に形成された桁間のリブの厚さは当該桁間のリブに連続する桁内のリブと同等かそれ以上に厚く形成され、前記相互に連続形成された桁間のリブおよび/または桁内のリブは断面台形の中空構造を有し、前記連続形成された桁内のリブの断面台形の中空構造は基底部に形成されていることを特徴とする載物用パレット。
【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本考案は、載物用パレットに関し、物品を運搬、移動、収納する際に用いるフォークリフト用樹脂パレットなどに利用できる。
【0002】
【背景技術】
従来より、様々な物品を運搬する時には、パレットの上にその物品を積載して運ぶ方法などが行われている。
そして、運搬用機械としてはフォークリフト、クレーン等が用いられるが、パレットにはフォークリフトによる運搬のためのフォーク差し込み口を備えたものが多くみられる。
このようなパレットの材質としては、木材、金属等も用いられているが、最近では重量を軽くして取扱いを容易にする、あるいは製作工程を簡易にしてコストダウンを図るなどの理由から合成樹脂製のものが多く用いられている。
【0003】
また、フォークリフト用樹脂パレットの型には、フォーク差し込み口の設置位置により二方差しと四方差しがあり、物品を積載するデッキボードの配置により両面使用型と片面使用型がある。また、製造方法により上下割型と一体型、デッキボードの形状により正方形タイプと長方形タイプ、成形方法によりインジェクション成形タイプとプレス成形タイプなどがある。
【0004】
図5から図8には、従来のフォークリフト用樹脂パレットの一般的な例が示されている。
図5において、パレット10は上下割型四方差し正方形樹脂パレットであり、半割り状の部分10A,10Bが上下に接合されている。そして、これらの半割り状の部分10A,10Bは上下に対称であり、つまりパレット10は略同じものを上下逆に接合したものである。
これらの半割り状の部分10A,10Bは、それぞれ載物面を形成するデッキボード11と、上下の各々のデッキボード11を接続するために各デッキボード11の裏面に設けられた筒状の中空な桁20を有し、この桁20の間にはフォークリフトのフォークを差し込むためのフォーク差し込み部30が形成されている。
また、デッキボード11の裏面には、桁20の内部および桁20の間であるフォーク差し込み部30に裏面リブ90が設けられている。
このようなパレット10は、上下に分割された半割り状の状態に射出成形された後、上下の桁20の端面の溶着部13で溶着接合されて形成される。
【0005】
図6には、パレット10の内部(半割り状の状態の裏面)の基本構成が示されている。
同図において、桁20は、角部桁21が四本と角間桁22が四本と中央桁23が一本の合わせて九本の桁により構成されている。
運搬用治具差し込み部であるフォーク差し込み部30は、桁間部31と桁間交差部32とにより構成されている。
また、裏面リブ90は、桁間リブ93および桁内リブ96により構成されている(図8参照)。
【0006】
このような四方差し正方形のパレット10は、四分割した各ブロックが上下左右に両対称なものとなり、裏面リブ90の基本構造もこれに従って各ブロックが上下左右に両対称なものとなっている。
図7には、パレット10の裏面リブ90の詳細構造が示されており、図8には、その模式図が示され、同図においては細部の分割に係わる裏面リブ90は一部省略されている。
【0007】
なお、この従来例の裏面リブ90の構造は、模式的にみて、桁間部31は桁間リブ93により五分割されており、角部桁21は桁内リブ96により格子状に三×三分割、角間桁22は桁内リブ96により格子状に三×四分割、中央桁23は桁内リブ96により格子状に四×四分割されている。
また、桁20の内部およびその桁20どうしの間に当たるフォーク差し込み部30における裏面リブ90の配置、すなわち桁内リブ96および桁間リブ93の配置は、各々任意の分割による配置となっており、桁間リブ93と桁内リブ96とが桁20の側壁を挟んであたかも連通している配置にはなっていない。
【0008】
ところで、このような従来例においては、裏面リブ90の設置により、デッキボード11に必要な曲げ剛性が得られるようになっており、フォークリフト等で物品を運搬、移動する時などにパレット10の撓みにより荷崩れ等の不都合が生じることのないようになっている。
【0009】
また、桁20内に特殊な補強板81を設けてパレットの曲げ強度を向上させた実公昭57-2285号のような例もある。
図9において、補強板81は、角部桁21の互いに直交する側壁にその両側縁を接続しており、その接続位置は桁20間の補強リブ82が角部桁21の側壁に接続する位置(図中Kの位置)に一致していて、これによりパレットの曲げ強度の向上が図られている。
【0010】
【考案が解決しようとする課題】
ところが、前述の図5から図8に示したパレット10の例では、桁間部31の桁間リブ93が桁20の側壁とT字状に接続しているため、その接続位置(図7中Pの位置)に応力が集中しやすい構造となっており、この結果、負荷時に当該箇所が破断しやすいという問題があった。
【0011】
また、特殊な補強板81を設けた実公昭57-2285号の例では、補強板81が角部桁21の互いに直交する側壁にその両側縁を接続しており、パレットの曲げ強度の向上は図られているが、補強板81は角部桁21の側壁に対して斜めに設置しなければいけないため従来の基本構造である格子状の配置を変更しなければならないという問題があった。
【0012】
本考案の目的は、軽量かつ高剛性で耐久性に優れた載物用パレットを提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本考案は、上下割型四方差し載物用パレットであって、物品を積載するためのデッキボードと、このデッキボードの裏側に形成された中空な桁と、前記デッキボードの裏面の桁内部分及び桁間部分に形成されたリブとを有し、前記桁間のリブは少なくとも2本が前記桁内のリブと略同一線上に連続的に形成され、この連続的に形成された桁間のリブの厚さは他の桁間のリブより厚く、かつ前記連続的に形成された桁間のリブの厚さは当該桁間のリブに連続する桁内のリブと同等かそれ以上に厚く形成され、前記相互に連続形成された桁間のリブおよび/または桁内のリブは断面台形の中空構造を有し、前記連続形成された桁内のリブの断面台形の中空構造は基底部に形成されていることを特徴とする。
【0014】
【作用】
このような本考案においては、桁内のリブと桁間のリブとが桁の側壁を介して少なくとも一箇所で略同一線上に連通しているので、物品運搬時等におけるリブと桁の側壁との接続部分での応力集中が緩和されるようになる。
【0015】
また、前記のような桁内のリブと桁間のリブの連通により余分な材料を使わずに剛性を与えることもでき、軽量化できるようになりかつコストダウンも図れるようになり、これらにより前記目的が達成される。
【0016】
【実施例】
以下、本考案の一実施例を図面に基づいて説明する。
本実施例のパレット10は上下割型四方差し正方形樹脂パレットであり、その基本構成は図5に示した従来例と略同一であり、裏面リブ40の構造が異なるものである。
従って、簡略化のため共通部分についての説明は省略し、以下には異なる部分である裏面リブ40の構造についてのみ説明する。
【0017】
本実施例の裏面リブ40の構造は、模式的にみて、図1に示すような構造(細部の分割に係わる裏面リブ40は一部省略されている)となっており、桁20内の裏面リブ40の配置および分割数は、図8に示した従来例の裏面リブ90の配置および分割数と同一である。
また、桁20間の裏面リブ40の配置は、図8に示した従来例と異なっているが、分割数は同一である。
図1および図2において、桁20内には、桁内リブ46である桁内連通リブ44が設けられており、桁20間に当たる桁間部31には、桁間リブ43が設けられており、この桁間リブ43は桁間連通リブ41と桁間不連通リブ42とにより構成されている。
そして、これらの桁内連通リブ44と桁間連通リブ41と桁間不連通リブ42とにより裏面リブ40が構成されている。
【0018】
桁内連通リブ44および桁間連通リブ41は、桁20を挟んであたかも連続した一本のリブのように図2中Sの位置で接続されている。
また、桁内連通リブ44および桁間連通リブ41は、図3に示すように中空構造となっており、図4(A)には桁間連通リブ41の断面形状、図4(B)には桁内連通リブ44の断面形状が示されている。
そして、これらの断面形状はともに略同一な形状、大きさの台形部分を有しており、桁間連通リブ41の台形部分の高さHAと桁内連通リブ44の台形部分の高さHBは同一であり、それぞれの台形部分の厚みDA,DBも同一である。
さらに、桁内連通リブ44の一部は台形部分の先にその台形部分の厚さDBより細いリブの部分(台形部分の高さと合わせた高さがL)が備わっており、その先端は上下割型の溶着部13となっている。
また、桁間連通リブ41の厚さDAは、桁間不連通リブ42より厚くなっている。
【0019】
このような本実施例によれば、桁内連通リブ44および桁間連通リブ41が、桁20を挟んであたかも連続した一本のリブのように図2中Sの位置で接続されているので、物品運搬時等における当該部分での応力集中を、従来例のT字状接続(図7中Pの位置)の場合に比べて、緩和することができる。
このため、耐久性が向上し、パレット10が破損に至るという不都合を解消できる。
【0020】
また、桁間連通リブ41の厚さDAは、桁間不連通リブ42より厚くなっているので、余分な材料を使わずに必要な箇所だけに剛性を与えているため軽量化できかつコストダウンを図ることができる。
そして、桁内連通リブ44の一部は台形部分の先にその台形部分の厚さDBより細いリブの部分が備わった構成となっているため、必要な上下割型の溶着部13を確保することができる。
【0021】
さらに、桁内連通リブ44および桁間連通リブ41は、中空構造となっているため、剛性を保持しつつ軽量化できる。
そして、これらの中空部は、例えば、ガスインジェクション法を用いた成形方法(特願平03-166344号等参照)により容易に形成することができ、パレット10として製造を簡略にできる。
【0022】
また、桁内リブ46は、前述した図9の補強板81のように桁20の側壁に対して斜めに配置することはなく、従来通りの格子状の配置でよく、従来例において桁間リブ43および/または桁内リブ46の分割の配置の変更を行うだけで簡単に実現できるため大幅な設計変更を不用にすることができる。
【0023】
ところで、本考案の効果を確かめるため、以下の実験が行われた。
実験に供された五つの載物用パレットの構成は次の通りである。
実施例の実験例1は、上下割型両面使用タイプのパレットで、図1?図4に示した前記実施例とリブに中空部がないことを除いては同一のものであり、桁間部31には桁間連通リブ41が存在する。(桁間リブ43および桁内リブ46の本数は比較例1と同じ)
【0024】
実施例の実験例2は、一体型片面使用タイプであることを除けば、実施例の実験例1と同一である。なお、桁間連通リブ41の幅は5mm、桁内連通リブ44の幅は5mm、桁間不連通リブ42の幅は3mmである。
【0025】
実施例の実験例3は、上下割型両面使用タイプのパレットで、図1?図4に示した前記実施例と同一のものであり、桁間部31には桁間連通リブ41が存在し、桁間連通リブ41および桁内連通リブ44は中空構造になっている。なお、桁間連通リブ41および桁内連通リブ44の各寸法は、図4において、HA=HB=27mm,DA=10mm,L=74.5mmである。
【0026】
比較例1は、上下割型両面使用タイプのパレットで、図5?図8に示した従来例と同一のものであり、桁間部31には連通リブは存在しない。(桁間リブ43および桁内リブ46の本数は実施例の実験例1と同じ)
比較例2は、一体型片面使用タイプであることを除けば、比較例1と同一である。
【0027】
上記五例の載物用パレットの材質は、全てポリプロピレン(PP)であり、いずれも外径寸法は1100mm×1100mmの正方形でフォーク四方差しタイプ、インジェクション成形(射出成形)によるものである。
【0028】
これらの五例について、JISZ0602に基づいて曲げ強度試験を行い、最大たわみ量を測定した。
また、応力分布を調べるため有限要素法構造解析シミュレーションプログラムによる試算を行った。
以上の結果を表1に示す。
【0029】
【表1】

【0030】
同表によれば、比較例1,2ではリブの一部に応力集中がみられるが、実施例の実験例1,2,3ではこれがみられず、全体として欠陥箇所がない。
また、パレットの重量は連通リブ構造とした場合とそうでない場合において差はなく、最大たわみ量も連通リブ構造とした方が小さいので、本考案の効果が顕著に現れている。
【0031】
なお、本考案は前記実施例に限定されるものではなく、例えば以下に示すような変形等も本考案に含まれるものである。
例えば、前記実施例では、桁内リブ46は桁内連通リブ44だけにより構成されているが、桁間リブ43と同様に桁内不連通リブ45を設け、桁内連通リブ44と桁内不連通リブ45とにより桁内リブ46が構成されるようにしてもよい。
【0032】
また、桁20およびフォーク差し込み部30の分割数は、前記実施例では、模式的にみて、桁間部31は桁間リブ43により五分割され、角部桁21、角間桁22、中央桁43はそれぞれ桁内リブ46により格子状に三×三分割、三×四分割、四×四分割されているが、何分割であってもよく、要するに桁20の各側壁を介して桁内連通リブ44および桁間連通リブ41が少なくとも一組あればよい。
【0033】
そして、これらの中空部はガスインジェクション法により形成されているが、他の方法であってもよい。
さらに、これらの中空部は、パレット10の全体重量があまり重くならなければ桁内連通リブ44または桁間連通リブ41のどちらか一方だけにあってもよく、あるいは両方になくてもよい。
【0034】
また、前記実施例のパレット10は上下割型四方差し正方形樹脂パレットとなっているが、物品を積載するデッキボードの配置により両面使用型と片面使用型、デッキボードの形状により正方形タイプと長方形タイプ、成形方法によりインジェクション成形タイプとプレス成形タイプなど種々ある仕様において、いずれのものにも本考案の裏面リブ40の構造は適用できる。
【0035】
さらに、前記実施例のパレット10は、フォークリフト用パレットとなっているが、フォークリフト用に限らずクレーン用であってもよく、他の運搬手段用であってもよく、要するに桁20の間にフォーク差し込み部30のような運搬用治具差し込み部が形成されていればよい。
【0036】
また、前記実施例では、桁間連通リブ41の台形部分の厚みDAと桁内連通リブ44の台形部分の厚みDBは同一となっているが、桁間連通リブ41の台形部分の厚みDAを桁内連通リブ44の台形部分の厚みDBより厚くすることで、パレット10の剛性をより高めることができ、デッキボード11の撓みを抑えることができる。
この際、桁内連通リブ44は、桁20の内部にあるため、連通の効果を失わない程度すなわち応力集中を伴わない程度ならばその台形部分の厚みDBを細くしてもパレット10としての剛性は低下することはなく、軽量化できる。
さらに、桁間連通リブ41の台形部分の高さHAと桁内連通リブ44の台形部分の高さHBは同一となっているが、極端に差異を設けて応力が集中しない限り、異なる高さであってもよい。
なお、桁間不連通リブ42の厚みは、通常3?4mmであるから、桁間連通リブ41の台形部分の厚みDAおよび桁内連通リブ44の台形部分の厚みDBは5?7mm程度が妥当であるが、これらの寸法は絶対的なものではない。
【0037】
また、前記実施例のパレット10は、樹脂パレットとなっており、ポリプロピレン(PP)、高密度ポリエチレン(HDPE)、その他の樹脂等が適用されるが、樹脂に限らず金属材質やセラミクス等の無機材質などであってもよく、要するに裏面リブ40の構造が採用できればいずれの材質であってもよい。
【0038】
【考案の効果】
以上に述べたように本考案によれば、桁内のリブと桁間のリブとが桁の側壁を介して少なくとも一箇所で略同一線上に連通しているので、物品運搬時等におけるリブと桁の側壁との接続部分での応力集中を緩和することができ、耐久性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本考案の一実施例の裏面リブ構造を示す模式図。
【図2】
前記実施例の要部を示す拡大図。
【図3】
前記実施例の要部を示す斜視図。
【図4】
前記実施例の連通リブの断面図。
【図5】
従来例を示す斜視図。
【図6】
前記従来例の裏面構造を示す概略図。
【図7】
前記従来例の要部を示す拡大図。
【図8】
前記従来例の裏面リブ構造を示す模式図。
【図9】
他の従来例の要部を示す拡大図。
【符号の説明】
10 パレット
ll デッキボード
13 溶着部
20 桁
21 角部桁
22 角間桁
23 中央桁
30 運搬用治具差し込み部であるフォーク差し込み部
31 桁間部
32 桁間交差部
40 裏面リブ
41 桁間連通リブ
42 桁間不連通リブ
43 桁間リブ
44 桁内連通リブ
45 桁内不連通リブ
46 桁内リブ
訂正の要旨 訂正の要旨
実用新案登録第2577134号考案の明細書について、次のとおり訂正する。
(1)実用新案登録請求の範囲の減縮を目的として、実用新案登録請求の範囲の記載を次のとおり訂正する。
「【請求項1】上下割型四方差し載物用パレットであって、物品を積載するためのデッキボードと、このデッキボードの裏側に形成された中空な桁と、前記デッキボードの裏面の桁内部分及び桁間部分に形成されたリブとを有し、前記桁間のリブは少なくとも二本が前記桁内のリブと略同一線上に連続的に形成され、この連続的に形成された桁間の厚さは他の桁間のリブより厚く、かつ前記連続的に形成された桁間のリブの厚さは当該桁間のリブに連続する桁内のリブと同等かそれ以上に厚く形成され、前記相互に連続形成された桁間のリブおよび/または桁内のリブは断面台形の中空構造を有し、前記連続形成された桁内のリブの断面台形の中空構造は基底部に形成されていることを特徴とする載物用パレット。」
(2)明りょうでない記載の釈明を目的として、考案の詳細な説明の段落【0013】、【0033】、【0034】の各記載を次のとおり訂正する。
「【0013】【課題を解決するための手段】
本考案は、上下割型四方差し載物用パレットであって、物品を積載するためのデッキボードと、このデッキボードの裏側に形成された中空な桁と、前記デッキボードの裏面の桁内部分及び桁間部分に形成されたリブとを有し、前記桁間のリブは少なくとも二本が前記桁内のリブと略同一線上に連続的に形成され、この連続的に形成された桁間の厚さは他の桁間のリブより厚く、かつ前記連続的に形成された桁間のリブの厚さは当該桁間のリブに連続する桁内のリブと同等かそれ以上に厚く形成され、前記相互に連続形成された桁間のリブおよび/または桁内のリブは断面台形の中空構造を有し、前記連続形成された桁内のリブの断面台形の中空構造は基底部に形成されていることを特徴とする。」
「【0033】
そして、これらの中空部はガスインジェクション法により形成されているが、他の方法であってもよい。
さらに、これらの中空部は、パレット10の全体重量があまり重くならなければ桁内連通リブ44または桁間連通リブ41のどちらか一方だけにあってもよく、あるいは両方になくてもよい。」
「【0034】
また、前記実施例のパレットは上下割型四方差し載物用パレットとなっているが、物品を積載するデッキボードのの配置により両面使用型と片面使用型、デッキボードの形状により正方形タイプと長方形タイプ、成形方法によりインジェクジョン成形タイプとプレス成形タイプなど種々ある仕様において、いずれのものにも本考案の裏面リブ40の構造は適用できる。」
異議決定日 2000-05-08 
出願番号 実願平4-20084 
審決分類 U 1 651・ 121- YA (B65D)
最終処分 維持  
前審関与審査官 大橋 康史  
特許庁審判長 村本 佳史
特許庁審判官 杉原 進
祖山 忠彦
登録日 1998-05-01 
登録番号 実用新案登録第2577134号(U2577134) 
権利者 出光石油化学株式会社
東京都港区芝五丁目6番1号
考案の名称 載物用パレット  
代理人 木下 実三  
代理人 岡田 数彦  
代理人 中山 寛二  
代理人 木下 実三  
代理人 中山 寛二  
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