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審決分類 審判 全部申し立て   H01L
管理番号 1020852
異議申立番号 異議1999-73892  
総通号数 14 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案決定公報 
発行日 2001-02-23 
種別 異議の決定 
異議申立日 1999-10-08 
確定日 2000-06-28 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 登録第2593638号「半導体製造装置」の実用新案登録に対する実用新案登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。   
結論 訂正を認める。 登録第2593638号の実用新案登録を維持する。
理由 I.手続の経緯
実用新案登録第2593638号の請求項1に係る考案についての出願は、平成4年7月24日に実用新案登録出願され、平成11年2月12日に実用新案権の設定の登録がなされ、その後、松原いづみ(以下、「申立人」という。)より平成11年10月8日付で実用新案登録異議の申立てがなされ、平成12年2月3日付で取消理由通知がなされ、その指定期間内である平成12年4月21日に、訂正請求がなされたものである。
II.訂正の適否の判断
1.訂正の内容
(1).訂正事項1
明細書の実用新案登録請求の範囲の請求項1を
「【請求項1】上方を開放した処理槽開口面に、間に隙間を有するように離間して略環状の支持台を設置し、この支持台の上方に半導体ウェハ-をその被処理面を下にして保持し、半導体ウェハ-の被処理面に処理液を噴流させ処理槽開口面と支持台の隙間からオ-バ-フロ-させながら上下電極間に電流を流して半導体ウェハ-にメッキ、化成等の処理を施す半導体製造装置であって、略環状の保護部材本体表面に支持用突部を周設したシリコンゴム又テフロン又はゴム又は合成樹脂よりなる保護部材を前記支持台に載置し、半導体ウェハ-の被処理面の周囲端部を残して保護部材の支持用突部にて支持し、該周囲端部に上部電極を接続し、保護部材の支持用突部にて処理液が上部電極に接触するのを防止したことを特徴とする半導体製造装置。」と訂正する。
(2).訂正事項2
明細書の段落【0002】の第8行目及び第9行目、明細書の段落【0003】の第2行目の「図7」を「図6」と訂正する。
(3).訂正事項3
明細書の段落【0005】を、
「【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本考案の半導体製造装置は、上方を開放した処理槽開口面に、間に隙間を有するように離間して略環状の支持台を設置し、この支持台の上方に半導体ウェハ-をその被処理面を下にして保持し、半導体ウェハ-の被処理面に処理液を噴流させ処理槽開□面と支持台の隙間からオ-バ-フロ-させながら上下電極間に電流を流して半導体ウェハ-にメッキ、化成等の処理を施す半導体製造装置であって、略環状の保護部材本体表面に支持用突部を周設したシリコンゴム又テフロン又はゴム又は合成樹脂よりなる保護部材を前記支持台に載置し、半導体ウェハの被処理面の周囲端部を残して保護部材の支持用突部にて支持し、該周囲端部に上部電極を接続し、保護部材の支持用突部にて処理液が上部電極に接触するのを防止したことを特徴とするものである。」と訂正する。
(4).訂正事項4
明細書の段落【0006】の第5行目の「処理液を噴流させ」の後に、「処理
槽開口面と支持台の隙間からオ-バ-フロ-させ」の記載を追加する。
(5).訂正事項5
明細書の段落【0017】の第6行目の「を噴流させ」の後に、「処理槽開口面と支持台の隙間からオ-バ-フロ-させ」の記載を追加する。
2.訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否
(1).訂正事項1について
訂正事項1は、半導体製造装置が、処理槽開口面に間隙を有するように離間して略環状の支持台を設置し、この処理槽開口面と支持台との隙間から処理液をオ-バ-フロ-させる形式のものであることを特定したものであるから、実用新案登録請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そして、処理槽開口面に隙間を有するように離間して略環状の支持台を設置することは、本件実用新案登録の願書に添付した明細書(以下、「登録明細書」という。)の【0010】(実用新案登録公報第4欄第24?29行)に、また、処理槽開口面と支持台との隙間から処理液をオ-バ-フロ-させることは登録明細書の【0015】(実用新案登録公報第6欄第1?11行)にそれぞれ記載がある。
(2).訂正事項2について
訂正事項2は、単に、従来の半導体製造装置の図番の誤りを訂正するものであり、この訂正事項2は、誤記の訂正を目的とするものである。
(3).訂正事項3について
訂正事項3は、実用新案登録請求の範囲の請求項1を訂正したことに伴い、実用新案登録請求の範囲の記載と考案の詳細な説明における課題を解決するための手段の記載との整合を図ったものであるから、明りょうでない記載の釈明に相当するものである。
(4).訂正事項4について
訂正事項4は、実用新案登録請求の範囲の請求項1を訂正したことに伴い、実用新案登録請求の範囲の記載と考案の詳細な説明における課題を解決するための手段との整合を図るためのものであるから、明りょうでない記載の釈明に相当するものである。
(5).訂正事項5について
訂正事項5は、実用新案登録請求の範囲の請求項1を訂正したことに伴い、実用新案登録請求の範囲の記載と考案の詳細な説明における課題を解決するための手段の記載との整合を図ったものであるから、明りょうでない記載の釈明に相当するものである。
また、上記訂正事項1-5は、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、しかも実質上実用新案登録請求の範囲を拡張し又は変更するものでもない。
3.独立実用新案登録要件
(1).訂正明細書の実用新案登録請求の範囲の請求項1に係る考案
訂正明細書の実用新案登録請求の範囲の請求項1に係る考案(以下、「訂正考案」という。)は、訂正明細書及び図面の記載からみて次の通りのものと認める。
「【請求項1】上方を開放した処理槽開口面に、間に隙間を有するように離間して略環状の支持台を設置し、この支持台の上方に半導体ウェハ-をその被処理面を下にして保持し、半導体ウェハ-の被処理面に処理液を噴流させ処理槽開口面と支持台の隙間からオ-バ-フロ-させながら上下電極間に電流を流して半導体ウェハ-にメッキ、化成等の処理を施す半導体製造装置であって、略環状の保護部材本体表面に支持用突部を周設したシリコンゴム又はテフロン又はゴム又は合成樹脂よりなる保護部材を前記支持台に載置し、半導体ウェハ-の被処理面の周囲端部を残して保護部材の支持用突部にて支持し、該周囲端部に上部電極を接続し、保護部材の支持用突部にて処理液が上部電極に接触するのを防止したことを特徴とする半導体製造装置。」(なお、訂正明細書の実用新案登録請求の範囲の請求項1における「シリコンゴム又テフロン」は「シリコンゴム又はテフロン」の誤記であると認められるので上記のように認定した。)
(2).当審が平成12年2月3日付で通知した取消理由の概要
請求項1に係る考案は、特開平3-294495号公報(異議申立ての証拠の甲第2号証:以下、「刊行物1」という。)に記載された考案に基いて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるから、請求項1に係る考案の実用新案登録は、実用新案法第3条第2項の規定に違反してなされたものであり、取消されるべきである。
(3).刊行物1の記載
(3-1)「絶縁体で形成された管状体と、この管状体の上部端面に針状でこの針先が上に向けられて配置されるコンタクトと、このコンタクトの周辺を覆う防護壁を上記コンタクトとほぼ同じ高さに形成し、ウエハを上記防護壁に設置すると上記ウエハが上記コンタクトの針先と接触し、上記防護壁の端部を密閉するように構成したことを特徴とするめっき装置。」(特許請求の範囲)
(3-2)「〔産業上の利用分野〕 この発明は、半導体基板に電気めっきを施すめつき装置に関するものである。」(第1頁左下欄第14-16行)
(3-3)「〔従来の技術〕 一般に、噴流式ウエハめっき装置においては、カソ-ド電極とウエハのコンククト部が、めっき液と接触しないようにされている。第5図?第7図は従来のめっき装置を示すもので、第5図は全体図,第6図はめっき液の流れを説明する断面図,第7図は上面図である。図において、(1)はウエハ,(2)はコンククト,(4)はアノ-ド電極,(5)は絶縁体で構成された管状体,(6)は内部壁,(7)は吹き上げ管,(10)はめっき液槽,(11)?(14)はめっき液の流れである。次に動作について説明する。テフロン等の絶縁体で形成された管状体(5)の下部が、めっき液が充填されためっき液槽(10)に挿入され,この管状体(5)の内側にめっき液を、注入するめっき液吹上げ管(7)が設けられている。そして、前記管状体(5)の上部端面には、カソ-ド電極として針状で,この針先が上に向けられたコンククト(2)が設けられている。このコンククト(2)の内側は内部壁(6)がコンククト(2)と同程度の高さに形成され、ウエハ(1)が設置されることにより、管状体(5)の上端が密閉される。また、めっき液は矢印(11)?(14)で示すように、めっき液吹上げ管(7)から注入された後、管状体(5)の内壁(6)と、吹き上げ管(7)の外壁との間隙で形成される開口部から流出して、めっき液槽(10)にもどる循環が行われる。」(第1頁左下欄第17-第2頁右上欄第2行)
(3-4)「第1図において、(1)はウエハ、(2)はカソ-ド電極を形成するコンタクト、(3)は防護壁、(4)はアノ-ド電極、(5)は絶縁体で構成された管状体、(5a)は管状体(5)のヘッド、(9)は間隙部(10)はめっき浴槽、(11)?(14)はめっき液の流れである。」(第2頁右上欄第9-14行)
(3-5)「カソ-ド電極となる針状の複数本のコンタクト(2)は、段違いの管状体(5)のヘッド(5a)の上端に設けられ、前記コンタクト(2)を囲むように防護壁(3)が設置される。この防護壁(3)はコンタクト(2)と同程度の高さに形成され、ウエハ(1)が設置されることによりコンタクト(2)は防護壁(3)で密閉され、めっき液に接触しなくなる。網状のアノ-ド電極(4)は、管状体(5の内部でウエハ(1)と対向する位置に設置される。カソ-ド電極であるコンタクト(2)がウエハ(1)のレジスト等の被膜を貫通して、ウエハ(1)と接触することで、電極(2)とウエハ(1)とが電気的に導通され、コンタクト(2)とアノ-ド電極(4)との間にめっき電圧が印可される。めっき液は矢印(11)-(14)で示すように、管状部(5)の下方から上昇しウエハ(1)に接触した後、ヘッド(5a)とウエハ(1)とコンタクト(2)の防護壁(3)との間隙部(9)より流出し、管状部(5)の外壁に沿ってめっき液層(10)に戻る」(第2頁右上欄第15行-同頁左下欄第12行)
(3-6)「〔発明の効果〕以上のように、この発明によればコンタクト部のみを防護壁で覆うため、めっき液の流れが壁付近でもなめらかになりコンタクト部をめっき液に浸さずにウエハ全面を均一にめっきすることができる。」(第2頁右下欄第8-13行)
(4).対比判断
刊行物1記載のものと訂正考案とを比較すると、刊行物1記載のものにおける、「ウエハ1」、「管状体5」、「コンタクト2」、「アノ-ド電極4」は訂正考案の、「半導体ウェハ-」、「処理槽」、「上部電極」、「下部電極」にそれぞれ相当する。
また刊行物1記載のものは、半導体ウェハ-をその被処理面を下にして保持し、半導体ウェハ-の被処理面に処理液を噴流させ処理槽上端部から処理液をオ-バ-フロ-させながら上下電極間に電流を流して半導体ウェハ-にメッキを施す半導体製造装置であって、「コンタクト2」は「防護壁3」によってメッキ液との接触を防止されている。
上記のことを勘案すると、両者は次の構成の点で一致する。
「上方を解放した処理槽開口面と離間して上方に半導体ウェハ-を被処理面を下にして保持し、半導体ウェハ-の被処理面と離間して上方に半導体ウェハ-を被処理面を下にして保持し、半導体ウェハ-の被処理面に処理液を噴流させ処理槽上端部から処理液をオ-バ-フロ-させながら上下電極間に電流を流して半導体ウェハ-にメッキ処理を施す半導体製造装置であって、処理液が上部電極に接触するのを防止したことを特徴とする半導体製造装置。」
ところで、訂正考案は、処理液が上部電極に接触するのを防止するための構成として、「上方を解放した処理槽開口面に、間に隙間を有するように離間して略環状の支持台を設置し、この支持台の上方に半導体ウェハ-をその被処理面を下にし保持し」という構成及び「略環状の保護部材本体表面に支持用突部を周設したシリコンゴムまたはテフロンまたは合成樹脂より成る保護部材を前記支持台に載置し」という構成を採用している。
これに対して、刊行物1記載のものでは、処理液が上部電極に接触するのを防止するための構成としては、管状体の上部端面に針状でこの針先が上に向けられて配置されるコンタクト2と、このコンタクトの周辺を覆う防護壁3を上記コンタクトとほぼ同じ高さに形成すると構成を採用しており、刊行物1には、訂正考案が採用している上記の構成、すなわち、処理槽開口面に、間に隙間を有するように離間して略環状の支持台を設置する点及びこの略環状の保護部材本体表面に支持用突部を周設し保護部材を前記支持台に載置する点については記載及び示唆がない。
付言するに、刊行物1についての摘記事項「上記II.3.(3-3)」によると、刊行物1には、従来技術としての図5-7が示されると共に、管状体5の上端部に内部壁を周設することが記載されており、この内部壁は「支持用突部を周設した保護部材」を示唆するものとすることはできるが、この従来技術に関する記載も、訂正考案の、「上方を解放した処理槽開口面に、間に隙間を有するように離間して略環状の支持台を設置」する点及び「略環状の保護部材本体表面に支持用突部を周設した……保護部材を前記支持台に載置」する点については示唆するものではない。
そして、訂正考案は、上記の構成を具えることによって、「処理槽開口部と支持台の隙間からオ-バ-フロ-させながら上下電極間に電流を流して半導体ウェハ-にメッキ、化成処理を施すので、上部電極がメッキ処理又は化成処理されることがないのである。」(訂正明細書【0017】)及び「半導体ウェハ-の被処理面の周囲端部を残して略環状の保護部材本体表面に支持用突部を周設した保護部材の支持用突部にて支持して閉止するので、上部電極にて半導体ウェハ-を支持するのに比べて安定した支持を行え、しかも半導体ウェハ-の被処理面の周囲端部全体が、処理液と接触することがないので、いずれの位置からも上部電極を接続させることができるので、設計上の自由がきく」(同【0017】)という訂正明細書記載の効果を奏するものである。
上記のとおりであるから、訂正考案は、刊行物1に記載された考案に基いて当業者が極めて容易に考案をすることができたものであるとすることはできない。
よって、訂正考案は、実用新案登録出願の際独立して実用新案登録を受けることができるものである。
4.むすび
以上のとおりであるから、上記訂正は特許法の一部を改正する法律(平成11年法律第41号)附則第15条の規定による改正後の特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第9条第2項の規定により準用され、同附則第6条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる、特許法第120条の4第3項において準用する平成6年改正法による改正前の特許法第126条該1項ただし書き、第2項及び第3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。
III.登録異議の申立てについての判断
1.本件考案
訂正が認められたことにより、実用新案登録請求に範囲の請求項1に係る考案は、上記「II.3.(1)」で摘記したとおりの訂正考案(以下、「本件考案」という。)に記載されたとおりのものである。
2.申立人の主張
申立人は、甲第1-5号証を提出し、本件考案は甲第1号証に記載された考案であること及び本件考案は下記甲第2-5号証に記載された考案に基いて当業者が極めて容易に考案をすることができたものであることを理由として、本件実用新案登録は実用新案法第3条第1項又は同条第2項の規定に違反してされたものであるから、取消されるべきであると主張している。
(1).甲第1号証:特開平6-108285号公報
(2).甲第2号証:特開平3-294495号公報
(3).甲第3号証:特開昭64-82654号公報
(4).甲第4号証:特公平3-7759号公報
(5).甲第5号証:特開平4-41697号公報
3.甲各号証の記載事項
(1).甲第1号証(特開平6-108285号公報)
(1-1)「【従来の技術】従来、半導体ウェハのバンプめつきは、歴史的にみると、先ず図6に示されるように、ウェハ2裏面にワックス又はしジストを被覆してめつき液に漬けて行う浸潰式に始まり、最近では図7に示されるようなカップ式が主流になっている。いずれの方法でも、図8に示すように、電気陰極接点部3はレジスト2を被り、レジスト下のメタル部分1に突き刺す方法をとっている。このため、接点部もめつき液にさらされてしまい、接点先端にもめつきが析出し、接点性能を維持するため頻度良く接点先端をみがくこと(析出物を除去)や接点交換が要求されていた。【0003】【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来技術の欠点を解消し、陰極接点の先端部にめつきが析出しない半導体ウェハめつき用治具を提供することを目的とする。」(第1欄第15-30行)
(1-2)「【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明では、めつき液中で半導体ウェハを電気めつきするためのめつき用治具において、半導体ウェハをめつき液中に保持する部材に半導体ウェハのめっき面以外にめつき液が流入しないように半導体ウェハをシ-ルするシ-ル部材を設け、該シ-ルされた半導体ウェハのめつき液と接触しない面に陰極接点を設けたことを特徴とする半導体ウェハめつき用治具としたものである。本発明で用いる半導体ウェハをシ-ルするシ-ル部材としては、半導体ウェハのめつき面以外にめつき液が流入しないものならすべて用いることができるが、本発明者らが開発したシリコンやウレタン等の軟質ゴムを用いたW-リップシ-ルとかC型シ-ルが好適に用いることができる。【0005】【作用】本発明によれば、半導体ウェハのめつき以外の表面をシ-ルしてめつき液が流入しないようにし、その流入しない面に陰極接点を設けているので、陰極接点自体はめつき液と接触せず、陰極接点がめつきされることがない。…」(第1欄第32-第2欄第1行)
(1-3)「図1に、本発明のめつき用治具の部分拡大図を示す。図1において、ウェハ1はウェハを保持する部分であるめつき用治具3及び4によってはさみ込まれ、シ-ル5(ここではWリップシ-ルを示す)により、ウェハの裏面と端面がシ-ルされておりめつき液が流入しないようになっている。そして、シ-ル5されたウェハ表面の端面付近は、レジスト2がカットされたレジスト剥離部6が設けられメタルがむき出しになっている。陰極接点7は、このレジスト剥離部6にシ-ル5のリップ間に装着されたバネ状やクッションの接点7で接続され、治具3を通って外部に導かれている。」(第2欄第9-19行)
(1-4)「図3に、本発明のめつき用治具の他の実施例である部分拡大図を示す。図3において、ウェハ1は端部がC型をしたシ-ルで封止されており、この封止されたウェハがウェハを保持する部材である治具3と4ではさみ込まれ、押付けレバ-8を押付けることによってウェハの裏面と端面にはめっき液が流入しないようにシ-ルされる。そして、C型シ-ル5内のウェハ1端面のレジスト剥離部6にはバネ状の陰極接点7が設けられて、ウェハと接触しており、治具3を通って外部に導かれている。」( 第2欄第25-33行)
(1-5)「図4及び図5に示すように、治具4にめっきすべき面を上にして、ウエハ1をセットする。…(中略)…これをメッキ液に浸漬することにより、ウエハ表面をめっきする。」( 第2欄第37-44行)
(1-6)「【符号の説明】1:ウェハ…(中略)…5:シ-ル、…(中略)…7:陰極接点…(中略)…10:めっき槽、11:陰極配線、12:陽極配線」(第4欄第6-10行)
(1-7)カップ式めっき装置の断面図(第5頁図7)
(1-8)めっき用治具を用いた組付治具の斜視図及びこれにウエハをセットした治具の断面図(第5頁図4、図5)
(2).甲第2号証(特開平3-294495号公報)
上記「II.3.(3)」参照。
(3).甲第3号証(特開昭64-82654号公報)
(3-1)「第1図乃至第3図は、半導体ウェ-ハにバンプを形成するメッキ工程における本発明の一実施例を示すものである。即ち、シリコ-ンゴム製で、例えば直径120mmの環状シ-ル部材11の内周面には切込みが設けられ、この切込みに、例えば直径125mmのシリコンウェ-ハ12の外周が挿入され談合されている。この環状シ-ル部材11の横断面は、例えば直径8mmの円形であり、また嵌合深さは約3mmである。この環状シ-ル部材11及びシリコンウェ-ハ12は、一面が開放された、例えば内径120mmの円筒状容器13の開放面を着脱自在に密封するためのものである。即ち、環状シ-ル部材11を容器13の開口端面に当接させ、この内部のウェ-ハ12でこの開放面を塞ぐとともに、容器13に蓋体14を被せて螺合させ、両者13,14の間で上記環状シ-ル部材11を圧着させて挟持することにより、この環状シ-ル部材11によるシ-ル性が向上するよう構成されている。」(第2頁左下欄第9行-右下欄第9行)
(3-2)「この時のメッキに必要な電極の取り出しは、例えば第3図に示すように、環状シ-ル部材11に内部に電極リ-ド部18を埋設して形成し、このリ-ド部18一端を嵌合部でウェ-ハ12に接触させ、他端を容器13の側部に設けた外部端子19と接触させて行う。」(第3頁左上欄第5-10行)
(4).甲第4号証:(特公平3-7759号公報)
(4-1)「本発明は電解メッキ用の給電装置に関する…」(第1頁左欄第13行)
(4-2)「第3図に本発明の給電装置の実施例を示す。同図aは該装置の全体的形状を示すもので、11は例えばシリコンゴムの如き変形容易な弾性体で、図示のように環状に形成され、その表面に例えば銅線である環状導体12が設けられている。該環状導体12は、後述するようにシリコンゴム11を介してウエフア-に押し付けられるので、メッキベ-スとの良好な接触を得る為に、比較的柔軟なものであることが望ましい。同図bはその断面の一部を拡大したもので、この図のように導線12がシリコンゴム11に一部埋め込まれていると、シリコンゴムをウエフア-1に押し付けた時に、銅線の位置が変らないという利点がある。然し乍らこれは本発明の要件ではない。同図cは、外力を加えてシリコンゴムをウエフア-に押し付けた状態を示すもので、銅線12はシリコンゴム11と基板であるウエフア-1によって包み込まれている。シリコンゴムとウエフア-との間は水密状態となるので、この状態でメッキ液中に浸潰しても、銅線はメッキ液に接触することがない。従って銅線自体がメッキされることはなく、給電装置は何度使用してもウエフア-に対する接触状態が変ることはない。即ち本発明に於ては、シリコンゴムの如き弾性体は給電用導体の支持体であると同時に、パッキングとしての役割も果している。第4図は本発明の給電装置の使用形態を示すものである。窓14を持つ支持枠13日本発明の給電装置及びウエフア-1を嵌め込み、押し当て治具15によってウエフア-を支持枠に押しつけると、既述したようにシリコンゴム11が変形し、導線12はメッキ液から完全に隔離された状態で、メッキベ-スの周辺領域から給電し得るようになる。」(第2頁左欄第40行-右欄第30行)
(5).甲第5号証(特開平4-41697号公報)
(5-1)「本発明はウエハ上のIC電極上へ、バンプめつきを行うためのめつき用コンタグトピンの構造に関するものである。」(第1頁左下欄第18行-同頁右下欄第2行)
(5-2)「以下本発明を実施例を図面により説明する。第1図は本発明におけるめつき用コンタクトピンの要部の断面図である。同図において、1はピンでめっきの被加工物に電気的に接触する金属製の良導材料である。このピン1をシリコンゴム等の軟らかくし、且つ対薬品性材質からなる吸盤形状の絶縁物カバ-2に取りつける。絶縁物カバ-2の先端面は、めつきしないフリ-の状態では図示Gのように若干出ており、めつきのため下地の導電性薄膜を形成した半導体基板等にピン1を押し当てると柔軟性のある絶縁物カバ-2は、変形してピンが半導体基板(ウエハ)に接触する。これと同時に絶縁カバ-2の先端面が半導体基板(ウエハ)に密着し、この中にめつき液が浸透するのを防ぐ。」(第2頁左下欄第14行-右下欄第8行)
4.対比判断
4-1.実用新案法第3条第1項違反について、
本件考案は、「上方を開口した処理槽開口面に、間に間隙を有するように離間して略環状の支持台を設置し、この支持台の上方に半導体ウェハ-をその被処理面を下にして保持し」という構成及び「略環状の保護部材本体表面に支持用突部を周設したシリコンゴム又はテフロン又はゴム又は合成樹脂より成る保護部材を前記支持台に載置し……保護部材の支持用突部にて処理液が上部電極に接触するのを防止」するという構成を具えている。
そして、甲第1号証記載のものと本件考案とを対比すると、甲第1号証に記載のものは、ウェハ-をメッキ用治具3、4によって挟み込んで組付治具にセットし、別途配移設したシ-ルによって半導体ウェハ-のメッキ面以外にメッキ液が流入しないようにしたものであるがこのウェハ-をセットした組付治具の使用方法については「これをメッキ液に浸漬する」ことが記載されているのみで、甲第1号証の図7に示されているような装置において、この組付治具を処理槽開口面に、間に隙間を有するように離間して設置させて使用することについては特に記載はない。
また、本件考案は、「上方を開口した処理槽開口面に、間に隙間を有するように離間して略環状の支持台を設置し、この支持台の上方に半導体ウェハ-をその被処理面を下にして保持し」という構成及び「略環状の保護部材本体表面に支持用突部を周設した……保護部材を記支持台に載置し……保護部材の支持用突部にて処理液が上部電極に接触するのを防止」するという構成を合わせ具えているものであるが、甲第1号証には前記の構成についても記載がない。
したがって、本件考案は甲第1号証に記載された考案であるとはいえない。
4-1.実用新案法3条第2項違反について、
(1).甲各号証との対比
(1-1)甲第2号証について
甲第2号証は前記刊行物1と同一のものであるところ、刊行物1には、処理槽開口面に、間に隙間を有するように離間して略環状の支持台を設置する点及びこの略環状の保護部材本体表面に支持用突部を周設した保護部材を前記支持台に載置する点については記載及び示唆がないことは前記「II.3(4)」で認定したとおりである。
(1-2)甲第3号証について
甲第3号証記載のものは、半導体ウェハ-の外周に環状シ-ル部材を取り付け、これを密封容器の一面として使用するというものであって、甲第3号証には、本件考案における、処理槽開口面に、間に隙間を有するように離間して略環状の支持台を設置する点及びこの略環状の保護部材本体表面に支持用突部を周設した保護部材を前記支持台に載置する点の何れについても記載及び示唆がない。
(1-3)甲第4号証について
甲第4号証にはウェハ-1状に環状のシ-ル部材11を配置しこれを支持枠13及び押し当て治具15で挟んで押しつけ固定することが記載されている。
しかし、甲第4号証には、これをオ-バ-フロ-形式の処理槽において適用することについては記載がなく、本件考案における、処理槽開口面に、間に隙間を有するように離間して略環状の支持台を設置する点及びこの略環状の保護部材本体表面に支持用突部を周設した保護部材を前記支持台に載置する点の何れについても記載及び示唆がない。
(1-4)甲第5号証について
甲第5号証記載のものは、電気的接触をするための金属製ピンの周囲に絶縁物カバ-を設けて、金属製ピンがメッキ液に接触するのを防いでいるものであるが、これは、本件考案の「略環状の保護部材本体表面に支持用突部を周設した保護部材を前記支持台に載置する」という構成とは明らかに異なるものであり、また、甲第5号証に記載のものをオ-バ-フロ-形式の処理槽において適用することについても甲第5号証には記載がない。
したがって、甲第5号証には、本件考案における、処理槽開口面に、間に隙間を有するように離間して略環状の支持台を設置する点及びこの略環状の保護部材本体表面に支持用突部を周設した保護部材を前記支持台に載置する点の何れについても記載及び示唆がないとするべきである。
(2).甲第2-5号証に記載の考案を組み合わせる点について
前述したとおり、甲第2-5号証には、本件考案の、処理槽開口面に、間に隙間を有するように離間して略環状の支持台を設置するという構成の点及びこの略環状の保護部材本体表面に支持用突部を周設した保護部材を前記支持台に載置する構成の点の何れについても記載及び示唆がないのであるから、甲第2-5号証を相互に勘案しても、本件考案の前記構成の点については当業者が容易に想到し得たものとすることはできない。
したがって、本件考案は、甲第2-5号証に記載の考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものとすることはできない。
IV.むすび
以上のとおりであるから、実用新案登録異議申立人が主張する理由及び提出した証拠によっては、本件実用新案登録を取消すことはできない。
また、他に本件実用新案登録を取消すべき理由を発見しない。
よって結論のとおり決定する。
発明の名称 (54)【考案の名称】
半導体製造装置
(57)【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 上方を開放した処理槽開口面に、間に隙間を有するように離間して略環状の支持台を設置し、この支持台の上方に半導体ウェハーをその被処理面を下にして保持し、半導体ウェハーの被処理面に処理液を噴流させ処理槽開口面と支持台の隙間からオーバーフローさせながら上下電極間に電流を流して半導体ウェハーにメッキ、化成等の処理を施す半導体製造装置であって、
略環状の保護部材本体表面に支持用突部を周設したシリコンゴム又テフロン又はゴム又は合成樹脂よりなる保護部材を前記支持台に載置し、半導体ウェハーの被処理面の周囲端部を残して保護部材の支持用突部にて支持し、該周囲端部に上部電極を接続し、保護部材の支持用突部にて処理液が上部電極に接触するのを防止したことを特徴とする半導体製造装置。
【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本考案は、半導体製造装置、より詳細には、半導体ウェハーにバンプ電極や配線を形成したり、化成処理を施す場合に好適する噴流式のメッキ方法や化成方法に用いる装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体装置を製造する場合、半導体ウェハーに対し、メッキ処理を施したり、化成処理を施すことがある。例えば、DHD(Double Heatsink Diode)型ダイオードを製造する場合や、TAB(Tape Automated Bounding)型半導体装置を製造する場合、半導体ウェハーに対し、Ag、Au、Cu、半田等よりなる50?60μm程度のバンプ電極を形成している。また、Auその他の金属により、配線を形成している。
そして、このようなバンプ電極や配線を形成する場合、一般に図6に示す噴流式のメッキ装置aが用いられている。具体的には、図6のようにメッキ液bを底面の中央から導入し上方からオーバーフローさせる噴流式のメッキ槽cと;このメッキ槽c内に配設された下部電極dと;メッキ槽cの上部にメッキ槽cの上端から若干突出するように配設され、半導体ウェハーwをその被処理面を下にして保持する複数の陰極ピンを用いた上部電極eとを有し;半導体ウェハーwの被処理面にメッキ液bを噴流させながら上下電極e、d間に電流を流して半導体ウェハーwにメッキ処理を施すものがある。
【0003】
【考案が解決しようとする課題】
しかし、従来のメッキ装置aにあっては、図6の如く上部電極eが、メッキ液b内に浸漬されているので、上方からオーバーフローさせながら半導体ウェハーwにバンブ電極や配線が形成されると同時に、半導体ウェハーwを経由しないで、直接上部電極eに電流が流れ、上部電極eもメッキされる。このため、上部電極eに付着した析出金属と、半導体ウェハーwに付着した析出金属とが接続一体化して、半導体ウェハーwが上部電極eから取れないことがあり、無理に取ろうとすると、半導体ウェハーwが破損することがあった。特に、シンコンよりも機械的強度が格段に小さいGaAs等の化合物半導体ウェハーにおいては破損しやすかった。のみならず、一般に、上部電極eと半導体ウェハーwの下地金属との材質が相違しているので、両者の電解電圧が異なり、しかも、上部電極eの総面積が、半導体ウェハーwの総被メッキ面積に対して無視できないため、メッキ条件の設定が非常に困難であった。更には、上部電極eに付着したAg、Au等の析出金属の除去が必要となり、装置の稼働率が低下するといった、各種の問題点がある。
【0004】
そこで、本考案は、上部電極がメッキされることなく上記問題点を完全に解消することができる半導体製造装置を提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本考案の半導体製造装置は、上方を開放した処理槽開口面に、間に隙間を有するように離間して略環状の支持台を設置し、この支持台の上方に半導体ウェハーをその被処理面を下にして保持し、半導体ウェハーの被処理面に処理液を噴流させ処理槽開口面と支持台の隙間からオーバーフローさせながら上下電極間に電流を流して半導体ウェハーにメッキ、化成等の処理を施す半導体製造装置であって、略環状の保護部材本体表面に支持用突部を周設したシリコンゴム又テフロン又はゴム又は合成樹脂よりなる保護部材を前記支持台に載置し、半導体ウェハーの被処理面の周囲端部を残して保護部材の支持用突部にて支持し、該周囲端部に上部電極を接続し、保護部材の支持用突部にて処理液が上部電極に接触するのを防止したことを特徴とするものである。
【0006】
【作用】
以上の如く本考案の半導体製造装置によれば、上方を開放した処理槽の上方に半導体ウェハーをその被処理面を下にして保持し、半導体ウェハーの被処理面の周囲端部を残して保護部材の支持用突部にて処理液が上部電極に接触するのを防止した状態で、半導体ウェハーの被処理面に処理液を噴流させ処理槽開口面と支持台の隙間からオーバーフローさせながら上下電極間に電流を流して半導体ウェハーにメッキ、化成等の処理を施すので、半導体ウェハーの被処理面の周囲端部全体が、処理液と接触することがないのである。更に、例えば半導体ウェハーの被処理面の背面側から特に支持用突部の箇所を蓋体にて押さえることにより、支持用突部とウェハーの被処理面が密着して処理液が侵入するのを確実に防止することができる。
【0007】
【実施例】
本考案の詳細を更に図示した実施例により説明する。
図1から図4に示す半導体製造装置は、本考案の第1実施例のものである。
半導体製造装置Aは、処理槽1、下部電極2、上部電極3、該上部電極3が処理液Sに接触するのを防止するための保護部材4、蓋体5、制御手段6で構成されている。
【0008】
まず、処理槽1は、図2の如くポリプロピレン等の樹脂よりなる上方を開放した容器である。
【0009】
下部電極2は、図2及び図3の如く前記処理槽1内に配設されているメッシュ状のものであり、即ち陽極である。
【0010】
そして、図4のように前記処理槽1開口面に、段部7を設けて開口端8と支持面9を形成し、そして全体が略環状であり且つ断面L形状として下面10、側面11、上面12を有する支持台13を、この開口端8と支持面9との間に隙間14を有するように離間して設置し、略環状シート材である保護部材本体15表面の端部に先端の尖った支持用突部16を突設した例えばシリコンゴムよりなる保護部材4を前記支持台13の下面10に載置し、この保護部材4の上に押さえ部材17を位置させ、取付ボルト18の先端を押さえ部材17、保護部材4に貫通するとともに、支持台13及び処理槽1の支持面9に螺合して取り付けることにより、この取付ボルト18により処理槽1と支持台13の隙間14の距離を調整可能としている。更に、図4の如く保護部材4の支持用突部16上に被処理面の周囲端部を残して半導体ウェハーWを載置し、押さえ部材17の3箇所に切欠部19を設け、連結片20から反対方向に直角に下片21、上片22をそれぞれ延設した陰極である上部電極3の一部の上部電極板23を、下片21先端を前記保護部材4の支持用突部16と距離をあけて通路24を形成した状態で、図4のように保護部材4及び支持台13の側面11、上面12に当接するように取り付け、図2及び図4の如く半導体ウェハーW被処理面の背面を押さえる押圧面25を有する押圧部26を突出させた蓋体本体27に上部電極3の電極ピン28を等間隔に3個設け、上部電極板23の上片22に該電極ピン28先端を当接させて接続している。
加えて、押さえ部材17における蓋体5側の面にテーパー部29を設け、図3に示すように純水の供給管30及び排出管31を設置している。また、図3中32は、下部電極2に接続するための下部電極板である。
また、図4においては、上部電極板23の先端を半導体ウェハーWの被処理面に接続しているが、半導体ウェハーW被処理面の背面に接続することも可能である。
【0011】
更に、図5は、第2実施例の半導体製造装置における保護部材の取り付け状態を示す縦断面図であり、上述した支持台13及び保護部材4をガラスで一体成形することにより保護部材4とし、半導体ウェハーWの被処理面端部を支持するように鏡面処理して保持面33を形成したものであってもよい。このように、保持面33により密着して支持することにより処理液Sが侵入するのを防止することができるのである。
【0012】
保護部材4の材質としては、シリコンゴムの他にテフロン、ゴム、合成樹脂等を用いることが可能である。
【0013】
制御手段6は、処理槽1内の複数箇所より供給されるメッキ液等の処理液Sの流量や供給時間を調整するものである。即ち、図例の制御手段6は、図1及び図3に示すように処理槽1の底面に、等間隔に3個或いは複数個の供給口34・・を設け、この供給口34との取合管35を設け、図1の如くそれぞれの供給口34・・への供給の途中に流量調整弁36・・を設け、この流量調整弁36・・により処理槽1内に供給される処理液Sの流量や供給時間を調整するようにしたものである。
【0014】
そして、半導体製造装置A全体は、図1に示すように処理槽1の上方に設けた半導体ウェハーWをその被処理面を下にして保護部材4にて保持し、処理槽1の下方の複数箇所から処理液Sが導入され、処理槽1の支持台13の隙間14からオーバーフローさせることにより、半導体ウェハーWの被処理面をメッキ処理又は化成処理し、オーバーフローした処理液Sは受け容器37で受け、ポンプ38及びフィルター39を介して、再び処理槽1の供給口34・・から導入されるのである。
【0015】
而して、第1実施例の半導体製造装置Aによれば、図2及び図4に示すように取付ボルト18により処理槽1と支持台13の隙間14の距離を調整した後、保護部材4の支持用突部16にて周囲端部を残して半導体ウェハーWの被処理面を支持し、蓋体5を閉じて半導体ウェハーW表面の周端を押圧部26の押圧面25にて押し込みことにより、半導体ウェハーWの被処理面と保護部材4の支持用突部16を密着させて、更に図3における供給管30から純水を供給するとともに排出管31に接続された図示しないアスピレータ等で吸引して図4中矢印方向に純水を供給するとともに押さえ部材17と保護部材4の支持用突部16の間の通路24内に純水を通過させることにより、上部電極3である上部電極板23を処理液Sに接触させることなく、図1のように1つの流量調整弁36を開いて処理槽1の底面に設けた供給口34から一定時間処理液Sを供給し、次にこの流量調整弁36を閉じて他の流量調整弁36を開いて処理槽1の底面に設けた供給口34から一定時間処理液Sを供給し、また同様にして他の供給口34、供給口34から一定時間処理液Sを供給することにより、間欠的に半導体ウェハーWの被処理面に処理液Sが送りこまれ、処理槽1と支持台16の間の隙間14から処理液Sをオーバーフローすることにより、処理液Sにより半導体ウェハーWの被処理面をメッキ処理又は化成処理されるのである。そして、オーバーフローした処理液Sは受け容器37で受け、ポンプ38及びフィルター39を介して、再び処理槽1内の供給口34・・から導入されるのである。また、最初の段階で、取付ボルト18により処理槽1と支持台13の隙間14の距離を調整した後、処理液Sにより半導体ウェハーWの被処理面をメッキ処理又は化成処理を行っている途中に、一定時間毎に処理流量を急激に増加させることにより、処理槽1と支持台13の隙間14に発生する細かい泡を処理液Sと一緒にオーバーフローさせることができるのである。
【0016】
このように本考案に係る実施例の半導体製造装置Aによれば、保護部材4の支持用突部16にて周囲端部を残して半導体ウェハーWの被処理面を支持し、蓋体5を閉じて半導体ウェハーW表面の周端を押圧部26の押圧面25にて押し込みことにより、半導体ウェハーWの被処理面と保護部材4の支持用突部16を密着させて、更に図3における供給管30から純水を供給するとともに排出管31に接続された図示しないアスピレータ等で吸引して押さえ部材17と保護部材4の支持用突部16の間の通路24内に純水を供給することにより、上部電極3である上部電極板23を処理液Sに接触させることなく、半導体ウェハーWの被処理面をメッキ処理又は化成処理を行うことができるので、上部電極3の上部電極板23自体がメッキ処理又は化成処理が行われることがないのである。従って、従来の半導体製造装置のように、半導体ウェハーWと上部電極3の上部電極板23が付着したり、またメッキ条件の設定が非常に困難であったり、更には、上部電極3の上部電極板23に付着したAg、Au等の析出金属の除去が必要となり、装置の稼働率が低下するといった問題点を解消することができるのである。また、現在、メッキ処理又は化成処理された半導体ウェハーWを切断する時等の不都合を解消するために、半導体ウェハーWの被処理面の周囲端部を残して、メッキ処理又は化成処理されたものが望まれつつあるが、上記した半導体製造装置Aを用いることにより、こうした需要にも対処することができるのである。
【0017】
【考案の効果】
本考案は、上述のとおり構成されているので、次に記載する効果を奏する。
請求項1記載の半導体製造装置によれば、上方を開放した処理槽の上方に半導体ウェハーをその被処理面を下にして保持し、保護部材の支持用突部にて処理液が上部電極に接触するのを防止した状態で、半導体ウェハーの被処理面に処理液を噴流させ処理槽開口面と支持台の隙間からオーバーフローさせながら上下電極間に電流を流して半導体ウェハーにメッキ、化成等の処理を施すので、上部電極がメッキ処理又は化成処理されることがないのである。従って、従来の半導体製造装置のように、半導体ウェハーと上部電極が付着したり、またメッキ条件の設定が非常に困難であったり、更には、上部電極に付着したAg、Au等の析出金属の除去が必要となり、装置の稼働率が低下するといった問題点を解消することができるのである。更に、半導体ウェハーの被処理面の周囲端部を残して略環状の保護部材本体表面に支持用突部を周設した保護部材の支持用突部にて支持して閉止するので、上部電極にて半導体ウェハーを支持するのに比べて安定した支持を行え、しかも半導体ウェハーの被処理面の周囲端部全体が、処理液と接触することがないので、いずれの位置からも上部電極を接続させることができるので、設計上の自由がきくのである。加えて、例えば半導体ウェハーの被処理面の背面側から特に支持用突部の箇所を蓋体にて押さえることにより、シリコンゴム等が持つ弾力性を有する支持用突部とウェハーの被処理面が密着して処理液が侵入するのを完全に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】
第1実施例の半導体製造装置の原理図
【図2】
同じく一部断面状態の正面図
【図3】
同じく処理槽の平面図
【図4】
同じく要部を示す縦断面図
【図5】
第2実施例の半導体製造装置における要部を示す縦断面図
【図6】
従来の半導体製造装置における一部断面状態の正面図
【符号の説明】
A 半導体製造装置
S 処理液
W 半導体ウェハー
1 処理槽
2 下部電極
3 上部電極
4 保護部材
5 蓋体
6 制御手段
7 段部
8 開口端
9 支持面
10 下面
l1 側面
12 上面
13 支持台
14 隙間
15 保護部材本体
16 支持用突部
17 押さえ部材
18 取付ボルト
19 切欠部
20 連結片
21 下片
22 上片
23 上部電極板
24 通路
25 押圧面
26 押圧部
27 蓋体本体
28 電極ピン
29 テーパー部
30 供給管
31 排出管
32 下部電極板
34 供給口
35 取合管
36 流量調整弁
37 受け容器
38 ポンプ
39 フィルター
訂正の要旨 訂正の要旨
(1)訂正事項A 本件実用新案登録第2593638号考案の実用新案登録請求の範囲の請求項1の
「上方を開放した処理槽の上方に、半導体ウェハ-をその被処理面を下にして保持し、半導体ウェハ-の被処理面に処理液を噴流させながら上下電極間に電流を流して半導体ウェハ-にメッキ、化成等の処理を施す半導体製造装置において、略環状の保護部材本体表面に支持用突部を周設したシリコンゴム又はテフロン又はゴム又は合成樹脂よりなる保護部材を用い、半導体ウェハ-の被処理面の周囲端部を残して保護部材の支持用突部にて支持し、該周囲端部に上部電極を接続し、保護部材の支持用突部にて処理液が上部電極に接触するのを防止したことを特徴とする半導体製造装置。」を、実用新案登録請求の範囲の減縮を目的として「上方を開放した処理槽開口面に、間に隙間を有するように離間して略環状の支持台を設置し、この支持台の上方に半導体ウェハ-をその被処理面を下にして保持し、半導体ウェハ-の被処理面に処理液を噴流させ処理槽開口面と支持台の隙間からオ-バ-フロ-させながら上下電極間に電流を流して半導体ウェハ-にメッキ、化成等の処理を施す半導体製造装置であって、略環状の保護部材本体表面に支持用突部を周設したシリコンゴム又テフロン又はゴム又は合成樹脂よりなる保護部材を前記支持台に載置し、半導体ウェハ-の被処理面の周囲端部を残して保護部材の支持用突部にて支持し、該周囲端部に上部電極を接続し、保護部材の支持用突部にて処理液が上部電極に接触するのを防止したことを特徴とする半導体製造装置。」と訂正する。
(2).訂正事項B
明細書の段落【0002】の第8行目及び第9行目、明細書の段落【0003】の第2行目の「図7」を誤記の訂正を目的として「図6」と訂正する。
(3).訂正事項C
明細書の段落【0005】の、
「【課題を解決するための手段】 上記目的を達成するために、本考案の半導体製造装置は、上方を開放した処理槽の上方に半導体ウェハ-をその被処理面を下にして保持し、半導体ウェハ-の被処理面に処理液を噴流させながら上下電極間に電流を流して半導体ウェハ-にメッキ、化成等の処理を施す半導体製造装置において、略環状の保護部材本体表面に支持用突部を周設したシリコンゴム又はテフロン又はゴム又は合成樹脂よりなる保護部材を用い、半導体ウェハ-の被処理面の周囲端部を残して保護部材の支持用突部にて支持し、該周囲端部に上部電極を接続し、保護部材の支持用突部にて処理液が上部電極に接触するのを防止したことを特徴とするものである。」を明りょうでない記載の釈明を目的として「【課題を解決するための手段】 上記目的を達成するために、本考案の半導体製造装置は、上方を開放した処理槽開口面に、間に隙間を有するように離間して略環状の支持台を設置し、この支持台の上方に半導体ウェハ-をその被処理面を下にして保持し、半導体ウェハ-の被処理面に処理液を噴流させ処理槽開□面と支持台の隙間からオ-バ-フロ-させながら上下電極間に電流を流して半導体ウェハ-にメッキ、化成等の処理を施す半導体製造装置であって、略環状の保護部材本体表面に支持用突部を周設したシリコンゴム又テフロン又はゴム又は合成樹脂よりなる保護部材を前記支持台に載置し、半導体ウェハの被処理面の周囲端部を残して保護部材の支持用突部にて支持し、該周囲端部に上部電極を接続し、保護部材の支持用突部にて処理液が上部電極に接触するのを防止したことを特徴とするものである。」と訂正する。
(4).訂正事項4
明細書の段落【0006】の第5行目の「処理液を噴流させ」の後に、明りょうでない記載の釈明を目的として「処理槽開口面と支持台の隙間からオ-バ-フロ-させ」の記載を追加する訂正を行う。
(5).訂正事項5
明細書の段落【0017】の第6行目の「を噴流させ」の後に、明りょうでない記載の釈明を目的として「処理槽開口面と支持台の隙間からオ-バ-フローさせ」の記載を追加する訂正を行う。
異議決定日 2000-05-26 
出願番号 実願平4-57745 
審決分類 U 1 651・ 121- YA (H01L)
最終処分 維持    
前審関与審査官 今井 拓也  
特許庁審判長 酒井 正己
特許庁審判官 中西 一友
中村 朝幸
登録日 1999-02-12 
登録番号 実用新案登録第2593638号(U2593638) 
権利者 菅沼 啓一郎
大阪府大阪市旭区高殿2-19-17
考案の名称 半導体製造装置  
代理人 柳野 隆生  
代理人 柳野 隆生  

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