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審決分類 |
審判 全部申し立て H01L |
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管理番号 | 1020855 |
異議申立番号 | 異議1999-73461 |
総通号数 | 14 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 実用新案決定公報 |
発行日 | 2001-02-23 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 1999-09-03 |
確定日 | 2000-07-17 |
異議申立件数 | 1 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 登録第2591202号「縦型CVD装置」の実用新案登録に対する実用新案登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 訂正を認める。 登録第2591202号の実用新案登録を維持する。 |
理由 |
1.手続の経緯 本件実用新案登録第2591202号(以下、「本件登録」という)は、昭和62年4月30日に出願された実願昭62-66527号をもとの出願として、平成5年法律第26号による改正前の実用新案法第9条第1項で準用する、特許法第44条第1項の規定による平成5年12月28日付でされた新たな出願(実願平5-70490号)について、この新たな出願をもとの出願として、更に、平成9年3月28日に、同じく、同条同項の規定による新たな出願とした実願平9-2195号に係り、平成10年12月18日にその実用新案登録請求の範囲に記載された考案について実用新案権の設定登録がなされた。この本件登録に対し、表記異議申立人より登録異議申立があったので、当審において、当該異議申立の理由について検討の上、当該実用新案登録の取消理由を通知したところ、その通知書で指定した期間内の平成12年5月30日に、登録異議意見書の提出と共に訂正請求があったものである。 2.訂正請求の可否 (1)訂正の要旨 本件実用新案登録異議申立に係る訂正請求における訂正の要旨は、次のア?ウのとおりである。 ア.実用新案登録請求の範囲第1項における「前記ウェーハホルダ本体の平坦面上に設けられ」を「前記ウェーハホルダ本体の平坦面の上面から突出して設けられ」に、同じく「ウェーハが載置されると共に載置されたウェーハの周面に当接可能な複数個のつめ」を「ウェーハが載置される面と載置されたウェーハの周面に当接可能な面とを各々持つ複数個のつめ」に訂正する。 イ.実用新案登録請求の範囲第2項における「ウェーハが載置され且つ載置されたウェーハの周面に当接可能な段差部」を「ウェーハが載置される面と載置されたウェーハの周面に当接可能な面とからなる段差部」に訂正する。 ウ.明細書段落番号【0005】の【課題を解決するための手段】の記載内容を、上記ア、イの訂正事項に合せる訂正を行う。 (2)訂正の目的、新規事項の有無及び実用新案登録請求の範囲の実質的拡張・変更の存否 訂正事項アについて 上記訂正事項アについては、実用新案登録請求の範囲第1項における「前記ウェーハホルダ本体の平坦面上に設けられ」をより下位概念である「前記ウェーハホルダ本体の平坦面の上面から突出して設けられ」と限定し、さらに「ウェーハが載置されると共に載置されたウェーハの周面に当接可能な複数個のつめ」を「ウェーハが載置される面と載置されたウェーハの周面に当接可能な面とを各々持つ複数個のつめ」と限定しようとするものであり、これらの事項は願書に添付した図面である図1(a)、(b)及び同じく願書に添付した明細書における【0007】に記載されている。 したがって、この訂正は、実用新案登録請求の範囲の減縮を目的とするものであり、新規事項の追加に該当せず、また、実質上実用新案登録請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 訂正事項イについて 上記訂正事項イについては、実用新案登録請求の範囲第2項における「ウェーハが載置され且つ載置されたウェーハの周面に当接可能な段差部」をより下位概念である「ウェーハが載置される面と載置されたウェーハの周面に当接可能な面とからなる段差部」と限定しようとするものであり、これらの事項は願書に添付した図面である図1(a)、(b)及び同じく願書に添付した明細書における【0007】に記載されている。 したがって、この訂正は、実用新案登録請求の範囲の減縮を目的とするものであり、新規事項の追加に該当せず、また、実質上実用新案登録請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 訂正事項ウについて 上記訂正事項ウの訂正は、訂正事項ア及びイによる訂正後の実用新案登録請求の範囲の内容と、考案の詳細な説明の内容との整合を図り、願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内において、明りょうでない記載の釈明を目的とするものであり、新規事項の追加にも該当せず、実質上実用新案登録請求の範囲を拡張又は変更するものではない。 (3)独立実用新案登録要件の検討 ア.訂正考案の認定 本件の訂正に係る考案の要旨は、平成12年5月30日付けで提出された全文訂正明細書の実用新案登録請求の範囲第1項に記載された次のとおりのものと認める。 「ウェーハ処理に際してウェーハを保持するウェーハホルダと、未処理ウェーハまたは処理済みウェーハを収納するカセットと、前記カセットからウェーハホルダへ、またはウェーハホルダからカセットヘウェーハを搬送するウェーハ搬送アームと、ウェーハホルダに保持されたウェーハを処理する処理室と、を有し、前記ウェーハホルダは、平坦面を持つウェーハホルダ本体と、保持されるウェーハに沿って前記ウェーハホルダ本体の平坦面の上面から突出して設けられウェーハが載置される面と載置されたウェーハの周面に当接可能な面とを各々持つ複数個のつめと、を備え、該複数のつめによって、保持されたウェーハをウェーハホルダ本体の平坦面から浮かして、ウェーハとウェーハホルダ本体の平坦面との間に前記ウェーハ搬送アームが挿入可能な隙間を形成しており、前記ウェーハ搬送アームが前記隙間を出入りすることによって、ウェーハをウェーハホルダのつめに載置し、またはウェーハをウェーハホルダのつめから取り出すことを特徴とする縦型CVD装置。」 なお、実施態様項である第2項の記載は次のとおりである。 「前記各つめは、ウェーハが載置される面と載置されたウェーハの周面に当接可能な面とからなる段差部が設けられていることを特徴とする実用新案登録請求の範囲第1項記載の縦型CVD装置。」 イ.引用刊行物とその記載事項の概要 当審が通知した上記取消理由で引用した各刊行物には、以下の事項が記載されている。 刊行物1:特開昭58-108735号公報(実用新案登録異議申立人の提出した甲第2号証) 上記刊行物1は、縦型反応管用バスケットに関するものであり、 「第1図は本発明のバスケット1を取付けた縦型反応管2を示す。バスケット1は反応管2の1端からキャップを脱して挿入することができる。反応ガスは、図では上方より下方に流れて、バスケット1上のウェハと反応する。 第2図は本発明のバスケットの一例を示す。複数のリング3は3本の連結棒4によって連結され、これらの連結棒4は90°を隔てており、残りの180° のすき間からリング3上に、図示しないウェハを装着することができる。180°のすき間においてリング3に小さな突起部を設けてウェハの脱落を防止する。」(第2頁左上欄第16行?右上欄第15行)、「さらに多数のウェハを自動的に装着することも望ましい。」(第1頁右欄第4?5行)、「さらに、作業の自動化にも有利である。」(第2頁左下欄第5行) 及び対応する図面として図1から図3が記載されている。 刊行物2:実願昭58-181110号(実開昭60-88547号)のマイクロフィルム(実用新案登録異議申立人の提出した甲第3号証) 上記刊行物2は、「基板保持装置」に関して、「図中、(1)は半導体基板等の、ほぼ円形をした薄板状基板、(2)は支持枠(4)上に所定の間隔で8本立設された基板支持用ピン、(3)は支持ピン同様、支持枠(4)に所定の間隔で8本立設された当りピンであり、かかる当りピン(3)は、後述する如く、4本ずつその高さを変えて立設されている。」(第5頁第3?9行)、 「かかる如くして、基板(1)が位置決めされると、次に第4図(B)のようにフィンガー(10)を下降させ、基板(1)は支持ピン(2)上に載置し、フィンガー(10)は元の位置に復帰する。この時、基板(1)は、正確に位置決めされるため、基板保持装置に立設された8本の当りピン(3a)(3b)が、基板(1)の外周にほぼ等しい位置に立設されていても、支障なく全ての支持ピン(2)上に載置される。 なお、基板保持装置への基板搬送手段であるフィンガー(10)は、基板搬送時、支持ピン(2)および当りピン(3a)、(3b)に当接しないように構成されていることは勿論である。」(第8頁第17行?第9頁第9行)及び対応する図面として第1図?第4図が記載されている。 刊行物3:特開昭61-81620号公報(実用新案登録異議申立人の提出した甲第1号証) 上記刊行物3は、「半導体製造装置」に関して、 「第1図において、1は炉体で、該炉体1内には炉心管2,・・が上下に複数段設置され、・・この各段のボートローダ4には1台のエレベータ7にてウェハーを搭載したボード5が搬出入される。・・・本発明はエレベータ7のホームポジションの高さに合せて、該エレベータ7に搬入する未処理ウェハーをセットする処理前ウェハーセットステーション9と、エレベータ7により搬出される処理済ウェハーを回収する処理後回収ステーション10を設け、ステーション9からエレベータ7に未処理ウェハーを搬入し、逆にエレベータ7からステーション10に処理済ウェハーを搬出するロボット8をステーション9,10とエレベータ7との間に設けたものである。」(第2頁右上欄第10行?右下欄第11行)、及び対応する図面として第1図、第2図が記載されている。 ウ.対比・判断 訂正しようとする実用新案登録請求の範囲第1項に係る考案(以下「訂正考案」という)と上記刊行物1記載の考案を比較すると、刊行物1記載の考案において文言上の記載はないものの、その第2図には明らかに平担面をもつリングとしてのウェーハホルダが明示されており、「反応管」の用途としてCVD装置は代表的なものといえるから、共に 「ウェーハ処理に際してウェーハを保持するウェーハホルダと、ウェーハホルダに保持されたウェーハを処理する処理室とを有し、前記ウェーハホルダは平担面を持つウェーハホルダを備える縦型CVD装置。」 である点で一致し、以下の点で相違する。 相違点1 ウェーハホルダ上のウェーハの支持構成に関し、訂正考案においては、「保持されるウェーハに沿って前記ウェーハホルダ本体の平坦面の上面から突設して設けられウェーハが載置される面と載置されたウェーハの周面に当接可能な面とを各々持つ複数個のつめ」を備え、該複数のつめによって、「保持されたウェーハをウェーハホルダ本体の平坦面から浮かして、ウェーハとウェーハホルダ本体の平坦面との間に前記ウェーハ搬送アームが挿入可能な隙間を形成」するものであるのに対して、刊行物1記載の考案においては、「リング3に小さな突起部を設けて、ウエハの脱落を防止する」との記載がなされているのみで「複数のつめによって、保持されたウェーハをウェーハホルダ本体の平坦面から浮かして、ウェーハとウェーハホルダ本体の平坦面との間に前記ウェーハ搬送アームが挿入可能な隙間を形成」することについて言及がない点。 相違点2 訂正考案においては、「カセットからウェーハホルダへ、またはウェーハホルダからカセットへウェーハを搬送するウェーハ搬送アーム」を備えているのに対し、刊行物1記載の考案においては、搬送手段についての具体的な言及がなされていない点。 前記相違点について検討する。 相違点1について 上記刊行物2における支持枠4はウェーハホルダ本体に相当するものであって、支持ピン2及び支持ピン3を「ウェーハが載置されると共に載置されたウェーハの周面に当接可能な複数個のつめ」ということができるとしても、該「支持枠4」は、平担面を持つものではなく、しかも、ウェーハを支持する「支持ピン2」が「支持枠4」の内部側の中空部で、水平方向に突出した後上向きに転じるL字状となっており、「ウェーハホルダ本体の平坦面の上面」から突出するものでもないし、また、「ウェーハが載置される面と載置されたウェーハの周面に当接可能な面とを各々持つ」ものでもない。さらに、取消理由通知に記載した他の刊行物のいずれにも、上記相違点1に関する記載は存在しない。そして、訂正考案は、上記相違点1で指摘した構成を備えることにより、 a.ウェーハが、複数個のつめの面に載置されるため、支持点で支持する場合と異なり、スリップラインの発生を防ぐことができ、 b.ウェーハホルダ本体の平坦面の上面から突出してつめが設けられているため、その製造が簡単にでき、加熱されても歪みにくく、耐久性が高く、上記平坦面の上面でつめを支持することができるため、面を持つつめを安定して保持することができ、さらには、つめにウェーハを載置する際またはつめからウェーハを取り出す際に、ウェーハとつめとが擦れてパーティクルが発生したとしても、つめの付近にある平坦面の上面でそのパーティクルの少なくとも一部を受けることができる という、格別の効果を奏するものと認める。 よって、相違点2について検討するまでもなく、訂正考案は、刊行物1乃至刊行物3に記載された考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたと認めることはできない。 なお、全文訂正明細書の実施態様項に係る考案は、上記特定事項を含む訂正考案を更に限定するものであるので、上記と同様の理由により、刊行物1乃至3に記載された考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたと認めることはできない。 また、訂正考案及びその実施態様項に係る考案については、実用新案登録出願の際独立して実用新案登録を受けることができないとする他の理由も発見しない。 (4)訂正請求の認容について 以上のとおりであるから、上記訂正は、平成11年法律第41号附則第15条による、改正後の平成6年法律第116号附則第9条第2項の規定により準用される、特許法第120条の4第2項第1、3号に掲げる事項を目的とするものであって、同附則第9条第2項の規定により準用され、平成11年法律第41号附則第2条第13項の規定により適用される、同法律第41号による改正前の特許法第120条の4第3項で更に準用される、平成6年法律第116号附則第6条第1項の規定により適用される、同法律第116号による改正前の特許法第126条第1項ただし書、同条第2項及び第3項の規定に適合しているといえるので、上記訂正請求は認容される。 3.実用新案登録異議申立について (1)本件考案 上記のとおり、訂正が認められたことにより、本件実用新案登録に係る考案は、上記2.(3)アに記載されているとおりのものである。 (2)判断 実用新案登録異議申立人は、甲第1号証乃至甲第3号証を提出して、本件登録実用新案に係る考案は、甲第1号証乃至甲第3号証に記載された考案に基づいて、当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるから、実用新案法第3条第2項の規定に該当し、本件の実用新案登録は取り消されるべきものである旨主張している。 しかるに、上記取消理由通知に記載の刊行物1?3は、実用新案登録異議申立人が提示した甲第1?3号証であるので、上記2.(3)ウで示したのと同様の理由により、本件の実用新案登録に係る考案は、甲第1号証乃至甲第3号証に記載された考案に基づいて、当業者がきわめて容易に考案をすることができたものとは認められない。 4.むすび 以上のとおりであるから、実用新案登録異議申立の理由及び証拠方法によっては本件の実用新案登録を取り消すことはできない。 また、他に上記本件の実用新案登録を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(54)【考案の名称】 縦型CVD装置 (57)【実用新案登録請求の範囲】 【請求項1】 ウェーハ処理に際してウェーハを保持するウェーハホルダと、未処理ウェーハまたは処理済みウェーハを収納するカセットと、 前記カセットからウェーハホルダヘ、またはウェーハホルダからカセットヘウェーハを搬送するウェーハ搬送アームと、 ウェーハホルダに保持されたウェーハを処理する処理室と、を有し、 前記ウェーハホルダは、平坦面を持つウェーハホルダ本体と、保持されるウェーハに沿って前記ウェーハホルダ本体の平坦面の上面から突出して設けられウェーハが載置される面と載置されたウェーハの周面に当接可能な面とを各々持つ複数個のつめと、を備え、該複数のつめによって、保持されたウェーハをウェーハホルダ本体の平坦面から浮かして、ウェーハとウェーハホルダ本体の平坦面との間に前記ウェーハ搬送アームが挿入可能な隙間を形成しており、 前記ウェーハ搬送アームが前記隙間を出入りすることによって、ウェーハをウェーハホルダのつめに載置し、またはウェーハをウェーハホルダのつめから取り出すことを特徴とする縦型CVD装置。 【請求項2】 前記各つめには、ウェーハが載置される面と載置されたウェーハの周面に当接可能な面とからなる段差部が設けられることを特徴とする実用新案登録請求の範囲第1項記載の縦型CVD装置。 【考案の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】 本考案は、ウェーハ表面に低温酸化膜(LTO膜)あるいはリンドープ低温酸化膜等のCVD膜等の生成を行う縦型CVD装置に関する。 【0002】 【従来の技術】 従来、ウェーハの表面にポリシリコン膜、窒化膜などのCVD膜を生成する場合には、直接、石英製ウェーハボート5上にウェーハ2を装填して行われるが、SiH_(4)とO_(2)を用いたLTO膜(生成温度300?400℃)やPSG膜(LTO膜にリンをドープした膜)、あるいはSiH_(4)とN_(2)Oを用いる高温酸化膜(HTO膜、生成温度700?850℃)、リンドープポリシリコン膜などの生成においては、ボートに保持される石英製のウェーハホルダが用いられており、図4に示したように、ウェーハホルダ16の上にウェーハ2の裏面が密着して載置されて、膜生成が行われる。 【0003】 【考案が解決しようとする課題】 しかしながら、従来の縦型CVD装置のウェーハホルダ16にあっては、ウェーハホルダ16上にウェーハ2の裏面が密着しているために、ウェーハ2をウェーハホルダ16に装着あるいは脱着する時に、自動搬送を行うのは困難であるという問題がある。 また、ウェーハ2がウェーハホルダ16上を自由に移動できるので、ウェーハホルダ16が移動する際に、ウェーハが脱落することがあるという問題がある。 【0004】 本願考案はかかる問題点に鑑みなされたもので、ウェーハの自動搬送を行うことができる縦型CVD装置を提供することを目的とする。 【0005】 【課題を解決するための手段】 上記目的を達成するために、本考案の縦型CVD装置は、ウェーハ処理に際してウェーハを保持するウェーハホルダと、未処理ウェーハまたは処理済みウェーハを収納するカセットと、前記カセットからウェーハホルダヘ、またはウェーハホルダからカセットヘウェーハを搬送するウェーハ搬送アームと、 ウェーハホルダに保持されたウェーハを処理する処理室と、を有し、前記ウェーハホルダは、平坦面を持つウェーハホルダ本体と、保持されるウェーハに沿って前記ウェーハホルダ本体の平坦面の上面から突出して設けられウェーハが載置される面と載置されたウェーハの周面に当接可能な面とを各々持つ複数個のつめと、を備え、該複数のつめによって、保持されたウェーハをウェーハホルダ本体の平坦面から浮かして、ウェーハとウェーハホルダ本体の平坦面との間に前記ウェーハ搬送アームが挿入可能な隙間を形成しており、前記ウェーハ搬送アームが前記隙間を出入りすることによって、ウェーハをウェーハホルダのつめに載置し、またはウェーハをウェーハホルダのつめから取り出すことを特徴とする。 【0006】 【作用】 未処理ウェーハを搬送するウェーハ搬送アームが、ウェーハホルダの上方から下降して、つめにウェーハを接触させた後、さらに下降して、ウェーハとウェーハホルダ本体の平坦面との間の隙間から脱出することで、ウェーハ搬送アームがウェーハホルダに接触することなくウェーハをつめに載置することができる。また、ウェーハホルダ上に保持された処理済みウェーハに対して、ウェーハ搬送アームがウェーハとウェーハホルダ本体の平坦面との間の隙間に挿入して、上昇することで、ウェーハ搬送アームがウェーハホルダに接触することなくウェーハをウェーハホルダから取り出して搬送することができる。 【0007】 【実施例】 図1は、本考案の縦型CVD装置に用いられるウェーハホルダの1実施例を示す斜視図である。この実施例では、ウェーハホルダ6の面一のウェーハホルダ本体6aの上には保持されるウェーハ2に沿って複数個(本例では4個)のつめ7が設けられている。各つめ7には、ウェーハホルダ本体6aよりも上方にあってウェーハ2が載置される段差部7aが形成されている。段差部7aは、ウェーハ2の裏面と接触する略平坦な平坦面7bと、平坦面7bと直交しウェーハ2の周面に当接可能な移動制限面7cとを有しており、この平坦面7bと移動制限面7cからなる段差部7aは、載置されるウェーハ2の中心側を向いている。段差部7aによってウェーハ2をウェーハホルダ本体6a面より例えば4mm程度浮かすことにより、ウェーハ2をウェーハホルダ6に装着あるいは脱着する時にはウェーハ2とウェーハホルダ本体6aとの間にウェーハ立替機3のウェーハ搬送アーム4の真空吸着部4aを挿入して、ウェーハ2の裏面を吸着して移動を行うことができる。また、複数の移動制限面7cがウェーハ2の周面の回りに間隔をおいて配置されるので、これらの移動制限面7cによってウェーハホルダ6上でのウェーハ2の横方向の移動が制限されている。 【0008】 図2は、縦型CVD装置を示す斜視図である。ウェーハホルダ6は、縦型石英製ウェーハボート5上に約1.1度の角度をもって保持されており、少なくとも1つ以上のつめ7がウェーハ2を下方から支持することで、ウェーハ2の脱落を阻止し、また、ウェーハボート5を回転または昇降させた時にウェーハ2が動かないようにすることができる。 【0009】 未処理のウェーハ2が納められたカセット1は、カセットエレベータ8に載置されており、ウェーハ立替機3の伸縮及び上下機構を持ったウェーハ搬送アーム4の真空吸着部4a(図3参照)によって、カセット1からウェーハ2が吸着されて取り出される。 次いで、ウェーハ立替機3のウェーハ搬送アーム4が、取り出されたウェーハ2を90度回転してボート5上に保持されたウェーハホルダ6上に搬送する。ウェーハホルダ6上方にウェーハ2がくるとウェーハ搬送アーム4は下降してウェーハ2をウェーハホルダ6のつめ7の段差部7a上に密着させる。同時に真空吸着部4aによる吸着が解除されてウェーハ2は段差部7a上に載せられる。ウェーハ搬送アーム4は更に下降し、次いで縮まり、ウェーハ2とウェーハホルダ本体6aとの間の隙間から脱出し、次のウェーハ2の搬送の準備をする。 【0010】 ウェーハ搬送アーム4の厚みが2mm程度有るため、ウェーハ2とウェーハホルダ本体6aとの間の隙間は前記のように4mm位とすれば、ウェーハ2のウェーハホルダ6への装着または脱着の際にウェーハ搬送アーム4が十分、該隙間内を上下動することができる。 昇降機構10によってボート5が昇降し、所定数のウェーハ2がボート5に移載されると、ボート移し替え機構9によって膜生成処理済みのウェーハを載置したボート5と未処理ウェーハを載置したボート5とを移し替え、未処理ウェーハを載置したボート5を昇降機構11により反応管12(処理室)内に下方から入れて、ガスインレット13より反応ガスを供給して反応管12内でウェーハ表面にCVD膜を生成する。 【0011】 また、膜生成処理が終了すると、上記と逆の手順でウェーハ2をカセット1に搬送する。 以上のような手順でウェーハ2の自動搬送を行うことができる。 ウェーハホルダ本体6a上につめ7が設けられているため、当該ウェーハホルダ6を用いて後記表1の生成条件下においてLTO膜を生成した場合には、後記表2のNo.2に示すようにウェーハ周辺部の膜厚が厚くなり、ウェーハ周辺5mm部分の膜厚均一性は±10%を越えてしまい全体の膜厚均一性は±4?8%になる。後記表2のNo.1に示すように、従来のウェーハホルダ16を用いた場合の全体の膜厚均一性が±2?3%と比較して、膜厚均一性が悪くなるものの、ウェーハ2を自動搬送することができるようになるため、製造コストの低減を図ることができる。 【0012】 【表1】 【0013】 【表2】 【0014】 【考案の効果】 以上説明したように、本考案の縦型CVD装置によれば、ウェーハホルダ本体の平坦面上に、保持されるウェーハに沿って複数個のつめが備えられ、つめによってウェーハをウェーハホルダ本体の平坦面から浮かしてウェーハとウェーハホルダ本体との間にウェーハ搬送アームが挿入可能な隙間を形成することとしているので、ウェーハ搬送アームがウェーハホルダに接触することなく、つめにウェーハを載置することができ、逆の動作として、ウェーハ搬送アームが前記隙間に入ってウェーハ搬送アームがウェーハホルダに接触することなく、つめに載置されたウェーハを取り出して搬送することができるので、ウェーハの自動搬送が可能になり、ウェーハ処理を効率良く行うことができる。 【図面の簡単な説明】 【図1】 (a)及び(b)はそれぞれ本考案に使用されるウェーハホルダの1実施例を示す斜視図及びそのIV-IV線断面図である。 【図2】 本考案の縦型CVD装置を示す斜視図である。 【図3】 図2に使用するウェーハ搬送アームの斜視図である。 【図4】 従来のウェーハホルダを示す側面図である。 【符号の説明】 1 カセット 2 ウェーハ 4 ウェーハ搬送アーム 6 ウェーハホルダ 6a ウェーハホルダ本体 7 つめ 7a 段差部 12 反応管(処理室) |
訂正の要旨 |
本件実用新案登録異議申立に係る訂正請求における訂正の要旨は、次のア?ウのとおりである。 ア.実用新案登録請求の範囲第1項における「前記ウェーハホルダ本体の平坦面上に設けられ」を「前記ウェーハホルダ本体の平坦面の上面から突出して設けられ」に、同じく「ウェーハが載置されると共に載置されたウェーハの周面に当接可能な複数個のつめ」を「ウェーハが載置される面と載置されたウェーハの周面に当接可能な面とを各々持つ複数個のつめ」に訂正する。 イ.実用新案登録請求の範囲第2項における「ウェーハが載置され且つ載置されたウェーハの周面に当接可能な段差部」を「ウェーハが載置される面と載置されたウェーハの周面に当接可能な面とからなる段差部」に訂正する。 ウ.明細書段落番号【0005】の【課題を解決するための手段】の記載内容を、の請求項1及び2の訂正に合わる訂正を行う。 |
異議決定日 | 2000-06-22 |
出願番号 | 実願平9-2195 |
審決分類 |
U
1
651・
121-
YA
(H01L)
|
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 中西 一友、小林 明、刑部 俊、瀧内 健夫、今井 拓也 |
特許庁審判長 |
神崎 潔 |
特許庁審判官 |
大島 祥吾 清水 英雄 |
登録日 | 1998-12-18 |
登録番号 | 実用新案登録第2591202号(U2591202) |
権利者 |
国際電気株式会社 東京都中野区東中野三丁目14番20号 |
考案の名称 | 縦型CVD装置 |
代理人 | 山口 栄一 |
代理人 | 赤澤 日出夫 |
代理人 | 石戸 久子 |
代理人 | 石戸 久子 |
代理人 | 山口 栄一 |
代理人 | 橋場 満枝 |
代理人 | 赤澤 日出夫 |
代理人 | 橋場 満枝 |