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審決分類 審判 一部申し立て   F16C
管理番号 1020856
異議申立番号 異議1999-74647  
総通号数 14 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案決定公報 
発行日 2001-02-23 
種別 異議の決定 
異議申立日 1999-12-07 
確定日 2000-07-10 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 登録第2596055号「直動案内軸受の防塵シール装置」の実用新案登録に対する実用新案登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。   
結論 訂正を認める。 本件実用新案登録異議の申立てを却下する。
理由 I.手続きの経緯

実用新案登録第2596055号の請求項1乃至4に係る考案についての出願は、平成4年12月24日に実用新案登録出願され、平成11年4月2日にその実用新案権の設定登録がなされ、その後、請求項3及び4に係る考案の実用新案登録について、実用新案登録異議申立人テイエチケー株式会社により実用新案登録異議申立がなされ、取消理由通知がなされ、その指定期間内である平成12年5月29日に訂正請求がなされたものである。

II.訂正の適否についての判断

(1) 訂正の内容

a.本件実用新案登録第2596055号の実用新案登録請求の範囲第3項及び第4項を削除する。
b.図16、図17、及び図18を削除する。
c.考案の詳細な説明の段落【0009】、【0010】、【0012】、【0027】、【0028】及び【0032】を削除する。
d.段落【0003】冒頭の「図19」を「図16」と訂正する。
e.段落【0003】中の「図21」を「図18」と訂正する。
f.段落【0003】中の「図20及び図21」を「図17及び図18」と訂正する。
g.段落【0004】中の「図22」を「図19」と訂正する。
h.段落【0004】中の「図23及び図24」を「図20及び図21」と訂正する。
i.段落【0029】中の「上記第1及び第2実施例とも」を「上記実施例は」(なお、訂正請求書第2頁第16、17行目に記載された「上記第1実施例は」は、全文訂正明細書の記載からみて「上記実施例は」の明らかな誤記と認める。)と訂正する。
j.段落【0029】中の「図22」を「図19」と訂正する。
k.段落【0033】中の「請求項2及び4」を「請求項2」と訂正する。
1.段落【0033】中の「請求項1又は3」を「請求項1」と訂正する。
m.図面の簡単な説明の欄の図1の説明において、「本考案第1実施例」とあるのを「本考案の第1実施例」と訂正する。
n.図面の簡単な説明の欄の図16、図17及び図18についての説明を削除する。
o.図面の簡単な説明の欄の「【図19】」を「【図16】」と訂正する。
p.図面の簡単な説明の欄の「【図20】図19の」を「【図17】図16の」と訂正する。
q.図面の簡単な説明の欄の訂正前の図20(訂正後の図17)の説明において、「断面を含むの」とあるのを「断面を含む」と訂正する。
r.図面の簡単な説明の欄の「【図21】図20の」を「【図18】図17の」と訂正する。
s.図面の簡単な説明の欄の「【図22】」を「【図19】」と訂正する。
t.図面の簡単な説明の欄の「【図23】図22のシール装置の23-23線断面図」を「【図20】図19のシール装置の20-20線断面図」と訂正する。
u.図面の簡単な説明の欄の「【図24】図22のシール装置の24-24線断面図」を「【図21】図19のシール装置の21-21線断面図」と訂正する。
v.図面の簡単な説明の欄の符号82、83、84及び85を削除する。

(2) 訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否

1.訂正事項aについて
訂正事項aは請求項3と4の削除を求めるものであるから、「実用新案登録請求の範囲の減縮」を目的とする訂正に該当する。
2.訂正事項bについて
訂正事項bは、請求項3及び4に係る考案の実施例に対応する図面の削除を求めるものである。すなわち、図16乃至図18は、削除される請求項3と4に対応する図面であるから、削除されないでそのまま残ると、明細書と図面を全体的に不明瞭にすることになる。従って、この削除は「明瞭でない記載の釈明」を目的とする訂正に該当する。なお、これらの図面の削除の結果、図19乃至図24は、図番が繰り上がり、図16乃至図21となる。
3.訂正事項cについて
訂正事項cは、前記請求項3及び4に係る考案の実施例について記載した段落【0009】、【0010】、【0012】、【0027】、【0028】、及び【0032】を削除するものである。図16乃至図18を削除する理由と同じく、「明瞭でない記載の釈明」を目的とする訂正に該当する。
4.訂正事項d乃至h、及びjについて
訂正事項bにおいて図16乃至図18を削除したため、訂正事項d乃至hによって、図19以降の図面の番号を繰り上げたものである。これらの訂正は「明瞭でない記載の釈明」を目的とする訂正に該当する。
5.訂正事項iについて
訂正事項iによる訂正は、段落【0029】の「上記第1及び第2実施例とも」を「実施例は」と訂正するものである。「第2実施例」は、訂正事項aで削除した請求項3及び4の内容であるから、訂正事項aによる請求項3及び4の削除に伴い削除されるべきである。よって、この訂正は「明瞭でない記載の釈明」を目的とする訂正に該当する。
6.訂正事項kについて
訂正事項kによる訂正は、訂正事項aによる請求項4の削除に伴い、段落【0033】の「請求項2及び4」を「請求項2」と訂正するものである。この訂正は「明瞭でない記載の釈明」を目的とする訂正に該当する。
7.訂正事項1について
訂正事項1による訂正は、訂正事項aによる請求項3の削除に伴い、段落【0033】の「請求項1又は3」を「請求項1」と訂正するものである。この訂正は「明瞭でない記載の釈明」を目的とする訂正に該当する。
8.訂正事項mについて
訂正事項mは、図面の簡単な説明の欄の図1の説明において、「本考案第1実施例」とあるのを「本考案の第1実施例」と訂正するものであり、この訂正は【0013】第2行目の「本考案の第1実施例」の記載と整合させるための「誤記の訂正」を目的とする訂正に該当する。
9.訂正事項nについて
訂正事項nによる訂正は、訂正事項aによる請求項3及び4の削除、訂正事項bによる図16乃至図18の削除に伴い、図面の簡単な説明の欄の図16乃至図18の説明を削除するものである。この訂正は「明瞭でない記載の釈明」を目的とする訂正に該当する。
10.訂正事項o、p、r、sについて
訂正事項o、p、r、sによる訂正は、訂正事項bにおいて図16乃至図18を削除したことに伴い、図19以降の図面の図番を繰り上げるものである。これらの訂正は「明瞭でない記載の釈明」を目的とする訂正に該当する。
11.訂正事項qについて
訂正事項qは、図面の簡単な説明の欄において訂正前の図20(訂正後の図17)について、「断面を含むの」とあるのを「断面を含む」と訂正するものである。この訂正は「誤記の訂正」を目的とする訂正に該当する。
12.訂正事項tについて
訂正事項tによる訂正は、訂正事項bにおいて図16乃至図18を削除したことに伴い、図面の簡単な説明の欄において、図23の図番を繰り上げるとともに、訂正後の図19に対応して符号23を20に訂正するものである。これらの訂正は「明瞭でない記載の釈明」を目的とする訂正に該当する。
13.訂正事項uについて
訂正事項uによる訂正は、訂正事項bにおいて図16乃至図18を削除したことに伴い、図面の簡単な説明の欄において、図24の図番を繰り上げるとともに、訂正後の図19に対応して符号24を21に訂正するものである。これらの訂正は「明瞭でない記載の釈明」を目的とする訂正に該当する。
14.訂正事項vについて
訂正事項vによる訂正は,符号の説明の欄において、訂正事項bにより削除された図面に対応する符号の削除を求めるものである。この訂正は「明瞭でない記載の釈明」を目的とする訂正に該当する。

以上のとおり、上記訂正は実用新案登録請求の範囲の減縮を目的として請求項3及び4を削除するとともに、それにより必要となった明瞭でない記載の釈明を目的とするものであるから、新規事項の追加に該当せず、実質的に実用新案登録請求の範囲を拡張または変更するものではない。更に、訂正後の実用新案登録請求の範囲に記載された請求項1及び2に係る考案は、その出願の際独立して実用新案登録を受けることが出来ないとする理由を発見しない。

(3) むすび
以上のとおりであるから、上記訂正は、特許法等の一部を改正する法律(平成11年法律第41号。以下「平成11年法」という。)附則第15条の規定による改正後の特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号。以下「平成6年改正法」という。)附則第9条第2項の規定により準用され、同附則第6条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる、特許法第120条の4第3項において準用する平成6年改正法による改正前の特許法第126条第1項ただし書、第2項及び第3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。

III.実用新案登録異議の申立についての判断

実用新案登録異議申立人が異議申立ての対象とした実用新案登録第2596055号の請求項3及び4に係る考案は、訂正の結果削除され、実用新案登録異議の申立ての対象が存在しない。
よって、結論のとおり決定する。
発明の名称 (54)【考案の名称】
直動案内軸受の防塵シール装置
(57)【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 断面略コ字形状の軸受組立体の内面に形成された転動体転動溝と軌道台の外面に形成された転動体転動溝との間に転動体が装填され、該転動体の転動を介して前記軸受組立体が前記軌道台上に跨架されて相対移動するとともに、
前記軸受組立体が、その両端面に取付けられ且つ前記軌道台の上面及び両側面に摺接するリップ部を有する一対の略コ字形状端面防塵シールと、該端面防塵シールの下端部間を前記軌道台に沿って延び且つ該軌道台の両側面と摺接するリップ部を有する一対の下部防塵シールと、を具えた直動案内軸受において、
前記端面防塵シールのリップ部は外向きに所定の角度を有して平行に傾斜する連続した外側リップ部と内側リップ部とから形成され且つ前記外側リップ部が前記内側リップ部より前記軌道台方向に突出しており、
前記外側リップ部近接して該外側リップ部を囲む凹溝が前記外側リップ部の表面側に設けられていることを特徴とする、
直動案内軸受の防塵シール装置。
【請求項2】 前記端面防塵シールと前記下部防塵シールが一体に形成されている、請求項1記載の直動案内軸受の防塵シール装置。
【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本考案は、直動案内軸受の防塵シール装置に関するものであり、特に、木工所など細かい塵埃の多い雰囲気下で使用される直動案内軸受の防塵シール装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
直動案内軸受は、軸受組立体の内面に形成された転動体転動溝と軌道台の外面に形成された転動体転動溝と軌道台の外面に形成された転動体転動溝との間に転動体が装填され、この転動体の転動を介して軸受組立体が軌道台上に跨架されて直線移動するようになっており、工作機械のテーブル、位置決めテーブル、産業用ロボット等の直線運動部分の案内に用いられている。そして、このような直動案内軸受には、軌道台の上面及び側面や転動体転動溝にゴミ、埃、切粉等の異物が堆積すると、転動体の円滑な転動を防げることから、実開平1-66948号公報に示されるように、軌道台の上面及び側面に摺動ずるリップ部を有する端面防塵シール、及び軌道台に沿って延びる下部防塵シールを取付けるのが通例である。また、実公昭62-43136号公報に示されるように、端面防塵シールを固着した一対の側板と下部防塵シールを固着した下部板とを一体構造にした防塵シール装置も知られている。
【0003】
図16は、前者の公報に記載された防塵シール装置を具えた直動案内軸受100を示しており、両側面において軸方向に延びる転動溝105が形成された長尺状の軌道台101に、断面略々コ宇形状の軸受組立体109が跨って移動する。軸受組立体109は、軸受本体102、その移動方向両端に固着されたエンドキャップ、このエンドキャップに固着されて軌道台101の上面及び側面に摺接するリップ部113(図18)を有する端面シール112、及び軌道台101に沿って延びる下部シール108から構成される。転動体であるボール104は無限循環路を構成する転動溝106、方向転換路103、及びリターン孔107内に多数装填され、このボール104が転動溝106等を転動ずることにより、軸受組立体109が軌道台101に対して相対移動する。端面シール112は、図17及び図18に示されるように、金属板111と、該金属板111の表面側の全面に固着されたゴム等のシール部材110とから構成されている。なお、符号114は、軌道台101に付着する大きな異物を掻き落とす目的で使用される軌道台101の外面と非接触構造のスクレーパを示している。
【0004】
図19は、後者の公報に記載された一体構造の防塵シール装置200を示している。この防塵シール装置200は、一対の側板201,202、及び一対の下部板203,204から構成されている。図20及び図21に示されるように、各々の側板201,202は、リップ部209を有するゴム等のシール部材207が金属板208に固着されて成り、同様に、一対の下部板203,204は、リップ部212を有する断面が菱形のシール部材210が金属板211に固着されて成る。一対の側板201,202の間の間隔は軸受組立体(図示せず)の軸方向の長さと同一になっている。このシール装置200は取付けねじにより軸受組立体に固定される。軸受組立体の下面両内側には、菱形断面の下部板203,204に適合するような形状の溝213,214が形成されている。従って、下部板203,204を軸受組立体に固着する手段を別に設けなくても、菱形下部板203,204には軌道台(図示せず)から常に横方向の力が作用し、溝213,214の作用により下部板203,204には常に上方向に押付けられる力が働くことになる。このシール装置200は、部品点数を少なくできるとともに、側板と下部板とが一体構造をなしているため密封性にも優れている。
【0005】
【考案が解決しようとする課題】
ところで、直動案内軸受を使用する分野が拡大し、多岐に亘るにつれ、上記のような従来の防塵シール装置では充分な防塵効果が得られないという問題が発生した。すなわち、木工所の木工機械に直動案内軸受を取付けた場合のように、塵埃の多い雰囲気下で使用した場合は、細かい塵埃が多量に端面防塵シールのリップ部を通過して軸受組立体内部に入り込んで転動体転動溝に侵入するため、軸受組立体が本来の寿命に至る前に破損してしまうことがあった。当然のことながら、このような場合、端面防塵シールのリップ部も早期に破損してしまうことから、シール機能も失われる。
リップ部の押付力を大きくすることで、ある程度の防塵効果を得ることができる。しかし、押付力を大きくすることは、軸受組立体の摺動抵抗をそれだけ増加させることになる。従って、摺動抵抗を一定に抑え、なおかつ、防塵効果を得ることは、非常に困難なことであった。
【0006】
また、上記のような塵埃の多い雰囲気下で直動案内軸受を使用する場合は、ジャバラ(図示せず)を併用することもできるが、この場合、取付けスペースが余分に必要になること、コストアップになること、及び長さに制限がある場合にはジャバラを取付けられないこと等の欠点がある。しかも、ジャバラの伸縮時にジャバラの下部開口より空気とともに塵埃等がジャバラ内部に吸い込まれて、結局、前述のように、直動案内軸受はその本来の寿命に至る前に破損することがあった。
【0007】
そこで、本考案は、摺動抵抗を一定に抑えた上で、軌道台の外面(上面及び両側面)に付着した細かい塵埃が軸受組立体内部に侵入する前に、確実に細かい塵埃を取除くことのできる端面防塵シール装置を提供することにより、上記の問題点を解決することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本考案は、断面コ字形状の軸受組立体の内面に形成された転動体転動溝と軌道台の外面に形成された転動体転動溝との間に転動体が装填され、該転動体の転動を介して前記軸受組立体が前記軌道台上に跨架されて相対移動するとともに、前記軸受組立体が、その両端面に取付けられ且つ前記軌道台の上面及び両側面に摺接するリップ部を有する一対の略コ字形状端面防塵シールと、該端面防塵シールの下端部間を前記軌道台に沿って延び且つ該軌道台の両側面と摺接するリップ部を有する一対の下部防塵シールと、を具えた直動案内軸受において、前記端面防塵シールのリップ部は外向きに所定の角度を有して平行に傾斜する連続した外側リップ部と内側リップ部とから形成され且つ前記外側リップ部が前記内側リップ部より突出しており、前記外側リップ部に近接して該外側リップ部を囲む凹溝が前記外側リップ部の表面側に設けられていることを特徴とする直動案内軸受の防塵シール装置により、前記課題を解決した。
【0009】
【作用】
軌道台と軸受組立体との間には、軸受組立体を正面から見たときにおける軌道台と軸受組立体との間のコ字形状正面隙間と、軸受組立体を下面から見たときにおける軌道台と軸受組立体との間の直線状下部隙間が存在する。端面防塵シールは正面隙間を、下部防塵シールは下部隙間をシールするもので、軸受組立体は両防塵シールによって完全に密封される。直動案内軸受では、軸受組立体の防塵性を良好に保たなければならないが、その一方で、軌道台に対する軸受組立体の摺動抵抗を抑えることにも配慮しなければならない。本考案では、軸受組立体を単に密封するにとどまらず、特定構造の端面防塵シールによって、軸受組立体の防塵性及び摺動性の双方を実現するものとなっている。
すなわち、本考案の端面防塵シールは2重のリップ部を有するが、外側リップ部が外面に凹溝を具えており、この凹溝が外側リップ部の弾性変形を容易にするとともに軌道台への押付力を低減している。摺動抵抗の低減はこのようにして実現される。
また、外側リップ部は、一般的なシール機能を有することは当然であるが、それだけにとどまらず内側リップ部の保護機能を併せ持つ。弾性変形が容易であるため押付力が比較的小さい。従って、軌道台との摺動による摩耗が少なく外側リップ部のシール機能が長期間に亘って維持される。これによって、内側リップ部の保護が図られ、端面防塵シールとしての防塵性の維持を長期に亘り図ることができる。
なお、軌道台に大きな異物等が付着する場合には、外側リップ部が浮き上がって細かい塵埃が通過することもあるが、内側リップ部はこの細かい塵埃を払拭除去するので、軸受組立体内への細かな塵埃の侵入を防止することができる。
【0010】
【実施例】
以下、本考案の実施例を図面に基づいて説明する。図1乃至図15は、本考案の第1実施例を示すものである。本実施例は、例えば、図1に示されたエンドキャップ式直動案内軸受と呼ばれるものに好適に適用できるので、以下、この種の直動案内軸受について詳述する。
【0011】
直動案内軸受1は、基本的には、軸受組立体2と軌道台3から構成される。長尺の軌道台3には、図1及び図11に示されるように、左右両側面に軸方向に延びる上下2条のボール転動溝65,66,67,68が形成されている。そして、コ字形状の軸受組立体2が軌道台3に跨るように設けられている。軸受組立体2は、軸受本体4、一対のエンドキャップ5,5、一対の端面防塵シール6,6、及び一対の下部防塵シール7,8を有して成る。軸受本体4の左右脚部9,10の内面には、図2に示されるように、ボール転動溝11,12,13,14が対向して形成されている。軌道台3のボール転動溝65,66,67,68と該ボール転動溝に対向する軸受本体4のボール転動溝11,12,13,14との間には、多数のボール(図示せず)が装填されている。軸受組立体2は、ボールが転動ずることにより軌道台3上を軸方向に相対移動する。
【0012】
本実施例の直動案内軸受1は、転動体としてのボールが軌道台3のボール転動溝65,66,67,68及び軸受本体4のボール転動溝11,12,13,14に略々45。の接触角度でアンギュラコンタクトし、且つ、軌道台3の片側の上下2条のボール転動溝65,66(又は67,68)とボールとの接触線が軌道台3の軸方向と直角の断面において軌道台3の外方で略々直角に交わっているので(図示せず)、軸受本体4に作用する上下左右方向からの負荷に対して同一定格荷重になるとともに、モーメント荷重に対しても安定である。
【0013】
次に、軸受組立体2の構成について説明する。軸受組立体2は前述のように、軸受本体4とその軸方向両端面に固着されるエンドキャップ5,5、該エンドキャップ5,5の軸方向外面に固着される端面防塵シール6,6、及び下部防塵シール7,8とを有して成る。軸受本体4には、図2に示されるように、その左右脚部9,10の内面に、軌道台3の各々のボール転動溝65,66,67,68に対応する左右上下各々2条のボール転動溝11,12,13,14が形成されている。そして、各々のボール転動溝11,12,13,14に対応して、ボールを戻すためのボール戻り孔15,16,17,18が、左右上下2条ずつ脚部9,10の肉厚部内に穿設されている。軸受本体4の両端部のねじ孔21,22はエンドキャップ5,5を軸受本体4に固着するためのものである。符号23,24は端面防塵シール6,6を軸受本体4に固定するためのねじ孔を示している。
【0014】
図3及び図4はエンドキャップ5,5を示している。一対のエンドキャップは同一構造になっている。エンドキャップ5には、貫通孔27,28、及び深ザグリ孔29,30が形成されている。そして、取付ボルト70,71(図1)がエンドキャップ5に設けられた貫通孔27,28を通って軸受本体4のねじ孔21,22に螺合する。エンドキャップ5が軸受本体4に固着された時、取付ボルト70,71の頭部は深ザグリ孔29,30に埋没する。符号31,32は貫通孔である。図1に示されるように、取付ボルト72,73が端面防塵シール6に穿設した貫通孔52,53及びエンドキャップ5の貫通孔31,32を通って軸受本体4のねじ孔23,24に螺合することにより、端面防塵シール6がエンドキャップ5に固着される。
【0015】
軸受本体4のねじ孔23,24には、さらに、環状凹部25,26が形成されている。エンドキャップ5の貫通孔31,32の軸受本体4側には、前記環状凹部25,26に嵌合する環状凸部39,40が形成されている。環状凹部25,26に環状凸部39,40が嵌合することにより、エンドキャップ5,5と軸受本体4との間の位置決めがなされる。エンドキャップ5,5の凹部33,34は、図5に示されるような下部防塵シール7,8を軸受組立体2に嵌着するためのものである。下部防塵シール7,8のサイド部43,44,46,47は凹部33,34に嵌合する。下部防塵シール7,8のアンダー(下)部45は、図6及び図7に示されるように、軸受本体4の左右脚部9,10の下面を軸方向に延びる切欠19,20、及びエンドキャップ5,5の下面に形成された切欠35,36に嵌合する。
【0016】
エンドキャップ5には、図1、図3及び図4に示されるように、給油ニップル74と螺合するねじ孔37が設けられている。この給油ニップル74から供給される潤滑油(グリース又はオイル)は、エンドキャップ5に設けた供給道41,42を介して、軸受本体4のボール転動溝11,12,13,14とボール戻り孔15,16,17,18とをつないでボールの無限循環路を形成するためにエンドキャップ5に設けられた略々U字状に湾曲したボール方向変換路(図示せず)に供給される。
【0017】
軸受組立体2の組立ては、軸受本体4の左右脚部9,10の上下2条のボール転動溝11,12及び13,14の中間にボール脱落防止のためのボールリテーナ(図示せず)を取付け、一方のエンドキャップ5を軸受本体4の一端に固定し、ボール転動溝11,12,13,14とボールリテーナの間、及びボール戻り孔15,16,17,18にボールを装填し、その後に軸受本体4の他端にエンドキャップ5を固定して行われる。次に、一対の下部防塵シール7,8を、軸受本体4及びエンドキャップ5,5の切欠19,20,35,36にそのアンダー部45を嵌め合わせた後、サイド部43,44,46,47をエンドキャップ5,5の凹部33,34に嵌着する。そして、端面防塵シール6,6をエンドキャップ5,5に固着する。最後に、給油ニップル74を端面防塵シール6に設けられた貫通孔54を介してエンドキャップ5のねじ孔37に螺合する。
【0018】
次に、防塵シールについて説明する。下部防塵シール7,8の軸受組立体2への取付けは前述したとおりであるので省略する。下部防塵シール7,8のアンダー部45のリップ部50は、図6及び図7に示されるように、軌道台3の側面に対して押付けられる。リップ部50の裏面側には、軸受組立体2との摺動抵抗を低減させるべく、軸方向に凹溝51が設けられている。これにより、リップ部50が適度に弾性変形する。なお、下部防塵シール7,8は、ポリエステルエラストマー(商品名ペルプレン)等の合成樹脂を射出成形したものである。
【0019】
図8及び図9は本実施例の端面防塵シール6の構成を示している。端面防塵シール6は、補強材としての金属板61とその表面側に焼き付け等によって固着されたゴム等のシール部材60とで構成されている。中央部には軌道台3を通す開口部55が設けられていて、その全体が略々コ字形状に形成されている。すなわち、開口部55は、軌道台3の両側面の上下2条のボール転動溝65,66,67,68に略々一致する円弧部を有し、軌道台3の輪郭と相補い合う形状をしている。開口部55には、図9に示されるように、外向きに角度αを有して平行に傾斜する連続した二つの外側リップ部56,58が形成されている。外側リップ部56の表面側には、開口部55の内縁形状に沿わせて凹溝57が設けられ、これにより外側リップ部56は適度に弾性変形し、軌道台3の外面に摺接する。また、外側リップ部56は、内側リップ部58より長さCだけ軌道台3の方向に突出せしめてあるので、軌道台3の外面に対する押付力は、内側リップ部58の押付力より大きくなるが、図15に示されるように、凹溝57の作用により、両者とも同じ押付力となるように調節されている。端面防塵シール6に設けた貫通孔52,53,54については前述したとおりであるので、ここでは説明を省略する。
【0020】
本実施例の端面防塵シール6,6のリップ部56,58と摺接する軌道台3の外面(上面及び両側面)には適切な表面粗さが要求されることから、図10に示されるように、軌道台3は全面研削仕上げをして各種寸法精度が高められている。すなわち、研削盤(図示せず)のテーブル64に固定された軌道台3の両側面は、クラッシャー(図示せず)を用いて側面研削用砥石62,62を所定の形状に成形した後、クラッシャーの形状が軌道台3の両側面に転写されるように研削仕上げされる。なお、符号63は軌道台3の上面を研削仕上げするための上面研削用砥石を示している。
【0021】
上記のように全面研削仕上げをした軌道台3は、ねじを用いてテーブル等に取付けられた後、図11及び図12に示されるように、樹脂製の埋栓70が軌道台3のねじ取付孔69の開口部に嵌着される。これにより、軌道台3の上面は窪みのない平坦なものとなり、端面防塵シール6,6の上部リップ部により細かい塵埃は払拭除去される。
【0022】
さらに、本実施例の端面防塵シール6,6の効果を高めようとするならば、図13又は図14に示される形状の軌道台を用いることが望ましい。図13に示される軌道台3’は、下部に幅広部を形成した逆T字型のものである。幅広部には、軌道台3’をテーブル等に固定するためのねじ取付孔71,71が設けられており、上面は平坦になっている。図14に示される軌道台3”も、図13の軌道台3’と同様に、上面が平坦になっている。図13の軌道台3’、及び図14の軌道台3”は、両者とも、軌道台の上面に付着した細かい塵挨が端面防塵シール6,6の上部リップ部によって完全に払拭除去されるようにしたものである。
【0023】
次に、本実施例の作用を説明する。全面研削仕上げをした軌道台3の外面(上面及び両側面)に付着した大小入り交じった塵挨(木工片等の比較的大きな異物も含む)は、図15に示されるように、先ず外側リップ部56で払拭除去される。外側リップ部56は前述のように、凹溝57の作用により、常に略々一定の押付力で軌道台3の外面に摺接するので、リップ部先端が摺接により摩耗してもその機能を喪失せず、防塵シールとしての寿命が長い。また、仮に外側リップ部56が大きい異物等により浮き上がって細かい塵埃が通過したとしても、内側リップ部58がこの細かい塵挨を払拭除去するので、軸受組立体2内部への細かい塵埃の侵入を防止することができる。
【0024】
上記実施例は、端面防塵シールと下部防塵シールとを別体にしたものであるが、図19に示される従来例と同様に、一体構造にすることもできる。
【0025】
以上の実施例では、転動体としてボールを使用したエンドキャップ式直動案内軸受に本考案の防塵シール装置を適用したものを例示したが、ボールの無限循環手段としてチューブ体を用いたチューブ式直動案内軸受は無論、転動体としてローラを使用したローラ式直動案内軸受にも適用できることは言うまでもない。
【0026】
【考案の効果】
本考案による防塵シール装置によると、軌道台と軸受組立体との間に存在する正面隙間及び下部隙間の双方が密閉されており、塵埃等が軸受組立体内へ侵入することを確実に防止できるほか、下記の特有の効果を奏する。
(1)凹溝が外側リップ部の弾性変形を容易にするとともに、軌道台への押付力を低減しているので、2重にリップ部を設けても摺動抵抗が増加することはなく、軸受組立体の良好な走行特性を得ることができる。
(2)外側リップ部の押付力の低減によってその摩耗が防止され、外側リップ部自身のシール機能が長期間に亘って維持される。
(3)外側リップ部が、良好なシール機能を有すること及びその機能が長期間維持されることから、内側リップ部の保護をも図ることにができ、単なる2重リップのシールと比較してもその防塵性が良好である。
(4)また、外側リップ部が大きい異物により浮き上がって細かい塵埃が通過した場合には、内側リップ部がこの細かい塵埃を払拭除去する。
【0027】
請求項2の防塵シールは、請求項1の端面防塵シールと下部防塵シールとを一体構造に形成したので、シール装置の物品点数が少なくなるとともに、従来の一体構造のシール装置に比べて、さらに密封性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本考案の第1実施例を示しており、直動案内軸受と端面防塵シールとの斜視図である。
【図2】
軸受本体の斜視図である。
【図3】
軸受本体の端面に固着されるエンドキャップの斜視図である。
【図4】
図3のエンドキャップの4-4線断面図である。
【図5】
下部防塵シールの斜視図である。
【図6】
図5の下部防塵シールの6-6線断面図である。
【図7】
図5の下部防塵シールの7-7線断面図である。
【図8】
端面防塵シールの正面図である。
【図9】
図8の端面防塵シールの断面図である。
【図10】
直動案内軸受の軌道台の研削加工の説明図である。
【図11】
直動案内軸受の軌道台の断面図である。
【図12】
図11の軌道台のねじ取付孔に嵌着される埋栓の斜視図である。
【図13】
他の軌道台の断面図である。
【図14】
さらに他の軌道台の断面図である。
【図15】
本考案の端面防塵シールの作用を説明する断面図である。
【図16】
従来の直動案内軸受の一部断面を含む正面図である。
【図17】
図16の直動案内軸受のシール装置における断面を含む斜視図である。
【図18】
図17のシール装置の部分拡大斜視図である。
【図19】
従来のシール装置の斜視図である。
【図20】
図19のシール装置の20-20線断面図である。
【図21】
図19のシール装置の21-21線断面図である。
【符号の説明】
1 直動案内軸受
2 軸受組立体
3,3’,3” 軌道台
4 軸受本体
5 エンドキャップ
6 端面防塵シール
7,8 下部防塵シール
11,12,13,14 軸受組立体の転動体転動溝
56 外側リップ部
57 凹溝
58 内側リップ部
65,66,67,68 軌道台の転動体転動溝
【図面】





















訂正の要旨 訂正の要旨
1.訂正事項a
「実用新案登録請求の範囲の減縮」を目的として、本件実用新案登録第2596055号の実用新案登録請求の範囲第3項及び第4項を削除する。訂正後の実用新案登録請求の範囲は以下のとおりである。
「【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】断面略コ字形状の軸受組立体の内面に形成された転動体転動溝と軌道台の外面に形成された転動体転動溝との間に転動体が装填され、該転動体の転動を介して前記軸受組立体が前記軌道台上に跨架されて相対移動するとともに、前記軸受組立体が、その両端面に取付けられ且つ前記軌道台の上面及び両側面に摺接するリップ部を有する一対の略コ字形状端面防塵シールと、該端面防塵シールの下端部間を前記軌道台に沿って延び且つ該軌道台の両側面と摺接するリップ部を有する一対の下部防塵シールと、を具えた直動案内軸受において、前記端面防塵シールのリップ部は外向きに所定の角度を有して平行に傾斜する連続した外側リップ部と内側リップ部とから形成され且つ前記外側リップ部が前記内側リップ部より前記軌道台方向に突出しており、前記外側リップ部に近接して該外側リップ部を囲む凹溝が前記外側リップ部の表面側に設けられていることを特徴とする、直動案内軸受の防塵シール装置。
【請求項2】前記端面防塵シールと前記下部防塵シールが一体に形成されている、請求項1記載の直動案内軸受の防塵シール装置。」
2.訂正事項b
「明瞭でない記載の釈明」を目的として、図16、図17、及び図18を削除する。
3.訂正事項c
「明瞭でない記載の釈明」を目的として、考案の詳細な説明の段落【0009】、【0010】、【0012】、【0027】、【0028】及び【0032】を削除する。
4.訂正事項d
「明瞭でない記載の釈明」を目的として、段落【0003】冒頭の「図19」を「図16」と訂正する。
5.訂正事項e
「明瞭でない記載の釈明」を目的として、段落【0003】中の図21」を「図18」と訂正する。
6.訂正事項f
「明瞭でない記載の釈明」を目的として、段落【0003】中の図20及び図21」を「図17及び図18」と訂正する。
7.訂正事項g
「明瞭でない記載の釈明」を目的として、段落【0004】中の「図22」を「図19」と訂正する。
8.訂正事項h
「明瞭でない記載の釈明」を目的として、段落【0004】中の「図23及び図24」を「図20及び図21」と訂正する。
9.訂正事項i
「明瞭でない記載の釈明」を目的として、段落【0029】中の「上記第1及び第2実施例とも」を「上記実施例は」と訂正する。
10.訂正事項j
「明瞭でない記載の釈明」を目的として、段落【0029】中の「図22」を「図19」と訂正する。
11.訂正事項k
「明瞭でない記載の釈明」を目的として、段落【0033】中の「請求項2及び4」を「請求項2」と訂正する。
12.訂正事項l
「明瞭でない記載の釈明」を目的として、段落【0033】中の「請求項1又は3」を「請求項1」と訂正する。
13.訂正事項m
「誤記の訂正」を目的として、図面の簡単な説明の欄の図1の説明において、「本考案第1実施例」とあるのを「本考案の第1実施例」と訂正する。
14.訂正事項n
「明瞭でない記載の釈明」を目的として、図面の簡単な説明の欄の図16、図17及び図18についての説明を削除する。
15.訂正事項o 「明瞭でない記載の釈明」を目的として、図面の簡単な説明の欄の「【図19】」を「【図16】」と訂正する。
16.訂正事項p
「明瞭でない記載の釈明」を目的として、図面の簡単な説明の欄の「【図20】図19の」を「【図17】図16の」と訂正する。
17.訂正事項q
「誤記の訂正」を目的として、図面の簡単な説明の欄の訂正前の図20(訂正後の図17)の説明において、「断面を含むの」とあるのを「断面を含む」と訂正する。
18.訂正事項r
明瞭でない記載の釈明」を目的として、図面の簡単な説明の欄の「【図21】図20の」を「【図18】図17の」と訂正する。
19.訂正事項s
明瞭でない記載の釈明」を目的として、図面の簡単な説明の欄の「【図22】」を「【図19】」と訂正する。
20.訂正事項t
「明瞭でない記載の釈明」を目的として、図面の簡単な説明の欄の「【図23】図22のシール装置の23-23線断面図」を「【図20】図19のシール装置の20-20線断面図」と訂正する。
21.訂正事項u
「明瞭でない記載の釈明」を目的として、図面の簡単な説明の欄の「【図24】図22のシール装置の24-24線断面図」を「【図21】図19のシール装置の21-21線断面図」と訂正する。
22.訂正事項v
「明瞭でない記載の釈明」を目的として、図面の簡単な説明の欄の符号82、83、84及び85を削除する。
異議決定日 2000-06-21 
出願番号 実願平4-92452 
審決分類 U 1 652・ 121- XA (F16C)
最終処分 決定却下  
前審関与審査官 松下 聡  
特許庁審判長 佐藤 洋
特許庁審判官 和田 雄二
常盤 務
登録日 1999-04-02 
登録番号 実用新案登録第2596055号(U2596055) 
権利者 株式会社ツバキ・ナカシマ
兵庫県尼崎市梶ケ島19番28号
考案の名称 直動案内軸受の防塵シール装置  
代理人 木下 洋平  
代理人 成瀬 勝夫  
代理人 木下 洋平  
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