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審決分類 審判 全部申し立て   D04H
管理番号 1020899
異議申立番号 異議2000-71037  
総通号数 14 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案決定公報 
発行日 2001-02-23 
種別 異議の決定 
異議申立日 2000-03-06 
確定日 2000-08-28 
異議申立件数
事件の表示 登録第2599476号「制電性ネットコンベア」の請求項1及び2に係る実用新案登録に対する実用新案登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。   
結論 登録第2599476号の請求項1、2に係る実用新案登録を維持する。
理由 [1]手続の経緯・本件考案
本件実用新案登録第2599476号は、平成5年6月28日に出願され、平成11年7月9日にその実用新案の設定登録がなされたものである。
その後、敷島紡績株式会社から実用新案登録異議の申立があった。
本件の請求項1?2に係る考案は、実用新案登録請求の範囲の請求項1及び2に記載された事項により特定される下記のとおりのものである。
【請求項1】サーマルボンド法を用いて不織布を製造する装置のネットコンベアにおいて、該ネットコンベアが、合成樹脂モノフィラメントと導電性モノフィラメントとから構成される織物であり、経糸又は緯糸の少なくとも一方がその50%以上を該合成樹脂モノフィラメントと同線径の導電性モノフィラメントを用いていることを特徴とする制電性ネットコンベア。
【請求項2】サーマルボンド法を用いて不織布を製造する装置のネットコンベアにおいて、該ネットコンベアの織組織が平織であることを特徴とする請求項1記載の制電性ネットコンベア。
[2]実用新案登録異議申立人の主張の概要
実用新案登録異議申立人は、甲第1号証として特開平2-91243号公報(平成2年3月30日発行)、甲第2号証として実願平1-60735号(実開平2-149797号)の願書に最初に添付した明細書と図面の内容を撮影したマイクロフィルム(平成2年12月21日発行)、甲第3号証として実願昭63-107563号(実開平2-29477号)の願書に最初に添付した明細書と図面の内容を撮影したマイクロフィルム(平成2年2月26日発行)、甲第4号証として実願昭63-134782号(実開平2-57998号)の願書に最初に添付した明細書と図面の内容を撮影したマイクロフィルム(平成2年4月26日発行)、甲第5号証として実開平2-61999号(平成2年5月9日発行)及び甲第6号証として特開平3-227806号公報(平成3年10月8日発行)を提示して、請求項1?2に係る考案は、甲第1号証?甲第6号証記載の考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるから、その実用新案登録は、実用新案法第3条第2項の規定に違反してされた旨の主張をしている。
なお、本件異議申立書の証拠方法には、甲第2号証として実開平2-149797号、甲第3号証として実開平2-29477号公報及び甲第4号証として実開平2-57998号公報が表示されているが、実用新案登録異議申立書には、それぞれのマイクロフィルムの写しが添付されているので、ここでは、上記のように扱う。
[3]当審の判断
甲第1号証?甲第6号証の記載事実:
甲第1号証には次の記載がなされている。
1-1「経、緯両糸に金属粉末、金属酸化物粉末、カーボン粉末から選んだ非帯電性物質の粉末を合成樹脂に配合して形成した非帯電性糸と、合成樹脂で形成した非導電性糸を配置して織成したことを特徴とする非帯電性搬送用織物。」(特許請求の範囲第2項)
1-2「緯糸を構成する非帯電性糸の非導電性糸に対する本数比が40分の1以上である特許請求の範囲第2項ないし第9項のいずれか1項に記載された非帯電性搬送用織物。」(特許請求の範囲第11項)
1-3「本発明は静電気が帯電しない合成樹脂製のメッシュコンベアベルトに関し、特に乾式搬送帯として利用できる。」 (第2頁左上欄第15行?第17行)
1-4「このような本発明の非帯電性搬送用織物は通気性のある織物であって、特に乾燥状態下での紙、繊維、合成樹脂製品の加工、搬送或は電子機器部品の搬送処理等広い範囲に使用でき、その優れた効果を奏するものである。」(第4頁右上欄第2行?第6行)
1-5「実施例1 経糸 (A)線径0.40mmφのポリエステルモノフィラメント (B)線径0.40mmφのポリアミドモノフィラメント(銅粉入り) 注1)(B):平均粒度8μの銅粉末を13重量%練り込んで紡糸したもの。 注2)本数比(A):(B)=9:1 緯糸 (A)線径0.50mmφのポリエステルモノフィラメント (B)線径0.40mmφのポリアミドモノフィラメント(銅粉入り) 注1)(B):経糸(B)と同じ 注2)本数比(A):(B)=20:1 上記の経糸と緯糸にて1/1平織組織で織成し、この織物を平らに熱固定して経糸密度26本/インチ、緯糸密度25本/インチの織物を作成した。この織物を常法に従い織成してエンドレスベルトとした。なお経糸(B)、緯糸(B)の電機抵抗値は10^(7 )Ωであった。・・・」(第4頁右上欄第9行?左下欄第9行)
甲第2号証には次の記載がなされている。
2-1「合成樹脂モノフィラメントによって構成された抄紙用ドライヤーカンバスにおいて、該カンバスの1部に、カンバス本体を構成している合成樹脂モノフィラメントと同径であり導電性物質を含有したナイロン4.6モノフィラメントが配されていることを特徴とする抄紙用ドライヤーカンバス。」(実用新案登録請求の範囲請求項1)
2-2「実施例1.第1図に示しているように、直径0.4mmのポリエステルモノフィラメントを経糸(1)および緯糸(2)に配し、経糸密度が80本/インチ、緯糸密度が40本/インチの2層構造のドライヤーカンバス(3)において、カーボンが7%含有してなる直径0.4mmのナイロン4.6モノフィラメント(4)を5cm間隔毎に経糸に配し、制電性のドライヤーカンバスを織成した。また第2図は直径0.8mmポリエステルモノフィラメントの経糸(1)および緯糸(2)からなる粗目の平織カンバス(3)において、該経糸(1)の2本おきに直径0.8mm上記導電性ナイロン4.6モノフィラメント(4)を配した態様を示している。上記実施例の2種の制電性ドライヤーカンバスを抄紙機のドライヤーパートに使用したところ、充分な帯電防止作用を奏し、また各経糸のクリンプが均等であるため紙面にはカンバス表面による異常なマークが皆無であった。」
(第5頁第16行?第6頁第14行)
2-3「(考案の効果)このように本考案は、合成樹脂モノフィラメントによって構成された抄紙用ドライヤーカンバスにおいて、該カンバスの1部にカンバス本体を構成している合成樹脂モノフィラメントと同径であり、導電性物質を含有したナイロン4.6モノフィラメントが配されてなるものであるから、この導電性のナイロン4.6モノフィラメントはカンバス本体の大部分を構成している他の合成樹脂モノフィラメントと共に均整なカンバス表面を形成し、紙面に影響を与えることなく、また耐久性の劣下を招くことのなく合成樹脂カンバスに制電性を付与し、抄紙乾燥時の静電気によるトラブルを解消することができる」(第7頁第10行?第8頁第3行)
2-4;2層織合繊樹脂カンバスの部分断面図(第1図)
2-5;粗目平織の合成樹脂カンバスの部分平面図(第2図)
甲第3号証には次の記載がなされている。
3-1「合成樹脂繊維からなる織物であって、経糸・緯糸の両方に導電性繊維をも含有し、該両導電性繊維は織物の組織点で接触していることを特徴とする制電性コンベヤベルト用織物。」(実用新案登録請求の範囲)
3-2「本考案で導電性繊維とは、合成繊維の表面に銀またはカーボンブラック微粉末をコーテイングしたものやカーボンブラック微粉末を練り込んだものを言い、それらを複合紡糸した繊維を含む。そして該導電性繊維の電気抵抗値は10^(3)?10^(11)Ω/cmである。」(第4頁第12行?第17行)
3-3;制電性コンベアベルト用織物の説明図(第1図)
甲第4号証には次の記載がなされている。
4-1「経糸および緯糸にポリエステルモノフィラメントを用いたドライキャンバスであって、経糸の一部にナイロン46を主体成分とする導電性モノフィラメントを配したことを特徴とする制電性ドライキャンバス。」
(実用新案登録請求の範囲)
4-2「第1図は本考案の一実施例の制電性ドライキャンバスの要部の概略平面図、第2図は第1図のA-A線切断概略断面図である。この制電性ドライキャンバス1において、経糸2はポリエステルモノフィラメントで、ポリエチレンテレフタレートモノフィラメント(直径0.45mm、沸水収縮率4%)を用い、経糸3はナイロン46系の導電性モノフィラメントで、海島複合糸(海成分は5重量%のカプロラクタムを共重合した相対粘度が3.7のナイロン46重合体に沃化カリウムを0.15重量%および沃化第1銅を0.03重量%添加、島成分は相対粘度が3.0のナイロン6重合体に平均粒径が0.05μmの導電性カーボンブラックを30重量%均一に混合、複合比率を重量比で7(海成分):1(島成分、島数10)として紡糸、延伸、直径0.45mm、沸水収縮率4%、電気抵抗値2×10^(5 )Ω/cm)を用い、緯糸4は経糸2と同様のポリエステルモノフィラメントを用い、二重組織で製織したものである。経糸密度は68本/2.5cmに設定し、このうち経糸3の導電性モノフィラメントは1本/5cmの割合で筬通しのときに経糸2の間に混入した。緯糸4の密度は38本/2.5cmに設定した。・・・」(第5頁第19行?第6頁末行)
4-3;一実施例の制電性ドライキャンバスの要部の概略平面図(第1図)
4-4;第1図のA-A線切断概略断面図(第2図)
甲第5号証には次の記載がなされている。
5-1「経糸にポリエステルモノフイラメント糸を使用した多重織のドライヤーカンバスにおいて、ポリエステルモノフイラメント糸の一部を所定間隔で導電性物質を混入したナイロンモノフィラメント糸に置換したことを特徴とする抄紙用ドライヤーカンバス。」(実用新案登録請求の範囲請求項1)
5-2「経糸にポリエステルモノフイラメント糸を使用した多重織のドライヤーカンバスにおいて、導電性物質を混入したナイロンモノフイラメント糸を表層緯糸の一部として使用したことを特徴とする抄紙用ドライヤーカンバス。」(実用新案登録請求の範囲請求項2)
5-3「導電性物質を混入したナイロンモノフイラメント糸がナイロン46樹脂からなり、導電性物質がカーボンまたは酸化スズを用いたことを特徴とする請求項1ないし2記載の抄紙用ドライヤーカンバス。」
(実用新案登録請求の範囲請求項3)
5-4;導電物質を混入したナイロンモノフィラメント糸の断面を示す図(第一図)
5-5;カンバスにナイロンモノフィラメントを配合した1例を示す図
(第二図)
甲第6号証には次の記載がなされている。
6-1「繊維集合体を搬送しつつ成形して不織布を形成する成形装置の、少なくとも搬送面に経糸と2種類以上の糸径の異なる緯糸を配して織成した織物で構成したベルトにおいて、搬送面が、経糸が糸径の大なる緯糸と織り合されて形成される経糸のナックルの搬送面側の頭項部と、経糸が糸径の小なる緯糸と織り合されて形成される経糸のナックルの搬送面側の頭頂部とからなる、高低の差のある経糸のナックルが配置されて形成されていることを特徴とする不織布成形用ベルト。」(特許請求の範囲請求項1)
6-2「搬送ベルトに載置された熱融着性繊維を混綿した繊維集合体に熱風を作用させ、熱融着性繊維を加熱融着して不織布を成形する熱融着型不織布成形装置に用いる請求項1ないし11のいずれか1項に記載された不織布成形用ベルト。」(特許請求の範囲請求項12)
6-3「〔従来技術の問題点〕従来は不織布を製造するために繊維集合体を平織のメッシュベルトで搬送しながら高圧水流や熱風によって繊維間を絡ませまたは溶着させて不織布を形成し、さらに風合を高めたり、模様付けするために表面が凹凸なロールで加圧成形する2工程を必要としていた。しかも従来法によると第2工程の加圧成形を行ってもすでに不織布が形成されているので不織布の風合が良好にならない欠点があった。〔発明が解決する課題〕本発明は上記の2工程の不織布成形工程を同時に行い工程を短縮する特殊なベルトを提供するものである。」
(第2頁左下欄第13行?第右下欄第7行)
6-4「本発明で使用する経糸はポリエチレンテレフタレートモノフィラメントが最も好適であるがこのほかポリアミド、ポリプロピレン、ポリフッ化ビニリデン、ステンレス等のモノフィラメントが使用される。また緯糸はポリエチレンテレフタレートモノフィラメントやステンレスモノフィラメント等の金属線が好適である。」(第3頁右下欄第14行?末行)
6-5;ベルトを使用して不織布を製造するところを示す説明図(第1図)
請求項1に係る考案の進歩性について:
甲第6号証には、不織布成形用ベルトの考案が記載されているといえる(6-1参照)。
請求項1に係る考案と甲第6号証記載の考案とを対比する。
これらの考案は、サーマルボンド法を用いて不織布を製造する装置のネットコンベアにおいて、該ネットコンベアが、合成樹脂モノフィラメントと導電性モノフィラメントとから構成される織物であり、経糸又は緯糸の少なくとも一方がその50%以上を導電性モノフィラメントを用いているネットコンベアの考案である点で軌を一にするものであるが、請求項1に係る考案が、導電性モノフィラメントが合成樹脂モノフィラメントと同線径であることを規定しているのに対して、甲第6号証記載の考案は、導電性モノフィラメントが合成樹脂モノフィラメントと同線径であることを明らかにしていない点で相違する(6-1?6-3参照)。
この相違点について検討する。
甲第1号証及び甲第3号証には、導電性モノフィラメントが合成樹脂モノフィラメントと同線径である非帯電性搬送用織物又は制電性コンベヤベルトが記載されているが、経糸又は緯糸の少なくとも一方の50%以上が導電性モノフィラメントであるようにしておらず、サーマルボンド法を用いて不織布を製造する装置のネットコンベアも記載されていない(1-1?1-5、3-1?3-3参照)。
甲第2号証、甲第4号証及び甲第5号証には、導電性モノフィラメントが合成樹脂モノフィラメントと同線径である抄紙用ドライヤーカンバス又は制電性ドライキャンバスが記載されているが、経糸又は緯糸の少なくとも一方の50%以上が導電性モノフィラメントであるようにしておらず、サーマルボンド法を用いて不織布を製造する装置のネットコンベアも記載されていない(2-1?2-5、4-1?4-4、5-1?5-5参照)。
そのため、甲第1号証?甲第5号証の記載を以てしても、サーマルボンド法を用いて不織布を製造する装置の、経糸又は緯糸の少なくとも一方の50%以上が導電性モノフィラメントであるネットコンベアにおいて、導電性モノフィラメントが合成樹脂モノフィラメントと同線径であるようにすることは、当業者がきわめて容易にできることではない。
そして、請求項1に係る考案は、経糸又は緯糸の少なくとも一方がその50%以上を導電性モノフィラメントとするだけでなく、請求項1に記載された全ての技術的事項を具備することにより、明細書記載の効果、即ち、サーマルボンド法を用いて不織布を製造する装置のネットコンベアにおいて、該ネットコンベアが、合成樹脂モノフィラメントと導電性モノフィラメントとから構成されてなる制電性ネットコンベアであるため、合成樹脂ネットコンベアに帯電性防止効果を付与することが出来、乾燥時下における静電気によるトラブルを解消できて更なるスピードアップがはかれ、同径のモノフィラメントの使用と相呼応して、不織布表面を均整なものとし、製品の不織布を高品質に保つという甲第1?6号証からは予測できない効果を奏するものと認められる。
してみれば、当業者が、甲第1号証?甲第6号証の記載から請求項1に係る考案の効果を予測することはきわめて容易にできることとは認められない。
従って、請求項1に係る考案が甲第1号証?甲第6号証記載の考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものと認めることはできない。
請求項2に係る考案の進歩性について:
請求項2に係る考案は、請求項1に係る考案を技術的に限定するものであるから、請求項1に係る考案と同様、甲第1号証?甲第6号証記載の考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものと認めることはできない。
[4]結び
以上のとおりであるから、実用新案登録異議申立人の主張及び証拠によって請求項1?2に係る考案の実用新案登録を取り消すことはできない。
また、他に請求項1?2に係る考案の実用新案登録を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2000-08-07 
出願番号 実願平5-40784 
審決分類 U 1 651・ 121- Y (D04H)
最終処分 維持  
前審関与審査官 松縄 正登  
特許庁審判長 石橋 和美
特許庁審判官 蔵野 雅昭
喜納 稔
登録日 1999-07-09 
登録番号 実用新案登録第2599476号(U2599476) 
権利者 大和紡績株式会社
大阪府大阪市中央区久太郎町3丁目6番8号
考案の名称 制電性ネットコンベア  
代理人 城村 邦彦  
代理人 江原 省吾  
代理人 白石 吉之  
代理人 田中 秀佳  
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