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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H01F |
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管理番号 | 1024989 |
審判番号 | 審判1998-16417 |
総通号数 | 15 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 実用新案審決公報 |
発行日 | 2001-03-30 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 1998-10-16 |
確定日 | 2000-06-09 |
事件の表示 | 平成 7年実用新案登録願第 10115号「インダクタンス素子」拒絶査定に対する審判事件[平成 8年 9月27日出願公開、実開平 8- 1424]について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
(手続の経緯・本願考案) 本願は、昭和61年6月14日に出願された実願昭61-90024号を、平成7年9月26日に分割出願したものであって、その考案の要旨は、平成10年11月16日付け手続補正書によって補正された明細書及び図面の記載からみて、その実用新案登録請求の範囲に記載された次のとおりのものと認める。 「コア磁脚を備えたコアと、絶縁材料からなり、前記コア磁脚が挿入される筒状巻芯の両端部にそれぞれ外方に張り出した鍔を前記巻芯と一体に設け、前記一方の鍔の対向する側面に、基板に装着する複数個のピン端子を間隔をとって平行に位置するように植設したピン端子付き巻枠とを備えたインダクタンス素子において、 前記ピン端子は、フォーミング加工された棒状であり、前記一方の鍔の側面から前記巻芯の軸に垂直な方向に延出した根本部と、前記根本部の延出端から他方の鍔とは反対側に斜めに延びた斜め部と、前記斜め部から連続し、前記一方の鍔の端面よりも前記巻芯の軸に沿う外方で、前記巻芯の軸と直交する一平面上で且つ前記斜め部から外方の向かって延在した基板取り付け部とを備えたことを特徴とするインダクタンス素子。」 (引用例) これに対して、原査定の拒絶理由で引用した実願昭59-64384(実開昭60-185307号)のマイクロフイルム(以下「第1引用例」という)には、次の各事項が記載されている。 (a)「絶縁材からなり、コイル2を巻線するため、上下端に鍔3、4が一体に設けられる筒状の巻芯1、鍔4の下面に巻芯1の軸方向下向きに間隔をとって平行に位置するように植設してあり、鍔4の外周に形成された切込み溝42を介してコイル2のリード線をからげて半田付けする様になっている複数個の棒状ピン端子5、鍔4の溝43に嵌合されるU字状のコア7、鍔3の溝31に嵌合し、前記コア7と突き合わされるI字状のコア8を備えたインダクタンス素子。」(第2頁第5?18行、第1、2図の各記載参照。) (b)「前記インダクタンス素子をプリント基板に装着する際、前記ピン端子5をプリント基板に差込むこと。」(第2頁第20行?第3頁第5行の記載参照。) また、同じく引用した特開昭60-158610号公報(以下「第2引用例」という)には、第12図ないし第16図及びその説明として、 「第12図の如く、プレスにより、金属板11をラインm1、m2に沿って端子群11b?11fの途中部分を切断すると共に、端子群11b?11fを段状に曲げ加工する(尚この曲げ状態は第15図に示す)。これにより、各基板12は中間板部11j及び連結部13のみを介して連結された状態となる。尚連結部13においては、特にその金属扞部11gにより連結の剛性が保たれる。 次に、第13図の如く、各基板12のドラムコア18にコイル19(第15図に示す)を巻回すると共にその複数のコイルリード19aを夫々端子群11b?11fの外方突出部に巻付け半田付けをする。・・・・・・・・・・・ 最後に、第14図中、各基板12において連結部13をラインn1、n2、n3、・・・により切断して、第15図、第16図に示す如き複数の高周波コイル22を得る。」(第2頁右下欄第13行?第3頁左上欄第6行)ことが記載されている。そして、前記第2引用例の技術内容を本願考案に対応させて表現すると、 「高周波コイル22において、前記コイル22の一端部(下方)に位置する基板12の対向する側面に複数個の端子11b?11fを埋設し、前記複数個の端子11b?11fを、前記基板12の側面から前記コイル22の軸に垂直な方向に延出した根本部(リード線巻付け部)と、前記根本部の延出端から前記コイル22の他端部とは反対側に斜めに延びた斜め部と、前記斜め部から連続し、前記コイル22の軸と直交する方向で且つ前記斜め部から外方に向かって延在した端部とを備えたものに曲げ加工すること。」が開示されている。 (対比・判断) そこで、本願考案と第1引用例に記載されたものとを対比すると、両者は、「コア磁脚を備えたコアと、絶縁材料からなり、前記コア磁脚が挿入される筒状巻芯の両端部にそれぞれ外方に張り出した鍔を前記巻芯と一体に設け、前記一方の鍔の表面に、基板に装着する複数個の棒状ピン端子を間隔をとって平行に位置するように植設したピン端子付き巻枠とを備えたインダクタンス素子」である点で一致し、次の点で相違するものと認められる。 本願考案が、筒状巻芯の一方の鍔の対向する側面にピン端子を植設し、前記ピン端子を、フォーミング加工されたものであって、前記一方の鍔の側面から前記巻芯の軸に垂直な方向に延出した根本部と、前記根本部の延出端から他方の鍔とは反対側に斜めに延びた斜め部と、前記斜め部から連続し、前記一方の鍔の端面よりも前記巻芯の軸に沿う外方で、前記巻芯の軸と直交する一平面上で且つ前記斜め部から外方に向かって延在した基板取り付け部とを備えたものとしているのに対して、第1引用例に記載されたものは、筒状巻芯の一方の鍔の下面にピン端子を植設し、前記ピン端子を、前記一方の鍔の下面から前記巻芯の軸に沿う方向に延出した直線状のものとしている点。 そこで、前記相違点について検討する。 インダクタンス素子において、前記素子の一端部に位置する鍔状部(基板)の対向する側面に複数個の端子を埋設し、前記端子を、フォーミング加工(曲げ加工)されたものであって、前記鍔状部の側面から前記素子の軸に垂直な方向に延出した根本部と、前記根本部の延出端から前記素子の他端部とは反対側に斜めに延びた斜め部と、前記斜め部から連続し、前記素子の軸と直交する方向で且つ前記斜め部から外方に向かって延在した端部とを備えたものとすることが第2引用例に記載されており、また、インダクタンス素子において、前記素子の一端部に位置する鍔状部に埋設される複数個の端子を、前記素子の軸に垂直な方向に延長する根本部(固定部)と、前記根本部の延長端から前記素子の他端部とは反対側に斜めに延びた斜め部(テーパ部)と、前記斜め部から連続し、前記素子の軸と直交する方向で且つ前記斜め部から外方に向かって延在した端部(水平部)とを備えたものとし、前記端部を前記鍔状部の端面よりも前記素子の軸に沿う外方で、前記素子の軸と直交する一平面上に延在した基板取り付け部として、基板上に素子装着用の穴を不要とし、素子を基板上に安定的に装着し得るようにすることは周知のことである(例えば、特開昭60-260110号公報の記載参照)ので、結局、本願考案のように構成することは、当業者が極めて容易に想到し得ることと認められる。 効果 (むすび) したがって、本願考案は、第1、第2引用例に記載された考案に基づき、前記周知事項を参酌して、当業者が極めて容易に考案をすることができたものと認められるので、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2000-03-08 |
結審通知日 | 2000-03-17 |
審決日 | 2000-03-29 |
出願番号 | 実願平7-10115 |
審決分類 |
U
1
8・
121-
Z
(H01F)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 小林 信雄、佐藤 伸夫、朽名 一夫 |
特許庁審判長 |
木南 仁 |
特許庁審判官 |
治田 義孝 新川 圭二 |
考案の名称 | インダクタンス素子 |
代理人 | 池田 憲保 |
代理人 | 後藤 洋介 |