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審決分類 審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) F01N
管理番号 1024997
審判番号 審判1998-15243  
総通号数 15 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案審決公報 
発行日 2001-03-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 1998-09-25 
確定日 2000-07-19 
事件の表示 平成 4年実用新案登録願第 65652号「マニホールド触媒コンバータ」拒絶査定に対する審判事件[平成 6年 4月22日出願公開、実開平 6- 30425]について、次のとおり審決する。   
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 I.手続の経緯・本願考案
本願は、平成4年9月21日の出願であって、その請求項1に係る考案は、出願当初の明細書及び図面の記載からみて、その実用新案登録請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものと認める。(以下「本願考案」という。)
「【請求項1】シリンダヘッド(2)の各排気ポート(3)に対応してそれぞれ連通する複数の取付孔(5A)を設けたフランジ(5)と、このフランジ(5)の各取付孔(5A)に各一端(6A)が固着された1以上のブランチ管(6)と、ブランチ管(6)の他端(6B)が固着され、触媒担体を収容する筒状容器(7)とを有してなるマニホールド触媒コンバータにおいて、ブランチ管(6)を、その一端開口部(8)で複数の排気ポート(3)を囲むとともにその他端側を1つの排気経路(9)で構成したことを特徴とするマニホールド触媒コンバータ。」
なお、平成11年10月4日付けの手続補正は、平成11年12月15日付けの補正の却下の決定により却下され、この決定は確定している。
II.引用例
1.これに対して、当審の拒絶の理由で引用した、実願昭56-85555号(実開昭57-198317号のマイクロフイルム)(以下、「引用例」という)には、「本考案は主として車両用の多気筒エンジンにおける排気通路装置に関する。従来この種装置として、エンジンの少なくとも2個のシリンダに連なる排気管の下流側にこれらを互いに合流する混合室を設けると共にその下流側に触媒体を備える式のものは知られるが、この場合該触媒担体を該エンジンに近接して配置すべき要求が存し、その際次のような不都合が伴い勝ちである。即ち、排気管からの放熱量が大きい場合、排気ガス温度が低下して触媒の浄化性能が低下し」(第1頁第16行?2頁第6行)、
「本考案は・・エンジン(1)の少なくとも2個のシリンダ(2)(2)に連なる排気管(3)(3)の下流側に、これらを互いに合流する混合室(4)を設けると共にその下流側に触媒担体(5)を備える」(第2頁第18行?3頁第2行)、
「図面はエンジン(1)がシリンダ(2)の4個を備えて4気筒に構成される場合を示すもので、この場合一側の2本の排気管(3)(3)と他側の2本の排気管(3)(3)とは夫々中間の共通壁(3a)(3a)を介して並設される形式とすると共にこれらはその下流側の混合室(4)内で互いに合流されるようにし・・該担体(5)は外周のコンバータ本体(5a)内に収容されるもので」(第3頁第9行?同頁第19行)、及び
「本考案によるときは排気管(3)(3)を中間の共通壁(3a)を介して併設される形式とするもので、各別に並設する式のものに比し放熱量を減少させることが出来、・・全体として触媒担体から成る触媒コンバータをエンジンに近接して設ける場合に生じ易い各種の不都合を無くして得られる効果を有する。」(第4頁第15行?6頁第9行)が記載されている。
そして、第1,2図には「シリンダヘッド(符号なし)の各排気ポート(符号なし)に対応してそれぞれ連通する複数の取付孔(符号なし)を設けた2個のフランジ(符号なし)と、このフランジ(符号なし)の各取付孔(符号なし)に各一端が固着された4本の排気管3」が記載されているものと認められる。
III.対比・判断
本願考案と引用例記載の考案とを対比すると、引用例記載の考案の「コンバータ本体」及び「エンジンに近接して設ける触媒コンバータ」は、機能に照らし、それぞれ本願考案の「筒状容器」及び「マニホールド触媒コンバータ」に相当するものと認められる。
また、本願考案の従来技術として、「2つのフランジ25,25と、4つのブランチ管26,26,26,26と、筒状容器27とを備えている。」(段落【0005】の抜粋)及び「各ブランチ管26は、隣接するブランチ管26と独立してフランジ25と筒状容器27の間に配置されている。」(段落【0008】の抜粋)が記載されているので、引用例記載の考案の「フランジの各取付孔に各一端が固着された一側の2本の排気管(もしくは他側の2本の排気管)、該排気管の下流側に互いに合流する混合室を設ける」点は、機能に照らし、本願考案の「フランジの各取付孔に各一端が固着された1以上のブランチ管、該ブランチ管の他端側を1つの排気経路で構成する」点に相当するものと認められる。
更に、本願考案の「ブランチ管(6)を、その一端開口部(8)で複数の排気ポート(3)を囲む」点は、「隣接するブランチ管の一端側の側面が共通化され、ブランチ管の全表面積が小さくなる。」(段落【0011】の抜粋)及び「ブランチ管6における排気ガスの放熱面積を小さくし、排気ガスの温度低下を防止でき、コールドスタート時の排気ガスによる筒状容器7内の触媒担体の昇温を速くし」(段落【0019】の抜粋)に記載された作用効果を奏するものであり、具体的構成としては「ブランチ管6は、その一端開口部8で2つの排気ポート3,3を囲んでいるが、図3の二点鎖線で示すように、ブランチ管6内に仕切壁10を形成することもできる。」(段落【0020】の抜粋)とも記載されている。
してみれば、本願考案の「ブランチ管(6)を、その一端開口部(8)で複数の排気ポート(3)を囲む」点は、あくまで、ブランチ管の全表面積が小さくなる構成であるものと認められる。したがって、引用例記載の考案の「エンジンの排気管の一端において、一側の2本の排気管(もしくは他側の2本の排気管)は中間の共通壁を介して並設される」点も、本願考案の「ブランチ管を、その一端開口部で複数の排気ポートを囲む」点に相当するものと認められる。
以上を鑑みれば、両者は、「シリンダヘッドの各排気ポートに対応してそれぞれ連通する複数の取付孔を設けたフランジと、このフランジの各取付孔に各一端が固着された1以上のブランチ管と、ブランチ管の他端が固着され、触媒担体を収容する筒状容器とを有してなるマニホールド触媒コンバータにおいて、ブランチ管を、その一端開口部で複数の排気ポートを囲むとともにその他端側を1つの排気経路で構成したマニホールド触媒コンバータ。」である点で一致し、両者に構成の差異はない。
IV.むすび
以上のとおりであるから、本願考案は、上記引用例に記載の考案であって、実用新案第3条第1項第3号の規定により実用新案登録を受けることができない。
なお、当審では、前記引用例を示して、本件考案に実用新案法第3条第2項の規定を適用して拒絶の理由としているが、同項の規定の適用に当たっては、同条第1項の適用の適否に関わる判断を当然の前提として行うものであり、改めて同条第1項違反に関する拒絶の理由を通知するまでもないと認める。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2000-05-02 
結審通知日 2000-05-16 
審決日 2000-05-29 
出願番号 実願平4-65652 
審決分類 U 1 8・ 113- WZ (F01N)
最終処分 不成立    
前審関与審査官 高木 進  
特許庁審判長 藤田 豊比古
特許庁審判官 清田 栄章
亀井 孝志
考案の名称 マニホールド触媒コンバータ  
代理人 古谷 史旺  

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