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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B65D
管理番号 1025007
審判番号 審判1999-7376  
総通号数 15 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案審決公報 
発行日 2001-03-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 1999-04-30 
確定日 2000-08-02 
事件の表示 平成 4年実用新案登録願第 53180号「容器」拒絶査定に対する審判事件[平成 6年 2月 1日出願公開、実開平 6- 8270]について、次のとおり審決する。   
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 <1> 本願考案
本願は、平成4年7月6日の出願であって、その請求項1に係る考案は、平成12年3月23日付手続補正書により補正された明細書および図面の記載からみて、その実用新案登録請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものと認める。
「空の容器本体Bが積み重ねられた状態において、上方に位置する容器本体Bの下方部分B1が、下方に位置する容器本体Bの上方部分B2に嵌合可能なように、容器本体Bの高さの略中程に設けられた段部3、4により容器本体Bがオーバーハング状に形成されている、発泡合成樹脂材をソリッド状の合成樹脂材で挟持した合成樹脂製積層材で形成された箱型容器であって、前記段部3、4の幅wを容器本体Bの肉厚と略同じ厚さに形成することにより、多段に積み重ねられた容器本体Bの側面が略面一になるように構成するとともに、空の容器本体Bがネスティングされたときに、前記上方に位置する容器本体Bの下方部分B1の外側壁と前記下方に位置する容器本体Bの上方部分B2の内側壁との間隙が数ミリメートル以下になるように形成されており、且つ、容器本体Bの内側壁7に縦方向に、少なくとも内側段部4まで延びる通気溝Gが設けられていることを特徴とする箱型容器。」

<2> 引用例の記載
これに対して、当審において拒絶の理由に引用した実願昭48-73092号(実開昭50-21769号)のマイクロフィルム(以下、「引用文献1」という。)には、下記の事項が記載されている。
(a)「この考案は、使用しないときは多数の空の容器を略半分のスペースに納まるように積重ねることができる保冷或は保温用の蓋付容器に係るものである。
この考案による蓋付容器は本体容器(1)と蓋(5)とによりできている。本体容器(1)及び蓋(5)は外皮(7)、断熱体(8)、及び内皮(9)とで出来ており、外皮(7)及び内皮(9)はポリオレフィン樹脂、ABS樹脂、塩化ビニール樹脂、スチロール樹脂、及びポリカーボネート樹脂等の材料を用い、回転成形、ブロー成形、或はエアーモールド等の成形手段により、つぎ目なしの一体に成形する場合と、外皮(7)と内皮(9)とを同様な材料で真空成形、ブロー成形、及び射出成形等の成形手段により別々に作り、後で組み合わせて接合してもよい。
断熱体(8)は外皮(7)と内皮(9)との間の空間に発泡ポリウレタン樹脂を注入して発泡させる。或は、回転成形にて成形等に外皮、内皮を形成する樹脂と発泡スチロール樹脂とをいっしょに型の中に入れ、外皮、内皮、断熱体全てを同時一体に作ることもできる。
この考案の蓋付容器は同一寸法に作った多数個を用いて特に便利に使用することができ、それは、使用しない時に積み重ねて小さなスペースに収納することができ、使用時にも、安定した状態で積み重ねておくことができるようにしたものである。
即ち、本体容器(1)を倒立で矩形の角錐台形に形成し、不使用時に、これ等多数の容器(1)、(1)を夫々の下半部分に空所(6)が形成されるように、容器(1)の中央部分の内外に段部(2)、(3)を形成する。そして、積み重ねて嵌合したときに、容器(1)の底面(10)が内側段部(2)に載置されるか、或は、外側段部(3)が容器(1)の頂面(11)に載置されるようにする。」(第1頁第13行?第3頁第8行、なお、第4図参照)
また、当審において拒絶の理由に引用した実願平2-6578号(実開平3-100170号)のマイクロフィルム(以下、「引用文献2」という。)には、下記の事項が記載されている。
(b)「更に、被収納物によって冷気の循環が不良となり、全体に冷気が行きわたらない場合があるが、容記本体1に冷気循環用溝20を設けることによって収納部4全体を冷却することが可能となるものである。
この冷気循環用溝20は任意に構成することができるが、例えば幅10mm、深さ3?5mm程度の溝を50mm間隔で構成した場合、被収容物の鮮度維持が良好となった。」(第7頁第8?16行、なお、第4図参照)
さらに、当審において拒絶の理由に引用した実願昭52-124230号(実開昭54-52433号)のマイクロフィルム(以下、「引用文献3」という。)には、下記の事項が記載されている。
(c)「本考案は、上述のような構成より成るから、椀状容器が積み重ねられたとき、第4図に示すように相互の椀状容器は、リブ(2)を介して接するだけとなる。よって、接触面積が大きいために摩擦力によって個々に切離し難かった、従来のこの種の容器に比して、スタック状態から容易に確実に個々の切離しができ、印刷充填工程に利便であるばかりでなく、…」(第3頁第8?15行)

<3> 対比・判断
ここで、本願の請求項1に係る考案(以下、「本願考案」という。)と上記引用文献1に記載された考案(以下、「引用考案1」という。)とを対比する。
引用文献1の第4図を参酌すれば、上記記載(a)における「本体容器(1)を倒立で矩形の角錐台形に形成し、不使用時に、これ等多数の容器(1)、(1)を夫々の下半部分に空所(6)が形成されるように、容器(1)の中央部分の内外に段部(2)、(3)を形成する。そして、積み重ねて嵌合したときに、容器(1)の底面(10)が内側段部(2)に載置されるか、或は、外側段部(3)が容器(1)の頂面(11)に載置されるようにする。」の記載は、本願考案における「空の容器本体Bが積み重ねられた状態において、上方に位置する容器本体Bの下方部分B1が、下方に位置する容器本体Bの上方部分B2に嵌合可能なように、容器本体Bの高さの略中程に設けられた段部3、4により容器本体Bがオーバーハング状に形成されている」に相当することが認められる。
また、上記記載(a)の「外皮(7)及び内皮(9)はポリオレフィン樹脂、ABS樹脂、塩化ビニール樹脂、スチロール樹脂、及びポリカーボネート樹脂等の材料を用い」および「断熱体(8)は外皮(7)と内皮(9)との間の空間に発泡ポリウレタン樹脂を注入して発泡させる。」の記載から、引用考案1は「発泡合成樹脂材をソリッド状の合成樹脂材で挟持した合成樹脂製積層材で形成された箱型容器」である点でも本願発明と一致している。
したがって、本願考案と引用考案1は、
「空の容器本体が積み重ねられた状態において、上方に位置する容器本体の下方部分が、下方に位置する容器本体の上方部分に嵌合可能なように、容器本体の高さの略中程に設けられた段部により容器本体がオーバーハング状に形成されている、発泡合成樹脂材をソリッド状の合成樹脂材で挟持した合成樹脂製積層材で形成された箱型容器」である点で一致し、下記の点で相違している。
(相違点)
(A)段部の幅を容器本体の肉厚と略同じ厚さに形成することにより、多段に積み重ねられた容器本体の側面が略面一になるように構成するとともに、空の容器本体がネスティングされたときに、前記上方に位置する容器本体の下方部分の外側壁と前記下方に位置する容器本体の上方部分の内側壁との間隙が数ミリメートル以下になるように形成されている点。
(B)容器本体の内側壁に縦方向に、少なくとも内側段部まで延びる通気溝が設けられている点。
上記相違点について検討する。
相違点(A)については、容器の技術分野において相違点(A)に関する技術的事項、すなわち、「段部の幅を容器本体の肉厚と略同じ厚さに形成することにより、多段に積み重ねられた容器本体の側面が略面一になるように構成するとともに、空の容器本体がネスティングされたときに、前記上方に位置する容器本体の下方部分の外側壁と前記下方に位置する容器本体の上方部分の内側壁との間隙が数ミリメートル以下になるように形成され」る点は周知の技術である。(必要とあらば、当審において拒絶の理由に引用した実願昭54-116961号(実開昭56-34783号)のマイクロフィルム、実願平2-62270号(実開平4-21480号)のマイクロフィルム参照)そして、この周知技術を、容器という同じ技術分野に属し、空の容器を積み重ねる収納スペースを少なくするという点で課題も同じである引用考案1に適用し、本願考案の如くの構成とすることに格別の困難性は認められない。
相違点(B)については、相違点(B)に関する技術的事項、すなわち、「容器本体の内側壁に縦方向に、少なくとも内側段部まで延びる通気溝」を設けることは、上記引用文献2の上記記載(b)および第4図の記載からもわかるように公知の技術である。そして、該公知技術は、上部に配置された蓄冷材によって冷却された空気を行き渡らせるという本願発明と共通の課題を目的するものである点に鑑みれば、上記公知技術を、容器という同じ技術分野に属する引用考案1に適用して、本願考案の如くの構成とすることに格別の困難性は認められない。また、該適用によって生ずるとされる、「(積み重ねられた)容器本体を上方に持ち上げても、下方にある容器本体が上方にある容器本体の持ち上げにより、持ち上げられることが確実に防止される。」という効果についても、上記引用文献3の上記記載(c)からも認められるように、引用文献3に記載のものも積み重ねられた容器の分離を容易にする効果を奏すること、また、引用文献3に記載のものの該効果は、技術常識から考えて、積み重ねによって形成された閉塞空間の負圧状態を、リブによって相互の容器の間に縦方向の通気路を形成することで避けることができるために生じていること、に鑑みれば、本願考案の上記の効果も当業者がきわめて容易に予測し得た事項に過ぎない。
なお、請求人は意見書において、上記引用文献2に記載の溝は、容器の内壁の上端から下端に延びるとともに、底部までに延びている点において、本願考案1の溝と相違するから本願考案1は進歩性を有する旨を主張するが、第1に、該主張は本願考案1の請求項の記載に基づかない主張であり、第2に、該溝を底部にまで延ばすか否かは、冷気の行き渡り具合の必要性や、容器の強度的側面の要請等から当業者が必要に応じて適宜決定しうる事項に過ぎない設計的事項であるから、請求人の上記主張は採用できない。

<4> むすび
以上のとおりであって、この出願の請求項1に係る考案は、引用文献1乃至3に記載の考案及び上記の周知技術に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであると認められ、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができない。
審理終結日 2000-05-16 
結審通知日 2000-05-30 
審決日 2000-06-12 
出願番号 実願平4-53180 
審決分類 U 1 8・ 121- Z (B65D)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 渡邊 豊英岡崎 克彦  
特許庁審判長 佐藤 雪枝
特許庁審判官 森林 克郎
杉原 進
考案の名称 容器  
代理人 平井 保  
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