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審決分類 審判    A23L
管理番号 1025073
審判番号 新実用審判1999-40027  
総通号数 15 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案審決公報 
発行日 2001-03-30 
種別 無効の審決 
審判請求日 1999-11-24 
確定日 2000-09-26 
事件の表示 上記当事者間の登録第3060941号実用新案「おかずを挾んだごはん」の実用新案登録無効審判事件について、次のとおり審決する。   
結論 登録第3060941号実用新案の登録を無効とする。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 1.手続の経緯・本件考案
本件登録第3060941号実用新案は、平成6年9月7日に出願した特願平6-271892号を平成11年1月20日に実用新案登録出願に変更したものであり、平成11年6月16日に設定の登録がなされた。そして、請求項1に係る考案(以下、「本件考案」という。)は、明細書及び図面の記載からみて、その実用新案登録請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものと認める。
「上下のごはん1、ごはん2により、おかず3を挟みのり4で覆いのりで覆われた背面の反対側の正面から見ておかずを横の直線上にはっきりと見えるようにした食べ物。」
2.請求人の主張
これに対して、請求人は、証拠方法として甲第1号証(特開昭62-269656号公報)を提出して、本件考案は、甲第1号証に記載された考案に基いて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであり、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができないものであるから、本件考案は同法第37条第1項第2号の規定により無効とすべきものである旨、主張している。
3.証拠方法
甲第1号証には、以下の事項が記載されている。
(1)「(1)偏平形に形押しされた複数枚の飯体間に具がサンドイッチ状に挟まれ、その少なくとも一側面はサンドイッチ積層状態が露出されるように、周囲を海苔乃至他の巻付け可能な食品で巻付けられてなり、外装フィルムに収納されてなるサンドイッチ状飯おにぎり。」(請求項1)
(2)「第1図乃至第4図において、1A,1B,1Cは飯を偏平四角状に形押ししてできた飯体であり、飯はどのような種類の飯であってもよい。飯体1Aの上に所望の具2Aを載せ、その上に略同形の飯体1Bを合わせ、更に該飯体1Bの上に上記と同じ具または異なる具2Bを載せ、その上に上記と略同形の飯体1Cを合わせ、こうして具が1段以上(第3図では2段)重ねられて具と飯体とがサンドイッチ状となったブロック3を形成し、このブロック3の積層状態における上下面と対向2側面とに亘って海苔4をぐるり巻付け、これを第4図に斜線で示してあるように上面の対角線位置から下方に切断Pして二分割し、・・・」(3頁左上欄第7?19行)
(3)「また、上記切断Pの形は、対角線とせずに四角辺と平行状にする等してもよく、いずれであっても切断面が外装フィルム7収納状態において外部から透視できるのが、美観上好ましい。」(3頁右上欄10?14行)
(4)「(発明の効果)このようにして、本発明によれば、外装フィルムの外から内容物がよく見えると同時に、飯体に挟まれた具も一見してよく見え、従来の飯おにぎりとは全く異なった新規な構成のサンドイッチ状飯おにぎりを提供することができる。しかも挟まれる具は従来の飯おにぎり内ににぎり込むことができない洋風惣菜、その他任意の具を使用することができ、・・・」(3頁右下欄13行?4頁左上欄1行)
4.対比・判断
本件考案(前者)と、甲第1号証の請求項1に記載された発明(後者)とを対比すると、両者は「上下のごはんによりおかずを挟み、ごはんの上下面及び側面を海苔で覆い、おかずを直線上にはっきりと見えるようにした食べ物」である点で一致し、(1)前者が海苔で覆われた「背面の反対側の正面から見ておかずを横の」直線上に見えるようにしたものであるのに対して、後者は「少なくとも一側面はサンドイッチ積層状態が露出される」ようにしており、露出される方向は特定されていない点、(2)後者は飯体が偏平形に形押しされたものであるのに対して、前者ではそのことが記載されていない点、及び(3)後者では外装フィルムに収納しているのに対して、前者ではそのことが記載されていない点で相違している。
そこで、先ず、上記相違点(1)について検討すると、甲第1号証には、サンドイッチ状飯おにぎりの製造法の一例として、サンドイッチ状の飯体及び具からなるブロックを切断することが記載されているが、その切断方向は対角線方向であってもよいし、また四角辺と平行状にしてもよいと記載されているとおり(上記記載事項、2(3)を参照)、外部から透視可能でありさえすれば切断方向は特に限定されるものではないから、上記の四角辺と平行状に切断する態様として、例えば、第4図において上面の海苔の縁部の合わせ方向(実線で示される方向)に上記ブロックを切断することは、当業者であれば必要に応じて適宜なし得ることである。
そして、本件考案にいう、海苔で覆われた背面の反対側の正面から見ておかずを横の直線上にはっきりと見えるという目的及び効果は、そのように切断することにより、自ずと達成し得るものである。
次に、上記相違点(2)については、図1に記載された形状のごはん、即ち、本件明細書【0006】に記載の四角形のごはんを製造する際の常套手段であり、かかる常套手段を採用するか否かは、必要に応じて適宜決定し得る事柄である。
また、上記相違点(3)についても、必要に応じて適宜なされている事柄にすぎない。
そして、本件考案が甲第1号証に記載のものに対して、格別の効果を有するものとは認められない。
5.むすび
以上のとおり、本件考案は、その出願前に頒布された甲第1号証に記載された発明に基いて、当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるから、本件実用新案登録は、実用新案法第3条第2項の規定に違反してなされたものであり、同法第37条第1項第2号に該当し、無効とすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2000-07-10 
結審通知日 2000-07-21 
審決日 2000-08-04 
出願番号 実願平11-1390 
審決分類 U 1 111・ 121- Z (A23L)
最終処分 成立    
前審関与審査官 冨士 良宏  
特許庁審判長 眞壽田 順啓
特許庁審判官 佐伯 裕子
藤田 節
登録日 1999-06-16 
登録番号 実用新案登録第3060941号(U3060941) 
考案の名称 おかずを挾んだごはん  
代理人 保田 眞紀子  

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