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審決分類 |
審判 全部申し立て B41J |
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管理番号 | 1025089 |
異議申立番号 | 異議1999-73248 |
総通号数 | 15 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 実用新案決定公報 |
発行日 | 2001-03-30 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 1999-08-24 |
確定日 | 2000-04-06 |
異議申立件数 | 1 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 登録第2591074号「印字テープ作成装置におけるテープ切断装置」の請求項に係る実用新案登録に対する実用新案登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 訂正を認める。 登録第2591074号の請求項1に係る実用新案登録を維持する。 |
理由 |
<1> 手続の経緯 実用新案登録第2591074号に係る考案についての出願は、平成5年10月1日に実用新案登録出願され、平成10年12月18日にその考案について実用新案の設定登録がなされ、その後、その実用新案登録について、異議申立人、桑原和子より実用新案登録異議の申立がなされ、取消理由が通知され、その指定期間内である平成11年12月24日に訂正請求がなされたものである。 <2> 訂正の適否について (1)訂正事項 上記訂正請求における訂正事項は、 a.実用新案登録請求の範囲の請求項1を、 「テープの搬送手段と、該テープに印字するための印字ヘッド及びプラテンと、印字済みのテープを手動にて切断するための切断手段とを本体ケース内に備えてなる印字テープ作成装置におけるテープ切断装置であって、前記切断手段を、固定刃と、可動刃と、該可動刃に取りつき、且つこの可動刃が前記固定刃から離れる方向に付勢された回動レバーとにより構成し、該回動レバーの自由端側上面に設けられた作動部を、前記本体ケースに上下動自在に案内された押しボタンの下面側に設けられた作動部に当接させて押圧するように構成する一方、前記押しボタンの上昇上限位置を規制するために、前記本体ケースの上面を覆うカバー体に設けられた規制部が、前記押しボタンに設けられたストッパー部に当接するように構成したことを特徴とする印字テープ作成装置におけるテープ切断装置。」 と訂正するもの。 b.登録明細書の段落番号【0008】における「前記目的を・・・・ものである。」の記載を 「前記目的を達成するため、本考案の印字テープ作成装置におけるテープ切断装置は、テープの搬送手段と、該テープに印字するための印字ヘッド及びプラテンと、印字済みのテープを手動にて切断するための切断手段とを本体ケース内に備えてなる印字テープ作成装置におけるテープ切断装置であって、前記切断手段を、固定刃と、可動刃と、該可動刃に取りつき、且つこの可動刃が前記固定刃から離れる方向に付勢された回動レバーとにより構成し、該回動レバーの自由端側上面に設けられた作動部を、前記本体ケースに上下動自在に案内された押しボタンの下面側に設けられた作動部に当接させて押圧するように構成する一方、前記押しボタンの上昇上限位置を規制するために、前記本体ケースの上面を覆うカバー体に設けられた規制部が、前記押しボタンに設けられたストッパー部に当接するように構成したものである」 と訂正するもの。 c.登録明細書の段落番号【0014】における「以上要するに、・・・・・効果を奏する。」の記載を 「以上要するに、本考案は、テープの搬送手段と、該テープに印字するための印字ヘッド及びプラテンと、印字済みのテープを手動にて切断するための切断手段とを本体ケース内に備えてなる印字テープ作成装置におけるテープ切断装置であって、前記切断手段を、固定刃と、可動刃と、該可動刃に取りつき、且つこの可動刃が前記固定刃から離れる方向に付勢された回動レバーとにより構成し、該回動レバーの自由端側上面に設けられた作動部を、前記本体ケースに上下動自在に案内された押しボタンの下面側に設けられた作動部に当接させて押圧するように構成する一方、前記押しボタンの上昇上限位置を規制するために、前記本体ケースの上面を覆うカバー体に設けられた規制部が、前記押しボタンに設けられたストッパー部に当接するように構成したものであるから、予め押しボタンと回動レバーとを連結する必要がなく、押しボタン等の構成を至極簡単にできる。そして、カバー体等の押しボタン装着部に嵌め入れるだけで、組立完了するのでその作業も至極容易となる。従って本考案によれば、切断装置、ひいては印字テープ作成装置の製造コストも低減できるという効果を奏する。」 と訂正するものである。 (2)訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存在 上記訂正事項aは、登録明細書【0011】の記載に基づいて、発明の目的、課題を変更することなく発明の構成をより限定するものであるから、実用新案登録請求の範囲の減縮を目的とする訂正であり、新規事項の追加に該当せず、実質的に実用新案登録請求の範囲を拡張又は変更するものではない。 また、上記訂正事項bおよびcは明瞭でない記載の釈明を目的とする訂正であり、いずれも、新規事項の追加に該当せず、実質的に実用新案登録請求の範囲を拡張又は変更するものではない。 (3)独立登録要件の判断 (3-1)訂正明細書の請求項1に係る考案 訂正明細書の請求項1に係る考案発明は、訂正明細書および図面の記載からみて、その実用新案登録請求の範囲の請求項1に記載されとおりの次のものである。 「テープの搬送手段と、該テープに印字するための印字ヘッド及びプラテンと、印字済みのテープを手動にて切断するための切断手段とを本体ケース内に備えてなる印字テープ作成装置におけるテープ切断装置であって、前記切断手段を、固定刃と、可動刃と、該可動刃に取りつき、且つこの可動刃が前記固定刃から離れる方向に付勢された回動レバーとにより構成し、該回動レバーの自由端側上面に設けられた作動部を、前記本体ケースに上下動自在に案内された押しボタンの下面側に設けられた作動部に当接させて押圧するように構成する一方、前記押しボタンの上昇上限位置を規制するために、前記本体ケースの上面を覆うカバー体に設けられた規制部が、前記押しボタンに設けられたストッパー部に当接するように構成したことを特徴とする印字テープ作成装置におけるテープ切断装置。」 (3-2)引用例の記載 当審において通知した取消理由に引用した特開昭63-204391号公報(以下、「引用刊行物1」という)には、下記の事項が記載されている。 (a)「カッター(3)でカットした媒体(1)を排出口(4)から引出すように構成した媒体排出機構であって、前記排出口(4)から排出される前記媒体(1)の先端部(1a)を係止する位置に突出し、前記先端部(1a)を係止しない位置に退避する爪部材(5)と、前記カッター(3)のカット動作を前記爪部材(5)に伝達する連結杆(8)とを設け、前記カッター(3)が前記媒体(1)をカットすると同時に、前記爪部材(5)が前記排出口(4)から退避して前記媒体先端部(1a)の係止を解除するようにしたことを特徴とする媒体排出機構。」(特許請求の範囲の記載、なお、第1図参照) また、当審において通知した取消理由に引用した実願昭63-89358号(実開平2-10953号)のマイクロフィルム(以下、「引用刊行物2」という)には、下記の事項が記載されている。 (b)「ここで、この可動刃7と前記固定刃6とはハサミ状になっており、前記可動刃7が前記用紙4に直交する面内で回動して前記固定刃6と擦り合うことにより、前記用紙4は切断されるようになっている。一方、この可動刃7の左後方には、ソレノイド10が前向きに前記ベース2に固定されている。ここで、中央部11が前記ベース2に揺動自在に軸支されたカッターアーム12は、その一端13は前記ソレノイド10のロッド14に取付けられ、他端15にはピン16が立設されている。一方、前記ソレノイド10の前方の前記ベース2上には、近接してストッパ17、やや離反してピン18が立設されている。ここで、このピン18と前記カッターアーム12の前記一端13とにはスプリング19が張架されており、このカッターアーム12は右回りに付勢された状態で、前記ストッパ17に当接して停止している。」(第3頁第2?18行。なお、第3図参照) また、当審において通知した取消理由に引用した特開平4-82469号公報(以下、「引用刊行物3」という。)には、下記の事項が記載されている。 (c)「カッター装置7は、本発明の切断手段であって、第5図にも示すように、ケース70,押圧ボタン71,リターンスプリング72および両刃73を有する。・・・・・押圧ボタン71は、一部がケース70の開口部74から突出した状態でケース70内に保持されている。この押圧ボタン71の下端部には、ケース70の凹み部76内を上下方向に変位自在の鍔状部79が形成されている。よって、鍔状部79は、ケース70の凹み部76によって上下方向の変位距離が規制されている。」(第3頁右上欄第17行?左下欄第15行。なお、第5図参照) (3-3)対比・判断 上記引用刊行物1における上記(a)の記載の「媒体」「媒体排出機構」「印字部」「カッター」が、それぞれ本件考案の「テープ」「テープ搬送装置」「印字ヘッド及びプラテン」「切断手段」に相当する。そして、引用刊行物1に記載の上記「カッター」は、固定刃、可動刃から構成され、可動刃は回動レバーに取り付けられていて、手動にて操作されるものである。また、引用刊行物1記載の「爪部材」は該回動レバーの作動部側に設けられている部材であり、本件考案の押しボタンに相当する。 よって、上記引用刊行物1には、 「テープの搬送手段と、該テープに印字するための印字ヘッド及びプラテンと、印字済みのテープを手動にて切断するための切断手段とを備えてなるテープ作成装置において、前記切断装置を、固定刃と、可動刃と、該可動刃に取り付けられた回動レバーとのより構成し、該回動レバーの作動部に爪部材(押しボタン)を備えた印字テープ作成装置におけるテープ切断装置」が記載されているものと認められる。 また、上記(b)より、上記引用刊行物2には、可動刃が固定刃から離れる方向に回動レバーを付勢する点および該付勢を規制するための規制部を設けた点が記載されている。 さらに、上記(c)より、切断装置における「押しボタン」の上昇制限位置を規制するための規制部を、押しボタン自体に設けることも上記引用刊行物3に記載されている。 しかしながら、上記いずれの刊行物にも、本件考案の構成要件である「押しボタンの上昇上限位置を規制するために、本体ケースの上面を覆うカバー体に設けられた規制部が、前記押しボタンに設けられたストッパー部に当接するように構成した」点は記載されていない。すなわち、押しボタンに設けられたストッパー部が当接する規制部がケース上面のカバー体に設けられる点は記載されていない。 本件考案は、上記構成により、押しボタン、本体ケースおよびカバー体を組み立てる際、ピンや止めリング等を用いずに簡単な構造で組立を容易とすることができるという実用上優れた効果を奏するものであり、上記引用刊行物に記載の考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるということはできない。 したがって、本件の請求項1に係る考案は独立して実用新案登録を受けることができるものである。 (4)むすび 以上のとおりであるから、上記訂正は、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律116号)附則第9条第2項において準用する特許法第120条の4第2項及び同条第3項で準用する第126条第2-4項の規定に適合するので、当該訂正を認める。 <3> 実用新案登録異議の申立てについての判断 (1)申立の理由の概要 申立人、桑原和子は、本件請求項1に係る考案は、甲第1号証(実開平2-10953号公報;実質的に上記刊行物2と同じ)をもとにきわめて容易に考案をすることができたものであり、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができないものであるから、実用新案登録を取り消すべきと主張している。 また、請求項1に係る考案の構成要件と作用効果の相関関係が不明確である点および請求項1の記載において文言上の整合性が見いだせない点を挙げて、実用新案法第5条第4項の規定により実用新案登録を受けることができないものであるから、実用新案登録を取り消すべきと主張している。 (2)判断 本件請求項1に係る考案は、上記<2>(3)で示したように、上記甲第1号証(実質的に上記引用刊行物2と同じ刊行物)に記載された考案に基づいてきわめて容易に考案をすることができたとすることはできない。 また、上記の訂正により、押しボタンの規制部とカバー体の関連構成が明確になり、上記の記載不備は解消された。 (3)むすび したがって、実用新案登録異議申立の理由及び証拠によっては、本件請求項1に係る考案の実用新案登録を取り消すことはできない。 また、他に本件請求項1に係る考案の実用新案登録を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(54)【考案の名称】 印字テープ作成装置におけるテープ切断装置 (57)【実用新案登録請求の範囲】 【請求項1】 テープの搬送手段と、該テープに印字するための印字ヘッド及びプラテンと、印字済みのテープを手動にて切断するための切断手段とを本体ケース内に備えてなる印字テープ作成装置におけるテープ切断装置であって、 前記切断手段を、固定刃と、可動刃と、該可動刃に取りつき、且つこの可動刃が前記固定刃から離れる方向に付勢された回動レバーとにより構成し、 該回動レバーの自由端側上面に設けられた作動部を、前記本体ケースに上下動自在に案内された押しボタンの下面側に設けられた作動部に当接させて押圧するように構成する一方、 前記押しボタンの上昇上限位置を規制するために、前記本体ケースの上面を覆うカバー体に設けられた規制部が、前記押しボタンに設けられたストッパー部に当接するように構成したことを特徴とする印字テープ作成装置におけるテープ切断装置。 【考案の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】 本考案は、カセット等に収納された合成樹脂製等のテープを引き出しつつ印字できる印字テープ作成装置において、その印字後のテープを所定の長さに切断するための装置の構造に関するものである。 【0002】 【従来の技術】 従来、この種の印字テープ作成装置は、本出願人が先に提案した実開平2-56666号公報に開示し、図4及び図5に示すように、合成樹脂製の本体ケース100内に固定した金属板製のフレーム1の裏面に駆動モータ2を装着し、フレーム1の表面側にはサーマルヘッド等の印字ヘッド3が固定されたブラケット4を立設すると共に、水平回動するホルダ5には、前記印字ヘッド3に対して接離するようにしたローラ状のプラテン6と、フレーム1の表面側に着脱自在に装着されるカセット8(図4及び図5の一点鎖線参照)内の印字用のテープ9をX方向に送り出し走行させるための押圧ローラ7が装着されている。 【0003】 前記搬送手段は、前記駆動モータ2のピニオン10に噛み合って動力伝達する動力伝達部としての複数の歯車からなる歯車機構17とテープスプール18等から構成されており、プラテン6及びテープ送りローラ19に動力伝達される。フレーム1の表面側に突設したテープスプール18は、装着時のカセット8におけるテープ送りローラ19の内径部に噛み合い嵌合する構成である。 【0004】 この場合、カセット8内に収納する合成樹脂製の透明な印字用テープとインクリボンと、片面に離型テープを仮接着させた両面接着テープとをそれぞれスプールに巻回して収納し、印字すべき文字等の画像データを印字テープ作成装置にて予め入力しておき、印字指令に基づいて、搬送手段を作動させて印字用のテープを送り出しつつその長手方向に沿って画像データに対応する画像を鏡像にて印字し、該印字済みのテープの印字面に前記両面接着テープを接着させるラミネートタイプのものや、カセット内に片面に離型テープを仮接着させた接着テープを片面に予め接着させた合成樹脂製等の印字用テープとインクリボンとを収納し、または片面に離型テープを仮接着させた接着テープを予め片面に接着させた感熱発色する印字用テープのみをカセットに収納しておき、これらの印字用テープを送り出しつつ、印字ヘッドにて印字するレセプタタイプのものがある。 【0005】 これらの印字テープ作成装置では、印字済みのテープを切断するための手動式の切断装置を備えている。その場合、従来の切断装置20の構造は次のようなものであった。即ち、図4及び図5に示すように、フレーム1の一側部に立ち上げ片21には、固定刃22を固定して設け、枢支軸24を中心に回動可能に装着されたレバー25には、可動刃23の基端が固定されている。またレバー25の外側面と枢支軸24の頭部との間には可動刃23を固定刃22方向に弾性的に押圧するためのばね座金26が介挿されている。前記レバー25の自由端側にはピン27等を介して押しボタン28が回動可能に装着されており、この押しボタン28を図5の矢印A方向に押せば付勢ばね29力に抗して可動刃23が固定刃22に噛み合ってテープ9を切断するというものであった。 【0006】 【考案が解決しようとする課題】 しかしながら、前記のように、押しボタン28とレバー25とをピン27を介して連結する構成では、この三者が互いに脱落しないように、例えばピン27の基部を押しボタン28に植設したとき、またはピン27を押しボタン28と一体的に形成した場合には、レバー25をピン27に連結嵌合した後にピン27先端部に止めリングを嵌め入れる必要がある。また、図示しないが、レバー25の先端に二股状の係合溝部を形成して、この係合溝部に前記ピン27を嵌め入れるときには押しボタン28の上下動位置から横にずらす必要がある。しかも、前述のように、レバー25と押しボタン28とを連結状態にしてから、本体ケース100やその上のカバー体に対して押しボタン28を上下動可能な摺動部に装着しなければならず、組立て作業に手間が掛かり、コストが上昇するという問題があった。 【0007】 本考案は、これらの問題を解決するためになされたものであり、構造及び組立て作業が簡単な、印字テープ作成装置における切断装置を提供することを目的とするものである。 【0008】 【課題を解決するための手段】 前記目的を達成するため、本考案の印字テープ作成装置におけるテープ切断装置は、テープの搬送手段と、該テープに印字するための印字ヘッド及びプラテンと、印字済みのテープを手動にて切断するための切断手段とを本体ケース内に備えてなる印字テープ作成装置におけるテープ切断装置であって、前記切断手段を、固定刃と、可動刃と、該可動刃に取りつき、且つこの可動刃が前記固定刃から離れる方向に付勢された回動レバーとにより構成し、該回動レバーの自由端側上面に設けられた作動部を、前記本体ケースに上下動自在に案内された押しボタンの下面側に設けられた作動部に当接させて押圧するように構成する一方、前記押しボタンの上昇上限位置を規制するために、前記本体ケースの上面を覆うカバー体に設けられた規制部が、前記押しボタンに設けられたストッパー部に当接するように構成したものである。 【0009】 【実施例】 次に、本考案を具体化した実施例について説明する。なお、本実施例における印字テープ作成装置は前記図4及び図5に示すような構成であるので、構造上の符号の説明およびその作用の説明を省田各し、図1?図3に基づいて切断装置30の構成について説明する。 【0010】 印字テープ作成装置におけるフレーム1の一側に設ける切断装置30は、フレーム1の一側部に立ち上げ片31に固定刃32を固定して設け、枢支軸34を中心に回動可能に装着された回動レバー35には、可動刃33の基端が固定されている。また、回動レバー35の外側面と枢支軸34の頭部との間には可動刃33を固定刃32方向に弾性的に押圧するためのばね座金(図示せず)が介挿されている。前記立ち上がり片31にコイル部を装着したねじりばね36の一端を係止部37に係止し、他端を回動レバー35の長手中途部に係止することにより、当該回動レバー35が常時上向き付勢されて、可動刃23が固定刃22から離れるように付勢されている。 【0011】 回動レバー35の自由端側上面には横向きに屈曲形成された作動部38を設け、この作動部38を合成樹脂製の押しボタン39の下面側に下向き突出形成した突起状の作動部40に当接させる。押しボタン39は、印字テープ作成装置における本体ケース100とその上面に着脱自在に覆う合成樹脂製のカバー体101との間にあって、一側を開放した凹所102内にて上下動可能に配置されるもので、本体ケース100に凹み形成して設けた前後一対のガイド溝103,103に、押しボタン39における前後一対の突条の案内部41,41を上下動自在に嵌挿されている。なお、押しボタン39に設けたストッパー部42,42がカバー体101の規制部104に当接することにより、それ以上押しボタン39が上昇しないように構成されている。 【0012】 この構成により、印字終了時や印字余白となるテープ部をカット(切断)するときには、押しボタン39を図1の矢印A方向に押せば、ねじりばね36力に抗して回動レバー35を下向きに回動させ、可動刃23が固定刃22に噛み合ってテープ9を切断する。前記切断装置30における回動レバー35に対して押しボタン39を組み込むには、回動レバー35を本体ケース100側にて装着する一方、凹所102に下面側から差し込んだ押しボタン39と共にカバー体101を本体ケース10の所定箇所(図示せず)で係止すれば、押しボタン39の下面における作動部40が回動レバー35における作動部38に当接するので、組立て作業が至極簡単になる。 【0013】 なお、本考案における前記印字ヘッド3はサーマルヘッドばかりでなく、インクジェット方式、レーザ方式等による印字手段であっても良く、また、ねじりばね36に代えて、引張りばねを用いても良い。さらに、印字用のテープはラミネートタイプやレセプタタイプのものを使用することができる。 【0014】 【考案の作用・効果】 以上要するに、本考案は、テープの搬送手段と、該テープに印字するための印字ヘッド及びプラテンと、印字済みのテープを手動にて切断するための切断手段とを本体ケース内に備えてなる印字テープ作成装置におけるテープ切断装置であって、前記切断手段を、固定刃と、可動刃と、該可動刃に取りつき、且つこの可動刃が前記固定刃から離れる方向に付勢された回動レバーとにより構成し、該回動レバーの自由端側上面に設けられた作動部を、前記本体ケースに上下動自在に案内された押しボタンの下面側に設けられた作動部に当接させて押圧するように構成する一方、前記押しボタンの上昇上限位置を規制するために、前記本体ケースの上面を覆うカバー体に設けられた規制部が、前記押しボタンに設けられたストッパー部に当接するように構成したものであるから、予め押しボタンと回動レバーとを連結する必要がなく、押しボタン等の構成を至極簡単にできる。そして、カバー体等の押しボタン装着部に嵌め入れるだけで、組立完了するのでその作業も至極容易となる。従って本考案によれば、切断装置、ひいては印字テープ作成装置の製造コストも低減できるという効果を奏する。 【図面の簡単な説明】 【図1】 切断装置の側面図である。 【図2】 図1のII-II線矢視断面図である。 【図3】 図2のIII-III矢視断面図である。 【図4】 従来の印字テープ作成装置の平面図である。 【図5】 図4のV-V線矢視側面図である。 【符号の説明】 1 フレーム 2 駆動モータ 3 印字ヘッド 6 プラテン 30 切断装置 32 固定刃 33 可動刃 35 レバー 36 捩じりばね 38,40 作動部 39 押しボタン 41 案内部 42 ストッパー部 100 本体ケース 101 カバー体 103 ガイド溝 104 規制部 |
訂正の要旨 |
<訂正の要旨> 訂正事項 a.実用新案登録請求の範囲の請求項1を、実用新案登録請求の範囲を目的として 「テープの搬送手段と、該テープに印字するための印字ヘッド及びプラテンと、印字済みのテープを手動にて切断するための切断手段とを本体ケース内に備えてなる印字テープ作成装置におけるテープ切断装置であって、前記切断手段を、固定刃と、可動刃と、該可動刃に取りつき、且つこの可動刃が前記固定刃から離れる方向に付勢された回動レバーとにより構成し、該回動レバーの自由端側上面に設けられた作動部を、前記本体ケースに上下動自在に案内された押しボタンの下面側に設けられた作動部に当接させて押圧するように構成する一方、前記押しボタンの上昇上限位置を規制するために、前記本体ケースの上面を覆うカバー体に設けられた規制部が、前記押しボタンに設けられたストッパー部に当接するように構成したことを特徴とする印字テープ作成装置におけるテープ切断装置。」 と訂正するもの。 b.登録明細書の段落番号【0008】における「前記目的を・・・・ものである。」の記載を、明瞭でない記載の釈明を目的として 「前記目的を達成するため、本考案の印字テープ作成装置におけるテープ切断装置は、テープの搬送手段と、該テープに印字するための印字ヘッド及びプラテンと、印字済みのテープを手動にて切断するための切断手段とを本体ケース内に備えてなる印字テープ作成装置におけるテープ切断装置であって、前記切断手段を、固定刃と、可動刃と、該可動刃に取りつき、且つこの可動刃が前記固定刃から離れる方向に付勢された回動レバーとにより構成し、該回動レバーの自由端側上面に設けられた作動部を、前記本体ケースに上下動自在に案内された押しボタンの下面側に設けられた作動部に当接させて押圧するように構成する一方、前記押しボタンの上昇上限位置を規制するために、前記本体ケースの上面を覆うカバー体に設けられた規制部が、前記押しボタンに設けられたストッパー部に当接するように構成したものである」 と訂正するもの。 c.登録明細書の段落番号【0014】における「以上要するに、・・・・・構成であるから、」の記載を、明瞭でない記載の釈明を目的として 「以上要するに、本考案は、テープの搬送手段と、該テープに印字するための印字ヘッド及びプラテンと、印字済みのテープを手動にて切断するための切断手段とを本体ケース内に備えてなる印字テープ作成装置におけるテープ切断装置であって、前記切断手段を、固定刃と、可動刃と、該可動刃に取りつき、且つこの可動刃が前記固定刃から離れる方向に付勢された回動レバーとにより構成し、該回動レバーの自由端側上面に設けられた作動部を、前記本体ケースに上下動自在に案内された押しボタンの下面側に設けられた作動部に当接させて押圧するように構成する一方、前記押しボタンの上昇上限位置を規制するために、前記本体ケースの上面を覆うカバー体に設けられた規制部が、前記押しボタンに設けられたストッパー部に当接するように構成したものであるから、」 と訂正するもの。 |
異議決定日 | 2000-01-27 |
出願番号 | 実願平5-53449 |
審決分類 |
U
1
651・
121-
YA
(B41J)
|
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 清水 康司 |
特許庁審判長 |
村本 佳史 |
特許庁審判官 |
杉原 進 森林 克郎 |
登録日 | 1998-12-18 |
登録番号 | 実用新案登録第2591074号(U2591074) |
権利者 |
ブラザー工業株式会社 愛知県名古屋市瑞穂区苗代町15番1号 |
考案の名称 | 印字テープ作成装置におけるテープ切断装置 |