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審決分類 審判 全部申し立て   G09F
管理番号 1025108
異議申立番号 異議1999-72621  
総通号数 15 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案決定公報 
発行日 2001-03-30 
種別 異議の決定 
異議申立日 1999-07-06 
確定日 2000-08-25 
異議申立件数
事件の表示 登録第2588230号「金属蒸着膜を有する粘着ラベル」の実用新案登録に対する実用新案登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。   
結論 登録第2588230号の請求項1ないし4に係る実用新案登録を取り消す。
理由 (1)手続の経緯
本件実用新案登録第2588230号の請求項1乃至4に係る考案は、平成5年6月2日の出願であって、平成10年10月30日に設定登録され、その後、申立人石原庸男より実用新案登録異議の申立てがなされ、取消理由通知がなされ、その指定期間内である平成11年12月7日に訂正請求がなされた後、訂正拒絶理由が通知され、訂正拒絶理由に対して応答がなされなかったものである。

(2)訂正の適否
ア.訂正明細書の請求項1乃至3に係る考案
訂正明細書の請求項1乃至3に係る考案は、訂正明細書及び図面の記載からみて、次の事項により特定されるとおりのものと認める。
「【請求項1】表示基材のいずれか一方の面に真空蒸着膜が形成され、この真空蒸着膜の形成域に印刷材料の帯電による印刷が施される粘着ラベルにおいて、前記真空蒸着膜が錫を100?300オングストロームの厚さの範囲に真空蒸着して形成した連続膜(島状構造ではない)であり、さらに該表示基材の表面にトナーとの密着性を向上させるための印字コート層が形成されており、且つ粘着ラベルの各構成層の電気抵抗が10^(9)Ω・cm以上であることを特徴とする金属蒸着膜を有する粘着ラベル。
【請求項2】前記真空蒸着膜(島状構造ではない)が表示基材の表面に形成された請求項1記載の粘着ラベル。
【請求項3】前記真空蒸着膜(島状構造ではない)が表示基材の裏面に形成された請求項1記載の粘着ラベル。」
(ただし、訂正明細書の実用新案登録請求の範囲の【請求項1】において、「さらに該表面基材の表面」とあるのは「さらに該表示基材の表面」の誤記と認められるため、訂正明細書の請求項1乃至3に係る考案を上記のように認定した。)
イ.引用刊行物記載の考案
これに対し、当審が訂正拒絶理由において引用した、刊行物1(特開平2-220066号公報)には、粘着性画像形成シートに関するものであって、「透明または着色プラスチックフィルムからなる支持体の片面に・・・トナー受容性定着層を設け、該支持体の他面に順次着色層もしくは金属蒸着層、粘着層を介して離型シートを形成したことを特徴とする粘着性画像。」(特許請求の範囲の請求項3)、「本発明は普通紙用電子写真複写機(以下PPCと略する。)を使用して、トナー画像を形成し、その形成した画像を壁、窓、表示盤等に貼り合わせて画像表示を行うに適した粘着性画像形成シートに関し、特に優れたトナー画像の定着性と耐久性を有する粘着性画像形成シートに関するものである。」(第2頁左上欄第1?7行)、「この金属蒸着層は、ニッケル、アルミニウム、クロム、スズ等の金属をプラスチックフィルム支持体に蒸着させることにより容易に形成できる」(第4頁左下欄第8?9行)と記載され、また、第3図には、プラスチックフィルム支持体2の表面にトナー受容性定着層1が形成され、該支持体2の他方面に連続した金属蒸着層8下面に粘着層3及び離型シート4を設けた粘着性画像形成シートが示されている。
同じく引用した刊行物2(「月刊 コンバーテック 1989 12月号」第17巻、第12号、1989年12月15日発行、第43?46頁)には、絶縁性金属蒸着膜に関するものであって、「蒸着材料は金属Snを用いている。この金属Snによる蒸着膜は島状構造に制御しており、・・・平均で島サイズ3000Å、島間隔500Å程度になっている。また、・・・単位面積当たり約3.5mg/cm^(2)となっており、膜厚換算すると250Å程度と推定できる。金属光沢については・・・十分な金属光沢を呈している。」(第44頁中欄、「4.蒸着膜の特徴」)、「また、表面抵抗をアドバンテスト製のマルチメーターで見ると10^(12)Ω/□となり、基材フィルムと同程度の表面抵抗となる。」(第44頁右欄第4?7行)と記載され、また、第45頁上欄の表1には、絶縁性金属蒸着フィルムの用途として、コピー紙が記載され、さらに、基材フィルムとして、PET,OP,CPP,NYを使用する旨の記載がなされている。
同じく引用した刊行物3(特開平1-138567号公報)には、転写紙に関するものであって、「フィルム状またはシート状の絶縁性基材と、該基材の一面を鏡面化すべく該一面に積層された金属蒸着層と、を具備し、該金属蒸着層が、所定方向に所定の間隔で絶縁されている、再複写防止転写紙」(特許請求の範囲請求項1)、「このような構成の本発明の転写紙は、電子写真複写機により、金属蒸着層20上に所定原稿の複写画像がトナーにて形成される。」(第3頁左下欄第7?9行)、「金属蒸着に用いられる金属は、アルミニウム、銅、銀、亜鉛、マンガン、ニッケル、スズ、クロム、鉛等をはじめ、これらの金属の化合物等、通常の真空蒸着に用いられるものが使用される。」(第4頁左上欄第3?6行)と記載されている。
ウ.対比・判断
(A)訂正明細書の請求項1に係る考案について
訂正明細書の請求項1に係る考案と刊行物1記載のものとを対比すると、後者の「プラスチックフィルム支持体2」、「金属蒸着層8」、「電子写真複写機を使用して、トナー画像を形成する」、「トナー受容性定着層1」、「粘着性画像形成シート」が、それぞれ前者の「表示基材」、「真空蒸着膜、及び、金属蒸着膜」、「真空蒸着膜の形成域に印刷材料の帯電による印刷が施される」、「印字コート層」、「粘着ラベル」に相当するものである。
また、刊行物1記載のものにおいて、第3図から、金属蒸着層8は連続した膜の状態であり、特に島状構造ではないものが示されている。
したがって、両者は「表示基材のいずれか一方の面に真空蒸着膜が形成され、この真空蒸着膜の形成域に印刷材料の帯電による印刷が施される粘着ラベルにおいて、前記真空蒸着膜が錫を真空蒸着して形成した連続膜(島状構造ではない)であり、さらに該表示基材の表面にトナーとの密着性を向上させるための印字コート層が形成されていることを特徴とする金属蒸着膜を有する粘着ラベル。」で一致し、
a)錫の真空蒸着膜の厚さに関し、前者が「100?300オングストロームの厚さの範囲」としたのに対し、後者はそのような限定がなされていない点(以下、「相違点a」という。)、
b)電気抵抗に関し、前者が「粘着ラベルの各構成層の電気抵抗が10^(9) Ω・cm以上である」としたのに対し、後者はそのような限定がなされていない点(以下、「相違点b」という。)
で両者は相違する。
以下、上記相違点について検討する。
相違点aについて
刊行物1記載のものにおいて、錫の真空蒸着膜の厚さは、優れたトナー画像の定着性と耐久性を有するという目的の範囲内で適宜選定しうるものであり、また、刊行物2によれば、錫の真空蒸着膜の厚さを膜厚換算で250オングストロームに選定したものが開示されているところであるから、刊行物1記載のものにおける錫の真空蒸着膜の厚さを「100?300オングストロームの厚さの範囲」とすることに格別の困難性は何等認められない。
相違点bについて
「粘着ラベルの各構成層の電気抵抗が10^(9)Ω・cm以上である」とする点は、一般にこの種の粘着ラベルの各構成層に用いられている材料のほとんどがこの条件を満足するものであるところから、刊行物1記載のものにおいても当然考慮されるべき限定にすぎない。
したがって、訂正明細書の請求項1に係る考案は、刊行物1及び2に記載のものから当業者がきわめて容易に推考し得たものである。
(B)訂正明細書の請求項2に係る考案について
訂正明細書の請求項2に係る考案は、同請求項1記載の粘着ラベルにおいて、前記真空蒸着膜(島状構造ではない)が表示基材の表面に形成された点を限定するものであるが、金属蒸着膜を表示基材の表面に形成することは刊行物3に開示されているように周知の構成であるから、刊行物1記載のものにおいて、真空蒸着膜を表示基材の表面に形成することも当業者がきわめて容易になし得ることである。
したがって、訂正明細書の請求項2に係る考案は刊行物1乃至3に記載のものから当業者がきわめて容易に推考し得たものである。
(C)訂正明細書の請求項3に係る考案について
訂正明細書の請求項3に係る考案は、同請求項1記載の粘着ラベルにおいて、前記真空蒸着膜(島状構造ではない)が表示基材の裏面に形成された点を限定するものであるが、かかる限定構成は刊行物1記載のものにおいて具備されているところである。
したがって、訂正明細書の請求項3に係る考案は刊行物1及び2に記載のものから当業者がきわめて容易に推考し得たものである。
エ.むすび
以上のとおりであるから、訂正明細書の請求項1乃至3に係る考案は、上記刊行物1乃至3記載の考案に基いて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであり、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録出願の際独立して実用新案登録を受けることができないものであるから、この訂正は、平成6年法律第116号附則第9条の規定により準用する特許法第120条の4第3項の規定により更に準用する同法第126条第4項の規定に適合しないので、当該訂正は認められない。

(3)実用新案登録異議の申立てについて
ア.本件考案
実用新案登録第2588230号の請求項1乃至4に係る考案(以下、「本件考案1乃至4」という。)は、実用新案登録明細書及び図面の記載からみて、次の事項により特定されるとおりのものと認める。
「【請求項1】表示基材のいずれか一方の面に真空蒸着膜が形成され、この真空蒸着膜の形成域に印刷材料の帯電による印刷が施される粘着ラベルにおいて、前記真空蒸着膜が錫を100?300オングストロームの厚さの範囲に真空蒸着させることによって形成されることを特徴とする金属蒸着膜を有する粘着ラベル。
【請求項2】前記真空蒸着膜が表示基材の表面に形成された請求項1記載の粘着ラベル。
【請求項3】前記真空蒸着膜が表示基材の裏面に形成された請求項1記載の粘着ラベル。
【請求項4】粘着ラベルの各構成層の電気抵抗が10^(9)Ω・cm以上である請求項1記載の粘着ラベル。」
(ただし、実用新案登録請求の範囲の【請求項1】において、「真空蒸着させこと」とあるのは「真空蒸着させること」の誤記と認められるため、本件考案1乃至4を上記のように認定した。)
イ.引用刊行物
当審が通知した取消理由に引用した刊行物の特開平2-220066号公報(以下、「引用刊行物1」という。)、同刊行物の「月刊 コンバーテック 1989 12月号」第17巻、第12号、1989年12月15日発行、第43?46頁(以下、「引用刊行物2」という。)及び同刊行物の特開平1-138567号公報(以下、「引用刊行物3」という。)には、上記(2)イ.において指摘した事項がそれぞれ記載されている。
ウ.対比・判断
(A)本件考案1について
本件考案1と引用刊行物1に記載の考案とを対比すると、両者は、錫の真空蒸着膜の厚さに関し、前者が「100?300オングストロームの厚さの範囲」としたのに対し、後者はそのような限定がなされていない点で相違するものの、その余の点で一致している。
上記相違点について検討するに、引用刊行物1記載のものにおいて、錫の真空蒸着膜の厚さは、優れたトナー画像の定着性と耐久性を有するという目的の範囲内で適宜選定しうるものであり、また、刊行物2によれば、錫の真空蒸着膜の厚さを膜厚換算で250オングストロームに選定したものが開示されているところであるから、刊行物1記載のものにおける錫の真空蒸着膜の厚さを「100?300オングストロームの厚さの範囲」とすることに格別の困難性は何等認められない。
したがって、本件考案1は、引用刊行物1及び2に記載のものから当業者がきわめて容易に推考し得たものである。
(B)本件考案2について
本件考案2は、本件考案1の粘着ラベルにおいて、前記真空蒸着膜が表示基材の表面に形成された点を限定するものであるが、金属蒸着膜を表示基材の表面に形成することは引用刊行物3に開示されているように周知の構成であるから、引用刊行物1記載のものにおいて、真空蒸着膜を表示基材の表面に形成することも当業者がきわめて容易になし得ることである。
したがって、本件考案2は引用刊行物1乃至3に記載のものから当業者がきわめて容易に推考し得たものである。
(C)本件考案3について
本件考案3は、本件考案1の粘着ラベルにおいて、前記真空蒸着膜が表示基材の裏面に形成された点を限定するものであるが、かかる限定構成は引用刊行物1記載のものにおいて具備されているところである。
したがって、本件考案3は引用刊行物1及び2に記載のものから当業者がきわめて容易に推考し得たものである。
(D)本件考案4について
本件考案4は、本件考案1の粘着ラベルにおいて、粘着ラベルの各構成層の電気抵抗が10^(9)Ω・cm以上である点を限定するものであるが、一般にこの種の粘着ラベルの各構成層に用いられている材料のほとんどがかかる限定条件を満足するものであるところから、引用刊行物1記載のものにおいても当然考慮されるべき限定にすぎない。
したがって、本件考案4は、引用刊行物1及び2に記載のものから当業者がきわめて容易に推考し得たものである。
エ.むすび
以上のとおり、本件考案1乃至4は実用新案法第3条第2項の規定に違反するものであるから、本件考案1乃至4についての実用新案登録は、平成6年法律第116号附則第9条第2項によって準用する特許法第113条第2号に該当するので、取り消すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2000-06-05 
出願番号 実願平5-34520 
審決分類 U 1 651・ 121- ZB (G09F)
最終処分 取消  
前審関与審査官 松澤 福三郎  
特許庁審判長 田中 秀夫
特許庁審判官 和泉 等
長崎 洋一
登録日 1998-10-30 
登録番号 実用新案登録第2588230号(U2588230) 
権利者 王子タック販売株式会社
東京都中央区銀座5丁目12番8号
考案の名称 金属蒸着膜を有する粘着ラベル  
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