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審決分類 審判 全部申し立て   G02B
管理番号 1025109
異議申立番号 異議2000-72472  
総通号数 15 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案決定公報 
発行日 2001-03-30 
種別 異議の決定 
異議申立日 2000-06-13 
確定日 2000-09-11 
異議申立件数
事件の表示 登録第2601958号「レンズ鏡胴」の請求項1ないし3に係る実用新案登録に対する実用新案登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。   
結論 登録第2601958号の請求項1ないし3に係る実用新案登録を維持する。
理由 (1)手続の経緯
実用新案登録第2601958号の請求項1?3に係る考案は、平成5年4月30日に実用新案登録出願され、平成11年10月15日にその実用新案の設定登録がなされ、その後異議申立人細野篤良により登録異議の申立がなされたものである。
(2)本件考案
実用新案登録第2601958号の請求項1?3に係る考案(以下、「本件請求項1?3に係る考案」という。)は、その実用新案登録請求の範囲の請求項1?3に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。
「【請求項1】 カメラ本体に固着された固定胴と、前記固定胴の内周にて前記固定胴とへリコイド螺合する可動胴と、前記可動胴の内周にて前記可動胴とへリコイド螺合し、撮影レンズの少なくとも1群と第1の電装部品とを担持する鏡枠と、該鏡枠の回転を阻止し光軸方向に直進案内するガイド部を有するガイド部材とを備え、前記可動胴の回動により前記鏡枠を光軸方向に直進移動させるレンズ鏡胴において、前記固定胴と前記可動胴が螺合するヘリコイドのリードと前記可動胴と前記鏡枠とが螺合するヘリコイドのリードとを略同一長に設定し、前記第1の電装部品と接続された可撓性を有するプリント基板を前記可動胴の内周に沿ってカメラ後方に伸ばして前記可動胴後端にて折り返し、前記可動胴と固定胴の間を通って、前記可動胴が最もカメラ前方に移動したときの前記可動胴の後端よりも前方側で前記固定胴より外部に引き出して第2の電装部品と接続したことを特徴とするレンズ鏡胴。
【請求項2】 前記ガイド部材は前記可動胴と一体的に且つ回動自在に装着され、前記ガイド部材の一端が前記固定胴に設けたガイド部と係合して回転を阻止されると共に、前記ガイド部材のガイド部は切り曲げして形成され、該切り曲げ部にて前記プリント基板が折り返されることを特徴とする請求項1のレンズ鏡胴。
【請求項3】 前記第1の電装部品がシャッタユニットの電装部品であること特徴とする請求項1のレンズ鏡胴。」
(3)登録異議申立の理由の概要
申立人細野篤良は、証拠として甲第1号証(特開平4-179906号公報)、甲第2号証〔実願平5-23037号(実開平6-82613号)のマイクロフィルム〕を提出し、本件請求項1?3に係る考案は、実用新案法第3条第2項の規定に違反してなされたものであるので、実用新案登録を取り消すべき旨主張している。
(4)甲各号証記載の考案
甲第1号証には、
「ズームレンズ鏡筒の構成はカメラボディと一体成形された固定筒23と、この固定筒23の内側にヘリコイド結合された中間筒24と、この中間筒24の内側にヘリコイド結合された可動筒25とから構成されている。なお、固定筒23と一体成形されたカメラボデーにはフィルムパトローネ室を形成する壁面23cやフィルム給送用ギヤ等が一体に設けられているため、従来、カメラボディと固定筒とを別部材としたカメラに比べて、本実施例ではカメラの形状の小型化を向上させている。符号22はカメラボディの面々を覆う前カバーである。」(第3頁左上欄第16行?同頁右上欄第7行)
「前記可動筒25の外周には雄ヘリコイド25aが設けられており、この雄ヘリコイド25aには中間筒24に設けられた雌ヘリコイド24aが螺合している。可動筒25は雄ヘリコイド25aのリードに従って進退し、この可動筒25はこれの内周面に設けられた溝25bに詳しくは後述する直進ガイド部材35が嵌入されており、この直進ガイド部材35に沿って直線的に進退する。」(第3頁左下欄第12?19行)
「直進ガイド部材35と可動筒25との間にはフレキシブル基板36が挿入されている。このフレキシブル基板36の他端側は前記シャッタブロック26に接続され、フレキシブル基板36の一端側は直進ガイド部材35の一端側に設けられた押さえローラ35cを介してカメラボディ内に配置している制御回路等に接続されている。このフレキシブル基板36の長さは一定となっており、前記直進ガイド部材35の移動と同じに押さえローラ35cが移動してフレキシブル基板36を応動させている。」(第4頁右上欄第4?14行)
「次に、本発明に係るズームレンズ鏡筒の第4実施例について第7図、及び第8図を参照しながら説明する。
この実施例において、中間筒24を回動させる中間筒回動部材(図示なし)は、第1ないし第3実施例で説明したような構造としている。雄ヘリコイド24b,25aのリードは、可動筒25の突出位置方向の移動が中間筒24の移動に対して2倍の移動となるようなリードとなっている。なお、符号23dはフィルム巻取り室の壁面である。
このように第1ないし第3実施例で説明したと同じにフレキシブル基板36も直進ガイド部材35の移動と同位相で移動するものであるが、第1ないし第3実施例で説明した押さえローラ35cを設けていない。このような構成にしてもフレキシブル基板36は、これの前端側と後端側とをそれぞれカメラボディ内の制御部とシャッタブロック26とに一定な長さで固定させても中間筒24の後端側と直進ガイド部材35との間でU字に曲がりながら、弛むことなく中間筒24の進退に追従していくものである。したがって、第1ないし第3実施例で説明したような押さえローラ35cを用いることなくフレキシブル基板36の移動を中間筒24の進退に追従させることが可能となり、コストダウンとなる効果がある。」(第6頁右下欄第5行?第7頁左上欄第9行)が記載されている。
甲第2号証には、本件の出願当初の明細書および図面が記載されている。
(5)本件請求項1?3に係る考案と甲各号証記載の考案との対比・判断
本件実用新案登録請求の範囲の請求項1中の「可撓性を有するプリント基板・・・可動胴と固定胴の間を通って」の記載に対応する、「FPC基板51・・・可動胴2の外周と固定胴1との間隙を通過する」の記載が、本件出願当初の明細書の段落【0008】中に有るので、平成11年4月7日付の第2図の補正は、不明瞭な記載を、明瞭にしたものであって、要旨変更ではなく、本件の出願日は、平成5年4月30日である。
したがって、甲第2号証は、本件実用新案登録出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物ではないので、実用新案法第3条第1項第3号あるいは第3条第2項の規定違反の根拠としては採用できない。
(本件請求項1に係る考案について)
本件請求項1に係る考案と甲第1号証記載の考案とを対比すると、甲第1号証には、可撓性を有するプリント基板を、可動胴と固定胴の間を通って、可動胴が最もカメラ前方に移動したときの可動胴の後端よりも前方側で固定胴より外部に引き出す点が記載されておらず、この点により本件請求項1に係る考案は、明細書記載の効果を奏するものであり、本件請求項1に係る考案が、甲第1号証に記載の考案であるとも、また、甲第1号証に記載の考案からきわめて容易に推考しうるものとも認められない。
(本件請求項2及び3に係る考案について)
本件請求項2及び3に係る考案は、本件請求項1に係る考案の構成の一部をさらに限定したものであるから、本件請求項1に係る考案と同様の判断となる。
以上のとおり、甲第2号証は、本件実用新案登録出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物ではないので、実用新案法第3条第1項第3号あるいは第3条第2項の規定違反の根拠としては採用できない。そして、本件請求項1?3に係る考案は、異議申立人が提出した甲第1号証に記載された考案であるとはいえず、また、甲第1号証に記載のものから当業者がきわめて容易に考案をすることができたものとも認められない。
(6)むすび
したがって、登録異議申立の理由及び証拠によっては、本件請求項1?3に係る考案の実用新案登録を取り消すことはできない。
また、他に本件請求項1?3に係る考案の実用新案登録を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2000-08-21 
出願番号 実願平5-23037 
審決分類 U 1 651・ 121- Y (G02B)
最終処分 維持    
前審関与審査官 柏崎 康司瀬川 勝久  
特許庁審判長 森 正幸
特許庁審判官 高橋 三成
柏崎 正男
登録日 1999-10-15 
登録番号 実用新案登録第2601958号(U2601958) 
権利者 コニカ株式会社
東京都新宿区西新宿1丁目26番2号
考案の名称 レンズ鏡胴  

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