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審決分類 |
審判 判定 同一 属する(申立て不成立) F16L |
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管理番号 | 1025122 |
判定請求番号 | 判定2000-60077 |
総通号数 | 15 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 実用新案判定公報 |
発行日 | 2001-03-30 |
種別 | 判定 |
判定請求日 | 2000-05-26 |
確定日 | 2000-10-02 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第3064938号の判定請求事件について、次のとおり判定する。 |
結論 | イ号図面及びその説明書に示す「送水ホース接手におけるシールパッキン」は、実用新案登録第3064938号の技術的範囲に属する。 |
理由 |
1.請求の趣旨 本件判定請求は、イ号図面及びその説明書に示す「送水ホース接手におけるシールパッキン」は、実用新案登録第3064938号の技術的範囲に属しない、との判定を求めたものである。 2.本件考案 本件実用新案登録第3064938号(以下、「本件考案」という。)は、実用新案登録明細書及び図面の記載からみて、その実用新案登録請求の範囲の請求項1に記載されたとおりのものであり、その構成を符号を付して分説して記載すると次のとおりである。 「【請求項1】 A:接手筒の先端面に設けた環状のパッキング装着溝の内部に装着され、その溝から突出する先端部に内周側および外周側にそれぞれ横断面楔形に横向き先鋭状に張り出す内側圧接部と外側圧接部とを設けた軟弾性材からなる環状のシールパッキンであって、 B:前記内側圧接部はその接触先端面が外側圧接部の接触先端面との交点から先鋭状先端に至るまで接手筒の先端面に対して上り勾配をなす傾斜面に形成され、 C:また外側圧接部はその接触先端面が内側圧接部の接触先端面との交点から先鋭状先端に至るまで接手筒の先端面に対して平行な水平面に形成され、 D:前記内側圧接部の後面は、前記突出先端部の下方の直立部の内周面の接手筒の先端面よりも低い位置から先端にかけて上り勾配の傾斜面に形成され、 E:送水ホース接手の非接合状態において接手筒の先端面とパッキング装着溝の内側内周面との内周側角部に対して非接触の状態にあり、 F:かつ送水ホース接手同士を接合して相互のシールパッキン同士を圧接したとき、相互の内側圧接部の接触先端面が接手筒の先端面と平行になるように傾倒する直前で内周側角部に接触し、内側圧接部の接手筒の先端面側への倒れに対して後面側から支えるように構成したこと G:を特徴とする送水ホース接手筒におけるシールパッキン。」 3.イ号装置 これに対して、イ号図面及びその説明書に示す「送水ホース接手におけるシールパッキン」(以下、「イ号装置」という。)は、本件考案に即して記載すると、下記の構成からなるものと認める。 a:接手筒(2)の先端面に設けた環状のパッキング装着溝(7)の内部に装着され、その溝(7)から突出する先端部に内周側及び外周側にそれぞれ横断面楔形に横向き先鋭状に張り出す内側圧接部(8c)と外側圧接部(8d)とを設けた軟弾性材からなる環状のシールパッキン(8)であって、 b:前記内側圧接部(8c)は、その接触先端面が外側圧接部(8d)の接触先端面との交点(M)から先鋭状先端(A)に至るまで接手筒(2)の先端面(2m)に対して上り勾配をなす傾斜面に形成され、 c:また、外側圧接部(8d)は、その接触先端面が内側圧接部(8c)の接触先端面との交点(M)から先鋭状先端(B)に至るまで接手筒(2)の先端面(2n)に対して平行な水平面に形成され、 d:前記内側圧接部(8c)の後面(8m)は、前記突出先端部の下方の直立部(8a)の内周面の接手筒(2)の先端面(2m)よりも高い位置から先端(A)にかけて上り勾配の傾斜面に形成され、 e:送水ホース接手の非接合状態において接手筒(2)の先端面(2m)とパッキング装着溝(7)の内側内周面との内周側角部(D)に対して非接触の状態にあり、 f:かつ、送水ホース接手同士を接合して相互のシールパッキン(8,8)同士を圧接したとき、相互の内側圧接部(8c,8c)の接触先端面は接手筒(2)の先端面(2m)と平行になるように傾倒し、その後面(8m)は内周側角部(D)から離間し、前記パッキング装着溝(7)内に流入する圧力水が直立部(8a)及び内側圧接部(8c)を外側圧接部(8d)側に押圧するように構成したこと g:を特徴とする送水ホース接手筒におけるシールパッキン。 4.本件考案とイ号装置との対比・判断 イ号装置が本件考案の各構成要件を充足するか否かについて検討する。 イ号装置の構成要件a,b,c,e及びgは、各々対応する本件考案のA,B、C、E及びGの構成要件を充足する。このことについては、当事者間に争いがない。 そこで、イ号装置の構成要件dと、本件考案の構成要件Dとを対比する。 イ号装置では、内側圧接部(8c)の後面(8m)は、突出先端部の下方の直立部(8a)の内周面の接手筒(2)の先端面(2m)よりも高い位置から先端(A)にかけて上り勾配の傾斜面に形成されているのに対して、本件考案では、内側圧接部の後面は、突出先端部の下方の直立部の内周面の接手筒の先端面よりも低い位置から先端にかけて上り勾配の傾斜面に形成されている点で構成上相違している。 上記相違点について検討するに、イ号装置のシールパッキン(8)は、本件考案のシールパッキンと実質的に同一の形状である。 また、シールパッキンを収納する接手筒は、シールパッキンを収納するためのパッキング溝と、パッキング溝の内側と外側に先端面を有することが本質的部分であって、パッキング溝の内側先端面と外側先端面との間での段差の有無は、接手筒の本質的部分ということはではないものである。 そして、イ号装置の接手筒は、本件考案の接手筒とは、本質的部分ではない上記段差を有することで相違しているにすぎないものであるから、イ号装置の接手筒と本件考案の接手筒とは、均等物である。 そうすると、イ号装置の構成要件dと本件考案の構成要件Dとの上記構成上の相違点は、接手筒の本質的部分でない先端面形状の相違によるものであるから、イ号装置の構成要件dは、本件考案の構成要件Dを充足する。 次に、イ号装置の構成要件fと、本件考案の構成要件Fを対比する。 イ号装置では、送水ホース接手同士を接合して相互のシールパッキン同士を圧接したとき、相互の内側圧接部(8c,8c)の接触先端面は接手筒(2)の先端面(2m)と平行になるように傾倒し、その後面(8m)は内周側角部(D)から離間し、前記パッキング装着溝(7)内に流入する圧力水が直立部(8a)及び内側圧接部(8c)を外側圧接部(8d)側に押圧するように構成したものであるのに対して、本件考案では、送水ホース接手同士を接合して相互のシールパッキン同士を圧接したとき、相互の内側圧接部の接触先端面が接手筒の先端面と平行になるように傾倒する直前で内周側角部に接触し、内側圧接部の接手筒の先端面側への倒れに対して後面側から支えるように構成した点で相違している。 上記相違点について検討すると、イ号装置では、接手筒の先端面がパッキング装着溝の内側と外側とで段差を有するという接手筒の本質的部分ではない構成上の相違点によって、送水ホース接手同士を接合して相互のシールパッキン同士を圧接したとき、相互の内側圧接部の接触先端面は接手筒の先端面と平行になるように傾倒し、その後面は内周側角部から離間し、前記パッキング装着溝内に流入する圧力水が直立部及び内側圧接部を外側圧接部側に押圧するように構成されるものであって、本件考案のように段差のない接手筒であれば、送水ホース接手同士を接合して相互のシールパッキン同士を圧接したとき、相互の内側圧接部の接触先端面が接手筒の先端面と平行になるように傾倒する直前で内周側角部に接触し、内側圧接部の接手筒の先端面側への倒れに対して後面側から支えるように構成されるものである。 上記シール構造の構成上の相違点による効果を検討しても、本件考案のように相互の内側圧接部の接触先端面が接手筒の先端面と平行になるように傾倒する直前で内周側角部に接触し、内側圧接部の接手筒の先端面側への倒れに対して後面側から支えるように構成した方が優れたものであることは明らかである。 そうすると、イ号装置の構成要件fと本件考案の構成要件Fとの上記構成上の相違点は、接手筒の本質的部分でない先端面形状の相違によるものであるから、イ号装置の構成要件fは、本件考案の構成要件Fを充足する。 以上のとおりであるから、イ号装置の構成要件a?gは、本件考案の構成要件A?Gをすべて充足するものであって、他に相違するところがない。 5.むすび したがって、イ号装置は、本件考案の構成要件をすべて備えるものであるから、イ号装置すなわちイ号図面とその説明書に示す「送水ホース接手におけるシールパッキン」は、本件考案すなわち本件実用新案登録第3064938号の技術的範囲に属する。 よって、結論のとおり判定する。 |
別掲 |
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判定日 | 2000-09-08 |
出願番号 | 実願平11-4354 |
審決分類 |
U
1
2・
1-
YB
(F16L)
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最終処分 | 不成立 |
特許庁審判長 |
村本 佳史 |
特許庁審判官 |
船越 巧子 市野 要助 |
登録日 | 1999-10-06 |
登録番号 | 実用新案登録第3064938号(U3064938) |
考案の名称 | 送水ホ?ス接手におけるシ?ルパッキン |
代理人 | 藤井 実 |
代理人 | 斉藤 侑 |
代理人 | 伊藤 文彦 |