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審決分類 審判 全部申し立て   B61B
管理番号 1028353
異議申立番号 異議1999-70814  
総通号数 16 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案決定公報 
発行日 2001-04-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 1999-02-26 
確定日 2000-10-16 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 登録第2579473号「支持位置調整可能な支持構造」の請求項1に係る考案についての実用新案登録に対する実用新案登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。   
結論 訂正を認める。 登録第2579473号の請求項1に係る考案についての実用新案登録を維持する。
理由 1手続きの経緯
本件登録第2579473号の請求項1に係る考案は、平成5年12月8日に実用新案登録出願され、平成10年6月12日にその実用新案登録の設定登録がなされ、その後、実用新案登録異議の申立てがなされ、取消理由通知がなされ、再度取消理由通知がなされた後、その指定期間内である平成12年8月30日に訂正請求がなされたものである。

2訂正の適否について
(1) 訂正の内容
特許権者が求めている訂正の内容は、以下のとおりである。
(実用新案登録請求の範囲)
a 請求項1の「貫通孔開口面に衝合しうる摩擦係合体」を「貫通孔開口面に衝合しうる位置調整用摩擦係合体」と訂正する。
(考案の詳細な説明)
b 明細書の段落番号【0010】中の記載について上記aと同じ趣旨の訂正をする。

(2) 訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否
(実用新案登録請求の範囲)
上記訂正事項aについては、実用新案登録明細書の実用新案登録請求の範囲の「貫通孔開口面に衝合しうる摩擦係合体」の記載では、明確に発明が把握できないため、該「摩擦係合体」を、考案の詳細な説明中に記載された「位置調整用」に限定しようとするものである。
したがって、上記訂正事項aは、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
更に、上記訂正事項aは、実質上実用新案登録請求の範囲を拡張し又は変更するものでもない。
(考案の詳細な説明)
上記訂正事項bについては、明細書の【課題を解決するための手段】において、請求項1の上記訂正事項aに対応する部分を当該訂正事項aと整合するように明確化したものであるから、不明瞭な記載の釈明に相当するものである。
そして、上記考案の詳細な説明の訂正も、実質的に実用新案登録請求の範囲を拡張又は変更するものではない。

(3) 独立実用新案登録要件の判断
ア 平成12年6月26日付けの取消理由通知について
当審では、平成12年6月26日付けで、実用新案登録明細書の請求項1の記載は実用新案法5条5項に規定する要件を満たしていない旨を通知したが、前記訂正事項aの訂正により、請求項1に係る考案は、実用新案法5条5項に規定する要件を満たすものとなった。

イ 本件考案
よって、訂正明細書の請求項1に係る考案は、訂正明細書の請求項1に記載された事項により特定されるとおりの次のものである。
「【請求項1】 先端部に偏心軸を一体連設した支軸が、支持体の貫通孔に回転自在に挿通支持されると共に所定の回転位置に回転不能に固定されており、支軸を固定する回転位置の選択により偏心軸に支持させた被支持物体の位置を調整しうるように構成された支持位置調整可能な支持構造において、支軸の先端部には、支持体における一方の貫通孔開口面に衝合する鍔部が形成されており、支軸の基端面には、周端面が支持体における他方の貫通孔開口面に衝合しうる位置調整用摩擦係合体が、支軸と相対回転不能に且つその基端面方向へと締め付け自在にボルト止めされており、この摩擦係合体は、ボルトにより前記基端面方向に締め付けることによって、その周端面が前記他方の貫通孔開口面に相対回転不能に摩擦係合せしめられるものであることを特徴とする支持位置調整可能な支持構造。」

ウ 平成11年12月15日付け取消理由通知について
(刊行物1)
当審での取消理由通知で引用した刊行物[実願平3?75703号(実開平5?19045号)のCD-ROM(平成5年3月9日特許庁発行)]には、車輪調節構造に関する考案が記載され、構成としては図5,6に示すように、衝上車輪28の上下方向位置を調節する場合には、調節ピン27の支持部位を衝上車輪を支持しているハンガーアーム23aの孔内に嵌め合わせたまま、調節ピン27の支持部位67を回動変位させると前記の偏心量eによって枢着部位の位置は上下に変位させ、これによって衝上車輪を走行車輪に対して2×eの範囲内で近寄り、遠退き移動させるものである。
そして、調節ピン27とハンガーアーム23aとの固着、緩解の構造は、調節ピン27に段66を設け、かつ調節ピン27の基端部にねじ70を形成し、ハンガーアーム23aを段66と座金73で挟み、ナット74,75を締めて、座金73をハンガーアーム23aに押しつけ、摩擦力によって固着する。
(対比・判断)
本件考案と上記刊行物1に記載の考案とを対比すると、上記刊行物1には、本件考案を特定する事項である『周端面が支持体における他方の貫通孔開口面に衝合しうる位置調整用摩擦係合体が、支軸と相対回転不能に且つその基端面方向へと締め付け自在にボルト止めされて』いる点が記載されていない。
そして本件考案は、上記事項の構成を採用したことにより、支持位置調整をきわめて容易に行うことができるという効果を奏する。
したがって、本件考案が、上記刊行物1に記載のものから当業者が容易に考案をすることができたものとはいえない。
また、本件考案は、実用新案登録出願の際独立して実用新案登録を受けることができない考案とする他の理由も発見しない。

(4) むすび
以上のとおりであるから、上記訂正請求は、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則9条2項の規定により準用される特許法120条の42項及び同条3項で準用する特許法126条の規定に適合するので、当該訂正を認める。

3実用新案登録異議の申立てについて
上記のとおり、訂正が認められる結果、本件実用新案登録に係る考案は、訂正明細書の請求項1に記載された事項により構成されるとおりのものである。
異議申立人は、甲第1号証(実公昭43?1379号公報)及び甲第2号証[実願平3?75703号(実開平5?19045号)のCD-ROM(平成5年3月9日特許庁発行)(前記刊行物1)]を提出し、本件実用新案登録に係る考案は、甲第1号証及び甲第2号証に記載されている考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案できたものであるから、実用新案法3条2項の規定に違反しているので実用新案登録を受けることができないものである旨主張している。
しかしながら、甲第2号証については、上記2(3)ウで示した理由と同じ理由で、本件考案が、甲第2号証に記載の考案と同一もしくは同号証から容易に考案できたものであるとすることはできない。
なお、甲第1号証をみると、ブラケット1の取付用フランジ7と支軸3を偏心させ、ブラケット1のボルト孔を適当に選んで締着することにより軸心高さを調節する点は記載されているが、本件考案を特定する事項である前記の『周端面が支持体における他方の貫通孔開口面に衝合しうる位置調整用摩擦係合体が、支軸と相対回転不能に且つその基端面方向へと締め付け自在にボルト止めされて』いる点は記載されていない。
したがって、本件考案は、甲第1号証及び甲第2号証に記載された考案から容易に考案することができたものであるとすることはできない。

4むすび
以上のとおりであるから、実用新案登録異議申立の理由及び証拠によっては、本件請求項1に係る考案についての実用新案登録を取り消すことはできない。
また、他に本件請求項1に係る考案についての実用新案登録を取り消すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり決定する。
発明の名称 (54)【考案の名称】
支持位置調整可能な支持構造
(57)【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 先端部に偏心軸を一体連設した支軸が、支持体の貫通孔に回転自在に挿通支持されると共に所定の回転位置に回転不能に固定されており、支軸を固定する回転位置の選択により偏心軸に支持させた被支持物体の位置を調整しうるように構成された支持位置調整可能な支持構造において、支軸の先端部には、支持体における一方の貫通孔開口面に衝合する鍔部が形成されており、支軸の基端面には、周端面が支持体における他方の貫通孔開口面に衝合しうる位置調整用摩擦係合体が、支軸と相対回転不能に且つその基端面方向へと締め付け自在にボルト止めされており、この摩擦係合体は、ボルトにより前記基端面方向に締め付けることによって、その周端面が前記他方の貫通孔開口面に相対回転不能に摩擦係合せしめられるものであることを特徴とする支持位置調整可能な支持構造。
【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
例えば、索道においては、停留所の出入口に索条を保持するための受索輪が支持されており、この受索輪の支持高さは索条の状態変化に応じて調整されるが、本考案は、かかる受索輪の如き被支持物体を、その支持位置(支持高さ等)を調整できるように支持させておくための支持構造に関するものである。より具体的には、先端部に偏心軸を一体連設した支軸が、支持体の貫通孔に回転自在に挿通支持されると共に所定の回転位置に回転不能に固定されており、支軸を固定する回転位置の選択により偏心軸に支持させた被支持物体の位置を調整しうるように構成された支持位置調整可能な支持構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のこの種の支持構造としては、例えば、索道において停留所の出入口に設けられる受索輪の支持構造がよく知られているが、かかる支持構造(以下「従来構造」という)では、図4及び図5に示す如く、停留所の出入口に、鉛直状の角形パイプ16及びその上端部に水平貫通状に溶着した円筒体17等からなる支持体11を取り付け、この支持体11の貫通孔17aに、前端部に偏心軸13を一体連設した支軸12を回転自在に挿通支持させ、円筒体17の前端面17bに、支軸12の前端部に形成した鍔部12aを衝合させ、支軸12の後端近傍部に形成した断面矩形部12cに、円板状の固定体15を、その中心部に形成した矩形穴15aを介して相対回転不能に嵌挿保持させ、支軸12の後端部に形成したネジ部12dにナット19a,19bを螺合させると共に、固定体15を複数のボルト20…により支持体11に固定させてある。
【0003】
而して、固定体15に周方向に等ピッチθ(図示の例では30°)で複数のボルト挿通孔15b…を形成すると共に、円筒体17の鍔部17dにピッチθの整数倍をなす等ピッチ(図示の例では60°)で複数のネジ孔17eを形成してあって、各ネジ孔17eに合致させるボルト挿通孔15bの変更,選択により、つまりボルト20により固定させる支軸12の回転位置の変更,選択により、偏心軸13にベアリング18a,18a等を介して回転自在に支持させた被支持物体たる受索輪18の支持高さを調整しうるようになっている。
【0004】
具体的には、先ず、ナット19a,19bを緩めると共にボルト20…を取り外した上、支軸12を回転させて、偏心軸13の位置つまり受索輪18の支持高さが所望する高さとなるように且つ各ネジ孔17eにボルト挿通孔15b…の一つに合致するように、支軸12の回転位置を決定する。
【0005】
そして、ボルト20…により固定板15を支持体11に取り付けて、支軸12を支持体11に回転不能に固定させると共に、ナット19a,19bを締め付けて、鍔部12aと固定板15とで円筒体17を挟圧させることによって、支軸12を支持体11に軸線方向移動不能に固定させる。
【0006】
このように、ボルト20…によって固定する支軸12の回転位置を一定角度θづつ変更させることによって、偏心軸13に支持させた受索輪18の高さを有段的に調整しうるのである。
【0007】
【考案が解決しようとする課題】
しかし、かかる従来構造においては、支軸12を任意の回転位置に固定することができず、受索輪18の高さ調整を有段的に行い得るにすぎない。しかも、受索輪18を支持する偏心軸13は支軸12に対して偏心しているものであるから、支軸12の回転位置変更量とこれによる受索輪18の高さ調整量とは一定の関係にない。すなわち、支軸12の変更角度が同一であっても、受索輪18の高さ調整量は、調整前における支軸12に対する偏心軸13の位置によって異なる。例えば、偏心軸13が最下降位置にある図5の状態から支軸12をθづつ回転させて受索輪18の高さ調整を行った場合(支軸12に対する偏心軸13の偏心量をeとする)、各高さ調整量は、第1回目ではe(1-cosθ)であるが、第2回目ではe(cosθ-cos2θ)となり、第3回目ではe(cos2θ-cos3θ)となり、同一ではない。
【0008】
したがって、受索輪18の高さを微調整することができず、受索輪18を所望する高さ位置に正確に調整しておくことが極めて困難である。
【0009】
本考案は、このような点に鑑みてなされたもので、支軸を任意の回転位置に固定させ得て、受索輪等の被支持物体の支持位置調整を無段的に行いうるよう改良された支持位置調整可能な支持構造を提供することを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本考案の支持位置調整可能な支持構造にあっては、上記の目的を達成すべく、特に、支軸の先端部に、支持体における一方の貫通孔開口面に衝合する鍔部を形成し、支軸の基端面に、周端面が支持体における他方の貫通孔開口面に衝合しうる位置調整用摩擦係合体を、支軸と相対回転不能に且つその基端面方向へと締め付け自在にボルト止めしてある。而して、この摩擦係合体は、ボルトにより前記基端面方向に締め付けることによって、その周端面が前記他方の貫通孔開口面に相対回転不能に摩擦係合せしめられるものである。
【0011】
【作用】
ボルトを締め付けると、摩擦係合体の周端面が支持体に押し付けられて、支持体の両貫通孔開口面を摩擦係合体と支軸の鍔部とで挟圧し、支軸の軸線方向移動を阻止する。同時に、摩擦係合体の周端面が支持体の貫通孔開口面に摩擦係合して、支軸の回転を阻止する。したがって、ボルトを操作することによって、支軸を任意の回転位置に固定することができ、被支持物体の高さ調整等の支持位置調整を無段的に行うことができる。その結果、支持位置を所望する位置に正確に微調整することができる。
【0012】
【実施例】
以下、本考案の構成を図1?図3に示す実施例に基づいて具体的に説明する。
【0013】
この実施例は、本考案を冒頭で述べた受索輪の支持構造に適用した例に係る。
【0014】
図1に示す支持構造において、1は停留所の入口又は出口に取り付けられた支持体、2は支持体1に回転自在に支持された支軸、3は支軸2の先端部に軸線を径方向に齟齬させて一体連設された偏心軸、4は支持体2の基端部にボルト5…止めされた摩擦係合体である。なお、各構成部材1,2,3,4は、何れも金属製のものである。
【0015】
支持体1は、図1及び図3に示す如く、停留所の入口又は出口の適所に取り付け金具(図示せず)に角形パイプ6を立設し、この角パイプ6の上端部に円筒体7を前後方向に貫通状に溶着してなる。
【0016】
支軸2は、図1に示す如く、支持体1つまり円筒体7の貫通孔7aに回転自在に挿通支持されており、その先端部たる前端部には、支持体1における一方の貫通孔開口面である円筒体7の前端面7bに衝合する環状の鍔部2aが形成されている。また、この支軸2における鍔部2aから基端面たる後端面2bに至る軸長は円筒体7より長く設定されていて、鍔部2aを円筒体7の前端面7bに衝合させた状態において、支軸2の後端部が支持体1における他方の貫通孔開口面である円筒体7の後端面7cより所定量h突出せしめられるようになっている。
【0017】
偏心軸3には、図1に示す如く、ベアリング8a,8a及び固定ナット8b等を介して、被支持物体たる受索輪8が回転自在に支持されている。
【0018】
摩擦係合体4は、図1及び図3に示す如く、有底円筒形状に成形されたものであり、支軸2の後端部に被冠させた状態で、底壁4aに貫通させた複数(図示の例では3個)のボルト5…により支軸2の後端面2bに相対回転不能に取り付けられている。この摩擦係合体4の軸線方向長さは、底壁4aの前面からの周壁4bの突出量Hが前記支軸2の突出量hより若干大きくなるように、設定されている。したがって、摩擦係合体4の周端面である周壁4bの端面4cを円筒体7の後端面7cに衝合させたときに、底壁4aと支軸2との対向面間に若干の隙間9が形成されることになり、この隙間9の範囲内においてボルト5…の締め付けが許容される。なお、係合体4の外周部には、径方向に対向する工具係合用の凹溝4d,4dが形成されている。
【0019】
以上のように構成された支持構造にあっては、受索輪8の高さ調整を無段的に行うことができ、受索輪高さの微調整を正確且つ容易に行うことができる。
【0020】
すなわち、ボルト5…を緩めた上、凹溝4d,4dに係合させた適宜の工具により支軸2を回転させて、受索輪8を所望する高さ位置にもたらす。
【0021】
そして、この状態においてボルト5…を締め付ける。ボルト5…を締め付けると、円筒体7が支軸2の鍔部2aと支軸2に固定された摩擦係合体4とで挟圧されることにより、支軸2の軸線方向移動が阻止されると共に、摩擦係合体4の周端面4cが円筒体7の後端面7cに押し付けられて、両者4c,7c間に作用する摩擦係合力により、支軸2の回転が阻止される。このとき、摩擦係合体4が或る程度の弾性を有する金属製の有底円筒体であり、且つボルト止めされた底壁4aと支軸端面2bとの間に隙間9が形成されていることから、ボルト5…による締め付けを摩擦係合体4が若干弾性変形させる状態で行うことによって、支軸2の回転を阻止するに充分な摩擦係合力を得ることができる。しかも、ボルト5…には、摩擦係合体4の弾性変形によるテンションが作用することから、長期使用のうちにボルト5…が緩んで摩擦係合力が低下する、といった不都合も生じず、支軸2つまり受索輪8の支持を確実に行いうる。
【0022】
したがって、ボルト5…を操作することによって、受索輪8の支持高さを図1に示す最下降位置と図2に示す最上昇位置との間に亘って無段的に調整することができ、所望する高さに正確に微調整することができる。しかも、ボルト5…を取り外すことなく螺送操作するのみで、受索輪1の高さ調整を行うことができるから、従来構造における如くボルト20…の脱着及びナット19a,19bの螺送操作を必要とする場合に比して、調整作業を極めて簡便且つ効率よく行うことができる。特に、上記した如く摩擦係合体4に工具係合溝4d,4dを形成しておくと、支軸2の回転操作を容易に行うことができ、調整作業を更に簡便且つ効率よく行うことができる。
【0023】
なお、本考案の構成は上記実施例に限定されず、本考案の基本原理を逸脱しない範囲において、適宜に変更,改良することができる。
【0024】
例えば、摩擦係合体4は、有底円筒状のものに限らず、例えば椀状のものとしておいてもよい。要するに、ボルト5…を締め付けることにより、周端面4cを支軸2の回転を阻止すべく貫通孔開口面7cに摩擦係合させうるものであればよく、その形状は任意である。また、周端面4c及び貫通孔開口面7cの一方又は双方を、支軸2を任意の位置に固定させうるものであることを条件として、微細な凹凸加工を施したり、摩擦材を貼着させる等により、摩擦係数のより高いものとしておくことも可能である。
【0025】
また、本考案に係る支持構造は、受索輪8の高さ調整を行う場合に限らず、被支持物体の前後方向位置や他の物体(被支持物体を含む)との間隔を調整する場合にも適用できるものであることはいうまでもない。
【0026】
【考案の効果】
以上の説明から容易に理解されるように、本考案によれば、支軸を摩擦係合力によって任意の回転位置に固定しうるようにしたから、受索輪等の被支持物体の支持位置調整を無段的に行うことができ、最適の支持位置に正確に微調整しておくことができる。しかも、摩擦係合体のボルトによる締め付け力を変更するのみで、支軸の回転位置設定及び設定位置への固定を行うことができるから、ボルトの脱着及びナットの締め付け力変更を必要とする従来構造に比して、支持位置調整を極めて容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本考案に係る支持構造の一実施例を示す縦断側面図である。
【図2】 図1と異なる状態を示す図1相当の縦断側面図である。
【図3】 図1のIII-III線に沿う縦断背面図である。
【図4】 従来構造を示す縦断側面図である。
【図5】 図4のV-V線に沿う縦断背面図である。
【符号の説明】
1…支持体、2…支軸、2a…鍔部、2b…支軸の基端面、3…偏心軸、4…摩擦係合体、4a…底壁、4b…周壁、4c…周壁の端面(摩擦係合体の周端面)、5…ボルト、7…円筒体、7a…貫通孔、7b…円筒体の前端面(支持体における一方の貫通孔開口面)、7c…円筒体の後端面(支持体における他方の貫通孔開口面)。
訂正の要旨 実用新案登録第2579473号の明細書を以下のとおりに訂正する。
(実用新案登録請求の範囲)
a 請求項1の「貫通孔開口面に衝合しうる摩擦係合体」を明瞭でない記載の釈明を目的として「貫通孔開口面に衝合しうる位置調整用摩擦係合体」と訂正する。
(考案の詳細な説明)
b 明細書の段落番号【0010】中の記載について上記aと同じ趣旨の訂正をする。
異議決定日 2000-09-26 
出願番号 実願平5-65556 
審決分類 U 1 651・ 121- YA (B61B)
最終処分 維持    
前審関与審査官 山内 康明  
特許庁審判長 粟津 憲一
特許庁審判官 清水 英雄
鈴木 法明
登録日 1998-06-12 
登録番号 実用新案登録第2579473号(U2579473) 
権利者 川鉄マシナリー株式会社
東京都台東区蔵前2丁目17番4号
考案の名称 支持位置調整可能な支持構造  
代理人 川井 治男  

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