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審決分類 審判 全部申し立て   B42D
管理番号 1028356
異議申立番号 異議1999-74062  
総通号数 16 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案決定公報 
発行日 2001-04-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 1999-10-26 
確定日 2000-10-14 
異議申立件数
事件の表示 登録第2594389号「シークレットカード」の実用新案登録に対する実用新案登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。   
結論 登録第2594389号の実用新案登録を維持する。
理由 [1] 手続きの経緯
実用新案登録第2594389号の請求項1に係る考案は、平成2年3月30日に実用新案登録出願されたものであって、平成11年2月26日に実用新案の設定登録がなされ、その後、実用新案登録異議申立人 松本武男により実用新案登録異議の申立てがなされたものである。
[2]実用新案登録異議申立について
[2-1] 本件考案
本件の請求項1に係る考案は、その実用新案登録請求の範囲に記載された次ぎの事項により特定されるとおりのものである。
「【請求項1】 基板と、表面にコーティングして極く薄いヒートシール性皮膜を有した延伸ポリプロピレンフイルムとでなり、その基板の片面全面にヒートシール性皮膜を有する延伸ポリプロピレンフイルムの裏面を接着せしめ、該フイルムのヒートシール性皮膜面を内側に半折し熱着してなるシークレットカード。」
[2-2] 申立理由の概要
実用新案登録異議申立人 松本武男は、
本件の請求項1に係る考案は、甲第1?3号証、甲第4号証の1、甲第4号証の2、参考資料に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるから、実用新案法第3条2項の規定に違反して実用新案登録されたものである旨の主張をしている。
[2-3] 甲各号証及び参考資料に記載の考案
甲第1号証[特開平2-55197号公報]には、
二つ折りの通信紙と、ポリプロピレン、ポリエチレン等の透明樹脂フィルムとでなり、その二つ折りの通信紙の片面全面に透明樹脂フィルム裏面を接着せしめ、該フィルムを内側に半折し、該フィルムの各片側内面が、加熱、加圧処理による疑似接着層を介して剥離可能に熱着してなる通信用シート及びその製造方法が図面と共に記載されており、また、疑似接着層については、
「所要の疑似接着層を得るために、樹脂フィルムにブロッキング防止剤、カップリング剤等を添加したり、プラズマ処理、コロナ放電等の表面処理を施してもよく、さらに別のフィルム層を介することもできる。」(第2頁右下欄第3行?第7行参照)の記載がある。
甲第2号証[実願昭63-12070号(実開平1-117669号公報)のマイクロフィルム]には、
カード基材1と、カード基材1の対向面の間に接着されるフィルム複合体3とからなる展開可能な積層カードが図面と共に記載されており、上記フィルム複合体3は、配向ポリプロピレンフィルムの間にポリエチレン樹脂を供給することによりポリプロピレンフィルムとポリエチレン樹脂の間に疑似接着層が一体的に形成されており、上記カード基材1は、表面に所定の印刷を施したシート2をZ-字状に三折した構造が記載されている。
甲第3号証は、「プラスチックフィルム-加工と応用-」1版10刷(1986年3月5日技報堂出版株式会社発行)であって、
3・4・1 エキストルージョンラミネート(第106頁?第109頁)の項には、延伸ポリプロピレンフィルムの片面に、ポリエチレン樹脂をラミネートした製品の製造方法、及び特徴、用途(軽包装、真空包装用)について記載されており、
3・5・1 コーティング方式(第113頁?第118頁)の項には、
プラスチックフィルムのコーティング方式としては、ロールコーティング方式とエキストルージョン方式の2つに大別される旨記載されており、
3・5・2 コーティングの種類(第118頁?第119頁)の(1)溶液型コーティングの項には、溶液型コーティングは、コーティング用樹脂を溶剤や水に溶解し、プラスチックフィルムの片面、或いは両面にロールコーティング方式やエキストルージョン方式で塗布する方法であって、主に包装用フィルムに、ヒートシール性や光沢、防湿性などの特性を付与する際に使用される旨記載されている。
甲第4号証の1は、「改訂新版プラスチックハンドブック」昭和45年8月5日株式会社朝倉書店再版発行であって、
(iii)延伸フィルム(第337頁?第338頁)の項には、ポリプロピレンの特性を生かしたフィルムの製造方法として縦横二方向に延伸して配向処理を与えることにより、縦横共にその結晶性を方向づけるもので、強靭で腰が強く、透明性もすぐれたセロハンに類似したものになる旨の記載がなされている。
甲第4号証の2には、「プラスチック大辞典」(株)工業調査会-発行年月日不詳-であって、「stretched film 延伸フィルム」(第806頁?第807頁)の項には、延伸フィルムは延伸方向に分子配向が行われるため引張強度、伸び、ヤング率等がいちじるしく増大する旨の記載がなされている。
参考資料[特開昭61-158444号公報]には、一軸延伸ポリプロピレンフィルムの片面に、エチレン-プロピレン-ブデンコポリマー樹脂による厚さ約25μのヒートシール樹脂層を形成した後、横方向に9倍(実効倍率)の延伸処理を施した食品包装用フィルムとして利用される防曇フィルムについて記載されている。
[2-4] 対比・検討
甲第1号証に記載されている考案の「通信紙」「通信シート」は、
本件の請求項1に係る考案のそれぞれ、「基板」「シークレットカード」に相当するから、両者は、
基板と、ポリプロピレンフィルムとでなり、その基板の片面全面にポリプロピレンフィルム裏面を接着せしめ、該フィルムの皮膜面を内側に半折し熱着して疑似接着層が形成されているシークレットカードである点で一致するが、
a.本件の請求項1に係る考案においては、基板の片面全面に接着するポリプロピレンフィルムは延伸加工されたものであるが、甲第1号証に記載されているのは、ポリプロピレンフィルムであって、延伸加工についての記載はない点、
b.本件の請求項1に係る考案においては、基板の片面全面に接着するフィルムは、疑似接着層を形成するために、ヒートシール性皮膜を有する延伸ポリプロピレンフィルムを使用しているのに対し、甲第1号証には、フィルムに疑似接着層を形成するための具体的な技術が記載されていない点、
で相違する。
上記の相違点aについて検討すると、
甲第2号証に記載の「配向ポリプロピレンフィルム」は、上記甲第4号証の1の記載から明らかなように、本件の請求項1に係る考案の「延伸ポリプロピレンフィルム」に相当するから、相違点aの構成は、甲第2号証に記載されているものと認める。
次ぎに、上記の相違点bについて検討すると、
甲第2号証に記載されている展開可能な積層カードは、
シート2をZ-字状に三折した構造のカード基材1の対向面の間に、疑似接着層を介して一体的に形成されたフィルム複合体3を接着するものであるから、
本件の登録明細書に記載されている従来技術に類する技術であって、フィルム複合体3をシート基板の片面半面に合致させて接着しなければならず、加工性が悪く、カードサイズにカットするときのバリ等を生ずる可能性のある技術である。
しかるに、本件の請求項1に係る考案は、
ヒートシール性皮膜を有する延伸ポリプロピレンフィルム裏面に、基板の片面全面を接着せしめ、該フィルムのヒートシール性皮膜面を内側に半折した後に熱着して疑似接着層を形成することにより、
ラミネートフィルムの片面半面に合致させて接着する必要がないから、加工性がよく、カードサイズにカットするときのバリ等を生じないので作業性がよいという、本件の登録明細書記載の顕著な作用効果を奏するものである。
以上のことから、甲第2号証には、上記の相違点bの構成については記載されていない。
また、甲第3号証、甲第4号証の1、甲第4号証の2及び参考資料に記載されている技術について検討すると、これらに記載されているのは、延伸ポリプロピレンフィルムの片面に、ポリエチレン樹脂をラミネート加工やコーティングしたフィルムの製法、特性及び包装用フィルムとしての用途についてであって、熱着により形成される疑似接着層をカードに応用し、基板に接着してシークレットとする技術への応用の可能性についての記載はなく、また、それを示唆する記載もないから、甲第3号証、甲第4号証の1、甲第4号証の2及び参考資料には、上記の相違点bの構成についての記載はないものと認める。
そして、本件の請求項1に係る考案は、上記の相違点bの構成を有することにより、本件の登録明細書記載の顕著な作用効果を奏するものである。
したがって、甲第1号証に記載の考案に、甲第2号証及び甲第3号証、甲第4号証の1及び2並びに参考資料に記載の技術を適用して、本件の請求項1に係る考案とすることは、当業者がきわめて容易に推考することができる程度のものとは認められない。
[3] むすび
以上のとおりであるから、実用新案登録異議の申立ての理由によっては、本件考案の実用新案登録を取り消すことはできない。
また、他に本件考案についての実用新案登録を取り消すべき理由を発見しない。
したがって、本件考案についての実用新案登録は拒絶の査定をしなければならない実用新案登録出願に対してされたものとは認めない。
異議決定日 2000-09-21 
出願番号 実願平2-33875 
審決分類 U 1 651・ 121- Y (B42D)
最終処分 維持  
前審関与審査官 藤井 靖子  
特許庁審判長 木原 裕
特許庁審判官 外山 邦昭
白樫 泰子
登録日 1999-02-26 
登録番号 実用新案登録第2594389号(U2594389) 
権利者 東セロ株式会社
東京都中央区京橋1丁目5番15号
考案の名称 シークレットカード  
代理人 細井 貞行  
代理人 長南 満輝男  
代理人 早川 政名  
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