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審決分類 審判 全部申し立て   H01L
管理番号 1028357
異議申立番号 異議2000-71853  
総通号数 16 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案決定公報 
発行日 2001-04-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2000-05-01 
確定日 2000-10-16 
異議申立件数
事件の表示 登録第2601131号「セパレータ付粘着シート」の請求項1に係る考案の実用新案登録に対する実用新案登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。   
結論 登録第2601131号の実用新案登録を維持する。
理由 1.本件考案
手続の経緯
実用新案登録第2601131号の実用新案登録請求の範囲の請求項1に係る考案(以下、「本件考案」という。)は、平成1年5月12日に出願された実願平1-553030号の出願を平成6年12月15日に実用新案法第9条第1項において準用する特許法第44条第1項の規定により分割して新たな実用新案登録出願としたものであって、平成11年9月10日にその設定登録がなされ、その後、実用新案登録異議申立人岩田茂子より実用新案登録異議の申立てがなされたものである。
本件考案は、本件明細書及び図面の記載からみて、その実用新案登録請求の範囲に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。
請求項1
半導体ウエハに接着するための粘着面に、片面にエンボス加工面を有して他面にRmaxに基づく表面粗さが1?3μmの裏面を前記粘着面への接着面の全面に有するセパレータをその裏面を介し剥離容易に接着被覆して、前記粘着面の表面を平滑としたことを特徴とするセパレータ付粘着シート。
2.実用新案登録異議申立ての概要
(1)実用新案登録異議申立人は、「本件登録明細書の実用新案登録請求の範囲に記載された考案(以下、「本件考案」と略記する)は、本件の親出願である実願平1-55030号の願書に最初に添付された明細書および図面に何ら記載されていない新たな事項を要旨としている。そのため、本件は、実用新案法第9条第1項で準用する特許法第44条第1項に規定する分割出願ではないから、本件には出願日の遡及はなく、本件の出願日は、本件が実際に出願された平成6年12月15日である。
平成6年12月15日を出願日とする本件考案は、・・・甲第1号証[実願平1-55030号の明細書および図面の内容を撮影したマイクロフィルム(実開平2-146144号)]および甲第2号証(特開平3-171627号公報)に記載された考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるから、実用新案法3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができないものであり、本件考案に係る実用新案登録は、実用新案法(附則)(平成6年法律第116号)第9条第2項で準用する特許法第113条第1項第2号の規定により取り消されるべきである。」(実用新案登録異議申立書2頁24行ないし3頁20行)旨主張する。
(2)また、実用新案登録異議申立人は、「万が一、本件の出願日が本件の親出願の出願日である平成1年5月12日であるとしても、本件考案は、・・・甲第3号証:実願昭61-719540号の明細書および図面の内容を撮影したマイクロフィルム(実開昭62-184580号)]・甲第4号証:実願昭57-27359号の明細書および図面の内容を撮影したマイクロフィルム(実開昭58-131631号)]および、・甲第5号証:特開昭52-56948号公報に記載された考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであって、実用新案法3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができないものであるから、本件考案に係る実用新案登録は、実用新案法(附則)(平成6年法律第116号)第9条第2項で準用する特許法第113条第1項第2号の規定により取り消されるべきである。」(同書3頁21行ないし4頁9行)旨主張する。
3.判断
(1)分割出願の適法性について検討する。
(1-1)「半導体ウエハに接着するための粘着面に、片面にエンボス加工面を有して他面にRmaxに基づく表面粗さが1?3μmの裏面」の点についてもとの出願の願書に最初に添付した明細書(以下、「原明細書」という。)には以下の記載がある。
すなわち、従来の技術に関し、(a)「従来、粘着シートを使用するまでの間、その粘着面を被覆保護するためのセパレータとしては、両面が平滑なプラスチックフイルムなどからなるものが知られている。粘着シートにあってはその製造時や保管時などにおいて、・・・ロール状に巻取ったり、積重ねたりされる。しかしながらその際、従来のセパレータで被覆保護した粘着シートにあっては、混入した空気の逃げが悪く、ロール体の巻取圧や積層荷重により混入空気が粘着シートにクレーター状の凹凸を生じさせる問題点があった。」(1頁18行?2頁9行)との記載、
課題を解決するための手段及び実用新案登録請求の範囲の記載に関し、(b)「本考案は、エンボスシートでセパレータを形成することにより上記の課題を克服したものである。すなわち本考案は、凸部における最大曲率半径が1?10μmのエンボス面を少なくとも片面に有するエンボスシートからなり、粘着面に剥離容易に接着できるようにしてなることを特徴とするセパレータ、及びそのセパレータで粘着面を被覆してなることを特徴とする粘着シートを提供するものである。」(2頁14行?3頁3行)及び(c)「1.凸部における最大曲率半径が1?10μmのエンボス面を少なくとも片面に有するエンボスシートからなり、粘着面に剥離容易に接着できるようにしてなることを特徴とするセパレータ。
2.請求項1に記載のセパレータで粘着面を被覆してなることを特徴とする粘着シート。」との記載、
実施例に関し、(d)「本考案のセパレータは、図例のように、少なくとも片面にエンボス11を有するシート1からなる。エンボスの大きさは、空気の逃げ性及び粘着シートの粘着面のエンボスによる不都合な粗面化の防止などの点により、R max(凸部における最大曲率半径)に基づき1?10μm、就中1.5?5μmが適当である。」(3頁14行?19行)との記載、(e)「粘着シートの粘着面のエンボスによる粗面化を防止する点よりは、片面にのみエンボス面を有するシートが好ましい。」(3頁20行?4頁2行)との記載、(f)「本考案の粘着シートは、図例のように、エンボスシートからなるセパレータ1で粘着面21を被覆保護したものである。・・・片面エンボスシートからなるセパレータの場合には、非エンボス面が粘着面への接着面とされる。」(4頁18行?5頁3行)、(g)「かかる片面エンボスシートの形成は、例えば当該エンボス面を有するロールと平滑面を有するロールからなるピンチロールを介してフイルム等をエンボス加工する方法などにより行うことができる。」(4頁2行?6行)との記載、(h)ダイシング性に関し、「実施例・・・で得たロール体、積層体より・・・ダイシングシートを打抜き、そのセパレータを剥がした粘着面に・・・半導体ウエハを接着固定してダイシングし、5mm角のチップを形成した。前記において、実施例の粘着シートの場合にはウエハと粘着面の界面に洗浄液、切削屑の浸入は認められず、また切断時に形成チップが飛散することもなかった。」(7頁16行?8頁5行)との記載、
作用に関し、(i)「上記した粗さのエンボスシートからなるセパレータで粘着シートの粘着面を被覆保護することにより、エンボスに基づいてその巻取時や積重ね時における空気の逃げがよく、またセパレータと粘着シートの支持基材間にエンボスによる空隙が形成されるので、仮に空気が混入してもその空隙を介して空気が逃散し、これにより粘着シートにクレータ状の凹凸の生じることを防止される。」(3頁5行?12行)との記載、
考案の効果に関し、(j)「本考案によれば、エンボス面を有するセパレータとしたので、これを接着した粘着シートをロール体や積層体等とした場合に空気が逃げやすく、また混入した空気が逃散しやすくて、粘着シート乃至その粘着面にクレータ状の凹凸が生じることを防止することができる。その結果、その粘着シートを用いることにより、半導体ウエハの裏面研磨やダイシング等の作業における研磨不良や汚染水の浸入、形成チップの飛散等を有効に防止でき、」(8頁12行?17行)るとの記載がある。
上記記載によれば、原明細書には、考案の構成に関し、たとえば、前記実用新案登録請求の範囲の記載及び実施例の記載から明らかなように、「半導体ウエハに接着するための粘着面に、片面にエンボス加工面を有して他面に非エンボス面の裏面を前記粘着面への接着面の全面に有するセパレータをその裏面を介して剥離容易に接着被覆して、前記粘着面の表面にクレータ状の凹凸が認められない(7頁11行?12行)セパレータ付粘着シート。」が実質的に開示されている。
上記エンボス加工面に関連する記載として、前記したように、「R max(凸部における最大曲率半径)に基づき1?10μm、就中1.5?5μmが適当である。」(3頁14行?19行)との記載及び「片面エンボスシートの形成は、例えば当該エンボス面を有するロールと平滑面を有するロールからなるピンチロールを介してフイルム等をエンボス加工する方法などにより行うことができる。」(4頁2行?6行)との記載がある。そして、セパレータの片面にエンボス加工を施す場合、セパレータの他面にもそのエンボス加工に基づく凹凸が反映することがあるが、その反映により形成される凹凸は、一般的にエンボス加工面に付与される凹凸よりも小さいことは従来周知の技術的事項であるので、片面のみにエンボス加工面を有する場合、そのエンボス加工面が前記したようにR maxに基づき1.5?5μmであるときには、その裏面の表面粗さRmaxは、片面であるエンボス加工面のRmaxの値よりも小さいことは明らかであって、原明細書には、他面にRmaxに基づく表面粗さが1?3μmの裏面を有することについて明文の記載はないが、裏面のRmaxに基づく表面粗さが、片面であるエンボス加工面の表面粗さRmaxよりも小さく、1?3μmである場合を包含することは原明細書の上記記載及び周知の技術的事項に基づいて明らかである。
してみれば、原明細書には、片面に1?10μmのエンボス面を有して他面にRmaxに基づく表面粗さが、片面の表面粗さRmaxより小さく、1?3μmの裏面を有することが実質的に記載されているというべきである。
したがって、本件出願は、もとの出願の願書に最初に添付した明細書及び図面に記載された二以上の考案を包含するもとの出願である実用新案登録出願の一部を新たな実用新案登録出願とするものであるので、実用新案法第9条第1項で準用する特許法第44条第1項に規定する分割出願であるといえ、本件考案の出願は、もとの実用新案登録出願の時にしたものとみなされるので、もとの実用新案登録出願の出願日である平成1年5月12日にしたものとみなされる。
(1-2)そうすると、異議申立人が提出した甲第1号証号証及び甲第2号証は、本件出願後の平成2年12月12日及び平成3年7月25日にそれぞれ頒布されたものであるので、甲第1号証及び甲第2号証は、本件異議申立ての証拠として採用することはできない。
(2)次に、「本件の出願日が本件の親出願の出願日である平成1年5月12日であるとしても、本件考案は、・・・甲第3号証・・・:実願昭61-719540号の明細書および図面の内容を撮影したマイクロフィルム(実開昭62-184580号)]・甲第4号証:実願昭57-27359号の明細書および図面の内容を撮影したマイクロフィルム(実開昭58-131631号)]および、・甲第5号証:特開昭52-56948号公報に記載された考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであって、実用新案法3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができないものであるから、本件考案に係る実用新案登録は、実用新案法(附則)(平成6年法律第116号)第9条第2項で準用する特許法第113条第1項第2号の規定により取り消されるべきである。」(実用新案登録異議申立書3頁21行ないし4頁9行)旨の異議申立人の主張について検討する。
(2-1)上記甲第3号証には、粘着剤付きシートに関し、「粘着剤付きシートは、シート基材1に粘着剤2が塗布されており、それ自身に凹凸5が形成されたセパレータ3により粘着剤2が覆われている。セパレータ3・・・にはエンボス加工による凹凸が形成される。」との記載があり、上記粘着剤付きシートは、「ステッカ、商品ラベル、バーコード用ラベル、窓ガラスに貼り付けるシート等として使用される」(1頁12?15行参照)との記載、及び作用に関し、「本考案の粘着剤付きシートは積重ねられても、セパレータ3の外表面の凹凸5で形成される間隙により、シート基材1とプラスチックフイルムのセパレータ3との接触面で空隙が出来て、粘着剤付きシートどうしが密着状体となることがない。」との記載がある。
上記記載のものでは、シート基材1に粘着剤2が塗布されており、それ自身にエンボス加工により凹凸5が外表面に形成されたセパレータ3により粘着剤2が覆われているが、甲第3号証には、セパレータ3の粘着面に接着する裏面のRmaxに基づく表面粗さが1?3μmであることについて記載されていない。さらに、上記セパレータ3を積層した上記粘着剤付シートは、ステッカ、商品ラベル、バーコード用ラベル、窓ガラスに貼り付けるシート等として使用されるものであって、シート基材とセパレータの間に空隙ができるようにして、粘着剤付きシートどうしが密着状態になることがないようにしたものであるが、甲第3号証には、半導体ウェハに接着するために用いるものであること及び粘着剤付きシートどうしを巻回物又は積重ね体とした場合に、粘着剤付きシート間に空気が取込まれて粘着シート、ひいては粘着面に凹凸の生じることを予防するために、セパレータの外表面に取込み空気を逃すためのエンボスを設けて半導体ウェハに接着する粘着面が平滑に維持されるようにすることについて記載されていない。
甲第4号証には、「軟質薄板の表面に感圧性接着剤を形成し、外装面の表面にシリコーン系剥離層を形成してなるポリエステルフイルムを該剥離層面を介して密着させてなること」(3頁19行?4頁2行)及び「ポリエステルフイルムのシリコーン系剥離層面は、表面粗さ計にて測定すると、0.1μ以下と極めて平滑であり、これと密着させてなる感圧性接着剤層の層面粗さも0.1μ以下と平滑になる」(4頁8?12行参照)ことが記載されているが、甲第4号証記載のものは、上記ポリエステルフイルムの片面にエンボス加工面を有しておらず、また、他面にはRmaxに基づく表面粗さが1?3μmの裏面を有することについて記載されていない。
甲第5号証には、反射形偏光体について記載されていて、半導体ウェハに接着するためのセパレータ付き粘着シート、すなわち、「半導体ウェハに接着するための、片面にエンボス加工面を有して他面にRmaxに基づく表面粗さが1?3μmの裏面を有するセパレータをその裏面を介し剥離容易に接着被覆したセパレータ付粘着シート」について記載されていない。
結局、甲第3号証ないし5号証には、「半導体ウエハに接着するための粘着面に、片面にエンボス加工面を有して他面にRmaxに基づく表面粗さが1?3μmの裏面を前記粘着面への接着面の面の全面に有するセパレータをその裏面を介し剥離容易に接着被覆して、前記粘着面の表面を平滑としたこと」により特定される事項について記載されていない。
さらに、甲第3号証記載のものと甲第4号証及び甲第5号証記載のものとの組み合わせについて検討しても、上記甲号各証記載のものはそれぞれ粘着テープの利用分野が相違して技術的に共通する分野に属するものではなく、また、これらを互いに関連づけるものもないので、当業者が上記甲号各証記載のものに基づいて本件請求項1に係る考案をきわめて容易に想到しうるものでもない。
(3)むすび
以上のとおりであるから、実用新案登録異議申立ての理由及び証拠によっては、本件請求項1に係る考案の実用新案登録を取り消すことはできない。
また、他に本件請求項1に係る考案の実用新案登録を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2000-09-21 
出願番号 実願平6-17198 
審決分類 U 1 651・ 121- Y (H01L)
最終処分 維持  
前審関与審査官 石井 あき子  
特許庁審判長 蓑輪 安夫
特許庁審判官 井口 嘉和
大島 祥吾
登録日 1999-09-10 
登録番号 実用新案登録第2601131号(U2601131) 
権利者 日東電工株式会社
大阪府茨木市下穂積1丁目1番2号
考案の名称 セパレータ付粘着シート  
代理人 辻 邦夫  
代理人 辻 良子  
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