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審決分類 審判 全部申し立て   B65D
管理番号 1028374
異議申立番号 異議1999-70815  
総通号数 16 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案決定公報 
発行日 2001-04-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 1999-02-26 
確定日 2000-10-23 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 登録第2579664号「液体収納容器」の実用新案登録に対する実用新案登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。   
結論 訂正を認める。 登録第2579664号の請求項1、2に係る実用新案登録を維持する。
理由 1.手続きの経緯
本件実用新案登録第2579664号は、平成4年1月20日の実用新案登録出願に係るものであって、平成10年6月12日に設定登録され、その後、異議申立人大日本印刷(株)より異議の申立てがなされ、取消理由通知がなされ、その指定期間内である平成11年9月27日に訂正請求(後日取下げ)がなされ、訂正拒絶理由通知がなされ、再度の取消理由通知がなされ、その指定期間内である平成12年8月7日に訂正請求がなされたものである。
2.訂正の適否についての判断
2-1.訂正の内容
平成12年8月7日付けでなされた訂正請求における訂正事項は、次のとおりである。
(a)願書に添付した明細書の実用新案登録請求の範囲の請求項1の文章中に、「前記内折線にかかる切り欠きを設けたことを特徴とする液体収納容器。」とあるのを、「前記内折線にて折り込まれた折り込み部と袋内方側に突出する計量部との干渉を回避するための内折線にかかる切り欠きを設けたことを特徴とする液体収納容器。」と訂正する。
(b)同上明細書の段落番号[0005]の文章中に、「前記内折線にかかる切り欠きを設けたことを特徴とする液体収納容器。」とあるのを、「前記内折線にて折り込まれた折り込み部と袋内方側に突出する計量部との干渉を回避するための内折線にかかる切り欠きを設けたことを特徴とする液体収納容器。」と訂正する。
2-2.訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否
上記訂正事項(a)は、段落番号【0006】における、「計量部aに対応する折り込み部8の内折線9にかかる切り欠き10が設けられていることから、突出した計量部aから折り込み部8が逃げる状態となり、両者が干渉しないようになる」との記載及び図1及び図2の記載に基づくものであり、切り欠きの機能を明確にするものであるから、実用新案登録請求の範囲の減縮並びに明りょうでない記載の釈明に相当するものであって、新規事項の追加に該当せず、実質上実用新案登録請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
また、上記訂正事項(b)は、実用新案登録請求の範囲の訂正に伴う明りょうでない記載の釈明に相当するものであって、新規事項の追加に該当せず、実質上実用新案登録請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
2-3.独立登録要件
(1)訂正明細書の請求項1、2に係る考案
平成12年8月7日付け訂正明細書の請求項1、2に係る考案は、その実用新案登録請求の範囲の請求項1、2に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】
袋内方側に突出する計量部を有するキャップを取り付けた注出口付の袋をカートン内に収納して、前記注出口をカートンの傾斜したフラップから突出させた液体収納容器において、
注出口を配した前記フラップとカートン側壁との間に位置して内折線を有する折り込み部に、前記内折線にて折り込まれた折り込み部と袋内方側に突出する計量部との干渉を回避するための内折線にかかる切り欠きを設けたことを特徴とする液体収納容器。
【請求項2】
上記折り込み部と上記カートン側壁との間に弧状の折線とこの折線に沿った弧状の切り込みとを設け、注出口を配した上記フラップが前記弧状の折線と弧状の切り込みに沿って湾曲して折り倒されて曲面を呈している請求項1に記載の液体収納容器。」
(2)引用考案
上記訂正明細書の請求項1、2に係る実用新案登録に対して、異議申立人が提出し、当審が平成11年6月23日付け取消理由通知において引用した、検甲第1?3号証及び甲第1?8号証は、次のとおりである。
検甲第1号証:「DIXAN」と表示される液体収納容器におけるカートン部であり、1990年6月7日?6月13日、西ドイツ、ジュッセルドルフで開催された「インターパック’90」において証人川井孝弘氏が入手したもので、検討のため検甲第2号証である袋部とに分解されたものであり、日本に持ち帰られた後、報告され、保管されているものである。
検甲第2号証:「DIXAN」と表示される液体収納容器における袋部であり、1990年6月7日?6月13日、西ドイツ、ジュッセルドルフで開催された「インターパック’90」において証人川井孝弘氏が入手したもので、検討のため検甲第1号証であるカートン部とに分解されたものであり、日本に持ち帰られた後、報告され、保管されているものである。
検甲第3号証:「包装技術」VOL.28No.10(1990年10月号)社団法人日本包装技術協会発行
甲第1号証:
甲第1号証-1は、検甲第1号証の展開状態での縮尺複写物である。
甲第1号証-2は、検甲第1号証の折り畳み状態での縮尺複写物である。
甲第1号証-3は、検甲第1号証-2の要部翻訳文である。
甲第1号証-4は、検甲第1号証の他の折り畳み状態での縮尺複写物である。
甲第2号証:検甲第2号証の縮尺複写物である。
甲第3号証:検甲第3号証の一部複写物である。
甲第4号証:
甲第4号証-1は、証人川井孝弘氏が参加した視察団に関するパンフレットである。
甲第4号証-2は、証人川井孝弘氏が作成した平成2年6月20日付の海外出張報告書である。
甲第4号証-3は、証人川井孝弘氏が作成した平成2年6月20日付の海外出張旅費精算書である。
甲第4号証-4は、「インターパック’90報告会」への呼びかけ文、及び川井孝弘氏による報告内容である。
甲第4号証-5は、異議申立人大日本印刷株式会社が諸星インキ(株)に平成2年7月16日付で依頼した「CEBOX」の内袋の材質分析に関する平成2年7月11日付諸星インキ(株)による分析測定報告書である。
甲第5号証:実公昭54-22525号公報
甲第6号証:実公昭62-19552号公報
甲第7号証:実開昭59-10245号公報
甲第8号証:特開昭60-99870号公報
上記異議申立人が提出した検甲第1、2号証により立証される事項、検甲第3号証に記載されている事項、甲第1?3号証により立証される事項及び甲第4?8号証に記載されている事項は、次のとおりである。
検甲第1号証からは、液体洗剤「Dixan」(1.5L)用の容器を構成するカートンは、注出口が突出形成される傾斜したフラップと、この傾斜したフラップと容器側壁との間に位置する折り込み部とを有し、この折り込み部には、前記フラップとカートン側壁との間に位置する内折線が設けられると共に、この内折線にかかる切り欠きが設けられている液体収納容器用カートンであることが窺い知れる。
検甲第2号証からは、注出口付のプラスチック製袋であって、この袋がいわゆるバッグ・イン・ボックス用の袋であることが窺い知れる。
検甲第3号証には、その第88?94頁に、「Interpack 90の出品傾向とヨーロッパの包装」と題し、「液体洗剤、Dixanのスパウトつきバッグ=内袋(使い捨て)と、リサイクルできる段ボールとの組み合わせ包装によって、レスマテリアルとリサイクリングの組み合せ包装としている(写真3)。」(第89頁右欄第20?24行)と記載されるとともに、第89頁の写真3には、「Dixan」と表記される液体洗剤容器がバッグ・イン・ボックスタイプの容器として紹介されている。また、その第96?106頁に「紙器・段ボール・複合包装のいろいろ」と題し、「全世界の包装人、包装業界が注目する「インターパック’90」が、この6月の7日から13日までの一週間、西ドイツはデュッセルドルフにて開催された。」(第96頁左欄第2?5行)と記載されている。
甲第1?3号証は、それぞれ検甲第1?3号証と実質的に同じ事実を立証しようとしているものである。
甲第4号証のうち、甲第4号証-1は、証人川井孝弘が参加した日本プラスチック工業連盟企画・編成の1990年度「ヨーロッパプラスチック工業視察団、INTERPACK90 EUROPLAST90」に関する日程表、参加者名簿からなるパンフレットであり、川井孝弘がAコースに参加し、Aコースの日程として、6月5日に出発し、6月7日から9日までデュッセルドルフに滞在し、INTERPACK90を視察し、6月15日に帰国したことが記載されている。甲第4号証-2は、証人川井孝弘が作成した海外出張報告であり、甲第4号証-3は、おなじく証人川井孝弘が作成した海外出張旅費精算書であり、甲第4号証-4は、異議申立人大日本印刷株式会社内における「インターパック’90報告会」への呼びかけ文、及び、証人川井孝弘の当該報告会での報告内容であり、甲第4号証-5は、平成2年7月11日付諸星インキ株式会社による分析測定報告書である。
甲第5号証には、壜口ねじ部に螺合するねじ部を外筒部内壁に有するキャップの天板部において、その内方に壜口に緩く嵌合する計量筒体を垂設し、その計量筒体の下方開口部周縁は、ラッパ状の面取を施したシャープエッジを形成し、又この計量筒体の外側面の上方に壜口内壁に接合する環状凸条部を形成すると共にキャップ天板部に壜口の上端面に接合する楔形の環状凸条部を形成したことを特徴とする計量キャップ。」(実用新案登録請求の範囲)、「本案は漂白剤、洗剤、薬品その他の液体又は粉粒体を計量すべき筒体を、キャップの天板部に垂下形成し、この筒体により計量を行うことにより従来のキャップそのままのものを使用する場合のキャップ内壁に附着した内容液等がねじ部を伝って壜口から肩部まで流れ出してこれを汚損すると共に、キャップ閉合操作にも支障を来すことを排除することを目的とする計量キャップを提供するものである。」(第1頁第1欄第26?34行)と記載されている。
甲第6号証には、「液体取出口部の外周面に螺子部を有する容器2と、内周面に螺子部1bを有し該容器2の取出口部に被嵌螺装されるキャップ1とよりなる構成において、別途用意される有底筒状体をなす定量取出容器3の底周部を側方に延設した鍔3aとし、該鍔3aを前記キャップ1の螺子部1bに螺合し、定量取出容器3の底部がキャップ1の内底部1cに密着して取付けられていることを特徴とする液体容器における定量取出構造。」(実用新案登録請求の範囲)、「この考案は封入された液体洗剤等の定量的な取出しを閉蓋キャップの内側面に取付け自在とされたカップをもってなすようにして定量取出しの簡便化を期すと同時にキャップ被蓋部分の汚損を極力抑止するようにした定量取出構造の開示に係わるものである。」(第1頁第1欄12?17行)と記載されている。
甲第7号証には、「(1)容器に於ける液体取出口の開閉蓋内側面に、閉蓋時該容器内側方に突出する容体状の筒体を、該開閉蓋と一体となる如く構成し、且つ核突成筒縁を開閉蓋に於ける口緑より外側方に突出せしめるようにしたことを特徴とする液体容器に於ける定量取出構造。(2)前記蓋体をキャップとし、該キャップ内側面に容体状をなす筒体を一体的に突成せしめるようにしたことを特徴とする登録請求の範囲第一項記載に係る液体容器に於ける定量取出構造。」(実用新案登録請求の範囲)が記載されている。
甲第8号証には、「(1)箱型に形成され且つ少なくとも上面部(41)に折りたたみ片を有している外部容器(11)と、前記外部容器(11)の1つの側壁に設けられた開口(16)を通って延びる封鎖可能な口部分(15)を有して前記外部容器(11)の中に収容される内部袋(12)とから成り、オイル、酢、フルーツジュースのような液体類、又はばらの物品、又はこれ等の類似物を収容するように構成されている容器において、前記内部袋(12)の前記口部分(15)のための前記開口(16)は前記1つの側壁(18)の上部(17)に設けられ、この上部(17)は前記外部容器(11)が閉じられた際に内側に傾斜するように設けられ、前記開口(16)が設けられている前記側壁(18)の両側の一対の側壁(20)(20a)の前記上部(17)に隣接する部分に折りたたみ可能な三角形部分(19)が設けられ、この三角形部分(19)はこの上辺の略中間を通るこの三角形部分の二等分線(21)に沿って内側に折りたたまれるように形成されていることを特徴とする内部袋を備えた容器。(2)前記三角形部分(19)は、前記二等分線(21)で折りたたまれて内側に突出する半割部(24)(25)を有し、これ等が互いに接着されているものである特許請求の範囲第1項記載の内部袋を備えた容器。(3)前記内部袋(12)は、少なくとも前記開口(16)を囲む領域において、内側に折りたたまれた前記三角形部分(19)及び前記上部(17)に接着されているものである特許請求の範囲第1項又は第2項記載の内部袋を備えた容器。(4)前記内部袋(12)は、その一部が前記上部(17)と前記三角形部分(19)の内側への折りたたみ部分との間に置かれるように前記外部容器に収容されたものである特許請求の範囲第3項記載の内部袋を備えた容器。(5)前記内部袋(12)は、液体を収容可能なものであり、前記口部分(15)は、可撓性を有するホース部分(32)と、このホース部分(32)の延長部に設けられた出口部(33)を再封鎖可能に覆うキャップ(14)とを具備し、前記ホース部分(32)はこの軸方向の力の付与で少なくとも一部が裏返し状態となって前記外部容器(11)の内側方向に突出する位置をとり且つ前記裏返し状態を元に戻すことによって前記出口部(33)を前記内部袋(12)の液レベル(34)よりも上方に位置させることが出来るものである特許請求の範囲第1項又は第2項又は第3項又は第4項記載の内部袋を備えた容器。・・・(7)前記内部袋(12)は、前記外部容器(11)の底部及び上部に接着されたものである特許請求の範囲第1項又は第2項又は第3項又は第4項又は第5項又は第6項記載の内部袋を備えた容器。」(特許請求の範囲)が記載されている。
(3)対比・判断
まず、検甲第1号証及び検甲第2号証との組み合わせにつて検討する。検甲第3号証及び甲第3号証-2の記載、検甲第1号証のカートン及び検甲第2号証の袋の大きさなどから見て、検甲第1号証の液体収納容器用カートンと検甲第2号証のプラスチック製袋が組み合わされていわゆるバッグ・イン・ボックスと称される液体収納容器を形成しているものと認められる。
本件第1考案と検甲第1号証及び検甲第2号証から形成される液体収納容器(以下「引用容器」という。)とを対比すると、本件第1考案と引用容器は、注出口付の袋をカートン内に収納して、前記注出口をカートンの傾斜したフラップから突出させた液体収納容器において、注出口を配した前記フラップとカートン側壁との間に位置して内折線を有する折り込み部にこの内折線にかかる切り欠きを設けた液体収納容器である点で一致し、
a.本件第1考案は、注出口に袋内方側に突出する計量部を有するキャップを取り付けているのに対して、引用容器は、注出口に通常のキャップを取り付けている点、
b.本件第1考案は、内折線にかかる切り欠きが内折線にて折り込まれた折り込み部とキャップの袋内方側に突出する計量部との干渉を回避するために設けられているのに対して、引用容器は、内折線にかかる切り欠きが単に設けられているのにすぎない点、
で相違する。
上記相違点について併せて検討する。
引用容器において、注出口の外径寸法と、フラップに設けられた開口の径との間にはかなりの寸法差があるけれども、検甲第3号証をみると両者間に格別の寸法差があるとは認められないから、引用容器の注出口を、その外径寸法が、フラップに設けられた開口の径と実質的に同一のものとすることは当業者が容易に想到しうるところと認められる。
また、注出口に計量部を有するキャップを取り付けることは、甲第5?7号証に開示されるように本件出願前周知の技術であるから、引用容器の注出口に計量部を有するキャップを取り付けることは、当業者にとって格別困難性のあるものとは認められない。この時、計量部が、袋内方に突出することは甲第5?7号証に記載されている事項から見ても当然に予測される構成と認められる。
ところで、引用容器においては、折り込み部に、内折線がフラップに設けられた開口の延長線と重なる部分に対応して、内折線にかかる切り欠きを設けることにより、折り込み部が開口の延長線上に突出しないように工夫されていることは推認できるとしても、注出口の外径寸法と、フラップに設けられた開口の径との間にはかなりの寸法差があるので、この切り欠きにどのような機能があるのか検証することができず、検甲第3号証を参照して、注出口をその外径寸法が、フラップに設けられた開口の径と実質的に同一のものとすることは当業者が容易に想到しうるところとしても、依然として切り欠きにどのような機能があるのかを推認することができない。
それ故に、引用容器について、注出口をその外径寸法が、フラップに設けられた開口の径と実質的に同一のものとし、この注出口に取り付けるキャップを計量部を有するキャップとすることは当業者が容易に想到しうるところとしても、その際に、切り欠きを、内折線にて折り込まれた折り込み部とキャップの袋内方に突出する計量部との干渉を回避するためのものとすることまでも当業者がきわめて容易に想到しうるものとはいえない。
そして、上記検甲第3号証及び甲第1?8号証の記載事項をみても、上記認定を覆すに足る事実は見当たらない。
また、本件の請求項1に係る考案は、内折線にて折り込まれた折り込み部と袋内方側に突出する計量部との干渉を回避するための内折線にかかる切り欠きを設けたことにより、計量部の口径が大きいものであっても採用しうるという、明細書記載の顕著な効果を奏するものと認められる。
したがって、本件の請求項1に係る考案は、当業者がきわめて容易に想到し得るものとはいえない。
イ.本件訂正後の請求項2に係る考案について:
本件請求項2に係る考案は、本件第1考案において、傾斜したフラップを、湾曲した形状となるように構成限定したものと認められる。
したがって、本件の請求項2に係る考案は、本件第1考案と同様の理由により、当業者がきわめて容易に想到し得るものとはいえない。
(4)むすび
以上のとおりであるから、訂正明細書の請求項1、2に係る考案は、上記検甲第1?3号証及び甲第1?3号証により立証される考案、並びに、検甲第3号証及び甲第1?8号証に記載された事項に基づいて、当業者がきわめて容易に考案することができたものとはいえず、実用新案法第3条2項の規定により実用新案登録出願の際独立して実用新案登録を受けることができるものであるから、本件訂正は、平成6年法律第116号附則第9条第2項の規定により準用される特許法第120条の4第2項及び同条第3項の規定において準用する、平成6年改正法による改正前の特許法第126条第1項?第3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。
3.特許異議申立てについて
(1)本件の請求項1、2に係る考案
本件の請求項1及び2に係る考案は、上記訂正明細書の実用新案登録請求の範囲の請求項1、2に記載された事項により特定されるとおりのものである。
(2)申立ての理由の概要
申立人大日本印刷株式会社の申立ての理由の概要は次のとおりである。
本件の請求項1に係る登録実用新案は、検甲第1号証、検甲第2号証の各検証物、甲第1号証?甲第7号証の各記載、及び証人川井孝弘氏の証言から、当業者がきわめて容易に考案しえたものであり、また、請求項1に係る登録実用新案は、検甲第3号証、甲第5号証?甲第8号証の各記載、及び必要とあらば証人川井孝弘氏の証言から、当業者がきわめて容易に考案しえたものである旨主張している。
また、本件の請求項2に係る登録実用新案は、検甲第1号証?検甲第3号証の各検証物、甲第1号証?甲第8号証の各記載、及び証人川井孝弘氏の証言から、当業者がきわめて容易に考案しえたものである。
したがって、請求項1、2に係る登録実用新案は、平成6年法律第116号付則第9条第2項で準用する特許法第113条第1項第2号の規定により取り消されるべきものである。
(3)判断
本件の請求項1、2に係る考案は、上記2-3.において記載したと同様の理由により、検甲第1号証?検甲第3号証の各検証物により立証される考案、検甲第3号証の記載事項、及び甲第1号証?甲第8号証の各記載事項に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたもとはいえない。
また、尋問事項の内容からみて、証人川井孝弘の証人尋問によって上記認定を覆すに足る根拠が見いだされるものとも認められない。
したがって、証拠の組み合わせ如何に関わりなく、また、証人川井孝弘の証言をまつまでもなく、申立ての理由及び証拠によっては、本件の請求項1、2に係る実用新案登録を取り消すことはできない。
また、他に本件の請求項1、2に係る実用新案登録を取り消すべき理由を発見しない。
よって、平成6年法律第116号附則第9条第7項の規定に基づく平成7年政令第205号第3条第1項及び第2項の規定により、上記のとおり決定する。
発明の名称 (54)【考案の名称】
液体収納容器
(57)【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】
袋内方側に突出する計量部を有するキャップを取り付けた注出口付の袋をカートン内に収納して、前記注出口をカートンの傾斜したフラップから突出させた液体収納容器において、
注出口を配した前記フラップとカートン側壁との間に位置して内折線を有する折り込み部に、前記内折線にて折り込まれた折り込み部と袋内方側に突出する計量部との干渉を回避するための内折線にかかる切り欠きを設けたことを特徴とする液体収納容器。
【請求項2】
上記折り込み部と上記カートン側壁との間に弧状の折線とこの折線に沿った弧状の切り込みとを設け、注出口を配した上記フラップが前記弧状の折線と弧状の切り込みに沿って湾曲して折り倒されて曲面を呈している請求碩1に記載の液体収納容器。
【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本考案は、注出口付の袋をカートン内に収納して、注出口をカートンから突出させた構造の、いわゆるバッグ・イン・ボックスと称される液体収納容器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、液体収納容器としては、例えば特開昭60-99870号公報に示されているものがある。図10に示すように、この液体収納容器1は、ブロック状のカートン2を用いたものであって、上側部の一部を傾斜させた注出口3を配置している。そして上部を開いた状態を表す図11に示すように、袋(カートン内に設けられているもの)4の前記注出口3が係止して突出するフラップ(傾斜部分)5と側壁6(図面上、前後にある)との間には、二つの三角形のフラップ7、7が連続した折り込み部8が設けられていて、カートンの組立を容易にし、傾斜部分を有したカートン内に袋が確実に収まるように図られている。。
【0003】
【考案が解決しようとする課題】
ところで、液体収納容器に収納する内容物(例えば液体洗剤)によっては、その内容物の注出量を計って使用する場合があり、昨今においては、このような内容物の収納した容器では計量部を有するキャップが用いられている。しかしながら、上記した従来の液体収納容器で通常のキャップを取り付ける場合には問題がないが、図10に示すようにセット時に注出口を通じて袋内方側に突出する計量部aを有するキャップbを用いようとする場合、特に計量部の口径が大きい場合、折り込み部が内方に折り出されて突出しているため、この折り込み部が邪魔になり、キャップを挿入、固着できないという問題が生じていた。
【0004】
そこで、本考案は上記した事情に鑑み、上記折り込み部を有したカートンにおいて、取り付けるキャップの計量部と折り込み部とを干渉させないようにすることを課題とし、上記構造の液体収納容器に収納した内容物を、キャップの計量部で計量し、内容物の経済的な使用が行えるようにすることを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本考案は、上記した従来の課題を考慮してなされたもので、袋内方側に突出する計量部を有するキャップを取り付けた注出口付の袋をカートン内に収納して前記注出口をカートンの傾斜したフラップから突出させた液体収納容器において、注出口を配した前記フラップとカートン側壁との間に位置して内折線を有する折り込み部に、前記内折線にて折り込まれた折り込み部と袋内方側に突出する計量部との干渉を回避するための内折線にかかる切り欠きを設けたことを特徴とする液体収納容器を提供して、上記課題を解消するものである。
【0006】
【作用】
本考案においては、キャップを取り付けた計量部が注出口を通じて袋内方に突出するが、前記計量部に対応する折り込み部の内折線にかかる切り欠きが設けられていることから、突出した計量部から折り込み部が逃ける状態となり、両者が干渉しないようになる。
【0007】
【実施例】
つぎに、図1から図9に示す実施例に基づいて詳細に説明する。なお、図10、図11に示す従来例と構成が重複する部分は同符号を付してその説明を省略する。図1は液体収納容器1のカートン2を展開した状態を示す。すなわち本考案において、図示するように傾斜するフラップ5と側壁6,6との間に位置する折り込み部8には、内折線9にかかるようにして、キャップの計量部に対応する箇所が切り欠かれている。この切り欠き10はそれぞれ略楕円状に打ち抜き形成することによって得られる。なお、図中11は袋を固定するための貼着部を示す。
【0008】
そして図2に示すように、キャップbを注出口3に取り付けた場合には、計量部a側に折り込み部8,8が折り出されてくる状態となるが、この計量部aに対応する位置に上記切り欠き10が有り、計量部aから逃げた状態となって計量部aと折り込み部8とが干渉することがない。
【0009】
図3は第2の実施例を示すもので、図1におけるA部と同部を拡大した状態を示している。この第2の実施例では、内折線9の下端側から折り込み部8を略菱形状にして、かつ側壁6側に僅かな張り出し片12を残した状態で閉口部13が打ち抜き形成されている。張り出し片12の長さはフラップ5の端面5aの長さと同じであり、張り出し寸法は少なくともカートン素材の厚さ以上である。この開口部13および前記張り出し片12が設けられていることから、折り罫線が集中することによるカートン素材の破断(カートンを組み立てた時点)などが防止できるとともに、開口部13の周縁となるフラップ5の端面5aが側方に表出しないようにし、外観を整えている。図4に示すようにカートン2を組み立てたときには折り罫線が集中による盛り上がりがなく、また前記張り出し片12により端面が隠蔽される。
【0010】
さらに図5、図6、図7は他の実施例を示すものである。図5に示す例では、折り込み部8の上縁を内折線9の部分で屈曲させ全体として略く型とするとともに、切り欠き10は円孔形状として打ち抜き形成している。また図6に示す例は、同様に折り込み部8の上縁を屈曲させ、内折線9にかけて略I型の切り欠き10を形成しており、折り込み部8を折り込むことによって前記略I型の切り欠き10の部分が変形してキャップの計量部を逃げるように図られている。
図7に示す例では、切り欠き10と折り込み部8の上縁が連続し、すなわちこの折り込み部8の上縁を大きく落とし込むようにすることによって切り欠き10を形成している。このように上縁を屈曲させることにより、折り込み部の面積が小さくなり折り込み操作がより簡便になる。
【0011】
図8は上記フラップ5が曲面を呈するように設けられた液体収納容器1を示すもので、外表面が平面である容器の一部に変化を付けた例である。この例においては、図9の組立前のカートンの展開状態で示すように、弧状の張り出し片12と弧状の折線14とこの折線14の間に位置する弧状の切り込み15とが一連となってRを描くように一連に連続しており、前記折り込み15が設けられていることに加えて、折り込み部8の中間に切り欠き13を設けていることから、折り込み時に無理なく折線14が折れて、フラップ5が湾曲した状態で折り倒せるようになる。
【0012】
【考案の効果】
以上説明したように、本考案によれば、液体収納容器は、袋内方側に突出する計量部を有するキャップを取り付けた注出口付の袋をカートン内に収納して、前記注出口をカートンの傾斜したフラップから突出させた容器であり、注出口を配した前記フラップとカートン側壁との間に位置して内折線を有する折り込み部に、前記内折線にかかる切り欠きを設けたので、キャップの計量部とカートンの折り込み部との干渉がなくなり、計量部の口径が大きいものであっても、このカートンの構造を採用した液体収納容器が得られるなど、実用性に優れた効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本考案の液体収納容器に係る実施例におけるカートン展開状態を示す説明図である。
【図2】
実施例においてキャップの計量部と折り込み部とを断面で示す説明図である。
【図3】
第2の実施例における要部を拡大して示す説明図である。
【図4】
第2の実施例における張り出し片を示す説明図である。
【図5】
折り込み部の上縁を略く型状に屈曲させた例のカートン展開状態を示す説明図である。
【図6】
略I型の切り欠きを備えた折り込み部を示す説明図である。
【図7】
折り込み部の上縁を大きく落とし込ませるようにして屈曲させた例を示す説明図である。
【図8】
注出口を配したフラップが曲面を呈している容器の例を示す説明図である。
【図9】
注出口を配したフラップが曲面を呈している容器を展開して示す説明図である。
【図10】
従来例を一部切り欠いた状態で示す説明図である。
【図11】
従来例においてカートンの上部を開放した状態で示す説明図である。
【符号の説明】
1…液体収納容器
2…カートン
3…注出口
4…袋
5…フラップ
8…折り込み部
9…内折線
10…切り欠き
12…張り出し
13…関口部
15…切り込み
【図面】











訂正の要旨 (a)願書に添付した明細書の実用新案登録請求の範囲の請求項1の文章中に、「前記内折線にかかる切り欠きを設けたことを特徴とする液体収納容器。」とあるのを、実用新案登録請求の範囲の減縮並びに明りょうでない記載の釈明を目的として、「前記内折線にて折り込まれた折り込み部と袋内方側に突出する計量部との干渉を回避するための内折線にかかる切り欠きを設けたことを特徴とする液体収納容器。」と訂正する。
(b)同上明細書の段落番号[0005]の文章中に、「前記内折線にかかる切り欠きを設けたことを特徴とする液体収納容器。」とあるのを、実用新案登録請求の範囲の訂正に伴う明りょうでない記載の釈明を目的として、「前記内折線にて折り込まれた折り込み部と袋内方側に突出する計量部との干渉を回避するための内折線にかかる切り欠きを設けたことを特徴とする液体収納容器。」と訂正する。
異議決定日 2000-09-29 
出願番号 実願平4-5784 
審決分類 U 1 651・ 121- YA (B65D)
最終処分 維持  
前審関与審査官 種子 浩明  
特許庁審判長 村本 佳史
特許庁審判官 祖山 忠彦
市野 要助
登録日 1998-06-12 
登録番号 実用新案登録第2579664号(U2579664) 
権利者 凸版印刷株式会社
東京都台東区台東1丁目5番1号
考案の名称 液体収納容器  
代理人 菅井 英雄  
代理人 米澤 明  
代理人 内田 亘彦  
代理人 青木 健二  
代理人 蛭川 昌信  
代理人 白井 博樹  
代理人 阿部 龍吉  
代理人 韮澤 弘  
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