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審決分類 審判 判定 同一 属さない(申立て不成立) B21D
管理番号 1028431
判定請求番号 判定2000-60041  
総通号数 16 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案判定公報 
発行日 2001-04-27 
種別 判定 
判定請求日 2000-03-29 
確定日 2000-10-23 
事件の表示 上記当事者間の登録実用新案第1872007号「プレス用パンチのリテーナー装置」の判定請求事件について、次のとおり判定する。   
結論 イ号説明書に示す「チェンジリテ-ナ」(以下「イ号装置」という。)は、登録実用新案第1872007号の考案(以下「本件考案」という。)の技術的範囲に属しない。
理由 第一 請求の趣旨
本件判定の請求の趣旨は、イ号装置は、本件考案の技術的範囲に属する、との判定を求めるものである。

第二 本件考案の要旨
本件考案の要旨は、明細書及び図面の記載からみて、その実用新案登録請求の範囲に記載されたとおりのものであり、その構成を符号を付して分説すると、次のとおりである。
「A カム板3が前進したときはパンチ8がリテーナーブロック1の下面からストローク分突出し、且つカム板3が後退したときはパンチ8がリテーナーブロック1内にストローク分引込む如く構成したプレス用のパンチリテーナー装置において、
B カム板3及びパンチ8両移動方向と直方する方向の深横溝1aをリテーナーブロック1の上面に凹設すると共に該深横溝1a中にパンチ用嵌合孔1bを設け、
C パンチ用嵌合孔1bの仮想中心軸とカム板3の移動方向によって決まる仮想中立面に対し対称な位置に当たる深横溝の溝底に複数個のバネ用有底孔1c・・・・・・1cを設け、
D 圧縮バネ10を配して長方形状パンチセットブロック2を上下動のみ可能に深横溝1aに嵌合配置し、
E 該パンチセットブロック2に鍔付きパンチ8の段付孔2aを設け、
F カム板3に対応する傾斜面2cをパンチセットブロック2に設けたことを特徴とするプレス用パンチリテーナー装置。」

第三 イ号装置
これに対し、イ号装置は、次のとおりのものである(本件考案と対応させて、符号を付して分説して記載)。
「a カムが前進したときはパンチがリテーナー本体の下面からストローク分突出し、且つカムが後退したときはパンチがリテーナー本体内にストローク分引込む如く構成したプレス用のチェンジリテーナにおいて、
b カム及びパンチ両移動方向と直方する方向の深横溝をリテーナー本体の上面に凹設すると共に該深横溝中にパンチ用嵌合孔を設け、
c パンチ用嵌合孔の仮想中心軸とカム板の移動方向によって決まる仮想中立面に対し対称な位置に当たる深横溝の溝底4箇所のうち、カムの前進方向先側の左側と手前側の右側2箇所にはボルト用ねじ孔である貫通した小径孔とスプリング受け用段部を介して大径となった大径孔とからなるボルト・スプリング用段付孔を設け、残り2箇所にはスプリング用有底孔を設け、
d スプリングを配して長方形状パンチセットブロックを上下動のみ可能に深横溝に嵌合配置し、
e 該パンチセットブロックに鍔付きパンチの段付孔を設け、
f カムに対応する傾斜面をパンチセットブロックに設けたプレス用チェンジリテーナ。」
なお、被請求人は、請求人が提出した甲第2号証の添付書類(3)写真01?11に示されたチェンジリテーナが、被請求人が販売した商品と異なるものである旨主張している。
しかし、この主張は、被請求人が販売したチェンジリテーナとは、どのようなものであるのかを示すとともに、写真01?11に示されたチェンジリテーナとの相違を具体的に説明することにより、上記異なる旨を主張するというものではなく、単に、上記異なると主張するものであるので、このような主張は採用できない。
よって、写真01?11に示されたものは、請求人の主張のとおり、被請求人が販売したチェンジリテーナであるとして、イ号装置を上記のとおり認定した。

第四 対比・判断
一 イ号装置の構成要件a乃至fと本件考案の構成要件A乃至Fについて
1 構成要件Aについて
イ号装置の「リテーナ本体」及び「チェンジリテーナ」は、本件考案の「リテーナーブロック1」及び「パンチリテーナー装置」にそれぞれ相当するので、構成要件aと構成要件Aとに差異はなく、イ号装置の構成要件aは、本件考案の構成要件Aを充足する。
2 構成要件Bについて
構成要件bと構成要件Bとに差異はなく、イ号装置の構成要件bは、本件考案の構成要件Bを充足する。
3 構成要件Cについて
(1)イ号装置の「スプリング」及び「スプリング有底孔」は、本件考案の「圧縮バネ」及び「バネ有底孔」にそれぞれ相当している。
構成要件cと構成要件Cとを対比すると、両者とも、深横溝の溝底のパンチ用嵌合孔の仮想中心軸とカム板の移動方向によって決まる仮想中立面に対し対称な位置に複数個の孔を設けたものであり、孔の位置については、両者に差異はない。
次に、孔の形状について対比すると、上記対称な位置に設けられた孔の一方が、構成要件cでは、ボルト用ねじ孔である貫通した小径孔と圧縮バネ受け用段部を介して大径となった大径孔とからなるボルト・圧縮バネ用段付孔であって、圧縮バネを嵌合する孔ではあるが、小径のボルト用ねじ孔が貫通しており、有底孔ではないものであるあるのに対し、構成要件Cでは、バネ用有底孔である点で、両者は相違している。
(2)上記相違している点について、請求人は、ボルト・圧縮バネ用段付孔は、圧縮バネ用の底があることから、圧縮バネからみれば、バネ用有底孔であるということができる旨主張している。
(3)そこで、上記の主張について検討する。
構成要件cのボルト・圧縮バネ用段付孔は、孔が貫通しているので有底孔ではなく、そして、その貫通している孔は、ボルトがその軸部に圧縮バネを嵌めた状態で植立されるボルト用ねじ孔であって、孔が貫通している点、即ち、有底孔でない点に技術的意義を有するものである。
また、ボルト・圧縮バネ用段付孔は、ボルト用ねじ孔である貫通した小径孔と圧縮バネ受け用段部を介して大径となった大径孔とからなることにより、ボルトを植立すると共に圧縮バネを嵌合するという二つの作用を、深横溝の溝底の1箇所で行うものである。
したがって、圧縮バネだけからみて圧縮バネ用の底があるという理由から、孔が貫通しており有底孔でないボルト・圧縮バネ用段付孔を、バネ用有底孔であると認定することはできない。
これに対して、構成要件Cのバネ用有底孔は、明細書及び図面の記載からみて、ボルトを植立するものではなく、圧縮バネを嵌合するものである。
以上のとおりであるので、構成要件cのボルト・圧縮バネ用段付孔は、構成要件Cのバネ用有底孔と異なるものであり、イ号装置の構成要件cは、本件考案の構成要件Cを充足しない。
4 構成要件Dについて
構成要件dと構成要件Dとに差異はなく、イ号装置の構成要件dは、本件考案の構成要件Dを充足する。
5 構成要件Eについて
構成要件eと構成要件Eとに差異はなく、イ号装置の構成要件eは、本件考案の構成要件Eを充足する。
6 構成要件Fについて
構成要件fと構成要件Fとに差異はなく、イ号装置の構成要件fは、本件考案の構成要件Fを充足する。
二 均等の主張について
1 請求人は、ボルト・圧縮バネ用段付孔は、圧縮バネ用の底があることから、圧縮バネからみれば、バネ用有底孔と均等である旨主張している。
2 均等の判断について、最高裁平成6年(オ)第1083号判決(平成6年2月24日判決言渡)は、特許請求の範囲に記載された構成中に対象製品等と異なる部分が存する場合であっても、次の五つの要件がすべて満たされたときは、対象製品等は、特許請求の範囲に記載された構成と均等なものとして、特許発明の技術的範囲に属するものと解するのが相当であると判示している。
(1)特許請求の範囲に記載された構成中の対象製品等と異なる部分が
特許発明の本質的な部分でない。
(2)前記異なる部分を対象製品等におけるものと置き換えても、特許
発明の目的を達することができ、同一の作用効果を奏するものである。
(3)前記のように置き換えることに、当業者が、対象製品等の製造等
の時点において容易に想到することができたものである。
(4)対象製品等が、特許発明の特許出願時における公知技術と同一又
は当業者がこれから前記出願時に容易に推考できたものではない。
(5)対象製品等が、特許発明の特許出願手続において、特許請求の範
囲から意識的に除外されたものに当たるなどの特段の事情がない。
3 そこで、上記要件(1)、(2)、(4)及び(5)はとりあえず措いて、イ号装置が、先ず上記要件(3)を満たすか否かについて検討する。
上記第四の一の3の(3)で示したように、構成要件cのボルト用ねじ孔である貫通した小径孔と圧縮バネ受け用段部を介して大径となった大径孔とからなるボルト・圧縮バネ用段付孔は、構成要件Cのバネ用有底孔と異なるものであり、上記異なる部分とは、バネ有底孔であり、上記置き換える対象製品等におけるものとは、ボルト用ねじ孔である貫通した小径孔と圧縮バネ受け用段部を介して大径となった大径孔とからなるボルト・圧縮バネ用段付孔ということになるので、以下、上記ボルト・圧縮バネ用段付孔を上記バネ有底孔に置き換えることの置換容易性について検討する。
本件明細書及び図面に記載された実施例において、ボルト11を植立するための有底螺子孔1dがバネ有底孔とは異なる位置に設けられていることから、バネ有底孔は圧縮バネを嵌合するためだけのものであって、バネ有底孔と同じ位置でボルトを植立することを要しないものと認められる。
そうすると、上記の置き換えは、ボルトを植立することを要しないバネ有底孔を、ボルトを植立するボルト・圧縮バネ用段付孔に置き換えることになり、ボルトに関しては、必要性のないものの置き換えとなり、このような置き換えが容易に想到できたものとすることはできない。
なお、請求人からは、上記の置き換えが容易であると判断するに足る証拠は、何ら示されていない。
以上のとおり、イ号装置は、均等の判断に当たっての上記要件(3)を満たしていないので、上記他の要件について判断するまでもなく、イ号装置が本件考案と均等なものであるとすることはできない。

第五 むすび
以上のとおりであるから、イ号装置は、本件考案の技術的範囲に属するものとすることはできない。
よって、結論のとおり判定する。
別掲
判定日 2000-09-28 
出願番号 実願昭61-126046 
審決分類 U 1 2・ 1- ZB (B21D)
最終処分 不成立  
特許庁審判長 小池 正利
特許庁審判官 中村 達之
宮崎 侑久
登録日 1991-11-19 
登録番号 実用新案登録第1872007号(U1872007) 
考案の名称 プレス用パンチのリテ-ナ-装置  
代理人 前田 弘  
代理人 竹内 宏  
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