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審決分類 審判 判定 同一 属する(申立て成立) F16L
管理番号 1028436
判定請求番号 判定2000-60121  
総通号数 16 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案判定公報 
発行日 2001-04-27 
種別 判定 
判定請求日 2000-08-30 
確定日 2000-11-13 
事件の表示 上記当事者間の登録第2127199号の判定請求事件について、次のとおり判定する。   
結論 (イ)号図面及びその説明書に示す「ロ?タリジョイント」は、登録第2127199号実用新案の技術的範囲に属する。
理由 1.請求の趣旨
本件判定請求は、イ号物件説明書並びにそれに添付した図面(以下、「イ号図面」という。)に記載されたもの(以下、「イ号物件」という。)が、登録実用新案第2127199号の技術的範囲に属する、との判定を求めたものである。
2.本件登録実用新案
本件登録実用新案は、明細書及び図面の記載からみて、その実用新案登録請求の範囲請求項1に記載されたとおりのものであり、その構成を分説して符号(A乃至E)を付して記載すると次のとおりのものである。
A.内部に回転側流路が形成された回転管軸と、内部に固定側流路が形成されたフローティングシートとを備えたシールジョイント部がジョイントボディの内部に形成され、
B.前記回転管軸は、内部に回転側クーラント液流路が形成されたスピンドルの後端部に固定されると共に、内部の回転側流路が前記回転側クーラント液流路に連通され、かつ回転管軸の後端面が回転側シール面に形成され、
C.前記フローティングシートは、内部に固定側クーラント液流路が形成されたジョイントボディに軸方向に摺動可能に支持されると共に、内部の固定側流路が前記固定側クーラント液流路に連通され、かつフローティングシートの前端面が固定側シール面に形成され、
D.前記フローティングシートが前方に摺動して固定側シール面が回転側シール面に当接することにより、固定側流路と回転側流路とが接続されるロータリジョイントにおいて、
E.前記回転管軸がジョイントボディに対して軸支部を持たない片持状態で、前端部がスピンドルの後端部に固定されていることを特徴とするロータリジョイント。
3.イ号物件
イ号物件説明書及びイ号図面には下記のとおり記載されている。なお、本件登録実用新案との対比を行うため、その構成を分節して符号(a乃至h)を付して記載した。
「以下に添付図面を参照しつつイ号物件を説明する。なお、図面の符号については、本件登録実用新案第2127199号に係る実公平7-46861号公報の図面と対応するものに同じ符号を用いた。
a.イ号物件は工作機械のスピンドルにクーラント液(冷却液)を供給するときに用いるロータリジョイント(回転管継手)であり、回転管軸1、フローティングシート2、及びジョイントボディ4(以下、「ボディ」という。)から成る。
b.回転管軸1はその前端部外周に雄ネジが、内部に軸方向に流路10が、後端面にシール面11がそれぞれ形成されている。この回転管軸1はその雄ネジをスピンドルの内部に軸方向に形成されているクーラント液流路の後端部内周に形成されている雌ネジに螺合することによってスピンドルに固着され、前記流路10とスピンドル内部のクーラント液流路とが連通される。
c.フローティングシート2は筒状に形成され、ボディ4内部のクーラント液流路41に軸方向に摺動可能に遊嵌されている。フローティングシート2の内部には軸方向に前記クーラント液流路41と連通する流路20が、前端面にはシール面22がそれぞれ形成されている。
d.ボディ4にはその内部に軸方向にクーラント液流路41が形成され、その前半部にフローティングシート2が遊嵌される。ボディ4は工作機械の固定部分に固着することによって固定される。
e.回転管軸1とボディ4との間に軸支部は設けられていない。
f.ボディ4の内壁とフローティングシート2の外壁にはそれぞれ段差が設けられ、環状の与圧室6が形成されている。
g.ボディ4前端内壁とフローティングシート2前端周縁部との間にはスプリングが介装され、フローティングシート2を後方に付勢している。このことによりクーラント液を供給していない非通液時にはシール面11とシール面22とは互いに離間している。
h.クーラント液の供給が開始されるとフローティングシート2の外壁段差面61及び後端面に加わる液圧によりフローティングシート2はスプリングの押圧に抗して前方に摺動し、シール面11とシール面22とが当接する。このことによりクーラント液はクーラント液流路41、流路20、流路10を経てスピンドル内のクーラント液流路に供給される。」
4.対比
そこで、本件登録実用新案とイ号物件を対比、判断する。
(1)前記構成要件Aについて
イ号物件の流路10はスピンドルとともに回転する回転管軸1の内部に軸方向に設けられた回転側流路であり(上記記載b)、また、流路20は、フローティングシート2の内部に軸方向に形成された固定側流路である(上記記載c)。そして、固定側流路である流路20が形成されたフローティングシート2は、ジョイントボディ4内部のクーラント液流路41に軸方向に摺動可能に遊嵌されるとともに(上記記載c)、ジョイントボディ4は工作機械の固定部分に固着されており(上記記載d)、また、回転管軸1のシール面11とフローティングシート2のシール面22とによりシールジョイント部を形成するので(上記記載h)、イ号物件は本件登録実用新案の構成要件Aを充足する。
(2)前記構成要件Bについて
イ号図面にはスピンドルの記載はないが、イ号物件説明書の記載によれば、回転管軸1は、後端面に回転側シール面11が形成されているとともに、その雄ネジをスピンドルの内部に軸方向に形成されているクーラント液流路の後端部内周に形成されている雌ネジに螺合することによってスピンドルに固着されており(上記記載b)、また、内部の回転側流路10が固定側クーラント液流路41に連通されている(上記記載b)。したがって、イ号物件は本件登録実用新案の構成要件Bを充足する。
(3)前記構成要件Cについて
イ号物件のクーラント液流路41は、工作機械の固定部分に固着されるジョイントボディ4の内部に形成された固定側クーラント液流路であり(上記記載d)、フローティングシート2内部の固定側流路20が固定側クーラント液流路41に連通されている(上記記載c)。そして、フローティングシート2は、ジョイントボディ4前端内壁とフローティングシート前端周縁部との間に介装されたスプリングの押圧に抗して摺動可能となっており(上記記載h)、また、フローティングシート2の前端面には固定側シール面22が形成されているので(上記記載c)、イ号物件は本件登録実用新案の構成要件Cを充足する。
(4)前記構成要件Dについて
イ号物件のフローティングシート2は、前方に摺動してその固定側シール面22が回転側シール面11に当接することにより、固定側流路20と回転側流路10とが接続されるので(上記記載g及びh)、イ号物件は本件登録実用新案の構成要件Dを充足する。
(5)前記構成要件Eについて
イ号物件の回転管軸1は、その前端部がスピンドルの後端部に螺合して固着されるとともに(上記記載b)、ジョイントボディ4との間に軸支部が設けられていないので(上記記載e)、イ号物件は本件登録実用新案の構成要件Eを充足する。
6.むすび
以上のとおり、イ号物件は本件登録実用新案の構成要件を全て充足しているから、イ号物件は、これに限れば、本件登録実用新案の技術的範囲に属する。
よって、結論のとおり判定する。
別掲
判定日 2000-10-24 
出願番号 実願平2-93207 
審決分類 U 1 2・ 1- YA (F16L)
最終処分 成立    
前審関与審査官 秋月 均佐藤 洋  
特許庁審判長 吉国 信雄
特許庁審判官 船越 巧子
市野 要助
登録日 1996-07-15 
登録番号 実用新案登録第2127199号(U2127199) 
考案の名称 ロ?タリジョイント  
代理人 今村 定昭  

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