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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 E04F |
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管理番号 | 1032455 |
審判番号 | 審判1999-4039 |
総通号数 | 17 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 実用新案審決公報 |
発行日 | 2001-05-25 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 1999-03-15 |
確定日 | 2001-01-04 |
事件の表示 | 平成 8年実用新案登録願第 11593号「階段踏板用支持具」拒絶査定に対する審判事件[平成 9年 6月24日出願公開、実開平 9- 371]について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯・本願請求項1に係る考案 本願は、平成4年12月24日の出願された実願平4-93256号の出願を、平成8年10月25日に実用新案法第9条第1項において準用する特許法第44条第1項の規定により分割して新たな実用新案登録出願としたものであって、その請求項1に係る考案(以下、「本願請求項1に係る考案」という。)は、平成11年3月15日付け手続補正書により全文補正された明細書及び図面の記載からみて、その実用新案登録請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものと認める。 「【請求項1】 複数の取付け用孔(3)が形成された、全体が略L字状の支持体(1)と、該支持体(1)の略L字状に対して支持体(1)の両端部間を略対角線状に結びかつ、その両端部が所定角度に屈曲された支持体(1)の両端部に重畳する支持片部分を有するとともに前記支持体両端部との間で共通取付け用孔を形成する位置に取付け用孔(3’)が穿設された、前記支持体(1)とは別体の補強体(2)とから構成されたことを特徴とする階段踏板用支持具。 」 2.引用文献記載の考案 これに対して、原査定の拒絶の理由に引用され、本願の出願前に国内において頒布された刊行物である実願昭49-5665号(実開昭50-145517号)のマイクロフィルム(以下、「引用文献1」という。)には、 「本考案は、……2枚の側板(3)間に段板(2)を配置し、段板(2)の裏面両端部にねじのような固着具(4)にて固着せるアングル材(5)を側板(3)にねじボルトのような側板用固着具(6)にて固定し、……て成る階段に係るものであって、」(第1頁第12?18行)、 「段板(2)の裏面の両端部にはそれぞれアングル材(5)の横片がねじのような固着具(4)にて固着してある。……しかして相対する2枚の側板(3)間に段板(2)を配置して段板(2)の裏面両端部に固着せる固着具(4)の縦片をねじボルトのような側板用固着具(6)にて側板(3)に固着し、」(第2頁第10?18行)と記載されている。 そして、第4図には、「アングル材(5)は、横片と縦片からなる全体が略L字状に形成され、その横片を段板(2)にねじ(4)にて固着し、その縦片を側板(3)にねじボルト(6)にて固着して、側板(3)に段板(2)を固着する階段段板固着具であること。」が記載されていると認められ、また、アングル材(5)に、ねじ(4)を挿通する孔を設けることは、自明の事柄であり、ねじボルト(6)を挿通する孔を設けることは、第3図に記載されている。 以上の明細書及び図面の記載からみて、引用文献1には、以下の考案が記載されていると認められる。 「複数のねじ等の挿通孔が形成された、横片と縦片とで全体が略L字状に形成されたアングル材(5)からなり、その横片を段板(2)にねじ(4)にて固着し、その縦片を側板(3)にねじボルトのような側板用固着具(6)にて固着することにより、側板(3)に段板(2)を固着した階段段板固着具。」 同じく、実願昭48-46669号(実開昭49-149514号)のマイクロフィルム(以下、「引用文献2」という。)には、 「この実用新案は、細長い鉄板を桁7と桁7´の隅に当る部分を直角に折り、……頭部3を内側に折り重ねて釘孔3´を設け、足部4を本体1の端に重ねて釘孔4´を設け、桁7と桁7´がずれぬように本体1を桁7、7´に重ねて、釘3´´、4´´、5´、6´で止めて使用するものである。 本案は細長い鉄板を桁7と桁7´との隅に密着するように直角に折り、……頭部3を内側に折り重ねて釘孔3´を設ける。頭部3から伸びる支板2の端を本体1の端に密着する角度に折り足部4とし、足部4に釘孔4´を設ける。……本体1を内側に折り重ねて、頭部3とし釘孔3´を設けたのは、本体1をL型にし、支板2を別々に設けるより、本体1を一本化にして、頭部で本体1と支板2とを折り重ねて同じ釘孔3´に同じ釘3´´で止めることは本体1と支板2を堅固にするためである。足部4もその意味で、本体1の端に足部4を重ね、本体1の端と足部4の釘孔4´を同一にし、同じ釘4´´で同時に止めることは、本体1の端と足部4が桁7を堅固に止めることになるためである。本体と一本化した支板2を設けることにより、桁7、7´を内側や外側にずれるのを防ぐためのものである。」(第1頁第6行?第2頁第13行)及び 「本体1の一部を内側に折り重ねて頭部3とし、頭部3に本体1と同一の釘孔3´を設け、本体1と一本化した支板2を設け、その端を本体1の端に密着する角度に折って足部4とし、足部4と本体1の端に同一の釘孔4´を設け、桁7と桁7´を堅固に支える桁止の形状及び構造。」(第2頁第15行?第3頁第5行)と記載されている。 そして、第4頁の第1図上?下図には、「本体1には、複数の釘孔3´、4´、5、6が形成され、支板2は、本体1のL型に対して本体1の両端部間を略対角線状に結び、その両端部の頭部3及び足部4が所定角度に屈曲して本体1の両端部に重畳するとともに前記本体1両端部との間で共通釘孔を形成する位置に釘孔3´、4´が穿設されていること。」が記載されていると認められる。 以上の明細書及び図面の記載からみて、引用文献2には、以下の考案が記載されていると認められる。 「複数の釘孔3´、4´、5、6が形成された、全体がL型の本体1と、該本体1のL型に対して本体1の両端部間を略対角線状に結びかつ、その両端部が所定角度に屈曲して本体1の両端部に重畳する頭部3及び足部4を有するとともに前記本体1両端部との間で共通釘孔を形成する位置に釘孔3´、4´が穿設された支板2を本体1より折り曲げて、本体1と一体化し形成された桁7と桁7´を支える桁止。」 3.対比 本願請求項1に係る考案と引用文献1記載の考案とを比較すると、 引用文献1記載の考案の「ねじ等の挿通孔」、「アングル材(5)」及び「階段段板固着具」は、夫々本願請求項1に係る考案の「取付け用孔」、「支持体」及び「階段踏板用支持具」に相当しているから、 本願請求項1に係る考案と引用文献1記載の考案とは、 「複数の取付け用孔が形成された、全体が略L字状の支持体からなる階段踏板用支持具。」 である点で一致しているが、下記の点で相違している。 (相違点) 本願請求項1に係る考案は、支持体の略L字状に対して支持体の両端部間を略対角線状に結びかつ、その両端部が所定角度に屈曲された支持体の両端部に重畳する支持片部分を有するとともに前記支持体両端部との間で共通取付け用孔を形成する位置に取付け用孔が穿設された、前記支持体とは別体の補強体とから構成されているのに対して、引用文献1記載の考案は、そのような構造を具備していない点。 4.当審の判断 上記相違点について検討すると、 引用文献2には、「複数の釘孔(本願請求項1に係る考案の「取付け用孔」に相当する。以下括弧内は、本願請求項1に係る考案の相当する事項を示す。)が形成された、全体がL型(略L字状)の本体(支持体)と、該本体のL型に対して本体の両端部間を略対角線状に結びかつ、その両端部が所定角度に屈曲して本体の両端部に重畳する頭部及び足部(支持片部分)を有するとともに前記本体両端部との間で共通釘孔(共通取付け用孔)を形成する位置に釘孔3´、4´(取付け用孔(3’))が穿設された支板(補強体)とから構成された桁止。」という考案が記載されており、本願請求項1に係る考案は、該引用文献2記載の考案とは、(1)本願請求項1に係る考案は、階段踏板用支持具であるのに対して、引用文献2記載の考案は、桁止である点及び(2)本願請求項1に係る考案は、支持体と補強体とは別体に形成されているのに対して、引用文献2記載の考案は、支持体と補強体とは一体に形成されている点で、一応相違している。 そこで、更に検討すると、(1)点については、両者共、直角に結合する二つの建築用部材を支持固定するものであり、この共通する機能に照らせば、引用文献2記載の考案の桁止を本願請求項1に係る考案のような引用文献2記載の考案を本願請求項1に係る考案のような階段踏板用支持具に転用することが、格別困難なこととも認めらず、当業者であれば、きわめて容易に想到できることにすぎないというべきである。 また、(2)点については、引用文献2には、上記2.引用文献記載の考案の引用文献2として摘示したように、「本体1を内側に折り重ねて、頭部3とし釘孔3´を設けたのは、本体1をL型にし、支板2を別々に設けるより、本体1を一本化にして、頭部で本体1と支板2とを折り重ねて同じ釘孔3´に同じ釘3´´で止めることは本体1と支板2を堅固にするためである。足部4もその意味で、本体1の端に足部4を重ね、本体1の端と足部4の釘孔4´を同一にし、同じ釘4´´で同時に止めることは、本体1の端と足部4が桁7を堅固に止めることになるためである。」と記載され、本願請求項1に係る考案のような支持体と補強体とを別体に形成したものも示唆されており、加えて、引用文献2の係る記載と同様、一体するか、別体にするかは、設計において当然勘案することであり、(2)点については、引用文献2記載の考案から、当業者がきわめて容易に設計変更できることにすぎない。 以上、総合判断すれば、本願請求項1に係る考案と引用文献1記載の考案との上記相違点は、引用文献2記載の考案より、当業者がきわめて容易に想到できることにすぎず、そして、上記相違点における本願請求項1に係る考案の事項により奏される効果に、格別なものも認められない。 5.むすび したがって、本願請求項1に係る考案は、上記引用文献1及び上記引用文献2記載の考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるから、実用新案法第3条第2項の規定により、実用新案登録を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2000-10-12 |
結審通知日 | 2000-10-27 |
審決日 | 2000-11-07 |
出願番号 | 実願平8-11593 |
審決分類 |
U
1
8・
121-
Z
(E04F)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 青山 敏、蔵野 いづみ |
特許庁審判長 |
樋口 靖志 |
特許庁審判官 |
宮崎 恭 藤枝 洋 |
考案の名称 | 階段踏板用支持具 |