ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード |
審決分類 |
審判 全部申し立て B21D |
---|---|
管理番号 | 1032507 |
異議申立番号 | 異議1999-72803 |
総通号数 | 17 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 実用新案決定公報 |
発行日 | 2001-05-25 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 1999-07-21 |
確定日 | 2001-01-05 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第2588959号「トランスファフィーダ」の請求項1に係る実用新案登録に対する実用新案登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第2588959号の請求項1に係る実用新案登録を取り消す。 |
理由 |
1.手続の経緯 本件実用新案登録第2588959号は、平成5年5月20日の出願であって、平成10年11月13日に設定登録され、平成11年7月21日に実用新案登録異議申立人住友重機械工業株式会社より実用新案登録異議の申立てがなされ、当審の平成11年11月15日付第1回目の取消理由通知に対して、実用新案権者は、平成12年2月7日付実用新案登録異議意見書及び訂正請求書を提出した。そして、当審の平成12年6月28日付第2回目の訂正拒絶理由通知を兼ねる取消理由通知に対する、実用新案権者による応答は無かった。 2.訂正請求に対する独立特許要件の検討 1)訂正請求による実用新案登録請求の範囲について 実用新案登録時における、本件実用新案登録明細書の実用新案登録請求の範囲の請求項1に記載された、 「【請求項1】 ワーク搬送方向Aに並設された一対のトランスファバ-3を、トランスファプレス2の上流側及び下流側に設置された駆動ユニット4,5によりリフト方向c及びクランプ方向bへ駆動するようにしたトランスファフィ-ダにおいて、上記上流側駆動ユニット4及び下流側駆動ユニット5をトランスファプレス2の上流側及び下流側の上部にそれぞれ設置し、かつこれら上流側駆動ユニット4及び下流側駆動ユニット5に各トランスファバ-3を吊り下げて設けると共に、上記上流側駆動ユニット4及び下流側駆動ユニット5の少なくとも一方に、トランスファバー3をフィード方向aへ駆動するフィード機構17を付加してなるトランスファフィーダ。」を、実用新案登録請求の範囲の減縮を目的として、 「【請求項1】ワーク搬送方向Aに並設された一対のトランスファバー3を、 トランスファプレス2の上流側及び下流側に設置された駆動ユニット4,5によ りリフト方向c及びクランプ方向bへ駆動するようにしたトランスファフイーダ において、駆動ユニット4,5内にリフトモータにより上下動可能としたリフト キャリヤ7を設け、上記リフトキャリヤ7に支承され、クランプモータ28によ りリフトキャリヤ7に沿って接離方向へ移動可能としたリフト杵8を有するクラ ンプキャリヤ6を設け、上記上流側駆動ユニット4及び下流側駆動ユニット5を トランスファプレス2の上流側及び下流側の上部にそれぞれ設置し、かつこれら 上流側駆動ユニット4及び下流側駆動ユニット5内のクランプキャリヤ7に各トランスファーバー3を吊り下げて設けると共に、上記上流側駆動ユニット4及び 下流側駆動ユニット5の少なくとも一方に、リフト杵8の下端に取り付けられフ ィードモータ19により各トランスファバー3をフイード方向aへ移動可能とし たフィードキャリヤ18を有するフィード機構17を付加したことを特徴とする トランスファフイーダ。」 と訂正する。 なお、上記「クランプキャリヤ7」は、「クランプキャリヤ6」の誤記と認められる。 2)独立特許要件 (1)引用例 実願平3-62185号(実開平5-9726号)のCD-ROM(以下「引用例」という。)には、次の事項が記載されている。 ア. 「ワーク搬送方向Aに並設された一対のトランスファバ-3をトランスファプレス2の上流側及び下流側に設置した駆動ユニット4,5により吊り下げ、かつこれら駆動ユニット4,5内に上記トランスファバー3をクランプ及びリフト方向へ駆勤するクランプ機構及びリフト機構を設け、また、上記トランスファバ-3を移動自在に支承するフィードキャリヤ18にサーボモータよりなるフィ-ドモ-夕20を設け、かつこのフィードモータ20によりフィード方向に設けられたボ-ルねじ軸21に螺合するボールナット22を回転すると共に、上記ボ-ルねじ軸21の一端側をトランスファバ-3に固着してなるトランスファフィ-ダ。」(実用新案登録請求の範囲、請求項1) イ. 「図1はトランスファプレスの平面図、図2は同正面図を示すもので、これら図において1はトランスファプレス2内に設置されたトランスファフィーダの本体を示す。 上記本体1はワーク搬送方向Aに沿って並設された一対のトランスファバー3を有していて、これらトランスファバー3の両端側はトランスファプレス2の上流側に設置された駆動ユニット4と、下流側に設置された駆動ユニット5により上方から吊り下げられて、フィード方向(矢印a)とクランプ方向(矢印b)及びリフト方向(矢印c)方向の3次元方向へ駆動されるようになっている。」(段落0006) ウ. 「また上記クランプキャリヤ6にはそれぞれボールナット15が設けられていて、これらボ-ルナット15はワーク搬送方向Aと直交するクランプ方向bに横架されたボ-ルねじ軸16に螺合されている。 上記ボールねじ軸16は中央部より両端側が逆ねじとなっていてクランプモー 夕19によりこのボールねじ軸16を回転させることにより、各クランプキャリ ヤ6を接離方向へ駆動できるようになっている。」(段落0009) エ. 「一方上記クランプキャリヤ6に上下動自在に支承されたリフト杵8の下端にはフィードキャリヤ18が取付けられている。 そしてこれらフィードキャリヤ18にサーボモータよりなるフィードモータ2 0が搭載されている。 上記フィードキャリヤ18上にはフィード方向aにボールねじ軸21が設けら れていて、このボールねじ軸21に上記フィードモータ20により回転されるボ -ルナット22が螺合されている。 上記ボールねじ軸21の一端側はトランスファバ-3の上面にプラケット23を介して固着されていて、回転しないようになっている。」(段落0010) オ. 「また上記トランスファバー3はフィードキャリヤ18の下部に設けられた複数のローラ24に上部両側に突設されたガイドレール3aが支承されていて、上記フィードモータ20によりボールねじ軸21を介して各トランスファバー3がフィード方向aへ駆動されるようになっている。」(段落0011) カ. 「上記各駆動ユニット4,5はトランスファプレス2の前後アプライト2a間に取付けられたボックス4a,5a内にクランプキャリヤ6とその上方にリフトキャリヤ7が設置されている。」(段落0007) キ. 「この考案は以上詳述したように、フィード機構をトランスファバーに設けたことから、従来のようなフィードボックスを必要としない。」(段落0014) ク. 第1図及び第2図を参照すると、上流側の駆動ユニット4及び下流側の駆動ユニット5が、トランスファプレス2の上部に上流側及び下流側においてそれぞれ設けられていることが認められる。 上記ア乃至クの記載事項より、刊行物には次の考案が記載されていると言える。 「ワーク搬送方向Aに並設された一対のトランスファバー3を、トランスファプレス2の上流側及び下流側に設置された駆動ユニット4,5によりリフト方向c及びクランプ方向bへ駆動するようにしたトランスファフイーダにおいて、駆動ユニット4,5内にリフトモータにより上下動可能としたりフトキャリヤ7を設け.上記リフトキャリヤ7に支承され,クランプモータ19によりリフトキャリヤ7に沿って接離方向へ移動可能としたリフト杵8を有するクランプキャリヤ6を設け、上記上流側駆動ユニット4及び下流側駆動ユニット5をトランスファプレス2の上流側及び下流側の上部にそれぞれ設置し、かつこれら上流側駆動ユニット4及び下流側駆動ユニット5内のクランプキャリヤ6に各トランスファーバー3を吊り下げて設けると共に、上記上流側駆動ユニット4及び下流側駆動ユニット5の少なくとも一方に、リフト杵8の下端に取り付けられフィードモータ20により各トランスファバー3をフイード方向aへ移動可能としたフィードキャリヤ18を有するフィード機構を付加したことを特徴とするトランスファフイーダ。」 (2)対比・判断 本件訂正による請求項1に係る考案(前者)と、引用例に記載の考案(後者)を比較すると、両者に格別な相違点は認められず、両者は一致している。したがって、本件訂正による請求項1に係る考案は、引用例に記載されており、実用新案法第3条第1項第3号の規定に該当する。 3)まとめ 以上のとおりであるから、本件訂正による請求項1に係る考案は、実用新案登録出願の際独立して実用新案登録を受けることができないものであり、実用新案法で準用する、特許法第120条の4第3項で更に準用する特許法第126条第3項の規定に違反しており、上記訂正は認められない。 3.実用新案登録異議の申立についての判断 1)本件考案 本件考案は、上記実用新案登録時の実用新案登録請求の範囲の請求項1に記載されたとおりのものである。 2)実用新案登録異議申立ての理由の概要 実用新案登録異議申立ての理由の概要は、実用新案登録異議申立人住友重機械工業株式会社より、特公昭54-3261号公報(甲第1号証)を提出して、本件実用新案登録の請求項1に係る考案は、上記甲第1号証の刊行物に記載された考案であるから、実用新案法第3条第1項第3号の規定に違反してなされたものであり、取り消されるべきものであるというにある。 3)当審の判断 (1)引用例 当審による上記平成12年6月28日付訂正拒絶理由通知を兼ねる取消理由通知で引用した上記2.2)(1)の引用例における、上記ア乃至クの各項目の記載事項より、引用例には次の考案が記載されていると言える。 「ワーク搬送方向Aに並設された一対のトランスファバ-3を、トランスファプレス2の上流側及び下流側に設置された駆動ユニット4,5によりリフト方向c及びクランプ方向bへ駆動するようにしたトランスファフィ-ダにおいて、上記上流側駆動ユニット4及び下流側駆動ユニット5をトランスファプレス2の上流側及び下流側の上部にそれぞれ設置し、かつこれら上流側駆動ユニット4及び下流側駆動ユニット5に各トランスファバ-3を吊り下げて設けると共に、上記上流側駆動ユニット4及び下流側駆動ユニット5の少なくとも一方に、トランスファバー3をフィード方向aへ駆動するフィード機構を設けたトランスファフィーダ。」 (2)対比・判断 本件上記実用新案登録時の実用新案登録請求の範囲の請求項1に係る考案(前者)と、上記引用例に記載の考案(後者)を比較すると、両者に格別な相違点は認められず、両者は一致している。したがって、本件実用新案登録時の請求項1に係る考案は、引用例に記載されており、実用新案法第3条第1項第3号の規定に該当する。 4.まとめ 以上のとおりであるから、本件請求項1に係る考案は、引用例に記載されており、実用新案法第3条第1項第3号の規定に該当し、その実用新案登録は取り消すべきものである。 |
異議決定日 | 2000-11-16 |
出願番号 | 実願平5-26281 |
審決分類 |
U
1
651・
113-
ZB
(B21D)
|
最終処分 | 取消 |
前審関与審査官 | 川端 修 |
特許庁審判長 |
小池 正利 |
特許庁審判官 |
三原 彰英 鈴木 孝幸 |
登録日 | 1998-11-13 |
登録番号 | 実用新案登録第2588959号(U2588959) |
権利者 |
株式会社小松製作所 東京都港区赤坂二丁目3番6号 |
考案の名称 | トランスファフィーダ |
代理人 | 浜本 忠 |
代理人 | 高橋 邦彦 |
代理人 | 羽片 和夫 |
代理人 | 佐藤 嘉明 |