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審決分類 審判 全部申し立て   B65H
審判 全部申し立て   B65H
管理番号 1032513
異議申立番号 異議2000-70593  
総通号数 17 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案決定公報 
発行日 2001-05-25 
種別 異議の決定 
異議申立日 2000-02-08 
確定日 2000-12-27 
異議申立件数
事件の表示 実用新案登録第2598784号「印刷装置」の請求項1、2に係る実用新案登録に対する実用新案登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。   
結論 登録第2598784号の請求項1ないし2に係る実用新案登録を維持する。
理由 (1)本件考案
本件実用新案登録第2598784号(平成3年2月20日出願、平成11年6月18日設定登録。)の請求項1ないし2に係る考案は、平成11年2月3日付補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、その実用新案登録請求の範囲の請求項1及び請求項2に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
【請求項1】 印刷された用紙を機外に排出する排出手段を有する印刷装置
本体と、該印刷装置本体の用紙排出方向側の側端側に並べて設置され、搬送された用紙を複数の用紙受けトレイに順次排出させる丁合装置と、前記印刷装置本体と丁合装置の間にて印刷装置本体に支持されており、前記排紙手段から排出された用紙を積載可能な排紙トレイと、前記排紙手段から排出された用紙を丁合装置本体内に受け入れる第1位置と前記排紙トレイに排紙させる第2位置との間で選択的に揺動される用紙案内装置とを有し、積載モードでは前記排紙手段から排出された用紙を前記排紙トレイに排出させ、丁合モードでは前記排紙手段から排出された複数の用紙を丁合装置に搬送する印刷装置において、
前記排紙トレイは、前記用紙案内装置の下方で、かつ用紙排出方向の下流側が下方となるように傾斜して配置されているとともに、排出された用紙の先端を突き当てて用紙排出方向に用紙を整合する第1整合部材を備えていることと、前記用紙案内装置は前記第1位置と第2位置とへの揺動支点が前記排紙手段の排紙口より上方に設けられ、前記印刷装置本体と前記丁合装置本体との間で、かつ前記用紙案内装置と前記排紙トレイ間に形成される空間が、前記印刷装置本体の用紙排出口から用紙排出方向に向かって上下方向に対して末広がりに形成されているとともに前記用紙案内装置が前記第1位置のとき前記丁合装置の上部に向けて用紙を案内することとを特徴とする印刷装置。
(請求項1には「前記用紙搬送装置」との記載があるが、これは「前記用紙案内装置」の誤記であるので、上記のように認定した。以下、「本件考案1」という。)
【請求項2】 前記排紙トレイには、用紙をその幅方向に整合する第2整合部材を有し、該第2整合部材と前記第1整合部材との間に開口部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
(以下、「本件考案2」という。)
(2)異議申立ての理由の概要
申立人 井原好明は、次の1)乃至3)の理由を主張している。
1)本件考案1における「前記用紙案内装置と前記排紙トレイ間に形成される空間が、前記印刷装置本体の用紙排出口から用紙排出方向に向かって上下方向に対して末広がりに形成されている」という構成を採用したことによる効果に関する明細書の記載に不備があり、実用新案法第5条第3項の規定に違反している。(以下、「申立て理由1」という。)
2)本件考案1は、甲第1号証(実願昭55-17999号(実開昭57-103968号)のマイクロフィルム)及び甲第2号証(特開昭54-42146号公報)に記載された考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案できたものであり、実用新案法第3条第2項の規定に違反する。(以下、「申立て理由2」という。)
3)本件考案2は、甲第1号証、甲第2号証及び甲第3号証(実願昭62-124498号(実開昭64-29346号)のマイクロフィルム)に記載された考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案できたものであり、実用新案法第3条第2項の規定に違反する。(以下、「申立て理由3」という。)
(3)申立て理由1について
申立人は、用紙案内装置と排紙トレイ間に形成される空間が印刷装置本体の用紙排出口から用紙排出方向に向って上下方向に対して末広がりに形成されるのは丁合モード時のみであることを前提として、丁合モード時には排紙トレイに紙が排出されないから用紙の印刷状況が確認できるという明細書記載の効果を奏し得ない旨主張しているが、本件考案1は上記において認定したとおり丁合モード時であっても積載モードであっても用紙案内装置と排紙トレイ間に形成される空間が印刷装置本体の用紙排出口から用紙排出方向に向って上下方向に対して末広がりに形成されると認められるから、この構成によって用紙の印刷状況が確認できるという明細書記載の効果を奏するのであって、明細書の記載に不備があるとは認められない。また、申立人は、末広がりというだけでは実際のサイズが不明確であり印刷状況が確認できるとは限らないとも主張するが、「用紙案内装置と排紙トレイ間に形成される空間」には排紙手段から排出された用紙が積載されるのであるから、ある程度以上のサイズの空間であることは明らかであり、申立人の主張は採用できない。本件明細書の記載に申立人主張の不備はなく、実用新案法第5条第3項の規定に違反するものではない。
(4)申立て理由2について
[記載事項]
甲第1号証には、次の事項が記載されている。
明細書第2頁第1?4行「4は印刷機1から排出された紙5を自動丁合機2に搬入する搬送機で、この搬送機4は印刷機1の排紙口と自動丁合機2の搬入口との間に架設される。」
明細書第3頁第7?13行「搬送機4は印刷機1と自動丁合機2との間に排紙台6の取付空間及び作業空間が十分取れるだけの長さを有しており、自動丁合機2の使用時には搬送機4を印刷機1の排紙口と自動丁合機2の搬入口との間に架設し、排紙台6の使用時或は印刷機1の清掃時には搬送機4を印刷機1から取り外して自動丁合機2に格納している。」
第1図には、排紙台を用紙排出方向の下流側が可能となるように傾斜して配置されている点及び排出された用紙の先端を突き当てて用紙排出方向に用紙を整合する部材を備える点が記載されている。
甲第2号証には次の事項が記載されている
公報第2頁左下欄第13行?右下欄第1行には「トレイを選択したときは第1図のベルト19が点線の如く第1の排出ローラ50から紙が排出される様移動する。ソータを選択したときは実線の如く第2の排出ローラ51から紙が排出する様ベルト19がセットされる」
第1図の記載も参照すると、用紙案内装置は第1位置と第2位置とへの揺動支点が排紙手段の排紙口より上方に設ける点が記載されている。
[対比・判断]
しかしながら、甲第1号証記載の考案においては、本件考案1における「用紙案内手段」に相当する搬送機4は、本件考案1における「排紙トレイ」に相当する排紙台6を使用する場合には、取り外されてしまうのであるから、用紙案内装置と排紙トレイ間に空間はもともと存在せず、「前記用紙案内装置と前記排紙トレイ間に形成される空間が、前記印刷装置本体の用紙排出口から用紙排出方向に向かって上下方向に対して末広がりに形成されている」構成は記載されているとは認められない。
また、甲第2号証にもこの構成は記載されていない。
そして、本件考案1はこの構成により、明細書記載の格別の効果を奏するのであるから、甲第1号証及び甲第2号証記載の考案から当業者がきわめて容易に考案できたものとは言えない。
(4)申立て理由3について
甲第3号証の図面には、「用紙をその幅方向に整合する第2整合部材」に相当する排紙側板8が記載されている。
しかしながら、本件考案2は、本件考案1をさらに限定するものであって、上記(3)で検討したとおり、甲第1号証乃至甲第3号証に記載されていない「前記用紙案内装置と前記排紙トレイ間に形成される空間が、前記印刷装置本体の用紙排出口から用紙排出方向に向かって上下方向に対して末広がりに形成されている」という構成を有し、しかもこの構成により格別の効果を奏するのであるから、本件考案2は、甲第1号証乃至甲第3号証から当業者がきわめて容易に想到しうるものとは言えない。

(5)むすび
以上のとおりであるから、登録異議申立ての理由及び証拠によっては本件請求項1ないし2に係る考案の実用新案登録を取り消すことはできない。
また、他に本件請求項1ないし2に係る実用新案登録を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2000-12-06 
出願番号 実願平3-7527 
審決分類 U 1 651・ 121- Y (B65H)
U 1 651・ 531- Y (B65H)
最終処分 維持    
前審関与審査官 永安 真堀井 啓明佐々木 一浩  
特許庁審判長 村本 佳史
特許庁審判官 西村 綾子
門前 浩一
登録日 1999-06-18 
登録番号 実用新案登録第2598784号(U2598784) 
権利者 株式会社リコー
東京都大田区中馬込1丁目3番6号
考案の名称 印刷装置  
代理人 伊藤 武久  
代理人 藤田 アキラ  

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