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審決分類 審判 一部無効 2項進歩性 無効とする。(申立て全部成立) A47C
管理番号 1036020
審判番号 新実用審判1999-40003  
総通号数 18 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案審決公報 
発行日 2001-06-29 
種別 無効の審決 
審判請求日 1999-03-02 
確定日 2001-02-28 
事件の表示 上記当事者間の登録第3003385号「ベッド」の実用新案登録無効審判事件についてされた平成11年7月19日付け審決に対し、東京高等裁判所において審決取消の判決(平成11年(行ケ)第307号平成12年9月28日判決言渡)があったので、さらに審理のうえ、次のとおり審決する。   
結論 実用新案登録第3003385号の請求項に係る考案についての実用新案登録を無効とする。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 1.本件実用新案登録第3003385号(以下「本件実用新案登録」という。)は、平成6年4月20日に出願され、平成6年8月10日に設定登録がされ、その後、実用新案法第14条の2の規定に基づき、平成9年4月14日差出の実用新案登録訂正書により実用新案登録請求の範囲の請求項1、請求項2乃び請求項7が削除され、平成9年審判第40031号に係る平成10年6月8日付け審決により、請求項3及び請求項5に係る考案の登録が無効とされた結果、本件実用新案登録に係る考案は、明細書及び図面の記載からみて、実用新案登録請求の範囲の請求項6及び請求項8に記載された以下のものと認める。
「【請求項6】
弾発部材Sが一対の第1・第2引張バネ33、34から成ると共に、第1引張バネ33は前べッド半体2の前端と中間支持脚12の間に張架され、かつ、第2引張バネ34は後べッド半体3の後端と中間支持脚12の間に張架された請求項1記載のべッド。(請求項1:前べッド半体2及び後べッド半体3を備え、上記前べッド半体2と後べッド半体3を、水平展開自在、かつ該前べッド半体2の裏面2a側と該後べッド半体3の裏面3a側が相 互に近接する倒立V字型に折畳み自在として、枢着すると共に上記倒立V字型の方向へ折畳まれるように弾発付勢する弾発部材Sを設けたことを特徴とするべッド。)
【請求項8】
弾発部材Sが一対の第1・第2引張バネ33、34から成ると共に、第1引張バネ33は前ベッド半体2の前端と中間支持脚12の間に張架され、かつ、第2引張バネ34は支持台枠31と中間支持脚12の間に張架された請求項3記載のベッド。
(請求項3:後端位置に支持台枠31を備え、後べッド半体3の後端部を上下揺動自在として該支持台枠31に枢着した請求項1記載のベッド。)」

2.これに対して、請求人は、「登録第3003385号実用新案登録の明細書の請求項6に係る考案についての登録を無効とする。審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求めるものであって、請求の理由は、「請求項6に係る考案は、甲第1号証?甲第6号証に記載された考案に基づいて、当業者がきわめて容易に考案できたものであり、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができないものであるから、実用新案法第37条第1項第2号の規定により無効とされるべきである。」というにある。
そして、以下の証拠方法を提出している。
甲第1号証:実願昭52-123831号(実開昭54-49209号)のマイクロフィルム
甲第3号証:特開昭56-1120号公報
甲第4号証:特開昭53-149452号公報
甲第5号証:米国特許第2781525号明細書
甲第6号証:米国特許第2730727号明細書
(なお、甲第2号証は取り下げられた。)
一方、被請求人は、「本件審判請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする」との審決を求め、「請求項6に係る本件考案は、甲第1号証?甲第6号証に記載された考案と構成を相違し、これらの各号証では全く期待しがたい顕著な効果を奏する考案であ(る。)」旨答弁している。

3.本件審判事件について、平成11年7月19日付け(同年8月30日送達)で、「本件審判の請求は、成り立たない。審判費用は、請求人の負担とする。」との審決がされたが、請求人より審決取消訴訟が提起され(東京高等裁判所平成11年(行ケ)第307号)、平成12年3月30日に審決取消の判決言渡があった。それに対して、被請求人より上告された(平成12年(行ヒ)第231号)が、平成12年9月28日に上告審として受理しない旨の決定があり、上記審決取消の判決は確定した。
しかして、上記判決の概要は以下のとおりである。
「(2)相違点についての判断
・・・甲第4号証によれば、同号証には、「ベッド本体(1)より垂下している連結材(10)はベッド本体(1)に対して回動自在に枢支しており、連結材(10)の長さ及び連結材(10)より張架せるバネ材(12)の長さ及びバネ材(12)のそれぞれの取り付け位置は、バネ材(12)が格納ベッドの動作状態及び動作位置にかかわらず、常に略一定の張架状態を保てるように選定することが望ましい。又連結材(10)は格納ベッドを平設した際には、格納ベッドを床面(14)より支持する支持脚の役目をも果たすことも出来る。本発明は上記の如く構成されており、本発明による格納ベッドを起倒する際には、その起倒動作時点すべてで格納ベッドはバランスを略保っているので、わずかの外力を附与するのみで格納ベッドを起倒自在に操作出来る効果を有したものであり、」(2頁左下欄5行ないし20行)と記載されていることが認められ、これらの記載及び第3、第4図によれば、甲第4号証には、ベッド本体1自体は折り畳まれないとしても、ベッド本体の裏面略中央部に設けてある回転軸8に回動自在に枢支されている化粧支持板9とベッド本体の半分が倒立V字型に折り畳まれるものにおいて、倒立V字型の頂点部分から垂下している支持脚の役目を有する連結材10から両側にベッドと支持板との間で張架された引張バネによって、ベッドを起倒する際にわずかの外力を付与することのみで格納ベッドを起倒自在に操作し得るものが開示されていることが認められる。
・・・そして、甲第1号証の考案と甲第4号証の発明は、共に折畳み式のベッドに関する技術であるから、前ベッド半体及び後ベッド半体を備え、上記前ベッド半体と後ベッド半体を、水平展開自在、かつ該前ベッド半体の裏面側と該後ベッド半体の裏面側が相互に近接する倒立V字型に折畳み自在として、枢着すると共に、上記倒立V字型の方向へ折畳まれる際にスプリングにより補助力を付与する機構を設けた甲第1号証の構成に、倒立V字型の頂点部分から垂下している支持脚の役目を有する連結材から両側のベッドと支持板との間にそれぞれ張架された引張バネという甲第4号証の構成を組み合わせることは、当業者が極めて容易に考案をすることができたものと認められる。
・・・さらに、甲第6号証によれば、同号証には、折畳み式のシート及びベッドにおいて、3分割されたシート面のうち2面を倒立V字状に折畳み自在となるように枢着されたものにおいて、折畳みシートの片側のみに1個のスプリングを装着したものであるが、その張架位置は、一方は中央支持脚であり、他方はシート体の端からごくわずか入った位置であるものが図示されていることが認められる。この記載によれば、折畳み式ベッドの折畳みを容易にするために必要な補助量等に応じて、スプリングの張架位置の他方をシート体の端そのものとすることも、開示されているに等しい事項と認められる。
これによれば、上記イの甲第1号証の構成に倒立V字型の頂点部分から垂下している支持脚の役目を有する連結材から両側のベッドと支持板との間にそれぞれ張架された引張バネという甲第4号証の構成を組み合わせたものに、更に甲第6号証のスプリングの張架位置の他方をシート体の端そのものとすることを組み合わせることは、当業者が極めて容易に考案をすることができたものと認められる。
・・・」
4.本件請求項6に係る考案は、上記判決に示された理由により、甲第1号証、甲第2号証及び甲第4号証に記載された考案に基づいて当業者がきわめて容易になし得たものであるというべきである。

5.したがって、本件請求項6に係る考案の実用新案登録は、実用新案法第3条第2項の規定に違反してされたものであるから、同法第37条第1項第2号の規定により無効とすべきである。また、審判に関する費用については、実用新案法第41条で準用する特許法第169条第2項でさらに準用する民事訴訟法第61条の規定により、被請求人が負担すべきものとする。
審理終結日 1999-07-08 
結審通知日 1999-07-08 
審決日 1999-07-19 
出願番号 実願平6-5542 
審決分類 U 1 122・ 121- Z (A47C)
最終処分 成立    
特許庁審判長 佐藤 洋
特許庁審判官 和泉 等
青山 紘一
熊倉 強
藤本 信男
登録日 1994-08-10 
登録番号 実用新案登録第3003385号(U3003385) 
考案の名称 ベッド  
代理人 綿貫 達雄  
代理人 名嶋 明郎  
代理人 山本 文夫  
代理人 中谷 武嗣  

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