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審決分類 審判 全部無効 2項進歩性 無効とする。(申立て全部成立) E02B
管理番号 1036046
審判番号 審判1999-35183  
総通号数 18 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案審決公報 
発行日 2001-06-29 
種別 無効の審決 
審判請求日 1999-04-19 
確定日 2001-04-09 
事件の表示 上記当事者間の登録第2505301号実用新案「護岸用コンクリ?トブロック」の実用新案登録無効審判事件について、次のとおり審決する。   
結論 実用新案登録第2505301号の請求項1及び2に係る考案についての実用新案登録を無効とする。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 第一 本件考案
本件実用新案登録第2505301号の請求項1及び請求項2に係る考案(平成3年8月19日出願、平成8年5月16日設定登録)は、訂正された明細書及び図面の記載からみて、その実用新案登録請求の範囲の請求項1及び請求項2に記載されたとおりの次のものと認める。
「【請求項1】 ブロック本体の奥行き方向の途中に上下方向に貫通する鉄筋孔を設け、前面部には表面側に開口するとともに奥端が前記鉄筋孔より手前の空部を形成し、上記した空部内には玉石、その他の天然石、若しくは人工石、その他の材質からなって微細空間が形成される充填材を収納し、上記した空部の開口部をネットからなる通水材で閉塞してなる護岸用コンクリートブロック。
【請求項2】 空部の開口周縁には段部を形成し、上記した段部内で開口部を閉塞したネットからなる通水材の周縁部分を止着してなる請求項1に記載の護岸用コンクリートブロック。」

第二 請求人の主張
請求人は、甲第1?9号証を提出して、請求項1に係る考案は、甲第1?7号証記載の考案に基づいて、請求項2に係る考案は、甲第1?7号証記載の考案と甲第8号証及び甲第9号証記載の周知慣用技術に基いて、当業者がきわめて容易に考案し得たものであるから、実用新案法3条2項の規定により実用新案登録を受けることができないものであり、本件実用新案登録は同法37条1項1号により、無効とすべきであると主張している。
又、平成11年12月10日に特許庁審判廷において行われた口頭審理での合議体からの審尋に基いてなされた主張(平成11年12月20日付け口頭審理陳述要領書参照のこと)によれば、請求項1及び2に係る各考案は、甲第1?3号証、及び平成11年11月5日付け口頭審理陳述要領書とともに提出した特開平3-103523号公報(参考資料2)にそれぞれ記載された考案に基いて、当業者がきわめて容易に考案し得たものであるから、実用新案法3条2項の規定により実用新案登録を受けることができないものであり、本件実用新案登録は同法37条1項1号により、無効とすべきであると主張している。
なお、提出した証拠方法及び参考資料を示すと以下のとおりとなる。
甲第1号証:実願昭61-108044号[実開昭63-14624号]の マイクロフィルム
甲第2号証:実願昭58-6794号[実開昭59-116444号]のマ イクロフィルム
甲第3号証:実願昭63-151050号[実開平2-70668号]のマ イクロフィルム
甲第4号証:特開平2-66207号公報
甲第5号証:特開昭58-24008号公報
甲第6号証:特開昭64-75705号公報
甲第7号証:防災研究会編「平成10年版災害復旧工事の設計要領」268 頁[ふとんかご(階段式)]平成10年7月25日83版発行 (改定)、発行者社団法人全国防災協会
甲第8号証:実願昭59-119028号[実開昭61-35950号]の マイクロフィルム
甲第9号証:特開平2-200910号公報
甲第10号証:通知書(東京地裁平成10年(ヨ)22126号)
甲第11号証:仮処分命令申立書(東京地裁平成10年(ヨ)22126号)
参考資料1:平成9年異議第70424号異議決定
参考資料2:特開平3-103523号公報
参考資料3:特開昭63-36723号公報

第三 被請求人の主張
被請求人は、「本件審判請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求めるとして、請求人の主張は採用できないとしている。
特に、口頭審理での合議体からの審尋に基いてなされた請求人の主張に対し、平成12年4月14日付け答弁書の記載によれば、概略、以下の主張を行っている。
本件登録実用新案によれば、請求項1では構成要件を不離一体に、分離不能に結合することにより格別顕著な作用効果を奏するものである。
甲第1号証の護岸用ブロックに対して、その表面側に凹部を設けて微細空間が形成される充填材を収納し、空部の開口部をネットからなる通水材で閉塞するという構成要件を追加しようとする発想自体に無理がある。甲第2号証は、護岸用コンクリートブロックではなく、棚板の上面に盛られる土は互いの間に微細空間を構成するものではない。さらに、甲第3号証の魚巣ブロックに対しても、空洞の開口に仕切壁を設けて石の脱落を防止するようにしているため、空部の開口部をネットからなる通水材で閉塞するという構成要件を追加しようとする発想には無理がある。参考資料2については、充填剤の構成及び作用効果が相違する。
かりに、甲第1号証の護岸用ブロックに対して甲第3号証及び参考資料2に記載された構成を転用することができたとしても、本件考案の構成を想到し得ることはきわめて容易なことではないし、本件考案の作用効果を期待できるものではない。
結局、これら甲第1号証ないし甲第3号証及び参考資料2のいずれであっても、「前面部には表面側に開口するとともに奥端が前記鉄筋挿通孔より手前の空部を形成し、この空部に微細空間が形成される充填材を収納し、かっこの開口部をネットからなる通水材によって閉塞する」という構成は開示も示唆もされていない。そして、本件の請求項1に係る考案は、この構成により、各証拠からは到底期待することのできない作用効果を奏するものである。よって本件請求項1の考案が、これらの証拠からきわめて容易に考案することができたとする請求人の主張は、全く根拠がないものであり、到底認めることはできない。
又、請求項2に係る考案について、参考資料2には、「開口24は、…耐食性のプラスチックのメッシュ状または格子状のる材脱出防止部材26で閉じられている。」と記載されているだけであって、段部とは一言一句も記載されていないし、しかも段部の構成を示唆する記載すら存在しない。したがって、参考資料2については、請求人が故意に歪曲した解釈をしているだけであって、このような主張は到底認容することができない。

第四 当審における検討
一 甲各号証等の記載事項
1 甲第1号証(実願昭61-108044号[実開昭63-14624号]のマイクロフィルム)
甲第1号証には、
(1) 「ブロック本体に縦方向の鉄筋挿通孔を一定間隔で左右に穿設し、該ブロック本体の表面部には裏面部に向かって凹陥する凹部を設け、ブロック本体を護岸に設置した状態で、上流側に位置する凹部の側面を表面部に対してほぼ直角に形成し、下流側に位置する凹部の側面を表面部に対して緩やかに連続させてなる護岸用ブロック本体。」(実用新案登録請求の範囲)、
(2) 「この考案は、河川や湖、海などの護岸を構築すると共に、護岸を魚礁として利用することのできる護岸用ブロックに関する。」(明細書1頁14?16行)、
(3) 「ブロック本体1には上端面2から下端面3に向かって縦方向の鉄筋挿通孔11、11を一定間隔で左右に穿設する。尚、図面の実施例によれば、鉄筋挿通孔11は隆出部8から溝部9に向けて設けてあり、隆出部8側が大きく、溝部9側が小さくなるようにテーパー状に形成してある。そして、表面部6には、裏面部7に向け凹陥する凹部12を設ける。凹部12は上記鉄筋挿通孔11、11の間に位置し、ブロック本体1を護岸に設置した状態で、・・・連続させる。」(同3頁15行?4頁8行)、
(4) 第1?7図、
の記載があり、これらの記載からみて、同号証には
「ブロック本体の奥行き方向の途中に上下方向に貫通する鉄筋挿通孔を設け、表面部には表面側に開口するとともに奥端が前記鉄筋挿通孔よりもブロック本体の裏面側に位置し、ブロック本体の裏面にも鉄筋挿通孔にも非連通である凹部を形成してなる護岸用ブロック」
が記載されているものと認められる。

2 甲第2号証(実願昭58-6794号[実開昭59-116444号]のマイクロフィルム)
甲第2号証には、
(1) 「造成地等の法面に沿って積上げ可能に形成した擁壁板と、該擁壁板から前方に突設した植生が可能な程度の土壌のできる棚板とを備え、上記擁壁板の裏面には上下方向に延びる溝部を設けたことを特徴とする植生ブロック。」(実用新案登録請求の範囲)、
(2) 「本考案は造成地等の法面の擁壁形成と緑化とを行なえる植生ブロックの改良に関するものである。」(明細書1頁11、12行)
(3) 「植生ブロック10は第3図ないし第6図に示す如く、法面20に沿って積上げ可能に形成した擁壁板11と、土盛が可能な如く該擁壁板11の下部から前方に突設した棚板12とを備え、擁壁板11の背面には左右の側面寄りにそれぞれ一本づつ上下方向に延びる溝部13が設けられている。14は左右側面寄りにそれぞれ一つづつ設けた立板であり、該立板14は擁壁板11と棚板12とを連結し棚板12の耐久性を増大するとともに、植生ブロック10の積上げをより適確に行なえるようにしたものである。」(同2頁17?3頁8行)
(4) 「土盛が可能な如く前方に棚板を突設した擁壁板の裏面に、上下方向に延びる溝部を設けたので、該植生ブロックを法面に沿って積上げるに際し、溝部に鉄筋を挿通しこの溝部と法面との間の空間部にコンクリート、モルタル等を打込むことにより、各々の植生ブロックを一体化でき、従って擁壁体としての安定度を増大できる。また、溝部は擁壁板の裏面側に設けられているため、鉄筋の挿入が非常に簡単であり、積上作業能率を向上できる等の効果がある。」(同6頁1?10行)
(5) 第1?6図、
の記載があり、これらの記載からみて、同号証には
「ブロック本体の背面に上下方向に貫通する鉄筋挿通溝部を設け、前面部には表面側に開口するとともに奥端が前記鉄筋挿通溝部より手前の棚板部を形成し、上記した棚板部内には土盛を収納してなる植生コンクリートブロック」
が記載されていると認められる。

3 甲第3号証(実願昭63-151050号[実開平2-70668号]のマイクロフィルム)
甲第3号証には、
(1) 「略直方体形状を有するコンクリート製のブロック1A、1Bの内部に空洞2を設け、前記ブロックの前面に前記空洞内への魚の出入口3を設け、前記ブロックの上面には前記空洞内に栗石や砕石等を投入する石投入口7を設けたことを特徴とする魚巣ブロック。」(実用新案登録請求の範囲請求項1)、
(2) 「本考案は、魚の棲みかとなる空洞を設けたものに於いて、この空洞内の棲息環境を改善する様にした魚巣ブロックに関する。」(明細書2頁5?7行)
(3) 「そこで、本考案の目的は、魚の棲みかとなる空洞内に餌となる水苔や藻等が着生し易く、且つ産卵場所としても適する様に、この空洞内に栗石等を投入し易い形状とすると共に、空洞内を川水が良好に流通して酸素が補給され、然も、大雨の時にはこの水流が過度に激しくならない様に、川水の出人口を配設した魚巣ブロックを提供するにある。」(同4頁4?11行)
(4) 「ブロック1A、1Bの布設の際に、その上面に設けた石投入口7から栗石や砕石等を空洞2内に容易に投人することが出来るので、これによって空洞内には水苔や藻等が着生して魚の棲息環境が、良好になり、且つ産卵場所が提供される。そして、この魚巣ブロックを用いて護岸を築いた状態で、・・・」(同5頁10?16行)
(5) 「魚巣ブロックを構成するコンクリート製のブロック1A,1B(以下単に1Aという)は略直方体をなして、内部に第2図の様に直方体形状をした空洞2を設けている。このブロック1Aの前面(川の流れに臨む面)には、空洞2に連通する魚の出入口3が設けてあり、出入口3には、その上下方向の中間よりやや下寄りの箇所に水平に仕切壁4を設けている。」(同6頁12?19行)
(6) 「ブロック1Aの上面には、栗石や砕石等Aを投入する為の石投入口7を設けている。第3図に於いて8は石投入口の蓋である。」(同7頁11?13行)
(7) 「ブロック1A、1Bは第4図に示した様に、従来の魚巣ブロックと同様にして布設し護岸を構築するが、その際に、ブロック1Aとブロック1Bとを交互に横並びに布設して行き、ー段積み終わる毎に、各石投入口7から第3図に示す様に栗石又は砕石Aを空洞2内に投入する。投入量は仕切壁4の上面に達する程度が良く、投入し終われば蓋8を閉ざす。投入された石は仕切壁4によって空洞2内から転げ出ることが防がれ、仕切壁4の下側部分に於いても空洞2内への川水の流通が行なわれる。」(同8頁17行?9頁7行)
(8) 「そして、各空洞2内の底部には、栗石や砕石等Aが投入されているので、従来の単なるコンクリート製の魚巣ブロックとは異なって、水苔や藻等が良く着生して魚にとって望ましい棲息環境が作り出されると共に、好もしい産卵場所を提供する。」(同11頁7?11行)
(9) 「この投入された粟石等に水苔や藻等が着生して望ましい魚の棲息環境が整えられると共に、産卵場所が提供される。」(同12頁13?15行)
(10) 第1?4図、
の記載があり、これらの記載からみて、同号証には
「前面には表面側に開□する空洞を形成し、上記した空洞内には栗石や砕石等の天然石からなって微細空間が形成される充填材を収納し、上記した空洞の出入口に仕切壁を設けてなる護岸用コンクリートブロックに組込まれる魚巣ブロック」
が記載されていると認められる。

4 参考資料2(特開平3-103523号公報)
参考資料2には、
(1) 「水路または護岸に用いられるブロック本体から成る水路・護岸用ブロックにおいて、前記ブロック本体は水浄化機能を有する微生物が生育する多数のろ材が充填された中空部を有し、前記中空部はその内部に水が環流する開口を有することを特徴とする水路・護岸用ブロック。」(特許請求の範囲)、
(2) 「本発明は、各種の排水路の側壁または床あるいは海辺の護岸等を作るのに用いられるコンクリート等のブロックに関し、特に排水路を流れる汚水または海の水を浄化することができるようにしたブロックに関するものである。」(同公報1頁左下欄13?17行)
(3) 「本発明の目的は、上記の欠点を回避し、流水を阻害することがなく水を浄化することができ、また設置が容易である水路・護岸用ブロックを提供することにある。」(同2頁左上欄3?6行)
(4) 「このように、水路の側壁、床等または海岸の護岸に用いられるブロック内に水浄化機能を有するろ材が充填されているので、水路または護岸工事をするだけで水路または海岸に水浄化手段が設置され、従って設置が容易であり、またろ材は水流に抵抗を与えることがなく、従って流水を阻害したり、ごみが引っ掛かったりすることがない。」(同2頁左上欄17行?右上欄4行)
(5) 「ブロック本体12は、水浄化機能を有する微生物が生育する多数のろ材20(第5図参照)が充填された中空部22を有し、この中空部22はその内部に水が環流する開口24を有する。開口24は、ろ材が中空部22から脱出するのを防止するために、耐食性のプラスチックのメッシュ状または格子状のろ材脱出防止部材26で閉じられている。開口24は、ブロック本体12の壁の多数のスリットまたは小穴とし、ろ材脱出防止部材26は、このスリットまたは小穴のまわりの壁であってもよい。ろ材脱出防止部材26をブロック本体12の開口24の縁に取り付けてもよいが、例えば、ろ材20を入れた網篭ごとブロック本体12内に入れると、開口24はこの網篭の網によって閉じられるので開口24の縁にろ材脱出防止部材26を取り付ける必要がなく好ましい。ろ材20は、例えば、第5図(A)(B)に示すように、表面積が大きく水の流れに方向性がなく種々の微生物が生育し易いプラスチック製波付け筒体から成っており、第5図(B)のろ材20は波付け筒体の一部に浄化されるべき水が環流する開口20aを有するのが示されている.尚、このろ材20は、排水中の有機物を分解し水を浄化すべき多数の微生物が増殖することができるものであれば、波付け筒体以外に他の任意な形態とすることができる。」(同2頁右上欄18行?右下欄4行)
(5) 第1?6図、
の記載があり、これらの記載からみて、同号証には
「ブロック本体の前面部には表面側に開口する中空部を形成し、上記した中空部内にはろ材からなって微細空間が形成される充填材を収納し、上記した中空部の開ロ部をメッシュ状又は格子状のろ材脱出防止部材で閉塞し、中空部の開ロ周縁には開ロ部を閉塞したメッシュ状又は格子状のろ材脱出防止部材の周縁部分を止着してなる、水路・護岸用コンクリートブロック」
が記載されていると認められる。

二 本件請求項1に係る考案と、甲第1号証に記載されたものとの対比、検討
1 対比
本件請求項1に係る考案と甲第1号証に記載されたものとを対比すると、甲第1号証に記載されたものにおける、「鉄筋挿通孔」、「表面」、「凹部」は、それぞれ本件請求項1に係る考案における、「鉄筋孔」、「前面」、「空部」に相当するものであり、又、上記甲第1号証におけるような護岸用ブロックにおいて、そのブロックをコンクリート製とするようなことは周知・慣用の技術手段であることを考慮すると、両者は、「ブロック本体の奥行き方向の途中に上下方向に貫通する鉄筋孔を設け、前面部には表面側に開口する空部を形成してなる護岸用コンクリートブロック」である点で一致し、以下の点で相違する。
相違点1
本件請求項1に係る考案においては、その空部は、「奥端が鉄筋孔より手前」に形成されるのに対し、甲第1号証に記載されたものにおける凹部(空部)は、奥端が鉄筋挿通孔(鉄筋孔)よりもブロック本体の裏面側に位置し、ブロック本体の裏面にも鉄筋挿通孔(鉄筋孔)にも非連通に形成され、このような構成を有しない点。
相違点2
本件請求項1に係る考案においては、「空部内には玉石、その他の天然石、若しくは人工石、その他の材質からなって微細空間が形成される充填材を収納」するのに対し、甲第1号証に記載されたものでは、このような構成を有しない点。
相違点3
本件請求項1に係る考案においては、「空部の開口部をネットからなる通水材で閉塞し」ているのに対し、甲第1号証に記載されたものでは、このような構成を有しない点。

2 相違点に対する検討
(1) 相違点1について
さきに検討したように、甲第2号証において、「ブロック本体の背面に上下方向に貫通する鉄筋挿通溝部を設け、前面部には表面側に開口するとともに奥端が前記鉄筋挿通溝部より手前の棚板部を形成し、上記した棚板部内には土盛を収納してなる植生コンクリートブロック」が開示されている。
甲第1号証は護岸用ブロックに関するものであり、甲第2号証は植生ブロックに関するものであり、何れも本件考案の請求項1に係る考案における護岸用コンクリートブロックとは技術的に関連性が強い点を考慮すると、甲第1号証に記載されたものにおける凹部(空部)を、甲第2号証に記載された棚板部におけるように、「奥端が鉄筋孔より手前」に形成するようなことは、当業者であれば、格別の困難性を伴うことなく、きわめて容易になし得た程度のことである。
(2) 相違点2について
さきに検討したように、甲第3号証において、「前面には表面側に開□する空洞を形成し、上記した空洞内には栗石や砕石等の天然石からなって微細空間が形成される充填材を収納し、上記した空洞の出入口に仕切壁を設けてなる護岸用コンクリートブロックに組込まれる魚巣ブロック」が、参考資料2において、「ブロック本体の前面部には表面側に開口する中空部を形成し、上記した中空部内にはろ材からなって微細空間が形成される充填材を収納し、上記した中空部の開ロ部をメッシュ状又は格子状のろ材脱出防止部材で閉塞し、中空部の開ロ周縁には開ロ部を閉塞したメッシュ状又は格子状のろ材脱出防止部材の周縁部分を止着してなる、水路・護岸用コンクリートブロック」がそれぞれ開示されている。
甲第1号証は護岸用ブロックに関するものであり、甲第3号証は護岸用コンクリートブロックに組込まれる魚巣ブロックに関するものであり、参考資料2は水路・護岸用コンクリートブロックに関するものであり、甲第1号証に記載されたものにおける護岸用ブロックにおいて、甲第3号証に記載されている、「空洞内には栗石や砕石等の天然石からなって微細空間が形成される充填材を収納」するとの技術事項、あるいは参考資料2に記載されている、「中空部内にはろ材からなって微細空間が形成される充填材を収納」するとの技術事項を考慮して、本件請求項1に係る考案におけるように、その凹部(空部)内には玉石、その他の天然石、若しくは人工石、その他の材質からなって微細空間が形成される充填材を収納するようなことは、甲第1号証、甲第3号証及び参考資料2にそれぞれ記載されたものは何れも本件請求項1に係る考案における護岸用コンクリートブロックと技術的に関連性が強いこと、そして特にその適用を阻害する要因もないことを考慮すると、当業者であれば、格別の困難性を伴うことなく、きわめて容易になし得た程度のことである。
(3) 相違点3について
さきに検討したように、参考資料2において、「ブロック本体の前面部には表面側に開口する中空部を形成し、上記した中空部内にはろ材からなって微細空間が形成される充填材を収納し、上記した中空部の開ロ部をメッシュ状又は格子状のろ材脱出防止部材で閉塞し、中空部の開ロ周縁には開ロ部を閉塞したメッシュ状又は格子状のろ材脱出防止部材の周縁部分を止着してなる、水路・護岸用コンクリートブロック」が、甲第3号証において、「前面には表面側に開□する空洞を形成し、上記した空洞内には栗石や砕石等の天然石からなって微細空間が形成される充填材を収納し、上記した空洞の出入口に仕切壁を設けてなる護岸用コンクリートブロックに組込まれる魚巣ブロック」が開示されている。
甲第1号証は護岸用ブロックに関するものであり、参考資料2は水路・護岸用コンクリートブロックに関するものであり、甲第3号証は護岸用コンクリートブロックに組込まれる魚巣ブロックに関するものであり、甲第1号証に記載されたものにおける護岸用ブロックの凹部(空部)の開口部を、参考資料2に記載されている、「中空部の開ロ部をメッシュ状又は格子状のろ材脱出防止部材で閉塞」するとの技術事項、あるいは甲第3号証に記載されている、「空洞の出入口に仕切壁を設け」るとの技術事項を考慮して、本件請求項1に係る考案におけるように、ネットからなる通水材で閉塞するようなことは、甲第1号証、参考資料2及び甲第3号証にそれぞれ記載されたものは何れも本件請求項1に係る考案における護岸用コンクリートブロックと技術的に関連性が強いこと、そして特にその適用を阻害する要因もないことを考慮すると、当業者であれば、格別の困難性を伴うことなく、きわめて容易になし得た程度のことである。
(4) まとめ
本件請求項1に係る考案は、甲第1号証に記載された護岸用ブロックにおいて、その凹部(空部)を甲第2号証における棚板部におけるよう形成するとともに、甲第3号証及び参考資料2に開示されている充填材、そして仕切壁及びろ材脱出防止部材を考慮して、本件請求項1に係る考案におけるように、空部内には玉石、その他の天然石、若しくは人工石、その他の材質からなって微細空間が形成される充填材を収納し、上記した空部の開口部をネットからなる通水材で閉塞するよう構成したものに相当するが、甲第1?3号証及び参考資料2は何れも本件請求項1に係る考案とは技術的に関連性が強く、又、甲第1号証に記載されたものに、甲第2号証、甲第3号証及び参考資料2に記載された各技術事項を適用・組み合わせることを阻害する要因もなく、このようなことは、当業者であれば、格別の困難性を伴うことなく、きわめて容易になし得た程度のことである。
そして、全体として、本件請求項1に係る考案によってもたらせる効果も、甲第1?3号証及び参考資料2にそれぞれ記載された事項からして、当業者であれば予測することができる程度のものであって、格別のものとはいえない。
したがって、本件請求項1に係る考案は、甲第1?3号証及び参考資料2に記載されたものに基いて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものである。

三 本件請求項2に係る考案と、甲第1号証に記載されたものとの対比、検討
1 対比
本件請求項2に係る考案と甲第1号証に記載されたものとを対比すると、甲第1号証に記載されたものにおける、「鉄筋挿通孔」、「表面」、「凹部」は、それぞれ本件請求項1に係る考案における、「鉄筋孔」、「前面」、「空部」に相当するものであり、又、上記甲第1号証におけるような護岸用ブロックにおいて、そのブロックをコンクリート製とするようなことは周知・慣用の技術手段であることを考慮すると、両者は、「ブロック本体の奥行き方向の途中に上下方向に貫通する鉄筋孔を設け、前面部には表面側に開口する空部を形成してなる護岸用コンクリートブロック」である点で一致し、以下の点で相違する。
相違点4
本件請求項2に係る考案においては、その空部は、「奥端が鉄筋孔より手前」に形成されるのに対し、甲第1号証に記載されたものにおける凹部(空部)は、奥端が鉄筋挿通孔(鉄筋孔)よりもブロック本体の裏面側に位置し、ブロック本体の裏面にも鉄筋挿通孔(鉄筋孔)にも非連通に形成され、このような構成を有しない点。
相違点5
本件請求項2に係る考案においては、「空部内には玉石、その他の天然石、若しくは人工石、その他の材質からなって微細空間が形成される充填材を収納」するのに対し、甲第1号証に記載されたものでは、このような構成を有しない点。
相違点6
本件請求項2に係る考案においては、「空部の開口部をネットからなる通水材で閉塞し」ているのに対し、甲第1号証に記載されたものでは、このような構成を有しない点。
相違点7
上記相違点6に関連して、本件請求項2に係る考案においては、その開口部を閉塞したネットからなる通水材を、「空部の開口周縁には段部を形成し、上記した段部内で通水材の周縁部分を止着」しているのに対し、甲第1号証に記載されたものでは、このような構成を有しない点。

2 相違点に対する検討
(1) 相違点4?6について
請求項2に係る考案は請求項1に係る考案を引用するものであり、相違点4?6は、実質的に相違点1?3と同一の内容である。したがって、相違点4?6に対する検討は、さきに行った相違点1?3に対する検討がそのまま適用できるものである。
(2) 相違点7について
さきに検討したように、参考資料2において、「ブロック本体の前面部には表面側に開口する中空部を形成し、上記した中空部内にはろ材からなって微細空間が形成される充填材を収納し、上記した中空部の開ロ部をメッシュ状又は格子状のろ材脱出防止部材で閉塞し、中空部の開ロ周縁には開ロ部を閉塞したメッシュ状又は格子状のろ材脱出防止部材の周縁部分を止着してなる、水路・護岸用コンクリートブロック」が開示されている。
さらに、開口部の周縁部分に部材を止着するのに際し、その開口部の周縁に部材との何らかの係合部分を設ける必要があることは当然の技術常識であり、その係合部分として、突部の開口周縁に段部を形成して行うようなことは、当業者であれば、格別の困難性を伴うことなく、きわめて容易になし得た程度のことである。
(3) まとめ
本件考案の請求項2に係る考案は、甲第1号証に記載された護岸用ブロックにおいて、その凹部(空部)を甲第2号証における棚板部におけるよう形成するとともに、甲第3号証及び参考資料2に開示されている充填材、そして仕切壁及びろ材脱出防止部材を考慮して、本件請求項2に係る考案におけるように、空部内には玉石、その他の天然石、若しくは人工石、その他の材質からなって微細空間が形成される充填材を収納し、上記した空部の開口部をネットからなる通水材で閉塞するのに際し、特に突部の開口周縁には段部を形成し、上記した段部内で開口部を閉塞したネットからなる通水材の周縁部分を止着するよう構成したものに相当するが、甲第1?3号証及び参考資料2は何れも本件請求項2に係る考案とは技術的に関連性が強く、又、甲第1号証に記載されたものに、甲第2号証、甲第3号証及び参考資料2に記載された各技術事項を適用・組み合わせることを阻害する要因もなく、このようなことは、当業者であれば、格別の困難性を伴うことなく、きわめて容易になし得た程度のことである。
そして、全体として、本件請求項2に係る考案によってもたらせる効果も、甲第1?3号証及び参考文献2にそれぞれ記載された事項からして、当業者であれば予測することができる程度のものであって、格別のものとはいえない。
したがって、本件請求項2に係る考案は、甲第1?3号証及び参考資料2に記載されたものに基いて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものである。

第五 むすび
以上のとおりであるから、本件請求項1及び請求項2に係る考案の実用新案登録は、平成6年法律116号附則10条によりなお従前の例によるとされ、平成5年法律26号附則4条1項によりなおその効力を有する旧実用新案法37条1項1号の規定に該当し、無効とすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2001-01-31 
結審通知日 2001-02-13 
審決日 2001-02-27 
出願番号 実願平3-72927 
審決分類 U 1 112・ 121- Z (E02B)
最終処分 成立  
前審関与審査官 渡部 葉子  
特許庁審判長 幸長 保次郎
特許庁審判官 藤枝 洋
鈴木 憲子
登録日 1996-05-16 
登録番号 実用新案登録第2505301号(U2505301) 
考案の名称 護岸用コンクリ?トブロック  
代理人 山田 稔  
代理人 福田 伸一  
代理人 福田 武通  
代理人 福田 賢三  
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