• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 全部無効 ただし書き1号特許請求の範囲の減縮 訂正を認めない。無効とする(申立て全部成立) H02G
審判 全部無効 2項進歩性 訂正を認めない。無効とする(申立て全部成立) H02G
管理番号 1036063
審判番号 審判1999-35294  
総通号数 18 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案審決公報 
発行日 2001-06-29 
種別 無効の審決 
審判請求日 1999-06-11 
確定日 2001-04-25 
事件の表示 上記当事者間の登録第2545713号実用新案「ジヤンパスペ-サ」の実用新案登録無効審判事件について、次のとおり審決する。   
結論 登録第2545713号の実用新案登録を無効とする。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 1.手続の経緯
本件登録第2545713号実用新案は、昭和62年6月22日に実用新案登録出願したものであって、平成9年5月9日に実用新案の設定登録がされた。
これに対して、請求人より平成11年6月11日に本件無効審判が請求され、平成11年9月27日に答弁書及び訂正請求書が提出され、明細書の訂正請求がなされた後、 弁ぱく書が提出され、平成12年8月21日付けで訂正拒絶理由が通知され、意見書が提出され、その後口頭審理が行われ、第2答弁書が提出された。
2.訂正の適否についての判断
ア.訂正の内容
上記訂正請求は、実用新案登録請求の範囲において、「このヒンジ結合部のヒンジピンが・・・、それぞれ直角になっていることを特徴とするジャンパスペーサ。」を「このヒンジ結合部のヒンジピンが前記フレームに対する導体クランプの取付方向とジャンパ線の長手方向の2方向に対してそれぞれ直角になって、導体クランプがジャンパ線の長手方向に向かってのみ可動状態に取付けられていることを特徴とするジャンパスペーサ。」に訂正しようとするものである。
イ.訂正の目的
被請求人(実用新案権者)は、上記訂正の目的を明りょうでない記載の釈明であると主張している。
しかしながら、上記訂正は、明りょうでない記載の釈明には当らず、実用新案登録請求の範囲に「導体クランプがジャンパ線の長手方向に向かってのみ可動状態に取付けられている」を加入したものであり、すなわち、導体クランプの取付状態を限定したものであるから、実用新案登録請求の範囲の減縮を目的とするものと認められる。
ウ.訂正明細書に記載された考案
訂正明細書に記載された考案の要旨は、訂正明細書及び図面の記載からみて、その実用新案登録請求の範囲に記載された次のとおりのものである。
「パイプ式ジャンパ装置用ジャンパ線の線間距離を保持するスペーサであって、その導体クランプがリング状フレームの外周に放射状に取付けられ、さらに、その取付けはヒンジ結合によって行われ、このヒンジ結合部のヒンジピンが前記フレームに対する導体クランプの取付方向とジャンパ線の長手方向の2方向に対してそれぞれ直角になって、導体クランプがジャンパ線の長手方向に向かってのみ可動状態に取付けられていることを特徴とするジャンパスペーサ。」
エ.引用刊行物記載の考案
訂正明細書の実用新案登録請求の範囲の考案に対し、平成12年8月21日付けの訂正拒絶理由通知において示した刊行物1(実公昭46-18013号公報)、刊行物2(実願昭59-184382号(実開昭61-98324号)のマイクロフィルム)、刊行物3(実願昭49-84942号(実開昭51-13593号)のマイクロフィルム)、刊行物4(実願昭59-162415号(実開昭61-77626号)のマイクロフィルム)には、それぞれ以下の如く記載されている。
[刊行物1]
「本考案は、多導体用スペーサの改良に関するものである。」(第1欄第20,21行)
「枠体1には適当な間隔をおいて、放射状に外広のテーパーを有する透孔5が穿設してあり、この透孔5には中間部にストッパー6を有する連結杆3が傾動自在に挿通してある。」(第2欄第11行?第14行)
「一方、枠体1の外側に突出している連結杆3の先端部には、導体方向(第2図では紙面の表裏方向)に回動自在となるようにクランプ2が取り付けてある。すなわち、連結杆3の先端部に設けた透孔8にまゆ型ピン9を回動自在に挿着し、そのまゆ型ピン9を二つ割のクランプ2の基部で挾持し、そのクランプ2をボルトナット10で締付けている。クランプ2と連結杆3との結合部を導体方向に回動自在とするためには、このほかボールソケット機構あるいはヒンジ機構なども利用することができる。
したがって、風圧などにより導体に並行運動が生じた場合、連結杆3は枠体1との結合部を支点として導体の運動方向に傾動し、さらにクランプ2も連結杆3との結合部を軸として回動し、導体の運動通りに平行移動する(第3図参照)。」(第2欄第32行?第3欄第8行)
「また連結杆3は導体と直角方向にも傾動できるので、導体の横方向の振れに対してもある程度の追従性を有する。」(第3欄第9行?第11行)
「(ロ)連結杆は枠体の透孔に傾動自在に挿通してあり、かつクランプは連結杆の外側端部において導体方向に回動自在となっているので、導体に振動や並行運動が発生した場合でも、クランプが導体の動きに追従してクランプ取付部の導体に有害な応力を発生させない。」(第3欄第21行?第26行)
上記の「連結杆3の先端部には、導体方向(第2図では紙面の表裏方向)に回動自在となるようにクランプ2が取り付けてある」こと、「連結杆3の先端部に設けた透孔8にまゆ型ピン9を回動自在に挿着」すること、及び「クランプ2と連結杆3との結合部を導体方向に回動自在とするためには、ヒンジ機構なども利用できる」という記載、及び第2図の記載からみて、連結杆3の先端部に設けた透孔8にヒンジピンを回動自在に挿着する構成が記載されており、そのヒンジピンは、枠体1に対するクランプ2の取付方向と導体の長手方向の2方向に対してそれぞれ直角になっていると認められる。
また、第1図の記載によれば、クランプ2は、枠体1の外周に放射状に取付けられていることは明らかである。
したがって、上記刊行物1には、クランプ2は、枠体1の外周に放射状に取付けられ、枠体1には適当な間隔をおいて、放射状に外広のテーパーを有する透孔5が穿設してあり、この透孔5には中間部にストッパー6を有する連結杆3が傾動自在に挿通してあり、連結杆3の先端部に設けた透孔8にヒンジピンを回動自在に挿着し、このヒンジピンは、枠体1に対するクランプ2の取付方向と導体の長手方向の2方向に対してそれぞれ直角になっていることを特徴とする多導体スペーサが開示されている。
[刊行物2]
「本考案は、コロナ放電特性を改善した架空送電線のジャンパ装置に関するものである。」(第1頁第14行?第15行)
「本線3とジャンパロッド5を相互に電気的に接続する複数本の接続導体7の長さ方向の中間部に、第4図に示すようなスペーサ8を設け、このスペーサ8に例えば8本の接続導体7を所定の間隔に固定するためのクランプ部9を放射状に設け、8本の接続導体7をスペーサ8により相互に一定の間隔を保持するように配置して、」(第2頁第7行?第14行)
[刊行物3]
「本考案の目的はジャンパ線の横揺れを有効に防止すると共にその軸線方向の引張力にはある程度追従することができるようにした架空線用ジャンパ線支持装置を提供することにある。」(第2頁第18行?第3頁第1行)
「ここで碍子6が鉄塔アーム3及びジャンパ線5に対し揺動する支点であるピン8及び10の軸線はジャンパ線5の軸線に対して直角であり、従ってジャンパ線5が架空線2,2’の振動によってその軸線方向の力を受けた時この軸線方向の力に追従して碍子6を揺動することができる。このような構成によってジャンパ線5を懸吊すると、碍子6はジャンパ線5の軸線に直角な向きの力に対してはその枢支点における遊びの分しか振れないのでジャンパ線5は風圧等による横方向の力に対しては殆んど振れることがない。一方架空線2,2’がギャロッピングを起したりしてジャンパ線がその軸線方向に力を加えられた場合には碍子6は枢軸運動をし、ジャンパ線5は架空線2,2’の運動に追従する。尚碍子6はクレビス型碍子又は長幹碍子を用いることができる。」(第4頁第2行?第19行)
「架空線のギャロッピング等の原因による軸線方向の運動は許すのでジャンパ線と架空線の接続部に無理な力が加わることがない。」(第5頁第16行?第19行)
[刊行物4]
「このようなジャンパ線補強装置は、風による横振れ特性にのみに着目していたため、送電線のギャロッピング等の大振幅の振動が発生した場合にジャンパ線に線路方向に動く振動が生じこれに追従できなくなって、ジャンパ素線に断線が生じる場合があった。・・・本考案の目的は寸法裕度のあるジャンパ補強部材を使用することにより線路方向の追従が容易なジャンパ補強装置を提供しようとするものである。」(第1頁第18行?第2頁第13行)
「ジャンパ補強装置6は・・・一体物でなく複数個の分割片6a,6aに分割構成され、これが連結部片7により連結された構成よりなる。しかして、各分割片6a,6aの構造は例えば第3図に示すようなアイ6a1とクレビス6a2よりなり、線路方向には回動できるが、それに直角方向すなわち、横振れの方向には回動できないような構成となっている。」(第3頁第7行?第14行)
オ.本件考案との対比、判断
訂正明細書に記載された考案(以下「前者」という。)と上記刊行物1記載の考案(以下「後者」という。)とを比較する。
両者は、導体用スペーサであって、
後者の「枠体1」は、第1図から明らかなようにリング状に形成されており、前者の「リング状フレーム」に相当する。
後者の「クランプ2」及び「ヒンジピン」は、それぞれ前者の「導体クランプ」及び「ヒンジピン」に相当する。
両者は、導体用スペーサであって、その導体クランプがリング状フレームの外周に放射状に取付けられ、その取付けはヒンジ結合によって行われ、このヒンジ結合部のヒンジピンが前記フレームに対する導体クランプの取付方向と導体の長手方向の2方向に対してそれぞれ直角になっていることを特徴とする導体スペーサである点で一致し、(1)スペーサが、前者では、パイプ式ジャンパ装置用ジャンパ線の線間距離を保持するものであるのに対し、後者では、多導体用のものである点、(2)前者では、導体クランプがジャンパ線の長手方向に向かってのみ可動状態に取付けられているのに対し、後者では、そのように取付けられていない点で相違する。
上記の一致点及び相違点について両当事者間に争いはない(第1回口頭審理調書参照)。
以下、上記相違点について検討する。
[相違点(1)について]
上記刊行物2の「ジャンパロッド5」、「スペーサ8」、「クランプ部9」、及び「接続導体7」は、それぞれ前者の「パイプ導体4」、「スペーサ」、「導体クランプ」、及び「ジャンパ線」に相当し、上記刊行物2には、パイプ式ジャンパ装置において、スペーサ8に接続導体7を所定の間隔に固定するためのクランプ部9を放射状に設けることが記載されており、そして、上記刊行物1及び2は、多導体用スペーサに関する考案で共通し、しかも、共通する技術分野の種々の技術を転用してみようとすることは通常行われることであるから、上記刊行物1に記載される多導体用スペーサを、上記刊行物2に記載されるパイプ式ジャンパ装置に用いるようにすることに格別困難性は認められない。
[相違点(2)について]
本件登録実用新案明細書には、「従来の技術」として、「周知のジャンパスペーサは、第2図に示すように、導体クランプ11をフレーム12に固定して設けてある。このジャンパスペーサは、第3図に示す如くジャンパ装置の構成要素として使用され、横風によるジャンパ線の乱れ、混線を防止する。」(本件公報第1欄14行?第2欄4行)と記載されるように、パイプ式ジャンパ装置のジャンパスペーサにおいて、横風によるジャンパ線の乱れ、混線を防止するという課題は周知の事項である。
上記刊行物3、4には、ジャンパ線がギャロッピングによる架空線の振動によってその軸線方向の力を受けた時、ジャンパ線の断線を防止するため、この軸線方向の力に追従して揺動し、その直角な向きの力に対しては殆んど振れることがないようにすることが記載されている(刊行物3:第4頁第2行?第19行、刊行物4:第3頁第7行?第14行)。このジャンパ線は単導体に関するものであるが、この技術思想を複数導体のものに適用しようとすることは当業者が通常思考し得ることである。
そして、後者において、「また連結杆3は導体と直角方向にも傾動できるので、導体の横方向の振れに対してもある程度の追従性を有する。」(第3欄第9行?第11行)と記載されているように、導体の横方向の振れに対する追従性を考慮する必要がなければ、連結杆3を導体と直角方向に傾動させなくても良いことは明らかである。
したがって、上記周知の課題の存在のもとに、これらのことを総合的に勘案して、後者の導体スペーサをパイプ式ジャンパ装置用ジャンパ線のスペーサとして用いる場合、ヒンジ結合部のヒンジピンにより、導体クランプがジャンパ線の軸線方向すなわち長手方向に向かってのみ可動状態に取付けるようにすることは、当業者がきわめて容易になし得ることである。
本件考案の効果は、上記刊行物1?4に記載された考案の記載に基づいて当業者がきわめて容易に予測し得る程度のものである。
カ.むすび
以上のとおりであるから、訂正明細書に記載された考案は、上記刊行物1?4に記載の考案に基いて、当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであり、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録出願の際独立して実用新案登録を受けることができないものであるから、上記訂正は、特許法等の一部を改正する法律(平成5年法律第26号)附則第4条第2項の規定により読み替えて適用される実用新案法第40条第5項の規定において準用する実用新案法第39条第3項の規定に適合しないので、当該訂正は認められない。
3.登録無効についての判断
ア.本件登録実用新案
本件登録実用新案の要旨は、実用新案登録明細書及び図面の記載からみて、その実用新案登録請求の範囲に記載された次のとおりのものである。
「パイプ式ジャンパ装置用ジャンパ線の線間距離を保持するスペーサであって、その導体クランプがリング状フレームの外周に放射状に取付けられ、さらに、その取付けはヒンジ結合によって行われ、このヒンジ結合部のヒンジピンが前記フレームに対する導体クランプの取付方向とジャンパ線の長手方向の2方向に対してそれぞれ直角になっていることを特徴とするジャンパスペーサ。」
イ.請求人の主張
本件登録実用新案は、甲第1号証および甲第2号証に記載された考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであり、実用新案法第3条2項の規定により実用新案登録を受けることができないものであり、その実用新案登録は同法第37条1項1号により、無効とすべきである。
ウ.判断
請求人の引用した甲第1号証(実公昭46-18013号公報、上記刊行物1)、甲第2号証(実願昭59-184382号(実開昭61-98324号)のマイクロフィルム、上記刊行物2)には、上記2.エ.に記載したとおりのことが記載されている。
本件考案(以下「前者」という。)と上記甲第1号証記載の考案(以下「後者」という。)とを比較する。
両者は、導体用スペーサであって、
後者の「枠体1」は、第1図から明らかなようにリング状に形成されており、前者の「リング状フレーム」に相当する。
後者の「クランプ2」及び「ヒンジピン」は、それぞれ前者の「導体クランプ」及び「ヒンジピン」に相当する。
両者は、導体用スペーサであって、その導体クランプがリング状フレームの外周に放射状に取付けられ、その取付けはヒンジ結合によって行われ、このヒンジ結合部のヒンジピンが前記フレームに対する導体クランプの取付方向と導体の長手方向の2方向に対してそれぞれ直角になっていることを特徴とする導体スペーサである点で一致し、スペーサが、前者では、パイプ式ジャンパ装置用ジャンパ線の線間距離を保持するものであるのに対し、後者では、多導体用のものである点で相違する。
以下、上記相違点について検討する。
上記甲第2号証の「ジャンパロッド5」、「スペーサ8」、「クランプ部9」、及び「接続導体7」は、それぞれ前者の「パイプ導体4」、「スペーサ」、「導体クランプ」、及び「ジャンパ線」に相当し、上記甲第2号証には、パイプ式ジャンパ装置において、スペーサ8に接続導体7を所定の間隔に固定するためのクランプ部9を放射状に設けることが記載されており、そして、上記甲第1号証及び甲第2号証は、多導体用スペーサに関する考案で共通し、しかも、共通する技術分野の種々の技術を転用してみようとすることは通常行われることであるから、上記甲第1号証に記載される多導体用スペーサを、上記甲第2号証に記載されるパイプ式ジャンパ装置に用いるようにすることに格別困難性は認められない。
本件考案の効果は、上記刊行物1?4に記載された考案の記載に基づいて当業者がきわめて容易に予測し得る程度のものである。
したがって、本件考案は、甲第1号証及び甲第2号証に記載された考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものである。
エ.むすび
以上のとおりであるから、本件実用新案登録は、実用新案法第3条第2項の規定に違反してなされたものであり、同法第37条第1項第2号の規定に該当し、無効とすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2001-02-15 
結審通知日 2001-02-27 
審決日 2001-03-14 
出願番号 実願昭62-96266 
審決分類 U 1 112・ 851- ZB (H02G)
U 1 112・ 121- ZB (H02G)
最終処分 成立  
前審関与審査官 徳永 民雄  
特許庁審判長 馬場 清
特許庁審判官 山本 穂積
久保田 健
登録日 1997-05-09 
登録番号 実用新案登録第2545713号(U2545713) 
考案の名称 ジヤンパスペ-サ  
代理人 東尾 正博  
代理人 加川 征彦  
代理人 鎌田 文二  
代理人 鳥居 和久  
代理人 東尾 正博  
代理人 鳥居 和久  
代理人 鎌田 文二  
  • この表をプリントする

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社   サービスに関しての問い合わせ