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審決分類 審判 全部申し立て   H01H
管理番号 1036084
異議申立番号 異議1999-74380  
総通号数 18 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案決定公報 
発行日 2001-06-29 
種別 異議の決定 
異議申立日 1999-11-24 
確定日 2001-04-04 
異議申立件数
事件の表示 登録第2594914号「プッシュスイッチ」の請求項1乃至4に係る実用新案登録に対する実用新案登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。   
結論 登録第2594914号の請求項1乃至4に係る実用新案登録を取り消す。
理由 1.手続の経緯
本件実用新案登録第2594914号の請求項1乃至4に係る考案は、平成3年9月6日の出願であって、平成11年3月5日に設定登録され、その後、小椋久男より実用新案登録異議の申立てがなされ、取消理由の通知がなされ、その指定期間内である平成12年5月16日に訂正請求がなされた後、訂正拒絶理由が通知され、訂正拒絶理由通知に対して手続補正書が提出されたものである。

2.訂正の適否についての判断
ア.訂正請求に対する補正の適否について
実用新案登録権者は、訂正請求書において訂正事項とされる実用新案登録請求の範囲の請求項1及び3(下記イ.参照)について、それらの冒頭の「絶縁基板表面」なる記載を更に、「エポキシ銅箔張り積層板の絶縁基板表面」へと変更する補正を求めるものである。
しかし、上記補正は、訂正事項の内容に変更を加えるものであることから、訂正請求書の要旨を変更するものと認められ、平成6年法律第116号附則第9条の規定により準用する特許法第120条の4第3項において更に準用する同法第131条第2項の規定に違反するものであり、採用できない。
イ.訂正明細書の請求項1乃至4に係る考案
平成12年5月16日付けで提出された訂正明細書の請求項1乃至4に係る考案は、その請求項1乃至4に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】絶縁基板表面に一対の導体部を形成し、接点を形成する一つのタクト板をこの導体部の一方に接触させて載置し、ほぼ上記タクト板と同様の大きさの単体のプッシュスイッチにおいて、この基板及びタクト板に粘着層を介して直接耐熱性フィルムを密着させ互いに固定し、上記基板の一つの端面に上記導体部と各々接続したスルーホールを分割して形成されこのスルーホールの上記基板の厚みの範囲に設けられた導電体からなる一対の電極を設け、この一対の電極に上記導体部が各々接続し、上記タクト板は、上記一対の導体部の他方と絶縁状態で対向し押圧により接触可能に設けられていることを特徴とするプッシュスイッチ。
【請求項2】上記基板は四角形に形成され、その表面に、上記一対の電極と接続する一対の導体部が形成され、この一対の導体部のうちの上記他方の導体部は、上記タクト板の周縁部が載置される個所が絶縁樹脂で被覆された請求項1記載のプッシュスイッチ。
【請求項3】絶縁基板に一対の導体部を形成し、接点を形成する一つのタクト板をこの導体部の一方に接触させて載置し、ほぼ上記タクト板と同様の大きさの単体のプッシュスイッチにおいて、この基板及びタクト板に粘着層を介して直接耐熱性フィルムを密着させ互いに固定し、上記タクト板の中央部下方の上記基板に導電性のスルーホールを形成し、このスルーホールの周囲に上記タクト板中央部が接触可能な接点を設け、上記基板の一つの端面に上記導体部と各々接続したスルーホールを分割して形成されこのスルーホールの上記基板の厚みの範囲に設けられた導電体からなる一対の電極を設け、上記一対の電極の一方を上記一方の導体部に接続し、上記一対の導体部の他方を、上記基板の裏面に設けて上記一対の電極の他方と接続するとともに、上記導電性のスルーホールと接続したプッシュスイッチ。
【請求項4】上記基板は四角形に形成され、その表面には上記一対の導体部の一方が形成され、上記基板の裏面に、上記中央部のスルーホールから上記基板の端面に形成された一対の電極の一方に接続した導体部を設けた請求項3記載のプッシュスイッチ。」
ウ.引用刊行物記載の考案
(A)これに対し、当審が通知した平成12年8月15日付けの訂正拒絶理由において引用した、刊行物1(実願平1-83025号(実開平3-22323号)のマイクロフィルム)には、押釦スイッチに関するものであって、
a)明細書第4頁第4行乃至第7行に、「本考案の目的とするところは、・・・生産性や信頼性を損なうことなく大幅な薄型化が図れる押釦スイッチを提供することにある。」、
b)同書第6頁第5行乃至第7頁第15行に、「これらの図において、裏側シート10は、ポリイミドやPPS等のはんだ耐熱性を有するベースフィルム10aの片面にアクリル系やゴム系の粘着剤を塗布して粘着層10bとなした粘着剤付きシートで、この裏側シート10の粘着層10b上には、互いに離間した位置に第1の金属板11と第2の金属板12とが載置固定してある。これらの金属板11,12は、例えばリン青銅に銀クラッドや銀メッキを施したもので、それぞれ外部へ端子13を延出形成しているとともに、第1の金属板11には、中央固定接点14が、また第2の金属板12には2個所に凹状の周辺固定接点15が、突出形成してある。さらに、第2の金属板12は、その延出部分を円椀状にフォーミングして反転ばね16となした後、折返し部12aでこの延出部分を折り返し、反転ばね16を中央固定接点14に対向させている。つまり、反転ばね16は反転時に中央固定接点14に当接する可動接点として機能するものであり、この反転ばね16が非反転時に第1の金属板11に誤って接触するという事故を回避するため、第1の金属板11の一部で反転ばね16の周縁部と対向する個所は、例えばPET等の絶縁性フィルム17で被覆してある。表側シート18は、裏側シート10と同様、はんだ耐熱性を有するベースフィルム18aの片面に粘着剤を塗布して粘着層18bとなした粘着剤付きシートで、この表側シート18の粘着層18bは反転ばね16に密着させてある。そして、裏側シート10と表側シート18の各粘着層10b,18bは周縁部どうしが密着接合してあるので、この押釦スイッチは密封構造になっている。」、
c)同書第9頁第7行乃至第14行に、「本考案によれば、一対の粘着剤付きシートに固定接点や折り返しの反転ばねを貼着して密封しているので、ハウジングとして金属板をインサートした樹脂成形品を用いていた従来品に比べて厚さ寸法が著しく薄くなり、しかも生産性や信頼性を損なう虞れがなく、所望の薄型化が図れる優れた押釦スイッチを提供することができる。」、
とそれぞれ記載され、
d)第1図乃至第3図には、ほぼ反転ばね16と同様の大きさの単体の押釦スイッチであって、第1と第2の金属板11、12の端子13、13が、四角形に形成された裏側シート10の一つの端面に延出形成されたものが示されている。
(B)同じく引用した刊行物2(実願昭57-81900号(実開昭58-184845号)のマイクロフィルム)には、チップキャリア等のセラミック回路基板に関するものであって、
a)実用新案登録請求の範囲に、「基板の片側に導体パターンが有り、前記基板の逆側に入出力取出しパターンがあり、前記導体パターンと前記入出力取出しパターンの導通を前記基板の側面に設けられたスルーホールと前記基板内部に設けられたスルーホールでとり、前記側面に設けられたスルーホールと導通している前記入出力取出しパターン間に前記基板内部に設けられたスルーホールと導通している前記入出力取出しパターンを設けたことを特徴とするセラミック回路基板。」、
b)明細書第4頁第7行ないし第11行に、「導体パターン12と入出力取り出しパターン13とは、セラミック基板11の側面に設けられた半円形状のスルーホール14とセラミック基板11の内部に設けられたスルーホール15とでそれぞれ導通がなされ」、
とそれぞれ記載され、
c)第2図には、セラミック基板11の端面に設けられた半円形状のスルーホール14を備えたチップキャリアが示されている。
(C)同じく引用した刊行物3(特開平2-73608号公報)には、チップ抵抗の製造方法に関するものであって、
a)特許請求の範囲に、「多数のスルーホールを穿設したセラミック基板の表面に電極および抵抗体のパターンを印刷形成した後、このセラミック基板を分割溝に沿って分割して分割面に上記スルーホールを露出させ、このスルーホールの内壁面に側面電極を配したチップ抵抗」、
b)第2頁左上欄第9行乃至第15行に、「セラミック基板1の表面にパターニングされた表面電極2と、この表面電極2からスルーホール6内へ延出する側面電極とを形成する。同様にして、セラミック基板1の裏面にも裏面電極4をスクリーン印刷し、この裏面電極4からスルーホール6内へ延出する側面電極5を吸引印刷する。」、
とそれぞれ記載され、
c)第1図乃至第3図には、セラミック基板1の端面に設けられた半円形状のスルーホール6を備えたチップ抵抗が示されている。
(D)同じく引用した刊行物4(実願昭56-23590号(実開昭57-136134号)のマイクロフィルム)には、キースイッチに関するものであって、
a)明細書第2頁第17行乃至第3頁第3行に、「この考案は・・・薄型形状で大幅にその小型化が実現され、且つ操作に必要な操作力も又操作に必要な移動距離も小さく軽快で確実なスイッチ動作を行なわせることが可能であり、構成上の部品点数も少なく製造工程も簡単でその製造工程の自動化を実現することができるキースイッチを提供するものである。」、
b)同書第3頁第20行乃至第7頁第19行に、「第1図(A)?(E)は、この考案のキースイッチの実施例の構成を示す分解図で、(A)にその形状を示すのは例えばベーク板などの硬質絶縁材でほヾ正方形状に形成された抑え板11である。第1図(B)に示す形状の電極板12がこの抑え板11上に配設可能に形成される。即ち、抑え板11と同一形状の基板13が例えばポリエステルのフイルム材で形成され、この基板13の対向する側縁部のそれぞれの端部近傍が基板13に直角に延長されてほヾ長方形板状の第1のスイッチ端子14-1,14-2及び第2のスイッチ端子15-1,15-2が形成される。・・・この電極板12の表裏両面にわたって固定電極が形成される。この固定電極は例えば第2図(A),(B)に示すような形状に形成される。即ち、電極板12の第1,第2のスイッチ端子14-1,14-2,15-1,15-2の突出方向と反対の表側の面には基板13の中心位置に円形状の中央電極16が形成される。この中央電極16の廻りに同心円環状に周囲電極17が形成され、この周囲電極17の第2のスイッチ端子15-1,15-2に対向する位置が延長されて、それぞれ第2のスイッチ端子15-1,15-2と連結される。電極板12の第1,第2のスイッチ端子14-1,14-2,15-1,15-2の突出方向の裏側の面には基板13の中心位置に円形状の中央電極18が形成される。この中央電極18は、第1のスイッチ端子14-1,14-2方向に直線状に延長され、それぞれの端部において、第1のスイッチ端子14-1,14-2と連結される。これらの電極板12の表裏面に形成される固定電極は、電極板12の表裏面全面に形成されている箔状金属及びこの箔状金属表面に形成配設されている銀もしくは金の薄層を必要な部分を残してエッチングによって除去することにより作成される。又電極板12の表裏面に形成されている中央電極16及び18は、例えば電極板12の基板13を貫通して施されるスルーホールの手段により互に電気的に接続される。・・・この開口21内には第1図(C)に示すような皿状の例えば燐青銅板などのばね材よりなる可動電極22が配設される。・・・この可動電極22は固定電極と反対側の操作面が操作されて固定電極22側に押し込まれると、皿ばねが反転するように構成されている。・・・可動電極22を固定電極と反対方向に膨出させるようにして重ね合わせて配設する。」、
とそれぞれ記載され、
c)第1図及び第2図には、基板13の端面から延出されたスイッチ端子14-1,15-1が、基板13の一つの端面に対にして設けられ、円椀状の可動接点22の中央部下方の基板13に導電性のスルーホールを形成し、このスルーホールの周囲に上記可動接点22の中央部が接触可能な中央電極16を設け、一対の固定電極の他方を、基板13の裏面に設けて一対の電極の他方と接続するとともに、中央電極18を介して導電性のスルーホールと接続したキースイッチが示されている。
エ.対比・判断
(A)訂正明細書の請求項1に係る考案について
訂正明細書の請求項1に係る考案と刊行物1記載の考案とを対比すると、後者の「裏側シート10」、「第1の金属板11及び第2の金属板12」、「反転はね16」、「押釦スイッチ」、「はんだ耐熱性を有するベースフィルム18a」、「第1と第2の金属板11、12の端子13、13」が、それぞれ前者の「絶縁基板」、「一対の導体部」、「タクト板」、「プッシュスイッチ」、「耐熱性フィルム」、「一対の電極」に相当している。
また、後者の「反転ばね16は反転時に中央固定接点14に当接する可動接点として機能するものであり、この反転ばね16が非反転時に第1の金属板11に誤って接触するという事故を回避するため、第1の金属板11の一部で反転ばね16の周縁部と対向する個所は、例えばPET等の絶縁性フィルム17で被覆してある」とする構成が、前者の「タクト板は、一対の導体部の他方と絶縁状態で対向し押圧により接触可能に設けられている」との構成に相当する。
したがって、両者は、
「絶縁基板表面に一対の導体部を形成し、接点を形成する一つのタクト板をこの導体部の一方に接触させて載置し、ほぼ上記タクト板と同様の大きさの単体のプッシュスイッチにおいて、この基板及びタクト板に粘着層を介して直接耐熱性フィルムを密着させ互いに固定し、上記基板の一つの端面に上記導体部と各々接続した一対の電極を設け、この一対の電極に上記導体部が各々接続し、上記タクト板は、上記一対の導体部の他方と絶縁状態で対向し押圧により接触可能に設けられているプッシュスイッチ」
である点で一致し、
電極に関し、前者が、「スルーホールを分割して形成されこのスルーホールの基板の厚みの範囲に設けられた導電体からなる」としたのに対し、後者は、そのような構成を有していない点で相違する。
しかしながら、基板実装用の小型電気部品という技術分野において、電極として上記のようなスルーホールを用いることは、刊行物2及び3に記載されている(基板の端面に設けられ半円形状となっているスルーホールを参照。)ように周知の技術であるから、かかる周知技術を、同一技術分野に属する刊行物1記載の考案に適用する点に格別の困難性は何等認められない。
そして、訂正明細書の請求項1に係る考案の奏する効果も、各刊行物記載のものから当業者が予測しうる範囲のものにすぎない。
したがって、訂正明細書の請求項1に係る考案は、刊行物1乃至3記載の考案に基いて、当業者がきわめて容易に考案をすることができたものである。
(B)訂正明細書の請求項2に係る考案について
訂正明細書の請求項2に係る考案は、同請求項1に係る考案に、「上記基板は四角形に形成され、その表面に、上記一対の電極と接続する一対の導体部が形成され、この一対の導体部のうちの上記他方の導体部は、上記タクト板の周縁部が載置される個所が絶縁樹脂で被覆された」構成を更に限定付加したものであるが、刊行物1記載の考案における「絶縁性フィルム17」が、訂正明細書の請求項2に係る考案の「絶縁樹脂」に相当するものであり、さらに、上記の如き基板の形状、一対の導体部の形成態様も刊行物1に記載されているところであるから、結局、訂正明細書の請求項2に係る考案も、同請求項1に係る考案と同様に、刊行物1乃至3記載の考案に基づいて、当業者がきわめて容易に考案をすることができたものである。
(C)訂正明細書の請求項3に係る考案について
訂正明細書の請求項3に係る考案と刊行物1記載の考案とを対比すると、
後者の「裏側シート10」、「第1の金属板11及び第2の金属板12」、「反転はね16」、「押釦スイッチ」、「はんだ耐熱性を有するベースフィルム18a」、「第1と第2の金属板11、12の端子13、13」が、それぞれ前者の「絶縁基板」、「一対の導体部」、「タクト板」、「プッシュスイッチ」、「耐熱性フィルム」、「一対の電極」に相当している。
したがって、両者は、
「絶縁基板に一対の導体部を形成し、接点を形成する一つのタクト板をこの導体部の一方に接触させて載置し、ほぼ上記タクト板と同様の大きさの単体のプッシュスイッチにおいて、この基板及びタクト板に粘着層を介して直接耐熱性フィルムを密着させ互いに固定し、上記基板の一つの端面に上記導体部と各々接続した一対の電極を設け、上記一対の電極の一方を上記一方の導体部に接続し(た)プッシュスイッチ」
である点で一致し、
i)前者が、「タクト板の中央部下方の基板に導電性のスルーホールを形成し、このスルーホールの周囲に上記タクト板中央部が接触可能な接点を設け」、且つ、「一対の導体部の他方を、基板の裏面に設けて一対の電極の他方と接続するとともに、導電性のスルーホールと接続した」のに対し、後者は、このような構成を有していない点(以下、「相違点i」という。)、
ii)電極に関し、前者が、「スルーホールを分割して形成されこのスルーホールの基盤の厚みの範囲に設けられた導電体からなる」としたのに対し、後者は、このような構成を有していない点(以下、「相違点ii」という。)、
で相違する。
相違点iについて
刊行物4には、タクト板(可動接点22が相当。)の中央部下方の基板13に導電性のスルーホールを形成し、このスルーホールの周囲に上記タクト板の中央部が接触可能な接点(中央電極16が相当。)を設け、一対の導体部(固定電極が相当。)の他方を、基板13の裏面に設けて一対の電極の他方と接続するとともに、(中央電極18を介して)導電性のスルーホールと接続したスイッチの構成が記載されている。
かかる刊行物4記載のスイッチの構成を、刊行物1記載のプッシュスイッチに適用することは、当業者がきわめて容易に想到しうることである。
相違点iiについて
基板実装用の小型電気部品という技術分野において、電極として上記のようなスルーホールを用いることは、刊行物2及び3に記載されている(基板の端面に設けられ半円形状となっているスルーホールを参照。)ように周知の技術であるから、かかる周知技術を、同一技術分野に属する刊行物1記載の考案に適用する点に格別の困難性は何等認められない。
そして、訂正明細書の請求項3に係る考案の奏する効果も、各刊行物記載のものから当業者が予測しうる範囲のものにすぎない。
したがって、訂正明細書の請求項3に係る考案は、刊行物1乃至4記載の考案に基いて、当業者がきわめて容易に考案をすることができたものである。
(D)訂正明細書の請求項4に係る考案について
訂正明細書の請求項4に係る考案は、同請求項3に係る考案に、「上記基板は四角形に形成され、その表面には上記一対の導体部の一方が形成され、上記基板の裏面に、上記中央部のスルーホールから上記基板の端面に形成された一対の電極の一方に接続した導体部を設けた」構成を更に限定付加したものであるが、上記の基板の形状及び導体部等の接続態様は、刊行物4に記載されているところであるから、結局、訂正明細書の請求項4に係る考案も、同請求項3に係る考案と同様に、刊行物1乃至4記載の考案に基いて、当業者がきわめて容易に考案をすることができたものである。
オ.むすび
以上のとおり、訂正明細書の請求項1乃至4に係る考案は、上記刊行物1乃至4記載の考案に基いて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるから、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録出願の際独立して実用新案登録を受けることができないものであり、この訂正は、平成6年法律第116号附則第9条の規定により準用する特許法第120条の4第3項の規定により更に準用する同法第126条第4項の規定に適合しないので、当該訂正は認められない。

3.登録異議申立てについて
ア.本件考案
実用新案登録第2594914号の請求項1乃至4に係る考案(以下、「本件考案1乃至4」という。)は、実用新案登録請求の範囲の請求項1乃至4に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】絶縁基板に一対の導体部を形成し、接点を形成する一つのタクト板をこの導体部の一方に接触させて載置したほぼ上記タクト板と同様の大きさの単体のプッシュスイッチにおいて、この基板及びタクト板に粘着層を介して直接耐熱性フィルムを密着させ互いに固定し、上記基板の一つの端面に上記導体部と各々接続したスルーホールにより形成された一対の電極を設け、この一対の電極に上記導体部が各々接続し、上記タクト板は、上記一対の導体部の他方と絶縁状態で対向し押圧により接触可能に設けられていることを特徴とするプッシュスイッチ。
【請求項2】上記基板は四角形に形成され、その表面に、上記一対の電極と接続する一対の導体部が形成され、この一対の導体部のうちの上記他方の導体部は、上記タクト板の周縁部が載置される個所が絶縁樹脂で被覆された請求項1記載のプッシュスイッチ。
【請求項3】絶縁基板に一対の導体部を形成し、接点を形成する一つのタクト板をこの導体部の一方に接触させて載置し、ほぼ上記タクト板と同様の大きさの単体のプッシュスイッチにおいて、この基板及びタクト板に粘着層を介して直接耐熱性フィルムを密着させ互いに固定し、上記タクト板の中央部下方の上記基板にスルーホールを形成し、このスルーホールの周囲に上記タクト板中央部が接触可能な接点を設け、上記基板の一つの端面に一対の電極を形成し、上記一対の電極の一方を上記一方の導体部に接続し、上記一対の導体部の他方を、上記基板の裏面に設けて上記一対の電極の他方と接続するとともに、上記スルーホールと接続したプッシュスイッチ。
【請求項4】上記基板は四角形に形成され、その表面には上記一対の導体部の一方が形成され、上記基板の裏面に、上記中央部のスルーホールから上記基板の端面に形成された一対の電極の一方に接続した導体部を設けた請求項3記載のプッシュスイッチ。」
イ.引用刊行物記載の考案
当審が通知した平成12年3月6日付けの取消理由において引用した刊行物1乃至4(訂正拒絶理由において引用した刊行物1乃至4と同じ。)には、上記2.ウ.に述べたとおりの考案が記載されている。
ウ.対比・判断
本件考案1乃至4を特定する事項は、上記訂正明細書の請求項1乃至4に係る考案にそれぞれ全て含まれているものであるから、本件考案1乃至4についても、上記2.エ.と同様の理由により、上記刊行物1乃至4記載の考案に基いて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものと認められる。
エ.むすび
以上のとおり、本件考案1乃至4は、上記各刊行物に記載された考案に基いて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるから、本件考案1乃至4についての実用新案登録は、実用新案法第3条第2項の規定に違反してなされたものであり、平成6年法律第116号附則第9条の規定により準用する特許法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2001-02-06 
出願番号 実願平3-80327 
審決分類 U 1 651・ 121- ZB (H01H)
最終処分 取消  
前審関与審査官 吉村 伊佐雄  
特許庁審判長 田中 秀夫
特許庁審判官 藤原 稲治郎
藤本 信男
登録日 1999-03-05 
登録番号 実用新案登録第2594914号(U2594914) 
権利者 北陸電気工業株式会社
富山県上新川郡大沢野町下大久保3158番地
考案の名称 プッシュスイッチ  
代理人 廣澤 勲  
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