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審決分類 審判    A63H
審判    A63H
管理番号 1039438
審判番号 実用新案無効審判1999-40011  
総通号数 19 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案審決公報 
発行日 2001-07-27 
種別 無効の審決 
審判請求日 1999-06-22 
確定日 2000-05-08 
事件の表示 上記当事者間の登録第3027870号実用新案「縫いぐるみ」の実用新案登録無効審判事件について、次のとおり審決する。   
結論 訂正を認める。 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は請求人の負担とする。
理由 1.手続の経緯・本件考案
本件登録実用新案第3027870号に係る考案は、平成7年12月22日に実用新案登録出願され、平成8年6月5日に実用新案の設定登録がなされたものであって、本件の登録実用新案の請求項3に係る考案は、平成11年10月15日付けの実用新案登録訂正書により訂正された明細書及び図面の記載からみて、その実用新案登録請求の範囲の請求項3に記載された次のとおりのものと認める。
「【請求項3】胴部と手足部との縫い代が、ペレット状物の胴部への通過を抑える幅サイズに縫い合わされている請求項1又は請求項2に記載の縫いぐるみ。」
そして、上記の請求項1及び2には以下のように記載されている。
「【請求項1】頭部、胴部、手足部が一つの袋体に縫い合わされ、詰め物が充填された縫いぐるみにおいて、胴部にはその頭部よりの部分に未充填部位若しくは粗充填部位を形成すべく部分的に詰め物が充填されており、手足部には頭部及び胴部の詰め物より比重の重いペレット状物が充填されていることを特徴とする縫いぐるみ。
【請求項2】頭部と胴部の間の括れ部位に、頭部及び胴部より小径の一体物でなる首輪体が嵌挿されている請求項1に記載の縫いぐるみ。」
2.請求人の主張
請求人は、本件請求項3に係る登録実用新案の考案は、甲第2号証、甲第8号証乃至甲第15号証及び甲第3号証、甲第18号証乃至甲第22号証に記載された考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるから、実用新案法第37条第1項第2号に該当し、無効にされるべきものと主張している。
また、甲第25号証及び甲第26号証を提出して、本件審判請求に関して請求人適格を有すると主張している。
3.被請求人の主張
被請求人は、請求人は本件審判請求に関して、請求人適格を有しないと主張すると共に、請求人の主張する無効理由によって本件考案の登録が無効になるものではない旨の答弁をしている。
4.請求人の請求人適格の検討
本件審判請求人の「東京ぬいぐるみ工業協同組合」は、甲第25号証から明らかなように登記されている。また、甲第26号証の定款によれば、組合員は、第8条に「ぬいぐるみ(動物及び人形)の製造業を行う事業者であること。」と規定され、第1条には、「本組合は、組合員の相互扶助の精神に基づき、組合員のために必要な共同事業を行い、もって組合員の自主的な経済活動を促進し、かつ、その経済的地位の向上を図ることを目的とする。」と規定されている。
そうすると、組合員の経済活動の促進を図るため、すなわち組合員がぬいぐるみを製造することに、本件の実用新案権の存在は、重大な影響を及ぼすことになるから、請求人は、本件審判請求に関して、利害関係を有するものであり、請求人適格があるとするのが相当である。
5.請求人の主張する無効理由の検討
審判請求人の提出した甲各号証には以下の事項が記載されている。
甲第2号証(実願昭55-30320号(実開昭56-133892号)のマイクロフィルム)
「2.重錘材(3)がペレット状の多数のプラスチック固形粒子(8)からなり該プラスチック固形粒子(8)が袋状に形成したぶらさげ部(3)内に空隙を設けて移動可能に内蔵されてなる・・・ぶらさがり可能なおもちゃ」(第1頁第10行?第14行)
「4.おもちゃ(1)が布製袋状に形成され、ぶらさげ部(3)を除くおもちゃ本体(2)内に綿(12)又は発泡スチロール粒子(13)等の充填材(14)を充填されてなる・・・ぶらさがり可能なおもちゃ」(第1頁第18行?第2頁第2行)
「(1)は本考案に係るおもちゃであって、中空袋状体により人形や動物その他任意の形状に形成されている。」(第4頁第9行?第11行)
「第3図第4図に示す如くおもちゃ(1)が布製袋状に形成され、ぶらさげ部(3)を除くおもちゃ本体(2)内に綿(12)又は発泡スチロール粒子(13)からなる充填材(14)を充填してなるものである。」(第6頁第15行?第18行)
甲第3号証(実願昭59-125344号(実開昭61-39592号)のマイクロフィルム)
「布片を一々縫合して袋状の人形外体を形成し然る後該外体内に綿や籾がら等の芯材を充填して人形体を構成し最後に目、鼻、尻尾等の各部材を接着又は縫着して完成している。」(第2頁第12行?第15行)
「各毛羽部が順次重合する状態に捲回接着した後胴形部1’の上端及び頭形部2’の下端における各飾り紐3の捲き終り部の外側に、リボン4を捲回して隠被し又前記胴形部及び頭形部の各外側に接着した手形a、足形b、尾形c及び耳形dの各外側にも飾り紐3をその粘着テープNにて適宜捲着なし然して頭形部2’の顔面には合成樹脂等よりなる目形部材5,鼻形部材6を適宜接着なし然る後捲着重合した飾り紐3の毛羽K部全体の外面より蒸熱を加えて毛並みを膨らと揃え且つ仕上げして完成するものである。」(第4頁第3行?第14行)
甲第8号証(実願平5-55994号(実開平7-21097号)のCD-ROM)
「【0005】【課題を解決するための手段】そのため本考案に係る人形は、身体を1つの袋状に形成すると共に、頭及び/又は四肢の相当部分の全部又は一部に、前記身体内部に開放する開口部を有する貯粒槽を設け、該身体内に粒状物を充填したことを基本的特徴としている。
【0006】【作用】上記構成では、袋状の身体内部に開放する開口部を有する貯粒槽を設けたことにより、身体の屈曲部位が増えて粒状物の移動箇所が胴体部分に集中した場合でも、前記開口部から貯粒槽内に該粒状物が移動して、胴体部分における粒状物による飽和状態が緩和されるため、該粒状物の外部からの流入を更に許すことになり、屈曲や捻れを自由に加えることができるようになって、思いのままの姿態とすることが可能になる。」
甲第9号証(実願昭53-139036号(実開昭55-54191号)のマイクロフィルム)
「本体1の内部は…空洞状に形成し、該空洞部4のうち、頭部5の内側並びに背部面6の内側には夫々適量の詰め物7,7を内包させて形体安定をよく
して一体に形成される。」(第2頁第17行?第3頁第1行)
甲第10号証(実願昭52-55767号(実開昭53-149687号)のマイクロフィルム)
「第1図に示すように縫いぐるみの中へ籾殻などの細かい粒子を約8分目程入れ、中の粒子が動きやすいようにした。」(第2頁第2行?第5行)
甲第11号証(特開昭60-259289号公報)
「主体内部には頭部と腰部の間に当る部分ならびに四肢の基部部分に屈折自在の充填寡少部を各介成した・・・置物兼用動物玩具」(第1頁左下欄第12行?第15行)
「主体内には第1図および第2図に点線で示すように頭部と腰部の間に当たる部分および四肢の基部に当たる部分にそれぞれ充填材寡少部3,4,5が設けられており、この部分は充頃材を極めて少なくし胴部ならびに四肢の屈曲を自在とし」(第2頁左下欄第16行?右下欄第1行)
甲第12号証(実願昭54-58533号(実開昭55-158788号)のマイクロフィルム)
「胴体1は、・・・その内部にウレタンフォームあるいは綿等からなる芯材を詰め込んだもので、・・・頭部4は、・・・その内部に同様の芯材を詰め込んだもので、・・・腕8,8は・・・細長い・・・袋状に縫合し・・・腕8の先端は・・・ミシン目9によって密封した袋状の手10が構成されている。・・・手10には・・・樹脂ベレットあるいは比較的大粒の砂などからなる垂錘11が封入されており、・・・また腕8,8には芯材がいっていない・・・片腕8のみでぶら下げたり」(第3頁第1行?第4頁第18行)
甲第13号証(実願平1-86725号(実開平3-27293号)のマイクロフィルム)
「ぬいぐるみ玩具Aは、人形、動物等を型取った袋体1内に軽量充填物2を装填してなるものにおいて、袋体1の手足部3先端内に重量充填物4を装填したものである。」(第2頁第11行?第14行)
甲第14号証(実願昭56-192785号(実開昭58-98992号)のマイクロフィルム)
「1は綿類の充填物を詰め、縫いぐるみ式に頭部と胴体とを一体に形成した外形猿に象た本体にして、四肢2,3と別個に形成し、四肢2,3は、夫々柔軟な・・・細長い袋状に形成する・・・袋状の下端部分に夫々隔室4を設け、内方に砂類の重量物を所要量宛収納し、重錘5を設けたものである。」(第1頁第18行?第2頁第5行)
甲第15号証(実願昭56-57754号(実開昭57-5285号)のマイクロフィルム)
「人形は本体、頭及び腕に似せて造った付属肢と足に似せて造った付属肢とを含む可撓性を有する付属肢から構成されている。・・・人形は全体的に布状体によって・・・比較的軽量の柔らかいスポンジ状の物質を充填する。・・・付属肢の先端部分は、支持能力を付与する錘の役割を果たす部分となっている。・・・人形を吊り下げ支持するために充分な重量を有するようにされている。」(第2頁第20行?第3頁第18行)
「腕及び足の先端部分は、第4図及び第5図に示した如き吊り下げ能力を持つように、人形の他の部分に比較して充分な重量を有する如くなされている。」(第8頁第17行?第20行)
甲第18号証(特開昭55-146184号公報)
「犬の頭2は、胴体3の上に旋回可能に装着されており、その旋回範囲は、ひも5に結ばれている首輪4により制限されている。」(第2頁右下欄第3行?第5行)
甲第19号証(特開昭57-110287号公報)
「図中(70)は玩具体(1)の頭部に首環(71)を介して吊り下げたスコップである。」(第4頁左上欄第10行?第11行)
甲第20号証(特開昭59-103689号公報)
「図において(1)は動物の兎の形態を愛玩用にアレンジして兎玩具として構成した玩具体・・・頭部にはリボン(13)が取付けられている。」(第3頁左上欄第2行?第10行)
甲第21号証(実願平3-81591号(実開平5-33780号)のCD-ROM)
「縫いぐるみ1は犬に模したものとして形成されている。又、この犬に模した縫いぐるみ1の首からはヒモ2が吊り下げられ、且つこのヒモ2の先端には内部におみぐじ4を収納した収納袋3が固定されている。」(段落【0007】)
甲第22号証(広辞苑第3版第2044頁)
「ひも【紐】物を束ねまたは結びつなぐ太い糸。また細い布・革など。」
そこで、本件の請求項3に係る考案(以下「前者」という。)と上記甲第2号証記載の考案(以下「後者」という。)を比較する。
両者は縫いぐるみであって、後者の「おもちゃ(1)が布製袋状に形成され」及び「(1)は本考案に係るおもちゃであって、中空袋状体により人形や動物その他任意の形状に形成されている。」、「おもちゃ(1)が布製袋状に形成され、ぶらさげ部(3)を除くおもちゃ本体(2)内に綿(12)又は発泡スチロール粒子(13)からなる充填材(14)を充填してなるものである。」という記載は、前者の「頭部、胴部、手足部が一つの袋体に縫い合わされ、詰め物が充填された縫いぐるみ」に相当している。
また、後者の「充填材(14)」、「重錘材(3)」は、それぞれ前者の「詰め物」、「ペレット状物」に相当している。
したがって、両者は、頭部、胴部、手足部が一つの袋体に縫い合わされ、詰め物が充填された縫いぐるみにおいて、胴部及び頭部には詰め物が充填されており、手足部には頭部及び胴部の詰め物より比重の重いペレット状物が
充填されていることを特徴とする縫いぐるみである点で一致し、
(1)前者は、胴部にはその頭部よりの部分に未充填部位若しくは粗充填部位を形成すべく部分的に詰め物が充填されているのに対して、
後者は、そのような構成を有していない点、
(2)前者は、胴部と手足部との縫い代が、ペレット状物の胴部への通過を抑える幅サイズに縫い合わされているのに対して、
後者は、そのような構成を有していない点、
(3)前者は、頭部と胴部の間の括れ部位に、頭部及び胴部より小径の一体物でなる首輪体が嵌挿されているのに対して、
後者は、そのような構成を有していない点
で相違している。
次に、上記相違点について検討する。
相違点(1)について
甲第11号証には、頭部と腰部の間に当たる部分および四肢の基部に当たる部分にそれぞれ充填材寡少部3,4,5が設けられ、胴部と四肢の屈曲を自在にすることが記載されているから、後者においても、頭部を胴部に対して自在に動くようにするために、胴部にはその頭部よりの部分に未充填部位若しくは粗充填部位を形成すべく部分的に詰め物を充填するようにすることは当業者がきわめて容易になし得ることである。
相違点(2)について
前者の縫い代の幅サイズに関して、その段落【0008】に、「好ましくは手足部のつけ根の直径の半分以上とするのがよいが、実際には、手足部をやや先太り形状にデザインすると、手足部のつけ根がボトルネックとなってペレットの通過が抑えられるので、手足部のつけ根の直径の半分以下であってもよい。」と記載されるように、胴部と手足部との縫い代は、手足部に充填されたペレット状物が胴部に移動するのを抑えるものである。
甲第12号証には、「腕8の先端は・・・ミシン目9によって密封した袋状の手10が構成されている」ことにより、甲第14号証には、「四肢2,3は、夫々柔軟な・・・細長い袋状に形成する・・・袋状の下端部分に夫々隔室4を設け」ることにより、腕に詰め込まれた詰め物の移動を密封して抑えることが記載されている。また、上記他の甲各号証には、手足部の詰め物の移動を抑えることが記載されているものは見あたらない。
このように、甲第12号証及び甲第14号証では詰め物が移動しないように密封するものであり、胴部と手足部との縫い代を利用して詰め物の移動を抑えるようにしょうとする技術思想は開示されていない。
そうすると、後者において、胴部と手足部との縫い代により、ペレット状物の胴部への通過を抑えるようにすることは当業者がきわめて容易になし得たとすることはできない。
相違点(3)について
前者の頭部及び胴部より小径の一体物でなる首輪体に関して、その段落【0007】に、「首輪体の括れ部位への嵌挿は、頭部及び/又は胴部へ詰め物を充填する前に、首部へ首輪体を嵌挿し、その後に胴部及び/又は頭部に詰め物を充填することによって行う。なお、上記「首輪体」とは、樹脂製又は金属製の素材でなるリング環状、帯環状、鎖環状、紐環状を含むものであって、基本的に素材の切断によらなければ「輪」を切り離せないものを言う。」と記載されるように、首輪体は、頭部及び/又は胴部へ詰め物を充填する前に、首部へ嵌挿されるものであって、「輪」は、素材の切断によらなければ切り離せないものである。
そして、甲第3号証、甲第18号証、甲第19号証、甲第20号証、甲第21号証における首輪は、リボンや紐からなる首輪を完成した縫いぐるみに結ぶもの又は取り付けるものと認められ、前者の「頭部及び胴部より小径の一体物でなる嵌挿される首輪体」とはその構成が異なるものと認められる。
そうすると、後者において、頭部と胴部の間の括れ部位に、頭部及び胴部より小径の一体物でなる首輪体を嵌挿するようにすることは当業者がきわめて容易になし得たとすることはできない。
なお、請求人が提出した他の甲各号証を検討しても、本件の請求項3に係る考案は当業者がきわめて容易になし得たとすることはできない。
本件の請求項3に係る考案は、上記相違点(2)及び(3)の構成を備えることにより、いろいろなポーズを取れ多様な陳列状態を演出でき、可愛らしいデザインを有していると共に、従来の縫いぐるみと比較して製造の手間やコストが殆ど上昇しないという効果を奏するものである。
6.むすび
以上のとおりであるから、請求人の主張する理由及び提出した証拠方法によっては本件の請求項3に係る考案の登録を無効とすることはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2000-02-03 
結審通知日 2000-02-18 
審決日 2000-03-09 
出願番号 実願平7-13604 
審決分類 U 1 111・ 121- YA (A63H)
U 1 111・ 02- YA (A63H)
最終処分 不成立  
特許庁審判長 馬場 清
特許庁審判官 藤井 俊二
白樫 泰子
登録日 1996-06-05 
登録番号 実用登録第3027870号(U3027870) 
考案の名称 縫いぐるみ  
代理人 大竹 正悟  
代理人 小野 樫太  
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