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審決分類 |
審判 全部申し立て G04B 審判 全部申し立て G04B |
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管理番号 | 1039497 |
異議申立番号 | 異議2000-70403 |
総通号数 | 19 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 実用新案決定公報 |
発行日 | 2001-07-27 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2000-01-25 |
確定日 | 2001-01-15 |
異議申立件数 | 1 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 登録第2597929号「時計」の請求項1?6に係る実用新案登録に対する実用新案登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 訂正を認める。 登録第2597929号の請求項1?6に係る実用新案登録を維持する。 |
理由 |
1.手続の経緯 平成 5年12月 3日 実用新案登録出願 平成11年 5月21日 実用新案登録 平成12年 1月25日 実用新案登録特許異議申立人セイコー株式 会社から実用新案登録異議の申立て 平成12年 8月11日 取消理由通知 平成12年10月 6日 実用新案登録異議意見書及び訂正請求書 2.訂正の可否についての判断 2-1.訂正事項 【訂正事項(イ)】 実用新案登録請求の範囲の請求項1?4に記載された「太陽電池の受光面側に設ける被覆部材」を、 「太陽電池の受光面側に設け厚さが0.1mmから0.5mmのセラミックからなる被覆部材」と訂正する。 【訂正事項(口)】 実用新案登録請求の範囲の請求項2に記載された「太陽電池と被覆部材とのあいだに透明フィルムを有する樹脂シートを設ける」を、 「太陽電池と被覆部材とのあいだに上下をポリエチレンテレフタレートからなる透明フィルムで挟持された樹脂シートを設ける」と訂正する。 【訂正事項(ハ)】 実用新案登録請求の範囲の請求項4に記載された「太陽電池と被覆部材とのあいだに透明フィルムを有しかつ開ロ部をもつ樹脂シートを設ける」を、 「太陽電池と被覆部材とのあいだに上下をポリエチレンテレフタレートからなる透明フィルムで挟持されかつ開□部をもつ樹脂シートを設ける」と訂正する。 【訂正事項(二)】 上記【訂正事項(イ)】に伴い、段落番号〔0013〕?〔0016〕における「太陽電池の受光面側に設ける被覆部材」を、 「太陽電池の受光面側に設け厚さが0.1mmから0.5mmのセラミックからなる被覆部材」と訂正する。 【訂正事項(ホ)】 上記【訂正事項(口)】に伴い、段落番号〔0014〕における「太陽電池と被覆部材とのあいだに透明フィルムを有する樹脂シートを設ける」を、 「太陽電池と被覆部材とのあいだに上下をポリエチレンテレフタレートからなる透明フィルムで挟持された樹脂シートを設ける」と訂正する。 【訂正事項(へ)】 上記【訂正事項(ハ)】に伴い、段落番号〔0016〕における「太陽電池と被覆部材とのあいだに透明フィルムを有しかつ開口部をもつ樹脂シートを設ける」を、 「太陽電池と被覆部材とのあいだに上下をポリエチレンテレフタレートからなる透明フィルムで挟持されかつ開ロ部をもつ樹脂シートを設ける」と訂正する。 2-2.新規事項の有無、目的の適否、及び拡張・変更の存否からの判断 【訂正事項(イ)】 この訂正は、実用新案登録請求の範囲の請求項1?4に記載された「被覆部材」を限定するものであって、その訂正内容は願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、かつ、実用新案請求の範囲の減縮を目的としたものである。 しかも、実質上実用新案請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 【訂正事項(口)】 この訂正は、実用新案登録請求の範囲の請求項2に記載された「樹脂シート」を限定するものであって、その訂正内容は願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、かつ、実用新案請求の範囲の減縮を目的としたものである。 しかも、実質上実用新案請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 【訂正事項(ハ)】 この訂正は、実用新案登録請求の範囲の請求項4に記載された「樹脂シート」を限定するものであって、その訂正内容は願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、かつ、実用新案請求の範囲の減縮を目的としたものである。 しかも、実質上実用新案請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 【訂正事項(二)】 この訂正は、上記【訂正事項(イ)】の訂正に伴い、詳細な説明の記載を、訂正後の実用新案請求の範囲の記載と整合をとるための訂正であり、かつ、明りょうでない記載の釈明を目的としたものである。 しかも、実質上実用新案請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 【訂正事項(ホ)】 この訂正は、上記【訂正事項(口)】の訂正に伴い、詳細な説明の記載を、訂正後の実用新案請求の範囲の記載と整合をとるための訂正であり、かつ、明りょうでない記載の釈明を目的としたものである。 しかも、実質上実用新案請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 【訂正事項(へ)】 この訂正は、上記【訂正事項(ハ)】の訂正に伴い、詳細な説明の記載を、訂正後の実用新案請求の範囲の記載と整合をとるための訂正であり、かつ、明りょうでない記載の釈明を目的としたものである。 しかも、実質上実用新案請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 2-3.独立特許要件からの判断 2-3-1.訂正された考案 平成12年10月6日付けで提出された訂正明細書の請求項1?6に係る実用新案登録は、訂正明細書又は図面の記載から見て、訂正明細書の実用新案登録請求の範囲の請求項1?6に記載された次のとおりのものである。 【請求項1】 基板上に設ける太陽電池と、太陽電池の受光面側に設け厚さが0.1mmから0.5mmのセラミックからなる被覆部材と、時計を駆動するムーブメントと、時刻を表示する指針と、時計を収納する外装とを備え、太陽電池と被覆部材とのあいだに樹脂シートを設けることを特徴とする時計。(以下、本件考案1とする。) 【請求項2】 基板上に設ける太陽電池と、太陽電池の受光面側に設け厚さが0.1mmから0.5mmのセラミックからなる被覆部材と、時計を駆動するムーブメントと、時刻を表示する指針と、時計を収納する外装とを備え、太陽電池と被覆部材とのあいだに上下をポリエチレンテレフタレートからなる透明フィルムで挟持された樹脂シートを設けることを特徴とする時計。(以下、本件考案2とする。) 【請求項3】 基板上に設ける太陽電池と、太陽電池の受光面側に設け厚さが0.1mmから0.5mmのセラミックからなる被覆部材と、時計を駆動するムーブメントと、時刻を表示する指針と、時計を収納する外装とを備え、太陽電池と被覆部材とのあいだに開ロ部をもつ樹脂シートを設けることを特徴とする時計。(以下、本件考案3とする。) 【請求項4】 基板上に設ける太陽電池と、太陽電池の受光面側に設け厚さが0.1mmから0.5mmのセラミックからなる被覆部材と、時計を駆動するムーブメントと、時刻を表示する指針と、時計を収納する外装とを備え、太陽電池と被覆部材とのあいだに上下をポリエチレンテレフタレートからなる透明フィルムで挟持されかつ開□部をもつ樹脂シートを設けることを特徴とする時計。(以下、本件考案4とする。) 【請求項5】 樹脂シートは、被覆部材と同じ系統の色で構成することを特徴とする請求項1、2、3、あるいは4に記載の時計。 (以下、本件考案5とする。) 【請求項6】 樹脂シートは、被覆部材と異なる色で構成することを特徴とする請求項1、2、3、あるいは4に記載の時計。 (以下、本件考案6とする。) 2-3-2.引用刊行物 異議申立人が甲第1?4号証として提示し、当審が平成12年8月11日に通知した取消理由通知において引用した刊行物1?4には以下の考案が記載されている。 刊行物1:実願号61-54448号(実開昭62-165590号)のマイクロフィルム(異議申立人が提出した甲第1号証) 刊行物1には、 「[考案が解決しようとする問題点]しかし、太陽電池そのものが持つ特有の色調による制限の為、自由度の狭いデザインになっていた。」(2頁4行?7行)、及び、 「9はステンレスを材料とする太陽電池基板、10は9の表面に形成されているアモルフアスシリコン太陽電池膜、11はプラスチックフィルム、12は11に印刷されたインク、13は粘着材である。」(3頁8行?12行)、 が図面とともに記載されている。 刊行物2:特公平5-38464昭号公報(異議申立人が提出した甲第2号証) 刊行物2には、 「しかし現在使われているこれらの太陽電池は黒色またはそれに近い色となつているので見た目が美しいとはいえず、外装部品としては使いづらく、デザイン上の制約があった。」(1頁左欄15行?19行)、及び、 「カラー拡散層2としては、白色拡散板(散乱層)3とカラーフイルタ4を重ねたものが用いられている。」(1頁5行?7行)、 が図面とともに記載されている。 刊行物3:特公平4-8771号公報(異議申立人が提出した甲第3号証) 刊行物3には、 「従来、太陽電池付き電気機器として、単結晶シリコンやアモルフアスシリコンを太陽電池として使い、これを時計、電卓、ラジオなどに組み込んだものがあるが、太陽電池はその色がほとんど黒色に近い色がそのまま見えるので外装品としては好ましいものではなかった。」(1頁左欄11行?16行)、 「この透過型表示素子1の背後に光拡散透過層2が設けられる。光拡散透過層2としては、たとえばブラスト処理したポリエステルフイルムなどのほか、後述のコールドミラー3につや消しクリアラツカーを塗布してもよい。」(1頁1行?5行)、及び、 「光拡散透過層2の背後にコールドミラー3が設けられている。」(1頁7行?8行)、 が図面とともに記載されている。 刊行物4:特公平4-76228号公報(異議申立人が提出した甲第4号証) 刊行物4には、 「太陽電池の前面に可視光の特定波長の光を選択反射しかつ上記太陽電池の発電に寄与する波長域の光を透過する反射層を設け、さらにその前面に光拡散透過層を設けたことを特徴とする色つき太陽電池。」(特許請求の範囲)、 「しかし現在使われているこれら太陽電池は黒色またはそれに近い色となつているので見た目が美しいとはいえず、外装部品としては使いづらく、デザイン上の制約があつた。」(1頁12行?16行)、及び、 「第4図示のように反射層2をストライプ状や網点状等に設けてもよい。」(2頁左欄15行?16行)、 が図面とともに記載されている。 2-3-3.対比・判断 本件考案1と刊行物1?4に記載された考案を比較すると、刊行物1?4のいずれにも、本件考案1の実用新案請求の範囲に記載した「厚さが0.1mmから0.5mmのセラミックからなる被覆部材」については記載されていないし、それを示唆する記載もない。 そして、本件考案1は、当該被覆部材及び樹脂シートの構成によって明細書記載の「被覆部材17の透過率を向上させようと被覆部材17の厚さを薄くする」(第【0009】段落)場合にも、「被覆部材の下面の太陽電池がこの被覆部材を透かして見えないような、太陽電池を備える時計の文字板を提供する」(第【0011】段落)との効果を奏するものである。 したがって、本件考案1は、上記刊行物1?4に記載された考案から当業者がきわめて容易にできたものであるとすることはできない。 本件考案2?6についても、上記本件考案1と同様に、「厚さが0.1mmから0.5mmのセラミックからなる被覆部材」との構成を備えているところ、刊行物1?4にはそのような構成についての記載も示唆もないことから、同様に、上記刊行物1?4に記載された考案から当業者がきわめて容易にできたものであるとすることはできない。 これらのことから、本件考案1?6は、出願の際独立して実用新案登録を受けることができないものとすることはできない。 2-4.訂正の可否についての結論 以上のとおりであるから、上記訂正は平成11年法律第41号附則第15条の規定による、平成6年法律第116号附則第9条第2項の規定により準用され、同平成6年法律第116号附則第6条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる、特許法第120条の4第3項において準用する平成6年法律第116号による改正前の特許法126条第1項ただし書き、第2項及び第3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。 3.実用新案登録異議申立てについて 3-1.実用新案登録異議申立ての概要 実用新案登録異議異議申立人は、申し立ての証拠として甲第1?4号証(当審が取消理由通知で引用した刊行物1?4とそれぞれ同じ)を提出し、本件考案1?6は、本件出願前に頒布された甲各号証に記載された考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであり、実用新案法第3条第2項の規定に違反して登録された旨を主張している。 また、本件考案1?6は、その明細書の実用新案請求の範囲の記載に不備があり、実用新案法第5条第6項(本件実用新案は平成5年の出願であり、平成2年実用新案法の規定を受けるので、「実用新案法第5条第5項」の誤記であると認められる。)の規定に違反して登録された旨主張している。 3-2.当審の判断 上記「2-4.訂正の可否についての結論」のとおり、平成12年10月6日付けの訂正は認められるので、甲第1?4号証に記載された考案と本件考案1?6との対比・判断については、「2-3-3.対比・判断」に記載したとおりである。 よって、本件考案1?6は、甲各号証に記載された考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるとはできない。 また、異議申立人は実用新案登録請求の範囲の「被覆部材」及び「樹脂シート」との記載では何ら光学的な特定をなしたものではない旨を主張している。しかしながら、時計の基板上に設ける太陽電池の「被覆部材」及び「樹脂シート」である以上、太陽電池の色が見えにくくするものであるとともに、時計を駆動するのに必要な起電力を発生するだけの光を通過させるものであることは明らかであり、実用新案異議申立人の主張するような記載不備はない。 なお、本件明細書においてもそのような光学特性を持つ「被覆部材」及び「樹脂シート」であるとして記載されている。 4.むすび 以上のとおりであるから、実用新案登録異議申立ての理由及び証拠によっては、本件考案1?6に係る登録を取り消すことはできない。 また、他に本件考案1?6に係る登録を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(54)【考案の名称】 時計 (57)【実用新案登録請求の範囲】 【請求項1】 基板上に設ける太陽電池と、太陽電池の受光面側に設け厚さが0.1mmから0.5mmのセラミックからなる被覆部材と、時計を駆動するムーブメントと、時刻を表示する指針と、時計を収納する外装とを備え、太陽電池と被覆部材とのあいだに樹脂シートを設けることを特徴とする時計。 【請求項2】 基板上に設ける太陽電池と、太陽電池の受光面側に設け厚さが0.1mmから0.5mmのセラミックからなる被覆部材と、時計を駆動するムーブメントと、時刻を表示する指針と、時計を収納する外装とを備え、太陽電池と被覆部材とのあいだに上下をポリエチレンテレフタレートからなる透明フィルムで挟持された樹脂シートを設けることを特徴とする時計。 【請求項3】 基板上に設ける太陽電池と、太陽電池の受光面側に設け厚さが0.1mmから0.5mmのセラミックからなる被覆部材と、時計を駆動するムーブメントと、時刻を表示する指針と、時計を収納する外装とを備え、太陽電池と被覆部材とのあいだに開口部をもつ樹脂シートを設けることを特徴とする時計。 【請求項4】 基板上に設ける太陽電池と、太陽電池の受光面側に設け厚さが0.1mmから0.5mmのセラミックからなる被覆部材と、時計を駆動するムーブメントと、時刻を表示する指針と、時計を収納する外装とを備え、太陽電池と被覆部材とのあいだに上下をポリエチレンテレフタレートからなる透明フィルムで挟持されかつ開口部をもつ樹脂シートを設けることを特徴とする時計。 【請求項5】 樹脂シートは、被覆部材と同じ系統の色で構成することを特徴とする請求項1、2、3、あるいは4に記載の時計。 【請求項6】 樹脂シートは、被覆部材と異なる色で構成することを特徴とする請求項1、2、3、あるいは4に記載の時計。 【考案の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】 本考案は時計の構造に関し、とくに太陽電池を備える時計の文字板の構成に関する。 【0002】 【従来の技術】 従来、太陽電池を有する時計における太陽電池は、光を吸収して発電を行う関係上、風防の下の文字板面に、外から見えるような構造で使用するのが一般的な手段となっている。 【0003】 このような手段では、太陽電池が独特の濃紫の色を有するために、時計としての外観的な調和をとろうとすると、文字板の色やデザインは大きな制約を受けてしまう。 【0004】 そこで太陽電池の上に被覆部材を設けることが提案されている。この被覆部材を設けた時計を、図3の断面図を用いて説明する。 【0005】 図3に示すように、透明ガラスからなる風防23を設けた外装25内に、指針27を駆動するムーブメント29を設ける。 【0006】 そして時計の時刻表示手段として文字板31は、風防23の下面側に配置し、文字板31には太陽電池13を備える。そしてさらに太陽電池13の受光面側には被覆部材17を設けている。 【0007】 この被覆部材17は、セラミックスや、薄膜を形成したガラスのような透光性を有する材料で構成する。そして被覆部材17は、この被覆部材17に照射された光の1/2から2/3の光は透過して、太陽電池13に照射され、起電力が発生する。 【0008】 この図3に示すように、太陽電池13の上面側に被覆部材17を設けているので、太陽電池13の独特の色は見えにくくなる。 【0009】 【考案が解決しようとする課題】 しかしながら図3に示す構成の時計においては、被覆部材17の透過率を向上させようとして被覆部材17の厚さを薄くすると、被覆部材17の下の太陽電池13が、被覆部材17を透かして、かすかに見えるという問題点が発生する。 【0010】 たとえば被覆部材17として白色のセラミックスを使用したときは、太陽電池13が存在する領域は、文字板31としては白色に見えず、太陽電池13の濃紫とセラミックスの白色とが混色して薄い灰色に見えてしまう。 【0011】 本考案の目的は、上記課題を解決して、被覆部材の下面の太陽電池が、この被覆部材を透かして見えないような、太陽電池を備える時計の文字板を提供することである。 【0012】 【課題を解決するための手段】 上記目的を達成するために本考案の時計の文字板は、下記記載の構成を採用する。 【0013】 本考案の時計の文字板は、基板上に設ける太陽電池と、太陽電池の受光面側に設け厚さが0.1mmから0.5mmのセラミックからなる被覆部材と、時計を駆動するムーブメントと、時刻を表示する指針と、時計を収納する外装とを備え、太陽電池と被覆部材とのあいだに樹脂シートを設けることを特徴とする。 【0014】 本考案の時計の文字板は、基板上に設ける太陽電池と、太陽電池の受光面側に設け厚さが0.1mmから0.5mmのセラミックからなる被覆部材と、時計を駆動するムーブメントと、時刻を表示する指針と、時計を収納する外装とを備え太陽電池と被覆部材とのあいだに上下をポリエチレンテレフタレートからなる透明フィルムで挟持された樹脂シートを設けることを特徴とする。 【0015】 本考案の時計の文字板は、基板上に設ける太陽電池と、太陽電池の受光面側に設け厚さが0.1mmから0.5mmのセラミックからなる被覆部材と、時計を駆動するムーブメントと、時刻を表示する指針と、時計を収納する外装とを備え、太陽電池と被覆部材とのあいだに開口部をもつ樹脂シートを設けることを特徴とする。 【0016】 本考案の時計の文字板は、基板上に設ける太陽電池と、太陽電池の受光面側に設け厚さが0.1mmから0.5mmのセラミックからなる被覆部材と、時計を駆動するムーブメントと、時刻を表示する指針と、時計を収納する外装とを備え、太陽電池と被覆部材とのあいだに上下をポリエチレンテレフタレートからなる透明フィルムで挟持されかつ開口部をもつ樹脂シートを設けることを特徴とする。 【0017】 【作用】 本考案の時計の文字板は、被覆部材と太陽電池とのあいだに樹脂シートを設けている。このため時計の風防側からは、被覆部材を透かして太陽電池が見えるということは発生しなくなる。 【0018】 そして太陽電池への光の透過率が低下して、太陽電池の起電力が低下する現象が発生したときは、樹脂シートの厚さを薄くしたり、あるいは開口部を有する樹脂シートを使用すればよい。さらに樹脂シートの厚さが薄く、取扱いが容易でないときは、樹脂シートを透明フィルムに張り付けて補強してもよい。 【0019】 【実施例】 以下図面を用いて本考案の実施例における時計の文字板の構造を説明する。 【0020】 【実施例1】 図1は本考案の第1の実施例における太陽電池を有する文字板を示す断面図である。 【0021】 図1に示すように、本考案の文字板31は、下面に文字板足21を形成した基板11と、基板11上の太陽電池13と、太陽電池13上の樹脂シート15と、樹脂シート15上の被覆部材17とで構成する。 【0022】 基板11は、しんちゅうやステンレスなどの金属薄板からなり、基板11の下面に、文字板31をムーブメント29(図3参照)に固定するための2つの文字板足21をスポット溶接などの接合手段によって設ける。 【0023】 太陽電池13は、単結晶シリコン、あるいは多結晶シリコンやアモルファスシリコンの非単結晶シリコン、あるいは化合物半導体で構成する。 【0024】 樹脂シート15は、厚さが10μm程度の樹脂材料からなり、円形状や多角形を有する開口部15aを複数個設ける。 【0025】 この樹脂シート15に設ける開口部15aは、被覆部材17と樹脂シート15とを透過する光が太陽電池13に充分な光量で到達して、必要な起電力が得られるときは、開口部15は形成しなくてもよい。 【0026】 被覆部材17は、厚さが0.1から0.5mmのセラミックスや、薄膜を形成したガラスからなる。そして時刻目盛りやマークを被覆部材17のおもて面側に印刷法により設ける。 【0027】 そして被覆部材17の色と、樹脂シート15の色とを同じ色にする。このように被覆部材17の下面に、この被覆部材17と同じ色をもつ樹脂シート15を設けることによって、太陽電池13の濃紫色は見えなくなり、太陽電池13の色と被覆部材17の色とが混色することは発生しない。 【0028】 樹脂シート15は、被覆部材17と太陽電池13とのあいだに介在させればよく、被覆部材17あるいは太陽電池13に、紫外線硬化型の接着剤を用いて張り付けてもよい。 【0029】 【実施例2】 つぎに本考案の第2の実施例における時計の文字板の構成を説明する。図2は本考案の第1の実施例における太陽電池を有する文字板を示す断面図である。 【0030】 図2に示す第2の実施例と、図1に示す第1の実施例との構成上の相違点は、透明フィルム19を上下に有する樹脂シート15を設けた点である。 【0031】 この透明フィルム19は、膜厚が0.03mm程度のポリエチレンテレフタレート(PET)を使用する。このポリエチレンテレフタレート(PET)は、光の透過率がほぼ100%の特性をもつ。 【0032】 透明フィルム19を上下に有する樹脂シート15の形成方法は、まず透明フィルム19のあいだに樹脂シート15を挟むように配置する。その後、温度80℃程度に加熱しながら、両面から圧力を印加して、樹脂シート15と透明フィルム19とを一体化する。 【0033】 このように、透明フィルム19と樹脂シート15とを一体化すると、以下に記載するような効果がある。 【0034】 それは樹脂シート15単体では、この樹脂シート15の膜厚が薄く、取扱いが難しいが、透明フィルム19と樹脂シート15とを一体化すると、取扱いが容易になるという効果を有する。 【0035】 この樹脂シート15と一体化した透明フィルム19は、被覆部材17と太陽電池13とのあいだに介在させればよく、被覆部材17あるいは太陽電池13に、紫外線硬化型の接着剤を用いて張り付けてもよい。 【0036】 なおこの透明フィルム19は、樹脂シート15の両面に設けてもよいが、樹脂シート15の片面にのみ設けてもよい。 【0037】 ここで本考案の文字板を時計に組み込んだ結果を、つぎに説明する。太陽電池13としては、p-i-n接合を有するアモルファスシリコンを使用し、被覆部材17として厚さが0.2mmのセラミックスを使用し、ポリエチレンテレフタレート(PET)からなる膜厚0.03mmの透明フィルム19を上下に形成した樹脂シート15を文字板31とした。なお樹脂シート15の膜厚は10μmのものを使用し、開口部12aの開口面積が樹脂シート15全面積の50%のものを用いた。 【0038】 表面になにも被覆していないときの、太陽電池13の起電力を1.0としたときに、本考案の樹脂シート15と被覆部材17とを、太陽電池表面に配置したときは、0.48の起電力が得られている。 【0039】 この起電力が0.48という数値は、樹脂シート15と透明フィルム19とを太陽電池13に配置していないときの起電力0.50とほとんど差がない。 【0040】 したがって樹脂シート15や透明フィルム19での光の反射や光吸収は、ほとんど発生していないことがわかる。 【0041】 そして本発明の時計用文字板を時計に組み込んだところ、起電力不足による時計の止まりは発生せず、正常に動作していた。 【0042】 これは太陽電池の改良による発電効率の向上や、時計の低消費電力化が大きく寄与している。 【0043】 なお以上の説明においては、被覆部材17と樹脂シート15とを同じような色としたが、被覆部材17と樹脂シート15とは異なる色で構成してもよい。 【0044】 【考案の効果】 以上の説明から明かなように、本考案の文字板は、被覆部材の下面の太陽電池が、この被覆部材を透かして見えないような、太陽電池を備える時計の文字板を提供することができる。 【0045】 さらに被覆部材の材料と色とを選択することにより、文字板面の色が限定されることはなくなり、時計用の文字板として要求される色はほとんど得られ、デザイン上の制約を排除することができる。とくに従来の太陽電池を備えた時計では得られなかった白色を有する文字板が得られることは、本考案の効果として大きい。 【図面の簡単な説明】 【図1】 本考案の第1の実施例における時計の文字板の構成を示す断面図である。 【図2】 本考案の第2の実施例における時計の文字板の構成を示す断面図である。 【図3】 時計を示す断面図である。 【符号の説明】 13 太陽電池 15 樹脂シート 17 被覆部材 19 透明フィルム 25 外装 29 風防 31 文字板 |
訂正の要旨 |
訂正の要旨 【訂正事項(イ)】 実用新案登録請求の範囲の請求項1?4に記載された「太陽電池の受光面側に設ける被覆部材」を、 「太陽電池の受光面側に設け厚さが0.1mmから0.5mmのセラミックからなる被覆部材」と訂正する。 【訂正事項(ロ)】 実用新案登録請求の範囲の請求項2に記載された「太陽電池と被覆部材とのあいだに透明フィルムを有する樹脂シートを設ける」を、 「太陽電池と被覆部材とのあいだに上下をポリエチレンテレフタレートからなる透明フィルムで挟持された樹脂シートを設ける」と訂正する。 【訂正事項(ハ)】 実用新案登録請求の範囲の請求項4に記載された「太陽電池と被覆部材とのあいだに透明フィルムを有しかつ開口部をもつ樹脂シートを設ける」を、 「太陽電池と被覆部材とのあいだに上下をポリエチレンテレフタレートからなる透明フィルムで挟持されかつ開□部をもつ樹脂シートを設ける」と訂正する。 【訂正事項(ニ)】 上記【訂正事項(イ)】に伴し、段落番号〔0013〕?〔0016〕における「太陽電池の受光面側に設ける被覆部材」を、 「太陽電池の受光面側に設け厚さが0.1mmから0.5mmのセラミックからなる被覆部材」と訂正する。 【訂正事項(ホ)】 上記【訂正事項(ロ)】に伴し、段落番号〔0014〕における「太陽電池と被覆部材とのあいだに透明フィルムを有する樹脂シートを設ける」を、 「太陽電池と被覆部材とのあいだに上下をポリエチレンテレフタレートからなる透明フィルムで挟持された樹脂シートを設ける」と訂正する。 【訂正事項(へ)】 上記【訂正事項(ハ)】に伴い、段落番号〔0016〕における「太陽電池と被覆部材とのあいだに透明フィルムを有しかつ開口部をもつ樹脂シートを設ける」を、 「太陽電池と被覆部材とのあいだに上下をポリエチレンテレフタレートからなる透明フィルムで挟持されかつ開 |
異議決定日 | 2000-12-13 |
出願番号 | 実願平5-64854 |
審決分類 |
U
1
651・
121-
YA
(G04B)
U 1 651・ 534- YA (G04B) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 太田 恒明 |
特許庁審判長 |
高瀬 浩一 |
特許庁審判官 |
吉村 和彦 杉野 裕幸 |
登録日 | 1999-05-21 |
登録番号 | 実用新案登録第2597929号(U2597929) |
権利者 |
シチズン時計株式会社 東京都新宿区西新宿2丁目1番1号 |
考案の名称 | 時計 |
代理人 | 木村 勝彦 |
代理人 | 西川 慶治 |