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審決分類 審判 一部申し立て   B62D
管理番号 1039506
異議申立番号 異議1999-74061  
総通号数 19 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案決定公報 
発行日 2001-07-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 1999-10-26 
確定日 2001-02-05 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 登録第2594332号「無限軌道帯用弾性履板」の請求項1に係る実用新案登録に対する実用新案登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。   
結論 訂正を認める。 登録第2594332号の請求項1に係る実用新案登録を維持する。
理由 1.手続の経緯
実用新案登録第2594332号の考案についての出願は、平成5年12月24日に実用新案登録出願され、平成11年2月26日にその考案について実用新案の設定登録がされた。これに対して、実用新案登録異議の申立てがあったので、実用新案法第3条第2項の規定に違反する旨の取消理由を通知したところ、異議意見書のみが提出されたが、依然として明細書に記載不備があったので、改めて、実用新案法第5条第3、4項の規定に違反する旨の取消理由を通知したところ、訂正請求書が提出されたものである。
2.訂正の適否について
(1)訂正明細書の請求項に係る考案
訂正明細書の請求項1?3に係る考案は、その実用新案登録請求の範囲の請求項1?3に記載された次のとおりのものである。
【請求項1】無限軌道帯の鉄製履板沓面に取り付けられるところの、背面に補強金属板を重ね合わせるとともに、該補強金属板の中央部にリンクに対する複数本の鉄製履板取り付け用ボルトのそれぞれに対応する複数のボルトヘッド除け穴を形成した弾性履板において、上記したボルトヘッド除け穴は弾性履板の長さ方向に向けて長円もしくは楕円形状にしたことを特徴とする無限軌道帯用弾性履板。
【請求項2】補強金属板の中央部に形成された複数本の鉄製履板取り付け用ボルトのそれぞれに対応する複数のボルトヘッド除け穴は、弾性履板の長さ方向に並ぶ一対のボルトヘッド除け穴のうち、一方のみが弾性履板の長さ方向に向けて長円もしくは楕円形状に形成されているところの請求項1に記載の無限軌道帯用弾性履板。
【請求項3】補強金属板の中央部に形成された構数本の鉄製履板取り付け用ボルトのそれぞれに対応する複数のボルトヘッド除け穴は、弾性履板の長さ方向に平行して設けられた左右2列のボルトヘッド除け穴のうち、片側のみが弾性履板の長さ方向に向けて長円もしくは楕円形状に形成されているところの請求項1に記載の無限軌道帯用弾性履板。
(2)訂正の目的の適否、新規事項の有無、拡張・変更の存否
実用新案権者が求めている訂正の内容は、以下のとおりである。
(訂正事項a)実用新案登録請求の範囲の請求項1?3における「鉄製履板取り付け用ボルトのそれぞれに対応するボルトヘッド除け穴」の記載を「鉄製履板取り付け用ボルトのそれぞれに対応する複数のボルトヘッド除け穴」と、それぞれ訂正する。
(訂正事項b)考案の詳細な説明の[0005]、[0006]、[0007]および[0011]における「鉄製履板取り付け用ボルトのそれぞれに対応するボルトヘッド除け穴」を「鉄製履板取り付け用ボルトのそれぞれに対応する複数のボルトヘッド除け穴」と、また、[0008]における「補強金属板のボルトヘッド除け穴」を「補強金属板の複数のボルトヘッド除け穴」と、さらに、[0012]における「上記ボルトヘッド除け穴」を「上記複数のボルトヘッド除け穴」と、[0013]における「楕円形状にしたボルトヘッド除け穴」を「楕円形状にした複数のボルトヘッド除け穴」と、それぞれ訂正する。
訂正事項aについて:「複数のボルトヘッド除け穴」は、図1および図2に記載されていたものであり、「ボルトヘッド除け穴」について、下位概念である「複数のボルトヘッド除け穴」と限定しようとするものであるから、この訂正は実用新案登録請求の範囲の減縮を目的としたものである。そして、この実用新案登録請求の範囲の訂正は、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、この訂正により実質上実用新案登録請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
訂正事項bについて:前記訂正に伴い、実用新案登録請求の範囲の記載と考案の詳細な説明の記載とを整合させるためになされた訂正であって、この訂正は考案の詳細な説明における明瞭でない記載の釈明を目的としたものである。そして、この考案の詳細な説明の訂正は、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、この訂正により実質上実用新案登録請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
(3)独立登録要件
取消理由で引用した刊行物1(実願平4-26940号(実開平5-78684号)のCD-ROM:実用新案登録異議申立書の甲第1号証)の図1?3に示された実施例には、無限軌道帯の鉄製履板沓面に取り付けられるところの、背面に補強金属板を重ね合わせるとともに、該補強金属板の中央部にリンクに対する複数本の鉄製履板取り付け用ボルトのそれぞれに対応する複数のボルトヘッド除け穴を形成した弾性履板において、ボルトヘッド除け穴をボルト頭部を通す円形穴にした無限軌道帯用弾性履板 について記載されている。
また、同刊行物2(実願平4-29091号(実開平5-80984号)のCD-ROM:実用新案登録異議申立書の甲第2号証)の図4?6に示された実施例には、無限軌道帯の鉄製履板沓面に取り付けられるところの、背面に補強金属板を重ね合わせるとともに、該補強金属板の中央部にリンクに対する複数本の鉄製履板取り付け用ボルトのそれぞれに対応して、これらを一括して収容する1つのボルトヘッド除け穴を形成した弾性履板において、ボルトヘッド除け穴は弾性履板の長さ方向に向けて長方形形状にした無限軌道帯用弾性履板について記載されている。
そこで、訂正明細書の請求項1に係る考案(以下、訂正考案という)と前記刊行物1及び刊行物2に記載された考案とを対比すると、前記刊行物のいずれにも訂正考案の構成である「鉄製履板取り付け用ボルトのそれぞれに対応する複数のボルトヘッド除け穴」であって、しかも「ボルトヘッド除け穴を弾性履板の長さ方向に向けて長円もしくは楕円形状にした」という構成は記載されていないし、それを示唆する記載もない。
そして、訂正考案の無限軌道帯用弾性履板によれば、明細書記載の作用・効果を発現するものと認められる。このような効果は、前記刊行物1、2からは予測が困難であるから、訂正考案は、前記刊行物1、2に記載された考案に基づいて当業者がきわめて容易に想到しえたものとはいえない。
また、訂正明細書の請求項2、3に係る考案は、前記の訂正考案において、更にそのボルトヘッド除け穴について限定を加えたものであるから、前記訂正考案が前記刊行物1、2に記載された考案に基づいて当業者がきわめて容易に想到しえたものとはいえない以上、訂正明細書の請求項2、3に係る考案も前記刊行物1、2に記載された考案に基づいて当業者がきわめて容易に想到しえたものとはいえない。
したがって、前記訂正事項aに係る訂正後の請求項1、2、3に係る考案は、実用新案登録出願の際、独立して実用新案登録を受けることができないものとすることはできない。
(4)明細書の記載不備
取消理由通知で実用新案登録請求の範囲の請求項1?3において、鉄製履板取り付け用ボルトの数とボルトヘッド除け穴の数との対応関係が不明確である旨を指摘したが、当該指摘に対して、実用新案登録請求の範囲の請求項1?3を訂正することで前記の記載不備は解消した。
(5)むすび
以上のとおりであるから、前記訂正事項a、bの訂正は、特許法等の一部を改正する法律(平成11年法律第41号)附則第15条の規定による改正後の特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第9条第2項の規定により準用され、同附則第6条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる、特許法第120条の4第3項において準用する平成6年法律第116号による改正前の特許法第126条第1項ただし書、第2項及び第3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。
3.実用新案登録異議の申立てについて
(1)本件登録実用新案
実用新案登録第2594332号の請求項1?3に係る登録実用新案は、訂正明細書の実用新案登録請求の範囲の請求項1?3に記載されたとおりのものと認められるところ、請求項1に係る登録実用新案は次のとおりである。
【請求項1】無限軌道帯の鉄製履板沓面に取り付けられるところの、背面に補強金属板を重ね合わせるとともに、該補強金属板の中央部にリンクに対する複数本の鉄製履板取り付け用ボルトのそれぞれに対応する複数のボルトヘッド除け穴を形成した弾性履板において、上記したボルトヘッド除け穴は弾性履板の長さ方向に向けて長円もしくは楕円形状にしたことを特徴とする無限軌道帯用弾性履板。
(2)登録異議申立ての理由の概要
登録異議申立人は、請求項1に係る登録実用新案は、甲第1号証及び甲第2号証に記載された考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるから、実用新案法第3条第2項の規定に違反して実用新案登録されたものであり、取り消されるべきものである旨、主張している。
(3)判断
本件請求項1に係る登録実用新案と登録異議申立人が提出した甲第1号証及び甲第2号証の刊行物に記載された考案とを対比すると、前記刊行物のいずれにも請求項1に係る登録実用新案の構成である「鉄製履板取り付け用ボルトのそれぞれに対応する複数のボルトヘッド除け穴」であって、しかも「ボルトヘッド除け穴を弾性履板の長さ方向に向けて長円もしくは楕円形状にした」という構成については、記載も示唆もないのは、前記2.(3)の独立登録要件のところで説示したとおりである。
したがって、本件請求項1に係る登録実用新案は、前記甲第1号証及び甲第2号証の刊行物に記載された考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものとはいえない。
(4)むすび
以上のとおりであるから、登録異議申立人が主張する理由及び提出した証拠によっては、本件請求項1に係る登録実用新案についての実用新案登録を取り消すことはできない。
また、他に本件請求項1に係る登録実用新案についての実用新案登録を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
発明の名称 (54)【考案の名称】
無限軌道帯用弾性石板
(57)【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】無限軌道帯の鉄製履板沓面に取り付けられるところの、背面に補強金属板を重ね合わせるとともに、該補強金属板の中央部にリンクに対する複数本の銀製履板取り付け用ボルトのそれぞれに対応する複数のボルトヘッド除け穴を形成した弾性履板において、上記したボルトヘッド除け穴は弾性履板の長さ方向に向けて長円もしくは楕円形状にしたことを特徴とする無限軌道帯用弾性履板。
【請求項2】補強金属板の中央部に形成された複数本の鉄製履板取り付け用ボルトのそれぞれに対応する複数のボルトヘッド除け穴は、弾性履板の長さ方向に並ぶ一対のボルトヘッド除け穴のうち、一方のみが弾性履板の長さ方向に向けて長円もしくは楕円形状に形成されているところの請求項1に記載の無限軌道帯用弾性履板。
【請求項3】補強金属板の中央部に形成された複数本の鉄製履板取り付け用ボルトのそれぞれに対応する複数のボルトヘッド除け穴は、弾性履板の長さ方向に平行して設けられた左右2列のボルトヘッド除け穴のうち、片側のみが弾性履板の長さ方向に向けて長円もしくは楕円形状に形成されているところの請求項1に記載の無限軌道帯用弾性履板。
【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本考案はブルドーザーやパワーショベルのような建設用車輪等に用いられる走行路面保護のための無限軌道帯用弾性履板の改良に関し、弾性履板の取り付けに際して、リンクに対する複数本の鉄製履板取り付け用ボルトヘッドの当接障害を無くし、取り付け作業性と安定性の向上、ならびにコストの低減をはかることを目的とする。
【0002】
【従来の技術】
無限軌道帯用の履帯は通常その沓面に、その長さ方向に沿って突出させた単数または複数のラグを有する履板を多数のリンクにより、ブッシュおよびピンを介して相互に無端状に連結した鉄製のものが用いられている。 ところが舗装路面上の走行に際しては路面を著しく損傷するために、最近では各履板の沓面に弾性の保護沓板を重合一体化させて走行することがおこなわれており、しかも該弾性保護沓板の取り付け面には鉄製の保護沓板が一体に重合されているとともに、さらに該鉄製の保護沓板には、これを取り付ける鉄製履板の取り付けボルトのヘッド部の干渉を防止するためのボルト除け穴がそれぞれのボルトに対応する位置に形成されている。
【0003】
【考案が解決しようとする課題】
しかしながら上記した弾性保護沓板を鉄製履板の接地面に取り付ける場合においては、鉄製履板の取り付けボルトの位置如何により弾性履板の鉄製保護沓板における前記したボルト除け穴の位置を変える必要があり、そのために鉄製の保護沓板を複数種類用意しておく必要があるために作業性が悪く、しかもコスト高となる。 また履板沓面との間に微妙な透き間を生じて弾性保護沓板を適正な位置に取り付けることが困難となり、弾性保護沓板の取り付けの不具合や、がたつきによる耐久性の欠如を引き起こしやすい等種々の問題があった。
【0004】
さらに上記した鉄製保護沓板のボルト除け穴の開設位置を変える場合には、プレス加工の場合においてはその都度穴あけ用の型を交換する必要があり、またこれをNCボール盤によっておこなう場合には、そのたび毎にプログラムを変更しなければばらない。 さらに弾性履板を構成するために、上記した鉄製の保護当板裏面倒に、たとえば加硫接着法等の手段によってゴム等の弾性材を一体的に接着する場合には、その際に鉄製保護沓振の長さ方向中央部の、前記した鉄製履板の取り付けボルトのヘッド部に対応する位置に、弾性材が入り込むのを防止するための金属あるいは樹脂性のキャップをセットしておく必要があるために、同じく鉄製履板の取り付けボルト位置が異なる毎に、上記したキャップのセットする位置をも変える必要がり、生産性が低下する等種々の不都合があった。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本考案は上記した従来技術における課題を解決し、取り付け作業性の向上、ならびに取り付け上の不具合を無くし、しかもコストの低減化をはかるようにしたものであって、具体的には無限軌道帯の鉄製履板沓面に取り付けられるところの、背面に補強金属板を重ね合わせるとともに、該補強金属板の中央部にリンクに対する複数本の鉄製履板取り付け用ボルトのそれぞれに対応する複数のボルトヘッド除け穴を形成した弾性履板において、上記したボルトヘッド除け穴は弾性履板の長さ方向に向けて長円もしくは楕円形状にしたことを特徴とする無限軌道帯用弾性履板に関する。
【0006】
また本考案は、補強金属板の中央部に形成された複数本の鉄製履板取り付け用ボルトのそれぞれに対応する複数のボルトヘッド除け穴について、弾性履板の長さ方向に並ぶ一対のボルトヘッド除け穴のうち、一方のみが弾性履板の長さ方向に向けて長円もしくは楕円形状に形成されているようにしたところの無限軌道帯用弾性履板無限軌道帯用弾性履板にも関する。
【0007】
さらに本考案は、補強金属板の中央部に形成された複数本の鉄製履板取り付け用ボルトのそれぞれに対応する複数のボルトヘッド除け穴は、弾性履板の長さ方向に平行して設けられた左右2列のボルトヘッド除け穴のうち、片側のみが弾性履板の長さ方向に向けて長円もしくは楕円形状に形成されているところの無限軌道帯用弾性履板にも関する。
【0008】
【作用】
補強金属板を貼り合わせた弾性履板を鉄製の履板の接地面上に重ね合わせ、その両端に突出させた取り付けポルトにより鉄製履板に一体的に取り付ける。 この際において鉄製履板の取り付け用ボルトのヘッド部が上記した補強金属板の複数のボルトヘッド除け穴内に位置し、補強金属板に干渉することがない。
【0009】
【実施例】
以下において本考案の具体的な内容を図1?2に示した実施例をもとに説明すると、1は弾性沓材、2は補強金属板をあらわす。 弾性沓材1は、ゴムあるいはウレタンその他の弾性材からなり、その裏面には図示しない履板の接地倒沓面の凹凸形状に対応させた凹凸形状が形成され、中央部には履板の突出ラグに対応する溝状の凹部1aが長さ方向に向けて形成されているとともに、その左右両側には平坦な凸部1bが形成されている。
【0010】
補強金属板2は、弾性沓材1の凹部1aに対応する凹部2aを有するとともに、該凹部2aを中心とし、その左右両側には弾性沓材1の凸部1b・1bに対応し、その平坦な表面を略覆うことができる大きさのものを用意する。 さらに凹部2aの両側の平坦な部分には、それぞれの長さ方向の両端部寄りの対称位置に取り付けボルト3が、先端を外方(履板に対する取り付け方向)に向けて突出するように、その頭部を補強金属板2の裏面において溶接により一体に取り付けるなどして突設させ、該補強金属板2を取り付けた状態において、鉄製履板の接地側沓面に密着重合が可能であるように弾性沓材1に対して補強金属板2を、加硫接着等の手段により一体となるように構成している。
【0011】
さらに補強金属板2には、その両端寄りの取り付けボルト3と同様に、凹部2aの両側の平坦な部分であって、上記した取り付けボルト3・3の間に位置した中央部に、リンクに対する長さ方向に向けて一定の間隔を介在させて取り付けた一対の鉄製履板取り付け用ボルトのそれぞれに対応する複数のボルトヘッド除け穴5・5が形成されている。 このボルトヘッド除け穴5は、鉄製履板のサイズや規格による取り付けボルトの多少の位置の相違に十分に対応できるように、鉄製履板取り付け用ボルトのそれぞれに対応して各ボルト毎に長円もしくは楕円状に形成されている。
【0012】
なおこの場合において、上記複数のボルトヘッド除け穴5・5の形成を、各鉄製履板取り付け用ボルト毎にではなく、図2に示したように一対の鉄製履板取り付け用ボルトのヘッド部を共に一個の穴内に入り込ませることができるように長円状のボルトヘッド除け穴4として形成するようにしてもよい。 さらにこのボルトヘッド除け穴の形成については、弾性履板の長さ方向に並ぶ一対のボルトヘッド除け穴のうち、一方のみが弾性履板の長さ方向に向けて長円もしくは楕円形状となるように形成してもよく、また補強金属板2の中央の凹部2aを中心とした、その片側の平坦部に位置するボルトヘッド除け穴のみを長円もしくは楕円状に形成するようにしてもよい。
【0013】
【考案の効果】
本考案は上記した通り、補強金属板の中央部にリンクに対する複数本の鉄製履板取り付け用ボルトのそれぞれに対応するところの、弾性履板の長さ方向に向けて長円もしくは楕円形状にした複数のボルトヘッド除け穴を形成したものであるために汎用性をもたせることができ、鉄製履板の取り付けボルトの位置如何により弾性履板の鉄製保護沓板におけるボルト除け穴の形成位置をいちいち変える必要がなく、そのために鉄製の保護沓板を複数種類用意しておく必要がない。 その結果弾性履板のコストを低液化させることができ、また鉄製履板沓面との間に微妙な透き間を生じて弾性保護沓板の取り付けの不具合を起こし、耐久性の欠如を引き起こすようなことがなくなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本考案の一実施例をあらわした無限軌道帯用弾性履板の全体斜視図。
【図2】
本考案の別の実施例をあらわした無限軌道帯用弾性履板の全体斜視図。
【符号の説明】
1 弾性沓材
1a 凹部
1b 凸部
2 補強金属板
2a 凹部
3 取り付けボルト
4 ボルトヘッド除け穴
5 ボルトヘッド除け穴
訂正の要旨 本件登録異議申立てに係る訂正請求における訂正の要旨は、以下のとおりである。
(1)実用新案登録請求の範囲を次のとおりに訂正する。
【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】無限軌道帯の鉄製覆板沓面に取り付けられるところの、背面に補強金属板を重ね合わせるとともに、該補強金属板の中央部にリンクに対する複数本の鉄製履板取り付け用ボルトのそれぞれに対応する複数のボルトヘッド除け穴を形成した弾性覆板において、上記したボルトヘッド除け穴は弾性覆板の長さ方向に向けて長円もしくは楕円形状にしたことを特徴とする無限軌道帯用弾性履板。
【請求項2】補強金属板の中央部に形成された複数本の鉄製覆板取り付け用ボルトのそれぞれに対応する複数のボルトヘッド除け穴は、弾性紅板の長さ方向に並ぶ一対のボルトヘッド除け穴のうち、一方のみが弾性石板の長さ方向に向けて長円もしくは楕円形状に形成されているところの請求項1に記載の無限軌道帯用弾性石板。
【請求項3】補強金属板の中央部に形成された複数本の鉄製履板取り付け用ボルトのそれぞれに対応する複数のボルトヘッド除け穴は、弾性覆板の長さ方向に平行して設けられた左右2列のボルトヘッド除け穴のうち、片側のみが弾性覆板の長さ方向に向けて長円もしくは楕円形状に形成されているところの請求項1に記載の無限軌道帯用弾性覆板。
(2)明細書の考案の詳細な説明の段落番号【0005】【0006】【0007】 【0008】【0011】【0012】【0013】を、それぞれ次のとおりに訂正する。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本考案は上記した従来技術における課題を解決し、取り付け作業性の向上、ならびに取り付け上の不具合を無くし、しかもコストの低減化をはかるようにしたものであって、具体的には無限軌道帯の鉄製覆板沓面に取り付けられるところの、背面に補強金属板を重ね合わせるとともに、該補強金属板の中央部にリンクに対する複数本の鉄製覆板取り付けボルトのそれぞれに対応する複数のボルトヘッド除け穴を形成した弾性覆板において、上記したボルトヘッド除け穴は弾性履板の長さ方向に向けて長円もしくは楕円形状にしたことを特徴とする無限軌道帯用弾性覆板に関する。
【0006】
また本考案は補強金属板の中央部に形成された複数本の鉄製覆板取り付け用ボルトのそれぞれに対応する複数のボルトヘッド除け穴について、弾性覆板の長さ方向に並ぶ一対のボルトヘッド除け穴のうち、一方のみが弾性覆板の長さ方向に向けて長円もしくは楕円形状に形成されているようにしたところの無限軌道帯用弾性覆板無限軌道帯用弾性覆板にも関する。
【0007】
さらに本考案は、補強金属板の中央部に形成された複数本の鉄製覆板取り付け用ボルトのそれぞれに対応する複数のボルトヘッド除け穴は、弾性覆板の長さ方向に平行して設けられた左右2列のボルトベッド除け穴のうち、片側のみが弾性覆板の長さ方向に向けて長円もしくは楕円形状に形成されているところの無限軌道帯用弾性覆板にも関する。
【0008】
【作用】
補強金属板を貼り合わせた弾性覆板を鉄製の履板の接地面上に重ね合わせ、その両端に突出させた取り付けボルトにより鉄製覆板に一体的に取り付ける。この際において鉄製覆板の取り付け用ボルトのヘッド部が上記した補強金属板の複数のボルトヘッド除け穴内に位置し、補強金属板に干渉することがない。
【0011】
さらに補強金属板2には、その両端寄りの取り付けボルト3と同様に、凹部2aの両面の平坦な部分であって、上記した取り付けボルト3・3の間に位置した中央部に、リンクに対する長さ方向に向けて一定の間隔を介在させて取り付けた一対の鉄製覆板取り付け用ボルトのそれぞれに対応する複数のボルトヘッド除け穴5・5が形成されている。このボルトヘッド除け穴5は、鉄製覆板のサイズや規格による取り付けボルトの多少の位置の相違に十分に対応できるように、鉄製覆板取り付け用ボルトのそれぞれに対応して各ボルト毎に長円もしくは楕円状に形成されている。
【0012】
なおこの場台において、上記複数のボルトヘッド除け穴5・5の形成を、各鉄製覆板取り付け用ボルト毎にではなく、図2に示したように一対の鉄製覆板取り付け用ボルトのヘッド部を共に一個の穴内に入り込ませることができるように長円状のボルトヘッド除け穴4として形成するようにしてもよい。さらにこのボルトヘッド除け穴の形成については、弾性覆板の長さ方向に並ぶ一対のボルトヘッド除け穴のうな一方のみが弾性覆板の長さ方向に向けて長円もしくは楕円形状となるように形成してもよく、また補強金属板2の中央の凹部2aを中心とした、その片側の平坦部に位置するボルトヘッド除け穴のみを長円もしくは楕円状に形成するようにしてもよい。
【0013】
【考案の効果】
本考案は上記した通り、補強金属板の中央部にリンクに対する複数本の鉄製覆板取り付け用ボルトのそれぞれに対応するところの、弾性覆板の長さ方向に向けて長円もしくは楕円形状にした複数のボルトヘッド除け穴を形成したものであるために汎用性をもたせることができ、鉄製覆板の取り付けボルトの位置如何により弾性覆板の鉄製保護沓板におけるボルト除け穴の形成位置をいちいち変える必要がなく、そのために鉄製の保護沓板を複数種類用意しておく必要がない。その結果弾性覆板のコストを減液化させることができ、また鉄製覆板沓面との間に微妙な透き間を生じて弾性保護沓板の取り付けの不具合を起こし、耐久性の欠如を引き起こすようなことがなくなる。
異議決定日 2001-01-12 
出願番号 実願平5-73893 
審決分類 U 1 652・ 121- YA (B62D)
最終処分 維持    
前審関与審査官 岡田 孝博  
特許庁審判長 藤井 俊明
特許庁審判官 大島 祥吾
鈴木 久雄
登録日 1999-02-26 
登録番号 実用新案登録第2594332号(U2594332) 
権利者 トピー工業株式会社
東京都千代田区四番町5番地9
考案の名称 無限軌道帯用弾性履板  
代理人 吉村 公一  
代理人 吉村 公一  

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