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審決分類 審判 全部申し立て   G01C
管理番号 1039509
異議申立番号 異議2000-72961  
総通号数 19 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案決定公報 
発行日 2001-07-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2000-07-26 
確定日 2001-03-12 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 登録第2602938号「車載用ナビゲーション装置」の請求項1に係る実用新案登録に対する実用新案登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。   
結論 訂正を認める。 登録第2602938号の請求項1に係る実用新案登録を維持する。
理由 1.手続の経緯
実用新案登録第2602938号に係る考案は、平成5年11月5日に出願され、平成11年12月3日にその実用新案登録がなされ、その後異議申立人パイオニア株式会社及び平山佐智子から異議申立がなされ、当審において取消理由通知がなされ、その応答期間内である平成13年1月16日に訂正請求がされたものである。
2.訂正の可否についての判断
2-1.本件訂正
上記訂正請求に係る訂正事項(以下、本件訂正という。)は、(a)実用新案登録請求の範囲の減縮を目的として、訂正前明細書の実用新案登録請求の範囲の「前記表示制御手段は、所定の領域内において表示可能なランドマークの数が所定数を越えるか否かを判定するランドマーク数検出手段を備え、ランドマーク数が所定数を越えた場合には、該越えた分のランドマークは表示しないこと」との記載を「前記表示制御手段は、縮尺に応じて予め複数の領域に分割された地図データの所定の領域内において表示可能なランドマークの数が予め設定された数を超えるかを判定するランドマーク数検出手段が備えられ、前記ランドマーク数が前記設定された数を超えた場合には、該設定された数を超えるランドマークは表示しないように設けられていること、」と訂正し、(b)明りょうでない記載の釈明を目的として、訂正前明細書の考案の詳細な説明の項の「前記表示制御手段は、所定の領域内において表示可能なランドマークの数が所定数を越えるか否かを判定するランドマーク数検出手段を備え、ランドマーク数が所定数を越えた場合には、該越えた分のランドマークは表示しないこと」(段落【0007】)との記載を「前記表示制御手段は、縮尺に応じて予め複数の領域に分割された地図データの所定の領域内において表示可能なランドマークの数が予め設定された数を超えるかを判定するランドマーク数検出手段が備えられ、前記ランドマーク数が前記設定された数を超えた場合には、該設定された数を超えるランドマークは表示しないように設けられていること、」と訂正し、(c)同じく、明りょうでない記載の釈明を目的として、「表示制御手段は、ランドマーク数検出手段によって予定の領域内において表示可能なランドマークの数が所定数を越えるか否かを判定し、ランドマーク数が所定数を越えた場合には、該越えた分のランドマークは表示しないように制御する」(段落【0008】)との記載を、「表示制御手段は、ランドマーク数検出手段によって、縮尺に応じて予め複数の領域に分割された地図データの所定の領域内において表示可能なランドマークの数が予め設定された数を超えるかを判定し、前記ランドマーク数が前記設定された数を超えた場合には、該設定された数を越えるランドマークは表示しないように制御する。」と訂正し、(d)誤記の訂正を目的として、「例えば3つ以上か否かを判定する。」(段落【0010】)との記載を、「例えば2つ以上か否かを判定する。」と訂正し、(e)明りょうでない記載の釈明を目的として、「地図データ及びランドマークを重畳して表示させる場合、1つの領域内において表示可能なランドマークの数が所定数を越えるか否かを判定して、ランドマーク数が所定数を越えた場合は、越えた分のランドマークは表示しないように制御する。」(段落【0017】)との記載を、「地図データ及びランドマークを重畳して表示させる場合、ランドマーク数検出手段によって、縮尺に応じて予め複数の領域に分割された地図データの所定の領域内において表示可能なランドマークの数が予め設定された数を越えるかを判定し、前記ランドマーク数が前記設定された数を越えた場合には、該設定された数を越えるランドマークは表示しないように制御する」と訂正しようとするものである。
2-2.訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否
訂正事項(a)の「縮尺に応じて予め複数の領域に分割された地図データの所定の領域内」との構成は、訂正前明細書に「ステップDで地図を縮尺に応じて複数の領域に区切る。例えば、縮尺が2万分の1であれば200m四方に、また縮尺が5万分の1であれば500m四方にというように、複数の領域に区分する。次に、ステップEでランドマークを地図データに重畳して表示した後、ステップFで1つの領域内でランドマークが予め設定された数・・・か否かを判定する。」(段落【0010】)と所定の領域内の実施例として記載されていたものであるから、係る訂正は実用新案登録請求の範囲の減縮に該当し、また、このことによって、訂正前明細書の実用新案登録請求の範囲に記載された考案の技術思想と訂正明細書の実用新案登録請求の範囲に記載された考案の技術思想とが変わるものともいえないから、実質上実用新案登録請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
訂正事項(b)、(c)及び(e)は、訂正事項(a)にともないその記載の整合を図るものであって明りょうでない記載の釈明に該当する。
訂正事項(d)に関し、訂正前明細書に「例えば、縮尺が2万分の1であれば200m四方に、また縮尺が5万分の1であれば500m四方にというように、複数の領域に区分する。次に、ステップEでランドマークを地図データに重畳して表示した後、ステップFで1つの領域内でランドマークが予め設定された数例えば3つ以上か否かを判定する。YESの場合フローはステップGに進み、ここで領域内の最も左上に経度、緯度を持つランドマークのみを残して他は削除する。」(段落【0010】)と記載されており、この実施例によれば表示すべきランドマークは1つであるから、ステップFで予め設定されるランドマークの数は2でなければならないことは明らかであり、しかも新規事項とはいえないから、訂正事項(d)は誤記の訂正を目的とするものに該当する。
2-3.むすび
以上のとおり、本件訂正は訂正要件を満たすので該訂正は認められるものである。
3.異議申立の判断
3-1.異議申立人パイオニア株式会社の異議申立の理由の概要
(1)請求項1に係る考案は、甲第1号証(特開昭61-249071号公報)に記載された考案に基づいて、当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるから、実用新案法3条2項の規定により取り消されるべきものである(当審での取消理由と同旨)。
(2)請求項1に係る考案の「ランドマーク数が所定値を超えた場合には、該越えた分のランドマークは表示しない」との要件は明細書の考案な説明に記載されておらず、係る明細書の記載は実用新案法5条5項2号の規定に違反するから取り消されるべきものである(当審での取消理由と同旨)。
すなわち、考案な詳細な説明には、1つの領域内でランドマークが予め設定された数以上に存在すると判断した場合には、1つのランドマークのみを残して他は削除する考案のみが記載され、1つの領域内でランドマークが予め設定された数以上に存在すると判断した場合に、該越えた分のランドマークを表示しないという考案は記載されていない。
3-2.異議申立人平山佐智子の異議申立の理由の概要
(1)請求項1に係る考案は、甲第1号証(特開昭61-249071号公報)に記載された考案に基づいて、当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるから取り消されるべきものである。
(2)請求項1に記載されている「ランドマーク数が所定数を越えた場合には、該越えた分のランドマークは表示しない」なる記載事項は、考案の詳細な説明に記載されていないものであり、実用新案法5条5項1号の規定に違反し、取り消されるべきものである。
3-3.異議申立人パイオニア株式会社の異議申立の理由について
(1)実用新案法3条2項について
訂正明細書の実用新案登録請求の範囲の請求項1に記載された考案(以下、本件考案という。)は次のとおりのものである。
「地図データ記憶手段、ランドマーク記憶手段、表示手段及び表示制御手段を備え、前記表示制御手段が地図データ及びランドマークを重畳して前記表示手段に表示するように構成された車載用ナビゲーション装置において、前記表示制御手段は、縮尺に応じて予め複数の領域に分割された地図データの所定の領域内において表示可能なランドマークの数が予め設定された数を超えるかを判定するランドマーク数検出手段が備えられ、前記ランドマーク数が前記設定された数を超えた場合には、該設定された数を超えるランドマークは表示しないように設けられていること、を特徴とする車載用ナビゲーション装置。」
甲第1号証(当審での取消理由で引用したもの、以下、引用例という。)に、「表示制御手段としての制御装置7内部で発生する地図表示更新指示がなされると、制御装置7が情報再生装置5を適宜に駆動して地図情報記憶媒体4上の地図情報を制御装置内部に取り込み、適宜の処理を施して表示手段としてのディスプレイ6の画面上に地図を表示させるよう動作する。」(2頁左下欄10行乃至16行)、「制御装置7は次のような処理を実行し、結果として、表示地図内に属する全ての郵便局のうち優先順位にしたがった15局の所在地が「〒」なるポイントマークで表示地図上に重ね表示されるようになる(同じく第4図(ホ)が対応する。)。」(3頁右上欄15行乃至20行)、「(2-2)この取り込んだ案内地点情報のうちの座標情報および表示地図の領域を示す座標情報(なお、この座標情報は、例えば、表示地図の表示画面に対する四隅の点の座標であり、地図表示さるいは表示更新時にRAMに所定番地に格納されている。)にもとづいてこの案内地点が表示地図の範囲内に存在するかどうかの判定を行う。(2-3a)案内地点が表示地図範囲内に存在すると判断した場合には、前記案内地点情報のうちの座標情報と名称情報とにもとづいて、ディスプレイ画面の表示地図上のこの案内地点に対応する位置に「〒」なるポイントマークを重ね表示させ(ステップ105)、更に前記カウンタCCの値を「1」だけインクリメントする(ステップ106)。(2-3b)一方、案内地点が表示地図範囲内に存在しないと判断した場合には、前記のようなポイントマーク表示およびカウンタCCの更新のいずれをも行わない。(2-4)そしてカウンタCの値を「1」だけインクリメントするとともにポインタPを前記案内地点の次の案内地点に対する案内地点情報記憶場所を示す内容に更新する(ステップ107)。(3)カウンタCの内容が指定種別のデータ数、いいかえると、地図情報記憶媒体4内に格納されている郵便局の総数、と一致するようになるか、あるいはカウンタCCの内容が指定データ数、いいかえると、前記表示指定操作により入力された数「15」、と一致するようになるまで、地図情報記憶媒体4上の優先順位の高い、つまり、読み出し順序が先の郵便局から順に、それぞれについて、前述した(2-1)から(2-4)までの処理と同様な処理を単位として繰り返し実行する。(4)してカウンタCの内容が指定種別データ数と一致し、あるいは、カウンタCCの内容が指定データ数と一致すると判断すると(ステップ108、109)、当該処理を終了する。」(3頁左下欄10行乃至4頁左上欄7行)と記載されていることが認められ、これらの記載によれば引用例には、「地図データ記憶手段、ランドマーク記憶手段、表示手段及び表示制御手段を備え、前記表示制御手段が地図データ及びランドマークを重畳して前記表示手段に表示するように構成された車載用ナビゲーション装置において、前記表示制御手段は、地図データの所定の領域内において表示可能なランドマークの数が予め設定された数を超えるかを判定するランドマーク数検出手段が備えられ、前記ランドマーク数が前記設定された数を超えた場合には、該設定された数を超えるランドマークは表示しないようにする車載用ナビゲーション装置。」(以下、引用例考案という。)
本件考案と引用例考案とを対比すると、両者は「地図データ記憶手段、ランドマーク記憶手段、表示手段及び表示制御手段を備え、前記表示制御手段が地図データ及びランドマークを重畳して前記表示手段に表示するように構成された車載用ナビゲーション装置において、前記表示制御手段は、地図データの所定の領域内において表示可能なランドマークの数が予め設定された数を超えるかを判定するランドマーク数検出手段が備えられ、前記ランドマーク数が前記設定された数を超えた場合には、該設定された数を超えるランドマークは表示しないようにする車載用ナビゲーション装置。」の点で一致し、本件考案が、ランドマークの表示の対象が縮尺に応じて予め複数の領域に分割された地図データであるのに対し、引用例考案は縮尺に応じて予め複数の領域に分割された地図データを対象とするものではない点で相違する。
そこで、前記相違点について検討するに、訂正明細書の「ところで、従来の車載用ナビゲーション装置では、ある範囲を表現する地図の階層においてランドマークを保有させる場合、適度の数のランドマークを保有させるのが困難になるので、見栄えの良い地図を表現できないという問題がある。例えば、ある階層の地図にクラス1,3,4のランドマークを保有させてみたら、ランドマークの数が少なすぎて地図として見栄えが悪くなってしまったので、これにさらにクラス2も保有させてみたら、ランドマークの数が逆に多くなり過ぎてランドマーク同士が重なってしまって、地図として成り立たなくなってしまう場合が生じる。つまり、1つの階層においてランドマークを保有させる場合、その単位はクラス単位で構成する必要があるので、適度の数のランドマークを保有させられない場合が発生する。」(段落【0005】)、「本考案は以上のような問題に対処してなされたもので、どの階層の地図においても適度の数のランドマークを保有させて見栄えの良い地図を表現できるようにした車載ナビゲーション装置を提供することを目的とするものである。」(段落【0006】)との記載によれば、本件考案が相違点に係る構成を採用したのは、どの階層の地図においても適度の数のランドマークを保有させて、見栄えのよい地図を表現できることという技術的課題を解決するためと認められる。
そうすると、本件考案の相違点に係る構成がきわめて容易の想到できるものといえるためには、本件考案の前記課題が車載用ナビゲーション装置の技術分野において公知の技術課題ないしは当業者が予測できる課題であるとか、あるいは、ランドマークにかかわらず縮尺に応じて複数の領域に分割された地図データの所定に領域に他の情報を重ね表示する際の地図としての見栄えの問題を解決したことが公知であることが必要であるというべきところ、これらのことを立証するに足りる証拠は何ら存在しない。
なお、異議申立人の提出した甲第2号証は、本件考案の「ランドマーク記憶手段」の構成に相当する「CDROM3は各地域の施設毎の位置情報をシンボルマークによって表すRGBディジタル信号が記録されたCDを内蔵したプレーヤ」を示すに過ぎない。
そして、本件考案は、前記相違点に係る構成により「以上のべたように本考案によれば、地図データ及びランドマークを重畳して表示させる場合、ランドマーク数検出手段によって、縮尺に応じて予め複数の領域に分割された地図データの所定の領域内において表示可能なランドマークの数が予め設定された数を超えるかを判定し、前記ランドマーク数が前記設定された数を超えない場合には、該設定された数を超えるランドマークは表示しないように制御するようにしたので、どの階層の地図においても適度の数のランドマークを保有させて、見栄えの良い地図を表現することができる。」(段落【0017】)という引用例からは予測することのできない作用効果を奏するものである。
したがって、本件考案は引用例発明に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものということはできない。
(2)実用新案法5条5項2号について
本件考案の「表示可能なランドマークの数が予め設定された数を超えるかを判定するランドマーク数検出手段が備えられ、前記ランドマーク数が前記設定された数を超えた場合には、該設定された数を超えるランドマークは表示しないように設けられている」構成に関し、訂正明細書にその実施例として「例えば、縮尺が2万分の1であれば200m四方に、また縮尺が5万分の1であれば500m四方にというように、複数の領域に区分する。次に、ステップEでランドマークを地図データに重畳して表示した後、ステップFで1つの領域内でランドマークが予め設定された数例えば2つ以上か否かを判定する。YESの場合フローはステップGに進み、ここで領域内の最も左上に経度、緯度を持つランドマークのみを残して他は削除する。」(段落【0010】)と記載されており、この記載による実施例は、領域内に表示するランドマークは1つであり、この1つのランドマークを越えるか否かを判断をステップFで1つを越える数としてランドマークが2以上であるか否かを判定し、1つのランドマークを残して2以上のものは削除していると理解することができる。
これを本件考案の前記構成と対応してみるに、本件前記構成において表示可能なランドマークの数が予め設定された数を意味することはその記載に照らして明らかであり、そうすると、表示可能なランドマーク、すなわち、予め設定された数は実施例の1つのランドマークに対応し、ランドマーク検出手段は予め設定された数を検出するのであるから1つを越える数である2以上を検出しなければならないことは技術常識として理解できるから、実施例のステップFでの2つ以上か否かを判定することに対応するものといえ、そして、設定された数を超えた場合には、該設定された数を超えるランドマークは表示しないことは、実施例の1つのランドマークを残すことに対応するものである。
そうすると、本件考案の前記構成は訂正明細書に実施例として記載されたものに対応し、請求項1に係る考案は実用新案法5条5項2号の規定に違反するものとはいうことができない。
(3)以上のとおり、本件考案は、実用新案法3条2項及び同法5条5項2号のいずれにも該当するものではない。
3-4.異議申立人平山佐智子の異議申立の理由の概要
(1)実用新案法3条2項について
実用新案法3条2項についての異議申立の理由は、異議申立人パイオニア株式会社と同旨の主張・立証であるから、これに対する判断は
3-3.(1)の判断内容をここに引用する。
(2)実用新案法5条5項1号について
本件考案の「表示可能なランドマークの数が予め設定された数を超えるかを判定するランドマーク数検出手段が備えられ、前記ランドマーク数が前記設定された数を超えた場合には、該設定された数を超えるランドマークは表示しないように設けられている」構成に関し、訂正明細書にその実施例として「例えば、縮尺が2万分の1であれば200m四方に、また縮尺が5万分の1であれば500m四方にというように、複数の領域に区分する。次に、ステップEでランドマークを地図データに重畳して表示した後、ステップFで1つの領域内でランドマークが予め設定された数例えば2つ以上か否かを判定する。YESの場合フローはステップGに進み、ここで領域内の最も左上に経度、緯度を持つランドマークのみを残して他は削除する。」(段落【0010】)と記載されており、この記載による実施例は、領域内に表示するランドマークは1つであり、この1つのランドマークを越えるか否かを判断をステップFで1つを越える数としてランドマークが2以上であるか否かを判定し、1つのランドマークを残して2以上のものは削除していると理解することができる。
これを本件考案の前記構成と対応してみるに、本件前記構成において表示可能なランドマークの数が予め設定された数を意味することはその記載に照らして明らかであり、そうすると、表示可能なランドマーク、すなわち、予め設定された数は実施例の1つのランドマークに対応し、ランドマーク検出手段は予め設定された数を検出するのであるから1つを越える数である2以上を検出しなければならないことは技術常識として理解できるから、実施例のステップFでの2つ以上か否かを判定することに対応するものといえ、そして、設定された数を超えた場合には、該設定された数を超えるランドマークは表示しないことは、実施例の1つのランドマークを残すことに対応するものである。
そうすると、本件考案の前記構成は訂正明細書に実施例として記載されたものに対応し、請求項1に係る考案は考案の詳細な説明に記載されたものであるから実用新案法5条5項1号の規定に違反するものとはいうことができない。
(3)以上のとおり、本件考案は、実用新案法3条2項及び同法5条5項1号のいずれにも該当するものではない。
3-5.むすび
以上のとおりであるから、異議申立の理由及び証拠によっては本件考案についての実用新案登録を取り消すことはできない。
また、他に本件考案について実用新案登録を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
発明の名称 (54)【考案の名称】
車載用ナビゲーション装置
(57)【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】地図データ記憶手段、ランドマーク記憶手段、表示手段及び表示制御手段を備え、前記表示制御手段が地図データ及びランドマークを重畳して前記表示手段に表示するように構成された車載用ナビゲーション装置において、
前記表示制御手段は、
縮尺に応じて予め複数の領域に分割された地図データの所定の領域内において表示可能なランドマークの数が予め設定された数を超えるかを判定するランドマーク数検出手段が備えられ、前記ランドマーク数が前記設定された数を超えた場合には、該設定された数を超えるランドマークは表示しないように設けられていること、
を特徴とする車載用ナビゲーション装置。
【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本考案は、地図データ及びランドマークを重畳して表示して所定のナビゲーション制御を行う車載用ナビゲーション装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
地図データ及びランドマークを重畳して表示する車載用ナビゲーション装置においては、予め地図データベースのランドマークをデータ化して用意する必要がある。表1はデータ化されたランドマークの一例を示すもので、ある地図データベースを構成するのに必要なランドマークとして1,000件を用いた例を示しており、これらランドマークのデータ化された要素は属性と称される分類を有している。この属性は施設の種類ごとに分類されていて、各属性は表現し易いようにクラスと称される数値で表わされる。例えば、市区町村役場はクラス1で表現される。
【0003】
【表1】

【0004】
また、階層構造を有するデジタル地図データベースは、従来その階層ごとに保有するデータに規則を持っている。例えば、ある階層▲1▼の地図にはクラス1,2のランドマークを持たせ、他のある階層▲2▼の地図にはクラス1,2,3,4のランドマークを持たせるような規則である。普通、狭い範囲を表現する地図の階層ほど保有するクラスは多くなるが、狭い範囲でも広い範囲でもない中間の範囲を表現する地図の階層では、規則を決定する上で充分な検討が必要になる。
【0005】
【考案が解決しようとする課題】
ところで、従来の車載用ナビゲーション装置では、ある範囲を表現する地図の階層においてランドマークを保有させる場合、適度の数のランドマークを保有させるのが困難になるので、見栄えの良い地図を表現できないという問題がある。
例えば、ある階層の地図にクラス1,3,4のランドマークを保有させてみたら、ランドマークの数が少なすぎて地図として見栄えが悪くなってしまったので、これにさらにクラス2も保有させてみたら、ランドマークの数が逆に多くなり過ぎてランドマーク同士が重なってしまって、地図として成り立たなくなってしまう場合が生じる。つまり、1つの階層においてランドマークを保有させる場合、その単位はクラス単位で構成する必要があるので、適度の数のランドマークを保有させられない場合が発生する。
【0006】
本考案は以上のような問題に対処してなされたもので、どの階層の地図においても適度の数のランドマークを保有させて、見栄えの良い地図を表現できるようにした車載用ナビゲーション装置を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本考案は、地図データ記憶手段、ランドマーク記憶手段、表示手段及び表示制御手段を備え、前記表示制御手段が地図データ及びランドマークを重畳して前記表示手段に表示するように構成された車載用ナビゲーション装置において、
前記表示制御手段は、
縮尺に応じて予め複数の領域に分割された地図データの所定の領域内において表示可能なランドマークの数が予め設定された数を超えるかを判定するランドマーク数検出手段が備えられ、前記ランドマーク数が前記設定された数を超えた場合には、該設定された数を超えるランドマークは表示しないように設けられていること、
を特徴とする。
【0008】
【作用】
本考案の構成によれば、地図データ及びランドマークを重畳して表示手段に表示させるように制御する表示制御手段は、ランドマーク数検出手段によって、縮尺に応じて予め複数の領域に分割された地図データの所定の領域内において表示可能なランドマークの数が予め設定された数を超えるかを判定し、前記ランドマーク数が前記設定された数を超えた場合には、該設定された数を超えるランドマークは表示しないように制御する。これによって、どの階層の地図においても適度の数のランドマークを保有させて、見栄えの良い地図を表現することができる。
【0009】
【実施例】
以下図面を参照して本考案の実施例を説明する。
図1は本考案の車載用ナビゲーション装置の構成を示すブロック図で、1は地図データを記憶している地図データ記憶手段、2はランドマークを記憶しているランドマーク記憶手段、3は地図データ及びランドマークを重畳して表示する表示手段(ディスプレイ)、4はナビゲーションの案内音声を出力するスピーカ、5はGPS、6は車両に取り付けられた回転角センサ及び方位センサ、7は全体の制御動作を司り地図データ記憶手段1及びランドマーク記憶手段2から各々地図データ及びランドマークを読み出して、表示手段3に重畳して表示させるように制御する表示制御手段である。また、この表示制御手段7は、後述のように、地図の縮尺に応じて区切られた複数の領域(メッシュ)の1つの領域内において表示可能なランドマークの数が所定数を越えるか否かを判定する機能を有するランドマーク数検出手段を備えている。
【0010】
次にフローチャートを参照して本考案の各実施例の動作を説明する。
図2は第1の実施例に基づいたメインルーチンを示すフローチャートで、まずステップAで表示制御手段7の制御によって地図データ記憶手段1から地図データを読み込んだ後、ステップBでこの地図データを表示手段3に表示する。次に、ステップCでランドマーク記憶手段2からランドマークを読み込んだ後、ステップDで地図を縮尺に応じて複数の領域に区切る。例えば、縮尺が2万分の1であれば200m四方に、また縮尺が5万分の1であれば500m四方にというように、複数の領域に区分する。次に、ステップEでランドマークを地図データに重畳して表示した後、ステップFで1つの領域内でランドマークが予め設定された数例えば2つ以上か否かを判定する。YESの場合フローはステヅプGに進み、ここで領域内の最も左上に経度、緯度を持つランドマークのみを残して他は削除する。続いて、ステップHで自車位置のデータを読み込んだ後、ステップ1でナビゲーション制御を開始する。なお、ステップFでNOの場合はステップHにジャンプする。
【0011】
図3は第2の実施例に基づいたランドマーク重畳表示のサブルーチンを示すフローチャートである。本実施例においては、図4に示したように、1つの領域(メッシュ)内を矢印の如く左側から順に上方向から下方向に向かってランドマークの有無の検出を行う方法を示している。まず、ステップAでX,Y座標が各々0の位置をスタートして、ステップBでランドマークの有無を判定し、NOの場合フローはステップCに進み、ここでY軸方向に1画素分移動した後、ステップDでY軸方向に所定の画素分移動したか否かを判定する。NOの場合フローはステップBに戻り、YESの場合フローはステップEに進み、ここでX軸方向に1画素分移動した後、ステップFでX軸方向に所定の画素分移動したか否かを判定する。NOの場合フローはステップBに戻り、YESの場合フローはステップGに進み、ここで次の領域の有無を判定する。YESの場合フローはステップBに戻り、NOの場合フローはリターンとなる。なお、ステップBでYESの場合はフローはステップHに進み、ここでランドマークを表示した後、ステップG
に進む。
【0012】
図5は第3の実施例に基づいたランドマーク重畳表示のサブルーチンを示すフローチャートである。本実施例においては、図6に示したように、1つの領域内を矢印の如く左側から順に上方向から下方向に向かってランドマークの有無の検出を行う方法を示しているが、もともとその領域内に複数のランドマークがあればそのまま表示させる方法を示している。まず、ステップAでX,Y座標が各々0の位置をスタートして、ステップBで図7のようにこの1つの領域内のランドマークの有無を判定し、YESの場合フローはステップGに進み、ここでランドマークを表示する。続いて、フローはステップFに進み、ここで次の領域の有無を判定する。YESの場合フローはステップBに戻り、NOの場合フローはリターンとなる。
【0013】
ステップBでNOの場合はフローはステップCに進み、ここでX軸方向の全画素分を移動したか否かを判定する。NOの場合フローはステップDに進み、ここでX軸方向に1画素分移動した後、ステップEでY軸方向の全画素分を移動したか否かを判定する。YESの場合フローはステップBに戻る。ステップCでYESの場合フローはステップHに進み、ここでY軸方向の全画素分を移動したか否かを判定する。NOの場合フローはステップIに進み、ここでY軸方向に1画素分移動した後、フローはステップBに戻る。ステップHでYESの場合はフローはステップFに進み、ステップEでNOの場合フローはステップIに進む。
【0014】
図8は第4の実施例に基づいたランドマーク重畳表示のサブルーチンを示すフローチャートである。本実施例においては、図9に示したように、1つの領域内を矢印の如く左側から順に上方向から下方向に向かってランドマークの有無の検出を行う方法を示しているが、この領域内で重畳し得る複数のランドマークが存在していたとしても、各ランドマークに優先順位を付けて最も優先度の高いランドマークのみを表示させる方法を示している。例として優先度1,2,3,4の4つのランドマークが存在している場合を示している。
【0015】
まず、ステップAで優先度1のランドマークの有無を判定し、NOの場合フローはステップBに進み、ここで優先度2のランドマークの有無を判定する。NOの場合フローはステップCに進み、ここで優先度3のランドマークの有無を判定し、NOの場合はフローはステップDに進み、ここで優先度4のランドマークの有無を判定する。NOの場合フローはステップEに進み、ここで次の領域の有無を判定し、YESの場合はフローはステップAに戻り、NOの場合はフローはリターンとなる。ステップA,B,C,Dにおいて、YESの場合フローはステップFに進み、ここでランドマークを表示する。続いて、フローはステップEに進む。本実施例の場合は優先順位の最も高い優先度1のランドマークのみが表示されるようになる。
【0016】
このように各実施例によれば、地図データ及びランドマークを重畳して表示させる場合、1つの領域内において表示可能なランドマークの数が所定数を越えるか否かを判定して、ランドマーク数が所定数を越えた場合は、越えた分のランドマークは表示しないように制御するようにしたので、どの階層の地図においても適度の数のランドマークを保有させて、見栄えの良い地図を表現することができる。特に、第4の実施例によれば、1つの領域内で重畳し得る複数のランドマークが存在している場合であっても、各ランドマークに優先順位を付けることにより、最も優先度の高いランドマークのみを1つ選んで表示させ、必要に応じて順次優先度の高い順に1つのランドマークのみを表示させることができるので、ランドマークを効率良く利用することができる。なお、本文中の説明で+1は1画素分移動する意味で説明したが、所定の複数画素を意味するようにしても良い。
【0017】
【考案の効果】
以上述べたように本考案によれば、地図データ及びランドマークを重畳して表示させる場合、ランドマーク数検出手段によって、縮尺に応じて予め複数の領域に分割された地図データの所定の領域内において表示可能なランドマークの数が予め設定された数を超えるかを判定し、前記ランドマーク数が前記設定された数を超えた場合には、該設定された数を超えるランドマークは表示しないように制御するようにしたので、どの階層の地図においても適度の数のランドマークを保有させて、見栄えの良い地図を表現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本考案の車載用ナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。
【図2】
本考案の第1の実施例を説明するフローチャートである。
【図3】
本考案の第2の実施例を説明するフローチャートである。
【図4】
第2の実施例によるランドマーク表示の制御方法の説明図である。
【図5】
本考案の第3の実施例を説明するフローチャートである。
【図6】
第3の実施例によるランドマーク表示の制御方法の説明図である。
【図7】
第3の実施例によるランドマーク表示の制御方法の説明図である。
【図8】
本考案の第4の実施例を説明するフローチャートである。
【図9】
第4の実施例によるランドマーク表示の制御方法の説明図である。
【符号の説明】
1 地図データ記憶手段
2 ランドマーク記憶手段
3 表示手段
7 表示制御手段
訂正の要旨 (3)訂正事項
以下では、実用新案登録査定時の実用新案登録請求の範囲における請求項を旧請求項と称し、本訂正請求書に添付した全文訂正明細書に記載の実用新案登録請求の範囲における請求項を新請求項と称する。なお、下線部は訂正個所を示すものである。
1)訂正事項1
実用新案登録請求の範囲の旧請求項1の「前記表示制御手段は、所定の領域内において表示可能なランドマークの数が所定数を超えるか否かを判定するランドマーク数検出手段を備え、ランドマーク数が所定数を超えた場合には、該超えた分のランドマークは表示しないこと」とあるのを、実用新案登録請求の範囲の減縮を目的として旧請求項1に新たな限定要件を加え、新請求項1では「前記表示制御手段は、縮尺に応じて予め複数の領域に分割された地図データの所定の領域内において表示可能なランドマークの数が予め設定された数を超えるかを判定するランドマーク数検出手段が備えられ、前記ランドマーク数が前記設定された数を超えた場合には、該設定された数を超えるランドマークは表示しないように設けられていること、」と訂正する。
2)訂正事項2
明細書中、【0007】の【課題を解決するための手段】における「前記表示制御手段は、所定の領域内において表示可能なランドマークの数が所定数を超えるか否かを判定するランドマーク数検出手段を備え、ランドマーク数が所定数を超えた場合には、該越えた分のランドマークは表示しないこと」とあるのを、「前記表示制御手段は、縮尺に応じて予め複数の領域に分割された地図データの所定の領域内において表示可能なランドマークの数が予め設定された数を超えるかを判定するランドマーク数検出手段が備えられ、前記ランドマーク数が前記設定された数を超えた場合には、該設定された数を超えるランドマークは表示しないように設けられていること、」と訂正する。
3)訂正事項3
明細書中、【0008】の【作用】における「表示制御手段は、ランドマーク数検出手段によって予定の領域内において表示可能なランドマークの数が所定数を超えるか否かを判定し、ランドマーク数が所定数を超えた場合には、該超えた分のランドマークは表示しいないように制御する」とあるのを、「表示制御手段は、ランドマーク数検出手段によって、縮尺に応じて予め複数の領域に分割された地図データの所定の領域内において表示可能なランドマークの数が予め設定された数を超えるかを判定し、前記ランドマーク数が前記設定された数を超えた場合には、該設定された数を超えるランドマークは表示しないように制御する。」と訂正する。
4)訂正事項4
明細書中、【0010】の「例えば3つ以上か否かを判定する。」とあるのを、「例えば2つ以上か否かを判定する。」と訂正する。
5)訂正事項5
明細書中、【0017】の【考案の効果】における「地図データ及びランドマークを重畳して表示させる場合、1つの領域内において表示可能なランドマークの数が所定数を超えるか否かを判定して、ランドマーク数が所定数を越えた場合は、越えた分のランドマークは表示しないように制御する」とあるのを、「地図データ及びランドマークを重畳して表示させる場合、ランドマーク数検出手段によって、縮尺に応じて予め複数の領域に分割された地図データの所定の領域内において表示可能なランドマークの数が予め設定された数を超えるかを判定し、前記ランドマーク数が前記設定された数を超えた場合には、該設定された数を超えるランドマークは表示しないように制御する」と訂正する。
異議決定日 2001-02-22 
出願番号 実願平5-64326 
審決分類 U 1 651・ 121- YA (G01C)
最終処分 維持  
前審関与審査官 高橋 学  
特許庁審判長 大森 蔵人
特許庁審判官 川端 修
槙原 進
登録日 1999-12-03 
登録番号 実用新案登録第2602938号(U2602938) 
権利者 クラリオン株式会社
東京都文京区白山5丁目35番2号
考案の名称 車載用ナビゲーション装置  
代理人 木内 光春  
代理人 木内 光春  
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