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審決分類 審判 全部申し立て   H01H
管理番号 1039518
異議申立番号 異議1999-75005  
総通号数 19 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案決定公報 
発行日 2001-07-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 1999-12-21 
確定日 2001-04-18 
異議申立件数
事件の表示 登録第2596725号「切換えスイッチ」の請求項1に係る実用新案登録に対する実用新案登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。   
結論 登録第2596725号の請求項1に係る実用新案登録を取り消す。
理由 1.手続の経緯
本件実用新案登録第2596725号の請求項1に係る考案は、平成5年3月5日の出願であって、平成11年4月16日に設定登録され、その後、松下電工株式会社より実用新案登録異議の申立てがなされ、取消理由の通知がなされ、その指定期間内である平成12年5月10日に訂正請求がなされた後、訂正拒絶理由が通知され、訂正拒絶理由通知に対して手続補正書が提出されたものである。

2.訂正の適否についての判断
ア.訂正請求に対する補正の適否について
実用新案登録権者は、訂正請求書において訂正事項とされる実用新案登録請求の範囲の請求項1(下記イ.参照)について、「自動変速機用回転軸を挿入し、」の後に、「前記蓋体は、前記第1軸受部と該第1軸受部の内方に貫通して形成した第2軸受部を筒状に一体形成すると共に、前記第1軸受部及び第2軸受部を可動盤側に突出し、」なる構成の挿入を含む補正を求めるものである。
しかし、上記補正は、訂正事項の内容に変更を加えるものであることから、訂正請求書の要旨を変更するものと認められ、平成6年法律第116号附則第9条の規定により準用する特許法第120条の4第3項において更に準用する同法第131条第2項の規定に違反するものであり、採用できない。
イ.訂正明細書の請求項1に係る考案
平成12年5月10日付けで提出された訂正明細書の請求項1に係る考案は、その請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「それぞれ樹脂材料で形成した基盤と薄板状の蓋体とで超音波溶着の接合によりスイッチケースを構成してなり、前記基盤の上面に段差状の接合部及び該接合部の外側に嵌合すべく垂下した蓋体の周縁部をそれぞれ周設し、
前記基盤の内壁面に複数の固定接点を配設し、操作レバーに回動操作される可動盤を、前記スイッチケース内に配設すると共に前記基盤に形成した貫通孔には該可動盤に形成した軸部の下側を挿入し、かつ該軸部の上側には前記蓋体に形成した第1軸受部を回転自在に挿入し、該第1軸受部の内方に形成した第2軸受部には前記基盤及び蓋体を貫通した自動変速機用回転軸を挿入し、
前記可動盤は、前記複数の固定接点に摺接してスイッチ作用をする可動接点を備え、
前記基盤は、当該基盤を配置箇所にネジ止め固定する取り付け座を、一体形成したことを特徴とする切換スイッチ。」
なお、訂正明細書の請求項1には、「基盤と薄板状の蓋体とで超音波溶着の接合によりスイッチを構成してなり」とあるが、これは、「基盤と薄板状の蓋体とで超音波溶着の接合によりスイッチケースを構成してなり」の誤記と認められるため、訂正明細書の請求項1に係る考案を上記のように認定した。
ウ.引用刊行物記載の考案
(A)これに対し、当審が通知した平成12年9月6日付けの訂正拒絶理由において引用した、刊行物1(特開平3-179625号公報)には、自動変速機用コントロールスイッチの構造に関するものであって、
a)「自動変速機の中立位置、リバース位置、ドライブ位置等に応じた切り換え設定を行うための切り換え用の複数の固定接点を内側壁面に設けた器体と、上記器体外から操作可能で且つ内側壁面に並行する方向に回動自在となるように器体に装着された回動軸と該回動軸に一体連結されて上記内側壁面に並行するように回動軸を中心として移動する可動片と該可動片の上記内側壁面に対向する面に設けられ可動片の移動位置に応じて上記固定接点に対して接触離脱する可動接点とからなる可動体とで構成された自動変速機用コントロールスイッチの構造において、樹脂成形品からなる2つのカバー体を突き合わせ嵌合するとともに嵌合部位を密封して上記器体を形成し、両カバー体の内側壁面には固定接点を配設し、これらの固定接点に対応して可動体の可動片の両側面に可動接点を設けて成ることを特徴とする自動変速機用コントロールスイッチの構造。」(特許請求の範囲の請求項1)、
b)「二つのカバー体の嵌合部位の密封を超音波溶着で行ったことを特徴とする請求項1記載の自動変速機用コントロールスイッチの構造。」(特許請求の範囲の請求項2)、
とそれぞれ記載され、
c)自動変速機用コントロールスイッチの第1の実施例(第1?7図参照)に関し、特に第3図には、内側壁面に複数の固定接点を設けたカバー体1bが、
d)自動変速機用コントロールスイッチの第2の実施例(第8?14図参照)に関し、第10図、第13図及び第14図には、2つのカバー体1a,1bを突き合わせ嵌合して器体を構成し、カバー体1aの内面に段差状の嵌合部及び該嵌合部の外側に嵌合すべく延出したカバー体1bの周縁部をそれぞれ周設し、可動体7を前記器体内に配設すると共に、前記カバー体1bに貫通孔9を形成し、該カバー体1aの内方に貫通孔4を形成し、前記可動体7は、前記カバー体1bの内側壁面に配設した固定接点13に摺接してスイッチ作用をする可動接点体22bを備え、カバー体1a,1b及び可動体7に設けられた各貫通孔4,9,3aが共通の中心軸を有するように組み合わされることにより、スイッチケースを貫通する孔が形成されたものが、また、第11図には、カバー体1bに形成した貫通孔9には可動体7に形成した軸部の下側を挿入し、かつ該軸部の上側にカバー体1aに形成した軸受部を回転自在に挿入し、該軸受部の内方に貫通孔4(第11図中の「9」は「4」の誤記。)を形成した構造、及び、2つのカバー体1a,1bの周辺部に一体形成された貫通孔部24が、
e)自動変速機用コントロールスイッチのその他の実施例である第16図には、2つのカバー体1a,1bを突き合わせ嵌合して器体を構成し、カバー体1bの上面に段差状の嵌合部及び該嵌合部の外側に嵌合すべく垂下したカバー体1aの周縁部をそれぞれ周設し、可動体7に形成した軸部の上側には前記カバー体1aに形成した軸受部を回転自在に挿入した構造が、
それぞれ示されている。
(B)同じく引用した刊行物2(実願昭63-67766号(実開平1-170924号)のマイクロフィルム)には、自動変速機用の切換えスイッチに関するものであって、
a)「車両用自動変速機に装着され、走行状態を設定する自動変速機のレバー操作で駆動されるインヒビタスイッチがある。このインヒビタスイッチは、自動変速機の制御軸に連結された操作レバーの回転角度に対応して、可動盤に配設した可動接片が基盤上において複数の固定接点を切換え作動するものである」(明細書第2頁第7?13行)、
b)「1はケースであり、薄形の枠状に形成され、下面に基盤2をネジ止め等で固着している。また、ケース1には自動変速機(図示せず)に取付ける長穴laを形成している。2は基盤であり第3図で示すように上面に、支点突起2aを形成すると共に、該支点突起2aを中心にして同心円上に複数の固定接点3を配設している。・・・4は可動体であり、上記支点突起2aの位置において、ケース1の軸支穴lbに回転自在に軸支される軸部4aと、アーム4bの一体形成により構成している。・・・アーム4bにおいて、固定接点3と対向し圧縮バネ5で付勢された可動接点6を配設している。7は操作レバーであり、一端が可動盤4の軸部4a先端に固着し、先端には自動変速機の制御軸により駆動される駆動アーム(図示せず)を連結する連結穴7aを形成している」(明細書第4頁第1行?第5頁第1行)、
とそれぞれ記載され、
c)第1図?第3図には、可動接点6を配設した可動盤4が操作レバー7に回動され、固定接点3を配設した基盤2上に摺接することにより接点を切換える切換えスイッチであり、基盤2と薄形枠状のケース1とで形成した空間内に可動盤4を配設し、自動変速機に取付けるためにケース1に長穴1aを設けたものが示されている。
エ.対比・判断
訂正明細書の請求項1に係る考案と刊行物1に第2の実施例として記載された考案(以下、「刊行物1の考案」という。)とを対比すると、
後者の「樹脂成形」、「カバー体1b」、「カバー体1a」、「嵌合部位の密封を超音波溶着で行ったこと」、「器体」、「内側壁面」、「カバー体1aに形成した軸受部」、「貫通孔4」、「固定接点に対して接触離脱」、「自動変速機用コントロールスイッチ」が、それぞれ前者の「樹脂材料で形成」、「基盤」、「蓋体」、「超音波溶着の接合」、「スイッチケース」、「内壁面」、「第1軸受部」、「第2軸受部」、「固定接点に摺接してスイッチ作用」、「切換スイッチ」に相当するものである。
また、後者のものにおいて、「基盤(カバー体1b)に一体形成された貫通孔部24」は、該貫通孔部24にネジ等が挿通されて、基盤を所定箇所に取り付け得るものであるから、前者の「基盤を配置箇所にネジ止め固定する取り付け座を、一体形成した」構成に相当するものである。
さらに、刊行物1に第1の実施例として記載された「内側壁面に複数の固定接点を設けたカバー体1b」は、刊行物1の考案のカバー体1bにおいても同様の構成を有するものである。
したがって、両者は、
「それぞれ樹脂材料で形成した基盤と蓋体とで超音波溶着の接合によりスイッチケースを構成してなり、
前記基盤の内壁面に複数の固定接点を配設し、回動操作される可動盤を、前記スイッチケース内に配設すると共に前記基盤に形成した貫通孔には該可動盤に形成した軸部の下側を挿入し、かつ該軸部の上側には前記蓋体に形成した第1軸受部を回転自在に挿入し、該第1軸受部の内方に形成した第2軸受部(を有し)、
前記可動盤は、前記複数の固定接点に摺接してスイッチ作用をする可動接点を備え、
前記基盤は、当該基盤を配置箇所にネジ止め固定する取り付け座を、一体形成したことを特徴とする切換スイッチ。」
である点で一致し、
a)蓋体に関し、訂正明細書の請求項1に係る考案が、「薄板状」であるのに対し、刊行物1の考案はそのような限定がなされていない点(以下、「相違点a」という。)、
b)訂正明細書の請求項1に係る考案が、「基盤の上面に段差状の接合部及び該接合部の外側に嵌合すべく垂下した蓋体の周縁部をそれぞれ周設」したのに対し、刊行物1の考案は、「蓋体(カバー体1a)の内面に段差状の嵌合部及び該嵌合部の外側に嵌合すべく垂下(延出)した基盤(カバー体1b)の周縁部をそれぞれ周設」した点(以下、「相違点b」という。)、
c)可動盤の回動操作に関し、訂正明細書の請求項1に係る考案が、「操作レバー」により行うのに対し、刊行物1の考案は、器体外から操作可能ではあるものの、その具体的な手段が明確にされていない点(以下、「相違点c」という。)、
d)第2軸受部に関し、訂正明細書の請求項1に係る考案が、「基盤及び蓋体を貫通した自動変速機用回転軸を挿入し」としたのに対し、刊行物1の考案はそのような構成が明確にされていない点(以下、「相違点d」という。)、
で相違する。
以下、上記相違点について検討する。
相違点a及びcについて
自動変速機用の切換スイッチにおいて、蓋体(「ケース1」が相当。)が薄板状(「薄形枠状」が相当。)であり、可動盤が操作レバーにより回動操作されるものは、上記刊行物2に記載されているように周知である。
したがって、上記刊行物1の考案に、同一技術分野に属する上記刊行物2記載の技術を適用することは、当業者がきわめて容易になしうるところである。
相違点bについて
上記刊行物1においても、基盤(カバー体1b)の上面に段差状の接合部及び該接合部の外側に嵌合すべく垂下した蓋体(カバー体1a)の周縁部をそれぞれ周設したものが、第16図にその他の実施例として示されている以上、刊行物1の考案における接合部の構成として、当該実施例の構成を採用することもきわめて容易である。
相違点dについて
上記刊行物1の考案が、自動変速機用コントロールスイッチである以上、自動変速機との機械的な連携構造を有していることは明らかであり、特に第10図に見られるように、カバー体1a,1b及び可動体7に設けられた各貫通孔が共通の中心軸を有するように組み合わされることにより、スイッチケースを貫通する孔を形成していることに鑑み、この貫通する孔に自動変速機用回転軸を挿入して、上記の連携を図ることは、当業者がきわめて容易に想到しうるところである。
また、訂正明細書の請求項1に係る考案により奏される効果は、上記刊行物1及び2記載の考案から予測される範囲のものである。
オ.むすび
以上のとおり、訂正明細書の請求項1に係る考案は、上記刊行物1及び2記載の考案に基いて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるから、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録出願の際独立して実用新案登録を受けることができないものであり、この訂正は、平成6年法律第116号附則第9条の規定により準用する特許法第120条の4第3項の規定により更に準用する同法第126条第4項の規定に適合しないので、当該訂正は認められない。

3.登録異議申立てについて
ア.本件考案
実用新案登録第号の請求項1に係る考案(以下、「本件考案」という。)は、実用新案登録請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「それぞれ樹脂材料で形成した基盤と薄板状の蓋体とで超音波溶着の接合によりスイッチケースを構成してなり、前記基盤の上面に段差状の接合部及びこれに嵌合すべく垂下した蓋体の周縁部をそれぞれ周設し、
前記基盤の内壁面に複数の固定接点を配設し、操作レバーに回動操作される可動盤を、前記スイッチケース内に配設し、
前記可動盤は、前記複数の固定接点に摺接してスイッチ作用をする可動接点を備え、
前記基盤は、当該基盤を配置箇所にネジ止め固定する取付け座を、一体形成したことを特徴とする切換えスイッチ。」
イ.引用刊行物記載の考案
当審が通知した平成12年3月3日付けの取消理由において引用した刊行物1及び2(訂正拒絶理由において引用した刊行物2及び1と同じ。)には、上記2.ウ.に述べたとおりの考案が記載されている。
ウ.対比・判断
本件考案を特定する事項は、上記訂正明細書の請求項1に係る考案に全て含まれているものであるから、本件考案についても、上記2.エ.と同様の理由により、上記刊行物1及び2記載の考案に基いて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものと認められる。
エ.むすび
以上のとおり、本件考案は、上記各刊行物に記載された考案に基いて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるから、本件考案についての実用新案登録は、実用新案法第3条第2項の規定に違反してなされたものであり、平成6年法律第116号附則第9条の規定により準用する特許法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2001-02-21 
出願番号 実願平5-15136 
審決分類 U 1 651・ 121- ZB (H01H)
最終処分 取消  
前審関与審査官 羽鳥 賢一  
特許庁審判長 田中 秀夫
特許庁審判官 熊倉 強
和泉 等
登録日 1999-04-16 
登録番号 実用新案登録第2596725号(U2596725) 
権利者 ナイルス部品株式会社
東京都大田区大森西5丁目28番6号
考案の名称 切換えスイッチ  
代理人 井澤 眞樹子  
代理人 安藤 淳二  
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