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審決分類 審判 全部無効 2項進歩性 無効としない A47J
審判 全部無効 1項3号刊行物記載 無効としない A47J
審判 全部無効 発明同一 無効としない A47J
管理番号 1041556
審判番号 審判1999-35738  
総通号数 20 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案審決公報 
発行日 2001-08-31 
種別 無効の審決 
審判請求日 1999-12-08 
確定日 2001-01-17 
事件の表示 上記当事者間の登録第2012006号実用新案「セラミツク炭ロ?スタ?」の実用新案登録無効審判事件について、次のとおり審決する。   
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 1、手続の経緯・本件考案
本件実用新案登録第2012006号の出願は、昭和62年11月19日に出願され、平成6年3月23日に設定の登録がなされたものである。
そして、その考案の要旨は、明細書及び図面の記載からみて、その実用新案登録請求の範囲に記載された下記のとおりのものである。
「 ロースター本体に吸引作用される外箱と該外箱の内部に所定間隔の吸引流路を有する様にして内箱を取付け、外箱の上端と内箱の上端に接するトッププレートを装着すると共に、該トッププレートに吸気孔を貫設形成し、又内箱にバーナーを収納すると共に該バーナー上方に金網を設け、該金網上に複数のセラミツク炭を載置し、内箱の上端開口部には肉類を載置する金網を渉設し、上記セラミツク炭は略扇形状の複数の分割片に分割し、夫々の分割片を所定隙間を設けると共に、輪切り切断形状面を上下方向面と成して放射状に配置し、且つセラミツク炭に上下方向に渉る孔を穿設したことを特徴とするセラミツク炭ロースター。」
2、請求人の主張
これに対し、本件請求人は、本件実用新案登録が、要するに下記a?cの規定に違反してなされたものであり、実用新案法第37条第1項の規定により無効とすべきである旨、主張している。
a、本件登録実用新案は、その出願前国内において頒布された特開昭62-228234号公報(甲第1号証)に記載された考案と同一と認められるから、実用新案法第3条第1項第3号に該当し、実用新案登録を受けることができない。
b、本件登録実用新案は、前記甲第1号証、実願昭61-17677号(実開昭62-130535号のマイクロフイルム(甲第2号証)および特開昭62-148626号公報(甲第3号証)に記載された考案に基づいて当業者が極めて容易に考案することができたものであり、実用新案登録を受けることができない。
c、本件登録実用新案は、その出願の日前の出願であって、その出願後に出願公告又は出願公開された特願昭62-168970号(特開昭64-11520号、甲第4号証)の願書に、最初に添付した明細書又は図面に記載された発明と同一であると認められ、しかも、この出願時において、その出願人がその出願の日前の出願に係る前記甲第4号証の出願人と同一であるとも認められないので、実用新案法第3条の2の規定により実用新案登録を受けることができない。
3、実用新案法第3条第1項第3号および同第2項違反の主張について
そこで、まず、本件請求人の主張する上記無効理由aおよび無効理由bについて検討する。
(1)甲第1号証?甲第3号証記載の考案
イ、甲第1号証記載の考案
甲第1号証には、
「本発明は遠赤外線を利用した迅速で経済的な焼物調理方法に関する。」(公報第1頁右下欄第2?3行)、
「 遠赤外線とは赤外線領域での波長の長い電磁波(5.6?1000μm)のことであり、温度上昇効果が優れていることから熱線とも言われ、空気などの媒体を暖めることがなく、直接加熱作用があり、内部熱浸透が高く、被加熱物(調理対象物)に吸収され易い特性を有するものである。
本発明では上記遠赤外線の効率よい放射体としてセラミツク、望ましくは、さらに遠赤外線の放射効率を高めた遠赤外線セラミツクが利用される。」(公報第1頁右下欄第16行?同第2頁左上欄第6行)、および、
「また、第4図には焼網(3)にかえて支持かん(9)をセラミツクで構成した例が示されている。
すなわち、焼網(3)をセラミツクで構成してもよいが、調理対象物(X)を支持する支持かん(9)をセラミツクで構成したものであり、この場合には、調理対象物(X)から垂れ落ちる油を少なくすることが望まれる。
そのために、前記第1図、第2図実施例の油よけ(2)を反対にした状態すなわち、支持かん(9)を樋状にし、それらを少し傾斜させて設け、その下端方向で油を採集するよう構成すればよいものである。
図中(10)は木炭に似せて円筒状、角柱状その他の形状に構成した金属、石材、セラミツク等のチツプであり、下方のバーナー(11)で加熱して赤熱させると炭火のごとくなるものである。
上記構成の本発明はガスによりセラミツクを加熱し、そこから放射される遠赤外線により調理を行うものであり、遠赤外線は調理対象物に吸収され、調理対象物内で熱運動を励起させ、全体的な温度上昇により調理が行われるものである。」(公報第2頁右下欄第5行?同第3頁左上欄第6行)
ことが、図面とともに記載されている。
上記記載から判断して、甲第1号証には下記の考案が記載されている。
「バーナ(11)上方に複数のセラミックのチップ(10)を設け、さらにその上方に調理対象物(X)を載置する焼網(3)にかえたセラミックの支持かん(9)を渉設し、上記セラミックのチップ(10)は木炭に似せた円筒状、角柱状その他の形状に構成したセラミックのチップロースター。」
ロ、甲第2号証記載の考案
甲第2号証には、
「 以下本考察の一実施例を図面に基づいて説明すると、
1はロースター本体であり、該ロースター本体1はテーブル2の略中央位置に上部が調理部3に開口し下部が適宜吸引装置(図示せず)により吸引作用せられる排気部4に開口した外箱5を嵌合支持せしめ、該外箱5の内部に所定間隔の吸引流路6を外箱5との間に有せしめる様にして内箱7を取付けている。
8は内箱7底部に収容せしめたバーナーであり、核バーナー8の上方には中央方向へ適宜数の突片9、9a・・・を対向形成せしめると共に、該突片 9、9a・・・上に金網10を渉設支持せしめて、該金網10上には多数のスポンジ状のセラミックフォーム11を載置せしめている。
又、内箱7の上端開口部12には中心方向へ適宜数の突片13、13a・・・を対向形成せしめ、該突片13、13a・・・上に金網14を渉設せしめている。
15は内箱7の上端開口部12に対向した開口部16を有するトッププレ-トであり、その周囲に外箱5の上方開口部17より延設せしめてテーブル2上に載置される枠体18を形成すると共に開口部16より内箱7の上部周囲に接して垂設された周壁19を一体形成し、該周壁19の上端方部位置に全周に渉り外箱5内に連通する所定数の吸気孔20、20a・・・を貫設形成せしめている。」(明細書第3頁第15行?第4頁第20行)、
「 更に作用を従来の構成のものと比較して詳述すると、まず立ち上がり時間については炭焼、石焼の数十分からロストルの数分まで長い時間が必要であったのに対し、本考案のセラミックフォームにおいては数十秒あれば充分なる準備が出来、かかる結果時間もさることながら省エネルギー効果も甚だ大であり、ランニングコストが非常に低減できる。
次に最も重要な焼き上がりについては、ロストルを使った場合は表面からの熱の伝導で焼こうとするために肉が収縮してしまうが、セラミックフォームの場合炭火と同様に遠赤外線の特徴である当たった内部で発熱するために内部から焼け、又スポンジ状のため直火が抜け表面がこんがり焼け、こげめが少ないためにがみが無く、又焼むらが無く、全体として肉がやわらかくほんわかと焼けるのである。
又、焼き上がり時間においてセラミックフォームと同様に遠赤外線を出す炭火若しくは対流熱及び伝導熱により焼くロストルに比較して遠赤外線と直火により焼くため早い。」(明細書第5頁第17行?同第6頁第17行)、および、
「又、濃い鼠色のセラミックフオームを使用すれば加熱により赤熱し恰も炭焼きの様に見え、雰囲気抜群である。」(明細書第8頁第1?3行)
ことが、図面とともに記載されている。
上記記載から判断して、甲第2号証には下記の考案が記載されている。
「 ロースター本体(1)に吸引作用される外箱(5)と該外箱(5)の内部に所定間隔の吸引流路(6)を有する様にして内箱(7)を取付け、外箱(5)の上端と内箱(7)の上端に接するトッププレート(15)を装着すると共に、該トッププレート(15)に吸気孔(20)を貫設形成し、又内箱(7)にバーナー(8)を収納すると共に該バーナー(8)上方に金網(10)を設け、該金網(10)上に複数のセラミックフオーム(11)を載置し、内箱(7)の上端開口部には肉類を載置する金網(14)を渉設したセラミツクフオームロースター。」
ハ、甲第3号証記載の考案
甲第3号証には、
「その際、鍋は、燃焼ガスによる加熱と、遠赤外線放射体及び燃焼室の輻射熱とによって、均一に加熱されることとなり、鍋の中央部付近上面に肉を置けば、肉を略均一に焼くことができる。」(公報第2頁右上欄第15?18行)、
「 また、燃焼室14内部には、格子状の遠赤外線放射体17がねじ24によつて固着されて配設されている。この遠赤外線放射体17は、加熱されると遠赤外線を輻射する耐熱鋼・セラミツク等の材料からなる板材を、後述の燃焼ガスを通過させることのできる貫通孔17aを形成するよう、格子状に組付けて形成されている。
燃焼室14上方には、アルミニウム等の金属材料からなる鍋16が燃焼室14の4つの支持突起14cによって支持されている。」(公報第3頁左上欄第2?11行)、および、
「なお、実施例のロースター11では、遠赤外線放射体17として格子状のものを示したが、他に燃焼ガスを通過できるよう貫通孔が穿設されていれば、多数の孔が穿設された加熱されると遠赤外線を輻射する板材を配設させてもよい。」(公報第3頁右下欄第2?6行)
ことが、図面とともに記載されている。
上記記載から判断して、甲第3号証には下記の考案が記載されている。
「バーナ(15)上方にセラミックの遠赤外線放射体(17)を設け、さらにその上方に肉類を載置する鍋(16)を渉設し、上記遠赤外線放射体(17)は、輪切り切断形状面を上下方向面となして配置し、且つ遠赤外線放射体(17)に上下方向に渉る貫通孔を穿設したロースター。」
(2)対比・判断
本件考案と甲第1号証記載の考案とを対比すると、甲第1号証記載の考案の構成は上記認定のとおりであるとともに、甲第1号証記載の考案における「バーナ(11)」、「セラミックのチップ(10)」、「調理対象物(X)」、「焼網にかえたセラミックの支持かん(9)」および「セラミックのチップロースター」は、本件考案におけるそれぞれ「バーナー」、「セラミック炭」、「肉類」、「金網」および「セラミック炭ロースター」に相当するから、両者は、結局
「バーナーの上方に複数のセラミック炭を設けたセラミック炭ロースター」
である点で一致し、下記のa?dの点で相違している。
a、本件考案が、「ロースター本体に吸引作用される外箱と該外箱の内部に所定間隔の吸引流路を有する様にして内箱を取付け、外箱の上端と内箱の上端に接するトッププレートを装着すると共に、該トッププレートに吸気孔を貫設形成し、又内箱にバーナーを収納」しているのに対し、甲第1号証記載の考案はそのような構成を備えていない。
b、本件考案が、「バーナー上方に金網を設け」、複数のセラミック炭を「該金網上に載置し」ているのに対し、甲第1号証記載の考案は、そのような構成を備えているかどうか明らかでない。
c、本件考案が、「内箱の上端開口部に肉類を載置する金網を渉設し」ているのに対し、甲第1号証記載の考案は、「セラミック炭の上方に肉類を載置する焼網にかえたセラミックの支持かんを渉設し」ている。
d、本件考案が、「セラミック炭は略扇形状の複数の分割片に分割し、夫々の分割片を所定隙間を設けると共に、輪切り切断形状面を上下方向面と成して放射状に配置し、且つセラミック炭に上下方向に渉る孔を穿設し」ているのに対し、甲第1号証記載の考案は、「セラミック炭は木炭に似せた円筒状、角柱状その他の形状に構成し」ている。
(3)実用新案法第3条第1項第3号違反の主張について
本件考案と甲第1号証記載の考案とは、上記(2)で指摘したようにa?dの相違点を互いに有している。
しかも、本件考案は、aおよびdの相違点に対応する構成を有することにより、それぞれ
イ、「肉類の調理物の焼き上げに伴って発生する焼煙、排ガス等を吸気孔22,22a・・・、吸引流路6を介して店外へ排出出来、店内の環境を良好にすると共に、有煙タイプロースターの大量の換気に比して冷暖房負荷を減少することができる。」(本件出願明細書の考案の詳細な説明の[考案の効果]の項参照)
ロ、「複数のセラミツク炭11,11a・・・相互間の隙間から直火が肉類に到達し易く肉類の表面の焼き上げを良好にすると共に、バーナー8からセラミツク炭11,11a・・・に到達した排ガスはセラミツク炭11,11a・・・相互間から排出し易く、又輪切り切断形状面を上下方向面と成して放射状に配置したので、複数のセラミツク炭11,11a・・・により木炭配置の雰囲気を向上出来、又セラミツク炭11,11a・・・に上下方向に渉る孔13,13a・・・を穿設したので、セラミツク炭11,11a・・・に穿設した孔13,13a・・・からも直火が抜けて焼き上げ等を良好にしたり、セラミツク炭11,11a・・・の性質及び小さい体積により立ち上がり及び焼き上がり時間が早く、又バーナー8からの火力が孔13,13a・・・を通過上昇してセラミツク炭11,11a・・・の上面赤熱を効率的に行うことが出来ると共に、セラミツク炭11,11a・・・全体を均一に加熱することが出来、更に孔13,13a・・・からも排ガスの排出を良好に出来たりバーナー8における燃焼性を良好にすることが出来る。」(本件出願明細書の考案の詳細な説明の[考案の効果]の項参照)
という、甲第1号証には示唆されていない効果を達成できるものである。
以上のとおりであるから、他の相違点について検討するまでもなく、本件登録実用新案が甲第1号証記載の考案と同一であるとする本件請求人の主張は根拠のないものであって、これを採用することはできない。
(4)実用新案法第3条第2項違反の主張について
本件考案と甲第1号証記載の考案とは、上記(2)で指摘したようにa?dの相違点を互いに有する。
そして、dの相違点についてみると、上記(1)で検討したように、本件考案の「セラミック炭は略扇形状の複数の分割片に分割し、夫々の分割片を所定隙間を設けると共に、輪切り切断形状面を上下方向面と成して放射状に配置し、且つセラミック炭に上下方向に渉る孔を穿設」するという構成は、甲第1?3号証のいずれの甲号証にも記載されていない。
しかも、上記括弧書きの構成を有することにより、本件考案は、上記(3)のロで指摘した甲第1?3号証には示唆されていない効果を達成できるものである。
以上の通りであるから、他の相違点について検討するまでもなく、本件登録実用新案が甲第1?3号証記載の考案に基づいて当業者が極めて容易に考案することができたとする本件請求人の主張は根拠のないものであって、これを採用することはできない。
4、実用新案法第3条の2違反の主張について
次に、本件請求人の主張する無効理由cについて検討する。
(1)甲第4号証記載の発明
甲第4号証には、
「 本発明のセラミック炭を用いた焼き物用調理器は、燃焼板の上面に生じる火炎により、燃焼板上に配したセラミック炭を加熱し、主にこのセラミック炭の発生する遠赤外線を主体とする熱線で被調理物を焼くようにしている。これにより被調理物が表面のみ焦げることなく内部まで確実に火を通すことができる。よって被調理物の表面は焼け焦げが少なく綺麗に仕上る。またセラミック炭が赤熱すると木炭などの炭素を主体とする固形燃料のごとき外観を呈するので、風情に富んだ調理を楽しむことができる。」(公報第2頁左上欄第17行?同右上欄第7行)、
「 つぎにこの発明を第1図および第2図に示す第1実施例とともに説明する。
1はセラミック炭を用いた焼き物用ガス調理器であり、有底で箱状を呈し、上面が開口したステンレス鋼板製のバーナケース2を、下端にゴム製脚31が突設された鉄板製箱状外ケース3内の上部に嵌め込んで構成されている。Aは被調理物である焼き物であり、バーナケース2の前記上面開口である焼き口21に沿って設置された焼き串載置用の桟11上に載置されている。被調理物Aが串に刺されていないときは第2図に示すごとく桟11上に焼網12を載置し、この焼網上に被調理物を載せて焼く。
バーナケース2の内部にはステンレス鋼、セラミックなどの耐熱材製の板41に小火口42を所定のパターンで多数設けた燃焼板4が水平的に取り付けられている。この燃焼板4の下のケース2内は燃料ガスと燃焼用空気との混合室2Aとなっており、この混合室2Aには送風機5から燃焼用空気が供給されるとともに、ガス供給用配管6から燃料ガスが供給されるようになっている。この実施例では送風機5は、外ケース3内のバーナケース2の下方に配され、スクロールケーシング51内に遠心式ファン52が取り付けられており、電動モータ53より駆動される。また燃料ガスは、前記スクロールケーシング51の中心に開口した空気吸い込み口54内にガス管61のノズル62が差し込まれ、このノズル62を介してスクロールケーシングの中心に供給される。本実施例ではガス管61は外ケ-ス3を貫通して取り付けられ、外ケース3の外にガスコック63が設けられている。送風機の吹き出し口55には、空気とガスとの混合を促進するための混合用迷路56が取り付けられており、さらにその下流にはパンチングメタルからなる分布板57が配されている。前記燃焼板4の上には、セラミック炭7が設置されている。
セラミック炭7は、セラミックス製母材の表面に木炭近似の遠赤外線放射特性を有するセラミックス製コーティング(厚みは 5?300μm、例えば30μm)してなる。」(公報第2頁右上欄第9行?同右下欄第7行)、および、
「 なお、セラミック炭は、練炭状セラミツク炭、タドン状セラミック炭などが挙げられ、これらセラミック炭には外周面に多数の貫通小孔を設けてもよく、また素材を緻密質ばかりでなく多孔質としても差支えはない。また、中空として熱容量を小さくすることも可能で、以上に述べた形態を併せ持った形とすることも可能である。」(公報第3頁右下欄第10?16行)
ことが、図面とともに記載されている。
上記記載から判断して、甲第4号証には下記の発明が記載されている。
「焼き物用ガス調理器(1)本体に外ケース(3)と該外ケース(3)の内部に所定間隔を有する様にバーナケース(2)を取付け、又バーナケース(2)内部に小火口(42)を所定のパターンで多数設けた燃焼板(4)を設け、該燃焼板(4)上に複数のセラミック炭(7)を載置し、バーナケース(2)の上面開口である焼き口(21)には被調理物(A)を載置する焼網(12)を渉設し、上記セラミック炭(7)は輪切り切断形状面を上下方向と成して配置し、且つセラミック炭(7)に上下方向に渉る貫通小孔を穿設した焼き物用ガス調理器(1)」
(2)対比・判断
本件考案と甲第4号証記載の発明とを比較すると、甲第4号証記載の発明の構成は上記認定のとおりであるとともに、甲第4号証記載の発明における「焼き物用ガス調理器(1)」、「外ケース(3)」、「バーナーケース(2)」、「セラミック炭(7)」、「被調理物(A)」、「焼網(12)」および「貫通小孔」は、本件考案におけるそれぞれ「ロースター」或いは「セラミック炭ロースター」、「外箱」、「内箱」、「セラミック炭」、「肉類」、「金網」および「孔」に相当するから、両者は、結局、
「ロースター本体に外箱と該外箱の内部に所定間隔を有する様にして内箱を取付け、内箱の上端開口部には肉類を載置する金網を渉設し、セラミック炭に上下方向に渉る貫通小孔を穿設したセラミック炭ロースター」
である点で一致し、下記の点で相違する。
a、本件考案が、「ロースター本体に吸引作用される外箱と該外箱の内部に所定間隔の吸引流路を有する様にして内箱を取付け、外箱の上端と内箱の上端に接するトッププレートを装着すると共に、該トッププレートに吸気孔を貫設形成し、又内箱にバーナーを収納」しているのに対し、甲第4号証記載の発明はそのような構成を備えていない。
b、本件考案が、「バーナー上方に金網を設け、該金網上に複数のセラミック炭を載置し」ているのに対し、甲第4号証記載の発明は、そのような構成を備えていない。
c、本件考案が、「セラミック炭は略扇形状の複数の分割片に分割し、夫々の分割片を所定隙間を設けると共に、輪切り切断形状面を上下方向面と成して放射状に配置し、且つセラミック炭に上下方向に渉る孔を穿設し」ているのに対し、甲第4号証記載の発明は、「セラミック炭に上下方向に渉る孔を穿設し」ている。
そして、本件考案は、aおよびcの相違点に対応する構成を有することにより、それぞれ上記3の(3)のイおよびロで指摘したと同様の甲第4号証には示唆されていない効果を達成できるものである。
以上のとおりであるから、他の相違点について検討するまでもなく、本件登録実用新案が甲第4号証記載の発明と同一であるとする本件請求人の主張は根拠のないものであって、これを採用することはできない。
5、むすび
以上のとおりであるから、本件請求人の上記主張及び証拠によっては、本件登録実用新案を無効とすることはできない。
また、審判に関する費用は、実用新案法第41条において準用する特許法第169条第2項において更に準用する民事訴訟法第61条の規定により、請求人が負担すべきものとする。
審理終結日 2000-10-20 
結審通知日 2000-11-06 
審決日 2000-11-20 
出願番号 実願昭62-177008 
審決分類 U 1 112・ 161- Y (A47J)
U 1 112・ 113- Y (A47J)
U 1 112・ 121- Y (A47J)
最終処分 不成立    
特許庁審判長 大久保 好二
特許庁審判官 櫻井 康平
滝本 静雄
登録日 1994-03-23 
登録番号 実用新案登録第2012006号(U2012006) 
考案の名称 セラミツク炭ロ?スタ?  
代理人 西山 聞一  
代理人 土川 晃  
代理人 西山 聞一  

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