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審決分類 |
審判 判定 同一 属さない(申立て成立) F16L |
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管理番号 | 1041573 |
判定請求番号 | 判定2001-60019 |
総通号数 | 20 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 実用新案判定公報 |
発行日 | 2001-08-31 |
種別 | 判定 |
判定請求日 | 2001-02-08 |
確定日 | 2001-06-04 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第3064938号の判定請求事件について、次のとおり判定する。 |
結論 | イ号図面及びその説明書に示す「送水ホ?ス接手におけるシ?ルパッキン」は、登録第3064938号実用新案の技術的範囲に属しない。 |
理由 |
1.請求の趣旨 本件判定請求は、イ号図面及びその説明書に示す「送水ホース接手におけるシールパッキン」は、実用新案登録第3064938号の技術的範囲に属しない、との判定を求めたものである。 2.本件考案 本件実用新案登録第3064938号(以下、「本件考案」という。)は、実用新案登録明細書及び図面の記載からみて、その実用新案登録請求の範囲の請求項1に記載されたとおりのものであり、その構成を符号を付して分説して記載すると次のとおりである。 「【請求項1】 A:接手筒の先端面に設けた環状のパッキング装着溝の内部に装着され、その溝から突出する先端部に内周側および外周側にそれぞれ横断面楔形に横向き先鋭状に張り出す内側圧接部と外側圧接部とを設けた軟弾性材からなる環状のシールパッキンであって、 B:前記内側圧接部はその接触先端面が外側圧接部の接触先端面との交点から先鋭状先端に至るまで接手筒の先端面に対して上り勾配をなす傾斜面に形成され、 C:また外側圧接部はその接触先端面が内側圧接部の接触先端面との交点から先鋭状先端に至るまで接手筒の先端面に対して平行な水平面に形成され、 D:前記内側圧接部の後面は、前記突出先端部の下方の直立部の内周面の接手筒の先端面よりも低い位置から先端にかけて上り勾配の傾斜面に形成され、 E:送水ホース接手の非接合状態において接手筒の先端面とパッキング装着溝の内側内周面との内周側角部に対して非接触の状態にあり、 F:かつ送水ホース接手同士を接合して相互のシールパッキン同士を圧接したとき、相互の内側圧接部の接触先端面が接手筒の先端面と平行になるように傾倒する直前で内周側角部に接触し、内側圧接部の接手筒の先端面側への倒れに対して後面側から支えるように構成したこと G:を特徴とする送水ホース接手におけるシールパッキン。」 3.イ号装置 これに対して、イ号図面及びその説明書に示す「送水ホース接手におけるシールパッキン」(以下、「イ号装置」という。)は、本件考案に即して分説して記載すると、下記の構成からなるものと認める。 a:接手筒(2)の先端面に設けた環状のパッキング装着溝(7)の内部に装着され、その溝(7)から突出する先端部に内周側及び外周側にそれぞれ横断面楔形に横向き先鋭状に張り出す内側圧接部(8c)と外側圧接部(8d)とを設けた軟弾性材からなる環状のシールパッキン(8)であって、 b:前記内側圧接部(8c)は、その接触先端面が外側圧接部(8d)の接触先端面との境界部(M)から先鋭状先端(A)に至るまで接手筒(2)の内側先端面(2m)に対して平行な水平面に形成され、 c:また、外側圧接部(8d)は、その接触先端面が内側圧接部(8c)の接触先端面との境界部(M)から先鋭状先端(B)に至るまで、前記先端面(2m)から突出している接手筒(2)の外側先端面(2n)に対して平行で、かつ、前記内側圧接部(8c)の接触先端面と同一平面上に位置する水平面に形成され、 d:前記内側圧接部(8c)の後面(8m)は、前記突出先端部の下方の直立部(8a)の内周面の接手筒(2)の内側先端面(2m)よりも高い位置から先端(A)にかけて上り勾配の傾斜面に形成し、 e:送水ホース接手の非接合状態において接手筒(2)の内側先端面(2m)とパッキング装着溝(7)の内側内周面との内周側角部(D)に対して非接触の状態にあり、 f:かつ、送水ホース接手同志を接合して相互のシールパッキン(8)(8)同志を圧接したとき、相互の内側圧接部(8c)(8c)の接触先端面は接手筒(2)の内側先端面(2m)と平行となり、その後面(8m)は内周側角部(D)から離間し、前記パッキング装着溝(7)内に流入する圧力水が直立部(8a)及び内側圧接部(8c)を外側圧接部(8d)側に押圧するように構成したこと g:を特徴とする送水ホース接手におけるシールパッキン。 4.本件考案とイ号装置との対比・判断 4-1;イ号装置が、本件考案の各構成要件を充足するか否かについての判断 イ号装置が本件考案の各構成要件を充足するか否かについて検討する。 イ号装置の構成要件a,e,gと各々対応する本件考案の構成要件A,E,Gとを対比しても、文言上も相違せず、両者の間に実質的な構成上の相違点はないものであるから、イ号装置は、本件考案の構成要件A,E,Gを充足することは明らかである。 次に、イ号装置の構成要件bと、本件考案の構成要件Bとを対比する。 イ号装置では、内側圧接部(8c)は、その接触先端面が外側圧接部(8d)の接触先端面との境界部(M)から先鋭状先端(A)に至るまで接手筒(2)の内側先端面(2m)に対して平行な水平面に形成されているのに対して、本件考案では、内側圧接部は、その接触先端面が外側圧接部の接触先端面との交点(境界部(M)に相当)から先鋭状先端に至るまで接手筒の先端面に対して上り勾配をなす傾斜面に形成されている点で構成上相違している。 よって、イ号装置は、本件考案の構成要件Bを充足しない。 さらに、イ号装置の構成要件c、d、fと各々対応する本件考案の構成要件C、D、Fとを対比すると、シールパッキンの外側圧接部の接触先端面、内側圧接部の後面及び直立部の形状については構成上の相違点はないものであって、イ号装置では接手筒の先端面を内側と外側で本件考案のように同一の高さとせずに、接手筒の内側の高さを外側の高さより低くしている(なお、イ号装置の説明では、「内側先端面(2m)から突出している外側先端面(2n)」と表現しているが、外側先端面(2n)は通常の高さで内側先端面(2m)が低く形成されているのでこのように表現した)点で構成上相違している。 よって、イ号装置は、本件考案の構成要件C、D、Fを充足しない。 4-2;均等の判断 イ号装置の構成要件bと本件考案の構成要件Bとの相違点についていわゆる均等論が適用できるか検討するに、本件考案の構成要件Bは、本件考案のシールパッキンとしての本質的部分であって、実用新案登録明細書中に記載された「シールパッキン同士が圧着するときには、先ず内側圧接部同士がその先端から基端にかけて徐々に圧着し始めて、その後に外側圧接部同士が圧着することになるため、相互の接触先端面同士は両者間に空気を抱き込むことなく真空密着し、吸着力を保持する」という格別な効果を奏するものである。 そうすると、他の均等の要件を判断するまでもなく、本件考案の構成要件Bとイ号装置との相違点について均等論の適用はない。 したがって、他の相違点について検討するまでもなく、本件考案とイ号装置との関係において均等論は適用できない。 5.むすび 以上のとおりであるから、イ号装置すなわちイ号図面とその説明書に示す「送水ホース接手におけるシールパッキン」は、本件考案すなわち実用新案登録第3064938号の技術的範囲に属しない。 よって、結論のとおり判定する。 |
別掲 |
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判定日 | 2001-05-23 |
出願番号 | 実願平11-4354 |
審決分類 |
U
1
2・
1-
ZA
(F16L)
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最終処分 | 成立 |
特許庁審判長 |
村本 佳史 |
特許庁審判官 |
船越 巧子 吉国 信雄 |
登録日 | 1999-10-06 |
登録番号 | 実用新案登録第3064938号(U3064938) |
考案の名称 | 送水ホ?ス接手におけるシ?ルパッキン |
代理人 | 斉藤 侑 |
代理人 | 伊藤 文彦 |
代理人 | 藤井 実 |