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審決分類 審判 一部無効 2項進歩性 訂正を認める。無効としない F16H
管理番号 1043333
審判番号 審判1999-35533  
総通号数 21 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案審決公報 
発行日 2001-09-28 
種別 無効の審決 
審判請求日 1999-09-30 
確定日 2001-05-16 
訂正明細書 有 
事件の表示 上記当事者間の登録第2043909号実用新案「サイレントチェ?ン伝動装置」の実用新案登録無効審判事件について、次のとおり審決する。   
結論 訂正を認める。 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 I.手続の経緯

(1)実用新案登録第2043909号の請求項1及び2に係る考案(以下、「本件考案1及び2」という。)は、昭和63年2月8日に出願され、平成6年12月16日にその実用新案権の設定登録がされたものである。
(2)これに対して、平成11年9月30日に、株式会社椿本チェイン(以下、「請求人」という。)より、本件考案1及び本件考案2の実用新案登録を無効にする旨の審判の請求がされた。
(3)実用新案権者であるボーグ・ワーナー・オートモーティブ株式会社(以下、「被請求人」という。)より、平成12年1月18日に、明細書の実用新案登録請求の範囲及び考案の詳細な説明の各記載を訂正する旨の訂正請求がされた。
(4)被請求人より、平成13年2月20日に、平成12年1月18日付けの訂正請求書及び該訂正請求書に添付した明細書を補正する旨の手続補正書が提出された。


II.請求人の主張

請求人は、平成12年5月25日の口頭審理において請求人が陳述した陳述要領書において、
「6.1 訂正請求について
訂正請求書(平成12年1月18日付け)が提出されたが、訂正の可否については争わない。」(第1頁第26?27行)
と主張する一方、同陳述要領書において、
「6.3 本件実用新案登録を無効とすべき理由
本件実用新案登録を無効とすべき理由については、審判請求書 3頁1行?15頁9行に亘って「7.3 本件実用新案登録を無効とすべき理由」の項において詳述したが、平成12年1月18日付け訂正請求書により明細書が訂正されたので、訂正明細書(以下、「本件明細書」という。)をもとに、再度、本件実用新案登録を無効とすべき理由を詳述する。」(第7頁第19?24行)
と主張し、そのうえで、同陳述要領書において、
「(4)むすび
以上詳述したとおり、本件考案1及び本件考案2は、いずれも当業者が引用例1及び引用例2に記載された考案に基づいてきわめて容易に考案をすることができたものであり、実用新案法第3条第2項の規定に違反して登録を受けたものであるから、上記本件考案1,2の実用新案登録は、実用新案法第37条第1項第1号の規定によりにより、無効とすべきである。」(第20頁第23行?第21頁第1行)
と結んでいる。
そして、訂正請求に係る訂正が認められるには、該訂正が、特許法等の一部を改正する法律(平成5年法律第26号)附則第4条第2項で読み替える、同法律により改正される前の実用新案法第40条第2項の規定及び同法40条第5項で準用する同法第39条第2項から第4項までの規定に適合することを要する。
してみると、請求人の主張は、次のとおりと認められる。
平成12年1月18日付けの訂正請求に係る訂正(以下、「本件訂正」という。)は、上記規定のうち、実用新案法第39条第2項にのみ適合しない、すなわち、当該訂正請求書に添付した訂正明細書の実用新案登録請求の範囲の請求項1及び2に係る考案(以下、「訂正考案1」及び「訂正考案2」という。)が、下記の「1.訂正の独立実用新案登録要件について」のような理由で、出願の際、独立して実用新案登録を受けることができないので、当該本件訂正は認められない。
そして、本件訂正を認められないことを前提とし、次の「2.無効理由について」のような理由により、「本件考案1及び本件考案2の実用新案登録を無効にする。審判費用は請求人の負担とする。との審決を求める。」というものある。

1.訂正の独立実用新案登録要件について
(1)訂正考案1について
イ.訂正考案1は、甲第1号証及び甲第2号証の刊行物に記載された考案に基いて、当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであり、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができないものである。(陳述要領書第20頁第4?7行参照)
ロ.甲第1号証の刊行物には、「互いに回動可能に直列に枢結されたリンクプレート2a,2b、2cを少なくとも一部に有し、これらのリンクプレートが内側フランク及び外側フランクによって限定された一対のリンク歯を有するサイレントチェーンと、前記サイレントチェーンの前記リンク歯と噛み合うスプロケット歯を有するスプロケットとを備えたサイレントチェーン伝動装置において、リンクプレート2cの一対の歯の両外側フランクがスプロケットの対応する歯に噛み合った状態を保って相対移動がない状態(安定状態)で移動する際、噛合開始時に、リンクプレート2cの一対の歯の外側フランクがスプロケットの対応する歯に噛み合った安定状態で、リンクプレート2aの歯の内側フランクがスプロケット歯に接触し、リンクプレート2bの歯の内側フランクがスプロケット歯との係合から外れる、という噛み合い作動をするサイレントチェーン伝動装置」
が記載されている。(陳述要領書第10頁第7行?第11頁第28行参照)
ハ.訂正考案1が「前記第2及び第3のリンクプレートのリンク歯の内側フランクの形状を、θ1-θ2≧0となるように決定することにより、前記リンクプレートの前記スプロケット歯との接触時には、前記第2のリンクプレートのスプロケット歯との係合が外れる前に、前記第3のリンクプレートの内側フランクが前記スプロケット歯と接触するようになっている」構成であるのに対して、甲第1号証の刊行物には、かかる構成が明確に記載されていない点で相違する。(陳述要領書第15頁第6行?第16頁第2行参照)
ニ.訂正考案1と甲第1号証の刊行物に記載された考案の噛み合い作動についてみると、訂正考案1が第2、第3のリンクプレートが一時的に同時にスプロケット歯に接触しているが、甲第1号証の刊行物に記載された考案は、一時的に同時に接触することがあるのか否か明確でない。(陳述要領書第16頁第4?29行参照)
ホ.甲第2号証の刊行物に、チェーンとスプロケットとの間の騒音を下げる場合、噛合開始時に、リンクX4の内外側面がプロケット歯と接触し、リンクX4が係合状態にあるとき、「リンクX3及びリンクA3の内側面が、それぞれ対応するスプロケット歯に同時に接触する」という噛み合い作動をさせるという技術的思想が開示されている。(陳述要領書第17頁第1?7行、第11頁第29行?第13頁第7行参照)
ヘ.甲第1号証の刊行物にも、第2,第3のリンクプレートa’、a’の内側面を、それぞれ対応するスプロケット歯に同時に接触させる技術的思想が示されている(甲第1号証第2頁上右欄第11?18行「第8図に示されるように・・・がたをなくすようになっている」参照。)。(陳述要領書第17頁第8?11行参照)
ト.かかる技術的思想(ホ.及びヘ.)に基づいて、同じようにサイレントチェーンとスプロケットとの間の騒音を下げることを目的としている甲第1号証の刊行物においても、第2のリンクプレート2b,第3のリンクプレート2aが一時的ではあるが同時に対応するスプロケット歯に接触するようにして、噛合開始時に、「第3のリンクプレートの歯の内側フランクがスプロケット歯に接触してから、第2のリンクプレートの歯の内側フランクとスプロケット歯との係合が外れる」という噛み合い作動、換言すれば、訂正考案1のように、「リンクプレートのスプロケット歯との接触時には、第2のリンクプレートのスプロケット歯との係合が外れる前に、第3のリンクプレートの内側フランクが前記スプロケット歯と接触する」という噛み合い作動(以下、これを「噛み合い作動A」という。)をするようにすることは当業者がきわめて容易に想到し得ることである。(陳述要領書第17頁第12?25行参照)
チ.「噛み合い作動A」は、「第1のリンクプレートに対して、第2のリンクプレートがθ1回転して、第2のリンクプレートの内側フランクとスプロケット歯との係合が外れる前に、第2のリンクプレートがθ2回転して、第3のリンクプレートの内側フランクがスプロケット歯と接触する」という噛み合い作動をするということである。
したがって、この「噛み合い作動A」においては、「第2のリンクプレートがθ2回転した後に、θ1になる」ということであるから、少なくともθ1はθ2より大きく、θ1≧θ2の関係、すなわち、θ1-θ2≧0で表される不等式の関係になっている。
一般的に、サイレントチェーンのリンクプレートの歯とスプロケット歯との接触状態がリンクプレートの歯の接触面の形状に左右されることは技術常識であるから、上記「噛み合い作動A」が行われる第2,第3のリンクプレートの歯の内側フランクは、上記不等式の関係を満たす形状になっていることが了知できる。
そうであるから、リンクプレートの歯の内側フランクとスプロケット歯とが上記「噛み合い作動A」をする場合、θ1-θ2≧0の関係になっていると共に、第2,第3のリンクプレートの歯の内側フランクはこのような関係を満たす形状になっていることは明らかであり、訂正考案1が、第2及び第3のリンクプレートのリンク歯の内側フランクの形状を、θ1-θ2≧0となるように決定したことに格別の技術的意義があるとはいえない。(陳述要領書第17頁第26行?第18頁第26行参照)
リ.訂正考案1の、従来の装置に比較して騒音、振動を軽減できる等の効果は、甲第1号証及び甲第2号証の刊行物にそれぞれ記載された考案から予測し得る程度のものであり、格別の効果ではない。(陳述要領書第18頁第27?29行参照)
ヌ.本件明細書の記載を客観的にみた場合、騒音試験を行ったという伝動装置のサイレントチェーンの具体的構造が特定できないので、騒音試験を行った対象物が不明であり、そのために、本件明細書、特に第3図及び第4図に示される騒音試験の結果を参酌しても、訂正考案1のサイレントチェーン伝動装置が奏する効果を確認することができない。
そうであるから、訂正考案1の奏する効果は、本件明細書に記載されていないに等しいということになり、格別のものであるということは到底できない。(陳述要領書第19頁第1行?第20頁第2行参照)
ル.甲第1号証の刊行物には、リンク歯の内側フランクを円弧状に突出させることが記載されている(甲第1号証第1頁下右欄第2行、同第3頁上左欄第15行参照。)ので、訂正考案2のように内側フランクの形状を凸曲面にした点には、何ら創意工夫がない。しかも、かかる点によって生じる効果は、本件明細書に全く記載されていない。
したがって、訂正考案2は、訂正考案1の容易推考性の理由と同様の理由により、甲第1号証及び甲第2号証の刊行物にそれぞれ記載された考案に基いて、当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるから、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができないものである。(陳述要領書第20頁第8?22行参照)

2.無効理由について
本件考案1及び2は、いずれも甲第1号証及び甲第2号証の各刊行物にそれぞれ記載された考案に基いて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるから実用新案法第3条第2項に該当し、その実用新案登録は、同法第37条第1項第2号により無効とすべきものである。

3.請求人が提示した証拠方法
甲第1号証:特開昭62-159829号公報
甲第2号証:米国特許第2,056,602号明細書
甲第2号証の1:米国特許第2,056,602号明細書の訳文


III.被請求人の主張

被請求人の主張の概要は、次の「1.無効理由について」のような事項を理由に、訂正考案1及び2は、いずれも独立実用新案登録要件を具備することにより本件訂正が認められることを前提として、「本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求める。」というものある。
1.無効理由について
イ.甲第1号証の刊行物に記載された考案は、スプロケットの噛合いの際に、噛合開始時にはリンクプレートの一方の内側フランク(内股)がスプロケットと接触し、噛合終了時にはリンクプレートの両外側フランク(両外股)がスプロケットと接触するサイレントチェーンに関するものであり、すなわち、甲第1号証には、「内股噛合・両外股着座」のサイレントチェーンが示されている。この点に関しては、本件考案に係るサイレントチェーンにおいても同様である。
しかしながら、甲第1号証の刊行物には、スプロケットとの噛合状態がリンクプレートの内股から外股に切り替わる点が記載されているのみであり、同号証の第3図から分かるように、本件考案(訂正考案1)の第3のリンクプレート3cに相当するリンクプレート2aの内側フランクがスプロケット歯と接触しているときに、本件考案(訂正考案1)の第2のリンクプレート3bに相当するリンクプレート2bの内側フランクはスプロケット歯と接触していない。すなわち、甲第1号証の刊行物には、本件考案(訂正考案1)のように第2および第3のリンクプレートが一時的に同時に接触することが記載されてはいない。(審判事件答弁書第3頁第15?29行参照)
ロ.甲第2号証の刊行物に記載されたサイレントチェーンは、Fig.10および明細書第2頁左欄第40?62行(甲第2号証の1第4頁第1?12行)に記載されているように、スプロケット歯との着座時に、リンクプレートの片側の外側フランクがスプロケット歯と接触する噛合形式を前提としている。これに対して、本件考案(訂正考案1)は、スプロケット歯との着座時に、リンクプレートの両側の外側フランクがスプロケット歯と接触する噛合形式を前提にしている。
この両者の違いについて考察すると、甲第2号証の刊行物に示されるような噛合形式では、スプロケット歯に対するリンクプレートの法線方向の位置がリンクプレートによって一定しないことになり(Fig.6,7参照)、したがって、本件考案(訂正考案1)のようにスプロケット歯との間に相対移動がない状態にはなっていない。この甲第2号証の刊行物に記載された考案の場合、サイレントチェーンがスプロケットの回りを不規則な多角形運動をすることになり、不規則な弦上下動(コーダルアクション)による騒音の発生が予想される。一方、本件考案(訂正考案1)では、リンクプレートの両側の外側ワランクがスプロケット歯と接触してスプロケット歯と着座することから、スプロケット歯に対するリンクプレートの法線方向の位置がリンクプレートによって一定しており、その結果、甲第2号証の刊行物に記載された考案のような不規則なコーダルアクションによる騒音の発生が抑制されるのである。(審判事件答弁書第4頁第1?27行参照)
ハ.本件考案(訂正考案1)と甲第2号証の刊行物に記載された考案とは、スプロケット歯との噛合形式が根本的に異なっており、しかも、甲第2号証の刊行物に記載された考案では、本件考案(訂正考案1)のようにリンクプレートの両外側フランクがスプロケット歯と噛み合う噛合形式を意図的に除外している(甲第2号証の1第4頁第1?12行参照)。したがって、甲第2号証の刊行物において.本件考案(訂正考案1)の第2および第3のリンクプレートに一見相当するかのように見える各リンクプレートが同時にスプロケット歯に接触する状態が示されているからといって、甲第2号証に記載された考案を甲第1号証に記載された考案と組み合わせることは当業者といえども困難であるといわざるを得ない。(審判事件答弁書第4頁第28行?第5頁第7行参照)
ニ.したがって、実用新案登録請求の範囲の請求項1に係る考案(訂正考案1)は、甲第1および第2号証の刊行物に記載された考案に基づいて当業者がきわめて容易に想到し得たものではなく、実用新案法第3条第2項の規定には該当しない。(審判事件答弁書第5頁第8?10行参照)
ホ.実用新案登録請求の範囲の請求項2に係る考案(訂正考案2)は、請求項1の従属項であり、上述のように、請求項1に係る考案(訂正考案1)が進歩性を有するものである以上、請求項2に係る考案(訂正考案2)も当然に進歩性を有する。(審判事件答弁書第5頁第11?13行参照)


IV.当審の判断

1.訂正の適否について(訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び実用新案登録請求の範囲の拡張・変更の存否)
平成13年2月20日にされた手続補正は、平成12年1月18日付けの訂正請求書において訂正する旨記載されていた事項の一部を削除し、それに整合するように添付した明細書を補正(訂正前に戻すように補正)するものであって、訂正請求書の要旨を変更するものではないので、実用新案法第41条において準用する特許法第131条第2項の規定に適合する。
したがって、平成12年1月18日にされた訂正請求に係る訂正(「本件訂正」)の内容は、以下のとおりである。
(1)本件訂正の内容
イ.訂正事項a
本件考案の実用新案登録に係る願書に添付した明細書(以下、「実用新案登録明細書」という。)の実用新案登録請求の範囲第1項の記載を、次のように訂正する。
「1.互いに回動可能に直列に枢結された第1、第2及び第3のリンクプレートを少なくとも一部に有し、これらのリンクプレートが内側フランク及び外側フランクによって限定された一対のリンク歯を有するサイレントチェーンと、前記サイレントチェーンの前記リンク歯と噛み合うスプロケット歯を有するスプロケットとを備えたサイレントチェーン伝動装置において、
前記第1のリンクプレートの一対のリンク歯の両外側フランクが前記スプロケットの対応するスプロケット歯と噛み合って両者間に相対移動がない状態で、前記第2及び第3のリンクプレートを前記第1のリンクプレートと前記第2のリンクプレートとの枢結点を中心に回動させた場合に、これら三つのリンクプレートの枢結点が一直線上に並んだ状態から前記第2のリンクプレートの内側フランクが前記スプロケット歯との接触を終了して、前記第2のリンクプレートと前記スプロケット歯との係合が外れるまでの角度をθ_(1)、前記第3のリンクプレートの内側フランクが前記スプロケット歯と接触し始めるまでの角度をθ_(2)としたとき、前記第2及び第3のリンクプレートのリンク歯の内側フランクの形状を、
θ_(1) -θ_(2)≧0
となるように決定することにより、
前記リンクプレートの前記スプロケット歯との接触時には、前記第2のリンクプレートのスプロケット歯との係合が外れる前に、前記第3のリンクプレートの内側フランクが前記スプロケット歯と接触するようになっている、ことを特徴とするサイレントチェーン伝動装置。」
ロ.訂正事項b
実用新案登録明細書の実用新案登録請求の範囲の請求項2ないし5及び考案の詳細な説明の欄における「サイレントチエーン」との記載の全てを、「サイレントチェーン」と訂正する。
ハ.訂正事項c
実用新案登録明細書の第9頁第20行目における「接触が終了するまでの角度」(公告公報第3頁第5欄第35?36行参照)との記載を、「接触を終了して、前記第2のリンクプレートと前記スプロケット歯との係合が外れるまでの角度」と訂正する。
ニ.訂正事項d
実用新案登録明細書の第10頁第12行目における「決定される」(公告公報第3頁第5欄第46行目参照)との記載を、「決定されており、前記リンクプレートの前記スプロケット歯との接触時には、前記第2のリンクプレートのスプロケット歯との係合が外れる前に、前記第3のリンクプレートの内側フランクが前記スプロケット歯と接触するようになっている」と訂正する。
ホ.訂正事項e
実用新案登録明細書の第12頁第10行目における「外側フランク5」(公告公報第3頁第6欄第28行目)との記載を、「内側フランク6」と訂正する。
(2)検討及び判断
イ.訂正事項aについて
「外側フランク」、「角度θ_(1)」及び「リンクプレートの前記スプロケット歯との接触時に」係る訂正は、いずれも、構成を特定する事項を付加するものであるから、実用新案登録請求の範囲の減縮を目的とする明細書の訂正に該当する。
ロ.訂正事項bについて
実用新案登録明細書の実用新案登録請求の範囲の請求項2ないし5及び考案の詳細な説明の欄における「サイレントチエーン」は、いずれも「サイレントチェーン」を意味することが明らかであるから、訂正事項bは、誤記の訂正を目的とする明細書の訂正に該当する。
ハ.訂正事項cについて
訂正事項aによる実用新案登録請求の範囲の記載と考案の詳細な説明の記載の整合を図るものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とする明細書の訂正に該当する。
ニ.訂正事項dについて
訂正事項aによる実用新案登録請求の範囲の記載と考案の詳細な説明の記載の整合を図るものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とする明細書の訂正に該当する。
ホ.訂正事項eについて
訂正事項eは、その前後の記載等から明らかな事項に訂正するものであるから、誤記の訂正を目的とした明細書の訂正に該当する。
また、訂正事項aないしeは、いずれも、本件考案1、2の実用新案登録に係る願書に添付した明細書及び図面に記載した事項の範囲内においてしたものであって、実質上実用新案登録請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

2.訂正の適否について(独立実用新案登録要件の存否)
(1)訂正考案
本件訂正に係る訂正請求書に添付した全文訂正明細書(以下、「訂正明細書」という。)の実用新案登録請求の範囲の請求項1ないし5に記載された考案(以下、それぞれ「訂正考案1ないし5」という。)は、次のとおりのものである。
1.互いに回動可能に直列に枢結された第1、第2及び第3のリンクプレートを少なくとも一部に有し、これらのリンクプレートが内側フランク及び外側フランクによって限定された一対のリンク歯を有するサイレントチェーンと、前記サイレントチェーンの前記リンク歯と噛み合うスプロケット歯を有するスプロケットとを備えたサイレントチェーン伝動装置において、
前記第1のリンクプレートの一対のリンク歯の両外側フランクが前記スプロケットの対応するスプロケット歯と噛み合って両者間に相対移動がない状態で、前記第2及び第3のリンクプレートを前記第1のリンクプレートと前記第2のリンクプレートとの枢結点を中心に回動させた場合に、これら三つのリンクプレートの枢結点が一直線上に並んだ状態から前記第2のリンクプレートの内側フランクが前記スプロケット歯との接触を終了して、前記第2のリンクプレートと前記スプロケット歯との係合が外れるまでの角度をθ_(1)、前記第3のリンクプレートの内側フランクが前記スプロケット歯と接触し始めるまでの角度をθ_(2)としたとき、前記第2及び第3のリンクプレートのリンク歯の内側フランクの形状を、
θ_(1) -θ_(2)≧0
となるように決定することにより、
前記リンクプレートの前記スプロケット歯との接触時には、前記第2のリンクプレートのスプロケット歯との係合が外れる前に、前記第3のリンクプレートの内側フランクが前記スプロケット歯と接触するようになっていることを特徴とするサイレントチェーン伝動装置。
2.該リンク歯の内側フランクの形状が凸曲面である実用新案登録請求の範囲1に記載のサイレントチェーン伝動装置。
3.該スプロケット歯の歯面を凸状の曲面で形成したことを特徴とする実用新案登録請求の範囲1又は2に記載のサイレントチェーン伝動装置。
4.該スプロケット歯の歯面を平坦面で形成したことを特徴とする実用新案登録請求の範囲1又は2に記載のサイレントチェーン伝動装置。
5.連続する該第1、第2及び第3のリンクプレートがサイレントチェーン中に不規則に配置されている実用新案登録請求の範囲1ないし4のいずれかに記載のサイレントチェーン伝動装置。
(2)甲第1号証の刊行物に記載された考案
甲第1号証の刊行物には、以下のような記載がある。
イ.「各々が内側フランクおよび外側フランクによって限定される一対の歯と、連結部材を挿入する一対の穴とを有するリンクプレートを複数枚該連結部材により無端状に連結してなるサイレントチェーンにおいて、該内側フランクおよび外側フランクの形状を、該対の歯をかみ合いピッチ線上における外側フランク間のピッチをP_(1)、該サイレントチェーンがほぼ直線上に伸びているときの該対の歯とかみ合う他の二つのリンクプレートの歯の内側フランク間のピッチをP_(2)、および該サイレントチェーンがスプロケットに巻き付いているときの該内側フランク間のピッチをP_(3) としたときP_(2) ≧(=は≒であり、ほぼ等しいの意)P_(1)≧(=は≒であり、ほぼ等しいの意)P_(3)となるように、形成したことを特徴としたサイレントチェーン。」(特許請求の範囲)
ロ.「従来一般的に知られたサイレントチェーンには、スプロケットとのかみ合い時にリンクプレートの外側フランクがスプロケットの歯に接触する形式のものと内側フランクがスプロケット歯に接触する形式のものとがある。……後者の形式のものは、第7図に示されるように、……スプロケットにかみ合うとき第8図に示されるように……なっている。
このような従来のサイレントチェーン(後者の形式のもの)では、……それらのフランクに大きな衝撃力が加わってフランクの早期の摩耗を招くだけでなく、耳ざわりな騒音の発生原因にもなっていた。」(第1頁右欄第17行?第2頁左下欄第10行)
ハ.「本発明が解決しようとする問題点は、サイレントチェーンがスプロケットにかみ合うとき一つのリンクプレートの歯の外側フランクとその歯と重なり合う他のリンクプレートの歯の内側フランクとを同時に又は時間をずらしてスプロケットの同じ歯に当接させることによりリンクプレートのフランクの摩耗の防止と騒音の軽減を図ることである。」(第2頁左下欄第12?18行)
ニ.「かみ合いピッチ線上におけるリンクプレート2の一対の歯の外側フランク間のピッチをP_(1)、サイレントチェーンをほぼ一直線状に伸ばしたときの一つのリンクプレート2(2b)の一対の歯と重なり合う他のリンクプレート2(2a,2c)の歯の内側フランク間のピッチをP_(2)、サイレントチェーン1が第3図に示されるようにスプロケット10に巻き付いて円弧状になっているとき、一つのリンクプレート(例えば第3図で2e)の一対の歯と重なり合う他の二つリンクプレート(例えば第3図で2dと2f)の歯のかみ合いピッチ線上のピッチ又は互いに連結された一対のリンクプレート(例えば第3図で2dと2e)の互いに重なり合っていない歯(図でリンクプレート2eの右側の歯とリンクプレート2dの左側の歯)のかみ合いピッチ線上における内側フランク間のピッチをP_(3) としたとき、各リンクプレートの内側フランク5と外側フランクとは、P_(2) ≧(=は≒であり、ほぼ等しいの意)P_(1)≧(=は≒であり、ほぼ等しいの意)P_(3)となるように形成されている。ここで≒は「ほぼ等しい」ことを意味する。」(第3頁左上欄第20行?右上欄第20行)
ホ.「第3図に示されるように、リンクプレートの歯(第3図でリンクプレート2eの右側の歯およびそれと重なり合っているリンクプレート2bの左側の歯)がスプロケット10の歯11とかみ合うとき、P_(2) ≧(=は≒であり、ほぼ等しいの意)P_(1)≧(=は≒であり、ほぼ等しいの意)P_(3)の場合にはリンクプレート2aの右側の歯の内側フランク5がまずスプロケット10の歯のピッチ円r上又はその近傍に当り、P_(2)≒P_(1)≒P_(3)の場合にはリンクプレート2aの右側の歯の内側フランクおよびその歯と重なり合うリンクプレート2bの左側の歯の外側フランクが同時にまずスプロケット10の歯のピッチ円r上又はその近傍に当る。そしてチェーンが更に進んでスプロケットに巻き付いて行ってリンクプレートが連結ピン6の回りで回ると、第3図のリンクプレート2cのように両外側フランク4がスプロケットのかみ合いピッチ円上でスプロケットの歯11に接触する。以下スプロケットから離れるまでこの状態を保ってスプロケットの歯にかみ合って共に移動する。」(第3頁左下欄第7行?右下欄第8行)
これらの記載事項からみて、甲第1号証の刊行物には、次のような考案(以下、「甲1考案」という。)が記載されていると認めることができる。
「互いに回動可能に直列に枢結されたリンクプレート2c、2b及び2a(第1、第2及び第3のリンクプレート)を少なくとも一部に有し、これらのリンクプレートが内側フランク5(内側フランク)及び外側フランク4(外側フランク)によって限定された一対の歯3,3(リンク歯)を有するサイレントチェーン1(サイレントチェーン)と、前記サイレントチェーン1(サイレントチェーン)の前記歯3(リンク歯)と噛み合うスプロケットの歯11(スプロケット歯)を有するスプロケット10(スプロケット)とを備えた動力の伝達を行う機構(サイレントチェーン伝動装置)において、
前記内側フランク5(内側フランク)及び外側フランク4(外側フランク)の形状を、
前記一対の歯3,3(リンク歯)をかみ合いピッチ線上における外側フランク4(外側フランク)間のピッチをP_(1)、前記サイレントチェーン1(サイレントチェーン)がほぼ直線上に伸びているときの一つのリンクプレート2(2b)の一対の歯3,3(リンク歯)と重なり合う他のリンクプレート2(2a,2c)の内側フランク間のピッチをP_(2)、前記サイレントチェーン1(サイレントチェーン)がスプロケット10に巻き付いて円弧状になっているとき、一つのリンクプレート2(2e)の一対の歯3,3(リンク歯)と重なり合う他のリンクプレート2(2dと2f)の歯のかみ合いピッチ線上のピッチ又は互いに連結された一対のリンクプレート2(2dと2e)の互いに重なり合っていない歯(リンクプレート2eの右側の歯とリンクプレート2dの左側の歯)のかみ合いピッチ線上における内側フランク間のピッチをP_(3) としたとき、各リンクプレートの内側フランク5と外側フランクとは、
P_(2) ≧(=は≒であり、ほぼ等しいの意)P_(1)≧(=は≒であり、ほぼ等しいの意)P_(3)となるように形成された動力の伝達を行う機構(サイレントチェーン伝動装置)。」
(3)訂正考案1と甲1考案の対比及び判断
訂正考案1と甲1考案を対比すると、甲1考案の「リンクプレート2c、2b及び2a」は訂正考案1の「第1、第2及び第3のリンクプレート」に相当し、以下同様に、「内側フランク5及び外側フランク4」は「内側フランク及び外側フランク」に、「一対の歯3,3」は「一対のリンク歯」に、「サイレントチェーン1」は「サイレントチェーン」に、「サイレントチェーン1の歯3」は「サイレントチェーンのリンク歯」に、「スプロケットの歯11」は「スプロケット歯」に、「スプロケット10」は「スプロケット」に、「動力の伝達を行う機構」は「サイレントチェーン伝動装置」)に、それぞれ相当すると認められるので、両者の一致点及び相違点は以下のとおりである。
<一致点>
互いに回動可能に直列に枢結された第1、第2及び第3のリンクプレートを少なくとも一部に有し、これらのリンクプレートが内側フランク及び外側フランクによって限定された一対のリンク歯を有するサイレントチェーンと、前記サイレントチェーンの前記リンク歯と噛み合うスプロケット歯を有するスプロケットとを備えたサイレントチェーン伝動装置において、サイレントチェーンがスプロケットにかみ合うとき一部のリンクプレートの歯の外側フランクと他のリンクプレートの歯の内側フランクとを同時に又は時間をずらしてスプロケットの歯に当接させるようになっている点。
<相違点>
訂正考案1では、「前記第1のリンクプレートの一対のリンク歯の両外側フランクが前記スプロケットの対応するスプロケット歯と噛み合って両者間に相対移動がない状態で、前記第2及び第3のリンクプレートを前記第1のリンクプレートと前記第2のリンクプレートとの枢結点を中心に回動させた場合に、これら三つのリンクプレートの枢結点が一直線上に並んだ状態から前記第2のリンクプレートの内側フランクが前記スプロケット歯との接触を終了して、前記第2のリンクプレートと前記スプロケット歯との係合が外れるまでの角度をθ_(1)、前記第3のリンクプレートの内側フランクが前記スプロケット歯と接触し始めるまでの角度をθ_(2)としたとき、前記第2及び第3のリンクプレートのリンク歯の内側フランクの形状を、
θ_(1)-θ_(2)≧0
となるように決定することにより、
前記リンクプレートの前記スプロケット歯との接触時には、前記第2のリンクプレートのスプロケット歯との係合が外れる前に、前記第3のリンクプレートの内側フランクが前記スプロケット歯と接触するようになっている」のに対し、甲1考案では、「前記内側フランク及び外側フランクの形状を、前記一対のリンク歯をかみ合いピッチ線上における外側フランク間のピッチをP_(1)、前記サイレントチェーンがほぼ直線上に伸びているときの一つのリンクプレート(例えば、第2のリンクプレート)の一対のリンク歯と重なり合う他の二つのリンクプレート(例えば、第3及び第2のリンクプレート)の内側フランク間のピッチをP_(2)、前記サイレントチェーンがスプロケットに巻き付いて円弧状になっているとき、一つのリンクプレート(例えば、第2のリンクプレート)の一対のリンク歯と重なり合う他の二つのリンクプレート(例えば、第3及び第1のリンクプレート)の歯のかみ合いピッチ線上のピッチ又は互いに連結された一対のリンクプレート(例えば、第3及び第2のリンクプレート)の互いに重なり合っていないリンク歯(第2のリンクプレートの右側のリンク歯と第3のリンクプレートの左側のリンク歯)のかみ合いピッチ線上における内側フランク間のピッチをP_(3) としたとき、各リンクプレートの内側フランクと外側フランクとは、
P_(2) ≧(=は≒であり、ほぼ等しいの意)P_(1)≧(=は≒であり、ほぼ等しいの意)P_(3)となるように形成され」ている点。
以下、この相違点について検討する。
<相違点の検討>
この相違点に係る両者の構成は、互いに異なる観点で三つのリンクプレートの関係及び形状を特定するものであるから、比較検討の便のために、両者の三つのリンクプレートとスプロケットの噛み合い状態、接触及び離反のタイミングについて検討する。
訂正考案1における「第1のリンクプレートの一対のリンク歯の両外側フランクが前記スプロケットの対応するスプロケット歯と噛み合って両者間に相対移動がない状態」については、明確な定義がないが、サイレントチェーンがスプロケットに巻き付いて円弧状になっているとき、隣り合う複数のリンクプレートの一対のリンク歯の両外側フランクが前記スプロケットの対応するスプロケット歯と噛み合っていれば、両者間に相対移動がないと考えられるので、甲1考案において、甲第1号証の刊行物の第3図の状態であれば、リンクプレート2cとスプロケット10の関係は、訂正考案における「第1のリンクプレートの一対のリンク歯の両外側フランクが前記スプロケットの対応するスプロケット歯と噛み合って両者間に相対移動がない状態」に相当すると解することができる。
また、甲第1号証の刊行物の第3図及びその説明箇所の記載によれば、そこに示された実施例のものにおいて、サイレントチェーンがスプロケットに巻き付く順序からみて、リンクプレート2aが2bの状態、2cの状態へと進行するものであって、同図の状態において、リンクプレート2aの右側の歯の内側フランクのみ又は該内側フランクとリンクプレート2bの左側の歯の外側フランクが同時にまずスプロケット10の歯のピッチ円近傍等に当たり、このとき、リンクプレート2bの右側の歯の内側フランクはスプロケット10の歯から離反していて、その後、リンクプレート2aの右側の歯の内側フランクはスプロケット10の歯から離反して行き、最初の時点に来ない限りスプロケット10の歯と接触しないものと解される。ただ、リンクプレート2aの右側の歯の内側フランクはスプロケット10の歯から離反するときは既にリンクプレート2bの左側の歯の外側フランクはスプロケット10の同じ歯に接触している。
そうすると、訂正考案1では、第1のリンクプレートの一対のリンク歯の両外側フランクが前記スプロケットの対応するスプロケット歯と噛み合って両者間に相対移動がない状態で、第2のリンクプレートの右側のリンク歯の内側フランクがスプロケットの対応するスプロケット歯と噛み合っていて、次いで、回転が進んでもこの噛み合いが維持された状態で、三つのリンクプレートの枢結点が一直線上に並んだ状態から角度をθ_(2)だけ回転した時点で、第3のリンクプレートの右側のリンク歯の内側フランクがスプロケットの対応するスプロケット歯と接触し始め、回転が進んでもこの接触が維持され、三つのリンクプレートの枢結点が一直線上に並んだ状態から角度をθ_(1)だけ回転した時点で、第2のリンクプレートの右側のリンク歯の内側フランクがスプロケットの対応するスプロケット歯と噛み合いが外れる。すなわち、訂正考案1では、リンクプレートの一対のリンク歯の両外側フランクが前記スプロケットの対応するスプロケット歯と噛み合って両者間に相対移動がない第1のリンクプレート状態に至る前には、その直前の第2のリンクプレート及びその前の第3のリンクプレートは、いずれもその右側のリンク歯の内側フランクがスプロケットの対応するスプロケット歯と接触し、しかも、第2のリンクプレートの右側のリンク歯の内側フランクがスプロケットの対応するスプロケット歯と噛み合いが外れる前に、第2のリンクプレートの右側のリンク歯の内側フランクが第2のリンクプレートの右側のリンク歯の内側フランクが噛み合っていたと異なるスプロケット歯との接触が行われている。
これに対し、甲1考案では、第1のリンクプレートの一対のリンク歯の両外側フランクがスプロケットの対応するスプロケット歯と噛み合って両者間に相対移動がない状態では、第2のリンクプレートの右側のリンク歯の内側フランクがスプロケットの対応するスプロケット歯と噛み合っていないばかりか、両内側フランクがスプロケット歯のいずれとも噛み合っていない。また、第3のリンクプレートにおいて、その右側のリンク歯の内側フランクがスプロケットの対応するスプロケット歯と噛み合いが行われ、その後、この噛み合いが外れ、この噛み合いが外れる前には、第2のリンクプレートのリンク歯のフランクとスプロケット歯の接触が行われているが、内側フランクでなく外側フランクであること、及び、第3のリンクプレートのリンク歯のフランクとの噛み合いが外れるのと異なるスプロケット歯でなく同じスプロケット歯との接触が行われる。
してみると、訂正考案1と甲1考案では、両者の三つのリンクプレートとスプロケットの噛み合い状態、接触及び離反のタイミングが相違し、特に、訂正考案1においては、リンクプレートの一対のリンク歯の両外側フランクがスプロケットの対応するスプロケット歯と噛み合って両者間に相対移動がない状態に至る前に、甲1考案におけるより長い期間、すなわち、第3のリンクプレート及び第2のリンクプレートにおいて、内側フランクと対応するスプロケット歯が噛み合う可能性があり、さらに、第2のリンクプレートの右側のリンク歯の内側フランクがスプロケットの対応するスプロケット歯と噛み合いが外れる前に、第2のリンクプレートの右側のリンク歯の内側フランクが第2のリンクプレートの右側のリンク歯の内側フランクが噛み合っていたと異なるスプロケット歯との接触が行われるので、訂正明細書に記載されるよう作用効果「サイレントチェーンとスプロケットとの間の動力伝達が分散され、騒音、振動の大きさが減少される」(平成13年2月20日付け手続補正書の明細書第4頁第21?22行)を奏することができると認められるが、甲1考案では、そのような作用効果を奏することができる根拠が見当たらない。
なお、請求人は、訂正考案1のサイレントチェーン伝動装置が奏する効果を確認することができないとしてこのような作用効果を格別なものでない旨主張(請求人の主張事項ヌ.参照)しているが、動力伝達が分散されることが明らかであること、訂正考案に係る願書に添付した第3図及び第4図に示される騒音試験の結果を疑うに足る根拠も見当たらないので、この請求人の主張は採用することができない。
そして、甲第2号証の刊行物に記載された考案は、いずれのリンクプレートも先行側のリンク歯の内側フランクと後行側のリンク歯の外側フランクとがスプロケットの対応するスプロケット歯と噛み合い、リンクプレートとスプロケット歯との両者間に相対移動がない状態が生じにくい形式のものであるから、訂正考案1や甲1考案の形式と異なるので、当業者にとって、甲1考案に甲第2号証の刊行物に記載された考案の技術思想を適用して訂正考案とすることは困難であると言わざるを得ない。
また、甲第1号証の刊行物の第8図には、第2のリンクプレートの右側のリンク歯の内側フランクと第3のリンクプレートの右側のリンク歯の内側フランクとがそれぞれスプロケットの対応するスプロケット歯と噛み合うことが記載されているが、これは、甲1考案の従来例であって、訂正考案1の構成である「第1のリンクプレートの一対のリンク歯の両外側フランクが前記スプロケットの対応するスプロケット歯と噛み合って両者間に相対移動がない状態」を具備するものではなく、しかも、リンクプレートの内側フランクのみがスプロケット歯に当接して騒音を発生するものとして記載されていて(甲第1号証の刊行物の記載事項ロ.参照)、当業者にとって、甲1考案に甲第1号証に悪い例として記載されたものを適用して訂正考案1とすることは困難であると言わざるを得ない。
したがって、訂正考案1は、甲第1号証及び甲第2号証の各刊行物に記載された考案に基いて当業者がきわめて容易に考案できたものとすることができない。
また、訂正考案2ないし5は、いずれも、訂正考案1の構成要件に更に構成要件を付加したものであるから、訂正考案1と同様の理由により、甲第1号証及び甲第2号証の各刊行物に記載された考案に基いて当業者がきわめて容易に考案できたものとすることができない。
したがって、訂正考案1ないし5は、いずれも、出願の際、独立して実用新案登録を受けることができるものである。

以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法等の一部を改正する法律(平成5年法律第26号)第4条第2項で読み替える、同法律により改正される前の実用新案法第40条第2項の規定及び同法40条第5項で準用する同法第39条第2項から第4項までの規定に適合するので、当該訂正を認める。

3.無効理由について
(1)本件考案
実用新案登録第2043909号の請求項1及び2に係る考案(「本件考案1及び2」)は、本件訂正が上記1.及び2.の「訂正の適否について」において説示したとおり認められるものであるから、訂正請求に添付した訂正明細書の実用新案登録請求の範囲の請求項1及び2に記載された考案、すなわち、訂正考案1及び2と同じである。
(2)判断
本件考案1及び2は、訂正考案1及び2と同じであって、当該訂正考案1及び2が上記2.の「訂正の適否について(独立実用新案登録要件の存否)」において説示したとおり、甲第1号証及び甲第2号証の各刊行物に記載された考案と相違している上にそれらに基いて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものではないので、同様な理由で、甲第1号証及び甲第2号証の各刊行物に記載された考案のいずれとも同一でないばかりか、それらの考案に基いて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものではない。
(3)むすび
したがって、本件考案1及び2の実用新案登録は、いずれも、請求人が主張した請求の理由及び証拠によっては無効とすることができない。
審判に関する費用については、実用新案法第41条で準用する特許法第169条第2項の規定でさらに準用する民事訴訟法第61条の規定により、請求人が負担すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
発明の名称 (54)【考案の名称】
サイレントチェーン伝動装置
(57)【実用新案登録請求の範囲】
1.互いに回動可能に直列に枢結された第1、第2及び第3のリンクプレートを少なくとも一部に有し、これらのリンクプレートが内側フランク及び外側フランクによって限定された一対のリンク歯を有するサイレントチェーンと、前記サイレントチェーンの前記リンク歯と噛み合うスプロケット歯を有するスプロケットとを備えたサイレントチェーン伝動装置において、
前記第1のリンクプレートの一対のリンク歯の両外側フランクが前記スプロケットの対応するスプロケット歯と噛み合って両者間に相対移動がない状態で、前記第2及び第3のリンクプレートを前記第1のリンクプレートと前記第2のリンクプレートとの枢結点を中心に回動させた場合に、これら三つのリンクプレートの枢結点が一直線上に並んだ状態から前記第2のリンクプレートの内側フランクが前記スプロケット歯との接触を終了して、前記第2のリンクプレートと前記スプロケット歯との係合が外れるまでの角度をθ_(1)、前記第3のリンクプレートの内側フランクが前記スプロケット歯と接触し始めるまでの角度をθ_(2)としたとき、前記第2及び第3のリンクプレートのリンク歯の内側フランクの形状を、
θ_(1)-θ_(2)≧0
となるように決定することにより、
前記リンクプレートの前記スプロケット歯との接触時には、前記第2のリンクプレートのスプロケット歯との係合が外れる前に、前記第3のリンクプレートの内側フランクが前記スプロケット歯と接触するようになっている、
ことを特徴とするサイレントチェーン伝動装置。
2.該リンク歯の内側フランクの形状が凸曲面である実用新案登録請求の範囲1に記載のサイレントチェーン伝動装置。
3.該スプロケット歯の歯面を凸状の曲面で形成したことを特徴とする実用新案登録請求の範囲1又は2に記載のサイレントチェーン伝動装置。
4.該スプロケット歯の歯面を平坦面で形成したことを特徴とする実用新案登録請求の範囲1又は2に記載のサイレントチェーン伝動装置。
5.連続する該第1、第2及び第3のリンクプレートがサイレントチェーン中に不規則に配置されている実用新案登録請求の範囲1ないし4のいずれかに記載のサイレントチェーン伝動装置。
【考案の詳細な説明】
(イ)産業上の利用分野
本考案は動力の伝達を静粛に行えるサイレントチェーン伝動装置に関する。
(ロ)従来技術
サイレントチェーン伝動装置は、通常、第6図に示されるように内側フランクc及び外側フランクdによって限定された一対のリンク歯b並びに一対のピン穴eが形成されたリンクプレートaを、第7図に示されるようにそのピン穴内に挿入される連結部材すなわちピンにより複数個横方向及び長手方向に連結して無端のサイレントチェーンを形成し、そのサイレントチェーンを一対の直線の歯面で限定されたスプロケット歯を有するスプロケットと係合させて使用するのが一般的である。このようなサイレントチェーン伝動装置においては、サイレントチェーンがスプロケットに巻き付いて行くとき、まずリンクプレートのリンク歯が第7図のa_(1)で示すようにスプロケット歯の間に入っていき、a_(2)の状態を経たのちa_(3)で示される状態になったときに、一対のリンク歯の外側フランクがスプロケット歯の歯面に係合した状態で安定し動力を伝達する。
ところが、この安定状態になるのはリンクプレートがa_(3)の位置に達したときに瞬間に達成されるので、運動のエネルギの伝達が瞬時に行われ、大きな振動、騒音が周期的に発生する。
このような問題を解決するため、従来特開昭62-159829号公報に示されるように、リンクプレートのリンク歯を限定する内側フランクを凸状に膨らました構造のものが開発された。このような構造によりある程度は騒音、振動を減少できるが必ずしも十分ではない。
本考案者は、サイレントチェーンにおける周期的な騒音、振動について種々の実験を行ってきた結果、かかる騒音、振動がサイレントチェーンがスプロケットに巻き付くときに、最初にスプロケットに対して安定状態になったリンクプレートに続く二つのリンクプレートがスプロケットのそれぞれに対応するスプロケット歯に接触するまでにその安定状態になったリンクプレートに関するその二つのリンクプレートの回転角に関係することを見出した。
(ハ)考案が解決しようとする問題点
本考案が解決しようとする問題は、サイレントチェーンのリンクプレートの形状或はスプロケットのスプロケット歯の形状を、上記の新たに見出した関係になるようにすることにより、サイレントチェーン伝動装置の騒音、振動を従来よりも更に減少することである。
(ニ)問題点を解決するための手段
本願の主たる考案は、互いに回動可能に直列に枢結された第1、第2及び第3のリンクプレートを少なくとも一部に有し、該リンクプレートが内側フランク及び外側フランクによて限定された一対のリンク歯を有するサイレントチェーンと、該サイレントチェーンの該リンク歯と噛み合うスプロケット歯を有するスプロケットとを備えたサイレントチェーン伝動装置において、第1のリンクプレートの一対のリンク歯の外側フランクが該スプロケットの対応するスプロケット歯と噛み合って両者間に相対移動がない状態で該第2及び第3のリンクプレートが第1のリンクプレートと第2のリンクプレートとの枢結点を中心に回動させた場合に、該三つのリンクプレートの枢結点が一直線上に並んだ状態から該第2のリンクプレートの内側フランクと該スプロケット歯との接触を終了するまでの角度をθ_(1)、該第3のリンクプレートの内側フランクが該スプロケット歯と接触し始めるまでの角度をθ_(2)としたとき、該第2及び第3のリンクプレートのリンク歯の内側フランクの形状を、
θ_(1)-θ_(2)≧0
となるように決定することにより、前記リンクプレートの前記スプロケット歯との接触時には、前記第2のリンクプレートのスプロケット歯との係合が外れる前に、前記第3のリンクプレートの内側フランクが前記スプロケット歯と接触するようにした点に特徴を有する。
本願の他の考案は、上記主たる考案において、該リンク歯の内側フランクの形状を凸曲面とした点、該スプロケット歯の歯面を凸状の曲面で形成した点、該スプロケット歯の歯面を平坦面で形成した点、或は連続する該第1、第2及び第3のリンクプレートをサイレントチェーン中に不規則に配置した点等に構成上の特徴を有する。
(ホ)作用
上記構成において、サイレントチェーンをスプロケットに掛けてそれらの間で動力を伝達する場合、第1のリンクプレートの一対のリンク歯の外側フランクが対応するスプロケット歯と両者間で相対移動がない状態でかみ合う前に第2のリンクプレートのリンク歯の内側フランクがスプロケット歯の歯面にあたっている。そしてスプロケットの回転に伴い第2のリンクプレートが第1のリンクプレートに関して相対的に回動すると第2のリンクプレートのリンク歯とスプロケット歯との係合が外れて第1のリンクプレートの一対のリンク歯の外側フランクが対応するスプロケット歯と両者間で相対移動がない状態でかみ合う一方第3のリンクプレートは第2のリンクプレートのリンク歯との係合が外れる以前にその内側フランクがスプロケット歯に接触している。このためサイレントチェーンとスプロケットとの間の動力の伝達が分散され、騒音、振動の大きさが減少される。
(へ)実施例
以下、図面を参照して本考案の実施例について説明する。
第1図において、本実施例のサイレントチェーン伝動装置1の一部が示されている。同図において、2は連結ピン8により互いに回動可能に枢結された第1、第2及び第3のリンクプレート3(3_(a)、3_(b)及び3_(c))を有するサイレントチェーン、10はそのサイレントチェーン2が掛けられたスプロケットである。各リンクプレート3は外側フランク5と内側フランク6とによって限定された一対のリンク歯4と連結ピンを受けるピン穴7とが形成されている。連結ピン8は互いに背中合わせにされた二つの部分で構成され、この連結ピンの構造は公知のものである。
上記リンクプレート3は連結ピン8により従来のサイレントチェーンと同様に横方向に多数枚重ねられるとともに長手方向に連続して接続され無端のサイレントチェーンに作られている。上記第1ないし第3のリンクプレート3_(a)ないし3_(c)はサイレントチェーン全体に亙って交互に連結してもよいが、全長の一部分に配置してもよい。
サイレントチェーン2のリンク歯4と噛み合うスプロケット10は、一対の歯面12により限定される複数のスプロケット歯11を有している。このスプロケット歯11の歯面はこの実施例では、例えばインボリュート曲線のような曲面にされている。なお、このスプロケット歯の歯面12は従来のスプロケットの歯面と同様に平坦面にしてもよい。
第1図及び第2図において、本考案においては連続する第1ないし第3のリンクプレートの内第2のリンクプレート3_(b)と第3のリンクプレート3_(c)の内側フランク6の形状に特徴がある。すなわち、第2のリンクプレート3_(b)及び第3のリンクプレート3_(c)の内側フランク6(図において右側にフランク)は、第1のリンクプレート3_(a)の一対のリンク歯4の両外側フランク5が対応するスプロケット歯11と噛み合って両者間に相対移動がない状態(以下、安定状態と呼ぶ)で該第2及び第3のリンクプレート3_(b)、3_(c)が第1のリンクプレートと第2のリンクプレートとの枢結点すなわち連結ピン8の中心Oを中心にに回動させた場合に、該三つのリンクプレートの枢結点が一直線上に並んだ状態から第2のリンクプレートの内側フランクとスプロケット歯との接触が終了して、第2のリンクプレートとスプロケット歯との係合が外れるまでの角度(すなわち、第1図において第1リンクプレート3_(a)の巻付終了ピッチ線X-Xと第2リンクプレート3_(b)の接触終了ピッチ線とのなす角度)をθ_(1)、第3のリンクプレートの内側フランクがスプロケット歯と接触し始めるまでの角度(すなわち、第2図において第1リンクプレート3_(a)の巻付終了ピッチ線X-Xと第3リンクプレート3_(c)の接触開始ピッチ線とのなす角度)をθ_(2)としたとき、第2及び第3のリンクプレートのリンク歯の内側フランクの形状が、
θ_(1)-θ_(2)≧0
となるように決定されており、
リンクプレートのスプロケット歯との接触時には、第2のリンクプレートのスプロケット歯との係合が外れる前に、第3のリンクプレートの内側フランクがスプロケット歯と接触するようになっている。
上記式を満たす内側フランク6の形状を更に具体的に表せば、曲率半径Rの一つの円弧によりファンクの中央を凸状に膨らませることによってつくられる。
なお、上記のようにフランクの中央を凸状に膨らませる方法としては、一つの円弧でなく互いに連結する複数の曲線を組み合わせて構成したもの或いは直線とその直線に連続する曲線とで構成したものでもよい。
上記のように本考案のサイレントチェーン伝動装置では特に第2及び第3のリンクプレートのフランクの形状に特徴があるから第1のリンクプレートとしてはどのような形状のリンクプレートを使用してもよいことになる。
そして第2及び第3のリンクプレートは必ず互いに隣接して回動可能に配置されていることが必要であるが、第2および第3のリンクプレートをサイレントチェーンの全長に亙って交互に配置してもよく、或いはそれらをサイレントチェーン全長の一部に他の形状のリンクプレートと組み合わせてランダム(例えば、第2及び第3のリンクプレート3_(b)及び3_(c)のつながりを一回又は複数回にしたものをランダム)に配置してもよい。
第2及び第3のリンクプレート3_(b)及び3_(c)の内側フランクの凸状の突出量すなわち最大干渉量(第1及び第2のリンクプレートの対応する外側フランクからの突出量)の好ましい値の例は、第1ないし第3のリンクプレートが一直線状に並べたとき、サイレントチェーンのピッチを9.525mm、歯数を30、工具圧力角を30°とした場合、0.34mmである。
上記構成のサイレントチェーン伝動装置1において、スプロケット10が矢印の方向に回転してサイレントチェーン2とスプロケット10との間で動力の伝達が行われるとき、第1、第2及び第3のリンクプレートの順でスプロケットに巻き付くとすると、第3のリンクプレート3_(c)の右側のリンク歯4の内側フランク6がスプロケット歯11の歯面12と接触し、第2のリンクプレート3_(b)の右側のリンク歯の内側フランク6がまずスプロケットの歯面12(第1図)に接触する。スプロケット10が更に回転し続けると第1のリンクプレート3_(a)の左側のピン穴に挿入された連結ピンを中心に図で反時計回り方向に回動する。すると今度は第2のリンクプレート3_(b)の右側のリンク歯の内側フランク6が第1のリンクプレート3_(a)の左側のリンク歯の外側フランク5よりも引っ込む方向に移動し始め、ついにはその外側のフランク5よりも引っ込み、第2のリンクプレートがθ_(1)回転したときその内側フランクがスプロケット歯の歯面12との接触を終了して外側フランクがスプロケット歯の対応する歯面12と接触する。
この第2のリンクプレートの内側フランクとスプロケット歯の歯面との接触が終了する前にすなわち第2、第3のリンクプレートがθ_(2)回転したとき、第3のリンクプレート3_(c)の右側のリンク歯4の内側フランクが対応するスプロケット歯の歯面と接触するため、第2のリンクプレートの内側フランクと第3のリンクプレートの内側フランクとが一時的ではあるが同時に対応するスプロケット歯の歯面に接触することになりサイレントチェーン伝動装置の騒音、振動を和らげることができる。
(ト)効果
本考案によるサイレントチェーン伝動装置では上記従来の装置に比較して騒音、振動を軽減できる。すなわち第3図及び第4図に示される騒音試験の結果からも明らかなように実線(イ)で示す本考案の装置の結果は破線(ロ)で示す従来の結果よりも小さくなっている。
【図面の簡単な説明】
第1図及び第2図は本考案によるサイレントチェーン伝動装置の一部の拡大図、第3図及び第4図は本考案によるサイレントチェーン伝動装置と従来の装置の騒音試験の結果を示す図、第5図は従来のサイレントチェーンのリンクプレートの一例を示す平面図、第6図は従来のサイレントチェーンの一部を示す図、第7図はサイレントチェーンがスプロケットに巻き付くときの状態を説明する図である。
1:サイレントチェーン伝動装置
2:サイレントチェーン、3:リンクプレート
4:リンク歯、 5:外側フランク
6:内側フランク、 8:連結ピン
10:スプロケット、 11:スプロケット歯
12:歯面
訂正の要旨 (1)訂正の要旨
イ.訂正事項a
本件考案の実用新案登録に係る願書に添付した明細書(以下、「実用新案登録明細書」という。)の実用新案登録請求の範囲第1項の記載を、実用新案登録請求の範囲の減縮を目的として、次のように訂正する。
「1.互いに回動可能に直列に枢結された第1、第2及び第3のリンクプレートを少なくとも一部に有し、これらのリンクプレートが内側フランク及び外側フランクによって限定された一対のリンク歯を有するサイレントチェーンと、前記サイレントチェーンの前記リンク歯と噛み合うスプロケット歯を有するスプロケットとを備えたサイレントチェーン伝動装置において、
前記第1のリンクプレートの一対のリンク歯の両外側フランクが前記スプロケットの対応するスプロケット歯と噛み合って両者間に相対移動がない状態で、前記第2及び第3のリンクプレートを前記第1のリンクプレートと前記第2のリンクプレートとの枢結点を中心に回動させた場合に、これら三つのリンクプレートの枢結点が一直線上に並んだ状態から前記第2のリンクプレートの内側フランクが前記スプロケット歯との接触を終了して、前記第2のリンクプレートと前記スプロケット歯との係合が外れるまでの角度をθ_(1)、前記第3のリンクプレートの内側フランクが前記スプロケット歯と接触し始めるまでの角度をθ_(2)としたとき、前記第2及び第3のリンクプレートのリンク歯の内側フランクの形状を、
θ_(1)-θ_(2)≧0
となるように決定することにより、
前記リンクプレートの前記スプロケット歯との接触時には、前記第2のリンクプレートのスプロケット歯との係合が外れる前に、前記第3のリンクプレートの内側フランクが前記スプロケット歯と接触するようになっている、ことを特徴とするサイレントチェーン伝動装置。」
ロ.訂正事項b
実用新案登録明細書の実用新案登録請求の範囲の請求項2ないし5及び考案の詳細な説明の欄における「サイレントチエーン」との記載の全てを、誤記の訂正を目的として、「サイレントチェーン」と訂正する。
ハ.訂正事項c
実用新案登録明細書の第9頁第20行目における「接触が終了するまでの角度」(公告公報第3頁第5欄第35?36行参照)との記載を、明りょうでない記載の釈明を目的として、「接触を終了して、前記第2のリンクプレートと前記スプロケット歯との係合が外れるまでの角度」と訂正する。
ニ.訂正事項d
実用新案登録明細書の第10頁第12行目における「決定される」(公告公報第3頁第5欄第46行目参照)との記載を、明りょうでない記載の釈明を目的として、「決定されており、前記リンクプレートの前記スプロケット歯との接触時には、前記第2のリンクプレートのスプロケット歯との係合が外れる前に、前記第3のリンクプレートの内側フランクが前記スプロケット歯と接触するようになっている」と訂正する。
ホ.訂正事項e
実用新案登録明細書の第12頁第10行目における「外側フランク5」(公告公報第3頁第6欄第28行目)との記載を、誤記の訂正を目的として、「内側フランク6」と訂正する。
審理終結日 2001-03-13 
結審通知日 2001-03-23 
審決日 2001-04-03 
出願番号 実願昭63-15562 
審決分類 U 1 122・ 121- YA (F16H)
最終処分 不成立  
特許庁審判長 舟木 進
特許庁審判官 佐藤 洋
和田 雄二
登録日 1994-12-16 
登録番号 実用新案登録第2043909号(U2043909) 
考案の名称 サイレントチェ?ン伝動装置  
代理人 河合 厚夫  
代理人 樋口 和博  
代理人 高崎 健一  
代理人 高崎 健一  
代理人 津野 孝  
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