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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A61B
管理番号 1043352
審判番号 不服2000-1108  
総通号数 21 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案審決公報 
発行日 2001-09-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2000-01-31 
確定日 2001-07-19 
事件の表示 平成 7年実用新案登録願第600006号「電極コネクタ」拒絶査定に対する審判事件[平成 6年 6月23日国際公開、WO94/13201、平成 8年 8月 6日国内公表、実表平 8-500004、請求項の数(24)]について、次のとおり審決する。   
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1.本願考案
本願は、平成5年(1993年)12月9日(パリ条約による優先権主張、1992年12月15日、米国)を国際出願日とする出願である。
本願の請求項1ないし24に係る考案は、特許協力条約第34条の規定に基づく補正(国際予備審査報告書に添付の補正頁、およびその平成7年6月14日付け補正書の翻訳文提出書により提出された翻訳文参照)により補正された明細書並びに請求の範囲および図面の記載から見て、その請求の範囲の請求項1ないし24に記載されたとおりのものと認められるところ、その請求項1に記載された考案(以下、「本願考案」という。)は、次のとおりである。
「1. 導電性接触タブを有する生体医用電極用コネクタであって、
タブ係合面を有する固定ジョーと、
タブ係合面と手で触れる操作面とを有する可動ジョーと、
上記固定ジョーと上記可動ジョーとが間隔をあけており、上記生体医用電極のタブが上記ジョーの間に収容されるタブ受け位置と、上記固定ジョーと上記可動ジョーの間隔が上記タブ受け位置の間隔より小さい閉じ位置との間を、上記可動ジョーが、上記固定ジョーに対して、揺動運動できるように取り付ける揺動取付手段と、
上記可動ジョーを上記閉じ位置に付勢する付勢手段とを備えるコネクタであって、
上記固定ジョーと上記可動ジョーのうち一方は、上記タブ係合面を有する歯部分を備え、他方の上記固定ジョーあるいは上記可動ジョーは、滑らかなタブ係合面を有する、コネクタ。」

2.拒絶理由の概要
これに対して、原査定の拒絶理由の概要は、次のとおりである。
本願考案は、本願出願前に頒布された下記の刊行物に記載された考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものである。
刊行物1:米国特許第4,797,125号明細書
(特許日1989年1月10日)
刊行物2:実願昭62-134967号明細書マイクロフィルム
(平成1年(1989年)3月9日公開;実開平1-39706号)

3.引用刊行物の記載事項
(1)刊行物1の記載事項
刊行物1には、下記の事項が記載されている。
(1a)電極用の医療機器用コネクタ(請求項1、第1図?第3図)
患者につけて適用するフレキシブルな電極4用の医療機器用コネクタ2であって、
平坦な支持表面に入り込んだ穴22を持つ、平坦な支持表面18を有する、第一ベース部品8、
第一部品に付いて、第一部品と相対的に移動可能な、第二部品10、この第二部品10は、前記穴22に入り込むことにより適合する配置の先のとがった部品32を有し、そして、
穴22および先のとがった部品32のいずれかの面上に前記電極4と電気的接続を提供する手段20があり、先のとがった部品32が前記電極4の一方の面上に位置し、前記穴22が他方の面上に位置するとき、前記先のとがった部品32は前記電極4を変形し、穴22内に位置させ、ポジティブなロック状態の接触がなされる、コネクタが記載されている。
(1b) 取付手段(第2図軸26)
第2図には、「軸26」が「第一部品8」と「第二部品10」とを揺動運動できるように取り付けることが図示されている。
(1c) 付勢手段
第2図及び第3図には、「第二部品10」を閉じ位置に付勢する、「らせんバネ28」が図示されている。
(1d) 下部ベース部品8(2欄52行?60行)
「 下部ベース部品8は、一端に載置ポスト14と他端にガイドポスト16を含む中央指示プラットフォーム12を有している。載置ポスト14に隣接した平坦な表面の接続部分18は、穴又は収容体22の周りに環状電極板20を支持することができる。この電極板20は、第3図に示されるように、フレキシブル基質電極4の露出部分24と電気的な接続を可能にする。」
(1e) 電極4の固定(3欄32行?44行)
「 第3図に見られるように、フレキシブル電極の接続部分24は、可動部品10上の先のとがった部品32により物理的に変形され、そして、電極板20方向にばかりでなく、穴22方向にも力が加えられる。先のとがった部品32は、フレキシブル基板電極24の一部を実際に貫通、あるいは少なくとも弾性的に変形し、永久な固定を可能にする。この固定は、らせんバネ28の押圧又は基板電極4の破裂によってのみ解放することができる。このように本発明のコネクタ2は、電極4が患者皮膚の表面に固定することができるのと同じ程度に、フレキシブル基板電極4に取り付けることができる。」

(2)刊行物2の記載事項
刊行物2には、下記の事項が記載されている。
(2a) 電極用クリップ(実用新案登録請求の範囲、第1図?第3図)
「 先端が解放され基端が一体に形成された上あご(1)と下顎(4)とからなる電極(8)用クリップであって、前記上あご(1)の内側には凸状の複数の歯(3)を設け、前記下顎(4)の内側には平板状の導電体(6)を設け、前記上あご(1)の内側中央付近にはホック(2)を設け、前記下顎(4)の中央付近には前記上あごのホックを嵌合係止可能なホック孔(5)を設けたことを特徴とする、電極(8)用クリップ。」
(2b) 従来技術(1頁?2頁)
「(従来の技術)
従来、一般に電極を,挟持して電気機器や電源などを接続するために、ひろく用いられているわに口クリップは、金属製の上下のあご状の挟持部材の内側にそれぞれ凸状の多数の歯を形成し、ばねの弾力によって上下のあごを互いに押圧することによってその上下の歯の先端で電気機器などを噛むような形で挟持して電気接続をしていた。
(考案が解決しようとする問題点)
ところが最近、生体の皮膚面に取り付けて微弱な生体電気を導出する各種の生体用誘導電極のなかで、皮膚面になじみやすいフレキシブルなものが案出、提供されている。
これはフレキシブルな布を基材としてその片面に細い導電性の金属箔を接着してなる電極で、その周縁または中央付近に舌片状に同一部材を突出させて、面接触が可能な電極端子を形成したもので、電極全体が軽くて皮膚面に取り付けやすく、その柔軟な感触が肌に合い、幼児などの皮膚面に使用しても安全性が高いことや、廉価なために一回毎に使い捨てが可能なことから、衛生面においても好ましいなどの理由で多く用いられているものである。」
(2c) 従来技術の問題点(3頁)
「 しかし、このような面接触が可能な電極の端子に接続される従来のわに口グリップは、挟持部が凸状の歯を有するものであるため、たとえ電極端子側が平面状であっても、いわゆる点接触しかできず、接触面積が小さいため電気抵抗が大きく、接続損失が多いという欠点があって、生体用誘導電極で導出した微弱電流を心電計などに十分に伝達することが出来ないという問題があった。
また、前記わに口クリップは、接触面積の少ない点接触形のため、この接触部分のわずかな動きや、ずれがあっても、大きな電気抵抗を有する部分の変化は、変化量も大きくなるわけで、これが電気的ノイズとなるため、生体用誘導電極で心臓などから発生する微弱電流を導出しても、心電計まで伝達する途中の接続箇所で、前記電気的ノイズを検出信号に重畳混入するので、微弱電流による検出信号SとノイズNとの比、すなわちS/N比を悪化させ、検出した信号波形が歪み、正確な心電図を得ることを困難にし、診断に支障を来すなどの問題があった。」
(2d) 考案の目的(4頁)
「 本考案は、このような電気接続器具としての従来のわに口グリップが、点接触による挟持部を有する構造のため接触抵抗による接続損失が大きく、また接触部分が電気的に不安定であるため電気的ノイズが発生して、生体電気などの微弱電流よりなる検出信号を効率的に、かつ、忠実正確に心電計などに接続伝達することが妨げられ、正確な測定に基づく精度の高い診断に支障を来すなどの問題点を解決することを目的とする。」
(2e) 作用(5頁、第4図)
「(作用)
上記構成において、本考案の下顎の内側の平板状の導電体は、フレキシブルな電極端子などを挟持した場合、その電極端子と本考案の前記平板状の導電体とは接触部分がよくなじみ、電気抵抗の少ない面接触を行うので電流をとおしやすい。
また、本構成の上あごの内側の凸状の複数の歯は、フレキシブルな電極端子に食い込むように押圧して確実に電極端子を挟持し、安定接続状態を保持する。
さらに、電極端子を挟持して上あごと下顎とを外側から手で押圧して閉じると、上あごのホックは下顎のホック孔に嵌合係止し、その電極端子を挟持した状態を確実に保持する。」

4.本願考案と刊行物1に記載の考案との対比
4.1 対比
刊行物1の「患者につけて適用するフレキシブルな電極4」の「露出部分24」は「導電性接触タブ」であるから、刊行物1の「コネクタ2」は、「導電性接触タブを有する生体医用電極用コネクタ」に相当する。
刊行物1の「第一部品(下部ベース部品)8」は、「タブ係合面を有する固定ジョー」に相当する。
刊行物1の「第二部品(可動部品)10」は、「タブ係合面と手で触れる操作面とを有する可動ジョー」に相当する。
刊行物1の「軸26」は、「固定ジョーと可動ジョーとが間隔をあけており、生体医用電極のタブが上記ジョーの間に収容されるタブ受け位置と、固定ジョーと可動ジョーの間隔がタブ受け位置の間隔より小さい閉じ位置との間を、可動ジョーが、固定ジョーに対して、揺動運動できるように取り付ける揺動取付手段」に相当する。
刊行物1の「らせんバネ28」は、「上記可動ジョーを上記閉じ位置に付勢する付勢手段」に相当する。
刊行物1の「第二部品(可動部品)10」は、「先のとがった部品32」を有するから、「タブ係合面を有する歯部分」を備えている「可動ジョー」に相当する。
刊行物1の「第一部品(下部ベース部品)」は、「平坦な支持表面18」を有しているが、この表面には、穴22が設けられている。
本願明細書において、「滑らかな」面とは、「電気接触タブをコネクタのジョーの間に挿入する間に、タブを変形させたり、屈曲させたり、ゆがませたりするような他の凹凸面がないことを意味する」と定義されている(本件公表公報14頁?15頁参照)。
刊行物1の「第二部品10」の「先のとがった部品32」は、「固定ジョー」に相当する「第一部品8」の「平坦な支持表面18」の「穴22」に入り込むことにより、「フレキシブル基板電極の部分24を実際に貫通、あるいは少なくとも弾性的に変形」するものであり、刊行物1の「第二部品10」は電極板20方向及び穴22方向に力を加えるものである。
そうすると、刊行物1の「第一部品8」の「平坦な支持表面18」の「電極板20」は、係合面ということができるが、「穴20」があるので、本願明細書にいうところの「滑らかな」面ということができない。

4.2 一致点、相違点
そうすると、本願考案と刊行物1に記載の考案とは、それらの考案の構成が次の点で一致するが、
<一致点>
「 導電性接触タブを有する生体医用電極用コネクタであって、
タブ係合面を有する固定ジョーと、
タブ係合面と手で触れる操作面とを有する可動ジョーと、
上記固定ジョーと上記可動ジョーとが間隔をあけており、上記生体医用電極のタブが上記ジョーの間に収容されるタブ受け位置と、上記固定ジョーと上記可動ジョーの間隔が上記タブ受け位置の間隔より小さい閉じ位置との間を、上記可動ジョーが、上記固定ジョーに対して、揺動運動できるように取り付ける揺動取付手段と、
上記可動ジョーを上記閉じ位置に付勢する付勢手段とを備えるコネクタ」
である点。

両者は、次の点で相違する。
<相違点>
本願考案が、二つのジョーのうち、一方は「タブ係合面を有する歯部分」を備え、他方のジョーは、「滑らかなタブ係合面」を有するのに対し、刊行物1に記載の考案は、一方のジョー(第二部品10)は「タブ係合面を有する歯部分」を備えており、そして、他方のジョー(第一部品8)の「タブ係合面」は、「平坦な支持表面18」の「環状電極板20」を有してはいるものの、この「平坦な支持表面18」の「環状電極板20」は、「穴22」を有しているものである点。

5.相違点についての検討
そこで、この相違点について検討する。
本願明細書には、従来技術の「アリゲーター」電極コネクタとして、刊行物1のコネクタなどを引用して、それらのコネクタには、そのジョーに、孔、凹部、溝、スロット、スリット、あるいは、電極のタブが歪んでしまうような設計の他の不連続な表面を備えるものがあり、このようなタブの歪みによって、タブを把持する力は高まるが、生体医用電極の導電性接触タブの導電性面は、表面損傷や、絶縁体の破壊や、あるいは他の損傷を受けることになる、と記載されている(本願公表公報7頁参照)。この記載事項によれば、本願考案は、刊行物1などに記載のコネクタを使用したときに生じる「タブの歪み」を生成しないようにすることを目的として前記相違点の構成を採用しているものと認められる。
一方、刊行物2には、「上あご(1)と下顎(4)とからなる電極(8)用クリップ」において、「上あご(1)」の内側には「凸状の複数の歯(3)」を設け、「下顎(4)」の内側には「平板状の導電体(6)」を設けることが記載されている(前記(2a)参照)。そしてこの構成の「上あご(1)」の内側の「凸状の複数の歯(3)」は、フレキシブルな「電極端子(9)」に食い込むように押圧して確実に「電極端子(9)」を挟持し、安定な接続状態を保持することも記載されている(前記(2e)参照)。
上記記載によれば、刊行物2には、二つのジョーを有する電極コネクタにおいて、一方のジョー(上あご(1))は、「タブ係合面を有する歯部分(凸状の複数の歯(3))」を備え、他方のジョー(下顎(4))は、「滑らかなタブ係合面(平板状の導電体(6))」を有する、という構成が記載されており、これら二つのジョーにより電極を押圧して確実に挟持することも記載されている。
二つのジョーによる刊行物2の係合機構により、刊行物1などに記載の、タブ係合面を有する歯部分を電極タブと共に受け入れる孔や凹部等を有するコネクタを使用したときに生じる「タブの歪み」が、生じることがないことは明らかである。
そうすると、そのような孔や凹部等を有し「滑らか」ではない固定ジョーを有する刊行物1に記載されたコネクターに、刊行物2に記載された滑らかな係合面とタブ係合面を有する歯部分とで電極タブを挟持固定するという手段を適用してみるようなことは、当業者がきわめて容易になし得る設計変更である。

6. なお、本願明細書の表1には、本願の図2?6に示すタイプのある種のコネクタAが、作動力が3.3ポンド、タブ解放力が3.9ポンドと、その他のクリップから構成されるコネクタB?Gに比較して、作動力が小さく、タブ解放力が大きいことが示されている(本願公表公報17?20頁参照)が、このクリップAは、図示された「可動ジョー(21)」の「歯部分(30)」に「垂直な背部リッジ面(31)」等を有する場合の態様の考案であり、ばね23の軸とピン19の軸の配置関係、ピン19の軸と歯33との間の距離や歯のタブ係合面の全表面領域の面積についても特定の数値とした場合の効果であって、このクリップAの奏する効果が、それらの設計条件を考案の構成要件としていない本願考案の効果ということはできない。

また、 請求人は、刊行物2の電極クリップについて次のように主張している。
「 その第4図には、都合よく電極タブ(8)がホックに至らない位置でクランプされた状態が示されているが、電極タブが両ジョー間の奥深くまで挿入されていれば、ホックがホック孔に嵌合するとき電極タブを破壊ないし損傷することは間違いのないところであろう。また、第3図に明らかなように、平板状の導電体(6)は両ジョー間の奥深くまで延在しており、平板状導電体(6)が設けられている位置はタブ係合面に相当する。
したがって、刊行物2に記載された電極用クリップは、導電性接触タブを損傷する構成、すなわちホック(2)とホック孔(5)とを有している。」
しかしながら、この主張は、次に述べる点で妥当ではない。
刊行物2の電極用クリップのホック(2)とホック孔(5)は、上あご(1)と下顎(4)とを嵌合係止する手段であり、「電極タブ(8)」を係合する手段ではない。タブ係合面は、使用状態を示す第4図に記載されているように、ホック孔(5)に至らない位置までの部分である。したがって、通常の使用態様では、刊行物2の電極用クリップにおいて、電極タブ(8)がホックに至らない位置でクランプされ、電極タブ(8)が両ジョー間の奥深くまで挿入されることはないので、ホック(2)とホック孔(5)は、「電極タブ(8)」を破壊ないし損傷することはない。

7.むすび
したがって、本願の請求項1に係る考案は、刊行物1および2に記載された考案に基づいて、当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるから、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2001-02-14 
結審通知日 2001-02-20 
審決日 2001-03-07 
出願番号 実願平7-600006 
審決分類 U 1 8・ 121- Z (A61B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 山本 春樹北川 清伸  
特許庁審判長 後藤 千恵子
特許庁審判官 志村 博
伊坪 公一
考案の名称 電極コネクタ  
代理人 伊藤 晃  
代理人 青山 葆  
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