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審決分類 審判 全部申し立て   B27D
管理番号 1043369
異議申立番号 異議2000-72779  
総通号数 21 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案決定公報 
発行日 2001-09-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2000-07-10 
確定日 2001-05-21 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 登録第2602263号「化粧板」の請求項1ないし3に係る実用新案登録に対する実用新案登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。   
結論 訂正を認める。 登録第2602263号の請求項1ないし3に係る実用新案登録を維持する。
理由 1.手続きの経緯
実用新案登録第2602263号の請求項1ないし請求項3に係る考案についての出願は、平成3年10月11日に実用新案登録出願した実願平3-91559号(以下、「原出願」という。)の一部を平成7年2月20日に新たな実用新案登録出願とし、平成11年10月29日にその考案について実用新案権の設定登録がなされ、その後、段谷産業株式会社より実用新案登録異議の申立てがなされ、取消しの理由が通知され、その指定期間内である平成13年1月15日に訂正請求がなされたものである。
2.訂正の適否についての判断
(1)訂正の内容
ア.訂正事項a
実用新案登録明細書の段落番号【0012】を「以上のようにして本考案の化粧板が得られる。さらに、着色塗装した後に、透明または着色透明上塗り塗装を施すことができる。」と訂正する。
イ.訂正事項b
実用新案登録明細書の段落番号【0014】を「本考案によれば、表面導管溝凹所および天然木目を有する木質板の表面に、表面導管溝凹所と異なる疑似導管溝凹所が、木質板の天然木目と異なる木目模様を表現するように刻設形成され、且つ、これら表面導管溝凹所および疑似導管溝凹所の双方に着色塗装が施されるため、得られた化粧板においては、木質板の表面導管溝凹所を残存させて天然木質感を失うことなく、新たな天然木質感を表現することができる。」と訂正する。
(2)訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否
上記訂正事項a、bは、明りょうでない記載の釈明を目的とした明細書の訂正に該当し、新規事項の追加に該当せず、実質的に実用新案登録請求の範囲を拡張し、変更するものではない。
したがって、上記訂正は、特許法第120条の4第3項において準用する平成6年法律第116号による改正前の特許法第126条第1項ただし書き、第2項及び第3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。
3.実用新案登録異議の申立てについての判断
(1)申立ての理由の概要
申立人段谷産業株式会社は、請求項1ないし請求項3に係る考案は、甲第1号証および甲第2号証に記載された考案に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるので、実用新案法第3条第2項の規定により実用新案登録を受けることができないものであるから、実用新案登録を取り消すべき旨主張している。
(2)本件考案
実用新案登録第2602263号の請求項1に係る考案(以下、「本件考案」という。)ないし請求項3に係る考案は、実用新案登録請求の範囲の請求項1ないし請求項3に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
【請求項1】表面導管溝凹所および天然木目を有する木質板の表面に、表面導管溝凹所と異なる疑似導管溝凹所が、木質板の天然木目と異なる木目模様を表現するように刻設形成され、且つ、これら表面導管溝凹所および疑似導管溝凹所の双方に着色塗装が施されることを特徴とする化粧板。
【請求項2】木質板の表面導管溝凹所に対して疑似導管溝凹所が幅広に形成されることを特徴とする請求項1の化粧板。
【請求項3】木質板の表面導管溝凹所および疑似導管溝凹所を埋めることなく木質板の全表面に着色透明上塗り塗料層が形成されることを特徴とする請求項1または2の化粧板。
(3)各甲号証に記載された考案
異議申立人証拠として提示した甲第1号証(特開昭48-58111号公報)には、
「ラワン合板の導管溝凹部を目止してしまうことなく、木目状に分布させてラワン合板表面の導管溝凹部よりも大きな導管溝状の凹部を、該ラワン合板の導管溝の走行方向(繊維方向)と同方向になるように多数かつ密にエンボス加工により形成し、・・・ラワン合板の導管溝凹部とエンボス加工凹部との内面に着色塗膜を形成させる・・・広葉樹化粧合板の製造方法。」(特許請求の範囲)と記載され、「ラワン合板1の導管溝を目止めしてしまうことなく、木目状に分布させてラワン合板表面の導管溝凹部2よりも大きな導管溝状の凹部3を、・・・エンボス加工によって形成することを要する。」(公報第2頁右上欄12行?同欄18行)と記載されており、甲第2号証(実願昭48-136567号(実開昭50-78781号)のマイクロフィルム)には、「合板1上に求める広葉樹の材色と同じ色感をもったスライス化粧単板2を貼合わせ、この上に表面平滑な半透膜目止塗膜3を形成し、この上に求める導管模様を凹所4として形成し、・・・化粧単板プリント合板。」(実用新案登録請求の範囲)と記載されている。
(4)対比・判断
本件考案と甲第1号証および甲第2号証に記載の考案とを対比すると、甲第1号証および甲第2号証に記載の考案は、本件考案を特定する事項である「表面導管溝凹所および天然木目を有する木質板の表面に、表面導管溝凹所と異なる疑似導管溝凹所が、木質板の天然木目と異なる木目模様を表現するように刻設形成され 、」を備えておらず、当該事項により本件考案は、訂正請求に係る訂正明細書に記載されたとおりの段落番号【0014】に記載されたとおりの 「得られた化粧板においては、木質板の表面導管溝凹所を残存させて天然木質感を失うことなく、新たな天然木質感を表現することができる。」という顕著な効果を奏するものであり、本件考案は、甲第1号証および甲第2号証に記載の考案から当業者がきわめて容易に考案をすることができたものとはいえない。
なお、請求項2および請求項3に係る考案は、請求項1を技術的に限定した考案であるから、上記と同様の理由により、請求項2および請求項3に係る考案は、甲第1号証および甲第2号証に記載の考案から当業者がきわめて容易に考案をすることができたものとはいえない。
(5)むすび
以上のとおりであるから、実用新案登録異議申立ての理由及び証拠によっては、本件請求項1ないし請求項3に係る考案の実用新案登録を取り消すことはできない。
また、他に本件請求項1ないし請求項3に係る考案の実用新案登録を取り消すべき理由を発見しない。
したがって、本件請求項1ないし請求項3に係る考案についての実用新案登録は拒絶の査定をしなけらばならない実用新案登録出願に対してされたものとは認めない。
よって、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第9条第7項の規定に基づく、特許法等の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置を定める政令(平成7年政令第205号)第3条第2項の規定により、結論のとおり決定する。
発明の名称 (54)【考案の名称】
化粧板
(57)【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】表面導管溝凹所および天然木目を有する木質板の表面に、表面導管溝凹所と異なる疑似導管溝凹所が、木質板の天然木目と異なる木目模様を表現するように刻設形成され、且つ、これら表面導管溝凹所および疑似導管溝凹所の双方に着色塗装が施されることを特徴とする化粧板。
【請求項2】木質板の表面導管溝凹所に対して疑似導管溝凹所が幅広に形成されることを特徴とする請求項1の化粧板。
【請求項3】木質板の表面導管溝凹所および疑似導管溝凹所を埋めることなく木質板の全表面に着色透明上塗り塗料層が形成されることを特徴とする請求項1または2の化粧板。
【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本考案は化粧板に関し、特に、低級木質板を用いながらも高級感を現出することのできる化粧板に関する。
【0002】
【従来の技術】実公昭46-954号公報に、合板の木目模様を塗りつぶさないように透明塗料による透明塗膜を形成し、該透明塗膜に印刷または転写による高級材木目模様を重ねて表し、さらにこの上面に被膜を設けて成る化粧合板が提案されている。この化粧合板は、合板木目模様を強調することによって高級感を表現しようとするものであった。
【0003】
【考案が解決しようとする課題】ところが上記従来技術によるときは、基材としての合板が低級合板である場合には高級感を表現することはできず、また、木質材本来の凹凸感がなくなって平滑で単調なものとなる等の欠点があった。
【0004】
【課題を解決するための手段】本考案は上記従来技術における欠点に鑑みて、低級木質板を用いながらもその表面に疑似導管溝凹所を刻設形成することによって高級木質板としての利用を可能にする化粧板を提供することを目的とする。
【0005】すなわち、本考案による化粧板は、表面導管溝凹所および天然木目を有する木質板の表面に、表面導管溝凹所と異なる疑似導管溝凹所が、木質板の天然木目と異なる木目模様を表現するように刻設形成され、且つ、これら表面導管溝凹所および疑似導管溝凹所の双方に着色塗装が施されることを特徴とする。
【0006】本考案の化粧板において用いられる木質板としては、任意厚のラミン、ハンノキ、カバ、アンソニア、バルサ、アスペン、ヤナギ、シナノキ、モミ、アガチス、シーダー、スプルース、ヘムロック、ニヤトー、ベルポック等が例示されるが、これらに限定されるものではない。木質板は低比重のものが好ましく、特に比重0.6以下のものが良い。
【0007】この木質板の表面に必要に応じてシーラー塗装処理を施した後、表面導管溝凹所と異なる疑似導管溝凹所を刻設形成するが、シーラー塗装処理の際、木質板表面の導管溝凹所を埋めることのないように留意する。シーラー塗装処理は、疑似導管溝凹所の形成による木質板表面の毛羽立ちを抑制し、表面性低下を防止する効果がある。
【0008】木質板の表面は、必要に応じて、あらかじめ漂白又は脱色処理し、あるいは任意着色塗装処理を施して、木質板自体の表面素地調整を行っても良い。
【0009】疑似導管溝凹所の刻設は、形成すべき疑似導管溝凹所に対応する凸部を表面に多数有するエンボスプレートやエンボスロール等を木質板の表面に当接し押圧することによって行われるが、木質板自体の表面導管溝凹所に比して幅広にあるいは深く形成することが好ましい。このように疑似導管溝凹所を形成することにより、陰影をはっきり現すことができ、疑似導管溝凹所を強調的に表現することができる。このようにして、木質板の表面導管溝凹所を残存させて天然木質感を失わせずに、該表面導管溝凹所とは異なる疑似導管溝凹所が強調されることで、新たな天然木質感が表現される。
【0010】また、疑似導管溝凹所を柾目様、板目様の木目模様に刻設形成し、しかも表面導管溝凹所に比して幅広にあるいは深く形成して強調することによって、疑似木目模様が形成され、この場合にも新たな天然木質感を表現することができる。
【0011】このようにして木質板の平板状表面、木口面、任意華飾曲面部等の任意部位において、疑似導管溝凹所を刻設形成し、さらに、これら導管溝凹所および疑似導管溝凹所内に着色ステイン塗料を塗布して着色塗装を施す。表面導管溝凹所および疑似導管溝凹所内に着色塗料が入り込むことから、平坦表面部分よりも色調が濃く形成され、これら凹所が強調される。また、疑似導管溝凹所が幅広にあるいは深く形成されることから、着色塗料による塗装によっても隠蔽されることなく凹所が残り、立体感、木質感に富んだ表面意匠性が表現される。
【0012】以上のようにして本考案の化粧板が得られる。さらに、着色塗装を施した後に、透明または着色透明上塗り塗装を施すことができる。
【0013】
【実施例】本考案による化粧板の一実施例が図1に示されている。この化粧板1には、柾目様の木目5を有する木質板2(図2)に、該木目5とは異なる板目様の疑似木目模様6が形成されている。この疑似木目模様6は、木質板2の表面にエンボス加工によって刻設形成された疑似導管溝凹所3によって表現される。疑似導管溝凹所3は、図3に示されるように、木質板2の本来の表面導管溝凹所4を隠蔽することなく残し、これよりも幅が広く且つ深いものとして形成されている。また、これら表面凹所3,4内にのみ着色塗装7が施され、さらに木質板2の表面全般に亙って透明上塗り塗料塗布による上塗り塗装8が施されている。
【0014】
【考案の効果】本考案によれば、表面導管溝凹所および天然木目を有する木質板の表面に、表面導管溝凹所と異なる疑似導管溝凹所が、木質板の天然木目と異なる木目模様を表現するように刻設形成され、且つ、これら表面導管溝凹所および疑似導管溝凹所の双方に着色塗装が施されるため、得られた化粧板においては、木質板の表面導管溝凹所を残存させて天然木質感を失うことなく、新たな天然木質感を表現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案の一実施例による化粧板を示す斜視図である。
【図2】図1の化粧板に用いた木質板の本来の木目模様を示す斜視図である。
【図3】図1の化粧板の部分断面図である。
【符号の説明】
1 化粧板
2 木質板
3 疑似導管溝凹所
4 表面導管溝凹所
5 本来の木目
6 疑似木目模様
7 着色塗装
8 上塗り塗装
訂正の要旨 (訂正の要旨)
実用新案登録明細書の段落番号【0012】および段落番号【0014】を、明りょうでない記載の釈明を目的として、それぞれ、「以上のようにして本考案の化粧板が得られる。さらに、着色塗装した後に、透明または着色透明上塗り塗装を施すことができる。」および「本考案によれば、表面導管溝凹所および天然木目を有する木質板の表面に、表面導管溝凹所と異なる疑似導管溝凹所が、木質板の天然木目と異なる木目模様を表現するように刻設形成され、且つ、これら表面導管溝凹所および疑似導管溝凹所の双方に着色塗装が施されるため、得られた化粧板においては、木質板の表面導管溝凹所を残存させて天然木質感を失うことなく、新たな天然木質感を表現することができる。」と訂正する。
異議決定日 2001-04-27 
出願番号 実願平7-1829 
審決分類 U 1 651・ 121- YA (B27D)
最終処分 維持  
前審関与審査官 前田 建男長井 啓子  
特許庁審判長 藤井 俊二
特許庁審判官 鈴木 寛治
平瀬 博通
登録日 1999-10-29 
登録番号 実用新案登録第2602263号(U2602263) 
権利者 株式会社ノダ
東京都台東区浅草橋5丁目13番6号
考案の名称 化粧板  
代理人 ▲桑▼原 史生  
代理人 ▲桑▼原 史生  
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