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審決分類 審判 全部申し立て   E04C
管理番号 1043380
異議申立番号 異議1999-71032  
総通号数 21 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案決定公報 
発行日 2001-09-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 1999-03-15 
確定日 2001-08-01 
異議申立件数
事件の表示 登録第2585449号「壁パネル」の請求項1ないし3に係る実用新案登録に対する実用新案登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。   
結論 登録第2585449号の請求項1ないし3に係る実用新案登録を取り消す。
理由 1.本件実用新案登録第2585449号の請求項1ないし3に係る考案は、実用新案登録時の明細書及び図面の記載からみて、実用新案登録請求の範囲の請求項1ないし3に記載されたとおりのものであると認める。
これに対して、平成13年1月11日付けで下記の内容の取消理由を通知し、期間を指定して意見書を提出する機会を与えたが、その指定期間内には実用新案登録権者からは何ら応答はなかった。

「(請求項1ないし3に係る考案に対して)
1.本件考案
本件実用新案登録第2585449号は、平成4年6月25日に出願され、平成10年9月11日に実用新案の設定登録がされ、平成11年3月15日にトステム株式会社より、平成11年5月17日に段谷産業株式会社より、実用新案登録異議の申立がされたもので、その請求項1ないし3に係る考案は、明細書および図面の記載からみて、その実用新案登録請求の範囲の請求項1ないし3に記載された次のものである。
「【請求項1】柱間に敷設され、断熱壁を構成する壁パネルであって、柱間で構造部材をなす板状部材と、敷設されたときに、板状部材の屋内側に位置するように、板状部材に取付けられた発泡合成樹脂からなる板状の断熱材と、前記断熱材の少なくとも下端面に取り付けられた釘打ちを行なうことのできる断熱材の保護部材とを、具備することを特徴とする壁パネル。
【請求項2】上記保護部材が、上記断熱材の上端面、下端面および柱と対向する側端面に取付けられている請求項1に記載の壁パネル。
【請求項3】上記保護部材が、上記断熱材の屋内側側面より屋内側に突出した突出部を備えた請求項1又は請求項2に記載の壁パネル。」
(以下、請求項1ないし3に係る考案を本件考案1ないし3という。)
2.刊行物の記載事項
本件実用新案登録の出願前に頒布されたと認められる刊行物1(両異議申立人の提出した甲第1号証:実願平1-67849号(実開平3-8211号)のマイクロフィルム)には以下の記載が認められる。
(1)実用新案登録請求の範囲には、「1.木造家屋の軸組を構成する軸部材によって形成される各空洞部の方形寸法に合わせて方形状の枠体(3)を形成し、この枠体(3)の一面側に、枠体(3)の方形よりも1回り大きな方形状の構造合板(1)を、その周縁部(2)を張出して固着し、枠体(3)の中に適数本の補強桟(4)を架設すると共に、この補強桟(4)によって分割する枠体(3)内の各区画に断熱材(5)を埋め込んだことを特徴とする断熱パネル。」と記載され、
(2)4頁7行ないし16行には、「構造合板1の一面には、その構造合板の周縁部2を残して方形状の枠体3が釘着しており、この枠体3内には長手方向に沿って適数本の補強桟4が定間隔を保って架設している。前記枠体3の方形形状の大きさは、前記した軸組の空洞部に緊密に嵌まり込むように、当該軸組の空洞部の形状と一致するように形成してある。補強桟4によって分割された枠体3内の各区画には、プラスチック系板状の断熱材5が隙間なく離脱不能に埋め込んである。」と記載され、
(3)5頁3行ないし8行には、「柱7、7や土台8及び梁桁9における外側と、空洞部10の内側面に、それぞれ接する周縁部2及び枠体3の外周面は接着剤や釘などによって柱7、7や土台8及び梁桁9に固着し、前記空洞部10を塞ぐものである。」と記載され、
(4)6頁18行ないし7頁4行には、「例えば、第7図に示すように、枠体3及び補強桟4に切欠段差部24、25をそれぞれ形成し、その切欠段差部24、25に板状の断熱材5の周縁を嵌め込むようにして枠体の各区画内に該断熱材5を埋め込み固着してもよい。」と記載され、
(5)第3図には、構造合板1を、柱7,7、土台8、梁桁9で形成された空間内に、枠体3を建物の屋内側に位置するように取り付けられる図が示されている。
3.本件考案1と刊行物1に記載されたものとの対比及び検討
刊行物1に記載されたものにおいて、方形状の枠体3は、釘打ちされて構造合板1に取り付けられ、この枠体は、軸部材によって形成される各空洞部の方形寸法に合わせた方形状であって、この中にプラスチック系板状の断熱材5が埋め込まれていることから、本件考案1の断熱材の保護部材に相当し、構造合板1と枠体3及び断熱材5とからなる断熱パネル6は、木造家屋の軸組を構成する柱間に敷設されるものであるから、本件考案1の壁パネルに相当するものである。
したがって、本件考案1と刊行物1に記載されたものとは、
「柱間に敷設され、断熱壁を構成する壁パネルであって、柱間で構造部材をなす板状部材と、敷設されたときに、板状部材の屋内側に位置するように、板状部材に取付けられた合成樹脂からなる板状の断熱材と、前記断熱材の少なくとも下端面に取り付けられた釘打ちを行なうことのできる断熱材の保護部材とを、具備することを特徴とする壁パネル。」
において一致し、本件考案1の断熱材が発泡合成樹脂からなるのに対し、刊行物1に記載された断熱材は合成樹脂からなるものの、発泡合成樹脂からなるものかどうか明記されていない点においてのみ相違すると認められる。
しかしながら、本件考案1の出願前において、発泡合成樹脂からなる板状の断熱材は、例を挙げるまでもなく周知であって、刊行物1に記載された合成樹脂からなる板状の断熱材を、発泡合成樹脂からなる板状の断熱材とすることは、当業者にとって単なる周知慣用手段の転換にすぎない。
よって、刊行物1には、本件考案1が記載されているということができ、本件考案1は、実用新案法3条1項3号に該当する。
4.本件考案2と刊行物1に記載されたものとの対比及び検討
刊行物1に記載された枠体(本件考案2の保護部材に相当)は、軸部材によって形成される各空洞部の方形寸法に合わせた方形状であって、この中に断熱材が埋め込まれていることから、本件考案2の構成要件である、「上記保護部材が、上記断熱材の上端面、下端面および柱と対向する側端面に取付けられている」点は、刊行物1に記載されているということができる。
したがって、本件考案2は、実用新案法3条1項3号に該当する。
5.本件考案3と刊行物1に記載されたものとの対比及び検討
刊行物1に記載された枠体は、6頁18行ないし7頁4行に、「例えば、第7図に示すように、枠体3及び補強桟4に切欠段差部24、25をそれぞれ形成し、その段差部24、25に板状の断熱材5の周縁を嵌め込むようにして枠体の各区画内に該断熱材5を埋め込み固着してもよい。」と記載されており、第7図によれば、枠体に形成された切欠段差部24は、断熱材5より屋内側に突出していることから、この突出した部分は本件考案3の「突出部」に相当するものであり、本件考案3の構成要件である、「上記保護部材が、上記断熱材の屋内側側面より屋内側に突出した突出部を備えた」点は、刊行物1に記載されているということができる。
したがって、本件考案3は、実用新案法3条1項3号に該当する。
6.以上のように、本件考案1ないし3は、実用新案法3条1項3号に該当し実用新案登録を受けることができないものであるから、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則9条7項の規定に基づく特許法等の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置を定める政令(平成7年政令第205号)3条2項の規定により取り消されるべきものである。」

2.そして、上記の取消理由における認定、判断は適正なものであるので、本件実用新案登録第2585449号の請求項1ないし3に係る考案の実用新案登録は、この取消理由によって取り消されるべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2001-06-06 
出願番号 実願平4-44213 
審決分類 U 1 651・ 113- Z (E04C)
最終処分 取消    
前審関与審査官 古屋野 浩志  
特許庁審判長 田中 弘満
特許庁審判官 鈴木 憲子
中田 誠
登録日 1998-09-11 
登録番号 実用新案登録第2585449号(U2585449) 
権利者 鐘淵化学工業株式会社
大阪府大阪市北区中之島3丁目2番4号
考案の名称 壁パネル  
代理人 高畑 ちより  
代理人 後藤田 章  
代理人 牧村 浩次  
代理人 鈴木 俊一郎  
代理人 鈴木 亨  

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