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審決分類 審判 全部無効 2項進歩性 無効としない E03C
管理番号 1046996
審判番号 審判1999-35174  
総通号数 23 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案審決公報 
発行日 2001-11-30 
種別 無効の審決 
審判請求日 1999-04-12 
確定日 2000-01-26 
事件の表示 上記当事者間の登録第2034765号実用新案「床下点検口を備えた浴室用防水パン」の登録無効審判事件について、次のとおり審決する。   
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第一 本件考案
本件登録第2034765号実用新案は、昭和62年10月5日に実用新案登録出願され、平成4年2月26日に実公平4-7257号公報として出願公告され、平成6年10月6日に設定登録がなされたものである。その登録実用新案の要旨は、明細書及び図面の記載からみて、その実用新案登録請求の範囲に記載された次のとおりのものと認める。
「洗い場床面と浴槽用据置床面とが起立壁を介して隣接配置され、浴槽用据置床面は跨ぎ込み高さを考慮して洗い場床面よりも低位レベルに設定されている浴室用防水パンにおいて、前記起立壁には洗い場床面の床下空間に対応して開口された床下点検口が設けられていることを特徴とする床下点検口を備えた浴室用防水パン。」
第二 当事者の主張
一 請求人の主張
審判請求書の記載、及び平成11年9月14日に特許庁小審判廷において行われた第1回口頭審理での陳述によれば、請求人は、甲第1?7号証及び参考資料1?5を提出して、本件登録実用新案は、甲第1?7号証に記載された考案に基いて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるから、実用新案法3条2項の規定により実用新案登録を受けることができないものである、と主張している。
すなわち、甲第1?3号証に記載されている浴室用防水パンと、本件考案を対比すると、起立壁に点検口がない点において相違する。しかし、甲第7号証において、点検口を設ける目的が、本件考案のものと同じであること、さらに、甲第4?6号証において、起立壁の延出方向が相違するが、起立壁に点検口を設けることが開示されており、特に、本件考案におけるように、床下点検口を、「洗い場床面の床下空間に対応して開口さ」せるべく起立壁に設けることによる格別の作用効果を見出すことができないことをも考慮すると、上記におけるようなことは、単なる設計変更事項であり、きわめて容易になし得た程度のことである。
よって、本件考案の実用新案登録は、同法37条1項1号の規定により無効とすべきである。
甲第1号証:実公昭49-5092号公報
甲第2号証:実公昭50-32277号公報
甲第3号証:実願昭54-148388号(実開昭56-68063号)のマイクロフィルム
甲第4号証:実公昭44-24688号公報
甲第5号証:実願昭55-158743号(実開昭57-81696号)のマイクロフィルム
甲第6号証:実願昭56-737号(実開昭57-113094号)のマイクロフイルム
甲第7号証:実願昭49-135412号(実開昭51-60665号)のマイクロフィルム
参考資料1:実公昭44-21647号公報
参考資料2:実願昭47-137857号(実開昭49-94453号)のマイクロフィルム
参考資料3:洗い場ユニットと浴槽ユニットが結合した製品(ハーフユニット分割タイプ)と、洗い場パンユニットと浴槽パンユニットが分離して形成され、浴槽用据置床面が洗い場床面よりも低位レベルに配置された製品(防水パン分割タイプ)との各施工工程を対比させて示す写真資料
参考資料4:タカラ住宅設備機器総合カタログ「ホーローステン システムバス《エメロード》」
参考資料5:「タカラホーローステン システムバスSB(1616 1216)分割形施工説明書」
二 被請求人の主張
被請求人は、「本件審判請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求め、答弁書の記載、及び同口頭審理での陳述によれば、以下のとおり、反論している。
甲第1?3号証に、請求人主張の浴室用防水パンが記載されている点は認める。甲第4?6号証に記載の考案には、洗い場床面から立ち下がった壁は記載されてなく、本件考案とは基本思想が異り、甲第1?3号証に記載の考案に組み合わせることはできない。甲第7号証に記載の考案には跨ぎ込み高さを低くするための起立壁は存在しない。さらに、その点検口の目的は、広くとらえられており、本件考案とは同じではない。甲第7号証記載の考案を、甲第1?3号証記載の考案に適用することはできない。
結局、本件登録実用新案は、甲第1?7号証に記載された考案に基いてきわめて容易になし得た考案ではないので、実用新案法3条2項の規定に該当するものではない。
第三 当審の判断
一 甲各号証の記載事項
1 甲第1号証(実公昭49-5092号公報)
甲第1号証には、
(1)「本考案は洗い場と浴槽載置部を一体に形成した洗い場付浴槽載置台に関するものである。」(同公報1欄18,19行)
(2)「台板の一半部が洗い場にして他の一半部が浴槽載置部となされ、浴槽載置部の上面は洗い場の上面よりも低くなされ、洗い場と浴槽載置部の境界部に仕切用隆起部が突設され」(同1欄26?30行)
(3)「台板Aの一半部を浴槽載置部1となし、他の一半部を洗い場2となしてあり、浴槽載置部1と洗い場2との間の境界部には仕切用隆起部3が双方の側壁A1の間に亙って突設されている。浴槽載置部1の上面は洗い場2の上面より低くなされている。」(同2欄5?10行)
(4)「また浴槽載置部の上面は洗い場の上面よりも低くなされているので、浴槽載置部に浴槽を設置して浴場として使用する場合、浴槽からの出入りが容易であり」(同3欄3?6行)
(5)「台板の一半部が洗い場にして他の一半部が浴槽載置部となされ、浴槽載置部の上面は洗い場の上面よりも低くなされ、洗い場と浴槽載置部の境界部に仕切用隆起部が突設され」(実用新案登録請求の範囲)
(6)第1図
の記載があり、これら記載からみて、
「洗い場と浴槽載置部とが仕切用隆起部を介して隣接配置され、浴槽載置部は跨ぎ込み高さを考慮して洗い場よりも低位レベルに設定されている洗い場付浴槽載置台」
が記載されているものと認められる。
2 甲第2号証(実公昭50-32277号公報)
甲第2号証には、
(1)「台板Aの一半部を洗い場2とし、他の一半部を浴槽載置部3となすとともに、該載置部3と洗い場2との境界には仕切壁4を図示のように曲成して形成」(同公報1欄20?23行)
(2)「四周に立上り壁を備えた台板の一半部は洗い場、他の一半部を浴槽載置部となし、各別に排水口を設けるようにした浴槽載置部と洗い場との境界には仕切壁を立設した洗い場付浴槽載置台」(実用新案登録請求の範囲)
(3)第1、2図
の記載があり、これら記載からみて、甲第1号証と同様に、
「洗い場と浴槽載置部とが仕切壁を介して隣接配置され、浴槽載置部は跨ぎ込み高さを考慮して洗い場よりも低位レベルに設定されている洗い場付浴槽載置台」
が記載されているものと認められる。
3 甲第3号証(実願昭54-148388号[実開昭56-68063号]のマイクロフィルム)
甲第3号証には、
(1)「図において、符号1は、FRPなどの素材により成形された浴室用防水パン(浴室基体)で、洗場床2と、段差をもって一体に連設された浴槽載置床3とを有している。」(同2頁13?16行)
(2)「下流端部33の側壁(側壁34の延長面)に前記した排水口31が横向きに開口している。」(同3頁5,6行)
(3)第1?4図
の記載があり、これら記載からみて、甲第1及び2号証と同様に、
「洗場床と浴槽載置床とが側壁を介して隣接配置され、浴槽載置床は跨ぎ込み高さを考慮して洗場床よりも低位レベルに設定されている防水パン」が記載されているものと認められる。
4 甲第4号証(実公昭44-24688号公報)
甲第4号証には、
(1)「3辺に鍔5を、1辺には浴槽と一体とした点検口をもつ下垂板4及び延長鍔8を一体に形成した浴槽1と、鍔10と踏台兼小物置台13及び排水口14を設けた洗場2と、前記浴槽の点検口を塞ぐパネル3とからなり、これら3個のパーツを強化プラスチックで成形するとともに、前記浴槽の下垂板4及びパネル3を洗場2に設けた鍔10の内側にそれぞれパッキンを介し取付けるように構成したことを特徴とする組立式洗場付浴槽。」(実用新案登録請求の範囲)
(2)第1?6図
の記載があり、これら記載からみて、
「洗場と浴槽との間に介在する下垂板に点検口パネルを設けた組立式洗場付浴槽」
が記載されているものと認められる。
5 甲第5号証(実願昭55-158743号[実開昭57-81696号)のマイクロフィルム
甲第5号証には、
(1)「洗い場付きハーフユニット本体の浴槽嵌込み部に浴槽を嵌込み係合して形成したハーフユニットにおいて、上記ハーフユニット本体の洗い場と浴槽嵌込み部間の立上り部に、浴槽嵌込み部内に開口する作業口を設けてなる作業口付きの浴槽嵌込式ハーフユニット」(実用新案登録請求の範囲第1項)
(2)「洗い場付ハーフユニット本体の洗い場と浴槽嵌込み部間の立上り部に作業口を設けて構成することにより、浴槽の取り付け、取り外し及び高さ調節並びに配水管接続等の付帯設備施工が容易にできるようにしたものである。」(同公報2頁17行?3頁1行)
(3)「洗い場(4)と、浴槽嵌込み部(3)との境にある立上り部(6)にあって、その略中央に作業口(9)を上記浴槽嵌込み部(3)内と連通して開設し、浴槽嵌込み部(3)に浴槽(2)を落し込んだ後、当該浴槽(2)に垂設してある浴槽脚(2)b・・・を脚台(10)の固定金具(11)にボルト(12)を用いて固定したり、又排水管(図示せず)等の接続作業が、洗い場(4)から作業口(9)を介して行ない得るように構成したものである。
こゝで、上記作業口(9)は、上記浴槽脚(2)b・・・と固定金具(11)とのボルト(12)止め作業や、排水管の接続作業等に都合の良い位置及び大きさに予め設定して設けてあり、さらに洗い場(4)からの水漏れを考慮して、当該洗い場(4)の底壁(4)aよりも適当寸法だけ高い位置に開口させてある。」(同4頁6?20行)
(4)第1?4図
の記載があり、これら記載からみて、
「洗い場と浴槽嵌込み部間の立上り部に作業口を設けた洗い場付ハーフユニット」
が記載されているものと認められる。
6 甲第6号証(実願昭56-737号[実開昭57-113094号)のマイクロフィルム)
甲第6号証には、
(1)「浴槽載置部(3)の洗い場(2)側における側壁(18)に作業用窓(19)を開口しておくのがよく、これにより洗い場(2)側の作業員が同窓(19)から身体を装入して同螺杆(12)の操作やビス止め操作を行なうことができる。」(同5頁10?15行)
(2)第1?3図
の記載があり、これら記載からみて、
「洗い場と浴槽載置部間の側壁に作業用窓を設けたハーフユニット」
が記載されているものと認められる。
7 甲第7号証(実願昭49-135412号[実開昭51-60665号)のマイクロフィルム]
甲第7号証には、
(1)「防水パンの排水トラップ近傍に段差をつけて開口部5を設け、該開口部に水密性を有する蓋7を設けることを特徴とする点検口付防水パン。」(実用新案登録請求の範囲)
(2)「施工完了後も排水トラップ周辺からの水漏れや配管不良による水漏れ修理が簡単に行なえ、また防水パンの基礎補強工事も実施できるような構造のものについて種々検討を加え、従来防水パンにはタブーであるとされていた開口部を設けることをあえて行ない、開口部の水密性を保つことに考慮を加えた」(同2頁8?14行)
(3)「開口部は水漏れの有無についての点検修理を行なうための点検口5を排水トラップ3の近傍で入浴のじゃまにならないよう浴槽設置部分2内へ段差6をつけて設ける。」(同3頁7?10行)
(4)「場合によっては排水トラップ3の位置が、第1図のほぼ中央から図の点線の位置へ移動して設ける場合もあるが、いずれにしても点検口5の位置はそれにつれて移動させ排水トラップ近傍とするのが好ましい。点検口の大きさは排水トラップの交換が可能な程度とし、防水パン上に置く浴槽あるいは湯沸し釜の製品規格に応じて適当な形状と大きさにする。」(同3頁14行?4頁1行)
(5)「排水管4の配管方向を考慮して点検口の位置、大きさを決定する。」(同4頁6?8行)
(6)「開口部および蓋を防水パンに設けたために従来の防水パンでは壁面を壊して取りはずす以外に実施不可能であった水漏れの点検修理や床面補強作業が、開口部を利用することにより容易に実施できることができ、労力、経費節減に貢献するところ大なるものがある。」(同8?13行)
(7)第1?3図
の記載があり、これら記載からみて、
「洗い場部分と浴槽設置部分とが隣接配置され、浴槽設置部分は洗い場部分よりも低位レベルに設定されている浴室用防水パンにおいて、浴槽設置部分の排水トラップ近傍に床下空間に対応して開口された点検口が設けられている床下点検口付浴室用防水パン」
が記載されているものと認められる。
二 本件考案と甲各号証に記載されたものとの対比、検討
1 対比
本件考案と甲第1号証に記載された考案とを対比すると、甲第1号証に記載された考案の「洗い場」、「浴槽載置部」、「仕切用隆起部」、「洗い場付浴槽載置台」は、本件考案の「洗い場床面」、「浴槽用据置床面」、「起立壁」、「浴室用防水パン」にそれぞれ相当し、両者は、
「洗い場床面と浴槽用据置床面とが起立壁を介して隣接配置され、浴槽用据置床面は跨ぎ込み高さを考慮して洗い場床面よりも低位レベルに設定されている浴室用防水パン」、
である点で一致し、以下の点で相違する。
相違点
本件考案は、「起立壁には洗い場床面の床下空間に対応して開口された床下点検口が設けられている」のに対し、甲第1号証の仕切用隆起部(起立壁)には、本件考案におけるような、床下点検口が設けられていない点。
なお、上記では、本件考案と甲第1号証に記載された考案とを対比した。請求人は、甲第1号証の他に甲第2号証及び甲第3号証を提出しているが、甲第2号証、又は甲第3号証に記載された考案とそれぞれ対比しても、上記と同様の一致点、相違点となる。
2 相違点に対する検討
甲第7号証によると、「洗い場部分と浴槽設置部分とが隣接配置され、浴槽設置部分は洗い場部分よりも低位レベルに設定されている浴室用防水パンにおいて、浴槽設置部分の排水トラップ近傍に床下空間に対応して開口された点検口が設けられている床下点検口付浴室用防水パン」との点が記載されている。
しかしながら、この甲第7号証における床下点検口付浴室用防水パン(浴室用防水パン)においては、「洗い場部分(洗い場床面)と浴槽設置部分(浴槽用据置床面)とが隣接配置され」ているだけで、本件考案における起立壁に相当するものがなく、点検口は、浴槽設置部分(浴槽用据置床面)の床下空間に対応して開口されてはいるものの、排水トラップ近傍に設けられているものであり、本件考案におけるような、「起立壁には洗い場床面の床下空間に対応して開口された床下点検口が設けられている」との構成を有していない。
いっぽう、甲第4号証には、「洗場と浴槽との間に介在する下垂板に点検口パネルを設けた組立式洗場付浴槽」との点が、甲第5号証には、「洗い場と浴槽嵌込み部間の立上り部に作業口を設けた洗い場付ハーフユニット」との点が、甲第6号証には、「洗い場と浴槽載置部間の側壁に作業用窓を設けたハーフユニット」との点がそれぞれ記載されている。
しかしながら、これら甲第4?6号証に記載された点検口、作業口及び作業用窓は、何れも浴槽設置側の空間に対応するものであり、本件考案におけるような、「洗い場床面の床下空間に対応して開口された床下点検口」の構成を有していない。
以上によると、本件考案の構成のうち、相違点に関する、「起立壁には洗い場床面の床下空間に対応して開口された床下点検口が設けられている」点については、何れにも記載がなく、示唆すらもされていない。
そして、本件考案は、この構成を備えることにより、明細書に記載の「本考案に係る床下点検口を備えた浴室用防水パンによれば、浴槽を取り除くだけの簡単な作業で、パン下部に配された給水管、給湯管又は排水管等の漏水点検ができる。従って、従来の防水パンとは異なり、浴槽及び壁パネルを取り除き、且つ防水パンをわざわざ引き起こすような手間は不要である。このように点検作業が容易に行えるため、定期点検が可能であり、漏水事故を未然に防いだり、又漏水事故の発見が早くなるから、被害程度も軽いうちに対処できるという利点を有する。また、床下点検口は起立壁に設けられて縦方向に開口しているため、防水性の向上が図れるばかりでなく、床下点検口から見える奥行き領域が拡がると共に、手の届く範囲で多少のメンテナンスも可能となる。更に、本案防水パンの設置作業時には、床下点検口から高さ調節脚の操作やモルタル打設が行えるものであり、該設置作業をも容易ならしめる。更にまた、床下点検口は通常の使用状態では浴槽により隠蔽されているので、使用者の目に触れることはなく、美観上においても優れている等、幾多の優れた利点を有している。」(本件考案の公告公報4欄35行?5欄8行[補正の内容をも参照のこと])という作用、効果を奏するものである。
したがって、本件考案は、甲第1?7号証に記載されたものに基いて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものとすることはできない、
三 請求人の主張に対して
床下点検口を洗い場床面の床下空間に対応して開口させるべく起立壁に設ける点について、請求人は、審判請求書において、「洗い場床面の床下空間を覗き見るために起立壁に点検口を設けることは、洗い場床面からの起立壁の延出方向が本件登録実用新案のそれと逆であるものの甲第4号証乃至甲第6号証に点検口が起立壁に設けられることが開示されていることから、技術的に何ら困難なものではなく当業者にとって極めて容易に想到し得る程度のものでしかないと言える。」(同10頁19?24行)、又、「甲第7号証において点検口を設ける位置が、浴槽用据置床面側の任意の位置でよいことが示唆されていることからみても、起立壁に点検口を設けることは当業者にとって自明であると言える。」(同10頁30行?11頁3行)、さらに、「甲第3号証には、洗い場床面と浴槽用据置床面とが、後者が前者よりも低位レベルとなるように隣接して設けられた浴室用防水パンにおいて、両床面問の起立壁34に排水口31を設けることが開示されている。この排水口31は床下点検口ではないが、少なくともこの種の防水パンにおいてその起立壁に、目的はともかく、何らかの開口を開設することは、本件登録実用新案の出願前において公知であり、したがって起立壁に開口を設けることに何ら技術上の困難性はないと言えることからしても、起立壁に点検口を設けることは当業者にとって極めて容易に相当し得るものである。」(同11頁3?11行)と主張している。
しかしながら、さきの「2 相違点に対する検討」において検討したように、甲第4?6号証に記載された点検口、作業口及び作業用窓は、何れも浴槽設置側の空間に対応するものであり、本件考案におけるような、「洗い場床面の床下空間に対応して開口された床下点検口」の構成を有してなく、その示唆すらもない。
又、甲第7号証における床下点検口付浴室用防水パン(浴室用防水パン)においては、「洗い場部分(洗い場床面)と浴槽設置部分(浴槽用据置床面)とが隣接配置され」ているだけで、本件考案における起立壁に相当するものがなく、点検口は、浴槽設置部分(浴槽用据置床面)の床下空間に対応して開口されているものの、排水トラップ近傍に設けられているものであり、本件考案におけるような、「起立壁には洗い場床面の床下空間に対応して開口された床下点検口が設けられている」との構成を有してなく、その示唆すらもない。
又、甲第3号証には、「洗場床(洗い場床面)と浴槽載置床(浴槽用据置床面)とが側壁(起立壁)を介して隣接配置され、浴槽載置床(浴槽用据置床面)は跨ぎ込み高さを考慮して洗場床(洗い場床面)よりも低位レベルに設定されている防水パン(浴室用防水パン)」において、請求人主張のように、その側壁には排水口が設けられている点が開示されている。しかし、排水口はあくまでも排水口にすぎず、「少なくともこの種の防水パンにおいてその起立壁に、目的はともかく、何らかの開口を開設することは、本件登録実用新案の出願前において公知であ」(審判請求書11頁7?9行)るからといって、ただちに「起立壁に開口を設けることに何ら技術上の困難性はないと言えることからしても、起立壁に点検口を設けることは当業者にとって極めて容易に相当し得るものである」(同11頁9?11行)とすることに、技術的な意義・動機づけを見出すことはできない。
結局、請求人の主張は、採用することはできない。
第四 むすび
以上のとおりであるから、請求人が主張する理由及び提出した証拠方法によっては、本件考案の実用新案登録を無効とすることはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 1999-11-11 
結審通知日 1999-11-26 
審決日 1999-12-03 
出願番号 実願昭62-152482 
審決分類 U 1 112・ 121- Y (E03C)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 森 治松島 四郎  
特許庁審判長 幸長 保次郎
特許庁審判官 鈴木 公子
小野 忠悦
登録日 1994-10-06 
登録番号 実用登録第2034765号(U2034765) 
考案の名称 床下点検口を備えた浴室用防水パン  
代理人 倉内 義朗  
代理人 牛田 利治  
代理人 内田 敏彦  
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