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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04R
管理番号 1047001
審判番号 不服2000-4330  
総通号数 23 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 実用新案審決公報 
発行日 2001-11-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2000-03-29 
確定日 2001-10-11 
事件の表示 平成 5年実用新案登録願第 44087号「同軸型複合スピーカ」拒絶査定に対する審判事件[平成 7年 2月14日出願公開、実開平 7- 11095]について、次のとおり審決する。   
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 第1 本願考案
本願は、平成5年7月19日の出願であって、その考案は、補正された明細書及び図面の記載からみて、その考案(以下「本願考案」という。)は、実用新案登録請求の範囲(請求項の数1)に記載された、次に掲げるとおりのものである。
「ヨーク(1)のフランジ部分(1a)の上下に同極が対向するように上下同位置にリング状の前面マグネット(3)および後面マグネット(2)をそれぞれ設け、その外周にウーファ用のボイスコイル(6)を設け、このボイスコイル(6)はその上部が前記前面マグネット(3)上に設けられたプレート(4)付近に位置するように長めに形成され、その上端部にウーファ側振動板(9)の内周部が結合され、かつ前記ヨーク(1)のセンターポール(1b)と前記前面マグネット(3)上に設けられたプレート(4)との間に形成された磁気ギャップ(5)にツィータ側の振動板(13)と接続されるボイスコイル(10)を設け、前記ツィータ側振動板(13)と前記ウーファ側振動板(9)の磁気回路は共用され、かつ前記各振動板(13)、(9)はほぼ同一平面上に設けられたことを特徴とする同軸型複合スピーカ」

第2 刊行物考案
1 刊行物1の考案
これに対して、原審の拒絶理由に引用された刊行物である、本願の出願の日前の昭和59年4月7日に頒布された特開昭59-61299号公報には、次に掲げる(1)ないし(3)の事項からなるスピーカ(以下「刊行物1の考案」という。)が記載されている。
(1) 本発明は復数個の磁気回路を有する復合型のスピーカに関するものである。(1頁左下欄下から6行ないし下から5行)
(2) 第2図では、第1図におけるスペ-サを廃止し、トウイータ用磁気回路のボトムプレートとウーハ用磁気回路のアッパープレートとを一体化したプレート4を作成し、かつこのプレート4の上下に位置する磁石11,21の互いに対向する磁極を同極性となるように配置するものである。このように構成することにより、構成が簡略になるばかりでなく、おのおのの磁気ギャップの磁束密度が従来よりも増加する。ウーハ用磁石21の寸法がφ156×φ80×t20、トウイータ用磁石の寸法がφ110×φ60×t15(2頁左上欄5行ないし16行)
(3) 1……トウイータ用磁気回路、2……ウーハ用磁気回路、4……プレート、11,21……磁石、12……トウイータ用磁気回路アッパープレート、22……ウーハ用磁気回路ボトムプレート。(2頁右上欄下から3行ないし同頁左下欄1行)
2 刊行物2の考案
同じく、原審の拒絶査定に引用された刊行物である、本願の出願の日前の平成2年12月11日に頒布された実願平1-53396号(実開平2-145898号公報を参照)のマイクロフィルムには、次に掲げる(1)ないし(5)の事項からなる複合型スピーカ(以下「刊行物2の考案」という。)が記載されている。
(1) 本考案は、低音用スピーカの中心に、高音用スピーカの中心を一致させて取付けた、同軸複合型のスピーカの改良に関する。(1頁14行ないし16行)
(2) 振動板15の中心にはボビン17が設けられていて、このボビン17に巻かれたボイスコイル18は、プレート12とポール13aのテーパ部13bによって形成された部分13cとの間に位置される。(5頁3行ないし7行)
(3) ポ一ルピース22とヨーク23で構成される磁気ギャップ内には、ドーム型の振動板24のボイスコイル25が、振動板24のエッジ24aをバッキン26によってヨーク23に取付けることによって挿入、位置されている。(6頁6行ないし10行)
(4) 高音用スピーカのボイスコイル25が低音用スピーカの振動板15のネック部と同じ高さになるようになる。(6頁下から2行ないし7頁1行)
(5) 低音用スピーカと高音用スピーカの振動板の高さが略同一にあるために、音源の位置ずれに起因する位相特性の悪化を免がれ、特性のコントロールがし易くなる。(7頁下から1行ないし8頁3行)

第3 刊行物考案と本願考案との対比・検討
1 刊行物1の考案と本願考案との対比
そこで、刊行物1の考案における事項と本願考案における事項とを対比すると、次に掲げる(1)ないし(4)の事項がそれぞれ相当する。
(1) 刊行物1の考案における「プレート4」は、このプレート4の上下に磁石11,21が配置されるから、本願考案における「ヨーク(1)」に相当する。
(2) 刊行物1の考案における、それぞれの直径(φ)が異なる「リング状の磁石11,21」は、プレート4の上下に互いに対向する磁極を同極性となるように配置されるから、本願考案における「リング状の前面マグネット(3)および後面マグネット(2)」に相当する。
(3) 刊行物1の考案における「トウイータ用磁気回路アッパープレート12」は、リング状の磁石11上に設けられているから、本願考案における「プレート(4)」に相当する。
(4) 刊行物1の考案における「トウイータ用磁気回路1の磁気ギャップ」は、プレート4とトウイータ用磁気回路アッパープレート12との間に形成されているから、本願考案における「磁気ギャップ(5)」に相当する。
2 刊行物1の考案と本願考案との一致点・相違点の検討
上記1の対比から刊行物1の考案と本願考案とは、次に掲げる(1)の点で一致し、次に掲げる(2)の点で相違する。
(1) 一致点
「ヨークのフランジ部分の上下に同極が対向するように上下同位置にリング状の前面マグネットおよび後面マグネットをそれぞれ設け、かつ前記ヨークのセンターポールと前記前面マグネット上に設けられたプレートとの間に形成された磁気ギャップを設けたことを特徴とする同軸型複合スピーカ」
(2) 相違点
(ア) 上記「リング状の前面マグネットおよび後面マグネット」の外周に、本願考案においては「ウーファ用のボイスコイル(6)を設け、このボイスコイル(6)はその上部が前記前面マグネット(3)上に設けられたプレート(4)付近に位置するように長めに形成され、その上端部にウーファ側振動板(9)の内周部が結合され」るのに対して、刊行物1の考案においては、プレート4とウーハ用磁気回路ボトムプレート22との間に磁気ギャップが形成されているが、ウーファ用のボイスコイルとウーファ側振動板及びそれらの関係が明記されていない点
(イ) 上記「磁気ギャップ」に、本願考案においては「ツィータ側の振動板(13)と接続されるボイスコイル(10)を設け」ているのに対して、刊行物1の考案においては、ツィータ側の振動板と接続されるボイスコイルが明記されていない点
(ウ) 上記「同軸型複合スピーカ」の磁気回路として、本願考案においては「ツィータ側振動板(13)とウーファ側振動板(9)の磁気回路は共用され」ているのに対して、刊行物1の考案においては、共用すると明記されていない点
(エ) 上記「同軸型複合スピーカ」の振動板として、本願考案においては「各振動板(13)、(9)はほぼ同一平面上に設けられ」ているのに対して、刊行物1の考案においては、各振動板とそれらの関係(同一平面)について明記されていない点
3 相違点についての検討
(1) 相違点(ア)についての検討
刊行物1の考案は、複合型のスピーカに関するものであるから、プレート4とウーハ用磁気回路ボトムプレート22との間に形成される磁気ギャップには、ウーファ用のボイスコイルが設けられ、その上端部にウーファ側振動板が結合されることは、当業者からみれば自明のことである。
また、同じく複合型のスピーカに関する刊行物2の考案は、低音用スピーカと高音用スピーカの振動板24,15の高さが略同一にあるため(上記2の(5)を参照)、ウーハ用のボイスコイル18が巻かれたボビン17が長めに形成されているものである。
したがって、刊行物1の考案における「リング状の前面マグネット11および後面マグネット21」の「外周にウーファ用のボイスコイルを設け、このボイスコイルはその上部が前記前面マグネット11上に設けられたプレート12付近に位置するように長めに形成され、その上端部にウーファ側振動板の内周部が結合され」るようにすることは、当業者であれば適宜なし得ることである。
(2) 相違点(イ)についての検討
刊行物1の考案は、複合型のスピーカに関するものであるから、プレート4とトウイータ用磁気回路アッパープレート12との間に形成される磁気ギャップに、トウイータ側振動板と接続されるトウイータ用のボイスコイルが設けられることは、当業者からみれば自明のことである。
したがって、刊行物1の考案における「磁気ギャップ」に、「ツィータ側の振動板と接続されるボイスコイルを設け」ることは、当業者であれば適宜なし得ることである。
(3) 相違点(ウ)についての検討
刊行物1の考案において、トウイータ用磁気回路1とウーハ用磁気回路2とは、プレート4を介して共用されていることは、当業者からみれば自明のことである。
ただ、刊行物1の考案においては、ウーハ用磁気回路2の一部にウーハ用磁気回路ボトムプレート22を設けて磁気ギャップが形成されているのに対して、本願考案においては、磁気ギャップが形成されていないが、一般に、スピーカの磁気回路において、ボイスコイルを効率よく駆動するために磁気ギャップが形成されるところ、設計上の何らかの理由で効率は落ちるが磁気ギャップを形成しない、すなわち、刊行物1の考案におけるウーハ用磁気回路ボトムプレート22を省略することは、当業者であれば適宜なし得ることである。
したがって、刊行物1の考案の「同軸型複合スピーカ」の磁気回路として、「ツィータ側振動板とウーファ側振動板の磁気回路は共用され」とすることは、当業者であれば適宜なし得ることである。
(4) 相違点(エ)についての検討
上記(1)で検討したように、刊行物2の考案は、高音用スピーカのボイスコイル25が低音用スピーカの振動板15のネック部と同じ高さになること。また、低音用スピーカと高音用スピーカの振動板の高さが略同一にあることから(上記2の(4)(5)を参照)、これらのことを同じ「同軸型複合スピーカ」に関する刊行物1の考案に適用することは、当業者であれば適宜なし得ることである。
したがって、刊行物1の考案の「同軸型複合スピーカ」の振動板として、「各振動板はほぼ同一平面上に設けられ」とすることは、当業者であれば適宜なし得ることである。

第4 むすび
以上、本願考案は、刊行物1の考案に基いて、当業者がきわめて容易に考案をすることができたものであるから、実用新案法3条2項の規定により実用新案登録を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2001-08-07 
結審通知日 2001-08-14 
審決日 2001-08-27 
出願番号 実願平5-44087 
審決分類 U 1 8・ 121- Z (H04R)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 大野 弘  
特許庁審判長 谷川 洋
特許庁審判官 橋本 恵一
小林 秀美
考案の名称 同軸型複合スピーカ  
代理人 高山 道夫  
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